After Effects 2019 ‥‥。

一年毎で更新される、最近のadobeアプリケーション群。

 

After Effectsの2019はリリース当初からどうしようもない不具合があり、初回リリースのまま放置していると様々なトラブルの発生源になります。最近、複数台でレンダリングして、一部のマシンがCC2019の初期バージョンだったので、再認識しました。

 

After Effectsの2019は、現在の最新バージョンに更新しないと危なくて使えません。

 

かと言って、最新の2019=2019年7月4日現在 v16.1.2がまともかというと、信じられないようなバグ(だろうな、多分)も残されております。

 

キャッシュの不更新は昔から相変わらずですが、最近驚いたのは、レンダーキューのウィンドウ不更新でした。

 

1カットごとに1プロジェクトファイルで保存し(レンダーキューも登録しておく)、後で数カットまとめて新規プロジェクトに読み込んでレンダリングする際に、一番最初のレンダー項目しか表示が更新されない‥‥という、After Effects歴20年以上で初めての不具合をCC2019で体験しました。

 

結構パニくります。いつまで経っても、まだ1カット目をレンダリングしているように見えるので。

 

もう少し詳しく説明しますと‥‥

 

レンダーキューのプログレスバーは普通に進行していくのですが、「現在レンダリング中」の表示が1番目の項目のまま表示が不更新、レンダキューのリストも2番目以降はレンダリング待機中のまま不更新‥‥という状態です。

 

実際は、レンダリングは順次実行されており、レンダーキューウィンドウ内の表示だけが不整合を起こしているだけです。

 

‥‥が、これはかなり混乱します。1番目(1カット目)のレンダリングがすごく時間がかかっているように見えるからです。

 

その時の私の場合、ちょうど重い内容のレンダリングを仕掛けていたので、余計、異常に気づくのが遅れました。

 

2019がリリースされて半年が経とうとしているのに、まだこんな不具合が残っているなんて、ドギモを抜かれました。‥‥この不具合って話題になってないのかな‥‥AEユーザの中で。

 

再現性がある‥‥と思われるので、後でもう一回、不具合検証のために試してみようとは思っていますが、このままだと2019はまともな動作になる前に2020に更新されそうな予感。

 

 

 

でもまあね。After Effectsはなんだかんだと融通の利くソフトウェアですから、「問題のあるバージョンはスルーすれば良い」だけです。それがCCの利点??‥‥ですネ。

 

もしバージョンアップ料金を払って、After Effects CC2019のこの出来だったら大問題ですけど、サブスクリプションだと簡単に回避できるので気にならない‥‥って、そういうスタンスも「ユーザ側の品質に対する鈍化」っぽくて問題ですかね‥‥。

 

 


サイドカーに乗れなかった。

新しいmacOSとiPadOSの目玉、「サイドカー」を使うべく、いち早くパブリックベータを、MacBook ProとiPad miniにインストールしたところ、

 

MacBook Pro 2014は、対象外

 

‥‥ということが発覚し、サイドカーには乗り損ねました。

 

くきき‥‥。

 

まあ、2014年といったら、もう5年前ですもんネ。

 

‥‥ふと、家のiMac 5Kも初代ゆえに2014年で、対象外だとわかりました。

 

うひー。

 

 

 

そうか。ついにその日が来たか。

 

まあ、しょうがない。昔は2〜3年サイクルでしたから、5年もよくぞ頑張ってくれました。

 

とは言え、秋には小更新があるやも知れませんから、今すぐに買うのはヤメときます。iMac 5Kを買うにしても、もうちょっと先にしておきます。

 

iMac 5K Late 2014は今でも自宅で使うぶんには全く不足を感じないので、サイドカーのためだけに今買うのは慌て過ぎ。

 

とりあえず、最新のiMac 5Kをi9にBTOするなど盛ってみたら、38万円でした。(メモリは別買で、後で自分で増設するのを想定)

 

 

 

これは中々なもんですネ。簡単にホイホイ買えるもんじゃないです。個人とはいえ、事業計画をちゃんと立てないと。

 

MacBookのほうは、しばらく買うのを止めようと思います。仕事でモントリオールに行った時に活躍しただけで、他は何も役にたってなかった(=私の仕事柄で)ので、買えば20万を超えるMacBook Proはとりあえず買い換えずに使い続けます。

 

 

 

しかし、そうなると、ただ単にむやみにフライング状態となってしまったカタリナとiPadOS13のやり場に困ります。

 

なので、AstroPadをインストールしてみました。

 

 

 

そうか。AstroPadの立場はどうなるかと危惧していましたが、

 

旧機種救済枠

 

‥‥だったのですネ。昔のMacを使い続けたい場合は、AstroPadの選択肢がまだある‥‥ということです。

 

