基礎

恐らく、2020年代のアニメーション技術において決定的に必要になるのは、基礎技術の更新・刷新でしょう。応用や高度化はあくまでその先です。

 

技術をハイレベルに積み上げるにも、まずは基礎の堅固さが必要です。ゆえに、目下の私のターゲットは、新しい基礎技術の確立です。それはとてつもなく地道な作業の繰り返しで、範囲も広いです。

 

基礎技術にショートカットなし。

 

でも、基礎技術の構築は必ず成し遂げられるとも思います。先人の成し得た「体系作りの経緯」から、謙虚に学べば良いのです。

 

焦りは禁物です。地道に克服していくことだけが、ゴールへの道です。

 

新しい技術、新しい映像フォーマットと聞くと、得体の知れないハイレベルな何かを想像しがちですが、それは当人の「未知の何かに対する恐れ」から生み出された幻であって、実は地に足をつけて1つずつ解決できるものです。

 

逆に、浮き足立っていると、行動が散漫になって、何一つカタチにならないです。あれも作りたい、これも作りたい‥‥と未完成のプラモだけが増えていく子供のように。

 

決戦兵器、秘密兵器、特効薬。‥‥どれも、「何かスゴいものを用いて、諸問題をイッパツ解決できる」と夢想する浅はかな思考の象徴です。幻の秘密兵器を作ろうと時間を浪費するのなら、その時間を地道な基盤作りに割いた方が実現のメドも立とうというものです。

 

 

4K時代は、今までの基礎技術では太刀打ちできない場面と数多く遭遇します。最適解そのものが旧来の基礎技術の中に存在しないことも多々あります。

 

技術のステップアップが必要とされるのなら、何も迷うことはないです。必要に応じて、ステップアップするだけ。ですネ。

 

4K、60p、HDR。それぞれの言葉に踊らされているようでは、何も掴めません。

 

ステップを一段二段高くして、実際に、リアルに、手で1つずつ掴んでいけば良いだけ‥‥です。

 

 


色々終了。

今まで、自己所有の複数マシンでAdobe CCを使うために、2つライセンスを契約していましたが、更新日を前に1つ解約し、ライセンスを減らしました。よくまあ、自腹で年間12万円(+税)もAdobeに貢いできた‥‥とは思いますが、今年度は色々と節目となる年なので、自己開発モードの負担を軽減し、現場作りの方にシフトしようと思います。

 

自腹で何台もマシンを所有し、色々なソフトをこれまた自腹でいくつも買い揃え、昼夜違わずモクモクコツコツと映像技術開発に勤しむ‥‥というライフパターンを、私自身、しかと見直す時期なのでしょう。内に蓄積したエネルギーを2020年代に向かって外へと放射する時代のタイミングでもあり、それをすべき自分の歳でもあり‥‥ということなんでしょうネ。

 

そのほか、ドメインのいくつかも更新終了。‥‥年間数千円なので大した額ではないですが、今や使用目的を消失したドメインを抱え続けていても意味がないので、逐次終了します。

 

お試しで使っていたAmazonのKindle Unlimitedも終了させます。私は本に関しては、そもそも読む周期にムラがありますし、購入して何冊も常時ストックしておきたいので、10冊制限のあるUnlimitedはどうも性に合わないようです。

 

あと‥‥やっぱり、旧来運用スタイルの仕事は、今引き受けている作業を最後にフェードアウトするように思います。何を言うても、ペーパーレスの完全デジタルデータ運用に移行すると、「紙」ベースの作業意識とは齟齬がどうしても増えてきます。

 

 

2020年代を前にして、終了するもの、継続するもの、そして新しく開始するもの‥‥と、3つの岐路が色々な物事に待ち構えているように思います。

 

 


単価?

単価制で無理があるのなら、拘束料金や社員雇用だ。‥‥というのは、大雑把でしょ。

 

単価制の限界だ‥‥なんて軽々しく言う人もいますけど、今までのアニメ業界において単価制の限界や可否を問えるほど、単価について色々なアプローチをしてきたでしょうか?

