プロファイル、再び。

チェックモニタの調整の重要性は前回書いた通りですが、フリーランスの個人宅でマスモニを導入するのは、コスト的=導入費・維持費的に、明らかに非現実です。

 

ゆえに、制作会社の存在意義もあります。仕事を受発注するだけが制作会社の存在感ではありません。「制作会社のチェックルームのモニタは信用できる」とスタッフ全員が信頼する環境を用意するのも、制作会社の大きな存在理由です。

 

 

 

信頼できるモニタ環境を確立して、ようやく、今後の「カラープロファイル運用」の必要性が見えてきます。

 

すぐ先の未来は、もはやsRGBだけを基準にしていた時代ではなくなります。DCI-P3、PQやリニア(HLG)、もしかしたら1000nitsのテレビや、真にBT.2100が表示可能なモニタやテレビも登場するかも知れません。

 

一方で、アニメーターは、白地に黒い描線で絵を描きますから、100nitsどころから50nitsくらいで充分です。用紙(ドローAppのキャンバス)の白地を500nitsで見続けるお馬鹿さんはいまい。かと言って、PQ合わせで、白地を目に優しく50%のグレーにするわけにもいきません。線画を描くアニメーターは、依然としてsRGBのままで良いです。

 

アニメの工程の内部でも、色彩や輝度の必要な基準が変わります。「全員がsRGB一択」の時代が終わります。

 

 

 

カラープロファイルをなぜ日本は運用しないのか。‥‥ガラパゴスだから。‥‥としか言いようがないですが、そのガラパゴス島にも、4KHDRテレビがどんどん普及して、当座、100〜1000nitsの可変の状況に対処しなければなりません。ガラパゴスにも変化が訪れます。

 

しかし、プロファイル運用は気が正直気が重いです。すべての工程の足並みが揃うのは、かなり難しいです。

 

全員がプロファイルの理屈を理解し、全員がソフトウェアを適切に設定し、各制作集団ごとにマスモニとまではいかなくてもリファレンスモニタ格のモニタを適切に調整して設置する‥‥なんていう「大事業」が、本当にうまくいくのか‥‥と考え込んでしまいます。

 

少なくとも、最初は大混乱で事故多発でしょうね。

 

正直、私自身で考えても、手探りの部分が多くて、運用テクニックを修得しながら、着地点=デファクトスタンダードを見出すことになると思います。

 

現場の運用というのは、頭の中の理屈だけで動くものではなく、実際にやってみせて証明して、徐々に固まっていくものだからです。

 

 

 

机上の空論は物事を動かせない。会議ばかり熱心に開いても、結局実を結ばなかったプロジェクトはいくつもあります。

 

むやみに行動しても空回りする。行動に意義ありとは言え、計画性がなく論理も合理も伴わなければ、結局実を結びません。

 

カラープロファイルはどうなるでしょうね。机上で論理的に計画し、実際に現場で実践することが求められましょう。「机上」と「行動」の両方が必要です。

 

 

 

後付けのHDRではなく、現場がネイティブにHDRを扱うようになった時、さすがにHDR映像をまともにチェックできないのは困りますよネ。

 

ネイティブHDRのアニメは、カラープロファイルなしでも作れないことはないです。しかし、OSがHDRに対応していないのでPQの場合は白飛びしちゃって、オペレーションはしにくいです。

 

それに、HDRとひとくちに言っても、HDR10、HLG、DolbyVisionがあって、さらにPQとリニアもありますし、iPadなどのDisplay P3などもあって、現時点で既に、何をどのように組み合わせるかが、多岐に渡ります。

 

AppleのXDRのように、同じ画面に様々な色域が混在できる仕組みが普及した時、プロファイルなしで運用する方法は不適合になります。

 

 

 

 

でも‥‥。

 

アニメ業界は、HDRだ、DCI-P3だ、PQだなんて言ってられないほど、もっと根本的な部分=どうやって人々が働くか‥‥の部分でどんどん追い詰められています。

 

HDRや4K、カラープロファイルに手が回らない制作集団が存在しても、それを無碍に批判できるほど、業界の状況は良好ではなく、1280pxでも危うい現実があります。

 

業界の成り行きを鑑みつつも、独自路線で独自の生き残りも同時に仕掛けていく必要がありましょう。

 

2030年代はIT分野で50万人の人手不足‥‥とか、ネット記事見出しをどこかで見かけましたが、アニメはもっと不足するでしょうネ。アニメ業界は日本の縮図だ‥‥とも言われますが、縮図以上に、悪条件の毒性を濃厚に煮詰めた状態です。

 

ベビーブーム頼みの構造破綻が、一足先に表面化していく2020年代のアニメ業界‥‥になると思います。2029年には現場のみんなは、どんな状態でアニメを作っているでしょうかネ。

 

日本で第3次ベビーブームが起きない限り、ガラパゴス島の内需頼みの構造は痩せ細っていくだけです。

 

‥‥というのが、実はまわりまわって、カラープロファイルの運用是非に影響しています。ローカリズムとグローバリズムの対峙ですネ。プロファイルなしの運用って、こてこてのローカリズムだよネ。

 

此の期に及んで、ローカリズムとグローバリズムが対峙している場合ではないでしょう。

 

両方の利点を賢く活用できる、新しいドクトリンが必要です。

 

 


モニタの運用

カラープロファイルの話を前回書きましたが、モニタの色の話は、制作現場によって、相当「荒れる」話題でもあります。

 

自分たちのチェック環境は、どの制作集団の誰しも「自分のところは正しい!」と自信を持ちがちです。自分たちが映像チェックをしているモニタが、まさかズレているなんて思いたくもないからです。

 

しかし、実はいくらでも色がズレる落とし穴は、そこらへんに転がっていて、賢明な作業集団は、必ず作業開始前に「自分たちの環境の再チェック」をします。つまり、

 

自分たちは正しい

 

ではなくて、

 

自分たちは間違っているかも知れない

 

‥‥と、自己チェックを行う習慣があります。特に色彩関連は、複数の要素で成立しているので、新しいプロジェクトのスタート時には、環境チェックをおこないます。

 

