モンキー4K

日曜日、家電量販店で各社の「4Kテレビ」が並んでいるのを見たのですが、まさに「4K」のテレビ‥‥ですね。つまり、4Kである事しか売りが無い‥‥という。

家電メーカーも苦しいのかな‥‥と邪推してしまいます。ぶっちゃけて言いますと、画質が4Kになっただけじゃ、琴線に響かないんです。店頭デモで見かけたのですが、新聞の画像を全面表示して「2Kだと細かい文字がボケて読めませんが、4Kだとクッキリハッキリ読めます」‥‥なんて、逆効果だと思います。「4Kテレビで新聞を読む機会なんてあるんですか?」と誰もが思いますもん。‥‥もちろん、「細かいディテールの例え」でしょうが、例えが悪いス。「そんな苦しいデモしかできないほど、売りに乏しいんかな」と気の毒に思えてしまうのです。

4Kは60p、8Kは120p、それを標準に目指すのが良いと思うんですよネ。暫定的に30pで売っておいて‥‥なんて、買う側はたまったもんじゃないです。4K30pのフォーマット寿命って、どれだけ保つの?‥‥と買う前から不安です。消費者は3Dテレビの顛末を忘れてはいませんヨ。

どんなに4Kでディテールが細かく表示されていても、動きが30pでモッサリしてたら、「2Kテレビの数倍の値段(30〜50万円)を出して買うほどじゃないな」と感じてしまいます。

私は4K、そして8Kのロードマップを自分なりに思い描いて、映像を作っています。現在の制作環境においては、8K120pはまだ「実験」レベルで、常用は現実的ではありません。4K60pは一定のマシン性能をクリアしていれば作る事は可能です。実際、iMac 5Kならば、4K60pを再生できるので、素材作成から編集・書き出しまで、制作全域をカバーできます。

ダウンコン、つまり4K60p再生能力を持たない端末向けの「モンキーモデル(正確にはモンキーモデルとは違うんですが、意識的に品質を下げているのは同じ)も当然想定しています。、再生能力別に各種マスターを用意すべき事は、随分前から予測して策定しており、「ホワイトマスター」(「白」〜テロップなしと混同しそうですが別物です)「ブルーマスター」「イエローマスター」「オレンジマスター」「レッドマスター」のような呼び名を付けております。

4K30pという中途半端な性能のフォーマットは、どこに当てはめたら良いのだろうか‥‥。4K30pのために「グリーン」を足す事になるのかな‥‥。RGBの色循環で名付けているので品質のヒエラルキーは色で解るけど、‥‥これ以上色を増やしたくはないですネ。

4K30pって、ホントに「暫定的な」フォーマットだよなあ‥‥。

‥‥おそらく、ですが、今の性能の4Kテレビ(30pで打ち止めの)って、短命に終わるんじゃないでしょうか。売りが弱いわりに、値段だけは強気なので、買い控えが作用しちゃうように思います。4Kの細かいディテールが、30pの代わり映えしない動きで「打ち消され」ちゃってるので、「これなら欲しい」と思う人はかなり少ない気がしますネ。‥‥これは正直な感想として。

まあ、根本的な事を言っちゃえば、4Kを50インチ前後で観る事自体が、ちょっと不利なんですよネ。Retinaなどの高詳細液晶を体験済みの人々が「商売相手」なので、4Kは24〜27インチくらいでちょうど良い密度のように感じます。50インチならば、今は無理だと解っていても、8Kの密度が欲しいですネ。

しかし、「足並みの悪い時」は「チャンスの時」でもあるのです。4K30pという状況を「どう利用するか」、狼狽えずに腰を据えて見極めていこうと思います。

4Kで2D

iMac 5Kが到着して、最初に高詳細なデスクトップピクチャを見た時は、「大画面のRetinaだったら、たしかにこうなるよな」と、あまり大きな感動はなかったのですが、自分が深く関係している画像や映像(=経緯を知っている素材)、そしてフォントなど、コンピュータで生成するグラフィックを順次見ていくうちに、印象を新たにしました。その様子は、私のここ数日のブログで、そのまんま、表れてますネ。

iMac 5Kが来る前に、「4Kは2Dグラフィックの方が効くのではないか」と書きましたが、まさに、その通りの感触が得られています。YouTubeの4K実写作品のプロモを5K Retinaで見ても、あまりピンとこない‥‥のは前々回あたりに書いた通りですが、様々な4Kのグラフィックを見るうちに、「2Dグラフィックのほうが、4Kの威力として、シンプルに伝わりやすい」と、次第に実感するようになりました。

一番わかりやすいのは、フォントです。4K実写作品も、クレジット(=文字のグラフィック)の部分は凄くシャープで、4Kの面目を保っていますが、実写映像になるとモッサリした印象となり、さらに3DCGになるとさらに緩めのピント感となり、4K感が薄れてきます。

実写の4Kデータ相当を確認するため、手持ちのデジタル一眼レフの写真を表示してみたところ、かなり綺麗に撮影できていないと、4Kオーバーの写真であっても、あまりシャープ感は出ない事が確認できました。‥‥まあ、「撮影の常識」そのまま、光量が足りないとピント感がヌルくなる様子が、5K Retinaで視認できるわけですネ。

実写は撮影状況によって、4Kのスペシャル感を感じられない結果になることもあり、一方、3DCGはアップコンの様子がそのまま見えてしまう辛辣な状態‥‥という事が解ってきました。

一方、2DCG。例えば、鉛筆で描いた原画を300〜400dpiでスキャンし、軽く黒白のレベルを整えて、5K Retinaで見ただけでも、今まで見たこともないような高詳細感がドンと全面に押し出されます。筆致があまりにも克明にディスプレイに表示されるので、描線を描いた瞬間のココロの動きまで伝わるようです。

また、生粋のコンピュータオンリーのベクター描画においても、その線とアウトラインのエッジのキレはハンパなく、特に1pxの設定をしている極細線は、今までのアニメでは見たことのない「ベクター線が生々しい」という新しい質感をアピールしています。

