AfterEffectsからTSV

映像作品におけるシーンの構成をおこなう際、私はFinal CutでもPremierでもなく、毎度のAfter Effectsを用いてムービーを作ります。いわゆるムービーコンテ、プレビズのムービーは、結構その場で要素を作っちゃう事も多いので、Final Cutのような編集ソフトウェアよりは、ビジュアルエフェクト向きのソフトウェアの方が、何かと融通が利くのです。

で、After Effectsを編集ソフトウェアのような使い方をした時に何が面倒かって、EDL的な編集点を記述したファイルが出力できない事です。プレビズのムービーが完成した、さて、各カットはどんな名前でどんな並び順でどんな尺なのか‥‥と言った事が、簡単に集計できないのです。

After Effectsを編集ソフトとして使うのですから、やっぱり、EDLは出力できたほうが便利です。EDLの書式の基本は簡素ですから、テキストファイルの読み書きをプログラムできるAdobeのESTK(Extend Script Tool Kit)なら、自前で作れない事もないです。(実際に作って、グレーディング作業で使った事があります)

EDLは出力できると便利‥‥なのですが、私の直近のニーズは、プレビズ(例えるなら絵コンテすね)後に、「各カット制作を本格開始する」際に必要な「カットリスト」をAfter Effectsから直に出す事です。EDLを書き出してそこからカットリストに変換するよりも、ダイレクトにカットリストをAfter Effectsから生成したい‥‥という事ですネ。

ぶっちゃけ、プレビズは絵コンテ同様に荒い絵なので、プレビズ時の各カットの尺は暫定的であり、EDLを書き出してもそのまま使える事のほうが少ないです。だったら、プレビズ直後はEDLなんて直接的なファイルではなく、運用の元になるカットリストテキストファイルのほうが、実質的だと感じています。

カットリスト。要は、CSV(comma-separated values)かTSV(tab-separated values)で書き出すテキストファイルです。CSVかTSVだったら、ExcelだろうがNumbersだろうが、Open Officeだろうが、どんなプラットフォームでも読み込みできます。思うにカットリストには、「タブは一般的な名称・呼称に使われる事が少ない」ので、CSVよりもTSVを使うのが適当なように感じます。TAB〜ASCIIナンバー9のいわゆる「水平タブ」は、ファイル名やフォルダ名、カット名に使われた事例が今まで皆無でしたので、カンマよりは「経験的に安全」だと言えます。

で、そのカットリストのTSV。書式は簡単‥‥なものしか、思い浮かびません。
 
編集並び番号(TAB)カット名(TAB)尺

例えば、
 
1(TAB)001(TAB)6+0
2(TAB)002(TAB)5+0
3(TAB)003A(TAB)4+12
4(TAB)003B(TAB)5+18
5(TAB)004(TAB)3+12
.....

‥‥的な。

編集並び番号は行番号から読むんでいいじゃん(プログラム的には改行コードで分解して得た配列のインデックス)‥‥とか思いかけますが、そうすると空白行の挿入やコメントアウトとか面倒になりますし、何よりも視認性が悪くなる(行番号表示のできるテキストエディタじゃないと判り辛い)ので、通し番号はあると良いと考えています。

まあ、こんな規模の内容なので、After Effectsのレイヤークラス、コンプアイテムクラスの情報を読み取って、テキストに書き出すだけのかわいいプログラムです。‥‥でも、そんなかわいいツールでも、あれば便利、無ければメンドくさい手と目による作業になります。コンピュータで簡単にできる事を、人間が必死こいてやる状況は、何としても避けないとアカンですからネ。

数日内に必要になりそうなので、ちょっとトライしてみます。テキストファイルは文字コードまわりが「単純に面倒」なんですが、ASCIIコード外の文字を使う事はなさそうなので、あまり手はかからなそうな予感。リラックマVer.2

ディズニーの14年間

私は、ディズニーの昔のアニメ映画が好きです。誤解を避けるためにもう少し詳しく言いますと、「ディズニー映画の標榜する価値観に同意する事は少ないけれど、映像美を愛好している」とでも言いましょうか。

例えば、「わんわん物語」の一見「刺激の少なさそうな」画面も、実は巧妙な明暗設計が随所に仕掛けてあって、ただそれがクドくないので、見てる側が気にならないだけです。大胆な影落としとかもいっぱいありますヨ。‥‥ただし、ストーリー的には「トランプ‥‥。アウトローだったお前が、なぜ、いきなり鑑札を首からぶら下げてんの?」と釈然としない結末を迎えたりするので、イマイチ、作品全体を愛せなかったりします。

ディズニーを「アニメーション作品」の技術面から見た時、その「技術進化速度の速さ」に驚きます。

ミッキーマウスの登場する「蒸気船ウィリー」は1928年公開で、「観客席から見たような、横位置のレイアウト」的なカットが多く、黎明期の雰囲気を色濃く反映した作品です。モノクロフィルムですし、動きのタイミングも手探りな感じですネ。



それから7年後、初のカラー作品と言われる「The Band Concert」は、横位置カメラから開放され始めてますし、「ここまで動かせるようになった」という自信というか、作画の(良い意味での)エスカレートが感じられます。絵を動かすのが楽しい!‥‥という雰囲気が、作品から伝わってきます。



私は、同年代なら「Through The Mirror」の「可愛い顔してんのに、悪い奴」なミッキーの方が好きですネ。机の引き出しがバッと開いて、トランプが飛び出す動きのリアクション作画とか、この当時からカッコいいですし。「蒸気船ウィリー」から7年で、このレベルまで到達してたのは、驚きです。



