写し身

作品というものは、良くも悪くも、幸いな事にも残念な事にも、制作時のあれこれを反映します。作品を商品として売る側は、色々な話題性を盛り込むのですが、作品そのものから発散するパッションは「売るテクニック」ではどうにも隠し通せないものです。

ベテランが肩の力を抜いて作ったものは、肩の力の抜けた作品に仕上がります。新人が目一杯背伸びをして作ったものは、背伸びした作品になります。

すごく当然な事‥‥なんですが、現場はそうした根本的な構造には、あまり目を向けたがりません。直視したくないのです。

「今回はどんな感じに仕事をこなそうか」‥‥そんな感じのスタンスで取り組んだ作品は、なんだかんだ、やっぱり「体よくこなした作品」程度のボルテージにしかなりません。そんなスタンスのスタッフの割合が増えれば増えるほど、作品は無感動なものへと傾いていきます。

そんな作品でも、何か感動する部分があるとすれば、それはスタッフのある意味「生き様」が反映されているからです。職人、表現者として、生き抜いてきた「意地」「プライド」が、名人芸的に作品に染み出すからです。

しかし。

意地やプライドだけでボルテージを上げている作品は、見る人が見れば、すぐに解る。

意地やプライド、それに由来する職人技や名人芸「だけ」で、作品が組成されているのは、キツい表現で言えば、「素人誤摩化し」です。だって、スキルを持つ同業者だったら、「あー‥‥手癖で今回もやっつけたんだな」とモロバレですからね。

やっぱり、産みの苦しみを、中枢のスタッフは引き受けないと、ダメなんでしょう。作業の苦しみ以上の、産みの苦しみを。

慣れでコナすと、半年の寿命も無い。最悪、1ヶ月も立たないうちに、忘却の彼方。ああ、そんな作品、あったっけ?‥‥と。

激しい葛藤、格闘が、作品作りには必須なのです。少なくとも私はそう思いますし、そのような経験をしてきました。‥‥全ての作品において格闘できた‥‥訳ではないですけどネ。

まあ、アニメーションは、作品と商品の「両性具有」的性質を持ちますから、作品視点だけで語るつもりはないですが、作品としてのボルテージが低いと、結果、商品としての寿命も短くなりますよね、往々にして。

でも、作品制作で必ずしも葛藤「させてくれるか」というと、実は現場は「面倒な事は勘弁」なので、葛藤や格闘など「無ければ無いほど、良い」のです。

でもね‥‥。出来上がったのを見て、「もうちょっと苦しんで頑張っておけば良かった」なんて、何度、繰り返せば良いんでしょうね。そうして、チャンスを失い続け、やがて‥‥。

商品・作品は、作り手の写し身です。そりゃあ、苦しまずに作れれば、当座は楽です。「何をすれば良いんですか?」と受け身に徹すれば、産みの苦しみを引き受けずに済みます。しかし、そのスタンスは、確実に作品に表れます。

流れ作業でこなした作品は、「流れ作業でこなした作品」になります。もっと言えば、「ネットストレージやUSBメモリでデータを持ち運んだ作業は、その程度の踏み込みの作業」で、濃密なスタッフルーム(または濃密な関係性)で作った映像に比べて「ライトテイスト」です。「作業者の技量」は結果物としてUSBメモリで運べても、そこには「作品の凄み」はインクルードされないのです。しみじみ、実感‥‥です。

私は、そんなスカした作品実感の薄い作業を、近年許容してきましたが、本気を出すべき場面では、「規模ではなく、構造で」ちゃんと実践しようと思い直すに至っています。

楽したり、手を抜いても、自分は手練れだから大丈夫‥‥なんて、作品が全てその傲慢さを語ってしまう‥‥のです。

24fpsの資産

現在、私は1秒間48, 60, 96コマのモーションを主眼におき、ハードルの比較的低い48fpsあたりから映像技術面・運用面の研究をしています。目下、4K・48fpsというのがテストの仕様です。

このブログでも、たまにそのような「未来のフォーマットでのアニメーション」の話を書く事があります。私の最大の関心事だから、です。

一方、今まで慣れ親しんだ24コマの従来制作方法はどうなっていくか?‥‥という事も考えます。違う言い方をすれば、フィルム撮影台のように、やがて24コマを捨て去る時代がくるのか?‥‥です。