日頃身近なフォントの見え方も、大きく違います。iMac 5Kの横にある以前のHDサブモニタ(1920px)を見比べると、何よりもフォントの整然さ、シャープ感がまるで違います。その違いは、iPadのRetinaかKindle HDXを所有している人なら、大体想像がつくかもしれませんネ。

私は仕事柄、長年ディスプレイを見続ける作業をしていますが、ぶっちゃけ、iMac 5Kは目が楽です。フォントがきめ細かくシャープ、かと言ってジャギっているわけじゃないので、視界に文字が飛び込んできた時に、瞬時かつ、楽に判読できるのです。目が疲れないんですよネ。

‥‥というような事を、いくら文字で書き表しても、ビジョンを伝えられなくてもどかしいスね。実物を見るのが手取り早いのですが、アップルストアでは生々しい2Dグラフィックは恐らく展示していないでしょうし、かと言ってネットに画像を貼り付けても、2K前後で見る以上、やはり伝わりません。

ストレスが大幅に軽減された大サイズの高密度液晶モニタは、確実に一般の人々にも広く受け入れられていくと思います。拒絶する理由がないですもん。今はコンシューマレベルとして高価ゆえに「価格的にストレスがあり」ますが、価格がこなれてくるうちに、普通に皆が購入するようになると思います。

Mac 5Kの最大のアドバンテージは、5Kモニタリングの総合ソリューションである事です。ディスプレイやマシン、グラフィックボードや接続ケーブル(=接続方式の規約・バージョン)などを、ユーザがあれこれ散財して組み上げるのと大きく違って、「買えば、すぐ使える」のが利点です。HDMIやDisplay Portのバージョンがあーだこーだ、グラボの処理能力やグラフィックメモリがどうだ、4Kを不足なく再生するCPUはどれが良い‥‥などの試行錯誤は無用、Appleサイドで5Kにチューニングされた状態で出荷した「高詳細向け作業環境」なわけです。事実、4K/60fpsのProRes4444QTの再生を難なくこなしますし、Adobe CC2014もRetinaの大画面で問題なく動作しています。

アニメ業界のような大きな共同体はともかく、個人で2Dに関わる作業を快適におこないたいのなら、今のところiMac 5Kは唯一無比の選択肢と言えます。4K映像だけでなく、3〜6Kの静止画を扱う作業でも、今までとは別次元の作業性を提供してくれます。ただ、世間に4K環境が普及し始めるまでの1〜2年の期間は、品質の認識のギャップに苦しむかも知れませんネ。

4Kモンキーモデル

Youtubeでも2160p、いわゆる4Kのコンテンツがいくつも存在しますが、いまひとつ、ピンとこない‥‥ですよネ。実際に、iMac 5Kでも再生してみましたが、シャープ感はぬるいし、動きもキレがなくて、YouTubeの4Kコンテンツはまだまだ途上の段階にあると言えます。

まず何よりも、YouTubeでのフレームレートの上限が30fpsである事が、4Kのスペシャル感を大きく損ねる結果を招いています。コンテンツサイドにおいても、48, 60fpsは手を焼くハイスペックでしょうし、さらには3DCGのシャープ感が足りないのも足をひっぱっています。

ちょっと詳しい人なら、それらの問題が「深刻」である事はお解りと思います。60fpsコンテンツのデータストリームを支えるサーバやネットワーク、4Kをドットバイドットでレンダリングする3DCGのマシン処理能力、しかもフレームレートは2倍‥‥どれも簡単には解決しませんよネ。4Kは「画面を大きくしただけでは魅力に乏しい」と解っていても、多勢に無勢、攻めきれない面も多いのだと推察します。

つまりは、世界的なインフラや技術向上の足並みが揃うまでは、苦しい戦いが続く‥‥という事ですネ。

思えば、1997〜2000年当時、Blood劇場版を作るのは、相当キツい事でした。1440px幅の映像サイズでしたが、マシンの性能も相当に低く、作業端末は8〜20GBくらいのHDD容量、メモリは256〜512MB、UltlaWideSCSIで40MB/sの「理論値」(=実際はそんな速度は全く出ない)、サーバも「テラバイト」なんてまだ体験したことのない頃の容量でしたから、非圧縮のTIFF連番がどれほど重かったかは想像して頂けると思います。
*当時、MacG3(Yosemite)よりも高性能で高価だった高速Win機ですら、火曜日にレンダリング開始して金曜までかかった1カットがありました。3Dのレンダリングを含まない2Dのカットで、ですヨ。

今でも同じ構造は繰り返されます。4Kでしかも48や60fpsともなると、性能の高いマシンを配備しても相当キツいのです。私も2Dで経験している真只中なので、しみじみ実感しております。

しかし、どんな理由があろうと、4Kの凄さを見せつけ、「戦局」を有利に導くには、4K/24〜30fpsアップコンの「4Kのモンキーモデル」ではどうしようもありません。ソビエトのソレがそうだったように、モンキーモデルが通用するのは「平時」だけで、「戦時」にはほぼ確実に「戦いに負け」ます。

負けると解っているものに、100円だって投じたくはありませんよネ。モンキーモデルに投資しても、「戦後」の「群雄割拠」には何もプラスに作用しないと私は考えています。むしろ、自らの滅亡を早める結果すら招きかねないと思います。また、平時においてモンキーモデルで栄えたコミューンも、戦時と戦後の数年のスパンで急速に衰え、解体と再編がおこなわれると予測しています。

時が熟した時に、モンキーモデルではない、新鋭4Kを投入できるか。勝機はまさに、ソコだと思います。
 

iMac 5Kが来て2〜3日

iMac 5Kが来て、2〜3日経過しました。ここ数年の4Kその他のプロジェクトの画像・映像を5KのRetinaで表示してみましたが、率直な感想としては、「‥‥良かった。‥‥今までの苦労がやっと報われた。」に尽きます。