 

 

現場に本当にありがちなのは、以下のような話。

BGや色彩設計、撮影上がりのラッシュチェックなどに用いている、制作会社の「マスター」となるモニタです。

 

マスターなわけですから、可能な限り正確な色を映し出している必要があります。

 

‥‥が、これがまた、そうなってない場合が多いです。

 

ラボで自分たちの映像をみて、上図のように感じたなら、ラボと制作会社の「上映状態」が何かしらの原因でズレていることになります。

 

そんな時に一番見苦しいのは、「ラボのモニタがおかしい」とか言い出す輩。自分たちの映像チェック環境が正しいと信じて疑わない人です。

 

ラボのチェック環境は、様々な映像プロダクションと仕事をしていますから、ラボ側が異常で不良ならば、各社から苦情がくるはずです。

 

何らかのラボ側のトラブルも可能性はゼロではないでしょうが、多くの場合、ラボに持ち込む前段階で何かが障害となって、正しく表示されないのです。

 

*図は極端に表現してます。さすがに、テレビやモニタの「鮮やか」設定でチェックしている制作会社は見たことがないです(昔は見たことがあります)。

*しかし、いかにも調整がずれてそうなモニタ、いかにもチェックミスしそうな部屋の明るすぎる(=暗すぎる)環境は、今でもたまに見かけます。まっきんきんに明るい部屋、洞窟のように真っ暗な部屋は、どちらもNGです。アニメの監督さんやプロデューサーさんはポスプロのBD/DVDのチェックルームにもいくわけですから、会社のチェックルームにアドバイスしてあげるのが良いです。

 

 

Rec.709の厳密な基準よりも、鮮やかでメリハリのある「色付けされた」モニタで、いつもチェックしていたので、もとのデータの「本当の姿」は自分たちが考えていたよりも明暗が鈍く彩度も低い内容だった‥‥という、本当によくある状況です。モニタ環境を甘く見ている人々の‥‥です。

 

  • 規格の基準は100
  • 130の派手なモニタでチェックしていた
  • ゆえに実際に作っていたデータの中身は77だった

 

‥‥というオチです。この逆もあります。

 

正確な色を映し出すマスターモニタ製品。加えて、テレビだとどのくらい変化するのかを「みせしめ」的に確認するための民生テレビ。‥‥この2つの性質をしっかりと認識した上で日々の映像チェックをおこないます。基準はあくまでマスモニであって、民生テレビではないです。

 

もともと、Rec.709・sRGBは、ものすごく地味で冴えない色域です。テレビ製品を売り出す家電各社は、その地味な規格を、いかに鮮やかにアピールできるかを競ってきたフシがあります。その家電各社の色付けに惑わされて、映像を作る人間たちが民生テレビ製品基準でチェックしてたら、「本当の基準」を見失います。

 

ゆえに、マスターモニタがあり、Rec.709やDCI-P3などの規格が制定されているのです。

 

映像制作のプロなら、マスモニと色域の規格をしっかりと見据えてチェックしましょう。

手っ取り早く、まずはRGB、輝度だけでも、チェックしましょう。

 

ラボはsRGB/Rec.709ターゲットなら、その色域を正確に映し出しています。色彩計で実際の輝度を計測して、モニタの経年変化がないか、何らかの異常がないか、日頃から品質チェックしています。

 

「会社のみんなのチェックモニタ」はどうでしょう。どのくらい、メンテの頻度で正常状態を保っているでしょうか。

 

そもそも、ちゃんとした計測と調整の技術をもったスタッフと機材は常駐していますか?

 

 

ラボで見た時は、素直なグレースケールだったのに、会社でみたら、中間トーンが緑や赤にネジれています。

 

調整がズレてて、表示が異常な状態のモニタでチェックして、「OK」だの「透過光の色味を若干赤く、リテーク」だの言っても、不毛な話ですよネ。

 

ではどうすれば良いのか。

 

地道にあらゆる要素を正しく運用する以外に、道はありません。正確な発色のチェック環境を手に入れるには、基礎技術を積んで積んで築き上げるのです。

 

色を正常に映し出すには、モニタの製品スペック、モニタの経年変化、モニタケーブル(HDMIはくせもの)、OSのカラー設定、ソフトウェアの作業スペースの設定、ビュワーがプロファイルの影響を受けているか否か、ムービーコーデックや画像フォーマットの特性、ちょっと思いつくだけでこれだけの項目があります。

 

モニタの正常状態の維持管理は、まさに制作会社のレベルそのものです。それだけ「難しい」ことなのです。

 

 

 

お高いかも知れませんが色彩計を常備して、チェックモニタを定期的にメンテできるスタッフ編成が必要でしょう。

 

ラボとの定期的なコミュニケーションも必要です。

 

また、モニターディスプレイを製造販売している会社のスタッフとも知り合いになったほうが良いです。

 

さらには、ソフトウェアの代理店で技術的な知識が豊富なスタッフも頼りになります。

 

 

 

これだけ書いといて、なんですが、私は、制作会社とラボがぴっちり隙なく色が合うとは思っておりません。

 

思ってないけど、可能な限り同じ色にしたいとは考えています。

 

なので、カットボールドには必ずカラースケールを組み込みます。色々な場面で、ある程度は状況が汲み取れるからです。

 

*このカットボールドのRGBやグレーのスケールを見て、滑らかに明暗が経緯してれば、良好な状態です。暗部は0から48、明部は159から255になっています。sRGB/Rec.709のSDRだけでなく、HDRのPQで1000nits合わせでも、このスケールは日頃から役に立ちました。

 

 

 

こうして、「モニタの色は難しい。心して取り組まなければ!」と謙虚に注意深く運用すれば、作品のコンポジットが終了して、ラボのカラーグレーディングに立ち会う際には、これがまた、会社とラボの色がクリソツ。‥‥ある意味、不思議なくらい、ラボとの差がなくて、驚きます。

 

日頃のメンテナンススタッフの仕事の賜物、モニター製造会社さんやラボとの良好な関係など、様々な地道な取り組みの成果です。

 