 

 

秋になれば、普通に正式版のmacOSとiPadOSも出ますし、仕事場の環境は正式版を待って、状況に応じてサイドカーとAstroPadを使い分ける方針が良いかなと思います。

 

WiFi経由というのは、実はちょっと書き心地に不安があって、それも試したかったのですが、まあ、しかたない。

 

秋まで待つ。

 

 

 

都合、最新のiPadOS13となったiPad miniは、そのまま使い心地を試します。秋までそのままで。

 

iPadは、miniでもProでも気軽に絵を描けるのが楽しいです。

 

ZENブラシでテキトーな絵をファミレスで描くのが、セルフカウンセリングのようになっている今日この頃。サイゼリアのBGMで「ラララ、ライライライライ、」みたいな歌が流れてますが、どんな人が歌っているのか、意識をできるだけしないで(仕事とか人の目とかヌキで)iPad miniとApple Pencilで描いたりします。

 

いーかげんな想像で、いーかげんな筆致で。

 

 

こういうテキトーな絵を山ほど描いても、紙を無駄にしないiPadはいいね。

 

また、以前に紙で描いた絵をスキャンし、iPadで書き加える(書き換える)こともできます。

 

以下は20年くらい前(90年代後半くらい)に鉛筆で描いた何かのアイデアスケッチを、最近iPad Proで書き加えたものです。部分的に消しながらProcreateのペンで描きなおしていきました。

 

*かすかに20年前の鉛筆線が残る絵。昔の自分の絵をスキャンしてiPadで描き直してみるのも、なんだかしみじみと感慨深いです。

 

 

こういうのを「スケベコスチューム」と私は呼んでますが、「SFっぽく見せて、実は女体が描きたい」という作画意識自体が、何だか懐かしい今日この頃です。若い頃は、何かとねえ‥‥。

 

現在だと「乳袋」が相当しますかネ。‥‥やっぱり、実は何が描きたいのか、SFや学園っぽく蓑を被っても、同業者からすれば丸わかりなわけで。‥‥意識は絵に表れるものです。でも、いいんじゃないすかね。好きなものを好きと思って、描きたいと嘘をつかずに描くのは。

 

ちなみに「新筆」とか描いているのは、ペンのプリセット名です。良いペンプリセットができたら、それだけで絵を描きたくなりますネ。

 

仕事だ趣味だと、多くの人は絵を描くのですが、なんだかんだ言っても、絵を描くのが楽しい!‥‥と本人が正直に思える根元がないと、辛くなってきます。

 

私は小学生の頃から絵を描いているので、40年以上になるわけですが、やっぱり絵を描くのは楽しいものです。寿命だけが足りないです。

 

iPadは絵描きにとって、楽しいものなのです。

 

 

 


スコア

手元にいつも置いておきたくて、ショスタコーヴィチのスコアを買い増しました。7番、8番、10番の3冊。

 

アマゾンでも買える、日本の出版社「全音」のミニチュアスコアです。

 

*スコアとしては安価な部類の、2000円以下で買える「ミニチュア」スコアシリーズです。

*七番は、第一楽章を抜粋して、いつか映像化したいと昔から想い続けています。

 

 

既に所有してますが、印刷本は持ち歩く手間が面倒なので、同じ本を買い増して作業部屋に常備しました。

 

久々にミニチュアスコアを読みましたが‥‥‥‥

 

老眼にはキツい!

 

‥‥です。メガネなしでは絶対に読めん。

 

私も歳をとったものです‥‥。

 

 

 

全音さんって、Kindleには進出しないのかな。

 

スコアこそ電子出版に向いていると思います。いざとなれば、32インチで広々表示できますし。電子出版の閲覧用途なら、sRGB/Rec.709の安価なモニタで十分ですしネ。

 

Doverの電話帳のような輸入スコアも、紙面が大きいのは良いけれど、重くて取り回しが大変です。Kindleにしてほしいです‥‥って、ありましたワ

 

*私が20代の頃から愛読している「トリスタン」のDover社のスコアが、ちょっとお高いけど、Kindleで出てました。残念ながらスコアまで「なか見!検索」できなかったので、どんな状態かはわかりません。

 

 

トリスタンのスコアはちょっと高めだったので、色々と物色して、試しにラモーの鍵盤全曲集を買ってみました。私は、バッハはもちろん大好き(というか、基本中の基本ですよネ)ですが、ラモーも好きなのです。

 

珍しいところでは、ファニー・メンデルスゾーン(フェリックスのお姉さん)のピアノ曲集もありました。

 

色々物色してわかったことは、

 

基本は紙のスキャンで、コンピュータのミュージックフォントで綺麗に清書したものではない

スコアの状態がやけに小さい場合があり、読みにくいのも多数

 

