電子ピアノ

電子ピアノ。要は打鍵以後のプロセスを電気的に処理するピアノです。エレクトリックピアノ〜通称エレピとはカテゴリーが違うので、ややこしいですが、ぶっちゃけて言えば「生ピアノの音を模した電気式楽器」ですネ。

最近の電子ピアノは、様々な工夫が凝らされていて、単に「ピアノの生音をサンプリングしました」で終わらず、1音ごとの発音メカニズム、ペダルを踏んだ時の弦同士の共鳴など、これでもかというほどに進化しているようです。ローランドのエントリー(入門)クラスの位置づけのHP504でも、かなり音色が良いようです。

私はつい最近、10年以上のブランクを経てピアノを弾き始めました。弾いているのは随分昔のクラビノーバで、音も昔のレベルです。しかし、決して悪い音ではないので、満足して弾いております。ごまかしのきかないスッキリとした音色なので、私の演奏目的にはちょうど良いスペックです。

昔弾いていた曲をもう一度、復習して弾いております。バッハのインベンションなどを弾くと、指がもつれて大きなブランクに苦しみますが、メゲずに弾き続けていると指がどんどん動くようになってきます。口で言い表すのはムズカしいんですが、音楽の持つ具象が明確にイメージできるようになってきて、日々同じ事を繰り返して煮詰まった脳には良い「イメージングのエクササイズ」になります。

手癖で弾くのではなく、1音ごと大切に発音してピアノを弾くと、日頃は何となくミュートしている自分の傲りなども見えてきます。心の状態が記録紙に写し取ったかのように音に出るので、弾いてツラい事もありますが、目を背けず向き合って弾き続けると、わだかまってこんがらがった無数の糸がほどけていく感触を得られます。

私が今、好んで練習しているのは以下のような曲集です。人に聴かせる目的ではないので、フリーダムなチョイスとなっています。
 
バッハ・「インベンションとシンフォニア」「小プレリュードとフゲッタ」「フランス組曲」etc...
グリーグ・「ピアノ名曲集
シベリウス・「ピアノアルバム
坂本龍一・「エナジー・フロー
ベートーヴェン・ピアノソナタ8番32番 etc...
ショパン・「24のプレリュード」から数曲

上記の曲集の中にはごっつ難しい曲も含まれていますが、ピアノを弾きまくるというよりは「音で脳幹をチュチュッと共鳴させる」目的なので、ミディアムテンポ未満で比較的優しい曲ばかりを好んで弾いております。ショパンのプレリュード13番とかエナジーフロー、グリーグの抒情小曲集などはピッタリはまります。

ピアノって、何か「教養」的なニュアンスで語られることがありますが、そんなのはどうでもエエです。ピアノが弾けるとカッコいいとか、才能やセンスがあるとか、本質には全く関係無い余計なキャプションです。ただ弾けば良いだけです。デジタルピアノはヘッドフォンで演奏すれば、鍵盤のパタパタ動く音だけになりますから、邪魔されずに自分ひとりで音に浸れますし、ご近所の迷惑にもなりません。

「良いのはわかるけど、ピアノなんて弾けない」と言う人に何人も出会ってきましたが、弾けないというよりは「弾かない」人ですよネ。私は全くの独学ですが、そこそこ「音をさらう」事はできるようにはなりました。本式で教育を受けた人との「基礎の差」は間近で見て歴然と感じますが、少なくとも「弾けない」わけではありません。コンピュータもそうですけど、「わからない、できない」んじゃなくて、「わかろうとしない、しようとしない」だけです。ほんの2〜3回、数時間触ってみただけで「自分はピアノが弾けない」なんて、‥‥可笑しな話ですよネ。通算100時間練習すれば、100時間なりの成果で弾けるようになるんですが、要は100時間保たない(100時間の練習にガマンできない)‥‥んですよネ。で、100時間の練習に耐えなかったのを「才能がないから」とすり替えて自嘲気味に自己弁護するわけです。