色合わせのことを、軽々しく考える人もいますが、私は20年余のコンポジター生活、ラボとのやりとりの経緯ゆえ、今でも「知った口を利く」ことはできません。どんなに経験を積もうと、慎重さを心がけています。‥‥それほど、色は難しいです。

 

 

+ + + + + +

 

 

ちなみに、話はソレますが、この記事の絵は、iPad ProとProcreateでちゃちゃっと描きました。「ゲシンスキーインク」のプリセットを複製して、ストリームラインを強めに、ジッターを少々足して、綺麗な軌跡が描けると同時に曖昧なアウトラインの揺らぎが表現できるプリセットに仕立てました。

 

絵の雰囲気も大きく左右するので、プリセット作りは難しくも楽しいです。

 

こういう絵ならあっという間に描けるんだけどねえ‥‥‥‥。原画作業は大変だよねえ‥‥‥。

 

 

 


モニタの色、プロファイル運用

アニメ制作現場で、結構危ういのが、モニタの色、です。パソコンに繋がったモニタがRec.709なら、ちゃんとRec.709の色域を表示しているか?‥‥です。

 

インポート、エクスポートの方法にミスれば、容易に色は転びます。そもそも、ちゃんと色彩計で計測して正しい発色をしているモニタなのか、リファレンスモニタとしてふさわしい製品を現場に設置しているか、日々のアップデートによってカラープロファイルが外れてないか‥‥など、チェックポイントは結構沢山あり、その1つ1つがこれまた結構専門的でもあります。

 

マスターモニタを各部屋に置くのは、正直難しいでしょう。単純に金額の問題で。‥‥何十万、いや、何百万もするマスモニを買うことが、アニメ業界の各現場にとって荷が重いことは、誰でも承知するところでしょう。

 

しかし、マスモニではなく、リファレンスモニタなら、なんとか1台は各部屋に設置したいです。だって、色を見てチェックするのに、色を正確に映し出していなければ、チェックにならんですよネ。

 

sRGB、Rec.709に関しては、それこそ数万円のEIZO製のモニタを買えば、ラボとほぼ一致します。例えば、あまり大きな声では言えませんが、「ビジネスモデル」(=カラーエッジじゃない)でも、Imagicaの北斎ルームと驚くほど一致していたことがあります。‥‥ビジネスモデルなのに。

 

もちろん、日頃のメンテが為されているからこその、sRGB/Rec.709です。買ってそのままとか、1番最初に調整したもらったままとか、目視の自己流の調整では、どんなに高いマスモニだろうが、色は合致しません。

 

Rec.709のモニタをちゃんと運用できて、ラボともズレのない環境を構築できているか否か‥‥は、まさに制作集団のインフラの腕の見せ所と言えましょう。

 

 

 

アニメ業界は、2000年代前半に、カラープロファイル運用に挫折した経験があり、2020年の今の今まで、カラープロファイルなしで運用する会社がほとんどです。御社も弊社も。

 

言葉は悪いですが、「バカ入れ、バカ出し」です。時間軸で例えれば、タイムコードなしで編集するようなものです。目視に頼る方法。

 

HDRが普及する今後、アニメ業界のプロファイルなし運用は、決定的にダメだしを食らう可能性があります。

 

ちゃんと、プロファイルを埋め込めよ。‥‥と。

 

Appleの格安の1000nitsクラスHDRモニタ(1600nitsだとか)「Pro Display XDR」は、なんと、Appのウィンドウごとにプロファイルが適用されるのだとか。‥‥私は見ていないので、実際に見た人からの人聞きですが、各アプリケーションの各ファイルのプロファイルを別個に解釈して、表示するウィンドウごとに色域を変えて表示するらしいです。

 

 

そうか‥‥。そういうことが、もう可能なんですね。

 

でも、アニメ業界標準の「プロファイルなし」ファイルでは、マルチ色域表示がそもそも適用されません。ファイルのメタデータの中にカラープロファイルがないのですから、当然ですネ。

 

AppleのXDR登場よりも前に、4KHDRでDCI-P3でDolby Vision PQを扱うことになった際、プロファイルの運用を試行した経緯がありました。しかし、私を含め、アニメ制作現場では20年以上、プロファイル無しの運用に慣れていたため、各作業工程でのプロファイルの扱いが危うく、結局はプロファイルには頼らず、モニタを一律にターゲットの色域へと的確に調整する方法=今までと同じ方法で乗り切りました。

 

しかし、今後も同じ方法でうまくいく‥‥とは思えなくなりました。XDRの話を聞けばなおさら、画像や映像データが「プロファイルを持つ」ことは必須になるのかも知れません。

 

そうなれば、After Effectsの設定も変えることになるでしょう。いつまでも「なし」を選択し続けることはできなくなるやも知れません。

 

 

 

 

20年以上、プロファイル運用に挫折している場合じゃないのかも。

 

HDRを自分たちの新しい武器とするならば、プロファイル運用に再チャレンジすることになる‥‥のかも知れません。

 

だとすれば、おおごとですネ。美術、色彩設計、コンポジット(撮影)、編集、3DCG、特効、2Dグラフィック‥‥と、色が存在する工程は、全員参加となります。

 

アニメ業界にとって、カラープロファイルは言わば「眠れる獅子」でした。

 

獅子が目覚めて、‥‥‥さて、どんな大暴れをするのやら。

 

正直、その獅子=猛獣を、各工程スタッフ皆で手懐ける自信が、まだ今はありません。猛獣だから、檻に閉じ込めておいたのですから。

 

しかし、懐いてみれば、案外、腹を出して甘えてくるのかも? 「ささ、来やれ。腹、撫でてみそ」と。

 

 


Adobe FontsがiOSで使えるようになったけど

Adobe CCを契約している人なら、新しいiPadOSで、Adobeフォントを読み込んで使えるようになりました。AdobeのAppだけでなく、他のAppでも。

 

iPad版Pagesだとこんな感じ。

 

 

私のお気に入りは、貂(てん〜かわいい動物の)明朝書体です。

 