う〜ん、どうなんだろ。

「フィルムからデジタルへ」の時とはちょっと状況が異なるように思います。

また、ステレオグラム(立体視3D)の時とも違う‥‥と感じます。

24というフレームレートは、アニメ業界だけでなく、映画王国アメリカ・ハリウッドが散々こだわってきたフレームレートです。そして膨大な財産を24fps上に保有しています。

でっかい財産を持つアメリカが、「24fpsはもう古いからイラね」と簡単にポイするとは、どうしても思えんのです。何らかの「生き残り」を仕掛けてくるようにも思います。

フレームレートの問題は、実はテクニカル面でも、凄くデカいんですよ。

24と30、たった6フレーム違うだけでも、映像の質感は大きく変わります。これは少なくとも演出法に大きく作用する違いです。24コマフィルムの文法を、単純にカメラを持ち替えて、30fpsビデオで実践すると、それはそれは、なんとも気恥ずかしいものに仕上がります。

24コマフィルム(のルック)には、それ相応の扱い、また30fpsビデオには、やはりそれ相応の扱いがあります。24コマで上手くいった見せ方が、30fpsで同じように上手くいくとは限らないのです。

で、48fps。96fps。

まるで別世界です。アニメだろうと、実写だろうと、「新しい文法」が必要になるのは、確実です。まあ、アニメの場合、「今の2倍4倍の中割り枚数なんて、非現実的」というあからさまに高い障壁が立ちはだかりますが、実写は実写で「カメラを買い替えて済む話じゃない」事を実感し、演出法の変遷を余儀なくされるでしょう。

48, 60, 96, 120fpsでは、「映画にならない」「こんなルックじゃ語れない」と思う人も多く出現すると思います。

‥‥私も、その通りだと思っております。いわゆる「映画」ではなくなるような気もします。「映画の慣習」上では、許容できないほどの差、違和感を感じるでしょう。

極東の小さな島国のアニメ業界だけでなく、24コマベースの映画産業〜特にアメリカ〜までも揺さぶる、未来のフレームレート。

私が今、予想しているのは、96fpsで24コマを奇麗に上映する「何らかの技術」が出てくるんじゃないか‥‥という事です。で、アニメ業界も24fpsのまま制作し続け、その「何らかの上映技術」にのっかるのではないか‥‥と。

なので、24コマは案外、これから先も長生きするのではないか。

まあ、希望的予測‥‥でしょうがネ。

一方、48や96、120のフレームレート自体が普及しないのでは?‥‥という予想も当然あります。

家電メーカーやコンテンツホルダーは新しい市場カモン、でしょうが、一番ネックなのは、「世間のビットレート」ですかね。H.265はスゴい圧縮効率ですが、開発がコケないとは限りませんしネ。世帯ごとのビットレート格差も鮮明に浮上しちゃうでしょうし。

でももし、インフラとの兼ね合いが上手くいったら、私は普及すると見ています。人々は、良くも悪くも「ストレスの無い方向へ自然に流れて」いきます。

試しに、今、地上波SDテレビを見れば、「うわ、キツッ!」と多くの人が思うはずです。みんな、あんなに散々見てきたのに‥‥です。

「美味い飯に馴れると、過去の普通の飯が不味く感じる」のです。料理法は知らずとも、美味しいものは解る。同じように、映像技術は知らなくても、奇麗なものは解る‥‥わけですネ、一般の人でも。

24コマに馴染んだ全世界の業界人は、新しいフレームレートとどう向かい合うのか。‥‥日本のアニメ業界だけの問題ではなさそうです‥‥が、この議題はもうちょっと未来‥‥でしょうかネ。

私は、「フェイク96fps」ではなく、「ネイティブ96fps」「トゥルー96fps」で、アニメーション映像の新しいフィールドを切り拓きたい‥‥のは、今まで書いてきた通りで、その点にブレはありません。ただ、旧来24コマの世界も、変わらず健在であって欲しいと思うのです。

