HDDケースを買い替え

USB3.0のHDDはよく「落ちる」。

恐らく、Macで特に不安定なのだと思いますが、突如HDDがデスクトップからアンマウントされる症状を、私はもう2年近く誤摩化しながら運用しております。しかし、自宅レベルとはいえ、大切なアーカイブを保存してあるサーバのHDDの「アンマウント癖」はもう誤摩化しきれないと観念し、新たに「安定動作で(わたし的な範疇で)実績の高い製品」へと買い替えました。

こやつ、です。


Logitec HDDケース 3.5インチ RAID (HDD4台用) USB3.0 + eSATA接続 ガチャベイ LHR-4BRHEFU3

4発ケースとしては、お高めの価格設定の18,000円台ですが、USB2.0/3.0, FireWire400/800, eSATAと、Thunderbolt以外の接続形式全部入りです。以前から、公私ともにこれをUSB3.0接続で3台使っていますが、少なくとも私の使用経験ではアンマウント癖は一切なく、1年365日24時間、動きっぱなしで健常動作しております。

USB3.0でアカン場合は、FireWireで‥‥と思って機種選定したのに、FireWireの出番は一切なく、USB3.0で安定動作しているので、ちょっとだけ悔しいス。でも、FireWireは経験上、素晴らしく安定しているわけでもないので、USBで安定しているのなら、それで良しです。

今回は、同型のバリエーション、USB&eSATAオンリーのちょっと廉価な「LHR-4BNHEU3」を買って試してみます。私はケース側のRAIDを使わず、システム側のソフトウェア上でRAID0を複数組みTimeMachineと組み合わせる「RAID0 + TimeMachine」運用(RAID10にちょっと似た感じになります)なので、RAID機能を持たない安価なEU3で十分なのです。これで数ヶ月運用して安定動作が確認できれば、ようやく「ひと安心」できます。
*RAID0を使うという事は、「いつかHDDがブッ飛ぶ」のを予期しているわけです。その日が来るのは、できるだけ作業のピーク時でない事を願ってはいますが(復旧に1日くらいかかるので)‥‥。私は企業が使うHourlyバックアップの機能が自宅にも欲しいので、RAID0を丸ごと、TimeMachineでバックアップしています。RAID1+0とかだと、耐障害性は確保できても、「間違って消しちゃった」みたいな人災には対応できないスもんネ。

「最初からコレを買っておけば良かったんだ」なんていうのは、結果から見ればそうですが、結果は行動してみて得られるものなので、仕方ねいです。365日安定動作するか否かなんて、商品の説明やユーザレビューだけでは、見通せませんしネ。

でもまあ、私が購入した他のUSB3.0ケースは、Mac Server用途ではNGだった‥‥のは確かです。USB3.0のHDDケースには随分と散財し、クローゼットの中には使えなかったケースがいくつも眠っております‥‥。そんなこんな、ロジテックの4発ケースは、今のところ、安心できる機材と言えます。

じゃあ、ロジテックは他も良い思い出があるのか‥‥というと、実は以前に4台買ったUSB2.0のケースの内、3台が「ファンの故障」で使えなくなった事があります。1台はファンが完全停止、2台は猛烈な騒音を発するようになって、電源をオンにできなくなりました。後にファンを買い替えて修理したんですが、故障するのが早かったので、製造メーカー(販売メーカーと言ったほうが適切か)には、良い印象はありませんでした。つまりは、製品毎に品質が大きく上下する昨今、「このメーカーを買っておけば安心という甘い考えは持たないほうが良い」という事‥‥なんですネ。

昔っから、「機材の相性」(細かく言えばコントローラチップやドライバソフトウェアなど色々でしょうが)などという釈然としない理由で、散財してきたわけですが、この状況は未来も延々と続くんだろうな‥‥と思います。コンピュータの世界とは、すなわち、煩わしいもの‥‥なんでしょうネ。
 

難しいままで良い

マシンが悲鳴を上げ、シークレット環境設定などに頼らないとレンダリングが完結できないほど、「劇重」の負担を要求する、(私の考える)新しいアニメーション制作技法。マシンだけでなく、作業に従事する人間にも、それ相応の技量と練度が必要になります。

コンピュータは、どこかうがった見方をされていて、「コンピュータの機能を使うから、作業内容は、どうせ簡単なんだろう」と思われているフシがあり、事実として「誰でも簡単にできる」なんていう宣伝文句で売るソフトが、過去は(今でも?)かなり多かったのは事実です。

しかし、私の準備する技法は、「コンピュータが簡単だなんて、口が裂けても言えない」内容です。そして、簡単な内容にしようとも考えておりません。コンピュータだけでなく、様々な要素が「とても難易度が高い」です。