ちなみに、この頃のミッキーは、白目のないデザインで「可愛い」んですが、性格的には「何をしでかすかわからない」アブナイ雰囲気も併せ持ってましたネ。少々「邪悪」なところがあると言うか。

で、「The Band Concert」の1935年から7年後。「蒸気船ウィリー」からは14年後‥‥には、もう1942年の「バンビ」を作ってます。「蒸気船ウィリー」からたった14年で、です。「ファンタジア」に関しては1940年なので、「蒸気船ウィリー」から12年後ですネ。

バンビやファンタジアは、YouTubeの映像では汚な過ぎますし、入手は容易でしょうから、リンクは貼っておりません。

私が「バンビ」や「ファンタジア」をちゃんと見たのは20代の頃で、アニメーターになってからですが、その映像の美麗さに驚いた直後に、「1940年代にこれが実現できてるのに、なぜ、今は?」と思ったものです。40代の現在の私は「自然の摂理」だと解釈してますが、当時は「技術は進化し続けないし、継承され続けるものでもないんだ」と気落ちしたものです。技術は進化した後に、退化する‥‥ようですネ。ちょうど、子供が大人に成長した後、老化するように。芽が出て葉が増えて、花が咲いた後に枯れるように。(自然の摂理の中には、花が咲いた後に実がなり、種が地に落ちて、また次のシーズンに芽を出すかも知れない‥‥という希望も含みますけども)

宇宙探査船ボイジャーのちょっとした笑い話を思い出しますが、「ボイジャー関連のデジタルデータについて、現在はそのデジタルデータのフォーマットを開発した職員が退職したので、データの意味が分からなくて読解不可能」だとか。笑い話とかいうと失礼かもしれませんが、まあ、「あるある」ネタです。

それに似たような感じで、アニメの技術も「技を編み出した当人が辞めちゃえば」、その技術は地球上から消えます。結果物だけは残りますけどネ。

ちょっと、話を戻して、ディズニーの14年間における、技術の猛烈な進化速度についてですが、「状況が噛み合されば、あり得る話」だと思います。

その「状況」での大きく重要な要素は、もの凄く簡単に言えば、「伸びシロがあった」と言う事です。「伸びシロ」は外にも内にもあって、社会的な伸びシロと個人的な伸びシロが、うまいこと噛み合った時に、異常なくらいに発展・エスカレートする‥‥ようです。個人的な伸びシロが社会的な伸びシロを通じて、複数人数に伝播して巻き込んでいくと、次第に大きな螺旋状の「ムーブメント」になるわけですネ。

私がアニメーターになる数年前に「暴走アニメーター」という言葉が現れましたが、あれもムーブメントの1つでした。もっと動かしたい、もっと動かせるはずだ、やってみたら出来た、ちまた(=いわゆるファン層や同業者の間)でウケた、もっとやってみたい‥‥というエスカレートにつぐエスカレート。‥‥で、「デジタルアニメ」も1997〜2006年くらいの間は、そんなエスカレート具合というか現場の雰囲気がありましたよネ。

今は、伸びシロ的にどうなんでしょうネ。 「萌え」を急速に消耗させた次に、何をする予定なのか。‥‥もっと簡単に言えば、未来にやってみたくてウズウズするような事を、自分の中に持ててますかネ? アニメ業界も個人の集合体ですから、その個人が「自分は何をやりたいんだろう」と考え込んじゃう時点で、かなり危ういと思うんですよ。「やりきれないほど、やりたい事がいっぱいある」くらいでないと。

そんなこんなを思索するに、ディズニーの「from 1928 to 1942」の状況は、色々な事を教えてくれますネ。

私は今、やりたい映像作品、やってみたい技術が、山ほどありますが、お膳立てがあるわけではないので、悶々とした日々を積み重ねております。満たされない、手に入れられない、持ちたいのに手からこぼれ落ちて持ちきれない‥‥と言うもどかしさと言いましょうか。

でも、振り返ると、「安泰だ」「満たされている」という実感は、滅びや崩壊の前兆だと感じます。充足しちゃったら、あとはもう、こぼれて減っていくしかないもんネ。

だから、私自身だけじゃなくて、他の人々の場合も、何か挫折感や閉塞感を感じる事があるとすれば、それはある種の福音なのかも知れない‥‥と思う事はあります。伸びきってベロベロに弛んでいくよりは、伸びシロを伸ばす空間を欲しているほうが‥‥です。‥‥まあ、伸びて緩むのが好きな人もいるとは思いますから、全員がそうだとは言いませんが‥‥。

ウィリーからバンビまで、14年か。‥‥感慨深いもんですネ。
 

雑文

最近、プログラム関連に比重を置いていましたが、映像制作は作品表現・映像技術・運用の3つが不足なく必要なので、一時的にどれかに偏るのは、まあ、仕方のない事なのです。私はアニメーター出身なので、作品や技術の方面に傾倒しがちですが、運用が脆弱だと表現や技術が「カタチにならない」ので、焦燥感をなだめながらでも、運用システムは定期的に積み上げていく必要があります。

作品表現・映像技術・運用は、三つ子の兄弟・姉妹のようなものです。表現が欲する技術が生まれ、技術が欲する運用が編み出され、運用や技術が表現を触発するのです。アイデアを実現する先駆者の存在はあるにせよ、例えばライト兄弟がいきなり全金属製のレシプロ機を飛ばす事はないのです。

ただ、人がひとたび、「空を飛べる」と知れば、どんどんエスカレートしていきます。その時代の様々な要素が強力に後押しするからです。これは映像作品についても同じ構造が再現されるように思います。