*ちなみに、YouTubeで現在出てる「4k, 96fps」はYouTubeの仕様により24fpsに丸められちゃってるので、全然「その威力」は伝わりません。私も前にテストした事がありますが、高いFPSの動画は、YouTube上の処理で30fps以下に丸められてしまうのです。

Z軸

現行アニメ作品のコンポジットをしていると、内容に凝れる作品(時間的余裕があり予算も高い)ほど、「密着マルチ」的なカメラワークが頻出します。‥‥まあ、あくまで大まかな傾向として、ですが。

「密着マルチ」とは「密着」した「マルチ」ですが、経緯を知らないと意味が全く解らない言葉ですネ。多段マルチ撮影台の効果を、多段ではなく密着‥‥つまりマルチ台を組まずに得ようとするものです。多段の撮影台については、Wikipediaを参照してください。

もっと良い呼び名はなかったんかいな?‥‥とか思うでしょうが、「デジタルTU」の言葉でもわかるように、アニメ業界には「一時的に使った言葉が定着する」傾向があるのです。さらに略して「着マルチ」なんて呼ばれる事もあって、そうなってくると、全く意味不明の言葉になりますネ。

この「密着マルチ」、PANなどのカメラワークと同時に使われる事がほぼ100%です。PANやTU,TBに合わせて、手前や奥のものを「密着スライド」(マルチ引き‥‥とも呼ばれる)させる事で、「さもZ軸〜奥行きがあるように感じさせる」わけです。

After Effectsの場合、普通にセル(レイヤー)を下から順に重ねて、フォーカスするレイヤー以外をPAN時にスライド(=positionをキーフレームで動かす)させる事で実現します。タイムシートの指示通りコンポジットすれば、あたかも奥行きがあるかのように見えるのです。

この「従来方式」〜タイムシート表記方法従来の「コマ何ミリ」の指定法、フレーム指示による指定法のいずれかで、今まで上手くやってきましたし、逆に言えば、その「制限内」で映像を作ってきたのです。

でも、After Effectsは撮影台のシミュレータではないので、何の苦もなく、Z軸を自由に扱えます。After Effectsはレイヤーを3D配置できますから、当然、「密着」ではなく「ちゃんとZ軸」を設定して、同様の効果を得る事ができます。After Effectsの場合、オプション機能をオンにしなければ、全レイヤーにピントが合いますから、どんなにZ軸の奥行きがあろうと、「結果、密着と同じルック」になります。

とはいえ、あくまでタイムシート通りに「コマ何ミリ」でコンポジットする方法が標準であり、私がアニメ撮影を引き受ける際も、よほどの理由が無ければ、Z軸有りのコンポジションは組みません。

「よほどの理由」とは、どんな理由か‥‥というと、カメラワークが凝った内容の場合です。実は、従来の「密着マルチ」の弱点は、カメラワークに弱い‥‥のです。

「カメラワークがないと密着マルチの効果が出ないと言っているのに、カメラワークに弱いとはどういう事?」‥‥と思われるかも知れません。密着マルチは「複雑なカメラワークへの対応が難しい」のです。左から右のPANとか、単純なT.Uならば、全く問題は生じないのですが、縦横無尽に動いたり加減速を伴うカメラワークだと、「マルチ引き」〜奥行きを感じさせるためにレイヤーpositionを制御するのが、非常に厄介になります。

多少の誤摩化しは「従来方式」でも効きますが、特殊なカットを担当する事の多い私のグループでは、「従来方式」では演出オーダーを全うする事が難しかったりします。

After Effectsに馴れた「非アニメ業界」の人なら、「最初っからZ軸でロケーションを組んじゃえば良いじゃん」「タイムシートに奥行きを指定して、その通りにAfter Effectsで組んで、カメラを動かせば楽じゃん」とか思うでしょう。‥‥ええ、まさにその通りなんですが、今の現場ではムリなんです。

アニメ現場にはZ軸という概念がないのです。

背景やBOOK、各セルを3D空間に配置する「術」がないのです。共通・標準の技術として確立されておらず、指定法が無いのです。‥‥なので、タイムシートにもZ軸を記述できないのです。