*この可愛い子が、ガンバたちを恐怖に陥れた‥‥って、あれはイタチか。‥‥イタチも可愛いね。

 

 

 

しかし、喜ぶのはまだ早い。

 

Procreateなど、多くのAppが対応してないのれす。今後のアップデート待ちです。

 

使っているAppのフォント一覧に、Adobeフォントが表示されない場合は、Appが対応してないから‥‥みたいです。

 

はやいとこ、対応してちょ。

 

 


iPad、使いにくさの谷を超えて

今でこそ、自分の仕事人生の半分を預けるほどのiPad Proですが、最初の頃は「使いにくいにもほどがある! いちいちひとつずつ指先で操作してたら時間がいくらあってもたりない!」と半ばパニック・ヒステリー状態のようになったことも、苦々しく微笑ましい思い出です。

 

iPadが使いにくい!‥‥と言っている人は、もしかしたら、「使いにくさの谷」を超える前の人かも知れません。

 

私は超えました。きりっっ!

 

 

 

iPadはスクリプトで自動処理とかできません。地道にジェスチャーで操作して、物事を先に進めます。

 

もし100個のファイルを移動したい時は?

 

100回、指でタップして選択する?

 

斜めにスワイプして連続選択する?

 

どれも違うのです。

 

100個選択すること自体、iPad向きじゃないんですよ。

 

100個選択しなければならない状況を作ってしまうことが、既にiPadを使いにくく使っているのです。

 

‥‥それがわかるまで、2〜3年くらいかかりました。長かったですが。

 

 

 

例えば、iPadで絵を描きます。

 

同時に100枚の絵を描けますか? ‥‥当然、絵は1枚ずつ描きますよね。

 

だったら、描いたらその後すぐに分別したりスタックしてまとめれば良いだけです。

 

大量に分別して大量に捌けるのが、コンピュータの処理能力の代表格みたいなところがありましたが、iPadはそうした大量処理を目的として設計されていません。

 

つまり、人間の等身大を意識した整理整頓術が、iPadの真骨頂です。

 

私はAfter Effectsで大量のファイルを扱う作業ばかりしていたので、何百個というファイルをとにかくドバッと豪快に整理する方法でした。

 

‥‥それがiPadでは全く通用しませんでした。

 

 

 

iPad〜iOSは、人間の「1/1スケール」を意識しているように思えます。

 

まるで魔法使いのように、膨大なファイル数を自分の意のままに操作する‥‥とかではなく、人間の1分1秒感覚で、どのように体を動かして操作するか‥‥というイメージです。

 

朝昼晩1週間で、21食分の汚れた食器を溜め込んで、日曜の夜に大量に食器洗いしますかね?

 

食べた後にちゃちゃっと片付けないと、食器なんていくらあっても足りなくなるし、流し台はかなり広く大きくなくてはなりません。

 

1食ごとにこまめに食器洗いすることで、コンパクトな流し台と少ない食器数で事足ります。台所には必要十分の食器棚があれば良いです。

 

 

 

では、iOSやiPadは、macOSやWindowsの規模縮小版なのか?

 

違うんですよ。‥‥違いに気づけないと、iPadを使いこなせません。ストレスを感じるだけの存在のままです。

 

大量の処理は苦手ですが、人間の1つ1つの動作に対して、マウスやキーボードよりも遠隔感・リモートコントロール感が少なく、ダイレクトな操作感になります。

 

私が絵を描く際に、iPad Proを愛用しているのは、まさにそこです。液タブ&macOS/Windowsよりも、絵が「近い」のです。

 

その「近さ」を理解しコントロールできるようになった時がまさに「iPadの使いにくさの谷」を超えた瞬間です。

 

このことがわからないと、いつまで経っても谷を越えられず、使いやすさは谷の向こう側です。

 

 

 

おそらく、勘違いしている人もそこそこ居ると思われます。

 

iPad Proは、ワイヤレスの小さな液タブだ‥‥と。

 

全然、違います。解釈、認識が根本的に違うのです。

 

iPad Proを液タブと同じ認識で使うと、全くiPad Proの良さが活きません。殺してます。

 

液タブは、据え置きで机に設置し、キーボードとマウス(か、何らかの操作デバイス)とともに、まるで大きく広げた画用紙のように使います。Cintiqのタッチ操作の誤動作が多くて切っている人もいますよネ。WindowsやmacOSがジェスチャーベースではないので、Cintiqに不満を抱いてもお門違いです。

 

しかも液タブやMac/Winソフトウェアは、マシンの大きな影響を受け、タブレットドライバに悩まされることもあります。液タブが快適に動作する保証はないのです。各環境によって使用するディスプレイもまちまちで、モニターケーブルを繋ぐだけではカラーマネージメントも曖昧です。

 

iPad Proは、机に置いて、まるで自分の脳内のミラーイメージのように映し出し、全体を見たければピンチアウトでさっと引いて、細部を書き込みたければグッとよって、自分の腕の角度に合わせて頻繁にキャンバスの角度を変え、もはや紙の代用品ではなく、絵を描くための新しい手段・方法論と呼んでも過言ではないです。ジェスチャーに使える自分の手の指が4本以上〜両手で合計10本あることに、どれだけ改めて感謝したことか。

 

iPadはApple PencilやiOSのAppが快適に動作するように、それこそプロセッサからディスプレイパネルまで全て発売元=開発元が取り仕切って生産管理までおこなった製品が、ユーザの手に届きます。

 

iPad Proが紙の代用品だったら、こんなに惚れ込みません。

 

もし紙の代用品‥‥なら、そもそも現実の紙を使い続けてます。実際、2015年の夏まで、「液タブに見切りをつけて、紙で4Kを作ろう」と計画して運用案を模索していました。‥‥2015年秋にiPad ProとApple Pencilが発売されるまでは‥‥です。

 

絶対に紙では不可能な描き方がiPad Proで実現できるから、信頼して未来を託してもいます。下世話な言い方ですが、「喰える道具」ですよ。

 

 

 

iPadの使いにくさの谷を越えられるか。

 

Windows/macOSなどのデスクトップOSの呪縛からどれだけ抜けられるか。

 