特にオトナになると「お膳立て」を自ら用意しないと行動をおこせなくなりがちですが、「自分の好きなように、音に浸りたい」という衝動で行動しても良いんじゃないですかネ。ピアノが弾けるようになるかどうかなんて、やらないうちから頭で理屈でコネくりまわしたって、どうにも判断しきれるものではないですもん。オトナになるとそのへん(=直感や衝動)が異様に不自由になって、何でも「対費用効果」とばかりに小器用に計算するクセがついちゃって、往々にして何もしないで終わる事が多くなりますよネ。良いオトナがどヘタクソ‥‥って言ったって、誰でも最初から上手く弾けるわけはないし、ヘッドフォンならば練習中の辿々しい演奏が外部に響き渡る事はないのですから、「アンプライドライブ」とばかりに好きに弾けば良いのです。カッコつける必要は無しです。

例えば、ショパンのプレリュードの中には、音をさらう分には難易度の低い曲(E-minの第3番)もあって、何でもかんでもピアノは難しいわけではないです。1曲弾けるようになったら、延々と弾いて愉しめば良いのです。



ただ消費するだけの娯楽。お金を消費する事で満足を得ようとする行為。自分自身が、まるで社会システムにおける「消費端末」のように思えてしまう。熱しやすく冷めやすい、世間やネットの空騒ぎ。‥‥どれも、成長を宿命づけられた現代社会の呪いのようなもの‥‥ですネ。Identityすらネットで通販の昨今です。

自主的に、絵を描く事や、楽器を演奏する事は、無の状態から自らがアクションするところから始まります。だからこそ、キャプションやステータスを剥ぎ落とした「素の自分」が見えてくるのです。

自分で作曲するのにピアノを弾いても良いし、好きな曲を弾いても良いし‥‥で、ピアノの「賞味期限」は本人次第で「生涯永年」です。高校時代に弾いてた曲、もっといえば、何百年前に作られた曲でも、リアルタイムで弾いて愉しむ事ができます。自分の年齢に応じて曲の解釈も大きく変わってきますから、1曲で何度も感慨にふける事ができます。作曲家の心の動きを、音を通じてトレースする体験(=追体験とも言えますね)は、他では得られない感動的なものです。

昔からピアノ演奏には「清浄作用」があるとは感じていましたが、今では明確にその効果を実感できます。‥‥だって、ピアノを弾かないと、1日がヌボーっと過ぎていくだけで、その間にも堆積物が積もって不明瞭・不透明になっていくのですから‥‥。

障害や苦悩・苦悶だらけの20代のアニメーター時代に、ことさらピアノを弾きまくっていたのは、ちゃんと理由があったんだねえ‥‥と我ながらしみじみ思います。

AmazonのMP3

Amazonで懐かしいサントラを数枚買いました。007の「ロシアより愛をこめて」「ゴールドフィンガー」などのジョン・バリー氏の楽曲、「セーラー服と機関銃」などの星勝氏の楽曲など、多数のサントラCDが1000円の価格で発売されているのを知り、急遽購入したのです。

そしたら、合計で400円の「MP3ダウンロード 割引」が付いたので、早速MP3を買ってみました。Amazonは100曲で200円とか価格破壊商品があるので、ソレ目当てです。

久々にのぞいてみたら、格安のアルバムがかなり増えていました。今回買ったのは、ラフマニノフの100曲シリーズと、バッハの鍵盤作品全曲集です。

ラフマニノフは、まずトップはピアノ協奏曲第3番で幕を開け、メジャーなものから珍しめのものまで、色々100曲(というか100トラック)入って、何と1セット160円です。1曲ごとに買うと1曲150円なので、もはや価格設定の意味も崩壊しております。あまり耳にする事のないピアノ協奏曲の1番(よく聴くのは2番か3番ですよネ)とかノクターン(ラフマニノフのノクターンは珍しいですね)など、単に入門編に留まらないのが良いです。
*ピアノ協奏曲第3番は当初ラフマ本人かと感じたのですが、私の所有するCDとは演奏が大きく異なりますし、トラックの表記もいー加減なので、よく解らないです。ラフマニノフは結構インテンポで極端なダイナミクスをつけずに弾いてる(私の所有音源だと)のですが、アマゾンの音源はどうも違います。

バッハの鍵盤作品全曲集は、377トラックで600円。これもスゴいですネ。再生時間は15時間超えなので、10数枚のCDボックスのボリュームです。ハープシコードによる演奏で、モノラルとステレオのトラックが混在する点から、古い音源と思われます。ダイナミクス&エンハンスが不安定なトラックもあり(強めのゲートとか)、必ずしも良い状態とは言えないのですが、全曲をさらうにはコストが半端なく安いです。あと、真作か否か(バッハ本人の作曲か)の疑問が残る作品は収録されていないものもあるようです。BWV905とか。

