AstroPadを快適に使うために

AstroPadはレイテンシーを「見かけ上」感じさせない工夫がウリの、「iPadをペンタブに変える」嬉しいAppです。

 

https://astropad.com

 

しかし、インストールしたままでいきなり使い始めても、使いにくく感じることもあります。以下の点をチェックしてみましょう。

 

●USBで繋いでいるか。

 

ごく普通に考えて、WiFiのレイテンシーはかなり大きいことが予想されます。いくらAstroPadが「レイテンシーを感じさせない工夫」を有していても、WiFiではレイテンシー=時間差による不整合がいくらでも発生するでしょう。

 

以前、WiFiとUSBの両接続を試してみましたが、WiFiは最高品質の画像ではかなり画像の書き換え動作に問題がありました。絵を描く際に、画像の表示が汚いのは避けたいので、以来、USBの接続で作業しています。

 

 

●AstroPadの筆圧設定は、自分に合っているか。

 

AstroPadは、Wacomのソレと同じく、筆圧設定が可能です。

 

筆圧が自分に適合していないと、それだけで「反応が遅く」感じます。私は軽い筆圧でスラスラ描ける動作が好みなので、AstroPadの設定では軽め(反応が敏感)に設定します。

 

自分に合った筆圧、かつ、やや軽めで敏感にしておくと、Photoshop CCなどの動作が重めのレタッチソフトでも、ブラシでスイスイ絵が描けるように体感します。

 

 

●ソフトウェア側の筆圧関連は、適切か。

 

クリスタやHarmonyのように、かなり細かいペン(ブラシ)の設定が可能なソフトウェアの場合、AstroPad側だけでなく、ドローソフト側でも筆圧に関する設定を最適化します。

 

AstroPadと同時にドローソフトを新規導入した場合、AstroPadだけの設定でなく、ドローソフトの設定も自分に合わせて作り込みましょう。AstroPadが使いにくさの原因だと思っていたものの、実は見当はずれで、ソフトウェア側の設定不備だった‥‥なんていうオチも往々にして存在します。

 

ドローソフトのペン(ブラシ)プリセットを自分好みに設定できれば、AstroPadの操作感も向上します。

 

 

●macOS側のCPUやメモリ使用状況に、十分に空きがあるか。

 

CPUがビジー状態で、メモリも空きがなければ、AstroPadの有無に限らず、ドローソフトの動作は鈍くなりがちです。

 

CPUの使用状況やメモリの空きがいつでも確認できるように、macOSのメニューバーをカスタムしましょう。

 

 

上図はグラフでCPUの使用状況、数字でメモリの使用状況を確認できるPreferencePanes〜常駐のソフトウェアです。

 

macOS標準装備の「アクティビティモニタ」でも、メモリやCPUの使用率が確認できますので、動作がトロいと思ったら、Macの状態も確認して総合判断します。

 

*上図の状態は、CPUを全然使ってない状態です。忙しくなると、このメーターがにぎやかになります。

 

 

 

‥‥と、どれも基本的な事ばかりですが、意外に見落としがちな要素でもあります。

 

特に、AstroPadの筆圧設定が未設定ですと、かなり描きにくく感じます。筆圧の齟齬が、反応の遅さとして感じられることもあります。

 

ちゃんと設定しておけば、Photoshop CCでも普通に絵が描けるほど、軽快に動作してくれます。

 

Wacomの4Kタブレットを導入できる資金や機運を待つ間に、AstroPadでどんどん絵を描いて、どんどんペンタブとコンピュータの運用に慣れて、「未来技術への移行」を円滑に進める準備をしておきましょう。

 

 


AstroPadの筆圧設定

筆圧。

 

書き味に直結する、極めて重要な設定項目です。

 

macOSとiOS、システム環境設定とソフトウェア環境設定‥‥と、いろいろな「筆圧を制御する」管轄が存在するので、今まで経験を積んだ人でも、戸惑いがちです。

 

状況によっては、「二重筆圧」になって筆圧が今までのようにコントロールできず、混乱することもあります。

 

■AstroPadの筆圧設定

 

■クリスタ(macOS版)のペン(ブラシ)プリセットごとの設定

AstroPadとクリスタの両方を自分の筆圧感度に合わせてしまうと、筆圧が「2倍」になってしまいます。上図の例だと、AstroPadとクリスタで二重で感度を強くしているので、実際に描く際に感度が敏感すぎて「筆圧が効かない」ように錯覚することがあります。

 

 

例えば、Clip Studio、クリスタ。

 

クリスタは、ペンのプリセットごとに筆圧を設定できる秀逸な機能をもちますが、ペンタブの筆圧をメインと考えて最初に設定し、クリスタの筆圧は二番目の補助設定として扱うのが定番です。

 

*クリスタでは、ペンの「個性」として筆圧カーブを変更します。根本的な感度を調整するのはあくまでペンタブ側のドライバ(やApp)で、クリスタではペン(ブラシ)固有の感度を調整するものとして扱います。

 

ペンタブそのものの筆圧設定は、クリスタだけでなく、他のソフトウェア共通の筆圧設定となりますから、「筆圧設定の順序」を明確に定めて設定すれば、ソフトウェアごとに自分に適した使いやすいペンのプリセットをいくつも作ることができます。

 

逆に、クリスタの筆圧設定を先に設定して、後からペンタブの筆圧を設定すると、クリスタ以外の他のお絵かきソフトの筆圧が、クリスタに引き摺られて、筆圧の基準が定まりにくい状況を招きます。

 

AstroPadを使う場合、Wacomのペンタブ設定(システム環境設定)と同じ内容を、AstroPad側で「まず最初に」設定する必要があります。

 

●試し描きをしながら、まず基本となる筆圧をAstroPadで設定。

 

 

*iOSのAstroPadで筆圧の基本動作を設定します。

 

 