「Z軸的な要素」で指定法のあるのは、基本的にT.UとT.Bのみ。「マジ?」とか思われるかも知れませんが、本当の事です。今でも、器用にTUとTBだけでしのいでいます。あきらかにクレーンやドリーのショットと思われる演出内容も、すべてPANとTU,TBのみで「やっつけ」ます。回転は無論、左右周りしか存在せず、手前奥への回転はありません。

「上段マルチ40F(〜60F)」とかもありますが、Z軸を使いこなすには、全くもって不充分です。「上段マルチ40F」の多くは手前のセルのピントをぼかす目的で使用されていましたから、Z軸を扱うテクニックでは無かったのです。今は単に「xxセル ピンぼかし」とかで対処してますから、「上段マルチ40F」自体が既に形骸化して久しいです。今はわざわざ「レンズに近いから40フレ(=ミニサイズ)で描く」なんて必要ないですしネ。

おそらく、この状況は未来も延々続くと思います。

実は私、「アニメ業界がZ軸を扱えるか否か」を「未来への試金石」と見ています。これは技術的な事よりも、「新技術への立ち振る舞い」の観点で‥‥です。

現行アニメ制作にZ軸の要素を導入する‥‥という事は、「Frameworkの変革」と言っても大げさではありません。「既存の用語のあたまに『デジタル』を付けとけば済む」ような事ではないのです。

たかだかZ軸‥‥ですが、XY軸の世界だけで生きてきたアニメ業界は、取り扱いがヘヴィな要素なのです。

でもまあ、試金石への「解答」として、「Z軸は無視する」というのも、多いにアリです。XY軸に特化した、「自分たちの技術的特徴」(=アドバンテージ)を、明確に意識する‥‥と言う事です。問題は、新しいムーブメントが出現して「押され気味に」なった時に、自分たちの特徴を維持するための「潔い取捨選択」ができるか‥‥という点ですね。


ちなみに‥‥私の考える未来の現場は、無論、「Z軸ネイティブ」です。モーショングラフィックソフトウェア上でXYZ軸があるのに、Z軸だけ無視し続けるのは不自然ですもんネ。ごく普通に、Z軸を用いて絵作りをします。伝達に使う新方式のタイムシート(というよりは演技シートと呼んだほうが良いんですが)も、Z軸に対応しておりますし、FPSは「フリー」です。

‥‥こんな事、私だけが独りよがりで言ってると思われるかも知れませんが、独りよがりのほうがまだ良かったです。同じアイデアを持つ競合がいないって事ですからネ。‥‥でも、もう、違うんです。各国の「合理的な連中」が既にどんどん導入しとるんですよ。Z軸に限らず‥‥ですがネ。

今さらiPad mini

Apple金利0%ローンのこの期間を利用して、円安でグイっと価格が高くなった悪いタイミングで、iPad miniを買いました。お出かけバッグに入れて持ち歩ける本棚が欲しかったのです。所有するiPad2はいまいち大きい(=どんどん言う事が贅沢になるね)ので、iPad2と同じ解像度のiPad miniを買ったのです。

Kindle PW(=PaperWhite)は文庫専用だよネ、やっぱり。‥‥あれでB5やA5の本を読むのはちょっとツラい。じゃあFire HDはどうかというと、統合環境で見るとまだiOSほどには達していないと予測して避けました。2倍の値段がしても、運用実績のあるiPadを選択したのです。

Kindle PWはできる事が限定され過ぎているのが逆に良いので、iPad的なものは求めず、「何百冊分の文庫本」として使う方針です。Kindle PWのあのコンパクトさ・軽さ・表示の優しさは、iPadなど他では得難いものがあります。

で、iPad mini。既にiPadを使っていたので、特に何の感動もないです。軽いなー、くらいでしょうか。300グラムなんで、iPadの半分の軽さです。

その小ささ、軽さが、チョロっと持ち出すのに、非常に便利。‥‥つーか、こんなレビューめいた事、今さら書く事でもないスね。

今、大量に読書しなければならなかったり、色々な語学の勉強をしてたりするんですが、語学学習はBookとAudioの両方が必要なんす。iPhoneじゃ本を読む気には一切なれないけど、iPadはデカくていつも持ち歩く気にはなりません。なので、iPad miniなのです。