この他にまだ沢山、「缶ジュース2〜3本の値段で100曲」のシリーズがあるので、また物色しようと思っています。
 

劇伴

ご存知の方も多いと思いますが、「サザエさん」の初のサントラCDが12月に発売されるようです。実は私、早速アマゾンで予約してしまいました。

サザエさんに格別の思い入れがあるわけではないのですが、小学生の頃には既に耳にしていた息の長いサントラですから、欲しくなったのです。もはや、メロディを口ずさめば、サザエさんの絵が想い浮かぶほど、一心同体となったサントラですよネ。

ハンス・ジマーやハワード・ショアも良いけど、「作品を体現」している点において、サザエさんのサントラもなかなかの優れものですよ。

Original Album Classics

長い事、似たようなジャンルの音楽を好んで聴き続けていても、ポッカリと「なぜか聴いていなかった」楽曲があります。

私は、中学生の頃に「Blow By Blow」を聴いて以来、Jeff Beckを好んで聴いていますし、私の世代ではありがちではありますがドラムスのCozy Powellは何だかんだ言って好きです。と言う事は、どう考えても、第2期のJeff Beck Groupをどこかで聴いていてもおかしくないのに、CDを買ってない事にまったく無自覚でした。不思議なもんで。

YouTubeで第2期のJeff Beck Groupを見てたら(映像と音が1拍ズレてて、異様にキモチわるですが)聴いてみたくなり、Amazonで探して購入。その際、様々な60〜80年代の音源が「Original Album Classics」と称して、5枚組2,300円くらいで売り出している事を知りました。

要は、アーティストが過去に順次リリースしたアルバムを、えいやと5枚セットで「まとめ売り」する企画モノです。アルバム1枚あたり500円未満なので、iTunesで買うよりお安いですネ。

ぶっちゃけ、手を出しあぐねていたアーティストも、この値段なら買って聴いてみようか‥‥という気になります。私はMahavishnu OrchestraとかSoftMachineなど、普段なら手をださないようなのを買ってみました。

現役のヒトから懐かしいヒトまで、かなり豊富なラインアップ。今はほとんど耳にしないコトバとなった「フュージョン」や「クロスオーヴァー」なども沢山あります。


私はまさにロックやフュージョン、ハードロック、ニューウェイブオブヘビーメタルの世代ですが、実は「家にロックを持ち込んだ」のは兄なのです。小学生の子供が、素でレッドツェッペリンやディープパープル、ヴァンヘイレンなんて聴くかいな。私はそれまで、子供らしく、アニメ主題歌やおよげたいやきくんとか、ビューティフルサンデーを聴いてたわけで。‥‥真綿のような子供時代は、簡単に何色にでも染まる‥‥ようですネ。

ちなみに‥‥。「凄い」をカタカナで言い表す時、「ハードだな」というのは70年代の風味、完璧にオッサンですな。「ヘヴィ」というのはバックトゥザフューチャーでお馴染みの80年代風。90年代以降の「クール」とか言うのは、正直、私は世代がズレてて恥ずかしくて言えません。私は「ハード」か「ヘヴィ」だけで一生充分です。

でもまあ、何でもハードを付ければ良いってもんじゃありません。ヴァンヘイレンの「Somebody Get Me A Doctor」の邦題が、「必殺のハード・ラブ」だったのは、当時中学生だった私も、さすがに恥ずかしいと思いました。

DoverのスコアがKindleに!

前のブログで、AmazonのDoverスコアを検索してたら、なんとKindle化されてるじゃないですか。

エクセレント。

あの電話帳のように大きくて重い印刷物でなくても、スコアを読める。

数十冊も携行できる。‥‥これは未曾有。

しかも、割安。

中身だけが必要な人にはオススメですね。

ただ、印刷物は印刷物ゆえの、元来の利点がありますから、その点に魅力を感じる場合は、やっぱりペーパーバックのスコアかなあ。

Wagner

今年はリヒャルト・ワーグナー生誕200年で、さぞや全世界各地で演奏され、BSなどでもいっぱい聴けるか‥‥と思ってたら、イマイチ盛り上がってないように思います。いちおう、検索語句で自動録画するようになっているのですが、あまり網にひっかからない。