AstroPadはWacomのドライバと違って、macOS管轄ではなく、iOSの環境設定でもなく、AstroPad独自の環境設定で筆圧の設定をおこないます。

 

AstroPadをインストールしていきなり描き始めるのではなく、まず最初にAstroPadで自分の筆圧に合わせた設定をした後で、各ソフトウェアの筆圧に関する設定項目を調整していきます。

 

Harmonyですと、フローと不透明度の筆圧レンジを適宜変更して、ペンやブラシごとに「筆圧に対する個性」を設定可能です。もちろんクリスタやPhotoshopでも(設定項目の呼び名に多少の差はあれ)同じことが可能です。

 

*筆圧で線の太さ細さはコントロールしたいけれど、不透明度への影響は90〜100%の狭い範囲にしたい‥‥など、ユーザや作品に合わせて、自由に設定できます。個人の筆圧を反映するというよりは、ペン個体の個性を、ペンのプリセットではコントロールします。

 

 

まあ、クリスタに関して言えば、AstroPad経由でmacOS版のクリスタを使うよりも、iOS版のクリスタを使った方が、格段に快適です。描画速度もモーションプレビューもペンの反応速度も速いので、iPadでクリスタを使うならiOS版が最適解です。

 

何らかの理由で、AstroPadを使うのなら、筆圧設定で何度も試し書きして、自分に合った筆圧を確定したのち、各ソフトのプリセットに進めば良いです。有線(USB)で繋いで、自分の手に馴染む筆圧設定を完了すれば、仕事に使えるくらいには調整できます。

 

4K32インチの液タブ!‥‥といきたいところですが、まあ、お値段がお値段ですので、今はiPad Proで経験を積んで備えます。

 

 


アニメのTA

欧米の事例を見聞きしたり、実際に欧米とやり取りするうちに、テクニカルアーティスト〜TAという言葉の意味がだんだんわかってきました。

 

TAの人はもともと「アーティスト」と呼ぶにふさわしい技量をもった人で、その人が技術的なレクチャーや橋渡しをするんですね。日本の「TAの定義」はよくわからなかったけど、「欧米のTA」はたしかに「アーティスト」と呼んで然るべき存在だと最近感じました。

 

そう考えると、未来のアニメ業界にはTAはとても必要な存在です。絵も描けて、動きも描けて、作監やデザインもできて、ソフトウェアやハードウェアの知識も豊富で、「描きたいこと・実現したいことをコンピュータの使い方や運用計画へと橋渡しできる」人は、これからの現場には必要です。

 

作画の経験と技量を持つTAだからこそ、現場の作画スタッフも信頼するのです。作画現場のTAの絵がヘタだったら、作画の人間が言うことを聞くわけもなく、軽くスルーされるだけです。

 

アニメの作画現場の場合、とにかく作画できることが、「作画のTA」の必要最低条件となるでしょうから、まずは旧来の原動画の作業でみっちり作画技術を習得する必要がありましょう。

 

その際、最初からペンタブ作画でキャリアを積めば、自然とソフトウェアの使い方を覚えて、より踏み込んだ理解へと進めます。ソフトウェアを単に使うだけでなく、ソフトウェアの内部構造、OSの仕組み、ネットワークの仕組み、スクリプトの習得など、アニメ制作現場のTAに必要な要素を獲得する際に、ペンタブ作画での経験は基礎となりましょう。

 

 

 

私はTAを名乗ったことはないですが(そもそもTAという言葉の中身を知ったのは最近なので)、振り返ればTA的なことを随分してきました。

 

では、これから先、TAやTDを名乗れば良いかというと、私の今の年齢と立ち位置から考えて、私のこれからすべきことはちょっと違うように思っていますので、肩書きは‥‥まあ、また何か考えます。

 

私は今後、作品の中核部分に関与し、「作品が生まれ出る構造そのもの」に関わっていくことになるでしょう。従来の技術基盤では収まらず、ワークフローのテンプレートもない、混沌とした状態から何を作りだしていくか‥‥という取り組みにおいて、決まった肩書きをあらかじめ用意することが無理だとも思っています。

 

 

 

混沌とした状態からこねて固めて何かが生まれた時、さらにそれを具体的な形へと洗練させる際に、アニメ制作現場のTAたちの出番となるでしょう。俺がTA、私がTAという先取の話ではなく、アニメ制作現場には専門に応じた何人ものTAが必要になっていくと思います。

 

まあ、そのためにも、紙で停滞している現状から抜け出し、ごく普通にペンタブで誰もが作画する状況へと移行しなければなりません。カットアウトの知識も必須となるでしょう。

 

日本におけるアニメの仕事を「まともな仕事」にするためには、コンピュータをとことん使いこなす必要があります。産業としての技術革新がどうしても必要です。アニメ現場のTAもその革新要素の1つです。「各種技術に長けたアーティスト」をちゃんと名乗れる技量のスタッフは、「今まで存在しなくても、未来には必要」です。

 

 

 

今、国営放送でアニメ現場の朝ドラがやっていますが、何だか「昔のアニメに別れを告げる」ような象徴的で運命的なものを私は感じます。

 

思い起こして懐かしんで、手を振って見送って、さよならを告げる。

 

‥‥ちょうど良い、ピリオドです。

 

2019年にアニメ制作を扱った国民的連続ドラマが放映されていることは、私は「時代の必然」だとも思ってます(‥‥まあ、番組の意図とはズレた認識とは思いますが)。

 

懐かしい時代にサヨナラをするのです。懐かしい時代は、安くこき使われた時代でもあるのですから。

 

懐かしい時代の制作システムを継承する以上、懐かしくも酷く辛い境遇からは抜け出せないでしょう。

 

「昔は良かったなあ‥‥」をしみじみ実感した後は、心を新たにして、未来のフィールドへ進む覚悟もできますよネ。(今以上に昔に閉じこもる人もいるかも知れませんけど)

 

 

 