語学学習と言えば、各国言語に対応したキーボードは思いのほか、入手が困難なんですネ。Mac自体は様々な言語をコマンド+スペースで瞬時に切り替えられるから良いですが、日本語キーボードだと物理的に打鍵が辛い。ドイツ語とかはなんとか記憶で切り抜けられますが、キリル文字なんて、共通している文字のほうが珍しいです。

なので、私が考えた方法は、無地のキーボードカバーに手で書く!‥‥です。要は、どのキーにどの文字がマッピングされているかを視認できれば良いわけですから。でもまあ、過酷な使用にさらされるので、落ちにくいマジックを使わないと、すぐ消えちゃいますけどネ。カバーがクリアで使い辛い場合は、セル彩色のように裏面を白で塗っちゃえば良いです。使う時だけ被せて、使わない時は外しておく‥‥という便利さ(つまり、FinalCutのカバーのアレです)。このやり方だったら、環境設定で呼び出せる言語入力は、全部カバーできる‥‥はず。反面、手描きなのでビンボウくさい。‥‥ので、自宅使用向きですネ。

ちなみにドイツのアップルストアだと各国(ドイツ周辺国)のキーボードを取り扱ってます。日本のアップルストアも、JISとUSだけでなく、色んな国々のを取り扱ってくれくれよぉぃ。(=今度、売ってくんないか、聞いてみようと思っております。多分、だめだろうな‥‥)

話をiPad miniに戻して。

iPad2並みの処理速度で、この小ささなら、充分使い物になりますね。iPadは初めてじゃなかったんで感動は無かったですけど、グっと気に入りました。待ち時間に、気軽にホイと読書したり語学学習できるもんネ。

内海賢二さん

内海賢二さんが数日前の6/13に亡くなられていたのですね。

アニメの黄金期を支えた方ですね。

不勉強で申し訳ないのですが、今、内海賢二さんとか納谷悟朗さんとかが演じていたシブいオジサン役の後継者の方って、おられるんでしょうか?

納谷悟朗さんて、私が子供の頃から沖田艦長とか演じられていましたし、内海賢二さんはドクターキニスキー(良い声だったなあ…)をやっぱり私が中学生の頃に演じられていました。

シブい役を演じる人って、結構お若い頃から、中年や初老のオトナを演じてますよネ。


肉体は滅んでも、作品は残る。

旧作ルパンを観れば、あのメンツの声が聴けるし、ジョー2を見れば、後半にキニスキーが登場するしネ。

内海賢二さんと聞いて、キニスキーを挙げる私も少しヒネクれているとは思いますが、耳に今でも「ハリマオ戦のビデオを、云々」のセリフが残ってましてね‥‥。

世の中、予測できない事ばかり

よくよく考えてみると、今では平然と受け入れている事が、ちょっと前までは予測できなかった事だった‥‥なんていうのは、結構、いっぱいありますよネ。

16年前、フィルム撮影台が業界から消え、老舗のフィルムメーカーが倒産し(または破産法の適用や事業撤退)、映画館からもフィルムが消えはじめる‥‥なんて予測できなかったもんね。

10年前、誰もがスマートフォンを所有し、至る場所で覗き込んでる‥‥なんて予測できなかったし。

15年前、Apple製品がこんなにも世間に普及するなんて、誰が予測できただろうか?

あんなに普及しまくったVHSは? S-VHSのテープがまともに再生できなくなるなんて。

ブラウン管は? MDは? まともな馬力のバイクは?


そうこう考えると、現在において常識的で定番ですぐ傍にあるものが、何かに取って代わられ消滅する事を、誰が的確に予測できるんだろう?‥‥と思います。

みんな「当然の結果だ」的な面持ちで、現状を許容してるけど、実はほとんどの人が的確に予測できてないよネ。もちろん、私もその未来を予測できない人のひとり、ですけども。

実は私、ココロの底では、24コマフィルム互換のアニメの作り方は、そう簡単に廃れないと思っています。ちょうど17年前の私が「フィルムとデジタルの2本柱で進む」と考えていたように。だって、100年続いたモノだし。

しかし、どうも、予測は外れています。普及してたり、定番である事は、「普遍である事」へのなんの裏付けにもなってません。

まさかフィルム撮影台を各社が廃棄するなんて考えもしてませんでしたし、皆がデジタルへと移行するとも思ってませんでした。2つの方式が共存する‥‥と思ってたのです。‥‥でも、そうなってない。

今のわたし的には‥‥

「24コマフィルム互換の制作方式は未来の進化に追随できない」
=私の感情の右側面

「これだけ歴史のある作り方がそうそう簡単になくなるはずがない」
=私の感情の左側面

‥‥のようなココロもちなんですが、本当に「なくなるはずがない」のかな?

新しい方式が台頭して、規模は縮小するかも知れないけど、‥‥‥って、また同じ読みをしている自分がいます。

「愛着」が読みをブレさせているようにも思います。‥‥私の今までのブログ、やや極論めいた事を書き綴ってるのは、過去の自分の読みの甘さへの「𠮟咤」的なスタンスも多分に含まれているのです。

デジカメは最初普及しませんでした。QuickTake200というデジカメを持ってたのでよくわかりますが、最初の頃のデジカメは、カメラの代わりには「まったく」なりませんでした。しかし、次第に性能が上がって、画質が向上し、電池の保ちも良くなり、メモリ容量も増えると、あっというまに普及し、人々はあっけなくフィルムカメラを捨てました。今じゃフィルムカメラを使っている事が「珍しい」くらいです。

この図式って、どんな事にもあてはまりますよネ。

「デジカメとアニメは違う。アニメはツールではなく、作品表現だ。紙に描く絵は独特の暖かみがあるし、24コマの動きは趣がある。」‥‥う〜ん、そうかな。作品表現の視野で語るのならば、デジタルで描いても、描く人が描けば、充分、暖かみのある絵になると思います。紙を使ったからって無条件に暖かくなるとは限らないですよネ。デジタルは、紙とは違うかけひきで、より一層、赤裸々に自分が出ちゃう事だってあります。近い未来、よりクリアで流麗で高密なモーションのアニメが、ストレスを感じさせない映像として一般層に受け入れられる事も、充分予測できます。多くのアニメ好きの人々は、紙と24コマにこだわってるんでしょうか?‥‥思うに、アニメという表現が好きなんじゃないですかネ。

受け取る人々にとっては、「手段ではなく結果」が重要なのだと思います。新しい手段によって、より一層「心地よい結果」を得られるのなら、人々は容易にそちらに流されていくもの‥‥だと感じます。

「普遍」と思われていた事、「常識」だと受け取られていた事は、2〜3年で簡単にコロリと入れ替わるんだ‥‥という事を、この10年間だけでもたっぷりと学びました。

まさかな‥‥王者コダックがあんな事になるなんて‥‥。まあ、中途半端なデジカメ出してたりして、歴然と「乗り遅れ感」を醸し出していたけど‥‥。これからは「プリンタ事業を主軸」?‥‥う〜ん、読めない。