 

アニメ業界の大きな問題として、私がフリーランスの原画マンだった頃から捉えているのは、単価制そのものではなく、「均一単価制」、単一価格の単価制です。

 

アニメ業界の単価制は異常です。

 

例えば、どこのラーメン屋さんに、餃子3個、ラーメン、味玉ラーメン、チャーシューメン、チャーシューメン餃子セットの単価(売価)が全て同じ店があるでしょうか。普通、内容やグレードによって単価は分けるでしょ。

 

アニメ制作の場合、口パク1枚絵と、巨大ロボ3体1枚絵の単価が同一だ‥‥というのが異常過ぎるんですよ。

 

まあでも、今の現場では、何をどうやってグレードを分けたら良いかも判らんですよネ。多くの場合、「見た目のさじ加減」になってしまうでしょう。紙に描かれた絵の作業量を計量することはできませんもんネ。だから、ずっと単一単価制です。

 

一方で、制作期間中に単価では計り知れない作業を依頼する場合は、いわゆる「一式」料金の方法があります。前述の飲食店で例えれば、「食べ放題」価格のことですネ。仕事を依頼する側は、単価のつけようもない難易度の高いシーンを頼めるし、受ける側は自分の能力を期間中に発揮できるしで、金額の折り合いがつけば「均一単価」の悪所を回避できます。

 

でも、多くの場合、単価制がデフォルトで、「均一単価制」になります。

 

作画よりももっと酷いな‥‥と思うのは、撮影作業を単価で扱う時です。「秒単価」で内容の濃いアクションやスペクタクルシーンを依頼された時は、正直、殺意が芽生えたものです。「倍の単価? いい、いい。いらん、いらん。 元の単価=半分の単価でいいから、芝居のシーンをちょうだい。そっちの方が数倍稼げるからさ」‥‥なんて言うから、私は仕事を干されるんだろうけど、実際「撮影はもうやりたくない」なんていう中堅〜ベテランの人は結構周りにいるんですよネ。色んな経験と技量を蓄積すればするほど、どんどん割に合わない仕事が増えて‥‥という状況に辟易している人は、作画だけでなく撮影作業者でもいます。

 

表現力の技量が低く、簡単なシーンばかりを振られる人間ほど、作業実績が上がるシステム。‥‥誰だって、アホらしいキモチになって、やってられないでしょ?

 

 

私の考える未来の現場は、均一単価制は廃止です。苦労して技術を磨いた人間がバカを見る制度なんて、新しい現場で継承するわけがないです。新しい現場を組む時に、なぜ自分が辛酸を舐めた状況を、新しい現場作りに導入しちゃうのよ。普通、過ちは繰り返すまい‥‥とするでしょ。

 

ではどのように単価のランク付けをするか‥‥ですが、作画に関しては既に具体的なアイデアがあります。何なら、自分でソフトウェアのプログラムコードを書くこともできます。私はあくまでサンデープログラマーレベルなので、自分で作った画像処理プログラムが高速に動作するかは別として‥‥ですけどネ。

 

事前の単価分けが難しい場合は、やはり「一式」方式が基本となりましょう。一式料金の場合、受発注両者の合意の上で金額を決めていく「人と人との関係」は一層重要です。

 

ただまあ、今のところ、アウトソーシングをするつもりはなく、内製化で体制を作るので、変動単価制はもうちょっと先の話です。

 

 

自分の能力が上がると、お金がより多く貰えるようになるんだ。

 

大変なカットをやれば、普通のカットの数倍、十数倍、数十倍、お金が出るんだ。

 

‥‥そんな、あまりにも普通のことを、未来の新しい現場で実現しないでどうする。

 

変動単価制はそれこそ私が20代の頃に監督と話していましたし、今から10年前には違う切り口で実現できそうなアイデアも思いついていました。ただ、それは旧来現場の色々なしがらみで出来ませんでした。恐らく今でも、旧来から様々な因習を継承する現場では、変動単価性は、感情的にもシステム的にも技術的にも無理だと思います。たとえ「デジタル作画」に変えても、です。

 

でも、新しい技術体系でゼロから作れる現場なら、因習を断ち切れますし、昔の常識は亡きものにできます。ルールも意識も違います、過去の常識はここにはありません‥‥と、新しい技術体系の現場なら言い切れるでしょう。デジタルデータを基盤とする運用スタイルであれば、データを総当たりで解析することだって、コンピュータが高速処理化した2020年目前の今なら出来るのです。

 

 

もう2年待たずに2020年代です。

 