1920pxのHDパネルで4Kを部分表示しても、結局はモニタの画素密度自体がヌルいので、4Kの真の力は確認できていなかった‥‥のですネ。iMacの5K Retinaモニタで見て、その威力が実感できました。

4K以上で作った映像・画像は、ことごとくクリアに映し出されます。まるでレコードからCDに移行した時の音色の差くらい、歴然と差がわかります。

ズバリ、「すべて見えちゃう」のです。鉛筆のディテールも、ベクター線のシャープさも、何もかも、すべて「丸出し」です。

逆に、2K解像度の図像は、ボケているのですぐに判別できます。もちろん、2K解像度なりのミニサイズで表示すればシャープにみえますが、全画面再生では明らかにボケます。

つまり、丁寧に作れば作るほど、その丁寧さが画面にそのまま表出されるのです。これは作り手にとって、最大限に嬉しい事です。この高画質クオリティで、しかも48 or 60fpsで作品を発表すれば、マジで、新しいアニメーション世界の第1歩を踏み出せます。

いやァ‥‥、今までって、ホントにボケてたんだな‥‥と、しみじみ実感します。1920pxなんて、全然高詳細じゃないスよ。この言い草は感覚が贅沢になったというよりも、今までボケて品質の低かったディスプレイの性能が、5Kまで向上して、ようやく人間の眼の性能に近づいてきただけだ‥‥と感じます。

ソフトフォーカスをかけたふんわりしたニュアンスの映像も、その「滑らかさ」が大きく異なります。「ボケではなく、甘み」に感じられるので、まさに狙い通りの絵作りがモニタに映し出されます。軟調なのにきめ細かい絵作りが、ちゃんと5KのRetinaで表現されます。

iMac 5Kは、デジタルで原稿を描いているマンガさんにも「超オススメ」です。iMac 5Kのモニタで自分の200〜300dpiの原稿を表示してみれば、「どれだけ、モニタの性能に、自分のシャープさを削られていたのか」「モニタにウソをつかれていたのか」、ありありと視認することができます。私はコミックプロジェクトも同時進行させていますので、原稿を表示してみましたが、「2Kモニタだとボケてごまけて見えてた部分が、克明に表示されるので、ちょっとドッキリ」しました。鉛筆のラフ原稿を300dpiでスキャンした画像の、それはもう、生々しい事といったら‥‥。

2Kのモニタ、2Kのコンテンツを旧世代と評して過言ではない、2Kと5Kの埋めることのできない品質的な格差があります。

4K/60コマフルモーション/10bitでアニメーションを作って、iMac 5Kのような高密度再生環境で再生すれば、確実に今のアニメとの大きな格差を「映像面だけでもアピール」できます。これは作っていて、凄い励みになります。

願わくば、1〜2年でiMacの27インチがすべて5Kラインアップに刷新され、価格も10万円代後半になってくれれば‥‥と思います。世間的にある程度、適切な再生装置が浸透してからでないと、「4Kの偽再生」となり、かえってマイナスのように思います。

今まで、4Kテレビをロビーとかで見かけてきましたが、はっきり申しまして、何も迫るものを感じませんでした。今、思い起こしてみれば、その60〜80インチ前後のテレビ映像は「リフレッシュレートが低く」て「拡大しすぎで画素密度が低かった」のでしょうネ。

2016年のオリンピックに合わせて、家電メーカーは4Kテレビを売り込みに出るでしょうが、ローコスト化の技術において、間に合う?‥‥のでしょうか。中途半端な性能(30pとか)の4Kテレビを割高にお客さんに買わせたら、その後の怨念による反動も大きいと思いますしネ。でもまあ、家電メーカー以上に、放送のインフラの方は整うのかな‥‥? 「4Kだと言われたら、徐々に綺麗に見えてきた」なんてプラシーボ効果のような4Kコンテンツなんて、最悪ですヨ。 初見で「うわ!綺麗!」と言わせなければ。

1996年に「デジタル」に踏み込んだ時、フィルム時代の様々なテクノロジーが一気に陳腐化した思いを抱きましたが、今回は同じかそれ以上の感慨です。その当時、フィルムベースの制作システムが急速に色褪せて見えたのを今でもよく覚えています。メカニズム上どうしても、4Kにアップコンでしか対応できない現在の「デジタルアニメ」制作システムの未来は、如何許りでしょうか。

ともあれ、iMac 5Kを手にして、今までの確信が、揺るぎない実感へと変わりました。こんなにピュアに、作り手のパッションがニュアンス細かく伝達できるのなら、まずは8Kでなく4Kでも充分イケそうです。

本当に、2014年秋のタイミングでiMac 5Kが出てくれて良かった‥‥です。

iMac 5K、来る

注文したiMac 5Kが到着し、早速設置しました。今までの三菱のモニタはアームを横にずらしてサブモニタとして配置し、年に2〜3回しか使っていなかったVHSや地デジチューナーは取り外してクローゼットにしまい、プリメインアンプやモニタースピーカーはケーブルの取り回しから見直し‥‥など、結構大掛かりな模様替えとなりました。

でもまあ、4Kやその次の8Kに照準を定めるには、ちょうど良い「潮時」だったのでしょう。なんとなく残存していたSD時代の品々を一掃した事により、iMacが来て狭くなるどころか、逆に少しスッキリと広くなった印象です。

同時に、今後も変わらず必要となる「アナログ」な要素も明確になりました。前時代的な思考だと「アナログ vs デジタル」の構図を想像しがちですが、アナログとデジタルは共に歩むものであって、敵対すべきものではないのです。iMac 5Kの横には、ごく普通に、ステッドラーの925や、ロットリング、コヒノール、LAMY、ぺんてるの筆記具が並んでいます。