他人事じゃないよ。きっと。

ギリギリで良し

最近よく思うのは、「奇麗にうまくまとまる」のって、実はボルテージは相反して下降しているんじゃないか‥‥って事です。

Blood-2Kやイノセンスはほんとにギリギリで作った作品でしたが、映像上に、明確にそのパッションが映し出されています。

何が起こるか解らない、何の保険もない、一生懸命取り組む事でしか結果を保証されない(‥‥いや、保証もないよね、未体験ゾーンだから)、危うい状態が持続し続ける。

作っている時は、プレッシャーで押しつぶされそうになりますが、その重圧・苦しみは後になって、必要不可欠だったと言う事がわかるのです。

プレッシャーの無い作品作りは、アカンですネ。余裕でこなせる作品は大体ダメです。

もっと極端に言えば、技術が発達して定番化・固定化した上で、作品を作ると、「打算的な作品表現」になりますわな。

すげー、皮肉な構造ですが、実際そうだよネ。

技術をより完成されたものへと高める「その闘争」が、作品を勢いづけるので、技術が完成の域に達すると、その「おごり」が作品にも表れ、やがて「腐朽」が始まるのです。

「これでようやく楽ができる」なんて言ってちゃ、やがて滅ぶよ。

私は今、ギリギリな感じで辛いのですが、逆に「だから上手くいきそうだ」と、経験上、解るのです。

around50は

45〜55歳の世代は、テレビアニメが黄金期の頃に、少年少女だった世代です。

今、その頃のアニメ雑誌を読み返すと、何とも切ない気分になります。

アニメの放映は午後7〜8時のゴールデンタイムがあたりまえ。各局でアニメ番組を繰り出していました。誌面にはそんな当時の雰囲気が溢れています。

花の子ルンルンやキャンディキャンディ、ダイターン3(ガンダムの前)が本放送中! 新番組が宝島! 一休さんは放映期間が長過ぎてイマイチ時代の感覚がわからんけど本放映中! 初の24時間テレビのアニメ「バンダーブック」制作快調!‥‥‥1978〜79年の雑誌には、当時の「今」が映し出されています。

1980年になると、松本零士アニメが全盛になります。雑誌には「松本零士・手塚治虫・石森章太郎」の対談記事! ‥‥‥‥‥感慨無量。


何とも苦笑してしまうのは、1980年の雑誌にも「若いアニメーターの養成が必要」とか「アニメ界をどうしていくか」みたいな特集・対談が載っている事です。これって、つまりは‥‥。

傾向として、アラウンド50の世代は、こうした時代のあれこれを、インプリンティングされているので、どうしても、その感覚が今になっても根底に残り続けています。私もそうですが。

でもさ。35mmに24コマで作って、テレビのゴールデンに放映してた時代をいくら懐かしんでも、もう還らないんです。

テレビの役割も変わって久しいですしネ。テレビが家庭の娯楽の中心だったのは、今となってはもう随分昔の話です。

どんなに懐かしんでも、「昔のスタイル」には戻らない事だけは、歴史が身をもって証明しております。江戸を懐かしんでも、世の中はもう江戸には戻れないですよネ。どんなに懐かしんでも、「昔のアニメスタイル」にも「昔のテレビ」にも戻れんのです。

私らの馴染んだアニメは、単にスタイル=様式の1つに過ぎなかったんだ‥‥としみじみ思います。

「アニメのスタイル」が重要なのか、「アニメーション」が重要なのか、これから進む道を、各自が選択していくしか、ないでしょうネ。強制など誰もできないです。

自分の人生の行く末をフィルムスタイルアニメの終焉にシンクロさせるか、アニメの原点に立ち戻って新しい道を行くか、‥‥ダネ。


ちなみに、昔のアニメージュとかを読むと、読者投稿イラストに、現在活躍中のベテランの方の名前をひょっこり発見したりします。うーむ、当時から巧いですネ。

新型MacPro、それでも

新型Mac Proが、やっぱり、話題になっておりますネ。まあ、驚きますよネ、まずあの外見。

円盤ドライブがないとか、カードが差せないとか、‥‥さすがにそういう意見は少ないようです。さすがに、皆、もう気付いてるんでしょうネ。iMacやiPhoneの時の経験で、その類いの論調が恥ずかしい類いのものである‥‥という事を。

実際、円盤ドライブなんて、本体にはもう要らんしネ。家庭用途ならまだしも、作業ではほぼ出番は無いです。使う時だけ、USBのBDドライブ(6千円くらいで買えるヨ)を繋げばそれでOK。

ただまあ、4Kのアニメーションを自己研究している私としては、今回の新型MacProでも、性能は足りんだろうなあ‥‥と感じています。「1280ピクセル幅の映像作品をPowerMac9600くらいで作る」ような手応えだろうなと感じます。

PowerMac8600(9600は高過ぎて手が出なかった)を買った1997年末。640x480‥‥つまりSDクラスの映像が普通に扱えるようになりました。PS1とかの320x240とかは楽勝で扱えるようになりましたが、1280や1440の寸法だと「作れるけど、重い」感じでした。1920pxなど論外。

2013年現在。ちょうど、体感が「1段」ずれた感じの状態です。16年前のSDがHDに、1280が4Kに、1920(HD)が8Kになったような感触ですネ。

つまり、8600や9600とかで1280pxのハイクオリティアニメーションを作る「あの手応え」が、今度出る新型MacProで4Kハイクオリティアニメーションを作る時と似たような手応えになるのだと思います。Blood-2K(2000年公開の初代のBloodの事ネ)やイノセンスを9600/300とかで作るイメージでしょうか。