ゼロから組み立てることで育っていく新技術の現場ならば、色んなことを仕切り直せると確信しています。私は残りの半生を新しい現場に注ぎ込む覚悟です。

 

一方、旧来の慣習を引き継がないと成立しない現場は、長きに渡る大問題を根本解決したいのなら、一旦全部要素を取り外してバラして、ゼロからの組み立て直し‥‥になるんでしょうけど、それはもう、大変なことですネ。誰がそれに着手するのか。それとも誰もしないのか。

 

未来の様相は様々‥‥ですネ。

 

 

 


BG透過光

HDRで使えなくなる演出&作画技法は色々ありますが、特に「BG透過光」はその筆頭です。

 

イメージ・心象としてのBG透過光は使い方次第でHDRでもイケると思いますが、「露出オーバーで白とびして透過光」というのはダメです。BG透過光がむやみに目に刺さるだけです。

 

そもそも「露出オーバー表現のBG透過光」は、暗部から明部に至るダイナミックレンジ=DRが狭いゆえに、暗い部分に露出を合わせたら、明るい部分が露出過多になってフレアを伴って白くとんじゃった‥‥という表現の簡略表現ですから、DRがHigh=HDRになった映像技術・フォーマットにおいては「意味不明」になりやすいのです。

 

HDRで眩しいから‥‥といって明るさを鈍く抑えたら、なぜ白くとばしているのかコンセプトが崩れますし、300〜1000nitsのレンジをもつHDRでレベルオーバー表現をしようものなら、視聴者の目を殺す気か‥‥ということになります。安易にBG透過光など使おうものなら、見てて眩しくて疲れます。

 

「露出オーバー表現のBG透過光」は、やがて「SDR時代の遺物」となりましょう。

 

例えば、心情のショック表現で赤色のBG透過光‥‥というのは、HDRでもありでしょうネ。アニメーションの画面設計は、グラフィックデザインとしての一面も担いますから、なんでもかんでも現実に縛られる必要もないので、「心象のデザイン」としてのBG透過光はHDR時代でもアリだと思います。透過光の色も、心象の表現ならば、必ずしも目に刺さる眩しい色にしなくても表現は成立しますしネ。

 

BG透過光に限らず、すぐ先の未来の高性能・高品質の映像フォーマットにおいては、今までのアニメ作画や演出の手練手管は、通用しなくなるものも結構増えると思います。

 

新しい表現技術は、旧時代の慣習を引き合いに出して「何がOK、何がNG」という比較によって獲得するのではなく、あくまでHDRや4K、そして60pの特性を鑑みた上で、新たに構築していくものです。「昔と比べることばかり」の思考では、新しい技術を積極的・効果的に作劇に取り入れることなど、ままならないですからネ。

 

新しい技術に「対応」しようとする人は、ぶっちゃけ、古いタイプの人です。「対応」という考えが根っこにある時点で、やがてフェードアウトしていく類いの人でしょう。必要な意識は、「対応」じゃなくて、「活用」ですからね。

 

BG透過光をHDRで見て、「ああ、この表現はもう使えないね。HDRならではの新しい表現を考えよう。」と即座に頭を切り替えられる人こそが、新しい技術で新しい時代を切り開ける人です。

 

そういった意味で、ここ5〜6年の期間は、そこら中に「未来への試金石」が転がっています。そのいくつもの試金石を前にして、先に進める人、立ち止まる人、去る人‥‥を分けていくでしょう。

 

 


CG319X

やっと発表されましたネ。CG319X。(つーか、型番は今日知ったんですけど)

 

 

 

「いつ出るか」とヤキモキしていましたが、職場のシステムの方から「今日発表」と知らせてもらって、胸を撫で下ろしています。今年の夏、秋‥‥とかだったらどうしようかと思ってましたが、6月には出回る感じですかね。

 

ぶっちゃけ、4KでHDRで作業用モニタ‥‥‥って、選択肢が極めて少ないのですヨ。4Kテレビはあくまで家庭用テレビで、作業用モニタにはなりませんし、24インチじゃ小さいし、PQやHLGに対応となると、かなり製品数が限られます。

 

まあ、アニメ会社の作業場は、ポスプロさんの「お洒落でラグジュアリー」な空間はのぞめないものの、部屋の照明に気を使って間接照明にしたり、「お部屋のマスモニ」をちゃんと置いたりと、当人たちの意識があればできるだけのことはできるはず‥‥です。