で、iMacの5Kですが、やはりといえばやはり、「でかいRetina」ですネ。実はあまり感動はしませんでした。Retina関連の製品をすでにいくつか所有していましたし、Kindle HDX 8.9も相当高詳細だったので、事前に目は慣れていたのです。ただ、27インチに敷き詰められたRetinaは、やはり「大きく、きめ細かい」のひとことに尽きます。

起動してデスクトップを見てすぐに、画面の書き換え速度が60Hz前後なのが視認できました。念のため、3860px, 4096pxの48.0, 59.94, 60.0fpsの各種ムービーを再生してみましたが、綺麗にコマ落ちすることなく、整然と再生できました。各フレーム毎に仕込んだ全マーカーが、全て視認できたので(視認しやすいように工夫してあります)、60fpsまでの再生能力は問題ないようです。まあ、Appleがドヤ顔で自慢する製品が、まさか30Hzなんていうことはないと思っていましたが、ちゃんと再生できて無事何よりです。

アニメがらみの話で、「1秒間24コマ以上の動きは、人は認識できない」なんていう論調がありますが、全然そんな事はなく、見れば一目瞭然、動きの違いがハッキリとわかります。24コマ世界しか知らない人が、想像で話しているだけで、人間の視覚能力は24Hzなんていうお粗末な性能ではありません。ゆえに、リフレッシュレートは映像の品質に大きな影響を及ぼすのです。

まったりと絵がモニタに貼りついたような質感は、30Hzでは得られないものです。慣れてくると、単にデスクトップのアイコンを見ただけでも、大体のリフレッシュレートがわかるようになりますヨ。

思うに、iMac 5KやiPadのRetinaモデルなどの高詳細液晶は、普及が進めば、ごく自然に人々に受け入れられていくでしょう。私の正直なキモチでは、「これが普通になるのが当然の流れ」だと思っています。綺麗に印刷された出版物のように、輪郭がシャープでチラつきのない、整然としたグラフィックを嫌がる人は少ないと思います。数十年前の当時の技術ゆえに輪郭のにじんだ出版物を、今の目で見ると相当読みづらく感じますが、映像も同じように、ごく普通の感覚の一般の人々は、よりストレスの少ない高品質な映像へと流れていくでしょう。

実際、今ブログを書いているiMac 5Kの画面から、1920pxのHDモニタに視線を移すと、過去のHD解像度が全体的にボケていたことが、はっきりと判ります。‥‥ぶっちゃけ、価格さえこなれてくれば、「これが普通の品質だ」といわんばかりに、新たな「標準」を形成していくんじゃないですかネ。

少々不安だった「Fusion Drive」も、システムで使う分にはSSDのような高速感を実現しており、意外にイケそうな雰囲気です。ただ、映像制作用途では容量の小さなシリコンドライブ部分で対応できるとは思えないので、計画通り256か512GBのSSDをひとまずUSB3.0でつないで作業エリアにします。まあ、私はいつも「起動ディスクには作業エリアをおかずに、バックアップ体制込みで組む」ので、今回もそのようにします。

ヨセミテに関しては、まあ、アップルの方針なんでしょうがないかな‥‥という感じですかね。早くもSafariの入力がフリーズするあたり、油断せずに付き合ったほうがよさそうです。音楽用のアプリケーションでいくつか動作不能になったのがあるらしいですから、今までの環境を担保した上で、新OSを導入したほうが良いスね。Appストアのレビューに「After Effects 5.5が動かなくなった」との書き込みを見かけましたが、‥‥CS4とかCS5.5とか、昔のOS用に作られたアプリケーションが最新のOSで動くと考える方がマズいです。昔のソフトを使い続けたいなら、環境ごと昔のまま保持して、新しいものに手をだしちゃダメです。

まあ、ともあれ、ようやく何も気にせず、4Kに打ち込める環境を手にできたのは幸運です。どんなに望んでも、メーカーが製品を出してくれなければ、話が始まらないですもんネ。

 

タップに頼らず

ねこまたやさんのツイートで見かけた「2穴タップ」。実は私も以前にISO838の国際規格をもとに2穴タップに挑んでおりました。「ました」と過去形なのは、今はもう採用をあきらめたからです。

まず二穴タップの難しい点は、穴の直径の許容が「5.5〜6.5ミリ」と1ミリもあるということです。Wikiの以下の図の通り。

 

実際に色んなパンチを買ってみましたが、たしかに穴の大きさはまちまちです。律儀に6mmを守るものから、小さかったり、大きかったり‥‥。思い起こしてみれば、バインダーなどに使われる、2穴パンチに通すリング状の留め具は、直径2〜3ミリの細い鉄線ですネ。2穴パンチの規格は「紙を束にまとめるのが目的」であって、「紙をキッチリ固定するものではない」のでしょう。

つまりは、ちまたの2穴パンチは、タップの突起部円柱がジャスト6.0ミリでも、最悪、0.5ミリの誤差が発生するリスクをかかえている‥‥という事です。実際に使ってみればわかるのですが、用紙のタップ穴は「ごくわずかにタップの金具よりも大きいほうが使いやすい」のです。しかし0.5ミリも大きくなるとかなりユルくなりますし、-0.1=5.9ミリだった場合は金具が穴に入りません。2穴パンチの機種選定がかなり重要になります。仮に良い機種が見つかったとしても、それが生産中止になる可能性もあります。つまり、「規格自体が前後0.5mm(合計1mm)の誤差を許容している時点でアウト」なのです。

むしろ、2穴パンチに対して、作画に必要な「過度な要求」をする事自体が、「おかどちがい」なんでしょうネ。

またタップの突起金具〜円柱の突き出し量も、使いやすさにかなり影響します。丸められた先端部から計測して8mm以下くらいの長さがちょうど良いのです。何故って、紙を抜き差しする時に、円柱が高くなるほどと引っかかりが大きくなって、使いにくいのです。私は色々な6mmØ円柱を探しまわりましたが、先端を丸めた加工を施した、高さ6〜8mmのちょうど良いパーツは結局見つける事はできませんでした。

