インストラクター

新たに技術を導入する際に、インストラクター的な立場の技術者や経験者の存在は、非常に重要だと思っています。インストラクターの質が、まるでその技術本体の質のように受け取られるからです。

 

インストラクターとはWikipediaによると、

 

インストラクター(instructor)とは、工業技術、スポーツなどの分野に於いて様々な指導を行う立場の者をさす。

 

‥‥だそうです。とても重要な役職‥‥ですよネ。特に技術の導入期においては。

 

アニメの技術、特に描画に関するソフトウェアの場合、単にソフトウェアの使い方だけを知っているだけでは、有能で指導的なインストラクターにはなり得ません。インストラクター本人の画力と経験は、ソフトウェアの有用性を実証する上でも、とりわけ不可欠です。

 

どんなにスペックを暗記しても、マニュアルやヘルプを暗記しても、描画系ソフトウェアの場合は、「実際に何を描けるか」に対して人々は注目するので、インストラクターが描いてみせる絵は、そのままそのソフトウェアの印象として受け取られます。これはもう、20年も前から同じ傾向なので、今後も同じでしょう。

 

描画ソフトウェアではないですが、After Effectsがアニメ業界で台頭して、コアレタスが事実上死滅したのは、「映像表現の印象」が決定的にユーザに作用したからだと感じます。After Effectsのメーカー(=Adobe)での宣伝映像や画像は、「こんなことができるようになる」とそれまでのアニメ撮影とは一線を画した表現にあふれていましたが、コアレタスは「再現できます」「今までと同じことができます」スタンスに終始して、しかもサイトで掲載していたサンプルはお世辞にも「未来を感じさせる内容」ではありませんでした。2000年前後の話、です。

 

同じことが、2020年前後に、作画セクションで起こるように思います。作画に用いるソフトウェアが、実際にどんな表現をアピールするか、そして、その未来の可能性を印象付けるか‥‥です。

 

現在、幅広くクリスタが支持されているのは、やはり、サイトのデモ画像が美麗であることと無縁ではないでしょう。クリスタを使えば、こんなことができるようになるんだ、と思えるサンプル画像の数々は、これから何を導入しようか迷っている人にとっては大きな印象を与え、強い指針となり得ます。そして、あの月額(今でも500円?)が決定的に人を動かします。

 

TVPaintに関して言えば、その昔「Aura」の名で呼ばれていた頃から、恐るべき画力で様々な画風で使いこなしていたアニメーターさんがいますが、そういう手練れの人たちが他人が羨むような絵を描いてデモするようになると、流れは大きく変わるかも知れません。Cacaniも内容の良さそうなソフトウェアですが、アピールの印象はあくまで機能説明に終始しているように感じられます。

 

物事を動かすのは、細かい機能解説の数々ではなく、圧倒的と言えるほどの大きな印象です。

 

もう散々、いろいろな「フォーマット戦争」で経験して来たこと‥‥ですよネ。細かい機能のアピールが勝敗を決したか? 否!‥‥です。

 

じゃあ、大きな印象って、結局、何?‥‥って、それは当事者たちでその「印象の実体」を作るしかないです。それがまさに、「ものつくりの戦い」なのですから。

 

 

 

思うに、ソフトウェアのインストールベースや普及の趨勢だけでなく、アニメ制作会社の未来も、インストラクションで変わってきます。インストラクターの質が低いと、その会社の「技術の質」も停滞するのです。

 

通り一遍の機能をレクチャーするだけの「人間マニュアル」のような人材が、ソフトウェアの使用法の基準になってしまうと、「基礎の先にある応用技術」に到達するまでに多くの時間がかかってしまい、発展のチャンスを逃し続けます。基礎が出来上がってくると、応用がとんとん拍子で面白いように発展するのが、まさに技術の醍醐味ですが、そうしたことがインストラクターの質が低いことによって阻害されるのです。

 

とはいえ、ソフトウェアの使い方や機能を知っているだけでインストラクターが務まるのは、技術移行期の極初期だけです。現場の人間は、やがて基本的な使い方や機能をマスターしていくわけですから、そうなれば、質の低いインストラクターは存在意義を喪失します。

 

ですから、インストラクターはある種、エヴァンジェリストのような役割も担って、どんどん更新される技術内容、どんどん台頭してくる新しい技術を、現場に広めることが主として必要になりましょう。アニメ制作現場の場合、その普及の実践段階において、描画ソフト系インストラクターは画力を宿命的に求められます。

 

では、アニメ制作現場のインストラクターが成立するのは、どのような状況でしょうか。

 

実際、「そのソフトでどこまでできちゃうのか?」を掘り下げるのは、その当人の表現力に依存します。つまり、絵が描けない、映像のイメージが希薄、映像が頭の中で動いていない人は、ソフトのポテンシャルを「チュートリアル程度」にしか引き出せないので、リアルな現場のインストラクターとしては役不足です。

 

ソフトウェア開発者自身すら驚く「そんな使いかたまで出来たのか」というレベルまでソフトを使いこなすのは、第一線の表現者・作業者です。基礎を終えて応用まで到達するのは、実際に作品制作で凌ぎを削って生き残った、キャリアを積んだ当事者です。

 

ということは、アニメの現場に有用なのは、インストラクターかつエヴァンジェリストで、最前線の作業者として活躍している人間‥‥となりましょう。要は、現場の技量の高い人間が、若年の人間を指導する‥‥ということです。現実的な経験を積んだ一定以上の技量を持つ現場の人間が、インストラクターを兼任する‥‥ということに落ち着くでしょう。

 

‥‥あれ? それって、「善き現場」の復興‥‥ですよネ。

 

 

 

思うに、現場が幼くて不安を抱えている時こそ、曖昧なインストラクター的ヘルプを必要とします。しかし、それは「自分たち自身で、必要な技術を体得するんだ」という覚悟を先延ばしにする温床にしかなりません。なんだかコンピュータは難しいっぽいから、誰か知ってる人、助けて‥‥なんていう弱腰が、いつまでたっても「乳離れ」できない幼い現場に留め続けるのです。

 

特にアニメーターにありがちな「コンピュータ苦手意識」は、アニメーターがコンピューターネットワーク時代に「ひとりだちできない」大きな原因です。

 

以前、コンピュータの知識がない‥‥というだけで、いかにも不利益で不毛な現場の未成熟状態を、私は経験しました。画力の高いプロフェッショナルな人間たちが、コンピュータの知識が乏しいというだけで、低い発達状態のまま停滞していました。