でも、難しいままで良い‥‥と強く思います。簡単である必要はなし。

根本的な事ですが、元来「アニメーション技法は難しい」のです。そこは誤摩化しようがありません。

不特定多数の人々に働きかけようとして、「簡単だ」「楽だ」なんて喧伝したって、「良いものを作ろうとすれば、自ずと難易度があがる」のは明白です。

私は、未来の技法においても、「作画度胸」は必須だと思っています。コンピュータが「才能や経験を補ってくれる」なんていう甘い幻想は捨てた方が良いです。動きの実現手段としてコンピュータを用いるのは、私が何年も研究開発している事ですが、「コンピュータの機能だけで動きを作れるとは思っていない」のです。「動きは頭の中で作る」必要があり、「具現化の為にコンピュータ」を用いるだけです。才能は当人の修練次第。コンピュータは才能を拡張する働きをするものであって、補ってはくれないのです。

アニメーション技術は難しく、コンピュータを使いこなす技術も難しく、制作システムは多くの才能を要求します。でもそれが「売りもの」としての、根本を成すのですから、無理に内容を簡単に雑にして、「価値」を下げる必要はないのです。

そして、自らの価値を下げないためにも、今のままではやがて「自滅」するような旧システムを、惰性で延々と、継承し続けてはならないのです。強い痛みを伴い、大きな代償を支払ってでも、建て直す必要がある‥‥と思います。建て直した後には、支払った代償は、やがて再び、より多くなって、手元に戻ってくるのですから。

重くしたらブチ切れた

After Effectsの「シークレット環境設定」は、知る人ぞ知る、After Effectsの「ウラ技」ですが、こんだけマシンもソフトも余裕たっぷりの2014年現在に、もはやウラ技など不要!‥‥かと思えば、実は私は今でも使っているのです。

重い内容のレンダリングをさせると、「バキ!」「ブチバチ!」と強烈なノイズとともに、After Effectsがエラーを出して、マシンもろともフリーズさせる事があります。

「そんな、ウソこけ」と思われるかも知れませんが、何度でも再現できる、再現性のあるエラーなのです。アドビの人はこのエラーを認知してるかな‥‥。

「マシンの限界以上の事をさせると、ブチバチ、パキン!という音とともにフリーズする」なんて、何か、昔のアニメの描写そのものだよネ。正直、初めてこの症状を体験した時は、マシンのハードそのものがブッ壊れたのかと思いました。液晶にヒビでも入りそうな、強烈なノイズでしたから。

回避方法は、簡単ス。

シークレット環境設定の「レイヤーキャッシュ」の設定を「1フレーム」に設定すれば、エラーを回避できます。「んな、アホな」と思いましたが、本当です。この設定にすると、レイヤーのキャッシュ(=レイヤーの画像データの一時保存)を1フレームレンダリングする毎に破棄するので、メモリがオーバーフローしにくいのです。‥‥でもしかし、32GBもメモリを積んでいるのに、シークレット環境設定のお世話になるとわ。
*同じ絵が続く場合(いわゆる「止めセル」ですね)も、1フレーム毎に読み込み直しなので、当然、レンダリング速度は遅くなりますが、エラーは出ない(出づらい)‥‥という事です。

メモリを目一杯喰うレンダリング内容で、まさかマシンから強烈な異音が鳴り響く‥‥なんて、この件以外で記憶にないなあ‥‥。

マシンに「こんな重い内容、素でレンダリングできるか! レンダーキューを実行したら、何でもホイホイ大人しく、レンダリングすると思うな、ボケー!」と、ブチ切れられたかのようです。


アドビに報告しようかな‥‥どうしようかな‥‥。

ブラザーのスキャナ

月曜にアマゾンで買って翌日に届いたブラザーのスキャナ「ADS-2000」と「MDS-700D」。

お値段は、ADF付きのADS-2000が2万円ちょい、手差しの簡易スキャナが5,000円未満‥‥と、相場から考えれば随分な安値です。PFUのScanSnapが4万円前後である事を考えれば、同等製品のADS-2000の2万円は半額に近いです。

まず、ハンディな手差しスキャナのMDS-700Dですが、‥‥‥これはアカんかった‥‥です。

持ち運び用にソフトケースが付属しており、USBからの電源だけで動作しますが、そんな事より、スキャンがしにくいのが私にとって致命的でした。

MacOSX Mervericks環境ですと、色々な機能や操作の幅が制限されるので、使う気がどんどん失せてくるのです。

実は私、ブラザーの製品が好きで、結構色々とブラザー製品を買っているのですが(今回PFUではなくブラザーにしたのも、日頃の信頼感から)、今回のMDS-700Dは残念でした。いつも使う「ブラザーコントロールセンター」でMDS-700Dも操作できたら、何の不満も無かったのですけどネ‥‥。Mac環境では本体のスキャンボタンも死んだ状態なので、何だか悲し。