ここまではタップ本体の話。しかし、解決すべき問題はこれだけではありません。

用紙に穴をあける位置も重要な要素です。穴をあけるごとに位置がバラついてたら、何よりも紙をパラパラめくる時にめくりずらくなります。キッチリ、0.1mm以下の精度で同じ場所に穴をあけ続ける事が必要となります。‥‥これって、ちょっと頭で考えただけでも、個人の自宅でやるには難しいですよネ。たとえ、紙をまとめ買いして1000枚まとめて穴をあけても、数ヶ月後にまた1000枚処理する際に、0.1ミリ精度で同じ場所に穴をあける自信がありますか‥‥? 作画用紙専用パンチテーブルでも維持しなければ、ロットごとにバラつくのは避けられません。

ぶっちゃけ、タップ本体も用紙のタップ穴も、2穴でプロ同等の性能を持たせようとすると、汎用品では済まない事となり、パーツを工場にオーダーする大掛かりなプロジェクトへと発展せざる得なくなるのです。これって、絵に描いたような「元の木阿弥」です。金をかけたくないから、2穴タップを欲したはずなのに‥‥です。

さらに追い打ちをかけるのが、スキャンの誤差です。自分で描いた動画を世界に公開するには、デジタイズが必要です。まあ、自分でパラパラマンガを持参して世界を旅して道行く人々に見せてまわるのなら話は別ですが、99.9%(おそらく)の人たちは、デジタルメディアの色々〜DVDやBlu-ray、DCP、デジタルテレビジョン放送、インターネット動画、etcで公開する事になりますよネ。つまり、スキャンは避けて通れません。しかしスキャナは、スキャンの際に位置がズレたり、そもそもスキャナの性能で絵が歪んだりします。

近視眼的にタップだけに目をむけても、視野を広げていくと、実は問題は「山積み」なのです。タップは「作画システムの氷山の一角」である事を心得ておくべきです。

私はふと、数年前、「だったら、タップを使うのをやめればいいじゃん」と思ったのです。「まさかのちゃぶ台返し」です。



まあ、そう考えられたのは、私が膨大な枚数を送り描きするスタイルから脱却する新しい技法を実践していたこともありますが、要するに「弱点で戦うのではなく、優位な要素で戦えば良い」と気付いたからです。前に書いた零戦とF4Fの話と同じ事です。コンピュータを使っているのなら、コンピュータの戦闘力を最大に活かせば良い‥‥と。

旧来の作画システムの氷山の一角たるタップを、新システムにおいて、ことさらに重用する必要が、果たしてあるのか。

なぜタップ穴にこだわっているのか。タップ穴がないと「仕事にならない」と思い込んでいるのか。自分自身の奇妙さを自覚したのです。ドッグファイトも一撃離脱戦法も「両方を上手く使い分けてこそ」なのは、歴史から学べる事実ですが、タップ穴にこだわるのは、いわば旧来の習慣に無意識に隷属しているだけなのでは?‥‥と感じたのです。タップ穴の有用性はしみじみ実感していますが、それがないと生きていけないほど絶対服従すべきものなのか‥‥というと、そうではないように思えてきたのが、数年前の事です。

タップ穴をあけなくても、いくらでも絵は動かせます。今のアニメ業界のフローはキッチリとした清書まで紙の上でおこなうので、高精度のタップ穴付き用紙とタップ本体が必須ですが、モーションのラフは使いやすい紙でおこないつつ、清書的な要素(清書とは内容が違うのですが、ここでは便宜上「清書」としておきます)はコンピュータ上でおこなう新しい技法ならば、タップは必須ではありません。紙の角合わせやトンボで充分です。タップを使っても良いし、使わなくても良い。どうせスキャン時にはオートフィーダ経由となり、タップに頼らないのですから。

タップ穴がないことで、重たい雲が開けて陽が差し込んだように障害がクリアになりました。紙は様々な種類のもの(白色度や坪量の違い)が使用できるようになりましたし、そもそもタップ穴あけの手間が皆無になりました。作画した本人(または助手)がコンピュータ上でスキャンのズレを直したり、後で気になった部分を直したり、動きの修正をしたりと、最終的な動きのツジツマはコンピュータ上でおこなうことで、逆戻りを防ぐ明快なフローへと発展しました。

つまり、私の考える新しい技法における紙に絵を描く行為は、コンピュータへの「動きの流し込み」「描線の流し込み」〜インプットメソッドであって、紙そのものに対する過度なこだわりを捨てるということでもあります。「タップ一本渡り鳥」といったフィルム時代の機材に基点をおいた思考ではなく、「あなたの絵を描く資質こそが重要」というスタンスなのです。紙が最適な場面では紙、ペンタブレットが適している場面ではペンタブレット。そのツールを扱う本人の資質こそが基点で、ツールは自由に持ち替えていけば良い‥‥と私は思っています。そしてワークフローもプロダクトごとに柔軟に形を変えられるべきだと思っています。

私の以前のブログを読んでくれていた人には、私が二穴パンチに挑んでいる記事を覚えている人もいる‥‥かも知れませんが、今の私は「タップ自体を使わない事にした」ので、もはや悩みから解放されているのです。解決の糸口が見えない事案が消滅した事で凄く気持ちが楽になりましたし、旧世代のインフラを使わなくてすむのでコストを調整しやすくもなりました。

アニメ業界のマネごとをするのであれば、アニメ業界の機材に代わるものが必要でしょう。しかし、「絵を動かして映像を作る」という本質に立ち戻って、焦らず冷静に、手元にある機材をどのように活用すれば自分の「真の望み」が叶えられるかを思考すれば、徐々に「誰かの方法に頼らない」新しい道が見えてきます。

今のアニメの作り方は、どこかの誰かたちが、コンピュータなど身近に存在しない時代に、当時のリソースを駆使して築き上げたものなのです。現在は部分的にコンピュータへと置き換えて、継承しているに過ぎません。であれば、コンピュータが身近に存在する新しい時代に、自分たちで新しい作り方を考えても、全然不思議でもないし、大それた事でもないですよネ。