未来、作業の価値が大きく変わるのは、動画作業だと思います。恐ろしく高騰するでしょう。ケタが変わります。変動単価制度も必須でしょう。

 

今までの「何千枚・何万枚」どんぶり勘定では動画作業を取り仕切ることは無理です。

 

動画に限らず全ての役職において、昭和の「使い捨て人材」感覚と決別し、新たなエコシステムとして制作現場を再建する時、様々な新技術の盛り込みが必要となります。その際に、作画出身のTAも活躍することになりましょう。

 

古きを懐かしみ別れを告げ、新しきへと進む。

 

2019年は、その第1歩になるのかも知れませんネ。

 

懐かしいものは懐かしいままで良いです。そのまま、そっと過去においておけばよいです。

 

今を生きる我々は、今を生き、未来を生きるために、新しい何かを探し出さねばなりません‥‥よネ。

 

 

 

 


After Effects 2019 使用禁止!

After Effects2019、怖い。

 

After Effects2019は、初回リリース時からバグの宝庫(ProRes4444のアルファチャンネルが反映されないなどの重大なバグとか)でしたが、しばらくの間、2019は軽い用途でも使わないことにしました。

 

昔の画像キャッシュを抱えて離さない現象を確認しました。

 

もちろん、キャッシュのクリアをしてますし、コンポジションのレイヤーからソースを表示、そのソースからFinderで表示をして、取り違いのないように厳重に何度も確認しました。

 

怖いのは、全ての場面において必ず発生するバグではなく、発生頻度が不確定な点です。

 

プレビューのキャッシュの不具合は、実は数年前から怖いバグ(というか機能障害)の1つでしたが、相変わらず、発生する時は発生します。レイヤーを不可視にして表示を消しても、画面が更新されないとか、2014年くらいの頃から(頻度は少ないですが)悩まされています。After Effectsを再起動すると治るのですが、忙しい時は立ち上げっぱなしで気づかないこともあるのです。

 

まあともかく、「置き換えたのに、画像の内容が更新されない」という状況は、大事故の元です。

 

After Effectsの2019では様々なバグ(ファイルの読み込み、プレビューの動作など)がありましたが、素材の差し替え機能の1つである「レイヤーのフッテージ置き換え」が「信用できない」のは、かなりマズイ。

 

現在、After Effects CC2018で作業開始したものは、2018のままで作業を続行していますが、途中で2019に切り替えたり、新規で2019で作品制作を開始するのは、避けた方が良いです。

 

 

*現在使用しているCSSの都合上、あまり大きなサイズの文字を使うと改行で文字が重なってしまうので、普通のサイズに戻しました。文字の高さを固定にしてたっけかな‥‥‥相対にしないとダメですネ。

 

 


紙の経験

私は紙と鉛筆で育った世代なので、アニメーターになるスタート地点に「紙の感覚を体得する」ことは必須であると、つい最近まで何となしに思い続けてきました。

 

しかし、ふと私のギター歴を振り返った時に、ガットギターから入門したかと言えば「否」です。生ピアノから入門したかと言えば、やはり「否」です。

 

極めて純粋なクラシック畑のギタリストになる目的でもない限り、エレキギターでギターを弾き始めて、その後にガットギターやエレアコに手を出すのでも、充分習得できます。

 

‥‥‥‥。

 

あれ??

 

なぜ、私は、生「紙」と生「鉛筆」にこだわっているんだろうか?

 

動きを習得する初期段階において、どうしても紙を通過しなければならない理由を、合理的に説明できません。

 

 

 

Procreateで原画を描くには、相当の原動画の実経験が必要です。なぜかというと、「パラパラマンガ」機能がないからです。前後のレイヤーのオンオフの簡易な動きの確認だけで原画が描けるくらいの「経験と慣れ」が必要で、実際に描く前に頭の中でプランが出来上がっている必要があるからです。「描いて動かしてみないとわからない」みたいなレベルではProcreateで原画を描くのは無理です。

 

ですから、Procreateで原画を描くには、原動画キャリアが最低でも5年くらいは必要です。

 

私は在学中(バイトです。一応)の16歳の頃から、それこそ今年まで(今年は凄く少ないですが)、作画の仕事として、紙に絵を描き続けてきたので、Procreateでの原画作業は紙からのフィードバックが大きいです。

 

しかし、クリスタ。

 

月々1000円のiPad版クリスタ。そして、Bluetoothのキーボード。

 

ショートカットキーを設定すれば、前後の原画に進む戻るの操作はキーだけで、簡易的な「パラパラ」動き確認が可能です。オニオンスキンもショートカットキー1発です。ムービーとして再生=絵をパラパラめくることも、ショートカットキーで可能です。

 

初学者が紙を使う最大の理由は、とにかく何度も何度もパラパラと絵をめくって動かして、動きの様々な性質を体の感覚へと同化させることです。

 

また、ブレない線、線の入り抜きなどの、描線のコントロールを可能にすることです。

 

‥‥‥。

 

iPad Proとクリスタで良くないか? それ。

 

 

 

ガットギターは、エレキギターよりもネックも弦も太く、さらには弦高も高いので、エレキギターより格段に音が出しにくいです。ガットギターでの経験は、エレキギターを弾く際の、プラス要素にはなるとは思いますが、ニュアンスが違いすぎるのもまた事実です。

 

ガットギターは決してエレキギターの上位互換ではなく、基礎構造は似ていますがほぼ別物と呼んで良いものです。

 

同じく、紙作画とペンタブ作画は、絵を描くという行為においては似ていますが、取り扱いは別物です。

 

思うに、どちらかを極めれば、紙toペンタブでも、ペンタブto紙でも、相当応用が効くでしょう。

 

中途半端な技量しか持っていないと、どちらを使っても不満ばかりを口にしやすいです。

 

 

 

たしかに、以前のペンタブは失笑を買うような製品もありました。昔のWacomの液タブは、お世辞にも良いものではありませんでした。「まだまだ遠い」と十数年前は思ったものです。

 

しかし、iPad ProとApple Pencilが登場して、iOSの優れたドローソフトがいくつも選択可能な今、iPad Proで絵が描けないのなら、当人のポテンシャルが相当低いか、極めて紙を愛し過ぎて融通が全く効かないかの、どちらかです。

 

これから先の未来。

 

新人のアニメーターは紙を経験する必要はあるのか。

 

実質的には「必要ない」と考えるようになりました。経験として損になるものではないですが、「必須と言える理由」を、少なくとも私は「合理的」に説明できません。

 

紙の感覚は、基本だから。

 

紙時代を経験した人間〜私も含めて、そう言いがちです。しかし、

 

紙の感覚って、具体的に何でしょうか?