今回買ったもう一方、本命のADS-2000は、優れた競合製品も多い中、どれだけの性能を見せるかがキモでしたが、300dpiでグングン読み込む、期待通りの高速性能ADFスキャナでした。私がブラザー製品に期待していたのは、まさにこの感じ、です。

ストップウォッチで計測してみましたが、300dpiの設定で、41枚82ページを動き出しの挙動まで含めて105秒でスキャンしたので、十分速いですネ。とりあえず206枚ほどスキャンしてみましたが(何枚スキャンしたか、通算で確認できます)、特に紙を捌いて風通しを良くしていませんが、重送は一切発生せずで、これも好印象です。

ただ、1つ注意点が。

ローラーが鉛筆の黒鉛を引き摺るので、「黒鉛書きの厳密な原稿」のスキャンには「NG」です。何ぶん新品なので、ローラーの表面がこなれれば改善されるかも‥‥ですが、現アニメ業界の線撮などでの新品使用は控えたほうが良いと思われます。
*ADFは多かれ少なかれ、こういう問題が発生しますネ。ScanSnapでも多少ありましたし。

私は、ADFはラフスケッチ用、フラットベッドは清書原稿用‥‥のような使い分けをしているので、特に気になりません。要は「使い分け」でしょうかネ。

猛烈な勢いで動きを描きまくる際に、スキャナも負けずに高速にじゃんじゃんスキャンして欲しいので、高速動作かつ操作が手軽な事こそが、私の考えるADFスキャナの最重要項目です。「スキャンが面倒」だというキモチが頭の片隅にでもあると、描く絵の枚数を端折りがちになるので、「スキャン枚数が増えたところで、何の負担にもならない」と思い切れる「大量&高速」スキャナが手元に欲しいわけです。

* * *

私は「高速だけど画像品質の危ういADFスキャナ」と「手間はかかるけど画像はそこそこ良いフラットベッドスキャナ」の2種の組み合わせで、ワークフローを設計しています。2種の共通した欠点は「大小の差こそあれ、結局は絵は歪む」事ですから、「スキャン時点では精度は保証されない」事が「納得尽く」のフローを実施しています。

ネタばらしを事前にあまりすべきではないですが、私の実施しているフローでは「タップ穴」自体が存在しません。アニメーション作品作りにおいて、絵を描く行為や描いた絵をデータ化する行為が、「何を最終目標としているのか」を見極めれば、「タップ穴を使い続ける是非」を問う事もできるのです。

タップ穴は何のためにあったのか。複数の絵を位置合わせするための「アンカーポイント」ですよネ。‥‥であるならば、「タップ穴そのものにこだわる」のではなく、「タップ穴が成し得ていた内容の本質」を、現在の機材の利点や長所を用いて実現すれば良いのです。

私の考えるフローには「タイムシート」や「タップ穴」は存在しませんが、「時間軸上での映像表現の経緯をUI化する」事や「各素材の位置合わせ」は依然として存在します。‥‥まあ、あたりまえの事ですよ‥‥ネ。

「タイムシート」や「タップ穴」の「作業型」は踏襲していません。しかし、「タイムシート」や「タップ穴」が「成し得ていた本質」は、現在の技術を活用した別の作業型で実現しているのです。

私が先人から受け継ぎたいと強く欲するのは、「結果物」ではなく、「知恵」なのです。

* * *

フィルム時代から現在に続く旧来のアニメは、まさに1900年代の「申し子」だったのかも知れません。フィルム、カメラ、製紙技術、セルロイドやアセテートなどの化学繊維技術など、アニメは周囲の様々な技術を自らの制作技術へと吸収し活用していきました。

アニメの作り方は、何百年も前から伝統的に決まっていたものではなく、1900年代に「その時々の旬の技術を用いて」確立したものです。アニメ技術が生まれた頃は、身の回りで発展する技術を取り入れる事に、とても柔軟で意欲的だったのかも知れませんネ。

では、2014年の今のアニメの作り方は、「その時々の旬の技術」を取り入れているでしょうか。いつの頃かに確立した技法の、継承や代用に追われている感が強いですよネ。身の回りの現代社会で発展し続ける技術を、過去からの延長線上に縛りつけて、発展性や新しい可能性を自ら拒絶しているようにすら思うのです。

アニメは、いつから、「型」を決めきってしまったのでしょうかね?