やっぱり、あの問題か。

少なからず自粛ムード的なものは感じますね。今までを振り返って考えてみても、ワーグナーって、「ホームクラシック」とは言いがたい位置に置かれてますもんね。

地獄の黙示録のおかげでワルキューレ、CMや白い巨塔でタンホイザー、あとはマイスタージンガーくらいか。でも、ローエングリンの「婚礼の合唱」とか、誰でも知ってるのもあるんですけどネ。

ワーグナーの音楽が聴ける良いチャンスの年かも知れなかったのに、そうでもなくて、残念。自分だけでなく、若い人たちにも聴いてもらいたかったですネ。ロックやポップスは私も大好きで聴きますが、音から何かを発想したりする際に、流行の音楽だけ聴いてきた経験では、どうしてもリソース(資源)の乏しさが出てしまいます。もちろん、絶対に色々な音楽を聴かなければならない‥‥というわけではないですが、自分の表現の「龍脈」として持っておいて損はないでしょう。

バッハ生誕300年の時、私は高校生でしたが、山ほどバッハの音楽がFMでタダで聴けて、幸運でした。私の価値観の基礎が形成されてしまった‥‥というか、音楽に留まらず、モノの受け捉え方の基本が、バッハの音楽から(言葉では中々言い表しづらいですが)色濃く影響を受けたのです。別にクラシック音楽の正式な教育を受けていたわけではなく、単なる遊びや好みで「ホームクラシック」に接していたのですが、バッハ生誕300年の数々の公開録音をFMで聴くうちに、すっかりハマったのです。

私がワーグナーの音楽をよく聴くようになったのは、18〜20くらいのアニメーター駆け出しの頃です。池袋のWAVE(今でもあるんだろうか)で輸入CDを買っているうちに、ふとワーグナーのCDを買ってみたのが、聴くようになったきっかけでした。

「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲に衝撃を受け、ご多分に漏れず「トリスタン」に猛烈にハマって、スコアを買って実際にMIDIで打ち込んだりと、せっせと入れ込んだのです。この頃に得た知識は、後に映像に形を変えて今でも重要なアイデアの源となっています。

ライトモティーフを主軸に据えた構造論が全てではないと思うし、ドビュッシーの言いたい事もよくわかります。ただし、ワーグナーのやり方が、ワーグナーの作品において成功している事も事実です。あまりこのへんの事を書くと、今後のネタばらしにもなるので書きませんが、親ライトモティーフ形式、非ライトモティーフ形式、両方で、ご飯数十杯はカタい‥‥という事でしょうか。妙な書き方でスミマセン。

これは作品表現・創造を志す若い人への伝言ですが、ワーグナーの音楽がピピッときたら、CDだけでなく、スコアも一緒に買って眺めましょう。楽譜が読めなくても、とりあえず構わないです。読譜のほんの基礎(テンポの進み方、音程の高さ‥‥程度の知識)があれば、目でついていけます。西洋の楽譜というのは、とても直感的でグラフィカルなUIを持っていますから、ただ眺めているだけでも、音楽(作品)の構造がバンバン目に飛び込んできます。「今、音楽を聴いて感受している衝動というのは、このような構造に依るのか」と「魔法の秘密」を垣間みる事ができます。セッションミュージックとは違った、スコアによって事前に計算されたヨーロッパ管弦楽曲の真骨頂です。

ちなみに、写真のキリッとした女性は、ワーグナー家の血筋をひくカタリーナさんの若い頃‥‥です。何とも麗しい。「ワーグナー」で検索すると、この写真、よく見かけますネ。

Logic Pro Xが出てた



いつのまにか、Logicの新バージョン「Logic Pro X」がAppStoreで販売開始されていました。

Logicは音楽を統合的に制作する環境で、音を1つ鳴らすところから、CDやサウンドトラックのマスターを作るところまで、すべてLogicひとつで完結できるソフトウェアです。‥‥が、その環境が17,000円で入手できてしまうというのも、現在のLogicの凄いところです。

価格破壊の「覇王」と呼んで、まったく差し支えないでしょう。

例えて言うならば、AfterEffectsとPhotoshopにTapcodeSuiteプラグインなど全部買いした状態で17,000円‥‥みたいなものですから、その破壊ぶりは相当なものです。