私は1996年からアニメ映像制作でWin/Macを使い続けていますが、その延長線上にiPadとiOSを置いてはダメなのです。

 

今までの経験はそれはそれで良しとして、考えをリセットして、iPad&iOSならではの使い方に開眼すれば、「Windows/macOSのほうが使いにくく感じることすらある」くらいまで馴染みます。

 

 

 

ちなみに、iPadに随分慣れたとはいえ、文字を打つのは、断然macOSのほうがやり易いです。

 

純正のキーボードを使ってないからかも知れませんが、文字をタイプするのはパソコンのキーボードが断然速いしストレス無しです。特に文章の一部を選択してカットしたりデリートしたりの動作は、今でもiOSは慣れなくてイラっとします。

 

なので、このブログも全て、iMacで書いています。絵を添える時はiPadで描いてAirDropでiMacに転送して貼り付けます。

 

 

 

今、やろうとしていることが、iMac向きか、iPad向きか、画材もコンピュータも使い分けてこそです。

 

iPadを使う時、いちいち、「Macだったら」「Windowsなら」と言いがちなら、まだ相当、谷を超えるまで時間がかかるかも‥‥しれませんネ。

 

 


てれわーく

今日、NHKのニュースで、「みんなでテレワークができるよう、無線完備のカフェ風のラウンジを作って」みたいなお店が紹介されてました。

 

あれ???

 

「新コロ」(という呼び名もどうか)の影響でテレワークが推奨されるのって、「不特定多数の人間と接触を避けるため」‥‥じゃなかったっけ?????

 

映画館だって1席空けて予約するっていうご時世に、ソファやテーブルで隣り合って座って長時間見知らぬ人と滞在する‥‥って、経営者は何を考えてんだろ。テレワーク見込みで客を呼ぶなら、個室でしょ。

 

まあいいか。呼ぶ人も行く人も、自分の判断で好きにすれば。

 

 

テレワーク。

 

在宅で仕事をする。‥‥結構、アニメ業界では普通な仕様ですよネ。

 

しかし、アニメ業界はまだ紙が主流なので、紙のブツは進行車で流通するのが必要で、ネット経由で仕事が完結できるほど進化してません。

 

現場でコンピュータを使っているスタッフのうち、自宅でも自分の絵や映像制作をしている人ならば、テレワークには柔軟に対応できるでしょう。

 

私は今、自宅も制作現場も、仕事をiMacとiPad Proで全てしているので、両環境で同じ内容の作業がほぼ可能です。制作現場のiMacはProなので、その点だけは秀でていますが(レンダリングが速い)、iPad Proは持ち歩いていつでも作業を再開できます。液タブとPCを持ち歩くのは無理ですが、iPad Proなら持ち歩かないことのほうが特殊なくらいです。

 

テレワークとかもったいぶって世間では言いますが、私のような業務内容の人間は、ずいぶん前からごく当たり前の仕事環境で、それを「テレワーク」と呼ぶことすら知りませんでした。私だけの特殊な事情じゃなくて、知り合いには結構多いです、「テレワーク」してる人。

*HDR(Dolby Vision, DCI-P3のPQとか)だけは自宅では不可能です。‥‥個人じゃ買えないすよ、60万や300万のモニタなんて。

 

AirDropの存在も大きいです。iPadをケーブルで繋がなくても母艦のiMacと簡単に送受できます。ネットワークケーブルやLightningケーブルなしで、ピポピポと容易にデータを行き来できるのは、最初あなどっていましたが、使い始めるとすごく便利です。自分のローカルで、ケーブル越しのデータ送受なんて、ドン臭くてメンド臭くて、今はできるだけしたくないです。USBメモリを抜き挿しするのも古めかしい感じです。‥‥会社のサーバや、会社間の受け渡しは別ですよ、もちろん。

 

iPad Proで絵を描いて仕事して、iPhoneで音楽を聴いてストレスを和らげ、iOSでは手に負えない仕事=After EffectsとかはiMacで‥‥と、2020年の今は、かなりコンパクトに作業環境が整います。そこにKindle Fireでも追加すれば、設定や写真・ビデオなどのビュワーにもなりますしネ。

 

 

 

だからね‥‥、アニメの仕事というのは、世間のテレワークができない企業や人に比べて、数歩先に進化してても良いくらいなのです。

 

なのに、紙で立ち止まっちゃって、動こうとしないんだもん。‥‥もったいないよなあ‥‥。

 

 


iPad Pro、20万の世界。

新しいiPad Pro(=第4世代)が登場したので、早速見積もってみました。

 

 

1TBではなく、512GBのモデルなので、最上位機種ではないです。

 

で、お見積もり。

 

 

来たね。

 

とうとう、20万円クラスになったか。iPad Pro。

 

1TBだったら、余裕で20万を超えますネ。

 

 

 

私は1〜3世代で十分仕事ができるので、今のところはパスします。すぐには買いません。

 

しかし、夏くらいに買う可能性はアリです。

 

最近、なんでもiPadでこなすようになってきて、MacBookはほとんど使わず、macOSも随分と使用比率が減りました。

 

メインマシンと呼ぶには抵抗がありますが、メインツールと呼ぶにふさわしい存在です。なので、昔のiPad Proの支払いが落ち着いたら、性能向上したモデルに切り替えるのもアリでしょう。

 

iPad Proが生み出す金額が、当人の年収のかなりの比重を占めるのなら、まさに何百万ものお金を生み出す道具と言えます。まあ、ものは言いようですが、日頃から使いに使いまくって、確実に何百もの絵を描いて相応の対価を得ているのなら、充分「対費用効果」は高いです。

 

 

 

分割手数料無料で、月8000円の24回払いになるそうな。

 

もし、自分の業務をiPad Proで賄える見込みがたつのなら、買えばいいんじゃん? あっさり言うけど。

 

月8000円の価値を見出せないなら買わなきゃいいです。

 

自分の稼ぎから月8000円を差し引いて、未来の自分の展望も視野に入れて導入の効果を期待できそうなら、買えばよい、‥‥とシンプルな思考でいいんじゃないかな‥‥と思います。