今までの「型」から離れて、今一度、身の回りの様々な道具を眺めてみると、今までは見えなかった側面が魅力となって視界に飛び込んできます。「型」に馴れきってしまい、いつしか道具に無感動になっていた自分自身も、「型」から離れる事によって自覚できます。

「型」の色眼鏡を外せば、今そこにある鉛筆だって、別の見え方がしてくるもの‥‥ですヨ。

ADFスキャナを買う

昨日、ADF(オートドキュメントフィーダ)のスキャナと、手差しのスキャナを新規購入しました。今まで使っていたスキャナが、かなり前の製品ゆえに性能的に劣る(重送検知がない)うえに、経年劣化でどうにもヘタってしまったので、買い換えたのです。
*定番のPFU製のScanSnapではなく、ブラザー製を初めて買ってみました。ADFスキャナはPFUの半額、手差しのスキャナに至っては5千円を切る激安価格。使い心地は、私にとって未知の領域なので、現段階では言及を控えます。

SCSIの時代からスキャナを買い換えながら使い続けていますが、現在はスキャナやプリンタに「過度な期待はしない」心構えで使っています。要は、スキャナやプリンタの性能に依存しない運用方法です。

私は紙と筆記具の描き味が好きなので、現在のペンタブレットの性能を鑑みるに、まだまだペーパーレスには完全移行できない状況です。紙のように使えるペンタブなんて、まだ近未来SFの世界かなと思いますので‥‥。ゆえに、スキャナの登場回数もそこそこ多いのですが、根本的に精度を問わないワークフローにしているので(=精度は別工程で実現する)、多少歪もうが斜めになろうが、構わないのです。ADFスキャナの高速性能のほうが貢献度が大きいのです。

作業環境に用いる道具は、色々な長所と短所を持っています。私が思うに、短所がアキレス腱となる構造自体を改めて、長所が活きるように運用そのものを改変すべき‥‥と考えています。例えるならば、「サッチウィーヴ」のような戦術を開発し、長所を引き出す運用をおこなうよう取り組んでいます。
*「サッチウィーヴ」: 常識的な見識や正攻法で挑んで勝てないからといって、その道具が使いものにならないわけではない‥‥という点が、「零戦 vs F4F」の事例にあてはまるのです。子供の頃は「零戦神話」を信じて疑わない私でしたが、「やられ役のF4F」でも戦法次第では零戦に勝る事も多かったのを、大人になって知ったのでした。

スキャナには比較的スキャン品質の良好な「フラットベッド」スキャナと、読み取りが高速で作業の手間の軽い「ADF」スキャナがあります。これらスキャナを用いる際、短所を突かれて弱みが出るワークフローではなく、長所を活かしたワークフローにしてしまおう‥‥というわけです。また、A3サイズが読み取り可能なスキャナは高価ですが、であるならば、もともとA3サイズを避ける戦術に持ち込めば良いわけです。不利な戦いに巻き込まれるのを回避して、状況を有利なベクトルへと誘導する‥‥という、とてもシンプルな戦い方‥‥ですよネ。

もちろん、こうした話は、旧来ワークフローや作業習慣が「不動の絶対君主」となる現アニメ業界では通用せず、あくまで新しいアニメーション制作において可能な事です。

私が目指す「基本中の基本」は「有効活用術」です。スキャナの「使いどころ探し」もその一環であって、「得意な目標を設定」し、「目標を仕留める」使い方を引き出せば良いのです。「苦手な目標を設定」すれば、そりゃあ、ポテンシャルはぐんと落ち込みますよネ。コンピュータは「お金をかけたんだから、さぞかし、色んな面で素晴らしいはずだ」と思いがちなんですが、金をかけようがかけまいが、苦手と得意の両分野・両要素は内在するのです。

意外な面で「こんなにショボいの?」と肩すかしを喰う事もあり、時代とともに技術が進化しても、短所が未解決のままな事も多いのです。反面、使いどころを上手く見つけられれば、「価格以上の働き」をする事も珍しくありません。

ステッドラーの「925.35-20」とコヒノールの「5347」は、ごく平凡な筆記具のように見えますが、「描いたら止まらない」キケンな道具です。いつまでたっても芯がなくならないので、狂ったように描き続けられるのです。頭の中にある動きをラフでどんどん描き取る‥‥という目的において、今のところ、これに勝る道具は見つかっていません。現在のペンタブ&PCだと、動作がトロいし、何よりもダイレクト感に乏しいので、道具の使いにくさに負けちゃって、描き取る内容を妥協しがちなんですよネ‥‥。ペンタブにはペンタブ特有の長所を活かせば良いのでしょう。
*ちなみに、普通の鉛筆だと、「鉛筆削り」のタイミングでひと息入るので、そこでテンポが緩むのです。この芯ホルダーは、テンポが緩むタイミングがないので、ある種、極悪です。