 

コンピュータを用いた制作現場において、それらコンピュータ関連機器を取り使う人間の意向に、作品表現が従属しなければならない状況は、あからさまに、構造悪だと思いました。

 

しかし一方で、コンピュータの知識がなければ、映像デジタルデータ時代の作品作りにおいて、作家性や絵画表現力を発揮することは難しいです。

 

構造悪は、自分の「コンピュータって難しいからわからないや」という甘えも、大きな原因だったのです。新しい時代の作品作りには、作家性、絵画表現力、そしてコンピュータの知識を、全て兼ね備えることが必要です。

 

コンピュータ音痴を自嘲的に自分のステータスとして気取っているのは、未来の映像制作からの脱落と逃避を意味します。

 

コンピュータをどんどん知って、コンピュータのシャーシが軋むまで使い倒して、今までとは別次元の作品表現を成し遂げる、まさに「コンピュータ時代の映像表現の体現者」として、制作現場の人間は成立すべきです。そのくらいの気迫を胸に秘めても、バチはあたるまい。

 

 

ちなみに‥‥、私の作業場の傍には、「フランケン」と呼んでいる、ボロボロのiMac(Late2012)が現役ですが、iMac Proを導入した今でも、最後の最後まで使う所存です。

 

まあ、私にとって頼りになるのは、中途半端な技量のインストラクターではなく、リアルな現場の仲間、そしてコンピュータそれ本体‥‥ですからネ。

 

そして、別立てでインストラクターを用意するまでもなく、頼りになるリアルな現場の仲間が、良質な「専門分野個々のインストラクター」足り得るとも思っています。

 

 


プログラムの入り口としての表計算

昨日、表計算で「COUNTIF」と「SUMIF」を思い違って暫くうんうん悩んでいました。私はスクリプトや開発言語で色々とやってきましたが、実は表計算は必要に応じてのみ使っていたので、板についた感じがまだ無いのです。表計算を使いこなせるようになると、面倒な計算と集計が綺麗さっぱり正確に導き出せるので、覚えて損はないですネ。

 

現在、アニメ業界の20代の若い人が、単にソフトウェアの使い方や機能を覚えるだけでなく、自分で「プログラム的な」ことを覚えようとした時、何が「入口」としてふさわしいか。例えば‥‥

 

After Effectsを使っているのなら

→エクスプレッション

 

コンピュータ全般なら

→表計算の関数

 

‥‥のようになるんじゃないスかね。

 

自動処理といっても、Photoshopのアクションではプログラムは一向に覚えられません。ソフトウェアの内部的にはともかく、ユーザ側から見れば、ただ単に操作を記録しているだけに過ぎないですからネ。

 

自分の望む結果を、マウスとキーボードの操作で直に反復作業するのではなく、命令文・スクリプト文を作成して自動処理するのは、コンピュータを使う最大と言っても良い利点です。コンピュータを使って仕事をするのなら「プログラムの基礎知識は常識」にすべきです。

 

では、「自分の常識」にするには、何をどうすれば良いか?‥‥といえば、「日頃から使えば良い」のです。詰め込み暗記ではなく、日常の雑事で表計算を使えば、自分の欲する結果をプログラム的スタンスで得る方法を学べるし、日頃のちょっとした集計の計算も間違わないし、表計算ソフトを使いこなせるようにもなるしで、一石二鳥、三鳥です。

 

例えば、コンポジットの担当カットを振り分ける時に、表計算を用いれば‥‥

 

‥‥のような表が、自動集計機能で作成できます。

 

通し番号は「ROW()」で、カット番号も数字のみの場合は「ROW()」で、条件付き書式(または条件付きハイライトとも)で担当者別に自動で色分け、各担当者の集計は例えば「Aさん」なら「COUNTIF(C$2:C$37,"=A*")」で自動集計、担当カット数の集計は「SUM()」や「SUMIF()」で、カット総数と担当カット数が一致しているかは「IF()」で検証‥‥など、ほとんどを自動処理で集計できます。

 

私はNumbersで作成しましたが、ExcelでもGoogleスプレッドシートでも同じことができます。関数の内容もほぼ一致しているので、Numbersで覚えたことをGoogleスプレッドシートでも活用できます。

 

表計算は表作成ソフトではないです。あくまで、表の中身を計算するソフトですので、関数を使いこなしてナンボです。

 

ExcelもNumbersももってないのなら、ロハ(「ただ」=「只」=無償‥‥というのは少々不適切ですがあえて)のGoogleスプレッドシートを使えば良いですから、コンピュータを使うほとんど全員が使えるはずです。日頃の暗算では面倒な計算を、さっと表計算のSUM()で計算すれば間違いのない結果が得られますし、後々に品目の価格や個数を修正しても計算し直す必要なく、自動で更新されます。

 

 

何よりも有用なのは、「地道に手作業で潰す」概念から解き放たれ、「構造を考えて作る」概念が自分の中に生まれることです。

 

表計算のセルに、1000カットものカット番号を根性で手打ちで書き込んでも、全くもって凄くも偉くも何ともないばかりか、愚かですらあります。1行1カットならば、行番号をうまく活用して、abcカットだけ手打ちにすれば良いのです。

*ちなみに桁を3桁で揃えたい時は「RIGHT(ROW()+1000)」とかにすれば、1001の右3文字だけ抜き取って「001」にしてくれますヨ。

 

以前にも書いたことですが、コンピュータを常用する仕事において、プログラム的発想の頭脳を持つか否かで、色々な意味での貧富の差が変わってきます。時間を貧しく使い捨てることは、すなわち、手にするお金も貧しく捨てている‥‥ということです。

 

その貧しさは、アニメの本質である「絵を描くこと」すら蝕みます。コンピュータをうまく駆使できない人間は、絵を描く時間をコンピュータの雑事に蝕まれ、絵の質が落ちるか、不眠で作業するか、残念な結果を招く‥‥ということです。

 

コンピュータのプログラムなんて「ある程度までは」大したことないです。‥‥だって、覚えりゃ、使えるようになるんだもん。無理だ‥‥と思う人は、「プログラム」という単語のイメージに戦う前から負けているだけです。‥‥日本語を覚えられたのなら、プログラム言語の基礎なんて楽勝ですヨ。

 

覚えないから、使えない。‥‥ただ、それだけです。

 

高度なプログラムを書こうというのなら話は別ですが、日頃の雑事を軽減する程度のプログラムの嗜みは、「身の丈」視点で覚えていくのが良いのでしょう。

 

プログラム習得のきっかけは何が良いのか、昔から色々言われてきましたが、今は無料のGoogleスプレッドシートもあることだし、表計算の関数使いこなしが、ちょうど良い‥‥のかも知れませんネ。

 

 

 


速度は時間

その昔、230メガバイトのMOが登場した時に、フロッピー200枚分だ!と驚いたものですし、UltlaSCSIで繋ぐ外付けHDDは2〜4ギガバイトでも大容量に思えたものです。

 

しかし2018年の現在、容量に対する意識は大幅に変わり、ギガバイトはファイルの容量、ディスク容量はテラバイト単位です。ディスクに対する意識そのものも変わり、光学ディスクに焼いてデータをやりとりするなんて、白箱(‥‥箱じゃないけどね、今はもう)くらいなものです。まだまだ大容量用途で活躍するハードディスクすら、映像制作のデスクトップでは陳腐に思えるような時代です。

 

 

 

一般的に、記録メディアは容量ばかりに話題が向きがちです。しかし、どんなに大容量でも、どんなにコンパクトでも、今や「時は金なり」で、速度も重要な要素です。

 

大容量のデータを扱うようになると、その大容量データをコピーしたり再生したりする速度も軽視できません。4K60pで10〜12ビットのデータになると、非圧縮で大まかに、1秒1ギガバイトを消費します。映像制作的には、ものすごい大容量時代がもうすぐそこまできているわけです。

 

一方、市場は‥‥といえば、それこそ「安かろう、遅かろう」の製品から、「高かろう、速かろう」の製品まで、芋洗いで混在しています。

 

用途に合わせて、および、達成したい目標に合わせて、適切な記録装置を購入することが大切です。「こんなに大容量が、随分と安くなったねえ〜」なんて言っている場合ではなく、速度性能も重視する必要があります。映像制作に従事するのなら‥‥です。

 

製品による速度差は、今や凄まじい落差があります。

 

例えば、USBメモリ。‥‥何と言っても中身はメモリなので、高速な読み書きが可能‥‥と思い込む人は多いかも知れません。しかし、製品によっては「小さいだけが取り柄」の製品もそこら中に転がっています。以下のような低速な製品も、実はそんなに珍しくないです。

 

 

随分と遅いなあ‥‥と思いますが、このレベルのUSBメモリは今でも現役で、しかもアニメ制作会社=映像制作会社で用いられています。

 

では、ちょっと未来の映像制作では、どのくらいの速度が普通になるのか?‥‥というと、以下のような速度になります。

 

 

 

あまりにも落差がありますよネ。

 

でも、映像制作を未来も続けようと思うのなら、こうした製品の落差が入り乱れる状況の中で、単に安さに目を奪われる事なく、自分らの目的を全うできる製品を、ちゃんと選別して購入し、制作環境に装備する必要があります。

 

 

速度だけではわからん‥‥というのであれば、時間で考えればすぐに実感が湧きます。

 

500GBのデータをコピーするのに、かたや待ち時間が数分、かたや2〜3時間。つまり、コピーを見届けてから帰宅するまでに、2時間以上の差が出ます。

 

実際、40GBのデータをコピーする際に、20秒で終了したのを目にした時は、新しい時代の速度感覚を痛感しました。最新の環境ではたしかに、1秒2GB(=2000MB/s)の速度で、データをコピーしています。

 

カップラーメンにお湯を注いで食べ終わるまでの10分(に満たない)程度で1TBのコピーが終わる‥‥ということです。ちょっと前なら、外に飯に出て戻っても1TBのコピーが終わってない‥‥なんて、ザラだったのに、です。

 

私の場合、フロッピーディスクから現場の経験を積んでいる(=Apple Quadra650でした)ので、余計、その速度感覚のギャップに気が遠くなる思いです。

 

でもね。

 

慣れりゃあ、慣れるもんですよ。

 

‥‥だって、その速度がないと、運用上、お話にならないわけですから。

 

 

速度は時間と同義です。

 

それはムービーファイルの再生速度(=フレーム落ちにかなり関係する)だったり、作業の待ち時間だったりと、時間の定義も色々ですが、空間も時間も狭い日本を広く使いたいのなら、今後も速度性能は重要な要素であり続けるでしょう。

 

 


コマ数補完

作業場に新しく設置される民生テレビに「コマ数補完技術」が搭載されていたので、アニメの場合はどうなるのか、‥‥まあ、だいたい結果は予測できていたのですが、見てみました。

 

まず、「コマ数補完技術」とは、例えばソニーだと、

 

https://www.sony.jp/bravia/products/KJ-X9000F/feature_1.html#L1_100

 

‥‥のような機能です。

 

この機能・技術は、時間軸がフルモーション(=1秒間24枚、もしくは30枚のフレーム)で構成される実写なら、思惑通りに動きを60〜120fpsにアップコンして滑らかに〜つまりフレームレートを補完によって向上させられますが、アニメの場合はどうでしょうか。

 

タイムシートのシートワークとの兼ね合いで、非常に奇妙なモーションになります。

 

現在の日本のアニメ制作で、セルワークがすべてフルモーション=「24コマフル」作画のアニメは皆無です。一方、After Effectsによる「撮影」工程でのカメラワークは、スタンダード作画の付けPAN+BG組みでもなければ、24コマフルモーションです。

 

つまり、セルワークでは「コマ数補完技術」が機能せず、カメラワークでは「コマ数補完技術」が機能する‥‥という、ちぐはぐで断片的な映像を生成します。実際に目で確認しましたが、まさに「セルの動きは3コマ、カメラワークは60以上のハイフレームレート」という何とも奇妙な映像になっていました。

 

これはセルワークの中だけでも発生し得る事例で、例えば「キャラの動画TU」のカットで、最後の方だけ1コマ打ちにした場合‥‥

 

 

‥‥のようなことになります。途中まで見なれた2〜3コマ打ちの動きが、いきなり60〜120fpsに変化するのは、相当にキモチ悪いです。

 

根本的な構造を考えてみると、24コマシートで3コマ打ちだと、

 

 

‥‥のような、セルの絵が次へと切り替わる瞬間だけ画像補完される‥‥という、決して滑らかになったとは言えない映像が生成されます。

 

日本のアニメでは3コマ打ちは標準なので、24pの中で同じ絵が3フレーム連続して静止することは日常茶飯事です。映像時間軸上の各フレームを同じ絵で埋める「2コマ、3コマ」のコントロールは、アニメ制作現場では「エコノミー」=コストの節約の側面よりも、タイムシートにおける動きのテクニックとして確立されています。

 

一方、コマ数補完技術は、あくまでフレームレートをアップした時に、足りない隙間のフレーム補完をするものなので、同じ絵が連続しがちなアニメのセル画部分のシートワークにおける中割りまではしてくれません。

 

セル画の絵が切り替わる瞬間だけは「中割り」してくれても、決して時間軸全域がフルモーションの映像になるわけではないです。

 

で、アニメ制作現場の実際で考えれば、まさかすべてのセルワーク・シートワークを24コマフルモーションにするわけにはいかないですから、これはもう宿命的に、フレーム補完技術との相性はよくない‥‥と言えます。

 

 

今までのアニメの技術は、良くも悪くも、24コマに縛られ続けます。テレビの機能で、一部だけ60や120fpsになったところで、8fps(=3コマ打ちの場合)との動きの格差が目立つだけです。

 

テレビの「コマ数補完技術」を、「そんな機能、不要だ」と切り捨てることは簡単です。しかし、「なぜ、そうした補完技術が実装されるようになってきたか」を考えた時、果たして、今までのアニメ制作の基本であり続ける「24コマ」は今後も絶対的なフォーマット足り得るか?‥‥も、思索すべきです。

 

実際、4K60pHDRのアニメ映像に見慣れると、2K24pSDRの映像はかなり古めかしく見えます。それは絵の中身が‥‥ではなく、フォーマットの古さを如実に実感できるようになるのです。

 

どんなに新しい基軸の絵づくりやキャラを繰り出しても、2K24pSDRで、しかもレタスの二値化&スムージングの線による描画ですと、精彩を著しく損ねることになりましょう。せっかく苦労して描いて塗った絵を、わざわざ古いフォーマットに落としてしまうのは、少なくとも私は「もったいない」と感じます。

 

しかし、新しい映像フォーマットに順応する方策は、旧来のアニメ技術ベースのままでは不可能に近いです。様々な技術革新や思考の転換が必要になりましょう。

 

世の中がどのように変わっていくのか。‥‥ごく普通に予測して、旧来アニメ制作の弱みに触れないように気を使ってくれる未来‥‥ではなさそうに思います。

 

 

 


水の整理

以前から流水量に不満を感じていた金魚の水槽に、新たに水中ポンプを追加して、流量をアップしました。

 

エーハイムの「コンパクトオン」1000です。私は関東地方なので50Hzです。

 

 

 

金魚水槽は90cmですが、この1000で充分過ぎるほどの流量です。

 

私の場合、長らく使い続けているエーハイムの廉価な外式フィルタ「500」のブースター的な役割として導入するので、吸水部分にホースを繋いで設置します。

 

つまり、こうです。

 

*濾過器はお掃除いらずで万年設置‥‥に近く、プレフィルタにたまった枯れた水草などをたまに掃除するくらいですが、そのプレフィルタは粗めのスポンジろ材をストレーナに噛ませておけば良いだけなので、お金も手間もかかりません。

いわゆる「またぎ配管」(=ホースが水槽の上をまたぐ)ですが、普通のご家庭の水槽では「またぎ配管」しかできんですよネ。私もまたぎ配管でずっとやってますが、いつか「呼び水不要」の水槽穴あけ配管をやってみたいものです。

 

もちろん、エーハイムの500にもポンプは内蔵されていますが、いまいち弱々しいので、コンパクトオンの1000で豪快に強引に循環させよう‥‥というわけです。

 

しかし問題が1つ。

 

コンパクトオンの吸水部分はホースを繋ぐようにできていません。でも、製品図説をよくみると、ストレーナーを接続する部分「吸水コネクター」は、何だか、太めのホースが繋げるようにも見えます。

 

 

 

なので、現物合わせでゴー。

 

あっけなく、エーハイムの19/27のホースが吸水コネクターの径にハマりました。ゆるくもなく、キツ過ぎずもなく、ピッタリ。さすが、エーハイムの純正パーツで、ホースバンドも必要ありませんでした。

 

下図の赤文字部分は、私が現物を合わせてみて知りえた、適合ホースのサイズです。カタログや製品サイトには明記されていないことなので、自己責任でよろしく。

 

 

エーハイムの濾過器「500」のホースのサイズは吸水吐水とも12/16ですが、水中ポンプ1000の吸水側ホースの19/27との接続は純正の変換コネクタを用いれば解決。ただし、肉厚のホースは相応に硬いので、エルボーコネクターも併用するとレイアウトしやすいです。

 

 

*19/27の極太ホース。

 

*19/27と12/16を繋ぐコネクタ。これがないと、結構困る。

 

*エーハイムのホースは硬めなので、90度に曲げたい時はコイツを併用します。この他に、U字のコネクタなど、色々と豊富です。

 

 

濾過水の循環システムにおける吸水&吐水は、すなわち循環システムの流量そのものですが、濾過は基本的にはフィルタではなくバクテリアがおこなうものなので、バクテリアの活性化の為にもチョロチョロの流量よりもたっぷりモリモリの流量のほうが適しています。フィルタは主には詰まりを防ぐためのもの、もしくはバクテリアの住処であって、濾過=水のリフレッシュの主役はバクテリアです。

 

実はエアレーション(空気のぶくぶく、です)も、半分は金魚のため、そしてもう半分はバクテリアのため‥‥だったりします。バクテリアに元気に水を濾過してもらうためには、豊富な水の流量とエアが不可欠です。亀の水槽にエアレーションは不要とは言われますが、亀には必要なくてもバクテリアのためにエアレーションは必須です。‥‥私は以前、その「理屈」がわからず、亀の水槽では随分と苦労しました。

 

金魚を飼い始めた小さい頃に、そういう「理屈」がわかっていれば、金魚が死ぬのを成す術もなく手をこまねくこともなかったろうに‥‥とは思います。ただ、当時は何をどうすれば水槽の環境が安定するか‥‥なんて、周りの大人たちは知りませんでしたし、調べることもできない時代でした。市販のバクテリアを含めて、昔はあまりにも用品のバラエティが貧弱でしたしネ。

 

2018年の現在、アマゾンのペットコーナーで「バクテリア」を検索すれば、それはもういっぱい、表示されます。外式の濾過フィルターだって、エーハイムのでなければ結構安い値段から買えますしネ。

 

ですから、現代は用品云々ではなく、単純に「ノウハウ」さえあれば、金魚が10年は余裕で生きる水槽環境が作れます。必要な物を揃えて、然るべき運用さえすれば、全く陽の当たらない場所でも、金魚も水草も何年も生き続けます。金魚飼育セットを買うのではなく、必要なものさえ買っとけば‥‥です。

 

 

今回のポンプ増設で、また1〜2年は大仰なメンテいらずの水槽になることでしょう。

 

‥‥あ、ただし、日頃徐々に蒸発する水槽水の補給と、バクテリアの定期的な補充は必要です。とは言え、バクテリアの居心地の良い水槽環境にしておけば、面倒で厄介で骨の折れる濾過器のメンテは格段に楽になります。

 

淡水の金魚や亀は、水槽環境がうまく維持できていれば、日頃の維持費は餌と補充バクテリアだけで済みます。‥‥それがわかるまで、随分と年月がかかりました。

 

それこそ、小学校一年生から水槽とはつきあっているので、アニメと同じくらいの「自分の中の歴史」があるものなんですが、考えてみれば、このブログでは水槽ネタって書いたことがほとんどなかったですネ。自分でも意外ですが、‥‥まあ、仕事とはまるで無縁なので、ここでは書こうと思いすらしませんでした。

 

でも、水槽のシステムも、「何かを維持するための、何らかのノウハウに基づいた、技術的な土台」として考えれば、色々と本業へと連想することは可能です。しばらく良好に循環していたシステムが、何をきっかけとして機能低下して崩壊が始まるのか‥‥なんて、いくらでも水槽から学べますしネ。

 

 

 


雑感

日本、及び日本人の状況の性質としてよく語られるのは、「上の人間が保守的ゆえに、成功事例ばかり引き合いに出して、新しいことをやらせてくれない」というのがあります。確かに、そうした場面は多いです。

 

しかし‥‥

 

「上の人間が保守的ゆえに、成功事例ばかり引き合いに出して、新しいことをやらせてくれない」

 

ので

 

「無理だと諦めてしまう」

 

のも、日本人の性質なんですよネ。

 

実は、上の人間が保守的で消極的なのと同じくらい、下の人間も妙に従順で消極的なのです。

 

正攻法、正面突破で不可能なら、いくらでも戦法や戦術を変えれば良いのに、そこまではしない人が、日本人にはやけに多いように感じます。

 

思うに、不平を言う人間ほど、不満の言葉だけを延々と繰り返すだけで、別の切り口を考えて自身で実践するところまでは至りません。

 

もし不満点をクールに解析し、何が原因となっているのか構造を解する人なら、不平を言って終わりではなく、何らかの実際のアクションを開始して、新しいメカニズムを起動させて、自分の手の届く周辺から状況を変えているでしょう。

 

 

自分の何倍もあるような大きく高くそびえ立つ石が進路を断ち塞いでいる時、押しても引いても動かず、叩いても全く割れる気配すら見えない‥‥とします。多くの場合、「自分はこの石を超えられない。だから諦めよう。」となりがちです。

 

でも、その大きく高くそびえ立つ石ゆえの相応の重量があることに着目すれば、「石の足元を掘ってしまえば、石はその自重ゆえに、わずかな力を加えるだけで傾いて、バランスを崩して倒れる」ことに気づくかも知れません。大きくそびえ立っていた石も、倒れてしまえば容易に乗り越えられる高さにもなりましょう。

 

この大きな石を目の前から退けよう‥‥とする時に、なぜか皆、石そのものしか見つめません。

 

石そのものを手刀や正拳突きで砕くのは無理でも、神頼みで天の雷が石を砕くことは無理でも、石の足元の土を地道に掘り起こすことは可能です。それこそ、今からでも‥‥です。しかし、多くの人は石そのものしか見ていないので、「なんでアイツは土を掘り起こし始めたんだ? 気でも狂ったのか?」と思うのです。

 

理由もなく、土を掘り起こすわけもないのに、その様子を見て「前例がない」というだけで新しい何かを理解できないのは、実は上の人間だけでなく、真ん中の人間も、下の人間も同じです。頭の固い人間に、上も真ん中も下もないです。

 

逆に、何か方策を探し続けて、自分でも行動したことがある人間なら、上も、真ん中も、下も、分け隔てなく、思わぬ繋がりが得られて、合力することもあるのです。‥‥往々にしてね。

 

 

 

「俺にチャンスさえ与えてくれたら」と思い続けて、いざ、そのチャンスが訪れた時に、どれだけの新機軸や奇想天外のアイデアを実践できるように準備しているでしょうか。どれだけ改革、革新のアイデアを、チャンスの時に実際に実行できるでしょうか。

 

「いや、それは、実際にチャンスの時が来たら、その時に初めて考える」

 

‥‥というのは、笑い話にもほどがあります。

 

 

実は、チャンスや幸運の機会なんて、何度となく目の前に現れているように思います。しかし、あまりにも当人のチャンス&幸運に対する感度が鈍感過ぎるので、何度となく、見過ごして逃している‥‥のかも知れませんネ。

 

どこかの番組で言ってましたが、セレンディピティは「準備した人にしか発見できない」そうですヨ。

 

 

 

 


水のお掃除

金魚の水槽の外式フィルタから異音、一方、亀の水槽の流量が極端に少なくなっており、2つの水槽をまとめて掃除‥‥というかメンテすることにしました。‥‥たまの日曜で休みたかったんだけど、しゃーない、金魚と亀の命に関わることなので。

 

私は水槽用品に関しては、ほとんどエーハイムを使っております。色々なメーカーを使ってきましたが、特に信頼性が必要な製品に関してはエーハイムに落ち着いています。

 

金魚用品とかって、ものすごく大雑把なスタンスが多くて、「金魚1匹の命なんて高々数百円」みたいな印象の商品を水槽用品メーカー自ら体現しているのは、うっすらと怒りすら湧くものです。必ず1年で壊れるモーターとか、「どうせ金魚を気まぐれで買う人なんて、数ヶ月で飽きるんだから、水槽用品も1年もたなくてOKだろ」的な製品が目立つメーカーは存在します。まあ、ここでは書きませんけどネ。

 

その点、エーハイムは価格的に高めの商品が多いですが、末長く水槽を維持しようとするキモチが商品や交換パーツの豊富さから伝わります。

 

安定動作のエーハイム製品でポンプまわりを固めれば、あとはノウハウを活かして、長期に渡って掃除不要の水槽環境が作れます。水が循環してバクテリアによって濾過されて、日頃は光と温度が適度に保たれれば、金魚や亀は病気知らずで何年も生きます。

 

金魚や亀を死なせてしまうのは、ぶっちゃけ、水槽管理が雑で手抜きな証拠でもあります。ただ、初心者の頃は何が雑かもわかりませんから、とても可哀想な環境を金魚に強いて、最終的には死なせてしまいます。初心者ではなくても、仕事が忙しくなって水槽の状態をチェックできない日が続くと、環境が崩れるリスクが高くなります。

 

なので、環境の異変を感じたら、特に循環器系(という言葉はあまりつかわないけれど)の異常は、できるだけすぐに手を打つべし。雪崩を打って、他の要素にも悪影響がでて、環境がどんどん悪化します。

 

金魚の水槽の異音は、吸い込み口に枯れて溶けた植物が大量にはりついて、水が吸引できなくなり、濾過ポンプの中に大量のエアが混入してカラカラと異音を発していたのが原因でした。濾過器の中をみると、さらさらのバクテリア分解物しかなく、量も詰まるほど大量ではなかったことから、フィルタのつまりではないようです。バクテリアが良い仕事をしています。

 

引き金は「仕事が忙しくてここのところ、水草を間引いてなかったので、枯れて溶けた葉や根を放置した」ことによって、単に吸い込み口が詰まって「水が吸えない状態」になったこと‥‥のようです。

 

つまり、水が吸えずにポンプや濾過器に水が充填されず、「呼び水」を必要とする「空走」状態に陥っていました。

 

まあせっかく濾過器を取り外して中身を開けたので、ひと通りの清掃をし、今回の大原因である増えすぎた水草を大量に間引き、ついでに夏前に金魚たちも塩水浴をさせておきました。

 

 

 

出目金って、幼少の頃の認識だと、すぐに死んでしまって体が弱い金魚だと思っていましたが、今の出目金は病気もしないしムクムク育つしで、ぜんぜん体が弱い印象がありません。最近の出目金は体が丈夫なのか、以前の自分の水槽環境クオリティが低かったのか、よくわかりません。どっちにしろ、金魚たちはむっちむちむちに育っており、ヒレの病気も体表の病気もないです。

 

ちなみに、写真のミニ水槽は「金魚の病院」で、以前にうまく水槽環境を作れずに病気がでがちだった頃の用品です。今でも白点病などが出たらすぐに「病院行き」にするつもりですが、近年は全く病気がでずに、この病院セットも出番なしです。

 

*家に来た時は皆チビ太だったのに、今では大きく育って、みちみちむちむちと丸々してます。何気に、黒出目金がカメラ目線なのが可愛い。

*私の夢は、水槽を冷暖房完備にすることです。暖房はヒーターで実現できますが、クーラーは色々チャレンジしたけど難しいです。室外機を部屋の中に置くようなものなので、水を冷やすだけでは事は収まりません。水を冷やすために排熱した熱気が周辺にこもり、その熱気を冷やすために水槽まわりの空調も計算し‥‥と、相当の金持ちかマニアでもないかぎり、夏場の水槽の冷房は今のところ非現実的です。もちろん、照明はできるだけ熱を発しないようにLED照明が基本です。

 

水槽に書いてある数字は、リットル水位と、治療に必要な食塩濃度のグラム数です。でもまあ、最近は、食塩水のお世話になることもないです。

 

亀の水槽のほうは、やはり仕事が忙しくて、フィルタの清掃を怠ったがゆえの水のつまりです。なので、濾過器のフィルタを清掃すれば機能回復します‥‥が、亀は水をかなり汚す生き物なので、フィルタは3段構えになっており、金魚のように軽くはいきません。

 

まず投げ込みの水中プレフィルターがとてつもなく汚れます。‥‥ので、これを清掃。

 

次に外式フィルタの1段目を清掃。これもドロドロに汚れます。

 

ちなみに、外式フィルタの1段目は、粗めのフィルタと、バクテリアの住処となる球形やリング状のろ材で構成しています。外式の2番目に細めのフィルタで綺麗に濾し取って、最後に強力なポンプで水を水槽に戻します。

 

*3段で段階的に濾過した後、このポンプのパワーで水を水槽に流し込みます。金魚の場合、そこまでする必要はないのですが、亀の場合は水が極めて汚れるので、普通の濾過器ではすぐに目詰まりして清掃することになります。私は3段濾過とポンプで強制循環するシステムを編み出してから、1年くらいは清掃不要で運用できるようになりました。‥‥もちろん、定期的なバクテリア投入は必須‥‥ですヨ。

*ちなみに、こうしたモーター製品は、今でも50Hz地域と60Hz地域のそれぞれ専用品で販売されていることが多いので、購入の際は自分の地域が50か60かを知っておく必要があります。東京近郊は50Hzになります。

 

 

フィルタを清掃しても水量が戻らない場合は(=今回がそうでした)、ホースのつまりも考えられます。しかし、ホース全域がつまることはなく、大抵は水を吸い込む付近で詰まります。

 

‥‥なので、水を吸い込むあたりのホースは簡単に取り外せるようにして、清掃できるようにしてあります。エーハイムのコネクタが重宝します。

 

 

 

取り外してホースクリーナーで清掃してみたら、結構エゲつなく詰まってました。

 

3段フィルタのうちの2段、そして吸い込み付近のホースを清掃したら、水道の蛇口から出る水のように、勢いよく循環し始めました。‥‥機能復活です。

 

亀の濾過システムはちゃんと正常に機能させておかないと、とんでもない悪臭のもとになりますから、いつでも透明な水を維持できるように徹底的なシステムを作っておきたい‥‥ものです。

 

今回は水槽を2つ面倒みたので少々疲れましたが、濾過を中心とした水槽のシステムを確立しておくと、亀の水槽は1年周期、金魚に至っては2〜3年周期で清掃すれば良いので、とても楽です。そして、亀も金魚も病気知らず。

 

 

システムって、ちゃんと動いていることにものすごい価値があります。

 

しかし、日頃は「普通に動いてあたりまえ」なので、その「ちゃんと動くシステムのありがたさ」を忘れがちです。

 

でもまあ、水槽だけでなく、アニメ制作も、「ちゃんと動くシステム」のありがたさを忘れがちになっているからこそ、近年のアニメ業界は絶体絶命のピンチや瀕死の状況があちこちから聞こえてきます。途中で終わっちゃう作品もあるくらい‥‥ですもんネ。

 

亀がものすごく水を汚す生き物であるのと同じく、近年の複雑なディテールのキャラも、システムにも大きな負荷をかけて、システム不全を起こしやすいです。

 

であるならば、水槽システムを「亀専用」にするのと同じく、最近のキャラ傾向に合わせて制作システムも「今どきのキャラ用」にする必要がありましょう。金魚用の水槽システムで亀を飼ったら、あっという間に水が汚れて破綻しますが、今のキャラを昔のシステムで描いているからこそ、色々と問題が出ているんですよ。

 

 

思うに、アニメ制作って、その制作内容的にとても難易度が高いので、色々な知識を引き出しにして、相応の新しいシステムを作る必要がありましょう。

 

‥‥と、フィルタを清掃しながら考える、いつもの私でした。

 

 


模様替え、ひとまず終了

1ヶ月の間、地道に取り組んでいる作業場の模様替えが、ひと段落しました。ラックの移設や新設などの力仕事に加えて、配線の整理で立ったりしゃがんだり潜ったりが地味に体力を消費して堪えました。

 

棚の改造もおこない、木材で棚板を自作し、LEDテープを仕込んで、暗くなりがちな棚の中を明るくしました。下の写真は、一時移動した立体資料の一部です。

 

 

 

実存のモデルだけでなく、最近関わった「宇宙モノ」の「宇宙戦艦」の資料として、ガミラス艦やXウィングなども混ざってます。奥の方には、「地面に墜落したハインド」などもあります。

 

まだアームだけの状態のモニタアームも写っておりますネ。今回の環境アップデートは大がかりなので、機材の到着期間もバラバラで長いのです。

 

 

今日から7月。2018年の後半です。

 

私にとって、きっと、この7月からの10年は、今までの10年とは大きく異なる大転換期の10年でしょう。私が20年前に体験したアニメ制作技術の大転換期よりもさらに大きな「大々転換期」になる予感です。これはアニメ制作という狭い視野ではなく、世界的な技術フィールドの視野においても。

 

前の転換期の際も、「古きものは去り、新しきものは現れる」状況が実際に起こりましたが、今回はもっと大規模な形で展開されるでしょう。

 

古きもの‥‥は、実年齢の話ではなく、どんなに若くても、頭の中身が旧態ならば古きものです。その逆に、新しきものも、実年齢に関係ないです。

 

Aセル、Bセルがー、とか、シートがー、とか言い続けているのは、古き時代の証です。新しき時代に、AセルBセルXXセルで事が収まるわけがないですからネ。古き時代に生きたままの古き者は、新しい時代の中では手に取るもの1つ1つが違和感の塊かも知れません。

 

新しき時代も、人の手でアニメを作ります。ただ、手に持つのが、Apple Pencilだったり、マウスだったりするだけ‥‥のことです。

 

 


CCから消えたもの

Mac Proが故障し、iMac Proをメインにして作業するようになって、色々と周りを見渡す余裕が出てきましたが、ふとAdobe CCのアプリケーション一覧を見ると、2つ3つ「消えた」ものがあります。

 

SG=Speed Grade

FL=Flash

ESTK=Extendscript Toolkit

 

まだ他にもあるかも知れませんが、私がすぐに気付いたのはこの3つ。OSを更新し続けてCCも更新し続けていると気がつかないのですが、新規でOSをHigh SierraからスタートしCCも新規でインストールすると、もはや終了が予告されているFlashだけでなく、使っているのを誰もみたことがないSpeed Gradeも一覧からひっそり姿を消していました。

 

ESTKだけは終了されると困るんだけどな‥‥。エディタとして便利だったから。

 

現在、私らの作業グループでは、環境の近代化を実施しており、映像をリアルタイム再生して作業するような「モーション(アニメーション)」「ビジュアルエフェクト」「編集」「グレーディング」工程に関わる作業者は、iMac Proへと乗り換えております。iMac Proをとりたてて高く評価しているわけでもないのですが、ぶっちゃけた話、今、Macで4Kを普通にぶんまわせるマシンってiMac Proしかないので、結果的にiMac Proに落ち着いています。

 

で、iMac ProはHigh Sierraがスタート点なので、インストールするソフトウェアも「それ合わせ」になり、加えてApp Storeでは「いつのまにか消えている」ソフトも多いので、何だか、やけに「スッキリ」とした「新居」のような感じです。

*Transmit、Get Backup、Mind Note、SimCity Complete Editionとか、App Storeで新規購入できなくなったソフトはかなり多いです。

 

Adobe CCにおいても、旧環境と見比べれば、リストから消えたソフトはもっと多いかも知れません。まあ、Photoshop、After Effects、Illustrator、Dreamweaver、Audition、Lightroomあたりが生き残ってくれれば私としては困りませんが、Flashがいつの間にか一覧から姿を消していたのは「一時代の終わり」を垣間見るようです。

 

ちなみにPremiere。‥‥今後、どのように発展できるんでしょうかね。まあ、発展性で言えば、After EffectsもPhotoshopも似たような行き詰まり感はありますが、Premiereは隣りで使っているのを見ていて不良動作やクラッシュの連続だったので、先行きがリアルに不安です。トラブルの絶えないPremiereを尻目に、私らのグループではDaVinci&Extreme4Kに乗り換えて、新しい取り組みを進めています。

 

お手頃価格帯ソリューションにおける、Adobe一強‥‥という状況は、最近のCCの停滞ぶりから見ても、そろそろ終わりが見え始めているのでしょうかね。お手頃価格帯のもう1つの雄、Blackmagic社の方が気になる製品や欲しい製品が多いです。

 

ただね‥‥、私はやっぱりアドビ製品への愛着や慣れが強いので、CCには頑張って欲しいです。「4Kに対応」ではなく、「4Kを率先」して欲しいです。でもこれはアニメ業界にも言えて、4Kに尻を蹴られて嫌々対応みたいな態度は、それすなわち「2K時代で終了」を予告しているようなものです。新しい技術やフォーマットは対応するものではなく、使いこなすもの‥‥なのですヨ。

 

After EffectsやPhotoshopが、8bit時代、2K時代の「古き過去の象徴」にならぬよう、CCのメンツを盛り上げてほしいです。

 

 


名前

自分の名前に限らず、ハードウェア、ソフトウェアに至るまで、様々な「名前」は、疑似人格とも言える、時と場合によっては重要な要素です。

 

あくまで私の持論ですが、名前に「ガギグゲゴザジズゼゾ」のような刺さる響きが含まれていると、幼い頃から名前で呼び続けられることにより、潜在的に人格に影響が出るように思います。

 

「ガンギ」という名前でずっと呼ばれるのと、「まるみ」という名前で呼ばれるのとでは、人間だけでなく、猫や犬でも、何か変わってくるように思うのです。言葉のカタさ、柔らかさは、その言葉で呼ばれたり話しかけられたりして、特に幼少の覚醒期には影響がそこそこある‥‥と思っています。

 

実際に、子猫に「ねむねむねむねむねむ〜」と優しく話しかけながら、口の周辺を撫でてあやすと、ふわふわと眠りに落ちたりします。柔らかい音は、生き物をリラックスさせるのかも‥‥知れませんネ。

 

 

コンピュータの名前も、現場では思いの外、重要です。特に、似たようなマシンがひしめいていると、製品名では混乱します。

 

iMac Pro

iPad Pro

Mac Pro

 

‥‥。ん〜、ややこしい。結構、言い間違えます。特に、「i」ほにゃららと、ほにゃらら「Pro」が混同します。

 

なので、愛称。実践的には、DNS名。

 

ネットワークに「iMac」としか見えていなければ「誰のiMac?」となりますが、例えば「アデーレ」「アグネス」「アルマ」とかになっていれば、疑似人格を伴うことにより、特定が比較的容易になります。もし命名規則に意味を持たせるのなら、Aで始まる名前は2018年導入機材、Bで始まる機材は2019年導入機材‥‥のようにしても良いですよネ。

 

実はこのABCDで西暦に関連づける方法は、猫のブリーダーさんから聞いた話です。「スミレ」「ソフィ」「サイモン」という名前は、「S」で名前が始まるので、2001年生まれの子だ‥‥とわかるわけです。(もちろん、飼い主さんが、その命名の習いにのってくれれば‥‥ですけどネ)

 

 

命名規則は、例えば航空機、軍用機などは、「お国柄」「国民性」が興味深く反映されます。

 

旧日本軍:

零式艦上戦闘機

A7M2

九九式艦上爆撃機

三式戦闘機

キ84

四式重爆撃機

 

 

皇紀で正式型番を決めて、愛称はあったりなかったり、命名の表面に出るのは、皇紀何年に正式採用されたか、機種は何か‥‥だけです。開発名では海軍はメーカー名なども含まれ、陸軍は大雑把に通し番号での管理です。

 

「皇紀何年か」‥‥というのが、過去の日本のお国柄そのもの‥‥ですネ。個よりも群で‥‥という全体主義的な点も含め。

 

 

イギリス空軍

スピットファイア Mk.III

ハリケーン Mk.IIc

ボーファイター Mk.X

 

 

イギリスも特徴的です。正式採用の年とか、全く記述無しです。何よりも愛称、名前そのものが全てです。偵察機か攻撃機か、種別もわかりません。

 

「スピットファイア」などあくまで名前が基本で、そこに「マークスリー(Mk.III)」とか、「改良型」「発展型」の通し番号が付与されます。さすがに産業革命、蒸気機関の国ですネ。機械に愛着を感じている様子が想像できます。

 

 

ドイツ空軍

Fw190A

Bf109E

Me262A

Ta183

 

 

ドイツも全く違います。「マイスター」のお国柄でしょうネ。

 

まず航空機メーカーの略号がきて、その次に「航空機メーカーの開発した何番目か」の数列がきます。戦闘機か爆撃機かなどの種別も判らなければ、正式採用の年なども判らず、わかるのは「どのメーカーが作った何番目の飛行機か」だけです。

 

しかも大戦後期には「メーカーではなく、主任技師の略号」を先頭に掲げる規則に変更されました。同じ技術立国でも、個を封じて全体を尊ぶ日本人とは全く逆の意識です。日本とドイツが似て非なるものの良い例です。

 

 

最後はアメリカ。アメリカは少々ややこしく、歴史の新しい国らしい特徴があります。

 

旧アメリカ海軍

F4F

F4U

AD

 

 

短かい略号にまとめているのが特徴です。先頭のFは戦闘機を表しAは攻撃機、数字は通し番号、最後のアルファベットは製造メーカー略号です。F4Fは「戦闘機の四番目、グラマン社の」という意味を表現しています。

 

ADって何よ。‥‥普通ならば、A1D、「攻撃機の一番目、ダグラスの」とすべきですが、1は省略したんでしょうかネ。う〜ん、アバウト。旧アメリカ海軍は、何か「場当たり的な」名称の雰囲気があって、例えば「SBD」はドーントレスという急降下爆撃機ですが、「SBD」‥‥てさ‥‥ADと同じで、数字は入ってないし、しかもアルファベット3文字だし、文字列を見たときの一貫性が希薄ですよネ。

 

しかし、この命名規則は、大戦中の陸軍航空隊(空軍ではありませんでした)の航空機名称との違いでごちゃごちゃっとしたこともあってか、戦後の「航空機の命名規則一斉変更」でアメリカ全軍が同じ命名規則になりました。日本の航空自衛隊も踏襲する命名規則です。

 

現アメリカ空軍・海軍

F-15C イーグル

F-22A ラプター

A-7A コルセア

F/A-18F ホーネット

 

 

「F/A-18」なんていう名称はやや苦しい部分もありますが、基本的にはかなりスッキリとした命名規則です。愛称も正式に規定されることが多く、実機を連想しやすい命名です。

 

色々な国から人が集まってできた国っぽい、あっさりしていて簡潔で、愛称でも覚えられる‥‥という、合理性と実用性を兼ね備えています。作った人よりも、使う人の「実利」を優先していますネ。そもそも軍用機が何のために存在しているのか、合理的に考えた結果がよく表れています。

 

 

名前、命名規則って、その集団の個性や特性が、しみじみと表面に表れます。「合理的」といっても、その合理性がどの部分をターゲットにしているか‥‥も含めて。

 

ですから、集団の気風やドクトリンも、ときには経験値やスキルまで、命名規則でわかってきます。下手をすれば、今までの歴史すら想像できちゃいます。

 

名前は、大切にしたいもの‥‥ですネ。

 

 

 



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