 

アニメーターは作画のプロではあるが、映像のプロではない

撮影スタッフはアニメ撮影のプロではあるが、映像のプロではない

 

‥‥とか、どれもイヤじゃないですか。アニメーターも撮影スタッフも、映像プロフェッショナルの集合の中に居るべきと思います。少なくとも2020年代の未来においては、です。

 

ちゃんとしたモニタで映像を見る習慣を「あたりまえ」にする環境は、これから先の未来は必須でしょう。テレビでラッシュチェックして喧々囂々なんて、(何度も書きますが)揺れる小舟の上で水平の基準を得ようとするがごとくです。

 

今のアニメの現場はRec.709やsRGBでまだ済んでいますが、未来はそうはいきません。アニメの全ての現場にBT.2100とかST 2084が必要とされるのはまだ先のことかも知れませんが、今度の「リプレース」の際はテレビで誤魔化すんじゃなくて、せめてカラーマネージメント系のモニタを購入すべきでしょうネ。

 

そして、制作環境をプロ基準たらしめるシステムスタッフも、アニメ制作には重要な存在となりましょう。

 

 


意気込みの盲点

自分たちが実現するんだ! 自分たちこそソレを可能にできるんだ! ‥‥という意気込みは、特に新しい何かを掴みかけている時には、作業時のテンションも上がり、現場のモチベーションも高くなります。

 

しかし、それが一方で「孤立主義」に傾倒するのなら、「調子にのるなよ」と自ら醒めて、自ら冷や水を浴びせる意識も必要です。

 

昔、ベータマックスがどんどんソニーの孤立主義に傾き、やがて消滅したのをリアルタイムで見ていたので、「技術の自信が孤立を生む」危うさの教訓として思い出すようにしています。

 

ベータに限らず、色々な技術の産物を見ていて、技術的な過信かは判りませんが孤立するメーカーのプロダクトが絵に描いたように終息に向かっていくのを見て、「普通、そうなるわな」と10〜20代の頃の私でも思ったものです。

 

でもまあ、勝者のVHSも今では社会から姿を決して久しいので、「長いものにまかれりゃ、安泰」というのも不正解なんですけどネ。ベータには勝ったVHSですが、時代には勝てず、今やVHSで録画しようなんていう人は相当珍しいくらい、社会から忘れ去られています。「D-VHS」なんてのもありましたが、もはや民生の意識はビデオ「テープ」から離れており、「デジタルデータ化」しようが消滅は必至だったと思います。

 

アニメの作り方で言えば、新技術を過信するのも危ういし、旧来技術に巻かれたままでも社会の流れから取り残されるし‥‥で、ええ感じの舵取りは必要になりましょう。

 

意気込みや自信、あるいは打算や習慣だけでは、未来は切り開けんです。

 

 

「でもさ。Appleの事例もあるじゃん」‥‥という人はおりましょう。

 

たしかにね‥‥、Appleはとても強いですよネ。今のところは。

 

しかし、その強さゆえに、崩れ始めると連鎖崩壊するような危うさを、私はずっと製品を使い続けながら感じています。伸び続ける成長なんてありえません。成長の行き詰まりや技術信仰の限界を、どこでどうシフトしていくのか、アウトサイダーの私としては、Appleの今後を見守るほかないですネ。‥‥まあ、今はうまくいってる気なのでよいですが、お手本にはならんですネ。

 

 

今年度は、私ら新技術を推進するグループにとって、大きな飛躍の年になりましょう。しかし、その飛躍の爽快感に我を忘れるようでは、行き先は危ういです。

 

艦載機は空母から発艦して攻撃目標を攻略するだけはダメです。ちゃんと、着艦の進入コースをしかるべきノットで進み、アレスティングフックがワイヤーを掴んで着艦するまでが、ミッションの全行程です。さらに言うならば、戦果の報告、そして艦載機部隊を積んだ空母が次の「戦地」へと進路を変えるところまでが、ミッションの全て‥‥とも言えましょう。

 

こんなではコマるわけです。

 

 

 

跳んだら、ちゃんと着地する。そして、その次も続けて跳ぶ。

 