‥‥なので、必ず、中身を確認してから買いましょう。まだまだKindle版のスコアは改善の余地があるように感じました。

 

 

 

ちなみに、パブリックドメインの楽曲は、楽譜を無償で公開しているサイトも海外にあります。

 

交響楽団のサイトだったり、専門のサイトだったり、色々ですが、楽譜の状態は必ずしもベストとは言えないですし、バロック時代の記譜法は現在の標準的なスコアとは異なることも多いので(鍵盤楽曲でも音部記号がヘ音とト音のコンビネーションとは限らない)、現代基準で読みやすく清書した原版を、さらに綺麗にスキャンしたスコアは有償でもやむなしです。

 

ただ前述の通り、Kindleの有償版でも、読み難いのも多数混ざっていますので、パブリックドメイン楽譜サイトで作曲家で検索してみるのも良いです。

 

 

 

ともあれ。

 

現在はApple Musicで原曲を検索し音を聴きながら、スコアを見る‥‥ということがいとも簡単にできちゃう時代なんすネ。

 

凄いわ、現在は。

 

 

 

でも、読み込んでボロくなった、長年連れ添った書籍は、愛着もひとしおです。

 

アニメーターで超弩級貧乏になって、光を見失いそうになった時、整然と記譜されたスコアから生まれ出る音楽が、私を勇気づけてくれたのを思い出します。

 

甘ったるい砂糖菓子のような「癒し」なんて必要ないです。もう一度、立ち上がる勇気を与えてくれる音楽こそ、20代の私には必要だったと思い起こします。

 

音楽って、不思議な言語ですよネ。言葉のない音だけで、その作曲家が感じていた意識が、国と時間を超えて、現代に伝わるんですもんネ。

 


カタリナ

カタリナをインストールしてみました。macOSの新しいバージョンです。まだPublicベータなので、使用の際のリスクは自己判断です。

 

MacBook Proの15インチ、mid 2014なので、やや古いマシンですが、インストールも完了、動作も普通です。特に遅く感じることはないです。

 

如何様にでも使えるiPad mini(Apple Pencilの使える)もあるので、iPadOSも近々インストールして、サイドカーを試してみようと考えています。iPadが画業の道具である私にとって、一番気になるソリューションです。

 

 

 

まだ使い込んでないので、レビューめいたことは書けません。

 

ただ、いよいよ32bit版のAppが起動しなくなったのは、すぐに確認できました。モハヴェの時のような「警告」ではなく、「中止」のウィンドウが出て、起動は無理っぽいです。

 

 

4K HDRがごく普通に家のテレビで見れるようになる時代に合わせて、コンピュータの世界も拡張していくのですネ。

 

Adobeも次のバージョンから本格的に32bitのWindowsOSを切り捨てにかかるようですし、新天地への最終便は、刻々と近づいているのを感じます。

 

私もパブリックベータを試すのは久しぶりですが、今年に関しては「時代の変動」の足音が大きくなってきた気配ゆえ、試しておかないとダメなような気がして、試験的に自分のMacBookで試しています。さすがに仕事ではリスキーなので使えないですが。

 

 

 

macOS CatalinaとiPad OSで、どのような制作環境が可能か、ひと足先に、覗いてみます。

 

 


今年もあと半分。

今年もあと半分となりました。

 

今年前半は特にしんどかった。。。色々なことに追われて、セルフネグレクトに陥りそうな自分を抑制するので精一杯だったような気もします。

 

セルフネグレクトはわかりやすいサインですよネ。なので、自己検証は可能であり、自分自身で回避可能です。自分の机に、数日前のコーヒーの空き缶が置きっぱなしになっていれば、いかにも解りやすいサインですもんネ。

 

 

 

人の感情など「さじ加減」で「いい加減」で、ダメだと思う時は悪いことばかりをチョイスしてダメな理由で武装しちゃうし、良い時はなんでもポジティブな気分になって全てのドアが開放状態になります。

 

でも、実はそうした「躁鬱」の状態に身を任せるのは、どっちも宜しくないのですよネ。全閉も全開も実は危険状態です。プラスであれマイナスであれ、極端な挙動はそのあとに大きな反動が出るので、加速時も減速時も旋回時も、冷静な状況判断とハンドルさばきが必要なのだと思います。

 

 

 

日本のカットアウトは夜明け前で、日本には太陽はまだ昇らないのか‥‥と、悲観的な気分にもなりますが、冷静に状況を判断し試算すれば、必ず太陽は東から姿を現すことは解りきっています。地道に、イキらずに、クールに淡々と実践しつつ、水平線が明るくなるのを待てば良いです。いくら焦っても、日の出の時刻は決まっているのでしょうしネ。

 