ちまたでは今でも、「作画」vs「3D」の二元論で論じられる事が多いようです。でもまあ、それはしょうがないか。「新たな2D」はまだまだ水面下ですしネ。「作画でなければ3D」という思考は、もはや、コンピュータ活用の黎明期の考えだと感じます。作画=2Dという概念も‥‥です。

例えば、以下の参考ムービー。After Effects上のパスでテキトーに作った内容ですが、3Dレイヤー&カメラで舞台セットを組んでいるので、カメラを動かすと視野が連動して動きます。

 
*空BGや草BOOKの付け根がバレてますが。
*パス(ペンツール)で描かれた絵なので、カメラが寄って線は太くなっても、ジャギは全く出ません。

こんな簡素な仕掛けも、今のアニメ業界のフローでは不可能です。なぜって、タイムシートが「こういう事に対応していない」からです。紙のレイアウト上で指示をしても、セルやBOOKそれぞれのZ位置までは指定できません。After Effects上では、距離をコンパクトにまとめて被写界深度を深く表現する事もできますし、距離を広げて深度を浅くする事もできますが、フレーム指示ではフレームの絵収まりしか指定できないのです。

なので、こうしたAfter Effectsの機能は、現アニメ業界フローでは何年も「封印」状態のままです。

‥‥この技術は、いくつもある技術の中の、ほんの氷山の一角〜言わば「ひろピョン石」なのですが、おおやけに使われる事は今でもありません。実は、2005年のホリックの劇場アニメで既に使っていたのですけどネ‥‥。8年も前の事ですヨ‥‥。

1996年から16年、コンピュータを導入したアニメ制作現場の様子を見てきて、業界がフローに対して根本的な大改革をおこなうとは、もう思えないのです。私の近年の行動は、そうした実感に基づいています。

ですから、一方では、今の業界フローは今のまま、これ以上発展させなくても良いのでは?‥‥とも考えています。明確に、伝統芸化してしまうのです。需要はまだまだ沢山あるでしょうし、そもそも紙ベースとデジタルの齟齬を回避できます。キャラだけでなく、手描きのメカやエフェクトが熱かった80〜90年代の作画意識を取り戻して(絵は今風でも)、観客を圧倒するのが実は一番「デジタルに真似できない事」なんじゃないでしょうか。作画の熱さはそのままに、デジタルは高機能ペイントと高機能フィルム撮影台の役割に徹するわけです。

中途半端に、面倒な作画はデジタルに頼る気風だから、プライドも覇気もトーンダウンしているのかも‥‥。

* * * *
私は相変わらず、コンピュータグラフィックス路線です。90年代の中頃から、その辺はブレておりません。素手で描線を描こうが、コンピュータで処理すればCGッスよ。そもそも「デジタル」に踏み込んだのも、作画+セル彩色+フィルムカメラという組み合わせに限界を感じていたゆえですから、郷愁を感じたとて、戻る事はありません。

私が日頃のBlogで少しだけ公開しているのは、やはり氷山の一角です。Blogで単発的に出せるものだけ、公開しても支障のない無難なものだけ‥‥です。似たような事を考えている同志・ライバルに、間接的・比喩的に「みなさんはどんな感じでっしゃろ」と呼びかけているつもりです。似たようなソフトを使っているのだから、同時多発的にやがて各所で皆が頭角を現すのではないかと思っています。少なくとも、米某社はかなりのレベルまで、既にイッちゃってますからネ‥‥。

周囲から「何をトンチンカンなことを」と思われていても、新たな2Dの可能性に確信をもっている人は世界各地に点在している‥‥と思います。「見えている」人にはもう見えているはず。大多数の常識的な意見や認識など、新しい取り組みの前には、何ら気にかける事はありません。今じゃあたりまえの「デジタルアニメ」だって、90年代の中頃は多くの人々がスルーして懐疑的な視線で傍観していたのですから。

上方修正

グレーディング作業におけるパイプラインプログラムの導入効果は、予想以上に高く、当初3日分と見積もっていた作業量を1日でこなせる勢いです。同時に撮影業務も少々兼務していますが、そちらは相変わらずのペースで、様々な場面で効率を落とすトラップが仕掛けられています。撮影もStandardizationを実現できれば、効率化も夢ではないとは思いますが、現状では部署単独で改善に望む事は実質不可能とも思います。

でもそうやって、互いの部署同士が干渉を避けてきた結果が、今の状態と言えます。30年以上、基本的な制作システムが変わってこなかった‥‥つまりは、制作システムの技術革新をしないまま現在に至った状態です。それなのに、やる事をどんどん増やしているのだから、昔と同じ状態を保てるわけがない、歪みが出ないわけがない‥‥ですよネ。

やる事が増えたから金を増やしてくれ‥‥という考え方もあります。でも一方で、やる事が増えるのに伴って、生産システム内部での技術革新を模索していないのはどういう事か。言わば、自分の健康維持を、医者や医療制度のせいだけにして、自分の生活習慣は何も改善しない‥‥のでは、かなり説得力に欠けると思うのです。

何をするにも巨象のようなカロリー消費が必要な、今の業界制作システムでは、保守的な「成功例のある」作風に終止せざる得ないと感じています。

もし運用技術の革新を実現して、フットワークを軽くできたなら‥‥。それは、作品企画でも実制作でも雇用面でも、大きなシフトチェンジになるように思います。旧来からの状態を維持‥‥という考えを捨てられない限り、新しいフェイズへは進出できないのではないでしょうか。