 

基本とはどのような要素の集合体ですか?

 

これらを突き詰めて考えた時、どうやら「自分がそれで育ったから」という当人の経験則からの「強いバイアス」が作用し、他の方法が単に思いつかないから‥‥という理由であることに、いまさらながら、気づきました。

 

つべこべ言う前に、枚数をいっぱい描かなければ、上達しない。

 

‥‥うん。それは紙でもiPad Proでも共通です。iPad Proで、それこそ何万枚も絵を描けますよ。紙じゃないといっぱい絵を描けない‥‥なんて、子供の頃に紙しかなかった人間の単なる思い込みなのです。

 

「紙じゃないとガシガシ描けないじゃん」‥‥というのも思い込みです。iPad Proでもガシガシ絵は描けます。Apple Pencilのペン先は1ヶ月ももちません。

 

まあ、架空の話でしかないですが、もし私が現代に生まれて、最初からiPad ProとApple Pencilがあれば、紙と鉛筆を必要とせずに、上達できると思います。

 

紙じゃないと夢中になれなかった‥‥なんて単なる勘違い、思い込みです。ツールはその時代が与えてくれるものです。

 

私が2010年代に生まれたのなら、子供時代からApple Pencilに夢中になって、山ほど絵を描くことでしょう。

 

 

 

なぜ、今こんなことを考えているかと言うと、絵を描くアニメの制作技術において、「根本的な思想」の「世代交代」が必要だと痛感しているからです。

 

紙と鉛筆を神棚に祀って、神頼みしている場合ではないのです。

 

過去の軍神の思い出話よりも、現代をリアルにどう生き抜くか。

 

未来なんてどうでも良いと思うのなら、過去に生きる人たちで寄り合えば良いです。

 

未来を志すのなら、全世代が未来を共生する現場を作りましょう。

 

共生とは、共に死ぬことではありません。

 

共生とは、共に生きることです。

 

 


Procreateのレイヤー数

Procreteはとにかく書き味の優れたAppで、その点だけでも使う価値があります。どんなに高機能でも、レイテンシーが一定以上大きいと、描きにくくてイヤになっちゃいますもんネ。

 

しかし、Procreateには色々と弱点があって、私が何よりも弱点だと感じるのは、レイヤー数です。

 

iPad Pro 12.9インチの2.7K程度なら、90レイヤー持てるので、普通レベルなら何とかなります。決して多いとは言えませんが、少なすぎるわけでもないです。

 

 

 

しかし、4Kドットバイドットの作画サイズとなると、10%の余白と、さらに外側の余白が必要なので、寸法は4.5Kとなり、レイヤー数は40レイヤー程度まで減少します。

 

*しかし何だ。レイヤーは「件」で数えるものかね。‥‥あまり聞かないな‥‥レイヤーを「件数」で呼ぶのは。‥‥そもそも「件」って何だろう‥‥と調べてみたら、「物事を数えるのに用いる語」とあるので、あながちレイヤー44「件」は違和感があるとは言い切れないのかも。

妖怪の「件=くだん」というのもいるんだね。

 

 

 

40レイヤーはねえ‥‥、結構、限界が低いんですよ。

 

40レイヤーと言っても、「レイアウト」「ラフ」「フレーム指示」「演出指示」などを内包していますので、実際に描ける新たなレイヤー数が30レイヤーを割ることもあります。

 

なので、カットアウトの原画を描いていて、最大4ファイルまで分割したことがあります。もちろんそのままで作業アップするのではなく、iMacにAirDropで転送して、macOSのPhotoshopで1つのファイルにまとめて整理します。

 

4.5Kなんて、ちょっと先の未来には、ありふれた「普通サイズ」です。大きくもなんともない。

 

Procreateを使い続けるためにも、今後のアップデートでProcreateのレイヤー数が増えてくれると良いんですけどネ。

 

 

 

思うに、iPhoneやiPadの「お絵かきツール」としてスタートしたAppは、iPadがProまで進化して、業務用途に用いることを想定していなかったのでしょう。

 

その点、AdobeのiOSフル版Photoshopや、新しいドローツールのFrescoは、後発ゆえに期待できます。

 

とは言え、Procreateの書き味は、どうしても手放せません。アニメ作画専用ではなくても、単に絵を描いてて描きやすいのは、得難い魅力です。

 

レイテンシー(実際の手の動きと、画面に描画されるまでの、タイムラグ 〜十数ミリ秒〜数十ミリ秒)はできるだけゼロに近いのが望ましいですが、ゼロ秒は物理的にあり得ないので、Appの処理速度、OS(ドライバ)やハードウェアの処理速度が、ハード&ソフトのまさに「腕のみせどころ」となっています。

 

ちなみに、1ミリ秒とは、1/1000秒のことです。人間の感覚って、数ミリ秒を感じ取れるほど、繊細で鋭敏なのです。

 

レイテンシーの問題は絵だけでなく、音楽にも言えて、例えばギターの出力をオーディオIFに繋ぎ、オーバードライブやアンプシミュレーションなどの音声信号処理が加えられて「音として聴こえる」までの「タイムラグ」は、演奏に致命的な支障がでるため、数ミリ秒が必須です。10数ミリだと遅い部類です。