欧米の「8:2の割合」は、やがて日本にも訪れるであろうことは、ひしひしと実感する毎日なのですから、状況が整った時にすぐに展開できるように今は準備を着々と進めましょう。

 

Toon BoomのHarmony Premiumは高いソフトですが、使いこなせばF-15E戦闘爆撃機級に、ドッグファイトで良し、対地攻撃で良しで、「未来の戦場の様相」が見えてきます。どんどん中身を知れば知るほど、未来のアイデアを「統合的」に思い浮かべることができます。

 

Harmony Premiumを「マルチロールファイター」として考えれば、高くて当然とも言えます。高ければ高いなりに、今までの常識では考えられなかった戦果をどんどん積み上げれば良いのです。

 

 

 

 

満ち潮もあれば、引き潮もあります。昼もあれば、夜もあります。‥‥それを考えれば、昼間の太陽だけでなく、夜の月をイメージすることも、大切なんでしょうネ。

 

コンピュータも考えてみれば、地球の物質から生み出されたのです。アナログとかデジタルとか言って分け隔てせずに、全て地球から生み出されたものと考えれば、アナログ信者にもデジタル信者にもならず、ニュートラルな思考が可能でしょう。

 

 

 

今年残り半分、オーバーヒートもオーバークールもしないよう、アクセルを最適に踏み込んで、まずは7月8月を乗り切ります。

 

 


雑感

昔のフィルム時代の話とか、紙で一枚ずつ描いて動かすのは凄いとか、思い出話や賞賛はそれとして、我々は商業でアニメを作っている立場の人間ですから、その「凄い」ものを今後「いくらで作る」つもりなのか、ただ「懐かしい」「凄い」と口走るだけでなく、お金のことも同時に考えましょう。

 

紙時代における上手いアニメーターの仕事が凄いのは解ってます。何度も繰りかえさなくても、今のようにネットで色々紹介されてれば、十分認識されてます。

 

じゃあ、その凄い仕事を、未来、いくらで受発注するの?

 

恐ろしく細かい絵柄を、ニュアンスたっぷりに、何千何万枚も絵を描いて動かす、その1枚の値段は、未来、いくらに価格設定するのか。

 

もうそろそろ、「当人たち」が、そういう話に移行し始めても良いんじゃないの?

 

アニメはブラックとか言いがちですが、アニメ制作に関わる作業者、特に原画や作監や演出は、ブラックから抜け出したいのか、ブラックに身を潜めたいのか、ハッキリと自分の意識と立場を決めるべきです。

 

 

 

今のままの紙由来の技術では、「未来は無理」だと思います。最近、特に実感があります。

 

思うに、描かれている内容に見合う作業料金を支払うと、テレビ1話分で5〜6千万くらいは必要になります。動画工程の予算だけで1000万は軽く超えるでしょう。原画動画作監動検を全て「まともな金額」にすると、作画周りだけで1話で3千万近くになると思いますよ。2Kのテレビシリーズでもネ。

 

でも、そんなの無理ですよね。テレビ1話分で5〜6千万もお金が出せる日本の会社やテレビ局は存在するでしょうか。ゆえに、お歴々が集まる業界団体会議では、お金のリアルな話に触れずに、忖度会議に終始するのでしょう。そして、何も決められず、双方の出方ばかり伺って時間を無為に消費するのです。

 

原画動画という技術は、技術そのものは高度に発展したものの、産業としてはもう限界です。お金の面で純粋に、時代遅れです。お金を湯水のように使って、時間も湯水のように使えるのなら、話は別ですが。

 

旧来の作画技術に頼っている人々は、電卓なんて見るのも嫌でしょうが、未来の社会の中で自分たちがどんなことになるのか、電卓を弾くだけで見えてきますよ。

 

 

 

ゆえに、アニメ業界全体が未来を生き残れるとは、私は思っていません。

 

新しい技術に乗り移れなくて、置いていかれて立ち行かなくて終末を迎える会社や個人は、必ずでてくるでしょう。まるでサイゴンの落日の、脱出のチャーター機に乗れなかった旧政府の人々のように。

 

でもそれはしょうがない。

 

新しい時代へと思考を転換すべき時に昔話に花を咲かせ、行動すべき時に意固地になって石のように動かないのですから。

*当人が嫌がるのを、無理強いして、「未来を意識して進みましょう」なんてできませんしネ。進むのも留まるのも本人の自由です。

 

 

 

今の作りかたのままで、各作業者の報酬を「まとも」に設定して、電卓で計算してみてください。

 

絶望的な数字が出ます。

 

少なくともテレビ枠は制作費が高騰しすぎて死滅するでしょう。

 

今の作りかたのままでは、作業者が絶望するか、市場が絶望するか、未来は2択です。

 

昔の夢ばかりに逃避しないで、今までの作りかたを変えることを考えましょう。

 

 

 

幻が消え去り、現実のビジョンが見えれば、いよいよ覚悟はできるんじゃないの?