ゆとり世代って、世間ではイジられる対象みたいになっていますが、私は結構、Unique(=独特)な面白い人材が多いと感じています。不思議ちゃんもいれば、才人・才女もいて、バラエティに富んでいるように見受けられます。‥‥私の周りがたまたま‥‥なのかな? 自己の感覚に準ずる一方で、思考を巡らす習慣を持つ‥‥というか。‥‥でもまあ、世の「ゆとり世代は」と嘆きたがるオジさんたちから見れば、行動パターン要素の「配列順」が気に入らないのかもしれませんけどネ。若い人間が現アニメ業界から学ぶべき「しきたり」は沢山ありますが、30年前の構造を絶対的だと信じ込む必要はないですし、「泳がされた世代」なのが反ってThink differentの可能性を秘めているようにも思うのですヨ。業界のシステムの非合理(昔は合理だったかも知れないけど)を純粋かつクールに観察できるのは、セル用紙やフィルムから遠い人間かも知れませんネ。

立体参考資料

私は作品制作の参考資料として、プラモデルを活用します。マンガのコマや絵コンテを描く際に、設定だけチラリと見て描くより、プラモを手に取って描いたほうがアイデアが豊富に浮かびます。その機種ごとの「いい顔」「いいアングル」が目の前で即座に確認できますからネ。

プラモ制作も自分でやるのですが、物量をこなさないとダメなので、中々に大変です。休日の短時間しか制作に時間を割けないので、いかに短期で仕上げるかがミソとなります。

立体を把握するための資料なので、実機のようなリアル表現は不要です。立体把握の際に、実機塗装は邪魔になる事が多く、つや消しの単色で塗られているほうが都合が良いので、サーフェイサーと墨入れ、最後にトップコートだけで済ませます。

なので、戦車などの地上物、艦船などの海洋物は、窓ガラスさえなければとても楽です。しかし飛行機はキャノピーのマスキングに手がかかるので、どうしても停滞しがちです。以下のように‥‥。


*サーフェイサーはほどよい艶消しなので、ご覧の通りに、立体が把握しやすく、影付けの参考にもなります。3Dで作るという選択肢もあるでしょうが、何から何まで3Dで作るのは大変ですから、まずはプラモデルで実感を得るところから始めるのが良いと考えています。

この他、写真の倍の数のプラモが、キャノピー待ちで滞っています。ちなみに上のプラモは、タミヤの1/100シリーズで、1967年頃の金型で、私と同年齢の製品です。コックピットの表現は1/100かつ旧製品なのでビミョーですが、ロングで全体のフォルムを簡易確認するにはちょうど良い大きさです。

キャノピーのマスキングは、Adobe Illustratorで実寸のマスクを作成し、伸びる透明シートにプリントして作るのですが、中々全面が埋まらないので、どうしても「図版完成待ち>プリント待ち>キャノピー待ち」という悩ましい連鎖が発生します。資料用途なので、同じ機種のバリエーションを複数作る事が多く、毎回ワンオフでマスキングをしていられないのです。また、段差消しや継ぎ目消しもほどほどで終わらせ、資料として支障のない程度におさめます。趣味ではなく、業務用の作り方‥‥ですネ。

ただ、サーフェイサーばかり大量に吹くと、スプレーブースのフィルタがすぐに目詰まりします。クレオスのブースはこともあろうに「フィルタの交換は両面テープで貼り直して」という異様に面倒な仕様なので、真正直に付き合っていられません。なので、鉄のプレートをフィルタ取り付け部周辺に強力ボンドで取り付け、強力磁石でフィルタペーパーを固定して使用しています。改造しちゃえば、クレオスブースのフィルタ交換もグッと楽になります。固定する磁石は100円ショップのものだと磁力が弱くてNGなので、コクヨのネオマグバルク品を買うと良いです。ちなみにフィルタはデイツーの換気扇用フィルタを流用しており、正規品より格安です。


*どんなサイズのフィルタでも流用可能なように、ベタベタと金属プレートを貼りまくっています。金属プレートもフィルタもケイヨーD2で安く入手しました。隙間は吸入の風圧でフィルタが側面に密着するので、この程度の固定で充分機能します。

出来上がったモデルは飾るのではなく、収納箱に判別しやすく保管します。あくまで実用なので、飾る必要はないのです。

しかし、まだ未制作のプラモが山ほど。‥‥以下の写真の10倍はあるのです。。。ぐえ。



 

目指すならハイアマ

現在はプロ並みのハード&ソフトウェアを安価に購入できるようになったので、アニメーションを自主制作する人が増えているようです。さらにはYouTubeなどの全世界に向けた公開の場があるので、昔よりは自主アニメを制作するモチベーションは高くなっていると思われます。

私は「アマチュア」を「報酬契約がないがゆえに、自分の好きなものを作れる」存在だと考えています。決して、技量の上下ではない‥‥と。

実際、アニメではないですが、プラモデルの「超スゴい」アマチュア作品をいくつも見た事があります。プロは報酬相応のクリオリティが求められますが、逆に言えば、報酬以上のクオリティは作らないという事でもあります。アマチュアはそんな制限はOut Of 眼中、まさに「値段の付けられない」作品を、一般のサラリーマンの方が作ってしまうのです。私のアマチュアの印象は、そうした「ハイ・アマチュア」の姿です。

で、アニメ。アニメは映像制作の知識がまだ世間には広まっていない影響か、アマチュア作品では作品云々よりも技術的なトラブルが目につきます。その技術トラブルのせいで、完成度が最後にガクッとダウンしている作品が多いように感じます。トラブルとは、輪郭のちらつき、フリッカー、アップorダウンコンバートのミステイク、映像信号レベルに無頓着、トーンジャンプ‥‥などなど。

正直、もったいない。‥‥調理場では美味しく出来上がったものを、盛りつけで失敗し、さらにはテーブルに料理を運ぶ際にこぼしてしまい、最後の最後で料理が台無しになってしまう‥‥。