 

迷ってたって、その時間は絵も金も生みだしませんもんネ。

 

 

 

アニメーターが買うのなら、原画よりも、デザインワークス、そしてアニメ業界外でiPad Proを使うべし。‥‥iPadで原画やったって、対費用効果は低いままですからね。色々な絵の仕事を自分なりに展開しましょう。

 

 

 


JavaScript(JS)、Adobeのエクスプレッションやスクリプトは、型の変換をうまいこと自動で処理してくれます。

 

型とは、

 

数値としての100

数字としての「100」

 

‥‥というように、一見同じに見えますが、カテゴリー・種別が違うことです。(なんか、雑な表現ですまんス)

 

数値として100+100なら200ですが、数字(文字)としての「100」+「100」は「100100」です。

 

初心の頃は、こうした「型の認識」が曖昧で、プログラム言語が提供する「暗黙の型変換」に甘えきっているので、自分の書いたプログラム文がうまくいかない時は理由が分からずパニックになります。

 

000+1が0001にならないよ! どうやっても1になっちゃうよ!

 

‥‥というのは、数値でプラスしているからです。

 

フレームナンバーは数値ですが、表示するときに文字にしたいのなら、丁寧に書けば、

 

"000"+String(1);

 

‥‥という書き方になります。String()を省いても暗黙のうちに型を変換してくれるので、

 

"000"+1

 

‥‥でも結果オーライです。文字列の"000"と連結した時点で、1は"1"にキャスト(型変換)されます。ありがとね、JS。

 

 

 

私が20年前に常用していたプログラム言語では、変数を使う時に必ず型を決めなければなりませんでした。たしか‥‥

 

Dim frameNumber as integer

 →意味:整数としての変数frameNumber

 

‥‥のような感じだったと思います。「今から取り扱おうとする値は、どんな型なのか」を宣言する必要がありました。つまり、御膳立てに時間がかかって、本題に入るまでが長かったのです。本格的なAppを作るのならともかく、ささっと自動処理したいニーズには向きませんでした。

 

それに比べれば、JSはヌルヌルのユルユルのズルズル。賢く使えば便利ですが、無自覚に使うとトラブルの元にもなります。

 

 

 

型の相違でありがちなのは、配列のインデックスによる取り出しです。

 

["A","B","C"]=配列「A,B,C」を、例えばスライスなどで1つだけ(例えば1番目だけ)を取り出した結果は、"A"=文字列ではなくて、["A"]=配列です。‥‥これ、JSを使っていると、結構忘れがちです。

 

多くの場合は言語環境側で、文字列に自動でキャストしてくれますが、なんらかの理由でキャストが機能しない場面では構文チェックにひっかかり、エラーで先に進めなくなるのです。型にギチギチの言語なら注意してプログラム文を書きますが、JSだとついつい甘えてユルくなりがちです。

 

 

 

型を自覚して扱うようになると、例えば350の桁数を、99より大きくて1000より小さいから3桁‥‥なんてしなくても、

 

String(350).length;

 

‥‥で、桁数が簡単に取得できます。

 

JSは、型とか特に意識しなくても、ネットで書き方を見て真似して覚えられる、非常に敷居の低い言語です。しかし、JS自体がユルくいいかげんに作られているわけではなく、できるだけプログラム言語にありがちな作法を意識しないで書けるように工夫されているのです。

 

なので、IF文やループ文などの基本的な書き方をなんとなく覚えたら、

 

型の扱い

オリジナルのファンクション(関数・ルーチン)

 

‥‥を覚えていけば、いきなりハードルが上がる感じもせずに、徐々にミラクルな処理ができるスクリプトを書けるようになってきます。正規表現とかは必要に応じてちょっとずつで良いと思います。

 

 

 

プログラムは頭の柔軟な20代から始めるのが良いです。10代ならなおさら良いですが、それは各人の自由で。

 

50代からは結構難しいようには思います。でも、もしかしたら、50代で通常業務の技術的余裕ができて、空いた時間に覚えれば、案外覚えられるかも知れません。

 

アニメーターって、実はプログラムの習得に向いているとも感じますしネ。

 

だって、人間の芝居や自然現象を、線画という言語を使って、カットという1つのプログラムに仕上げているわけでしょ。

 

まあ、中には理屈など全く意識せず感性だけで描く人もいましょうが、技量の確かな人なら、個人の中でなんらかの「絵を描く言語体系」が出来上がっていて、オーダーに合わせて構造的に組み立てているでしょう。実は凄いプログラム能力なんすヨ。

 

演出上の前後の流れを把握する能力、レイアウトの構成能力、動きの観察力、情報を線画として要約する能力、状況に応じて現実と空想を織り混ぜるバランス感覚。‥‥凄いプログラム能力ですよね、改めて列記すると。

 

今回の「型」の扱いに関しても、アニメーターなら、動きやフォルム、影の付け方など、描写しようとする対象の「型」を観察して把握し、分別して描きますよネ。

 

自然現象クラス>流動エフェクトクラス>水クラス

 属性:スケール(水溜りか津波かなどの大きさ)

 属性:不純物含有度(水に土砂などの不純物がどれだけ混入しているか)

 属性:ベロシティ(動きのエネルギーの強さ)

 属性:エクストラ(エネルギーの指向性のバラつきによる水の拡散ランダム度)

 属性:発泡度(空気を巻き込んだ量)

 属性:etc,etc...

 

プログラム風に表現しましたが、水のエフェクト作画をするなら、普通に考える内容です。

 

アニメーターなら、コンピュータプログラムはできると思うんですよね。ただ、なかなかやろうと思う機会がないだけで。

 

まあ、興味が湧いたら、まずはPhotoshopのスクリプトを作って、地道なPhotoshop事務作業を自動化してみても良いですネ。

 

 

 


IFからステップアップ

エクスプレッションにせよ、スクリプトの自動処理にせよ、プログラム文を学んだ最初のうちは、IF文に頼りがちです。

 

例えば、数字の桁を4桁で揃える方法の場合、IF文を使うと以下のようになります。

 

もし、10未満だったら、

 000を数字の先頭に追加する

あるいはもし、100未満だったら、

 00を数字の先頭に追加する

あるいはもし、1000未満だったら、

 0を数字の先頭に追加する

でなければ

 そのまま

以上

 

After Effectsのテキストレイヤーのソーステキストにエクスプレッションで表現すると、

 

var frameNumber=timeToFrames(time, 1.0 / thisComp.frameDuration,true)+1;

if(frameNumber<10){

 "000"+frameNumber;

}else if(frameNumber<100){

 "00"+frameNumber;

}else if(frameNumber<1000){

 "0"+frameNumber;

}else{

 frameNumber;

}

 

 

一見、これで良いように思います。ちゃんと期待した通りに動作しますしネ。

 

しかし、長い。

 

文が長くて、変更しにくいです。

 

もし、5桁の「00001」にしたい場合、文の各所を直さなければなりません。面倒です。

 

IFを使うと、読解の時間が長くなり、メンテしにくくなる傾向があります。

 

以下の2行で、IFを使わなくても、桁数は簡単に揃えられます。

 

var frameNumber=timeToFrames(time, 1.0 / thisComp.frameDuration,true)+1;

String(10000+frameNumber).slice(1);

 

 

 

2行であっさり終了。

 

「10000」の先頭1文字を削れば、「0000」になりますから、slice(1)、つまり1文字目の後から切り取れば、容易に4桁にできます。

 

桁数を5桁にしたければ、10000を100000に変更するだけです。IF文を数行に渡って書き換えるより、かなり楽です。

 

なんなら、自動で桁数まで設定できます。4桁にしたければ、10^4(結果は10の4乗=10000)と書けば良いので、総数を文字列化して文字数をカウントすれば、自動桁揃えが可能になります。

 

10^(String(総フレーム数).length); ‥‥という感じで。

 

IFをどうしても使わなければならない場面はあります。簡単に済ませる方法があるのなら、無闇にIFを使わず、他の方法で処理するのが良いです。

 

 

 

コンポ名からボールド表記を自動生成するのも、IFに頼らず可能です。

 

例えば、「ANIMEの01話、カット001、線撮テイク1」を、以下のような命名規則にしている作品があったと仮定します。

 

ANI01_001_S1

 

「_」アンダースコアのデリミタ(文字列を区切る文字)によって、カットの名前に含まれる各情報が区切られています。作品略号と話数の間にデリミタがないのが厄介ですが、そこはおいといて、何撮のテイクなのかを、IFありとなしの2種類の方法で取り出してみましょう。

 

Cはコンテ撮、Sは線撮、Kはタイミング撮、Tは本撮

 

IFを使うと、文が数行に渡って長くなり、メンテしにくくなります。

 

var cutName=thisComp.name;

var compType=cutName.split("_")[2].split("")[0].toLowerCase();

if(compType=="c"){

 "コンテ撮";

}else if(compType=="s"){

 "線撮";

}else if(compType=="k"){

 "タイミング撮";

}else if(compType=="t"){

 "本撮";

}else{

 "不明";

}

 

もし「XX撮」が増えた場合、どんどんIFを増やす必要があります。略字に変更があった場合もめんどくさいです。

 

IFを使わず、連想配列で処理すれば、メンテしやすく、読みやすくもなります。

 

var cutName=thisComp.name;

var compType=cutName.split("_")[2].split("")[0].toLowerCase();

var compTypeList={"c":"コンテ撮","s":"線撮","k":"タイミング撮","t":"本撮"};

compTypeList[compType];

 

しかし、このままだと、「存在しない略字」の場合、「不明」が表示されません。カット名の異常には気付きますが、せっかくなので「不明」と明記しましょう。

 

そんな時こそ、あえて、IFの出番です。

 

var cutName=thisComp.name;

var compType=cutName.split("_")[2].split("")[0].toLowerCase();

var compTypeList={"c":"コンテ撮","s":"線撮","k":"タイミング撮","t":"本撮"};

 

if(compType in compTypeList){

 compTypeList[compType];

}else{

 "不明";

}

 

 

略字がリスト(連想配列)に存在しない場合は「不明」を返すようにできます。

 

キーとバリュー、つまり、略字と関連づけた文字列を記述すれば、いくらでも「何撮」の種類を増やせて(あまり増やしたくないけどネ)、略字の変更にも1行で柔軟に対応できます。IFで数行に分けて連ねるよりも、1行で見渡せるので、内容把握や修正も楽になるわけです。

 

 

 

 

IFは、まさに「IF分岐」するので、読みにくくなります。分岐してるものを追うのって、面倒ですよネ。

 

IFを使わないことで、分岐が減り、読みやすくメンテしやすいプログラム文になります。

 

ある程度、スクリプトに慣れてきたら、IFを使わない方法にチャレンジすると、コンピュータをもっと理解できて、新たな運用のアイデアにも繋がります。

 

After Effectsの雛形を共通にして、作品ごとの命名規則や運用をデータベースサーバから取得して適用する‥‥なんていうことも可能になります。

 

 

 

記事文中のスクリプト文を補足しますと‥‥

 

文字列をデリミタで分割するsplit()は、引数に""を指定すると、"ABC" を ["A", "B", "C"]に1文字ずつ分割できます。substrとかを使わなくても、何番目の文字かを指定して取り出せます。

 

また、ケアレスミスで多いのが、大文字小文字の混在です。略字をちゃんと処理できるように、大文字か小文字かに変換すると「T1」も「t1」も正常に処理できます。

 

 


表現と品質、二卵性。

スレート(カットボールド)をあれこれ弄るのが面倒だったので、最近ずっと使ってたAEPのプロジェクト雛形ファイルを流用して作業してたら、今になって4Kだったことに気づきました‥‥。お手伝いしているテレビは1280でハーフHDだと言うのに。

 

かといって、2020年代の今、1280pxでガチで作ってしまうのは、かなり抵抗があります。アニメ業界の外側の、他のジャンル映像制作では、作品フォーマットが1280pxなんてあり得ませんもん。