 

絵の場合、音声よりも扱うデータ量が大きいですから、レイテンシーを少なく抑えるのは、メーカーの技術力そのものです。また、Appだけでなく、ハードウェア本体と、iOSの能力も問われます。

 

新しいiOSは、Apple Pencilのレイテンシーが、20ミリから9(だったっけ?)ミリに抑えられて、とうとう10ミリを切ったのが「そのスジ」の人には注目だったと思います。

 

 

 

Procreateには進化を続けて欲しいです。

 

一方で、Frescoなどの新しいAppにも期待大です。

 

やっぱり、紙と鉛筆のダイレクト感(=ダイレクトなのは当たり前だけど)は、基本なのです。その基本に、どれだけコンピュータが近付けるか、進化の過程を楽しみながら付き合うのが肝要です。

 

紙と鉛筆がいくらダイレクトでも、今、目にする映像のほぼ全てがデジタルデータ組成ですから、未来のフィールドを縦横無尽に駆け回って味わい尽くすには、コンピュータを活用するのが最適解です。

 

コンピュータの進化を「語り草」にするくらいの余裕が、我々には必要‥‥ということですネ。

 

 


Procreateのジェスチャー

Procreateのジェスチャーベースの操作法にて3年近く原画を描き続けた影響で、他のドローソフトの旧態依然としたショートカットベースの操作法が、異様にまどろっこく感じるようになって、その感覚から抜け出るのに苦労しています。

 

ジェスチャーベースの操作法は、暗記するまでは多少戸惑いますが、一旦覚えてしまえば、キーボードを全く必要とせずに描き続けられるので、おそらく「一番最短」の操作法と思われます。生の筆記具にかなり感覚が近くなり、指の消しゴムやピンチインアウトの拡大縮小、2本指のスクロールなど、ショートカットでは得られない「操作の連続性」が可能です。

 

参考までに、私の設定例を列記します。下記以外にも様々なジェスチャー割り当てが可能ですので、一例として。

 

 

●1本指タップ=クリック〜選択

レイヤーを選択したりカラーピッカーや画面から色を選択するなど、マウスクリックと同じ動作です

 

●1本指スワイプ=消しゴム

私は一本指スワイプを消しゴムに設定しています。クリスタでも同じ動作が可能で、いちいち消しゴムツールに切り替える必要がありませんので、とても作業効率が上がります。

 

●1本指長押し&スワイプ=選択&移動

レイヤーを移動したりブラシを他のセットへと移動したり、イメージ(ファイル)をフォルダの中に収納したり、選択して移動する際に用います。

 

●レイヤーを1本指長押し&画面にドロップ=レイヤーを最上位に複製

レイヤーウィンドウで任意のレイヤーを1本指長押しで「掴んだ」状態にして、レイヤーウィンドウの外にドロップ(掴んで移動して離す)すると、レイヤーウィンドウの最上位にレイヤーが複製されます。

 

●レイヤーを1本指長押し移動&別の指で他のレイヤーをタップ=レイヤーのグループ化

複数レイヤーをレイヤーフォルダに同梱してグループ化する方法は何種類も操作がありますが、トリッキーな方法も可能です。1つの指の操作の後で、さらに別の指を加えて操作するなんて、なんだかピアノみたいですネ。

レイヤーウィンドウにて、例えば、人差し指で1つのレイヤーを長押しして上か下に移動する途中で、親指で他のレイヤーを次々とシングルタップすると、どんどん選択状態が増え、任意の位置で指を離すとまとめてフォルダに格納できます。‥‥文字で説明するとややこしいですが、実際はシンプルな操作です。

 

●2本指タップ=UNDO

取り消し操作です。「戻る」ともいいますネ。

ただし、Procreateにはやり直し回数の制限があり(現バージョンは不明)、どうしてもオリジナルを残しておきたい場合は、あらかじめファイルを複製してバックアップしておく必要があります。

 

●2本指スワイプ=スクロール

画面をスクロールします。拡大して描く際に、なくてはならない機能です。

 

●2本指ピンチインアウト=拡大縮小

画面を拡大縮小します。縮小して全体像のバランスを取り、拡大して細部を描く際に、なくてはならない機能です。

ちなみに、必ずしも片手の2本指である必要はなく、両手の人差し指のペアでもピンチインアウトが可能です。

 

●2本指回転=画面の回転

画面を回転します。これも必須ですネ。自分の手が一番綺麗に線を描ける角度に合わせて、iPad本体を動かすよりも、画面を回転させた方が楽です。

ちなみに、水平に戻したい場合は、同じく指の操作でほぼ水平にすれば、スナップして自動で180度水平に戻ります。iPad Pro本体の傾きと組み合わせれば、微妙な角度も思いのままです。

 

●レイヤーウィンドウでのピンチアウト=レイヤーの統合

統合したいレイヤーの範囲を、親指と人差し指で囲んで閉じる(ピンチアウト)と、レイヤーを統合できます。

ただし、指を閉じる時の動作が不安定になりやすいので、レイヤーを1つずつ複数選択して(レイヤーウィンドウで左から右へシングスワイプ)、「グループ」テキストをタップしフォルダにまとめた後で、フォルダを1つのレイヤーに統合した方が、段取りは多いですが操作は確実です。

 

●ギャラリー画面での2本指ピンチインアウト=プレビューモード

いっぱい描き貯めたイメージ(ファイル)を連続でプレビューする際に、いちいち1つずつイメージを開いて閉じるのはまどろっこしいです。イメージを一覧する「ギャラリー」画面で、プレビューしたいイメージのアイコンの上でピンチインすると、プレビューモードになり、連続でイメージを閲覧できます。

とても便利です。

 