もし「アマチュアだから、そのへんは大目にみて」というのなら、周りもそういう程度にしか見ないでしょう。でも、そんなの悔しくありませんか。‥‥折角作るんだったら、技術トラブルに邪魔される事なく、作品ができるだけストレートに観客に伝わったほうが良いじゃないですか。

例えば‥‥。
 
輪郭のちらつき
>画面全体のフォーカスやニュアンスをミクロレベルで調整する意識を持っていますか?
 =セルの輪郭線がキツ過ぎるとチラツキの原因になりますので、適度にボカしましょう
 =素材を配置してエフェクトをかけるだけでなく、全体のニュアンスを細かく操作しましょう


フリッカー(画面の動きが目にひっかかる)
>カメラワークやセル(人物やメカなど)のモーションを吟味していますか?
 =カメラワークはシチュエーションによってフリッカーのように見える事がありますので、カメラワークの速度などを変更して吟味しましょう
 =キャラの動きとカメラワークの動きが噛み合ないとフリッカーが盛大に出ますので、コンポジットの方法を変えてみましょう


アップorダウンコンバートのミステイク
>最良のマスターを作る意識を持ち、かつ、公開テストを実施していますか?
 =プルダウンなどのフィールド合成は現在は不要ですので、24pや30pのフォーマットで制作しましょう
 =DVDやBDに焼く際にはディスク作成ソフトのマニュアルを熟読しましょう(DVDの24p対応は意外にもあまり知られていないようで、不要な2:3プルダウンをする人が今でも多いです)
 =YouTubeでアップロードし全世界公開する前に、非公開でアップロード&再生テストを入念におこない、問題があれば、公開は一旦取りやめて、コーデックの設定などを試行錯誤し、障害を取り除いてから公開しましょう


映像信号レベルに無頓着
>いくつもの異なる環境で映像を再生していますか?
 =1つのPC環境だけで作っていると、色が偏る事がありますので、DVDなどに作品を焼いて色々なテレビ(身内や知人宅の)で見て、まず自分の環境と自作映像の傾向を知っておきましょう
 =レベル補正のヒストグラムなどを全体&RGB別にみて、黒の締まり具合や白の抜け方が意図する状態になっているか、確認しましょう
 =できれば、編集後にAfter EffectsやFinal Cutなどでグレーディングをおこない、全体のカラールックの最終調整をしましょう


トーンジャンプ
>公開メディア用に映像をチューニングする意識を持っていますか?
 =10bit(422)や12bit(4444)ではセーフでもYouTubeやDVDではNGな事がありますので、After Effectsなどで8bitに減色した公開用原版をつくりましょう

 
自宅機材でも充分実践可能な内容を書き連ねてみました。高価な基準モニタや測定器がなくても、プロ品質に肉薄する映像は運用次第でアマチュアでも作れる状態にあります。要は「見る人々に、最良の状態で映像を届けよう」とする意識、マインドセットの問題です。

自分の好きな事だけしかやらず、他の事はめんどくさがって放置する‥‥という意識が、作品をどんどん蝕んでいる事に気付けるか否か?‥‥ですネ。

どんなに美味しい料理でも、髪の毛が入ってたり、ハエが浮いてたりしたら、喰いたくなくなりますよね。ゴキブリが混ざっていた時点でアウト!‥‥です。解決法は簡単です。髪の毛や虫が入らないように、心を配る事、です。

意識が甘めだと、「自分の好きな事だけをやろう」という状態が、そのまんま、作品に出てしまうのです。「面倒な細部まで手を抜かず、手塩にかけて完成させて、満を持して公開する」という意識、マインドセットを持てれば、作品を蝕んでいた障害要素は激減し、より高い完成度を持つ作品となるはずです。もしキャパオーバーならば、未完成で出すのではなく、内容を削る決断力も、意識として必要となります。

でも、新たなマインドセットを獲得するのって、自分ひとりじゃ中々難しいんですよネ。‥‥ですから、他人の出来の良い作品を見て、ショックを受けて、自分の価値観を徐々に高めていく必要があるのです。私も日本のアニメ業界だけだと、ともすれば井の中の蛙になりそうでしたが、実写や欧米の制作手法を見て、「全然甘い」と思うに至り、新たな格闘をしている日々です。米・某社のアニメ(3Dじゃない〜まだ非公開?)を見た時はかなりショックで、日本側の決定的な遅れを痛感し、「日本のアニメ業界というマインドセット」からスッパリ抜け出る覚悟ができました。そういう刺激がマインドセットの変化には必要なのです。

Adobe CCやCLIP STUDIOなどがリリースされた現在、機材的なハンデはもう薄皮1枚です。あとは、「執念」というマインドセットだけ‥‥です。

安くても良い品

ここ最近、After Effectsの自動制御を利用して、VFX&グレーディングのシステム作りを進めています。私は近い未来、作画にもAfter Effectsを使用したシステムを作ろうとしているので、今回はその前哨戦というわけです。

After Effectsの良い点は、まずは安価である点、次にマニュアル(細かい手仕込み)で色んな事が出来る点、最後にスクリプト制御にかなり対応している点でしょうか。あくまで、私の主観ですが。

他の競合製品とかを見てもあまりココロがトキメかないのは、数十万〜数百万だしても、さほど結果物のクオリティが変わらない事に因ります。After Effectsの基本的な設計は、1997年に私が本格的に使い出した頃と変わらず、その点をつつけば「古い」と言われそうですが、新しいソフトウェアを使っても結局はクリエータ次第で結果が決まるのですから、全然気にしておりません。逆に、高い機材を使ってショボいのを作るほうが、恥ずかしいかな‥‥と思います。