 

4Kはともかく、2.5Kか3Kで作っておいたほうが良いと思うのです。まあ、現状として、原動仕が絡むのなら仕方ないとしても、私一人でほぼ完結するのなら、2880px(3K)あたりで組んで出力してダウンコンしたほうが、後々のプレゼンにもなりますしネ。

 

そんなに高解像度に拘らなくても‥‥と思う人もいましょう。しかし、それこそ320x240の時代からデジタル映像データに関わってきた身からすれば、新時代の解像度にできるだけ対応しておきたいのです。

 

 

 

2020年の今、なぜ、映像制作に関わる人々は、720x486や640x480で映像を作らないんでしょうか。軽くて楽ですよ。

 

「だって、小さ過ぎるじゃん」

 

「今は2000年じゃないからさ」

 

「せっかく作った作品が、640x480じゃ、売り物にならないよ」

 

現在の映像制作現場で働く人なら、よほどピクセル寸法に疎い人でもない限り、こう思うはずです。アニメ業界でも同じでしょう。

 

640x480がソフトウェアで設定不可能になったわけではないです。でも、今は640x480や720x486(480)では作らないですよネ。

 

作品というのは、提供する状態も含めて、作品であり商品です。

 

ヒットや売れ行き云々ではなく、製品の出荷や公開自体が憚られる、商品にならないものを作っても意味がないことを、皆、判っています。作品は「何よりも面白ければ」良いんだ!‥‥と言いながらも、「商品として成立するスペック」はしたたかに計算しているわけです。流通するためには、現代社会の仕様や品質に寄り添う必要があります。VHSテープでアニメ作品は売らんでしょ?

 

640x480はもはや売り物にならないレベルのミニサイズですが、1280pxや1600pxも今やかなり小さい画像サイズです。今、640x480が小さいと感じているのなら、1280x720も近い未来にそう思うようになります。(というか、2020年現在でも相当小さいサイズ。HDVのビデオカメラは2015年に生産終了)

 

 

 

作品の表現内容と、映像品質は、混同してはなりませんが、切り離せるものでもないのです。

 

どんなに4KHDRで作っても、作画崩壊はケアできません。むしろ、4KHDRのドットバイドットだと、作画の荒さが見事にそのままユーザに提供されるでしょう。ごまかしが効かなくなります。

 

どんなに素晴らしい映像でも、640x480で作ってしまったら、後で拡大して4Kテレビで観るのは辛過ぎます。アップコンにも限界はありましょう。せっかく精魂込めて作ったスペシャルカットが、低解像度で溶けてた日にゃ、やるせないでしょう。

 

両方必要なんですよ。

 

どっちかを満たせば良いという話ではないです。

 

ローカルとグローバルの話題でも似たようなことを書きましたが、どっちかに偏って1つだけを満たせば良いのではないです。

 

‥‥で、今のアニメ業界一般の解像度は、急激に時代遅れの解像度になっているのです。アニメ業界で作ったアニメは、どんなに綺麗なアップコンの技術が登場しようと、「4K作品」としては売れないのです。1280〜1920pxの16:9のアップコン作品です。

 

なので、どこかで巻き返して挽回して、現代のレベルに底上げしなければなりません。

 

アニメーターは作画のクオリティにはこだわりまくるけれど、作画したその内容をあますところなくユーザに伝える映像技術と映像品質にどれだけ興味を持っているでしょうか? ほとんどの人は興味なし‥‥ですよネ。他人事ですよね、正直な話。

 

アニメーターの人で、Inter Beeなどの技術博覧会に行って最新の映像技術の情報を収集しなきゃ!‥‥と思う人は、極めて少数でしょう。

 

両方興味を持つべきです。これからの未来は。

 

なぜかって、映像技術と映像品質の進化からイメージが湧いて、新しいアニメ作品のビジョンが生まれるからです。

 

直に絵を描くアニメーターなら、4〜5Kのモニタで映し出した自分の生の絵を見ることで、アイデアが思い浮かぶはずです。1280pxでは想像できなかったアイデアが、です。

 

紙でもペンタブでも、自分が書いた4〜5Kの線画を、4〜5Kのディスプレイで見てください。紙なら400dpiでスキャンすれば良いです。きっと、「自分って、こんなにニュアンス豊かな絵を毎日描いていたのか‥‥」と自分自身の描線に魅了されるはずです。

 

2Kのモニタは、自分の本当の絵を、映し出してはいなかったのです。

 

1280pxでコンポジットされ1920pxにアップコンされた絵が、自分の描いた絵だと思っているのなら、単に機材的に見ても、ものすご〜く時代遅れの認識なのです。絵のチカラは1280pxのミニサイズに収まるようなショボいものではなく、むしろ4K以上でパワーを発揮するものです。

 

表現内容と映像品質。

 

両方を自分の武器してこそ、2020年代からの未来を生きる、アニメーターだと思います。

 

 

 

ちなみに‥‥。

 

4Kで活きるのは、ペンタブだけではないです。紙の線画も、かなりニュアンス豊かになります。

 

私がもし、「4K時代の紙作画のアニメ」にメインで絡むことになったら、必ず、紙と鉛筆のもつニュアンスを4Kの大きな魅力として扱う技術を考えるでしょう。大トロの部分を捨てるのはバカげてますもん。

 

いつから、1.5Kの二値化トレスが、アニメの永遠のスタンダードになったのか。

 

アウトサイダーから品質のことを突かれて不快になっている場合じゃないと思います。自分たちの映像品質上の立ち遅れを見つめて、未来もアニメを作り続ける=売り続けることを考えるべきです。

 

ミッフィでも素子でも、4KHDRで可能な表現は山ほどありますよ。4KHDRに代表される新しい映像技術を知りもしないで「不要論」を解くべからず。

 

表現と品質。両方とも、獲得していきましょう。

 

 

 

表現と品質は、同じ母親の胎内で誕生した、二卵性の双子の姉妹です。

 

その姉妹を、美しいミューズ(美神)に育て上げるのは、他ならぬ、私たち映像制作者です。

 



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