「925.35-20」や「5347」と紙、ADFスキャナ、そしてAfter Effectsとの組み合わせは、「思うように動きをスケッチできる」強力な作業環境になりますが、「925.35-20」や「5347」で細い線を描こうとしたり、ADFスキャナで正確なスキャンをしようとしたら、いきなり「使いものにならない」ダメな道具へと変わり果ててしまいます。

道具の弱点をイジめるんじゃなく、長所を愛でて素質を引き出せば良いのですよネ。

そして、その引き出した要素を、個人の「便利技」の枠に留めるのではなく、制作システム全体の中に「臆することなく果敢に」取り入れていくべき‥‥なのでしょう。現業界のシステムはともかく、未来に関しては、です。

前述の「サッチウィーヴ」は私がよく引き合いに出す例です。「零戦」の格闘性能の優位に傲り、武器の更新タイミングを逸し、終戦まで「戦前の零戦」を作り続けた日本人。私は、何か、終戦間際にすっかり旧式になった零戦に乗り込む少年兵の姿が、今からアニメ制作を目指そうとする若い人たちにかぶるのです。システムの旧さを放置して、根性論や技術論だけで突き進む姿は、時が何十年経とうと変わらない「日本の姿」なのか‥‥と思う事もあります。‥‥が、少なくとも私は同志を募って、「そんな姿」からは脱したいと思うのです。

ツールと言っても

現アニメ業界で、オンライン制作管理システムやパイプラインツールの開発の機運が高まらないのは、ぶっちゃけ、「導入による効果」を実感できないからです。開発もしなければ導入してもいないのだから、実感できないのはあたりまえなんですが、「本当に金をかけるだけの値打ちがあるのか」という、「開発費を出す側にとっては一番重要な部分」が納得できないから‥‥でしょう。

「反って、手間を増やす結果にならないか」
「システムにトラブルが発生した時に、業務が長期間ストップしてしまうのではないか」

制作現場を取り仕切る責任者なら、何よりも先に、危険予測する事でしょう。

要は、「納得できるだけの材料」が必要なのです。

「Webで絵コンテや設定、スケジュールが確認できる」とか、「作業セクション間の受け渡しが自動処理される」といくら喧伝したところで、「じゃあ、その導入と維持にいくらかかって、どれだけ作品の内容向上に寄与して、なおかつ、どれだけのコスト節約につながるのか」と問われた際に、具体的な数字(試算でも)を示せず、「やってみないとわからない」なんて応答では、「おととい来てください」という事になります。

ソリューション導入によって高められる制作現場の総合パフォーマンスを、ちゃんとアピールできなければ、お金を出そうなんて人は永久に出現しないのです。

しかし一方で、私が思うに、オンライン制作管理システムやパイプラインツールだけを売り込もうって言っても、ちょっと「弱い」と思うんですよ。自転車を電動アシスト自転車に買い替えさせるようなものです。

「人力以外の動力」というテーマを魅力的にアピールするのであれば、「自転車しかない我が家に、初めて乗用車がやってきた!」というくらい、劇的でショッキング、センセーショナルでなければならないと思っています。

オンライン制作管理システムやパイプラインツールは、今までの見慣れたアニメとは違う、新しいアニメーション作品と併せて、初めて説得力が生まれると考えています。(前々回書いた内容の繰り返しですネ‥‥)

* * *

私は自腹を切り続けて4K8Kの研究をおこなっているうちに、「技術者の夢のような話」だけでは決着できない思考へと変化していきました。だって、「予算」は自分の財布の中からどんどん出て行きますからネ。

自分は出資者じゃないから、「誰かがお金を出してくれるまで待っている」のでしょうか。

誰かがお膳立てをして、誰かがうまくまとめてくれて、誰かが上手に売りさばいてくれるのを、「自分は技術屋だから」と言って、自らは行動せず、言葉で体制批判を繰り返すだけでしょうか。

私の好きな言葉は、ジョブズの「OK、誰も助けてくれないなら、自分たちでやるだけだ」という一節です。これは理解を示さない周囲への怒りと同時に、周囲にどこか甘えていた自分への強い戒めも含んだ、とても身に染みる言葉なのです。

dpx

「dpx」という映像制作ではよく用いられる静止画フォーマットがあります。ただ、「連番を前提とした静止画」なので、どちらかというと動画フォーマットと言ったほうがしっくりきます。

dpxはタイムコードを埋め込む仕様なので、連番静止画でありながらタイムコードを活用した運用が可能です。でもまあ、よほど巧妙なシステムを組んで皆がそのシステムに準じなければ、少々厄介な事になります。

タイムコード情報を持つ‥‥という事は、フレーム番地を記録するだけでなく、当然の事ながらフレームレート情報も持つ事になります。フレームレートはQTなどの単一動画フォーマットだけが持っているわけではなく、dpxのような「動画のメタ情報を持つ静止画フォーマット」もフレームレート情報を有しており、After Effectsの動作もそれに準じる‥‥というわけですネ。

例えば、After Effectsの連番における「読み込み設定」。dpxは静止画連番であっても、動画ファイルと同様にフレームレート情報を持つので、After Effectsの「読み込み設定」の対象にはならないのです。つまり、前工程で24.0fpsで書き出されたdpx連番は、読み込み設定が23.976fpsであっても、24.0fpsで読み込まれます。

「連番だったら、数のつじつまがあってれば、結果オーライ」‥‥とはいかないのが、dpxです。連番であっても、タイムコードの「縛り」が効いているわけですネ。

あともうしばらく、dpxの時代は続くかも知れません。全世界で共通の連番フォーマットになっているので、何か新しいフォーマットが台頭するまでは、dpxを使い続ける事になりそうです。

ちなみに私の日頃用いる標準フォーマットは「ProRes4444」ですが、理由は単純で、「奇麗で軽い」からです。ただ、某大手現像所など昔からのポスプロですと、「ProRes422(HQ)」しか受け取ってもらえない事(運用実績に乏しく未検証の要素が多いから)も多いので、そういう場合は変換して受け渡します。

ProResコーデックファミリーはAppStoreで「Compressor」(5,000円)を買えばついてきますから、資金の乏しいアマチュアや個人でもプロと全く同じフォーマットで出力できるのです

ライフライン

ワークフローの設計が完了すると、「制作システムの全貌が見えた」と自信を持つわけですが、まさに「見えた」だけで机上プランを脱しません。ワークフローに基づいたインフラを実際に構築しないと「机上の空論」、会議だけ熱心に時間を費やして「会議だけで、モノを作り上げた満足感を得る」ような滑稽な状況になりかねません。‥‥何度もそういう場面を見てきたんよ。

私の昔からのストレスは、自分の部署のパイプラインはそこそこ完成しているのに、外とのやり取りが「バケツリレー」なところです。

現場を動かす人(制作や作業チーフ)は、いっその事、研修アイテムとして「シムシティ」でもやってみると良いかも知れませんネ。今だとAppleのAppStoreで1000円(日本語版)で買えますヨ。

インフラ〜ライフラインをないがしろにするとどんな事になるか、シムシティでプチ恐怖体験をすると、制作現場でも応用できると思うのですよ。シムシティのゲーム内で「市長」の名前を自分の名前で入力すれば、自分の「ダメ市長ぶり」にプライドを破壊されることでしょう。

拡張性と柔軟性を併せ持つワークフローの設計を完了したら、まずは頭からお尻まで作業がパイプでつながる「作業パイプライン」を作ります。目指すは、バケツリレーの撲滅です。パイプラインに滞りがない事を実感できたら、今度は多重のインフラストラクチャたる「ライフライン」設備へと着手し、作業現場に創造性と快適性を付与していく‥‥のですが、まあ、文字で書くように簡単にはいかんわな。

私の考える新しいアニメーションは、映像内容や表現技術だけでなく、こうしたインフラも全て込みなのです。

ちまたの4Kアニメの話題とか見てると、恐らくまた昔の制作構造が再演されるだけのように感じます。シムシティじゃないですが、「神のダイナマイト」よろしく、一回全てを「新地」に戻して「生き直し」が必要だと思うのですよ。じゃないと、4Kの業界アニメ制作は「バイオレンスレッドオーシャン」になるすよ。

決して、特定の技術だけに夢中な「技術馬鹿」になってはいけないのです。

歴史は繰り返す‥‥とは言うけれど

4K8Kに揺れ始めた現場を見ていると、1995〜1998年あたりの雰囲気が思い起こされます。いわゆる「デジタルアニメ」の発端となった頃ですネ。当時の人の動きも、今と似たような感じで、大半は暢気に構えていて、ごく少数がそれぞれの未来の方針を模索していました。

1995年頃の「デジタル」アニメは、「絵が薄っぺらい」「ビデオ合成のように絵作りがぎこちない」「3Dとの違和感がものすごい」といった問題点が指摘され、決してフィルム&セルによる旧来作品表現に勝るものではありませんでした。

では、「デジタル」の性能が劣っていたかというと、そんな事はありません。単に「使い方」の問題、もっと言えば、「使う人間」の問題で、「デジタル」を絵画表現の道具として上手く使いこなせなかったのです。

「デジタルを導入してアニメを作る」という事にテーマがすり替わって、いわゆる「本末転倒」状態に陥っていたフシを、私は1996年に「デジタル」の現場に入って感じました。「デジタルを導入する」のがテーマとなり、肝心の完成物たるアニメ作品は、まさにテーマ通りに「デジタルで作りました」という絵になっていたのです。
*もしかしたら、元から、作品よりもワークフローの方がテーマだった可能性もありますが、ワークフローが目的の作品って‥‥さ‥‥、現場の都合優先で、「絵」を受け取るお客さんの存在はガン無視だよネ。

私は当時の「出始め」の「デジタルアニメ」を見て、「何か思惑はあるんだろうけど、絵自体が新たな魅力で溢れてなかったら、誰も振り向いてくれないじゃん」と冷ややかに見ていました。同時に、その頃Photoshopをイジりはじめていた事もあり、「デジタル」で如何様にも絵画的・映画的表現が可能だと確信していましたので、「デジタル云々ではなく、作り手の表現技術の問題だ」とも感じていました。ゆえに、私が「デジタル」の現場に入って、まず手がけた事は、「絵を不在にしない」ための大量のイメージボード作りでした(〜その辺の話は長くなるので割愛します)。イメージもないまま、段取りだけで作るのはヤメましょうよ‥‥と。

そして2014年現在。この構造は、4Kに対応しようとするアニメ業界にピッタリあてはまるように思います。「4Kを使う」という事がお題になってしまって、「こういう絵を作りたいから4Kのスペックが必要だ」という必然性は全く感じられません。皆一様に「どう対応すべきか」なんて困った表情ばかりです。何だか私だけヒートアップしてるような孤独感すら感じます。‥‥ほんとに皆、アイデアが無いんか??

「欲するものがなく、形だけが先行する」という状況。歴史を振り返るに、アニメ業界に限らず、古今東西の「ダメなパターン」の典型です。
 
4Kをどうやって使うつもりか、質問されて困ったりしてませんか?

4Kを現アニメ業界フローで使って、絵的に「お得」な部分はどれだけありますか?

4Kのアニメは、「これが4Kか。凄い!」と、観る人を興奮させることが出来そうですか?

‥‥思うに、結構多数の人が、「4Kなんて、やってみなければわからない」と考えているんじゃないですかネ。ですから、事前にこんな事を聞かれても、まるで実感をもてないと思います。でもそれは、未来の迷走ぶりを予感しているようなものです。

「4Kのアニメ制作フロー」だけを考えようとして、「絵」を考えないのなら、私の意見としては、「失敗確定」だと思っております。‥‥だってさ、そんな「フローがどうだこうだ」なんて、「観る側」には関係のない事ですもん。残酷かも知れませんが、業界の苦悩や困窮なんて製品を購入するお客さんにとってはどうでも良い事で、単に「出来映え」で判断されるだけです。「絵的には以前の2Kとほとんど変わらないですが、苦労して4Kで作ったので、売価を高くします」なんて、お客さんにしてみれば「えー!」ですからネ。だからといって、予算が今までと同じなら現場が「えー!」だし、予算倍増・売価据置だったら出資者が「えー!」だと思います。現アニメ制作にとって、4Kで嬉しい点なんて、あるんすかネ? 2K24fpsでちょうどピッタリなのでは?

歴史は繰り返す‥‥と言いますが、「デジタルアニメ黎明期」当時の記憶が甦るのです。しかし、失敗する構造だけでなく、成功する構造も、歴史は反復します。

私がいつも自分を戒めるのは「技術バカにならない事」です。お客さんは、技術にお金を出すのではなくて、技術を用いた完成物にお金を出すのです。4Kという技術を使って、どのようなキャラをどのような情景の中に立たせて、どのようなストーリーにて、お客さんに披露するのか。そこが見えてなければ、4Kはまさに技術バカ・スペック馬鹿の巣窟になってしまう‥‥と私は考えます。

* * *

‥‥とまあ、今まで色々と感じる事や考える事を書き綴ってきましたが、私もそろそろ本格的に、4Kの取り組みにリソースチャージ!‥‥すべき時期が来たので、文章書きもほどほどにしようと思っております。‥‥文章って、時間かかりますもんネ。