普通、音楽制作ソフトを買うと、オマケでGM互換音源(ひと通りの楽器音色)がついてくるくらいですが、Logic ProはGM互換音源は無論の事、エレピ専用音源、シンセ音源各種(ビンテージセンセのサンプル音源ではなく、波形発生&合成を素でやる)、ドラムマシン、サンプラーなど、夥しい量の音色が付属しています。

ループ音源(フレーズサンプリング)とサンプル音源(ソフトウェア音源)のコンテンツ合計で35GB!‥‥というところからも、価格破壊ぶりが解ろうというものです。

弦楽器の音源を例にとると、通常のサスティン持続の音から、ピッツィカートスフォルツァンド(sf)、トレモロトリル(半音と1音)が、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスそれぞれに用意されています。この各音色はもちろん、ADSR的なエンベロープ制御が可能ですし、ディレイエフェクト(数ミリセコンドでね)をかまして「マイク録り」のような空気感を表現する事も可能です。‥‥打ち込みの経験がある人なら解ると思いますが、音源としてトレモロやトリルが装備されているのは、何だかんだいってやっぱりありがたいです。
*残念ながらコルレーニョの音はありません。なのでホルストの「Mars」は1小節目から挫折する事になりますネ。観念して自分で作るか、NIかどこかの音源を買いましょう。

ナマの音の処理も、かなりの機能を有します。様々なエフェクトを装備しているのはもちろんの事、ギターアンプシミュレータも装備し、波形編集エフェクトも充実しています。「オーディオエナジャイザー」という昔からある波形編集エフェクトは、私の定番中の定番です。

ここにさらにIKやNIの音源を買い足せば、もはやもう何も要らないでしょう。

GarageBandもMac付属のオマケにしてはかなりの内容なんですが、いかんせん、音色数が少ないので、本格的にやろうとすると限界がきます。GrageBandが50ccの原付バイクだとすると、Logic Proは1100ccのリッターバイクみたい感じで、余裕が違います。


私は、この新バージョンX、秋か冬くらいに買うつもりです。その頃に必要になりそうな気もしますし。

初めて音楽を制作する際に、まず何から始めたらよいかわからない‥‥というのは当然の事です。管弦楽曲を欲するなら、オーケストラ団員分の楽器音はまず必要で、さらに奏法によって音色も変わりますから、考えただけでも途方にくれてしまいますよネ。

Windowsはなんだかんだ言ってビジネス系顧客向けのOSですから、趣味に関する装備はゼロから自分で買い集める必要があり、音楽をやろうと思ったらあれもこれもと買って、結構な出費が必要になります。

Macの場合は、ビジネス系顧客の獲得に敗北したゆえに、趣味やデザイン・アート系に矛先を向けた戦略にシフトした経緯がありますから、Macを買った途端に音楽ができるような装備になっています。生録をする際にMac本体の音声インアウトを使うのが嫌なら、ベリンガーの激安IF激安USB付きミキサーを買えば良いです。もちろん、生音の入力が必要無いなら、何も買い足す必要はなく、GarageBandで音楽は始められます。

そこにLogic Pro Xを買い足したら‥‥。

MIDIの創世記以前から音楽に親しんできた私からすれば、今の「Mac mini & Logic Pro」は「夢の制作環境」です。まあ、過去を振り返ったらきりがないのは承知しておりますが、少なくとも私がアニメーターのギャラでせっせと買い集めた300万円以上の設備を遥かに凌駕する内容が、「Mac mini & Logic Pro」の10万円以下に収まっているのは事実です。

もし、自分のアニメーション作品を作りたいのなら、ある程度は音楽もたしなまないとダメっす。商業ベース作品の監督に登り詰めて、商業的メカニズムで予算が充当できる(される)身分なら、自分で作る必要などないですが、企画段階やオリジナル企画、個人作家、若年の場合は、音も自分(または自分たち)で作らんと「世(=オモテ)に出せない」ですからネ。

そんな事で考えれば、Logic Pro Xの17,000円って、激安ですよ。アニメーション作品を本気で作るのならば、持っておくべき重大なツールの1つ、ですネ。

DEsCHの7番

音楽、特に歌詞を含まない器楽編成の楽曲は、言葉による「事象の具体的な描写」を含まないため、反って「本当のキモチ」を内容に盛り込む事が可能です。まあ、ワーグナーの森の音楽は、「鳥」「葉音」などをかなり具体的に描写はしていますが、「鳥」「森」といったコトバそのものを楽器が発する事はないですよネ。

ショスタコーヴィチも音楽のそうした性質を活用して、楽曲に様々な事柄をインクルードした作曲家です。

よくちまたに紹介されるショスタコーヴィチ像は、「ソビエトに順応するふりを見せて、実は痛烈な批判を作品で表現していた」的な評論です。いわゆる「支配者(スターリンとソビエト当局)と民衆の戦い」的な。

そうかな?