「タップ自体を使わないなんて、何て事を言い出すんだ」と思われるのでしたら、それは旧世界の習慣だけで思考している証拠です。タップは何のために存在しているのかを、原理や仕組みの視座で今一度みつめ直してみれば、タップを使わずにタップが成していた事を「結果的に実現する」アイデアが色々と思いつくものです。誰かの作ったシステムに染まったままだと、タップそのものに目がいきがちですが、本質的には「位置が合う方法」を考えだせば良いだけのことです。

でもまあ、ここまで書いておいて何ですが、新しい技法においても、タップのような固定器具は、あると「便利」です。文鎮にもなるし。ただ、必須ではないですし、私はタップを使わないでクリップ止めで描いております。クリップ止めで描いたラフ画も、フレーミングはコンピュータでシビアにおこないます。3穴タップを使うのはアニメ業界標準の仕事をする時だけ‥‥です。

ちなみに私は「文房具愛」が強い傾向にありまして、極豆のクリップなどは可愛くてしょうがありません。

 

プロ用iMac

予定より早く到着する事になったiMac 5K。お知らせメールに記載されたスペックを改めて見ると、iMacではありながら、プロ使用に堪える性能をもっている事を改めて実感します。


*メモリは自分で後で付け足します。iMacは後に回ってカバーを外せば、簡単にメモリスロットにアクセスできるので、よほど不器用な人でない限り、メモリの脱着は自身で可能です。メモリ増設は、高価なBTOではなく、安く通販で買って自分で装着‥‥がお金を節約する基本スね。

上記構成の金額で、31万です。しかも税抜きで。‥‥まず、金額からして、ご家庭でパパが「そろそろ新しい『パソコン』に買い替えようか」なんていう場面で候補に挙がる金額じゃないです。10年前ですら、20万くらいがご家庭の上限だったと思いますし。こんな金額、何らかの強い目的でもなければ、2014年の今に、自腹で支払う人はいませんよネ。

ですから、iMac 5Kの「25万スタート」の金額は、ハナから一般家庭での「パソコンとしての使用」を想定していないとも思えます。iMacと言いながら、実はプロ向けの個体としてAppleも考えてるんじゃないでしょうかネ。

製品のターゲットを考えた際、高解像度の静止画を扱うフォトグラファーとか4Kの映像制作者は当然想定するとしても、家庭のリビングに共有パソコンとして買うパパ・ママは想定していない気がします。もし一般家庭のパパ・ママを想定してたら、感覚がズレ過ぎてますネ。

5Kのパネルを持つiMacは、フォトグラファーや4K映像制作者だけでなく、イラストレーターやマンガ家さんにも、利点が多いんじゃないでしょうか。電子出版が登場して久しい昨今とは言え、印刷物を扱うことも多いでしょうから、1920x1080のHDや2.5Kのパネルでは「まだまだ小さい」と感じているプロの人も沢山いらっしゃると思います。まあ、ポスターになると8〜12Kとかもあるので、5Kでも収まらない事はあるでしょうが、2Kディスプレイに比べれば作品の画面密度を把握しやすいです。‥‥てなことを考えるだに、やっぱり「プロ仕様」のiMacですよネ。

4K映像制作に用いようと企む私が、今一番気にしているのは、リフレッシュレートです。iMacの場合、OSXの環境設定にリフレッシュレートが表示されないんですよネ。しかし、強制的にリフレッシュレートを確認する方法はありますので、到着したら試してみます。

加えて、Fusion Driveの性能がいかほどのものか、初めて使うのでよくわからないので、転送落ちだけは心配です。実は現行のハードディスク製品は、4K映像視点で見ればもはやアクセス速度で役不足なので(どんなにSATAやThunderboltが高速でも本体が遅ければダメです)、価格の下がってきたSSDが今後4〜6年の映像用途において主力になっていくのは明らかです。なので、SSDとHDDの折衷案ようなFusion Driveには、あまり期待はしていないのです。HDDのアクセス速度に強烈なブレークスルーが生じない限りは、大量のストックは遅いHDD、頻繁に大サイズのデータを読み書きする作業エリアはSSD‥‥という棲み分けが、当分の間は必要です。

4K60fpsの簡素なラインテスト(今で言う線撮的なもの)ですら500Mbps〜1Gbpsのあたりをウロウロしているので、作業環境は相当な速度性能が要求されます。ちなみに現在のアニメ(=HDサイズ)は、Avidの圧縮コーデックだと23.976fpsで180Mbpsくらいになるのが多いようです。一般家庭向けですと、Blu-rayは30〜50Mbps、DVDは9Mbpsくらいになります。私はできるだけコーデックで画質を落としたくないので、23.976fpsの現在も300Mbps前後のコーデック(ProRes4444)を使用していますが、4Kの48〜60fpsになると、当然ですが比例して、データ転送量もグンと増えます。未来にどれだけ高速なデータ転送速度が必要になるのか、数字だけでも想像できると思います。

私は256〜512GBのSSD・USB3.0接続で、250〜300MB/sくらい、つまり2Gbps以上くらいの速度を確保して、当座のワークエリアとして凌ぐ予定です。HDDとUSB3.0の組み合わせは鈍重で、もはや作業エリアにはならないと認識しております。ただし一方で、Thunderbolt2・RAID0(ソフトウェアの)・7200rpmのHDD2つの構成で、2.4Gbps前後が確保できることを確認しているので、お金のあるひと(Thuderbolt2のハコはUSBに比べてグンと高いスよ)はHDDのラインもまだアリかも‥‥です。
*ちまたのレビューを参照する際は、MB/s(秒間メガバイト)とMbps(秒間メガビット)を混同しているものもあるので、読む側で注意が必要です。
*RAID0は、調べてみればお解りのように、データが破損した際にヒサンな事になるので、必ずバックアップ体制とペアで運用します。私はHourlyの履歴バックアップをとっていますが、速度低下はほぼ感じていません。


USB3.0の5Gbpsの規格自体、4Kの複数ストリーム用途には早くも役不足になるやも知れませんが、完成映像の再生に限定するなど使い方をわきまえれば数年は保ちます。一方のThunderbolt2は20Gbpsですから、規格自体は充分なスペックですネ。編集作業にはThuderbolt2&SSD&RAID0なんていう組み方も必要になるかも知れません。

こうして色々と書き綴ってみると、本当に今は、「移行の始まり」なんだなと思います。今まで標準を支えた様々なモノが旧くなり、新しい性能をもったモノが出現して、「居場所」を交代し新しい標準を形成する‥‥という事象において。‥‥つまりは、旧世代フォーマットの「終わりの始まり」なのかも知れませんネ。
 

液タブ・2

液晶ペンタブレットの市場規模と、タブレット(iPadやKindleなど)の市場規模の差を無視して、私が前回書いた「液晶ペンタブレットの進化速度が遅い」と言ってしまうのは、少々酷なような気もします。ただ、どんな理由があろうと、「描き手側にストレスが存在している」のは事実でもあります。

市場規模の差ゆえ、販売価格が最低でも10万円前後と高価で、購入に二の足を踏む場面も多いようです。もう少し安ければ買ってみてもいいんだけど‥‥というフレーズを何度も耳にしてきました。

私は、「安く手に入れたいと願う消費者の心理」は善悪の両方向に作用すると思うので、専門分野に多く用いられるペンタブレットは過剰な安売り合戦に挑むべきではないと考えています。しかし一方で、競争が少ないぶん、液晶パネルの性能が見劣りするような状況も発生しているので、「一人勝ち」は好ましくないとも感じます。

Cintiqの標準機種が10万前後という価格は、別に悪くないと思います。これを3万円以下にしろだの言い出すと、色々な面で破綻が生じるでしょうから、10〜15万の対価を払って成り立つ人間向けの価格設定のままでいいと感じます。性能に高い金額を支払える人間が、意を決して購入すれば良いので、何でも安く買い叩こうとする消費者はそれ相応の性能の製品を手にすればよいのです。しかし同時にメーカーサイドは、ペンタブレット技術だけでなく、液晶タッチパネルの面においても、10〜15万円に見合うだけのユーザーエクスペリエンスを提供すべきだとも思うのです。

10万円する液晶ペンタブレットで、2万円以下クラスの液晶ディスプレイと似たような品質だったら、10万円を捻出した消費者としては、言葉は悪いですが「ぼったくられた想い」にかられても、しょうがないんじゃないでしょうか。

でもまあ、開発費も含めて原価だとすると、べらぼうに大量消費されるジャンルではないペンタブレットは、どうしても原価率を下げる必要性が生じるのも、想像に難くありません。

でもユーザとしては、9〜13インチで10〜15万の価格に見合う質の高い液晶ペンタブレットを欲している‥‥という、ジレンマが生じます。

液晶ペンタブレットについて色々と思索してみると、世界中で売れているiPadやKindleと同じメカニズムで考えてはいけないことが「大前提」なのが解ります。‥‥で、違うメカニズムとして出てきたのが、Adobe Inkのようなソリューションなんでしょうネ。

タブレットは、指先で感知する特性上、入力ペンも幅広でふかふかな感触なものが多く、その時点で画具としてのボルテージが下がります。最近は、極細(といっても油性マーカーの極細程度)の入力ペンも出てきていると言っても、0.3mmのシャープペンを常用している私としては、「最後のギリギリを詰められるのか」とても不安に感じるペンに見えます。実は、Adobe Inkもそのへんはユルいだろうなとは予想しているんですが、液晶ペンタブレットの牙城を切り崩す可能性が出てきたのは、素直に喜んでいます。

0.3ミリシャープペンコピックマルチライナーの0.03ミリに匹敵する描画入力装置は未だ皆無ですが、そこをツツいても話は始まらないので、「ほぼOK」なレベルの描画入力装置の到来を、私だけでなく多くの人は待っているように思います。それが液晶ペンタブレットになるのか、タブレット&入力ペンになるのか、しばらく見守っていきたいと思います。

Adobe Inkは、Adobeのメンツがかかっているので、失笑されるような製品は売り出さないはず‥‥です。と言う事は、それなりの性能をもっていることが予想できます。第4世代以降のiPad、iPad Air、iPad mini(Retina含む)が動作対象らしいので、私の所有するiPad mini Retinaでも大丈夫っぽいです。‥‥まあ、小さい画面で絵をどれだけ描く気になるかが問題ですが。‥‥頃合いを見て、買って試してみるべき商品ですネ。ボードとかがiPadでさくさく描ければ、それだけでも使い道はありますしネ。

液タブ

私は液晶タブレット(Cintiq)も使っているのですが、1世代前のモデルということもあり、全く性能に満足していません。画面に直に描けるから使っているだけで、画具としてはかなりポテンシャルが低いと実感しています。

最近のはHD解像度を売りにしているようですが、RetinaのiPadやKindle HDXが普通に流通している現在からすれば、Cintiq13インチで10万円の価格は、4〜5万円のiPadやHDXにIntuosレベルのペンタブレット性能を付与したと考えても、魅力に乏しい感じがします。高密度液晶が市場に登場してから随分経過するのに、液晶ペンタブレットの市場は「WACOMの一人勝ち」なのか、何やら技術の進化速度が緩やかな印象を受けます。

今のCintiq HDは使っていないのでわかりませんが、1世代前のCintiqで特に「使いたくない」と思う大きな2つの点は、「本体が熱い」「視野角が狭い」という点です。