「うわー。遠いなあ‥‥」と思うでしょうネ。私も同感。。。

多分、値段も「あの頃の値段」に戻るんじゃないでしょうかネ。おそらく、どんなに安くても、40万以上にはなり、標準構成だと50万はオーバーするかも知れません。

今回発表されたモデルが「9600的」だとしたら、購入のハードルを下げた「8600的」なモデルが「もしかしたら」追加されて、30万円代で出してくれる「かも」知れません。実際、4Kと2Kのモニタが1台ずつ繋げれば仕事はできるし。ビデオ性能を半分にしてもプロ用にはなるよ、Appleさん。

ふと、物思いにふけると、2003年以後の10年間は、そういった意味じゃ、「マシンに苦労しなくて済む平和な時代」だったのかも知れませんネ。

性能が格段に向上したPCを用い、旧来の作り方を踏襲して作る。「マシンの性能が制作手法に対して優位に位置できた」平安の時代だったのかも知れません。そのかわり、スケジュールはこの10年でズタボロになったけどネ。

初めて国産アニメが劇場公開されたのが、大正6年、1917年の事らしいので、そろそろアニメも100歳くらいになるはずです。初の国産劇場アニメは、「いもかわむくぞう」という「天然色活動写真株式会社」というところで作ったアニメらしい事が、手元の書籍で確認できます。

4Kの48FPS、96FPSが姿を見せ始めるのと同時に、フィルムベース(フィルムを使ってなくてもネ)の今のアニメの作り方が決定的に旧時代のものへと老いていくのが、明瞭に想い浮かびます。人間もそうですが、老け始めると急速に老いが進行しますからね。2014〜2020年って、もしかしたら、アニメにとっては「王朝の交代」くらい大きく変わる時期かも知れません。もうちょっと後?(2018〜2024くらい?)の6年間かも知れませんが、どちらにしても、同じ原理で100年頑張ったんだから、アニメって凄いよネ。

4K/96FPSには、もうどうやっても、今の作り方じゃ対応できません。今以上のアップコンをしても、さすがに受け手だってその「かさ増やし」には気がつきますよ。

時代の終わり。残酷かも知れませんが、アニメだって、その前の何かの座を奪い取って、今の立ち位置を確立したのですから、「宿命」としかいいようがありません。昔のアニメ雑誌(1978年のアニメージュとか)の対談記事とかを読むと、当時のアニメが「旧来の色々な何か」を駆逐していった事が読み取れます。


新しくMacProが発表されましたが、未来の展望を考えると、「その先」のマシンの事、そして作品作りの事を考えずにはいられない、私でした。

来たーMacPro

WWDCで何らかの発表があると睨んでいた新しいMac Pro。「年内発売予定」として、紹介されたようです。

姿はなんと円筒形。しかもかなりコンパクト。




驚くのは、基盤の組み込みかた。なんと、三角柱のように組んであります。





天井部のダクトのような部分に「シロッコファン」みたいのが付いてて、それで空気を循環させるようです。




12コア。‥‥ちまたでは20コアとかも囁かれていたので、まあまあ、これは予想の範疇でしたネ。既に12コアモデルって、あったよネ。

モニタはなんと4Kを3モニタまで繋げるようです。





まあ、これから先(というか、直近でも)を考えれば、4Kに対応してなきゃ、「プロ向けマック」とは言えないですもんネ。


最近のMac Proは買うに値しない製品に成り果ててたから、ようやく「正常な流れ」に復帰してくれたように思います。

‥‥まあ、タワー型のマシンを買ってプロ気分‥‥なんて今どきあり得ないのはAppleも解ってたんでしょうネ。なので、ユーザの失望覚悟で現行MacProを売り続けて、ウラで新製品を開発してたんでしょう。

MacOSXの次期バージョンも紹介されましたし(Sea Lion‥‥というのは冗談ですネ)、ひとまず、「Apple家電メーカー化」は踏みとどまった感があります。

このマシンがG4Cubeのような顛末にならない事を願いつつ。。。


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