私は最近、CLIP STUDIO PAINT EXというソフトウェアを使い始めましたが、中々に気にいっており、新しいアニメーション作りに使えないか、模索しているところです。私は2000年初頭のRETASの印象から、開発元のセルシスの製品を避ける傾向にありましたが、今のセルシスは以前とは大きく変わっていて、業界向けソフトウェアの販売というよりは、日本のアニメ&コミックのクリエーションを盛り上げようとしている雰囲気を感じます。

CLIP STUDIO PAINT EXは、月額500円で使用が可能で、特質すべきはクレジットカードや銀行口座を所有していなくても、コンビニで決済が出来る事です。これは若年層には大きな利点です。クレジットカード決済オンリーにすれば手っ取り早いでしょうが、あえて10代の学生でも可能な決済を実現し、かつ月額が500円なのですから、その意図は言わずとも充分汲み取れます。

CLIP STUDIO PAINT EXは、MacとWinの両バージョンがリリースされており、Macで一番安価な私のMac mini(i7で16GBメモリ)でもストレスなく動いております。各種の描線制御機能など基礎技術の高さを感じるソフトウェアでもあり、使い方に慣れれば、Photoshopよりは格段にアニメーション制作に向いているかも知れません。Photoshopのショートカットを数多く踏襲しているので、転向組もあまり迷わず作業が進みます。

私は未来の維持費も含めてシステムだと考えているので、ソフトウェアを導入する際はバージョンアップなどの維持費をべらぼうに要求するソフトウェアは「危険」だと判断し、できるだけ敬遠するようにしています。でもまあそれにしても、CLIP STUDIO PAINT EXの500円は安さが極端ですけどネ。毎回5万も10万も要求するソフトウェアはやがてバージョンアップが滞り、システムの崩壊が始まりますから、6〜12年くらいのスパンで維持できるソフトウェアを選択すべきです。ソフトウェアの購入の際に「清水の舞台から飛び降りる」ようでは後が続きません。

使い方次第で、米国大手のスタジオに比肩しうる作品は作れると思います。国内で言えば、アマ・個人でもプロ同等かそれ以上のものを作れる可能性を持つと思います。「一定以上の機能を持つソフトウェア」を手にしたならば、最終的にはクリエータ個々の技能が雌雄を決します。

なので、「一定以上の機能を持つソフトウェア」を何とか手元に揃えたいところです。Adobe CCの学割がもっと安ければ(高校生だと月3,000円はキツいですし、バイトをやってたらソフトをイジる時間が減りますから、どうしても親御さんの大きな援助が必要になるでしょう)、10代からバリバリ作れるんですけどねえ‥‥。

プログラムぐるぐる

私は今、ファイナルビジュアルエフェクト・カラーグレーディングのシステムプログラム開発の佳境で、頭の中にプログラムコードやダイアグラムがぐるぐると動き回る日々が続いております。絵作りとプログラムは、根本的なものは実はとても似ているのですが、手段が大きく異なるので、1日の中で同時に進行させるのは正直ツラいものがあります。しかし、「両立させなければダメ」なのは、もう経験上、痛いほど解っています。

After EffectsやPhotoshopなどを作業者各々が操作するにしても、では全体としてどのように運用するのか?‥‥を、コンピュータネットワークを活用したシステムプログラムで具現化すべく苦闘しているのです。After Effectsが漠然とコンピュータにインストールしてあるだけじゃダメで、作業リソース(素材や結果物)や各種情報をいかにして有機的にバインドさせてシステムとして成立させるかが必要なのです。システム作りをしておかないと、アリ地獄のような苦悶の日々、討死覚悟・バンザイ突撃の作業が待っています。

映像制作にコンピュータを用いる意義は、単に画具の代用品としてPhotoshopやAfter Effectsを用いるだけに留まらず、制作全体に機能すべきものです。コンピュータの能力を制作運用の全体に浸透させれば、著しい高効率化を果たせるのは明白なのですが、深刻な1つの問題によって、状況は停滞したままです。

深刻な1つの問題‥‥とは、シンプルな事ですが「マインドセット」です。「意識」「思考」とでも言いましょうか。コンピュータが制作運用を飛躍的に向上させるという意識が根本的に無いがゆえに、PhotoshopやAfter Effects、エクセル、Webブラウザ、メールをスタンドアロンの単体ソフトとして使う事ばかりに終止しているのでしょう。どれもみな、画具やカメラ、帳簿、図書館や辞典、手紙や電話の「代用品」としての使われかたです。

代用品思考なので、基本的なスタンスは以前と何も変わりません。以前の道具が高機能化しただけの意識に留まります。ゆえに人の動き方も以前と同じ。人の扱い方も、足りなければ人を増やし、余れば減らす‥‥という具合です。

業界は苦しいというけれど、実は自分たちの思考にも重大かつ根本的な問題があるようにも思います。基盤となるシステムを一向に改善しないまま、人材を自動販売機の商品のように扱うままの意識では、苦しい状態から抜け出せるわけもない‥‥と思うのは考え過ぎでしょうか。

でもまあ、昭和の時代に確立した今の作り方は、昭和生まれの人々が墓穴へと道連れにする‥‥ので、ちょうど良いのかも知れないな‥‥と、最近は達観しております。

ただ、昭和生まれでもジタバタともがく私のような人間も業界内には潜在するでしょうし、平成生まれの若い人は「勝手に道連れにするな」とも思うでしょう。‥‥だったら、新しいシステムを作らんと。先人の開拓精神を継承しつつ、新しい土台を形成しないと。