 

紙にこだわり続けても、どんどん未来が遠くなるばかりです。

 

「いざ!」という時に、紙しか使えないようでは、その「いざ!」という時を逃します。

 

アニメーターであれば、自分の未来は、「自分がどれだけ上手く絵を描けるか」にかかっていますが、自分「たち」の未来は、「自分たちがどれだけ上手くコンピュータを使いこなせるか」にかかっています。

 

上手く絵を描き、上手くコンピュータを使う。‥‥ペンタブですよネ、有り体に言えば。

 

ペンタブを手に、「未来」を「あるべき現実」へと変えていきましょう。

 

 


ペンに妥協せず

ペンタブに持ち替えて作画をするのなら、ペン(ブラシ)の設定は徹底的にやりましょう。めんどくさがって安易に妥協してはなりません。

 

おそらく、「ペンタブなんて使い物にならない」という人の多くは、まともにペンのプリセットを完了していないのではないでしょうか。もし現実世界で、妙に感触の不安定なペンや鉛筆〜例えば、いきなり濃く描けたかと思えば、線が途切れたり、薄墨のようにグレーになったり‥‥では、いくら生の鉛筆やペンでも「使い物にならない」でしょう。

 

コンピュータのドロー(絵描き)ソフトウェアには様々な設定項目があり、製品出荷時のプリセットがそのまま全部、自分にピッタリなんてあり得ません。何らかの調整が必要です。

 

ぶっちゃけ、自分に合うペンの設定に1日費やしても良いくらいです。それほど、ペンの設定は重要です。

 

描けないペンで絵を描く‥‥なんて、笑い話みたいなものです。描けるペンで絵を描くのが、当然の成り行きです。

 

私のToon Boom Harmonyの事始めは、ペンの設定を、使い慣れたProcreateの自分のプリセットに似せるところから始まりました。線一本、自由にコントロールできないようでは、どんなに高機能でも「持ち腐れ」です。

 

自分の筆圧にピッタリとフィットしたペンのプリセットを作れたところで、ようやく、スタートです。テクスチャ付きのベクタートレスは実に素晴らしく、描線の線質から作品のアイデアさえ生まれそうです。

 

クリスタも全く同じで、ペンの設定を自分の体や作品の作風に合わせてこそ、自由な描線を思う存分描くことができます。

 

 

 

エレキギターみたいなもの‥‥ですネ。

 

通販で買って届いたギターが、そのまま自分に最適な状態であるわけもなく、「要調整」でしょう。

 

私はエクストラライトゲージを愛用しており、出荷時に張られた010や009は硬く感じるので、すぐに008に張り替えます。全てのフレットで十分なサスティンが得られ、かつ弦高は低めで指板に触れるだけで音が出るのが良いので、ブリッジは下げたいです。センターピックアップは、フロントとセンターのハーフトーンは欲しいものの、ピッキングの邪魔になるので、やや下げ気味にします。用途(音楽のジャンル)に応じて、フロントとセンターのピックアップの高さは変えます。

 

もちろん、オクターブピッチは新品の弦で調整します。Fender系トレモロアーム(シンクロナイズド)やロックアームの場合、弦の太さでブリッジが引っ張られる力も変わりますから、スプリングのテンションに応じて、バネの本数や差し込む穴の位置やフックの位置(スクリューのねじ込み加減)を変えます。さらには、故意にスプリングを弱くして5本全部付けて、共鳴の条件を増やす‥‥なんていうチューンもありますネ。(私はだいたい3本のままです)

 

弦もエクストラライトゲージのセット(008〜038)ではなく、008からスタートし042で終わる(弦ごとにバラ弦で大人買いし、1〜6弦の太さを自由に組み合わせる)のが私の好みです。まあ、今は本業が忙しく面倒なので、セットを買いがちですが。

 

 

*ギター調整の話は、書きだすと止まらないスね。‥‥それだけ、調整箇所が多いということです。調整次第で、演奏性も音色も大きく上下するので、とても重要なのです。

 

 

「演奏する道具の主役」のギターを、一切無調整で使う‥‥‥‥なんて、ある程度の経験と知識があれば、ほぼないですよネ。

 

同じく、「絵を描く道具の主役」のペンタブとドローソフトを、一切無調整のままで使って、思い通りの「プレイアビリティ」なんて得られるわけないです。

 

「でも、ペンの設定って、わけがわからない項目が多いじゃん」

 

たしかに、ペンのプリセット項目は高機能なソフトになればなるほど増えるんですが、それは「マニュアルを調べれば解る」ことなので、面倒くさがらずに1つずつ「設定項目のナゾ」を潰していきましょう。

 

 

 

ギターの音色がそうであるように、ペンにも様々な表情があります。20年近く、アニメ業界は二値化トレスの均一な描線に支配された感がありますが、もともと描線は様々な表情をもちます。

 

ゆえに、自分好みの設定‥‥と言っても、実際、「自分の描線とはいかなるものか」を自覚できていなければ、自分好みの設定がそもそも不可能でしょう。

 

自分の描線を拡大して分析したことはありますか?

 

400〜600dpiでスキャンした自分の鉛筆線を、iMac 5Kなどの4K以上のモニタでまじまじと眺めれば、自分では自覚していなかった「自分の線」を改めて認識できます。自分が描いた線の「本当の姿」を高密度ディスプレイで見ると、おそらく、多くの人が「我ながら感動」するでしょう。

 

こんなに「繊細」だったのか‥‥と。

 

ですから、ペンの設定を、自分の線、さらには「作品の作風を体現する」線にチューンするのは、実は様々な経験と知識が必要です。

 

しかし、経験と知識なんて、得ようと思って一度に手に入るわけがないです。

 

むしろ、試行錯誤して、進化の段階ごとに表れる「描線の変化」を楽しむくらいの余裕で良いと思っています。それが「時代の味」ともなるのです。

 

 

 

コンピュータのプリセットに自分が合わせるのではなく、コンピュータのプリセットを自分に合わせましょう。道具を自分流にカスタムして愛でるのは、どんなシチュエーションでも同じ。‥‥ですネ。

 

 


AstroPadを快適に使うために

AstroPadはレイテンシーを「見かけ上」感じさせない工夫がウリの、「iPadをペンタブに変える」嬉しいAppです。

 

https://astropad.com

 

しかし、インストールしたままでいきなり使い始めても、使いにくく感じることもあります。以下の点をチェックしてみましょう。

 

●USBで繋いでいるか。

 

ごく普通に考えて、WiFiのレイテンシーはかなり大きいことが予想されます。いくらAstroPadが「レイテンシーを感じさせない工夫」を有していても、WiFiではレイテンシー=時間差による不整合がいくらでも発生するでしょう。

 

以前、WiFiとUSBの両接続を試してみましたが、WiFiは最高品質の画像ではかなり画像の書き換え動作に問題がありました。絵を描く際に、画像の表示が汚いのは避けたいので、以来、USBの接続で作業しています。

 

 

●AstroPadの筆圧設定は、自分に合っているか。

 

AstroPadは、Wacomのソレと同じく、筆圧設定が可能です。

 

筆圧が自分に適合していないと、それだけで「反応が遅く」感じます。私は軽い筆圧でスラスラ描ける動作が好みなので、AstroPadの設定では軽め(反応が敏感)に設定します。

 

自分に合った筆圧、かつ、やや軽めで敏感にしておくと、Photoshop CCなどの動作が重めのレタッチソフトでも、ブラシでスイスイ絵が描けるように体感します。

 

 

●ソフトウェア側の筆圧関連は、適切か。

 

クリスタやHarmonyのように、かなり細かいペン(ブラシ)の設定が可能なソフトウェアの場合、AstroPad側だけでなく、ドローソフト側でも筆圧に関する設定を最適化します。

 

AstroPadと同時にドローソフトを新規導入した場合、AstroPadだけの設定でなく、ドローソフトの設定も自分に合わせて作り込みましょう。AstroPadが使いにくさの原因だと思っていたものの、実は見当はずれで、ソフトウェア側の設定不備だった‥‥なんていうオチも往々にして存在します。

 

ドローソフトのペン(ブラシ)プリセットを自分好みに設定できれば、AstroPadの操作感も向上します。

 

 

●macOS側のCPUやメモリ使用状況に、十分に空きがあるか。

 

CPUがビジー状態で、メモリも空きがなければ、AstroPadの有無に限らず、ドローソフトの動作は鈍くなりがちです。

 

CPUの使用状況やメモリの空きがいつでも確認できるように、macOSのメニューバーをカスタムしましょう。

 

 

上図はグラフでCPUの使用状況、数字でメモリの使用状況を確認できるPreferencePanes〜常駐のソフトウェアです。

 

macOS標準装備の「アクティビティモニタ」でも、メモリやCPUの使用率が確認できますので、動作がトロいと思ったら、Macの状態も確認して総合判断します。

 

*上図の状態は、CPUを全然使ってない状態です。忙しくなると、このメーターがにぎやかになります。

 

 

 

‥‥と、どれも基本的な事ばかりですが、意外に見落としがちな要素でもあります。

 

特に、AstroPadの筆圧設定が未設定ですと、かなり描きにくく感じます。筆圧の齟齬が、反応の遅さとして感じられることもあります。

 

ちゃんと設定しておけば、Photoshop CCでも普通に絵が描けるほど、軽快に動作してくれます。

 

Wacomの4Kタブレットを導入できる資金や機運を待つ間に、AstroPadでどんどん絵を描いて、どんどんペンタブとコンピュータの運用に慣れて、「未来技術への移行」を円滑に進める準備をしておきましょう。

 

 


AstroPadの筆圧設定

筆圧。

 

書き味に直結する、極めて重要な設定項目です。

 

macOSとiOS、システム環境設定とソフトウェア環境設定‥‥と、いろいろな「筆圧を制御する」管轄が存在するので、今まで経験を積んだ人でも、戸惑いがちです。

 

状況によっては、「二重筆圧」になって筆圧が今までのようにコントロールできず、混乱することもあります。

 

■AstroPadの筆圧設定

 

■クリスタ(macOS版)のペン(ブラシ)プリセットごとの設定

AstroPadとクリスタの両方を自分の筆圧感度に合わせてしまうと、筆圧が「2倍」になってしまいます。上図の例だと、AstroPadとクリスタで二重で感度を強くしているので、実際に描く際に感度が敏感すぎて「筆圧が効かない」ように錯覚することがあります。

 

 

例えば、Clip Studio、クリスタ。

 

クリスタは、ペンのプリセットごとに筆圧を設定できる秀逸な機能をもちますが、ペンタブの筆圧をメインと考えて最初に設定し、クリスタの筆圧は二番目の補助設定として扱うのが定番です。

 

*クリスタでは、ペンの「個性」として筆圧カーブを変更します。根本的な感度を調整するのはあくまでペンタブ側のドライバ(やApp)で、クリスタではペン(ブラシ)固有の感度を調整するものとして扱います。

 

ペンタブそのものの筆圧設定は、クリスタだけでなく、他のソフトウェア共通の筆圧設定となりますから、「筆圧設定の順序」を明確に定めて設定すれば、ソフトウェアごとに自分に適した使いやすいペンのプリセットをいくつも作ることができます。

 

逆に、クリスタの筆圧設定を先に設定して、後からペンタブの筆圧を設定すると、クリスタ以外の他のお絵かきソフトの筆圧が、クリスタに引き摺られて、筆圧の基準が定まりにくい状況を招きます。

 

AstroPadを使う場合、Wacomのペンタブ設定(システム環境設定)と同じ内容を、AstroPad側で「まず最初に」設定する必要があります。

 

●試し描きをしながら、まず基本となる筆圧をAstroPadで設定。

 

 

*iOSのAstroPadで筆圧の基本動作を設定します。

 

 

AstroPadはWacomのドライバと違って、macOS管轄ではなく、iOSの環境設定でもなく、AstroPad独自の環境設定で筆圧の設定をおこないます。

 

AstroPadをインストールしていきなり描き始めるのではなく、まず最初にAstroPadで自分の筆圧に合わせた設定をした後で、各ソフトウェアの筆圧に関する設定項目を調整していきます。

 

Harmonyですと、フローと不透明度の筆圧レンジを適宜変更して、ペンやブラシごとに「筆圧に対する個性」を設定可能です。もちろんクリスタやPhotoshopでも(設定項目の呼び名に多少の差はあれ)同じことが可能です。

 

*筆圧で線の太さ細さはコントロールしたいけれど、不透明度への影響は90〜100%の狭い範囲にしたい‥‥など、ユーザや作品に合わせて、自由に設定できます。個人の筆圧を反映するというよりは、ペン個体の個性を、ペンのプリセットではコントロールします。

 

 

まあ、クリスタに関して言えば、AstroPad経由でmacOS版のクリスタを使うよりも、iOS版のクリスタを使った方が、格段に快適です。描画速度もモーションプレビューもペンの反応速度も速いので、iPadでクリスタを使うならiOS版が最適解です。

 

何らかの理由で、AstroPadを使うのなら、筆圧設定で何度も試し書きして、自分に合った筆圧を確定したのち、各ソフトのプリセットに進めば良いです。有線(USB)で繋いで、自分の手に馴染む筆圧設定を完了すれば、仕事に使えるくらいには調整できます。

 

4K32インチの液タブ!‥‥といきたいところですが、まあ、お値段がお値段ですので、今はiPad Proで経験を積んで備えます。

 

 


アニメのTA

欧米の事例を見聞きしたり、実際に欧米とやり取りするうちに、テクニカルアーティスト〜TAという言葉の意味がだんだんわかってきました。

 

TAの人はもともと「アーティスト」と呼ぶにふさわしい技量をもった人で、その人が技術的なレクチャーや橋渡しをするんですね。日本の「TAの定義」はよくわからなかったけど、「欧米のTA」はたしかに「アーティスト」と呼んで然るべき存在だと最近感じました。

 

そう考えると、未来のアニメ業界にはTAはとても必要な存在です。絵も描けて、動きも描けて、作監やデザインもできて、ソフトウェアやハードウェアの知識も豊富で、「描きたいこと・実現したいことをコンピュータの使い方や運用計画へと橋渡しできる」人は、これからの現場には必要です。

 

作画の経験と技量を持つTAだからこそ、現場の作画スタッフも信頼するのです。作画現場のTAの絵がヘタだったら、作画の人間が言うことを聞くわけもなく、軽くスルーされるだけです。

 

アニメの作画現場の場合、とにかく作画できることが、「作画のTA」の必要最低条件となるでしょうから、まずは旧来の原動画の作業でみっちり作画技術を習得する必要がありましょう。

 

その際、最初からペンタブ作画でキャリアを積めば、自然とソフトウェアの使い方を覚えて、より踏み込んだ理解へと進めます。ソフトウェアを単に使うだけでなく、ソフトウェアの内部構造、OSの仕組み、ネットワークの仕組み、スクリプトの習得など、アニメ制作現場のTAに必要な要素を獲得する際に、ペンタブ作画での経験は基礎となりましょう。

 

 

 

私はTAを名乗ったことはないですが(そもそもTAという言葉の中身を知ったのは最近なので)、振り返ればTA的なことを随分してきました。

 

では、これから先、TAやTDを名乗れば良いかというと、私の今の年齢と立ち位置から考えて、私のこれからすべきことはちょっと違うように思っていますので、肩書きは‥‥まあ、また何か考えます。

 

私は今後、作品の中核部分に関与し、「作品が生まれ出る構造そのもの」に関わっていくことになるでしょう。従来の技術基盤では収まらず、ワークフローのテンプレートもない、混沌とした状態から何を作りだしていくか‥‥という取り組みにおいて、決まった肩書きをあらかじめ用意することが無理だとも思っています。

 

 

 

混沌とした状態からこねて固めて何かが生まれた時、さらにそれを具体的な形へと洗練させる際に、アニメ制作現場のTAたちの出番となるでしょう。俺がTA、私がTAという先取の話ではなく、アニメ制作現場には専門に応じた何人ものTAが必要になっていくと思います。

 

まあ、そのためにも、紙で停滞している現状から抜け出し、ごく普通にペンタブで誰もが作画する状況へと移行しなければなりません。カットアウトの知識も必須となるでしょう。

 

日本におけるアニメの仕事を「まともな仕事」にするためには、コンピュータをとことん使いこなす必要があります。産業としての技術革新がどうしても必要です。アニメ現場のTAもその革新要素の1つです。「各種技術に長けたアーティスト」をちゃんと名乗れる技量のスタッフは、「今まで存在しなくても、未来には必要」です。

 

 

 

今、国営放送でアニメ現場の朝ドラがやっていますが、何だか「昔のアニメに別れを告げる」ような象徴的で運命的なものを私は感じます。

 

思い起こして懐かしんで、手を振って見送って、さよならを告げる。

 

‥‥ちょうど良い、ピリオドです。

 

2019年にアニメ制作を扱った国民的連続ドラマが放映されていることは、私は「時代の必然」だとも思ってます(‥‥まあ、番組の意図とはズレた認識とは思いますが)。

 

懐かしい時代にサヨナラをするのです。懐かしい時代は、安くこき使われた時代でもあるのですから。

 

懐かしい時代の制作システムを継承する以上、懐かしくも酷く辛い境遇からは抜け出せないでしょう。

 

「昔は良かったなあ‥‥」をしみじみ実感した後は、心を新たにして、未来のフィールドへ進む覚悟もできますよネ。(今以上に昔に閉じこもる人もいるかも知れませんけど)

 

 

 

未来、作業の価値が大きく変わるのは、動画作業だと思います。恐ろしく高騰するでしょう。ケタが変わります。変動単価制度も必須でしょう。

 

今までの「何千枚・何万枚」どんぶり勘定では動画作業を取り仕切ることは無理です。

 

動画に限らず全ての役職において、昭和の「使い捨て人材」感覚と決別し、新たなエコシステムとして制作現場を再建する時、様々な新技術の盛り込みが必要となります。その際に、作画出身のTAも活躍することになりましょう。

 

古きを懐かしみ別れを告げ、新しきへと進む。

 

2019年は、その第1歩になるのかも知れませんネ。

 

懐かしいものは懐かしいままで良いです。そのまま、そっと過去においておけばよいです。

 

今を生きる我々は、今を生き、未来を生きるために、新しい何かを探し出さねばなりません‥‥よネ。

 

 

 

 



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