ソニーやAppleなど、「いい意味でもわるい意味でも」お手本にすべき過去をもつ企業、そして歴史上の人物や国の興亡を、最良の教訓として活かしつつ、今年2018年、そして2019、2020年‥‥と粛々と進んでいくのが肝要。

 

と、日記には書いておこう。

 

 


モニタ

4K環境に移行するとき、特にiMac Proのような機材だと、環境全体のモニタ構成には気を配る必要があります。

 

iMac Proのモニタは決してキャリブレーターもなければ、各色域(sRGBや709やDCI P3や2020/2100など)をプリセットで切り替える機能もなさそうなので、都合、4K HDRのプロ仕様(なんか曖昧な表現ですが)のモニタが必要になってきます。

 

ということは、5K&4K。結構、ビデオ性能をいっぱいに使います。2Kのモニタに換算すれば、モニタ8台分以上のビデオ出力です。

 

4Kや5Kのモニタは、外見は2〜2.5Kのモニタと変わらなくても、消費するビデオ性能は格段に大きいです。

 

ゆえに、いくらThinderboltコネクタに空きがあり、以前使っていた2〜2.5Kモニタがあっても、安易に繋ぐと各モニタへの出力が支障が出るケースもあります。実際、私らの使っているMac Pro 2013は、4096pxの4Kモニタを2台繋ぎ、さらに1440pxのプチモニタを繋いだら、全体のリフレッシュレートが30Hzに落ちてしまった‥‥なんてことがありました。ギリギリだったんですネ。

 

iMac Proは、

 

  • 4台の外部ディスプレイで3,840 x 2,160ピクセル解像度(4K UHD)、60Hz、十億色対応
  • 4台の外部ディスプレイで4,096 x 2,304ピクセル解像度(4K)、60Hz、数百万色以上対応

 

‥‥とのことなので、性能に余裕がありますが、私らが使いたい解像度は3840と4096の両方なので、何をきっかけに十億色が数百万色にダウンするのかは知っておきたいところです。

 

 

ちなみに、今でも8bit出力&入力の環境は主流で、sRGB&Rec.709を運用している分にはあまり問題にもなりませんでしたが、次世代の色域になると、8bitは過去の遺物となります。テレビの4K自体が、HDR10(10bit)、Dolby Vision(12bit)、HLG(10bit)と10bit以上の時代に移行する成り行きですから、現在の機材〜特にモニタとマシンはどんどん古くなっていきます。

 

お茶の間のテレビより、アニメ制作現場のモニタの色数が低くてどうする。‥‥という未来は、やがてやってくるでしょう。

 

ただ、ツールウィンドウをおいておくモニタに4K HDRなど必要ないですから、既存の2Kや2.5Kのモニタを廃棄する必要もないのです。

 

4Kモニタの性能の足をひっぱらないように、旧時代のモニタを接続・設置すれば、作業スペースを広々と使えるリッチな環境となりましょう。

 

 

 

移行期においては習慣では乗り切れないことも多く、新たに覚えるべき知識も増え、考え方を一新する必要性も生じますが、それはもう「世の常」ですので、さっくりと意識を移行するのが肝要でしょう。どうせ、世の中は変わるもんなんだし。

 

 

 


3Vボマー、A380

プラモは映像制作のアイデアの源。

 

‥‥と言うことで、また新たに3VボマーとA380を作ることと相成りました。

 

3Vボマーとは、イギリス空軍のVを頭文字にした爆撃機、三羽ガラス「ヴァリアント」「ヴィクター」「ヴァルカン」です。

 

本家イギリス・エアフィックス社から新金型のキットも発売され、最近下火となっている旧ジェット機の新製品に飢えていた私は、給油機バージョンも含めてキットを所有しております。

 

 

 

箱がでかい! 中身もでかい!