私はどうも、そういう風には、楽曲から読み解けないのです。「支配者と民衆の戦い」の構造で考えると、ショスタコーヴィチは「民衆サイド」の代弁者‥‥という事になりますが、楽曲からはもっと違う図式が見えているように思います。

「民衆サイド」の描写において、ちょっとおどけたような、滑稽な描写、嘲笑したニュアンスを感じます。戦争3部作でも、10番でも。

日本の今のご時世、もしかしたら7番の第1楽章なんかは予言的なニュアンスも含めてピッタリくるような気がしますネ。「戦争の主題」が弦のPizzで始まり木管で可愛らしく演奏されるのは、主題を繰り返すたびに巨大化してグロテスクに変質していき、制御不能なまでに凶暴化し、やがて迎える悲劇的な終末を考えるだに、痛切です。

可愛く微笑ましい姿が、やがて自制の効かない、口から火炎をはく巨大で凶暴な怪物へと変貌し、自ら、世界と自分自身を焼き尽くしていく。ショスタコーヴィチがこうした筋立てを、楽章の軸に据えたのは、まさか「たまたまだ」なんて事はあり得ようもなく、明確・核心的な意図があったのだと思います。

私の独自の解釈‥‥ではありますが、第7番第1楽章で描かれているのは、「権力者の凶暴な増幅装置となった民衆が、自己破滅に至る姿」だと思っています。
*「権力者」は特定人物だけとは限らず、「全体を誘導する何かしらの恣意的な力」とも言えますネ。

私はどうにもショスタコーヴィチの一連の「戦争交響曲」に、「戦いに勝つ民衆の姿」を見いだせないのです。「敵はドイツ軍ではなく、スターリンだった」とか言っても、同じ事です。「民衆は正しい行いをする」「民衆は素晴らしい」という描写が、「絵に描いたようなウソ」として描かれているように感じます。

ショスタコーヴィチの音楽って、人間を手放しに愛している音楽じゃ、ないよネ。

若い頃の「神童」と呼ばれた頃(特に10代の)の楽曲は、まだ清廉な印象も強いのですが、実はショスタコーヴィチも変質していったのだと感じます。ソビエト支配のロシアに留まるに至り、体制に同調し迎合するフリも多分に必要だったでしょうし。

群衆への不信感や嫌悪・嘲笑が、ある種、解りやすく表現されたショスタコーヴィチの音楽。しかし同時に、自分も当然ながら人間で、ヒトの群れの一部であり、自分の愛情を抱く対象も人間であり‥‥という典型的なアンビバレンツと自己嫌悪も、楽曲に色濃く反映されているように思います。

分数コード

坂本龍一さん(私はアホアホブラザーの印象が強くて、どうにも笑けてしまうのですが‥‥)の「エナジーフロー」という奇麗な曲があるのですが、その楽譜を眺めていてコード表記をふと見たら、分数コードが多用されており、不思議に思いました。この楽曲は、分数コードというよりは、オンベースの展開の楽曲だと聴いてて感じていたからです。

「この分数コードの表記は、オンベースと同義で扱っているのかも。‥‥それで可なのか?」と思い、ちょっと気になって調べてみたら、結構、分数コードそれ自体に解釈の違いがあるようで、余計混乱してしまいました。

私は、「オンベース」と「分数」を「分別して扱う派」で、ずっとやってきました。「F on G」と「F/G」は似てるけど根本的には違う‥‥という考え方です。

でもネットでは結構「2つは同じ」と解説しているところがあって、「え?そうなの?」と不安になりました。

オンベースはその名の通り、ベース音を指定音で演奏し、その上に和音を乗せる‥‥というものです。

分数コードは、分母の示す調性のフレーズ(多くの場合)に、分子の示す和音(分散和音的なフレーズも含む)を乗せる‥‥というものです。

Wikipediaを読むと、分数コードはいくつも異なった使い方が存在するらしく、‥‥なるほど、アニメ業界と似たようなもんで、用語に関しては「ほぼ似た感じなら、結果オーライ」なのネ。