私は4Kの1ピクセルも、48fpsの1フレも無駄にするつもりはないです。持て余す…なんてあるわけもなし。

ただし、私は新しい技術を、日和見層に選択肢として提供するつもりなどありません。過去、日和見層がなだれ込んだ結果、どのような顛末となったのか。「デジタルアニメーション」の「成功と失敗」を歴史から学んで、二度と同じ轍は踏まない所存です。

安易にメイキングを商品付録にしたり、作った傍から技術公開なんて、終局的には「安売り」「夢潰し」にしか繋がらなかったのです。マジックのネタなんて「ナゾ」なままでいいじゃないですか。コピペで広く伝播した技術は、安売り合戦を加熱させるだけです。「窮状の自作自演」に陥らないための、明確な技術運用理念が未来には絶対に必要だと、やはり過去の歴史から学びました。業界で誰もが知っている共通の技術ではなく、独自技術こそ「ブランド」を形成する大きな土台なのです。そして、各々が高い独自技術を持つがゆえに、お互いを尊重し合えて、技術を高め合う事も可能なのです。

4K対応の機材も身近になりつつある2014年は、今までの研究の成果を未来に繋げる重要な戦いの年〜「Red Sky」になりそうです。

 

2014年春のApple製品

新型MacProが発売されたものの、iMacやMac miniはそのまま放置状態の、今のMac製品群。

Mac Proは「後々の事」を考えると、最低でも6コア&4GBビデオメモリが欲しいですから、その時点で40万越えが確定します。さらには500GBのシリコンドライブでは容量が足りませんから、何らかの外付けドライブが必要になります。内蔵SSDは容量を増やしても運用上はほとんど意味がないので、おそらくPegasus2などのThunderbolt2外付けHDD箱を増設する事になるでしょう。その時点でさらに15万くらい加算(Thunderbolt2の4発の箱+HDD4つ)されて、なんだ、Mac Proはまともに映像を作ろうと思うと、Mac Pro本体+HDDで60万近い出費が必要になります。もちろん、2.5〜4Kのモニタが既にあるものとして‥‥です。

きっついです。8コア、12コアをあきらめても、60万の出費が必要だなんて、個人じゃ簡単には買えません。そしてその60万の環境は、2年後には特筆すべき点のない「特に速くもない」凡庸な環境と化しているでしょう。コンピュータの宿命ですからしょうがない事だとしても、個人購入の視点ですと「そんな残酷な」‥‥と思います。

じゃあ、iMacやMac miniだとどうか、と言うと、まずMac miniは1年以上性能アップしていない放置状態なので、少なくとも今買うのはNG。で、iMacならどうか‥‥というと、iMacはモニタの調整がしづらいので、ぶっちゃけiMacのモニタは「色は見ない(色彩チェックには使わない)」サブモニタにしかなりません。つまり、Thunderboltコネクタに別購入のモニタを繋げて、それをメインモニタにする事になります。ですから、27インチの大きさはサブモニタ用途では過剰となり、21.5インチのほうが都合良い‥‥のですが、21.5インチモデルのGPU(ビデオの処理ユニットですね)は1GBで打ち止めなので、これまたすぐに役不足になることはハッキリしています。

つまり、今のMac製品群は、個人が映像制作環境を整えるには、何ともやりずらい状態です。

だからといって、Windows勢もさほど状況が変わるわけでもないようです。Mac Proと同じ構成を目指せば、やはり同じくらいに高額な出費を余儀なくされますし、低価格モデルは低価格ゆえに映像制作にもともと不適合だったりします。

おそらく、個人が2〜3年のサイクルで機材をリプレースできる限度額は、20〜30万前後だと思いますから、今のMac製品群ですと、iMacかMac miniにならざるを得ない‥‥すよネ。でも、その2製品が2014年4月現在では、映像制作用途では何だか中途半端な性能です。
*ちなみに、個人で制作環境を「ちゃんと使える性能」に維持する為には、月1万の「マシンリプレース用積み立て金」が必要だと言う事、ですネ。

WWDCは6月か‥‥。どうなる事かの。

私は自宅ではMac miniで4Kとか色々やってますが、2014年の現在に2012年秋に買ったのと同じ性能のMac miniを買うのは、正直イヤな感じです。何が理由かAppleの内情は解らないですが、滞った状態のラインアップを買う気にはならないス。‥‥もういい加減、Mac miniを性能アップしてほしいですが、実はMac miniごとサクッとラインアップ削除されたりして‥‥。

そんな怖さのある企業が、Appleなのです。

 


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