 

でも、B-36の1/72を所有しているので、「巨大」とは思いませんけどネ。とはいえ、実際に日本の家屋に置くと、それなりに存在感があります。

 

また、必要に応じて、1/144のA380も買い足しました。実際に使うかはわかりませんが、現代旅客機で4発のバージョンが欲しかったので、とりあえず作っておきます。B787-9のロングボディとどちらを選ぶかはテストしてみてですが、B787はスマート過ぎて小型機に見えやすいので(それが魅力でもありますが)、イメージにハマるかどうか。

 

 

A380は相当な巨人機で、その1/144ですから、まあ、そこそこの大きさはありますが、やはり1/72のB-52やB-36やベアよりは可愛い大きさですから、さくっと組んでしまいます。

 

いずれも、サーフェイサー仕上げなので、時間はかからず組み上がることでしょう。

 

 

 


技術の作り方

たまに聞く「アニメには30コマは定着しなかった」という論調ですが、残念ながら、アニメ作画が30pに延々と対応できていないだけで、今でも30p納品のアニメは特にゲーム用途などで存在します。24p納品もありますが、30p納品も依然として存在するのを、アニメ制作現場の人たちがあまり知らないだけです。

 

で、その30pへの対応は、かなりヤバいことになっていて、一番原始的な方法で納品しているのを今でも垣間見ます。

 

昔は3:2プルダウンが定番でした。WSSWWなどの方法で、おおまかに言いますと、2フレームを2.5フレーム=4フレームを5フレームに変換して24から30に変換していました。24コマから30コマに変換する際に、0.08秒につき0.5フレーム相当を合成して作り出すので、不自然さが目立たなかったのです。

*「WWWW」の4コマを、「WSSWW」の5コマに変換する「フィールド合成」方法は、人間の視覚と旧世代のテレビの特性を鑑みた、非常に優れた変換方法でしたネ。

*その昔、3:2プルダウンの画像合成をおこなうソフトを、REALbasicで、画像合成プログラムの習得がてら作ったことがあります。フィールド合成の内容はさほど難しくない画像合成でした。WSSWWなら「11,12,23,33,44」でフレームを偶数か奇数のフィールドで分割して合成するだけの話です。WWSSWの場合は「11,22,23,34,44」になるので、「3:2」ではなく「2:3」プルダウンと呼んだようがしっくりきますネ。

 

しかし、最近見かけるのは、12344方式です。つまり、0.17秒につき1フレームまるごと複製してフレームを増やすので、特にカメラワークに大きな影響がでます。例えば、12345678‥‥と滑らかだったPANが、1234456788とPANの動きにひっかかりができてシャクるわけです。「変だな?」と思ったらコマ送りして確認すれば、同じフレームの絵が5回に1回出現するのですぐにわかりますヨ。

 

なぜ、以前のプルダウンがNGなのかというと、単に上映する媒体の問題です。櫛状のSフレーム(セパレート=2枚の絵が櫛状に合成されている)がプログレッシブ再生のモニタだと目につくからです。WSSWWの「SS」の部分、1フレームを1.5フレームに伸ばしている部分が目についてしまうわけです。

 

とはいえ、12344の変換は、あまりにもむごい。

 

今まで何のために、苦労して作品制作してきたのか、12344の変換方式ではあまりにも報われません。一生懸命作った料理を、最後の最後で盛り付けに失敗して大量にこぼしちゃうがごとくです。

 

PANのカメラワークが映像にあらわれるたびに、カクンカクンカクンカクンとPANがしゃくるのは、ぶっちゃけ、見ていてかなり不快ですし、技術的にみっともないです。絵作りとか作風以前に、「映像障害」「事故」にみえるからです。

*とはいえ、クライアントからフィールド合成もフレーム合成もダメ!‥‥と言われてフレーム複製で対応する事例は多いようです。

 

スッキリ回避する方法はあるんですよ。ただ、現在の撮影工程は、あまりにも技術の固着化が進み過ぎてますし、カメラ撮影台の亡霊に取り憑かれたままのAfter Effectsプロジェクト構成だったりするので、「人災」的な原因で30pの「ちゃんとした出力」ができないのです。CS6は言うに及ばず、かなり昔のAfter Effectsでも問題なく出力できますから、バージョンの問題でもありません。

 

 

「12344問題」に見るのは、旧来アニメ現場の技術の発展性の乏しさです。土台が古いままに、どんどんトッピングだけを盛り続ける方法は、そろそろ限界に近づいていると感じます。

 

作画でどんなに回り込んだり、動画TUやTBをしようが、ハイテンション表現の予定調和から脱し得ません。撮影特効でどんなにディテールを飾り立てようと、目新しさはありません。

 

かえって、盛り立てれば立てるほど、土台の古さが目立ってしまうことすらあるでしょう。

 

一生懸命作画で動かして、一生懸命テクスチャを貼り込んでも、線がぶっとくて繊細さに欠け、発色が鈍く、お定まりのパラとフレア、場合によっては12344とカメラワークがしゃくってしまえば、目に映るのは「相変わらずのデジタルアニメ」です。

 

背脂系ラーメンに、他店よりも背脂をもっとコッテリと‥‥と盛っても、ウエ‥‥となるばかりですよネ。

 

 

既存の技術に盛り続ける発想法の限界です。

 

もうどんぶりは背脂とトッピングでいっぱいです。なのに、まだ、盛るつもり?