コンピュータは人間を疎外するものだという考えは、著しく古いレッテルでの発想です。ある種、昭和的‥‥とでもいいましょうか。

前々から言い続けている事ですが、コンピュータプログラムの活用は、制作現場当事者たちの能力を「引き立たせる」ために使うのです。臆する事無くズバリと言えば、人間を尊重させるために、コンピュータを使うわけです。私の考えるシステムはコンピュータで出来る事はわざわざ人間がやらず、人間にしかできない事を人間がやるという人間性重視のものだと自負しています。

コンピュータ入門編として、コンピュータを代用品として使う方法はありでしょう。しかし、もうそろそろ、プログラムにも着手しないと状況は先に進まないと思います。現場意識の新旧は、「自分たちの現場を支えるトータルシステムを、自己開発できるか否か」で、明確に示されるでしょう。

自分たちで土台を作り直さない限り、今の状況からは絶対に抜け出せないと思います。コンピュータプログラムを遠巻きにしているようでは、スタートすらできません。多かれ少なかれ、プログラムの素養を持っていなければ、ディスカッションすらままならないでしょう。プログラム音痴の人間「だけ」が寄り集まって、新しいシステムの有意義なディスカッションなんて不可能です。アニメとコンピュータの両方の知識が、まず必要です。

サザエさんの「デジタル化」でもわかるように、もはやアニメはコンピュータなしでは作れません。なのに、今でも異質な門外漢として、コンピュータを扱っているフシがそこかしこにあります。「インターネットが嫌いです」とインターネットを使って発言しているようなものです。そろそろ、目的と手段の整合性を直視しても良いんじゃないですかネ。

不整合を内包して無駄を延々と発生し続けているのに、「大変」だなんて、ある種の自作自演です。アニメーション制作は、何をどうやったって、基本的にとても作業量が多くて大変なものです。なのに、段取りを多くしてさらなる大変なものへと作り上げちゃっているわけです。作業量が多くて大変ならば、なぜ無駄や大回りを回避して効率を上げる方法を模索しないのか、不思議でしょうがないのですが、「アニメの作り方はそういうもの」というマインドセットが強固なので、呪縛を解けないのです。仮に1セクションが新しい提案をしても、全体意識が提案を却下する事も多いです。

戦(いくさ)度胸は必要ですが、それがイコール、バンザイ突撃なのだとしたら、コンピュータを導入してもなお、アニメ業界の根っこは昔と何も変わっていない‥‥という事です。兵士の度胸頼みの白兵突撃を繰り返す、無策の戦術と戦略。零戦無敵の神話は、サッチウィーブの確立によって早々に失われていた事は、日本人の私には耳痛い事ですが、事実は事実です。日本人はもしかしたら、昔取った杵柄を大事にし過ぎるのかも知れません。

数々の名作を生み出してきた昭和のアニメ制作システム。コンピュータやインターネットなど現場にはなかった時代のシステムです。私はそのシステム上で動く人々にどこか、大戦末期の零戦の悲痛な姿がオーバーラップするのです。しかし、運命まで重ね合わせる必要はない‥‥とも思うのです。


マスターについて

Kindle Fire HDXやiPad Airが発表され、小さい画面でありながら高密度解像度という、次世代の映像の基礎が徐々に形成されつつあります。フィルムをデジタイズする際の高品質の売り文句だった「ハイビジョンマスター」というフレーズは、もはや逆に、「今どき、ハイビジョンマスターじゃないマスターなんかあるの?」というくらいの勢いに転じています。

そんな事を考えると、2004年〜2010年くらいのあいだに制作された「D1サイズのデジタルアニメ」って、相当マズいですよネ。品質的なツブシが利かないですもん。ダウンコンして、さらにプルダウンまでして‥‥。16ミリや35ミリフィルムとちがって、SD(DVDやD1)サイズの画素数って、ホントに貧弱です。横幅720ピクセルしかない現実はどうにもなりません。

せめて、ドット・バイ・ドット&24fpsでアーカイブしてあれば、まだどうにかなったと思うんですけどネ。

私は当時から、そんな「わざわざ低品質にするワークフロー」に強い疑問をもっていたので、自分が主導権を握れる作品においては、ドット・バイ・ドット、ネイティブFPS、そしてちらつき防止ブラー無しの、クリアなマスターをアーカイブするようにしていました。最上位品質のマスターを「ホワイトマスター」と呼び(私の造語です)、下位メディアに合わせて「ブルー」「オレンジ」「レッド」の各マスターを必要に応じて作りました。

2004年のお伽草子という懐かしい作品で、第1期のオープニングを担当しましたが、D1へのダウンコンバートなしの等倍サイズ、24fps、16bit(RGBで48bit)のマスタークリップが今でも存在します(どこにあるかは探す必要がありますが)。ロングショットの花びらや雪などのディテールがちゃんと見えますし、キャラの輪郭もシャープ、グラデーション表現も滑らかです。

手塩にかけて作る作品が、当座の納品仕様に合わせてむざむざ低画質になるのは、どうしてもイヤだったのです。

近い未来、また映像フォーマットは揺れ動く事と思います。また「アニメの作品」の制作において、アニメ業界が一人勝ちの現状は、徐々に崩れていくんじゃないか‥‥とも思います。「クールジャパンなのに?」と思う人は多いかもしれませんが、そういう状態が一番「危ない」と思うんですよ。

全ての要素を先読みして、タップリと対応する事は不可能だと思います。だからこそ、「これはマズいと思う」要素〜例えば故意に品質を下げるような行為〜くらいは何らかの解決策を導き出して、作品作りにのぞみたい‥‥と思うのです。この10年の経緯や経験を活かして。

「知識を身につければ十分? 否。何事かに応用せよ。 望むだけで十分? 否。行動を起こせ。」と、かのドイツの文豪も申しておりましたネ。

機材的な話題

最近、紹介した4K視点のサンプル画像は、ほとんどがMac miniで作ったものです。下にズラリと並べてみましたが、2点のみ(銃を撃つ女性とクマの子)がMac miniを買う前に2008年製の古いMac ProやPowerMacG4で作業したもので、残りはMac miniで作業しました。Mac miniをメインとした自宅の環境は、本業よりも2〜3段はランクの低い環境ですが、レンダリングに時間がかかるだけで、作業は普通にできます。‥‥昔は自宅でも、タワー型で作業するのが普通でしたが、現在の観点だとうるさいし電気喰いなので、Mac Proのようなタワー型は出来るだけ起動しないで済ませています。


*上図サンプルは未紹介のもので、ペーパーレス・ベクターオンリーの5K解像度のものです。100%表示だとこんなに(下図)デカく寄っちゃいます(揺れるペンダント部分)。

*以下は既出のサンプルです。






*ついでに6年前に作ったクマの子(オリジナルはHD解像度)も、画風の参考として出しときます。

最近のMacはminiでも、相当やります。ぶっちゃけ、こんなに仕事の出来るやつだとは思ってませんでした。Mac miniをメインにするようになって、そろそろ1年くらい経ちますが、充分使えます。

構成はこんな感じです。




作業用マシン「Mac mini i7」の構成は、何の変哲もない構成に見えますが、完全なバックアップ体制のために、HDDを増強しているのがミソ、でしょうか。バックアップ間隔は1時間で、作業ミスでしょうもないデータ紛失をしても、1時間前には戻れる仕様になっています。いわゆるHourly Backupというヤツです。メモリはアマゾンで安く買った16GB(8GBx2)に変えてあります。現在のHD解像度ならともかく、UHD(4K)以上の作業は、最低でも16GBのメモリは必要ですヨ。本当は32GBにしたいんですが、Mac miniの上限は16GBなので、断念。

HDDの銘柄は、バックアップ用途はWDのGreenなどのコストの安いもの(=低速)、作業スペースはBlackなど7,200回転以上のモデルにしてあります。ThunderBoltで繋ぎたいけど、今のところはUSB3.0で凌いでいます。

ペンタブレットはIntuos5を常用し、Cintiqはあまり使いません。なまじ、ペン先と映像にズレを実感しちゃうよりは、Intuosの遠隔操作のほうが潔いと思っております。スキャナはフラットベッドとドキュメントスキャナの2種。ラフのスキャンは、ドキュメントスキャナが圧倒的に楽です。フラットベッドスキャナは、400dpiくらいまではスキャン速度があまり落ちないモデルが良いかと思います。プリンタは、絵を出力するのはガイドの線画程度なので、高級なのは要りません。Canonの5千円プリンタで充分すぎるくらいです。
*ドキュメントスキャナの文節にと、富士通のScanSnap最新モデルを検索してて驚いたのは、どうもローコスト化が画質に出ているらしい事です。‥‥なので、1世代前のモデルがお勧めです。‥‥売れ筋商品で定番化するとよくあるんですよネ。iMac(昔のオニギリ型のCRTモデル)も、モデルが刷新されるたびに故障しやすく(コンデンサとかのローコスト化で電源不良が相次いだ)なっていったし。アニメも、2013年と2003年では、金のかけ方や人材・時間の問題で、クオリティが必ずしも向上&進化しているとは言えませんもんね‥‥。

作業用サーバは、メインメモリ8GBですが、やはりデータのバックアップは完全に網羅してあり、バックアップ間隔は1時間〜3時間にしてあります。ぶら下がるのは私1人だけで、複数端末からの同時アクセスを高速に捌く能力は必要ないので、安いMac miniで充分です。逆に言えば、ぶら下がるのは映像制作用途だと2〜3人くらいが限界ですかネ。あくまでも「個人用のサーバ」です。ちなみに、モニタディスプレイやキーボードは繋がず、VNC(Macで言うところの画面共有)で遠隔モニタリングします。

LANはもちろん有線ギガビット。無線は使いません。将来に合わせて、10ギガビットの線を敷いてます。ケーブルだけだったら、10ギガ対応でもそんなに値段は変わりませんからネ。

‥‥とまあ、「こんな安っちいので、出来るのか」‥‥とか思われそうですが、2年ごとにメインマシンは買い換えなので、維持費は結構それなりにかかります。HDDのメンテ&管理(有り体に言えば適宜の買い換え)もできないといけません。

ちなみに、この環境で4K(実質は5K近い)をレンダリングすると、1フレームあたり1分前後です。つまり、48fpsだと1秒レンダリングするのに48分〜1時間近くかかるわけです。1フレームあたり2分くらいかかるのも珍しくありません。

しかし、考え方を変えれば、こんな安いマシンで次世代フォーマットのレンダリングが可能なんですから、要は運用次第ですね。個人制作レベルでも、工夫を凝らしてそれなりに「イケる」んじゃないでしょうか。プロの場合は長尺の作品をこなす必要性から、どうしても性能の高いマシンが必要ですが、個人制作の短編なら、見込みは充分あるんじゃないでしょうかネ。

ドイツの有名のお方のコトバで「人生はおよそ二種類のものがある。できるけれどもしない。したいけれどもできない。」というのがあります。‥‥ならば私は、「できることはしよう」と思うのです。

追記:Macには「買うタイミング」というものがあります。めんどくさいですが。‥‥10月現在は、様子を見たほうが良いかも知れません。


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