特に、視野角が狭いのは、かなり困るんですよネ。私は本体を立てずに、紙のように机にペッタリ置いて使いたいのです。そうすると、液晶画面を少し見上げた状況になり、色が激変するんですよネ。‥‥つまり、色の重要な仕事は描く姿勢を変えないとできませんし、実はちゃんと正面から見ても1世代前のCintiqは液晶パネルの品質も低い(プロ現場の標準からすれば)ので、「現在表示している色は話半分」として運用しています。‥‥つまり、カラー液晶パネルのアドバンテージがあまり活きていないのです。

1世代前のCintiqも、さらにその前のCintiqではない液晶ペンタブレットも、当時のレベルから1〜2段性能の低い液晶パネルを使っている印象が強く(というか、実作業上の実感として)、一方では値段は結構高価だったりするので、Intuos系列は愛用しているものの、今ではCintiq関連は現在はスルーし続けている状況です。現行モデルは、Retina関連のApple製品やKindle HDXに比べて、液晶パネルのポテンシャルはどうなんでしょうネ? HD解像度になったというだけでは、どうにも買う気がおきません。

ディスプレイの品質の低さにじっと我慢しながら絵を描くのって‥‥私は数時間しか堪えられません。

‥‥そうなんだよね、液晶ペンタブレットは、それなりの高いお金を払って買うわりに、我慢して使う‥‥という、何ともやりきれない感情が生まれるんですよネ。「とは言っても、他に選択肢はないしな‥‥」という感じで、「WACOMはディスプレイメーカーではないし」と「あきらめて使う」感情がずっとつきまとうのです。う〜ん‥‥。

2.5Kのタブレットが普通に流通し、5KのiMacが登場した現在、液晶ペンタブレットに期待される性能も、相当なものだと思います。中途半端な性能の液晶パネルしか持たないペンタブレットでは、新しい未来は想像できません。

ですので、Cintiq以外の「ディスプレイに直に描くソリューション」が増えていくのは、大歓迎なのです。WACOMもiPad用のペンを以前出してて(今も?)、私も買った事があるのですが、‥‥これも中々ガッカリする出来(他との価格差に見合う特質すべき性能がない、パーツのネジが容易に緩んで紛失しそうになる、etc)でしたから、WACOM以外の選択肢が増えるのは、画像&映像制作側にとっては都合の良い事なのです。

ただ、私はIntuosという名のつく前、64だか128諧調のWACOM製品の頃から愛用している身なので、できればWACOM製品を使い続けたいとは思っているのです。しかし、今の液晶ペンタブレットのラインアップは買う気になれないのも正直な気持ちなので、今までのまま(自社のペンタブ基礎技術以外の要素は売りがない)が続くのならば、昔ながらの画具とスキャナとIntuos5で充分だと思えてしまうのです。
 

iMac5K、注文完了

悩むまでもなく、注文致しました。夏にMacBookも買って苦しい状況ではあるのですが、数日迷ってみたところで、値段が下がるわけじゃなし、じゃあ半端な4K環境で来年もやるのかと言うとソレはお金以上に苦しいので、在庫があるうちにドカンと決済しました。CPUはi7の4GHz、ビデオは4GBのRadeonに変更し、結構なお値段になりましたが、これはもう、どうしようもないスね。ちなみに、メモリは4x2=8GBのままで注文、後日にAmazonの安いメモリを追加購入する予定です。

悩んで熟考して最良のジャッジが得られるパターンと、悩むだけムダなパターンと、大まかに2つの分岐があるわけですが、今回は後者だと判断しました。iMac5Kと同等の環境を手に入れるために、どれだけお金を用意すれば良いか‥‥を考えれば、結局はiMac5Kを買ってしまうのが一番安上がりに思います。

一番コンパクトな4K映像制作&上映のソリューションである事も、大きな着目点です。2014〜2015年に、4Kのデモをおこなう際に、出先に4K環境が無い事は充分予測できる事ですから、そんな時はちょっとデカいけど、iMac5Kを持ち込んでしまえば良いですしネ。

今回のiMac5Kの特質する点は、4Kより大きい5K‥‥なんてのはぶっちゃけどうでも良くて、5Kを奇麗に表示するための「エンジン」部分、すなわちマシンパワーが5Kモニタと合体している点です。

モニタだけ買ってもダメなんですよネ。マシンの性能が追いついてないと。‥‥で、接続できて画面表示できるだけじゃ、ダメなんですよネ。それなりのリフレッシュレートで映像再生できないと。

モニタとマシンの性能が要求を満たしていないと、真の4Kの映像制作環境は構築できなかったわけですが、iMac5Kはそれをオールインワンで提供してくれるのです。色校正に関しては、MacBook ProのRetinaを見る限りではかなり良好で、2.5kのiMacのパネルとは性能が違うようですから、おそらく「経験と工夫でクリアできるレベルにおさまっている」だろうと思います。

iMac5Kを基幹としたシステムの場合、MacOSXのリソースも含めて制作環境を構築できるのが強みです。4K映像コーデックはProRes4444をチョイスすれば良いですし、高速な作業エリアが欲しい場合はThunderbolt2のSSDを用意すれば当面は足ります。(HDDはどんなにインターフェイスを高速化しても、アクセス速度が鈍重なので、RAIDを組んでもSSDに及ばない事が多いです)

ProRes4444は、DPXと比較しても全くと言っていいほど画質変化がおこらないので(少なくとも私の確認した範囲では、惚れ惚れするほど、画質が「同一」でした)、10bitのマスターとして使用して問題ありません。既に私の関わった劇場作品で運用実績があるので、ProRes4444をチョイスしておけば、心配なしです。(ちまたのラボでは自分らの運用実績のないProRes4444を敬遠しますが‥‥、ラボの都合で画質を下げるのはイヤですよネ)

しかしこれで、何のストレスもなく、4Kを進めていけます。今までは、データは4Kなのに、部分的にしか4Kを表示できなかったのが弱みでしたが、これでごく普通に作業が進められます。

まさにこの1〜2年の大事な局面の前に、iMac5Kが発売されたのは、運が味方してくれたようで、嬉しい限りです。ああ、良かった‥‥。

 


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