 

既存の技術に頼って、その技術に後付けでどんどん足していくんじゃなくてさ‥‥。

 

技術の作り方について、ゼロから考え直す時期‥‥だと思います。

 

アニメ制作現場は、とかくブラック、ブラックと、言われるし言うけれど、そのブラックを支えちゃってるのも、既存の技術なんですよネ。

 

 

私の方針はもうハッキリしていて、工程そのものの是非を問い、ワークフロー自体を技術レベルから作り直す‥‥という方針です。

 

そんなのできるんかいな?‥‥と言う人も大勢いらっしゃるでしょうけど、じゃあ、そういう人の現在のっかっているワークフローは誰が最初にゼロから作ったの?‥‥という話です。多くの人は、既存のシステムやワークフローをまるで地球の大地のように考え過ぎちゃってますよネ。システムやワークフローって、人が作ったものなのにネ。

 

そのような「既にありき」の思考に囚われているから、12344なんていうみっともない変換方法しか思い浮かばないのです。


24から30のフレームレート変換を、フィールド合成かフレーム合成かフレーム複製でしか対処できない時点で、思考の柔軟性は失われていると言っても、過言ではないでしょう。

 

達成目標をクリアに認識し、そこから逆算で色々と思考を巡らせれば、新たに技術を生み出して、目標を達成できます。‥‥少なくとも、12344問題に関しては、もう随分前〜10年以上前には技術解決できていましたヨ。30fps納品は絶えず存在し続けてますからネ。

 

 

もしかしたら、日本のアニメ制作現場の各所に今後明確に必要となるのは、「技術の作り方」という、ものすごく基本的な意識‥‥なのかもしれないですネ。

 


さあ、新しい環境だ。

今の時期、必要に応じてホイホイ新しい機材を買うのは、特にApple製品に関してはリスキーです。WWDCが6月に控えており、必ずそこで新製品が発表されますもんネ。

 

Apple製品に慣れた人なら、4月、5月は、要注意期間と心得ていることでしょう。

 

私らも、新しい技術を具現化する新しい機材の調達の際は、WWDCを意識した動きになります。

 

 

 

新しい時代の、新しい機材の必要性。

 

「撮影」と呼ばれるアニメ制作工程で、テレビ規模の表現内容の範疇で済んでいた頃は、頼もしく思えたマシンやモニタも、新時代の新たなクオリティを標準に据えると、そりゃあもう、「お疲れ様」的性能になり下がります。

 

「老体に鞭打つ」ような使われ方となって‥‥、いや‥‥使われるだけでもまだマシで、そもそも使うことすらできない機材が続出します。sRGBやRec.709のモニタは、どんなに高価だろうとHDR制作のメインモニタにはなり得ません。

 

「撮影」の1カットのレンダリングって、大体5〜20分くらいで済みますよネ。アニメは1カットの尺が短い‥‥というのもありますが、1MBを超えないような軽量の画像ファイルを中心として、制限された映像効果で処理するので、レンダリング時間は総じて短いのが、アニメ撮影の特徴です。私も以前にアニメの撮影をしていて、ハリコミとかキツい作業はあるものの、レンダリング時間だけは他のジャンルに比べて極楽でした。

 

しかし、新しい技術はそうはいきません。まず「撮影」という工程は細分化され消滅しますし、レンダリング時間も大きく伸びます。レンダリング時間はおよそ10倍には伸びますし、最悪の場合(=下手な組み方をすると、ですが)1カット2〜3日のレンダリング時間まで伸びることもあります。そういう時はもう、レンダーファームのマルチレンダリングに切り替えるしかないですし、ストラクチャ(レイヤー構成とモーションの作業)と呼ばれる作業においてはプリレンダリングは必須です。レイヤーをアホみたいに抱えたままでビジュアルエフェクトなどできるわけもなし。