ちなみに、私の解釈している分数コードは、Wikipediaによると、

2・真の分数コード
  • 分母と分子を調性から切り離してサウンド作りをするための手法を表現するための分数コード(分母はベース音、分子はメイジャー・トライアドまたはマイナー・トライアド)

「調性から切り離して」という言い方に何か釈然としないものを感じますが(調性から切り離すまでにエグいのはあまり無いもんネ)、まあ、ほぼその感じです。

でも、やっぱり自分が解釈しているのとは微妙に異なる気がします。分母はベース‥‥というのがひっかかります。例えば、Amのフレーズを、ベースおよびギターカッティングで演奏し続け、その上にエレピで、Am, G, Fのようなコードを被せたアレンジの場合、表記はAm, G/A, F/A なのだろうか。実質的には「G/Am」「F/Am」なんですけども。

つーか、あれだ‥‥。コード表記に高望みし過ぎてるんだろうな、私。

コード表記は楽曲の片鱗を伝える、あくまで簡易表記で、実際は五線譜、またはセッション本番で形成するべきなんでしょうネ。実際、コード表記では、厳密なコードのフォーム(例えば88鍵での和音の構成)まで伝えきれないですもんネ。


‥‥そういえば、前のブログを書いた時、コードを拾う際に久々にミニキーボードをいじりましたが、指がナマっててもどかしかったです。楽器みたいに、指を動かすものは、定期的にやらないとダメですネ。



坂本龍一さんのエナジーフローです。私はメジューエワさんの演奏しか知らなかったので、このYouTubeの音源(本人演奏?)は新鮮な感じでした。

林檎さん

2000年に入った頃、私は、知人が聴いてた椎名林檎さんの楽曲を聴いて、一気にファンになりました。ヨーロッパ映画音楽の時と同様に、純粋に音楽が面白いと思ったからです。

林檎さんの楽曲も、相当(良い意味で)ヒネくれてて、一筋縄ではいかないですよネ。当時、私が好きになるきっかけとなった「虚言症」という曲がありますが、メロディは覚えやすく口ずさみやすいし、曲の感じも覚えやすいのに、実際はかなり「捕まえにくい」、独特なテンションを持っている事に、強く惹き付けられたのです。

試しにコードで音を拾ってみると‥‥

| B, Baug | B6, C#9 | C#m7, D#m7 | D#m7-5, G#7 |
C#m7, G#7 onD# | E, A7(13) | D#m7, D7 | C#m7, F#7-9 :| Cmaj7
*A7(13)は9thも入れてオープン気味で(じゃないと、雰囲気が出ない)

‥‥と、歌のメイン部分の進行を、何とかコードにまとめると、こんな感じです。コードで書くとなんだかギコちないですが、しょうがない。オリジナル曲のバランスを表現するには、五線譜で明確にボイシングを書き表さないと、キツいかも知れませんネ。A7(13)は特にカッコいい和音なので、(1,7,9,10,13)か、9thを1oct上げて、(1,7,10,13,16)のフォームでキメたいところです。

「D#m7, D7, C#m7, F#7-9」のくだりは、かっこいいですよねェ。他の箇所もそうですが、この曲のテンションノートは重要な役割を担っています。

根本的にコードの構成が定番に落ち着くのを拒否しているようなきらいがあり、さらには、サビで動き回るベースが聴く側の調性の感覚を見失なわせて、どんどん危ういテンションへと誘い込んでいきます。ストリングスの動きも、「C##,D#,E,D#」の半音進行の動きで、糸の切れた凧のような危うい浮遊感を醸し出して、聴く側を惑わせます。

ある種、聴く側を挑発して引き込む様でもあり、当時から世相の「癒し」に辟易していた私に、その不敵とも言えるスタンスの楽曲が、ちょうどよくハマったのかも知れませんネ。

‥‥この曲も2000年発売のCDで、すでに13年前か‥‥。

調べてみたら、「勝訴ストリップ」って、世間で結構売れたんですネ。こんなに激しいのに。

この楽曲を聴いて、イイと感じた人々は、今、どんな気分で生きてるんだろうか。


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