●プレビューモードでの1本指ダブルタップ=編集モードに入る

ギャラリー画面でピンチインすることでプレビューモードに入り、画像を順番に閲覧している際に、任意の画像を編集(描き加え)したくなったら、1本指ダブルタップで即座に編集モードに切り替えられます。

同じく、とても便利です。

 

●3本指タップ=REDO

再実行操作です。「進む」とも言いますネ。

 

●3本指スワイプ=コピー、カット、ペースト、コピペ、カットペースト

コピーカットペーストの操作選択ウィンドウが開き、いわゆる「コマンド」+「C」「P」「V」と同じ操作がジェスチャーだけで可能です。

たしか昔は3本指で「Z」を描く操作でしたが、最近のバージョンは単にスワイプだけでコピペが可能です。

 

●4本指タップ=全画面

ツールが全て隠れて、全画面になります。

 

 

この他、「もしかしたら、こんな操作もできたりしてな」‥‥と遊び半分でジェスチャーを試してみると、意外なジェスチャーのコンビネーションを発見できたりと、何だか裏技を発見した時みたいな嬉しい気分になります。

 

クリスタも意外に色んなジェスチャの組み合わせが有効だったりと、iPad Proのジェスチャーベースの操作方法は、キーボード&マウスでは想像もできなかった操作が可能なので、楽しみながら発見してみるのも良いですヨ。

 

 

 


17

現在、私の作画作業の主力は、デジタル作画をクリスタ、カットアウトをHarmony Premium(以後、ハーモニー)に定め、日々の作業で習熟を進める毎日です。

 

Toon Boomは、新バージョンの17が発売され、キャンペーン価格で年額サブスクリプションを導入できます。詳しくはToon Boomのサイトで。

 

私がハーモニーを使う際のターゲットは、もちろん4K。さらには、クリスタもハーモニーもベクタートレス線を基本にしています。

 

ビットマップは下書きに留め、清書はベクタートレス線で、4Kの解像度に最適なニュアンスで描きます。

 

ハーモニーは他のアニメ用ドローソフトと比べて格段に高価ですが、それだけの価値を秘めています。逆に言えば、カットアウトやベクタートレスなど、ハーモニーの抜きん出た機能をたっぷり旺盛に使いこなさなければ、値段の高さだけが気になるでしょう。

 

ハーモニーは次世代のアニメ技術を猛烈に意識して、実際に次世代技術を主力として使いこなすことで、その価格の真価が発揮されるソフトです。

 

その高価さゆえに、学生時代からハーモニーを常用することは日本では中々難しいでしょう。ゆえに、学生時代は、クリスタで山ほど線画を描いて色も塗って、新人としてアニメーターになった後もクリスタで山ほど原動画を描き、体の中に動きの経験と知識を叩き込んだ後で、ハーモニーへと進むのが肝要と思います。

 

日本のアニメ会社も、やみくもにハーモニーを導入して宝のもちぐされにするよりも、「枚数無制限」の新概念の強力なツールとして明確に認識し、適切なスタッフ育成をおこなうべきです。金は有意義に使わなくちゃネ。

 

クリスタとハーモニーの「ローコスト&ハイコストミックス」。

 

明確に使用用途を定めた運用スタイルは、ずるずると色んなソフトに手を出してどっちつかずのコスト垂れ流し運用より、結果的に大きな差が出てくると思います。

 

ハーモニーは彩色作業にも関わってくるので、色彩設計さんも重要な存在となります。おそらく、未来の彩色スタッフは、旧来作画と新式作画の両方に対応する「両刀使い」の能力が求められていくでしょう。もちろん、報酬における旧来の慣習は「仕切り直し」で、新しい時代に相応しい金額設定が必須となります。作画も彩色も、旧来の低価格設定から抜け出す機運となりましょう。

 

 

 

私はAfter Effectsを20年以上使ってきました。ほぼ毎日使って、After Effects漬けの日々だったがゆえに、自分の手足のように使えるようになりました。「映像の言語」がAfter Effectsの機能やスクリプトであると言っても良いくらい、体の一部です。

 

同じく、これからはクリスタとハーモニーを毎日使って、自分の体の一部に取り込んでいく所存です。iPadを使う時は、ProcreateとFresco(まだリリースされてませんが)も依然として強力なツールとして使い続けるでしょう。

*現在、Procreateのレイヤー数上限にちょっと困っていて(4K以上だと少なくなるのです)、バージョンアップでの改善、及びFrescoに期待してます。

 

ちょうど本格的に始めた時期に、ハーモニーのバージョン17がリリースされてタイミングがよかったです。

 

新しい時代は、色んなテクノロジーが集中して開花するので、道に迷うことも多いですが、突破口も見つけやすいです。

 

頑張りましょう。

 

 


機材環境は誰が買い揃えるのか

未来のアニメ映像制作を語る際、よく耳にするのは、「パソコンやタブレットは誰が買うのか」という話題です。

 

まあ、たしかに、パソコン一式、タブレット一式、そしてソフトウェアの維持費は、相当お金がかかります。

 

ぶっちゃけ、フリーランス作業者の今の金銭感覚=報酬の状況では、「制作会社がもつべき」と言いたくなる気持ちは判ります。

 

しかし、仮にA社が環境一式をフリーランス作業者の自宅に供給したとして、その作業環境は純粋にA社の作品作業だけに使用されるわけでは‥‥‥‥‥ないですよネ。正直な話。

 

A社、B社、C社の仕事を掛け持つ場合、まさかABC各社が折半でフリラーンス作業者の作業環境機材費を出費する‥‥なんてあり得る訳もないです。会社は3社以上に沢山存在するわけですから、現実としてあり得ません。

 

●ABCD各社が機材を折半

 

●各社がそれぞれ自社調達の機材をフリーランスの自宅に持ち込む

 

*両方とも、想像できない状況ですネ。

*各社が折半すると、A社の仕事が終了すると同時に、モニタだけが回収されて困りますわな。

*さらに、1社の中でも「制作班」ごとで「どの班が出費するか」揉めたりしてネ。

*つまり、上図のような、あり得ない状況を予測するだけ時間の無駄です。

*自宅作業のフリーランスが容易に成立したのは、紙と鉛筆だったから‥‥ということを、今一度、認識しましょう。

 

 

 

「事業主」の観点でいえば、事業に必要な環境設備は、事業主が調達するのが基本でしょう。

 

つまり、

 

会社に席を用意してもらって作業する場合は、その会社もち。

 

自分の自宅が作業部屋の場合は、自分もち。

 

‥‥と言えるでしょう。

 

「ふざけんな。パソコンやタブレット一式を自前で維持して定期的に更新できるほど、作画のギャラは高くねえだろ!」

 

‥‥というのは、確かにその通り。

 

フリーランス=個人事業主が環境設備を揃えて維持した上で、単価4000〜4500円のテレビシリーズ単価のまま「デジタル原画作業」などやってられないですよネ。

 

じゃあ、どうするのか。

 

単価を上げるしかないでしょ。

 

フリーランス自宅作業者に対するデジタル作画の単価は、作業環境機材を調達しないで済むぶん、上げて然るべしです。

 

‥‥だって、作業環境の維持費は紙と鉛筆より格段に高価なのですから。

 

ただし、紙作画の作品に対し、個人の都合でデジタル作画で作業する場合は、単価は上がらないでしょう。紙にむりやりタブレットをねじ込むと、運用に手間がかかりますから、無条件にデジタル作画が好遇されるとは限りません。

 

 

 

で、問題の核心は、未来の運用。

 

現在の、紙運用の作品が大多数の中で、デジタル作画の環境設備費を単価へと計上することは難しいです。

 

しかし、世界の映像技術進化に合わせてアニメ業界もレベルアップが必要になった際は、状況が180度反転して変わります。

 

デジタル作画のフリーランスや他社など「アウトソーシング」に対しては、ちゃんと環境設備費を考慮して、報酬の上乗せが必要です。アウトソーシングの場合、当該アニメ会社は何ら作業環境への出費をしていないのですから、上乗せは当然ですし、作業を請け負う側も要求して当然です。

 

 

 

今までのアニメ業界の標準設備は、買ったら一生物の机、紙、鉛筆、その他いくつかの筆記具で済んでいたがゆえに、アニメーターを安い単価で買い叩くこともできたのでしょう。環境設備に対して、アニメーター側も報酬に含ませて計上することが、実質できませんでした。

 

しかし、3DCGのレンダーファームほどではないにしろ、例えば、iMac、4K液タブ、iPad Pro、Adobe CCやClip Studioなどのサブスクリプションを、フリーランスアニメーターが負担するようになれば、今までの作画単価で作業を引き受けることは、絶対にありえませんよネ。そんなことをするアニメーターがいたら、よほどのお人好しか、無知かの、どちらかです。

 

そうなると、フリーランス作業者だけにとどまらず、アニメ制作会社の根本的な運用方針・生産体制が問われることになりましょう。

 

安い報酬設定で誤魔化し誤魔化し作ってきた会社は、立ち往かなくなります。

 

 

 

でも、それで良いんじゃないですか。

 

ほうぼうで、ブラックブラック言われ続けるアニメ業界の、自浄作用になるのなら、またとない転機です。

 

深夜テレビアニメは、QCがユルいのをいいことに、作画崩壊も御構い無し‥‥みたいな状況が恒常化するのなら、どこかで終わりにして、新しく再出発しないとさ。

 

アニメ業界人は、ブラックから抜け出したいのか、ブラックだから身を潜めてられるのか、どちらかハッキリしたほうが良いです。

 

 

 

デジタル作画を発端とした、ペンタブ作画・ペーパーレスのこれから先の未来展開は、アニメ業界を大きく揺さぶって個々を選別する、「ふるいがけ」の展開とも思える今日この頃。

 

「機材環境は誰が買い揃えるのか。」

 

事業を展開しようとする「主」が買い揃えることに、意見の相違はないでしょう。個人だろうと団体だろうと、事業主が環境を揃えるのが基本です。

 

その代わり、今までとは違う収益モデルを目指して実践し、ちゃんと維持費を作業報酬に計上するのです。もちろん、分配計算、割合を算出して‥‥です。

 

アニメ会社も、作業環境費をちゃんと考慮した、新たな報酬設定を問われる未来が、徐々に、そして確実に近づいている認識が必要です。

 

「抜け駆けする奴もいるのでは?」と思うでしょうが、コンピュータの「金食い悪魔のチカラをナメるな」です。紙時代のように抜け駆けできるほど、コンピュータ関連の維持費は甘くないですヨ。

 

制作費が全体にアップするということは、納品先でのQCもかなり厳しくなっていくことでしょう。高い金を払って、作画崩壊作品なんて、クライントが許容するわけないです。

 

「いい加減」に作品を「転がしてた」今までの感覚は、ペーパーレス時代においては、個人も会社も淘汰されていくことと思います。

 

 

 

「機材環境は誰が買い揃えるのか。」

 

ちょっと考えれば判るようなことを、延々と決められずに議論が進まないような状況が、まさに協会団体の弱さの本質です。お歴々が集まって、お互いの腹を探り合って、煮え切らない態度とリーダーシップの欠如に甘んじているのが、ひいてはアニメ業界の弱さそのものです。

 

まあ、CS6にとどまる理由も結局、「金」ですよね。

 

お金が沢山かかることを腹の中に隠して、もっともらしく口先の上辺で議論しようとするから、ちょっとした決断もままならないのです。

 

忖度会議を招集しても、何も決議できんすヨ。

 

戦後70年以上が経過して、アニメ産業そのものが「おじいちゃん」になって、そろそろ「引退」の感の強い、2019年現在。

 

本当に、戦後のアニメ業界から生まれ変わる「正念場」ですネ。

 

 


沖縄戦

今日、6月23日は沖縄戦終結の日です。東京大空襲(3月10日)や、オラドゥール村の虐殺(6月10日)と並んで、沖縄戦の凄惨な戦闘は、のちの世界を生きる日本人なら覚えておきたい「戦争を抑止する記憶」です。

 

本当にそんなことが事実として起こり得たのかと、耳を疑う出来事の連続です。

 

戦争に反対して平和な日々を1日でも多く欲するのなら、戦争の過去の歴史を遠ざけるのではなく、むしろ近づいて様々な視点から自分なりに研究することです。

 

人間は、ここまで残忍になれる‥‥という事実を、自分の日々の怒りや憎しみの中に見出して、自分自身をまず抑止することを学ぶのが、まさに身の丈の戦争反対の実践です。野放図に怒りや憎しみや敵対心をバラ撒くことが自由ではあるまい。ツイッターはそういった意味で、戦争の根元を見るようです。

 

 

 

兵器を「人殺しの道具」で片付けては、何の進歩も教訓も得られません。

 

武士の刀や鎧が示す通り、武器は機能美に溢れています。その機能とは、敵を打ち倒し、自分が勝つ‥‥という機能です。

 

戦国時代の騎馬を「かっこいい!」と思うのと、「F-15」「10式戦車」をかっこいい!と思うのは、実は根っこは同じです。でも近代兵器の方が残忍だと思われがちですけどネ。

 

戦国時代の合戦のエピソード、現代兵器のスペックなど、兵器や戦争を知れば知るほど、「かっこいい」だけでは終わらずに「実際に殺されるのは絶対に嫌だ」と思うようになります。

 

国宝館に飾ってある歴史的な名刀でも、その刀で実際に切りつけられて野原に倒れ、半死のままカラスにつつかれて、12時間以上さんざん悶え苦しんだのちに死ぬ‥‥なんて、誰だって嫌でしょ?

 

 

 

沖縄戦のエピソードは、実際に民間人の居住区が戦域となり、戦闘に巻き込まれた点で、本土の戦争状態(空襲)とは大きく性質が異なります。

 

日本本土決戦、アメリカからみれば、オリンピック作戦とコロネット作戦〜ダウンフォール作戦が実際に発動すれば、沖縄と同じく、民間人を膨大に巻き込んだ惨劇が日本各地で繰り広げられたことでしょう。一説によれば、アメリカはダウンフォール作戦で50万人の米兵戦死者を概算していたとか。

 

*少年兵と呼ぶにも、あまりにも若い、あどけない少年たちが召集され、その半数が戦死したと伝えられています。

 

 

私は子供の頃から「大和と武蔵」とか「戦艦武蔵のさいご」とか子供向けハードカバー本を読んでいたので、戦史について興味があり、今ではKindleで様々な時代の戦史を読んでいます。

 

ゆえに、命のやり取りなど微塵もない、美少女キャラを飾り立てるだけの兵器は、私はどうしても馴染めません。兵器の非情なまでの「機能美」は認識するものの、おもちゃのように弄ぼうとは思いません。

 

「戦艦武蔵のさいご」をアマゾンで探してみたら、私が子供時代に読んだのと全く同じ本が、今でも古本で売ってました。

 

*かなりエグい内容です。銃弾を受けて腹が裂けて、腸がとび出た同期の兵の描写とか、文章で読んだだけなのに、今でもイメージが思い浮かびます。

 

 

沖縄戦といえば、特攻も盛んに実施された戦いでした。

 

子犬を抱いた17歳の少年飛行兵も、沖縄戦で戦死しました。写真中央の犬を抱いた飛行兵は、実際に特攻によって、米海軍のDD-630「ブレイン」に突入したとのことです。DD-630は沈没こそ免れたものの、戦域を離れ後方に下がり終戦を迎えました。

 

 

 

子犬のかわいさと少年の飾り気のない表情が、かえって辛く切なく、心に沁みます。

 

 

 

最近読んだ記事で、「日本が第二次世界大戦で戦っていない国はどこか」という質問を大学生(女子大)に質問したところ、ギャグではなくマジメに「アメリカ」と答えた学生が十数人いたとか。

 

太平洋戦争を中学・高校で習わずして、大学って合格できるんですネ‥‥。まあ、特殊な例とは思いたいですが。

 

正解は「.▲瓮螢 ▲疋ぅ帖´5譽熟◆´ぅーストラリア」の中で、「▲疋ぅ帖廚任后ドイツは同盟国で、日本が負ける前に、降伏して負けましたので、戦いようがありません。

 

ひっかけとしては「ぅーストラリア」か、日本が無条件降伏する寸前で攻めてきた「5譽熟◆廚任△辰董◆岫.▲瓮螢」と答えた女子大生は、まさに戦後も戦後、日本と仲の良いアメリカだけを知っている世代なんでしょうネ。

 

信じられない‥‥というよりも、これが「これから来る令和の時代」だと記事でも書かれていましたが、正直、私も驚きました。

 

さらに、学生は「どっちが勝ったんですか?」と挙手して質問したとか。

 

 

 

戦争の歴史を遠ざけても、戦争抑止には繋がりません。逆に無知になって、戦争をその場の雰囲気で安易に肯定しちゃうんじゃないですかね。

 

アメリカと日本が戦ったことすら知らない世代が、どうやって、戦争の悲惨さを認識するのか。

 

あちゃ−‥‥‥と言う感じで、少々考えが混濁しております。ホントに知らんのかな‥‥、日米戦争と無条件降伏を。

 

 

 

アニメが作れるのは、何だかんだ言っても、平和な世の中だからです。

 

しかし‥‥。

 

もしかしたら、戦争の悲惨な記憶が薄れて、無かったことになった時、戦争は再び起きるのかも知れませんネ。

 

 

 

 



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