*まあ、それでも、3DCGの1時間1フレームの世界に比べれば、まだ2DCGなだけマシなんですけどネ。

 

 

ゆえに、新しい作業環境へとリプレースする必要があります。未来の映像フォーマットにおける未来の品質を標準とするなら、環境を構成する機材も未来指向になります。

 

絶賛不人気とも言われるiMac Proも、処理能力の点で有望に思えてきます。

 

 

Appleもね‥‥メモリだけでもユーザがメンテできる仕様にしていれば、ここまで不人気にならずに済んだのにネ。「プロへのラブレター」みたいに言われるiMac Proは、そのメンテナンス性のあまりの低さに「ごめんなさい」とラブレターを突き返されてるんでしょうかね。告白したわりに「あなたじゃダメなの」と。

 

WWDCでは色々なAppleの機種が新発表されたりバージョンアップしますが、今年のWWDCはどんなことになるか。

 

まあ、ひっそりと、iMac ProやiMac 5Kは性能のバージョンアップをするでしょうし、Line=線画工程に使おうと思っているiPad Pro 12.9インチも何らかのバージョンアップがあると思われます。

 

わたし的には、既存機種の性能アップだけでも嬉しいです。まんま、業務の効率に結びつきますからネ。

 

新しいiPad Pro(Xとの噂)や、新型Mac Proが発表されれば、それに越したことはないですが、まあ、出たら出たで良いです。噂をあてにしてガチの計画は立てられないですもんネ。既にMac Proのリプレースはゆるく計画に組み込んでいますから、いつ発表されて、いつ販売開始か‥‥は、寝て待ちます。

 

あとは4K HDRモニタ製品群ですネ。300nitsでも作業は可能ですが、やっぱり1000nitsのモデルは欲しいところです。EIZOさんに期待‥‥です。

 

各マシンを繋ぐ10GbpsのLANもそろそろ定番になっても良さそうですし、2018年はまさに、新時代に向けた刷新の元年‥‥です。少なくとも、私らにとっては。

 

 

旧来の2K24pSDRなら、未来環境は単なる持ち腐れでオーバースペック過ぎますが、4K60pHDRではまだまだ足りない感は強いです。それでも、刷新した効果は4K主眼なら絶大です。

 

1996〜2004年くらいの8年間におきた環境の変化や品質意識の移行は、2018〜2026年に再演されるでしょう。

 

環境が移行する‥‥ということは、その環境で働く人間の働き方にも変化が生じますが、まさにその変化のタイミングは、「ブラック」から抜け出すチャンスとも言えます。

 

しかし一方で、果てしなくブラックへと転落するところも出てくるでしょう。今までの悪習・因習を未来に適用したら、ブラックもブラック、まっくろけっけ‥‥です。作業が辛過ぎて、もはや、アニメを作ろうとする人間すらいなくなる予感‥‥です。今までの考えで未来も続けていたら‥‥です。

 

機材の環境変化は、そういった意味で「運命が変わっていく表面上の変化」です。その人間、そのグループの運命が、どこに向かっているのかが、機材の設置、部屋のレイアウトで、予測がほぼ可能です。

 

まあ、だからといって、使いこなしもできない機材を導入しても、それはそれで、未来を暗示します。リキテックス全色を揃えても、絵が下手ならしょうがないですもんネ。機材だけ最新で高価で、スタッフの技量と現場の技術意識は旧態依然‥‥では、ただの「金の無駄」です。

 

 

作業環境は自分たちの未来を描きます。

 

逆に見方で言えば、未来の作業環境を旺盛に使いこなす、相応の技量を、作業する人間は得ていくべき‥‥とも言えますネ。

 

前回、「死」について書きましたが、「死」を意識できるようになったからこそ、「生」を一層際立たせてることができるのと同じです。

 

漠然と機材調達して、漠然と使う日々‥‥では、今まで通りの漠然とした未来がくるだけです。

 

積極的、野心的なビジョンをもとに、しかるべき機材を調達し、機材のポテンシャルを引き出す制作を実践してこそ、今までと違う「望んでいた未来」がくるのでしょう。

 

 

 

 

 



calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< June 2018 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM