ライセンス買取とバージョンアップの日々

クリスタのライセンスは、macOS/Windows版を2つ、iOSを1つ、計3つ、個人で所有・維持しています。macOS版は、最初に買ったクリスタの支払いがいつの間に終了し(月500円だもんね)、2つ目のライセンスを支払い中ですが、やがていつか満期(支払い終了)となるでしょう。iOS版は今月まで月額払い(980円)ですが、来月から年額払い(月あたり650円)をスタートします。個人使用目的なので、全部、自腹です。

 

クリスタは思い起こせば、今まで料金をともなうバージョンアップがありません。その昔「コミックスタジオ」を買ったことがありますが、クリップスタジオとして新しくなって以来、お金を購入時以外は払わずに、いつでも新バージョンを使える状況です。

 

もしかしたら、バージョン2になった時に、バージョンアップの料金が発生するかも知れませんが、2019年7月現在(バージョンは1.9)に至るまで、何ら追加のお金を必要としていません。いったい、クリスタが発売されてから、何年になるんだろうか。

 

このクリスタの状況。‥‥相当珍しいです。デスクトップOS(macOSやWindows)のソフトウェアとしては、異例です。

 

クリスタのこの状況が普通だと思ったら、他のソフトなど何でもお金がかかるように思えて、使えないでしょう。

 

 

 

いくつものソフトウェアを使っている場合、ランセンスの買取は、煉獄の始まり‥‥でした。

 

例えば、Adobeのマスターコレクション(PhotoshopやAfter EffectsやIllustratorなど主要ソフトがセットになった商品)を「清水の舞台から飛び降りる」勢いで購入したまでは良いものの、それから後が地獄です。いくつものソフトウェアをバージョンアップするのに、それぞれ2〜3万円のバージョンアップ料金(全部ではなくそれぞれ‥‥ですよ)で、それが2〜3年ごとに押し寄せてきます。

 

ある時期からAdobeは「毎年必ずバージョンアップ製品をリリースする。そして、3バージョン以上放置すると、バージョンアップ権を失う」という方針を打ち出しましたから、結局は必ず定期的にバージョンアップすることになりました。

 

加えて、OSがどんどん更新され、新しいファイルフォーマットやコーデックが出現した際に、以前のバージョンでは未対応で仕事に支障がでることもありました。

 

ちなみに私は、何かの付録でついていたPhotoshopのLEを、優待価格でPhotoshopフル版にグレードアップし、その後「Extended版とスタンダード版(‥‥PhotoshopはElementsやLEだけでなく、Extendedなどのグレードがいつからか導入されたのです。‥‥覚えてます?)」の分岐が発生した際は、お金が割けなくて「非Extended〜スタンダード版」で自宅(自腹)は凌いでいました。

 

自宅のPhotoshopがExtendedでないばかりに、色々なこと(プロ用途で必要になりがちな要素)で制限が発生して、なんだかミジメな気持ちになったのを思い出します。

 

Dreamweaverなどは失効ぎりぎりでバージョンアップに追われる始末。バージョンアップを諦めて失効したソフトもありました。After Effectsは私の本業のソフトでもあったので、何とか毎年バージョンアップに喰らいついていました。

 

なので、私は「買取が安い」だなんて、全く感じられないのです。クリスタは極めて稀なケースです。

 

場当たり的にお金が中途半端に消えていくのに、各ソフトウェアは決して最新版ではなく、虫食いバージョン状態だったのは、忸怩たる思い‥‥というよりは、個人レベルの限界を感じました。

 

 

 

現在、私はAdobe CCを1ライセンス、iOS版のクリスタを1ライセンス、絵描き関連のソフトウェアを自腹でサブスクリプションを支払っていますが、昔に比べて遥かに良好な作業環境を整備できています。

 

まずイニシャルコストが無いのが良いです。

 

PhotoshopもAfter Effectsも最初は10万円前後はしたはずです。After Effectsはその昔20万円前後だった記憶があります。

 

そうした初期導入の負担はサブスクリプションにはありません。

 

そして、バージョンアップ料金の消滅。

 

常にどのソフトも最新版で使えます。もしAfter Effects2019のように出来がイマイチな場合は、2018など安定したバージョンで故意に保留できます。

 

さらには、運用コストの見極めが容易です。バージョンアップ料金にハラハラドキドキしないで済みます。

 

結局なんだかんだと、ソフトやハードの更新にお金が必要ならば、イレギュラーで場当たり的な予算ではなく、Adobeは年間いくら、セルシスは年間いくら‥‥と事前に「必要経費」として1円の誤差もなく計画できていた方が、お金も明確に用意できます。

 

 

 

実際、アニメ業界がCS6で立ち止まっているのって、「金」ですよネ。

 

ハードの更新、ソフトの更新、さらにはインフラの更新まで含めて、沢山のお金が必要になることが明白なので、そもそも動画や仕上げの報酬を単価190〜300円くらいでしか設定できないアニメ業界としては、機材環境にお金を回すこと自体が難しいのでしょう。

 

サブスクリプションをマシン全台にインストールするなんて、まるで目処がたたないのかも知れません。

 

しかし、macOSだけでなく、Windowsも32bitをサポート終了する未来が近づいています。32bitソフトウェアを使い続けることは難しくなるでしょう。RETAS Studioも終了です。CS6は64bit対応との文書がありますが、サードパーティ製のプラグインが対応しているかまでは言及していませんし、他の部分で思わぬ非対応要素が発覚する恐れもあります。

 

もしかしたら、2030年になっても、アニメ業界はWindows10、macOS High Sierraを使い続けて、時代から取り残された孤島となっていることすら、笑い話ではなくリアルにあり得ます。今の感覚で例えれば、Windows XPやSnow Leopardを使っているようなものです。

 

 

 

新しい技術への転換は、新しい時代にアニメ制作現場が生き残る「必須項目」です。

 

アニメ業界だけ「平成のままで良いんだ!!」と叫んだところで、ソフトウェアやハードウェアやインフラの進化は、アニメ業界の都合に合わせてくれません。

 

時代の技術をたっぷりと活用して、未来社会で生き続けるためには、ソフトウェアの更新はどうしても必要です。

 

ライセンスの買取、そしてバージョンアップの料金に、公私ともに悩み苦しんだ私としては、「目先の買取料金」でコストを計算することは経験上できません。

 

2020年代、2030年代と続く「令和の道」を、どのように歩んでいくか。

 

20年近く前のフィルムが徐々に消えていった頃、技術を転換できずに現場を去った人、役職を変えた人は、決して少なくありませんでした。2020年代以降の令和の時代は、その転換がいよいよ作画にも及ぶ時代です。

 

気持ちだけではどうにもなりません。技術、そしてその技術を支える環境が伴わなければネ。

 

転換期にたとえレッドまみれになろうと、未来のビジョンを見失わず、ブルーの海を目指して、一緒に頑張りませんか。

 

 


アニメのTA

欧米の事例を見聞きしたり、実際に欧米とやり取りするうちに、テクニカルアーティスト〜TAという言葉の意味がだんだんわかってきました。

 

TAの人はもともと「アーティスト」と呼ぶにふさわしい技量をもった人で、その人が技術的なレクチャーや橋渡しをするんですね。日本の「TAの定義」はよくわからなかったけど、「欧米のTA」はたしかに「アーティスト」と呼んで然るべき存在だと最近感じました。

 

そう考えると、未来のアニメ業界にはTAはとても必要な存在です。絵も描けて、動きも描けて、作監やデザインもできて、ソフトウェアやハードウェアの知識も豊富で、「描きたいこと・実現したいことをコンピュータの使い方や運用計画へと橋渡しできる」人は、これからの現場には必要です。

 

作画の経験と技量を持つTAだからこそ、現場の作画スタッフも信頼するのです。作画現場のTAの絵がヘタだったら、作画の人間が言うことを聞くわけもなく、軽くスルーされるだけです。

 

アニメの作画現場の場合、とにかく作画できることが、「作画のTA」の必要最低条件となるでしょうから、まずは旧来の原動画の作業でみっちり作画技術を習得する必要がありましょう。

 

その際、最初からペンタブ作画でキャリアを積めば、自然とソフトウェアの使い方を覚えて、より踏み込んだ理解へと進めます。ソフトウェアを単に使うだけでなく、ソフトウェアの内部構造、OSの仕組み、ネットワークの仕組み、スクリプトの習得など、アニメ制作現場のTAに必要な要素を獲得する際に、ペンタブ作画での経験は基礎となりましょう。

 

 

 

私はTAを名乗ったことはないですが(そもそもTAという言葉の中身を知ったのは最近なので)、振り返ればTA的なことを随分してきました。

 

では、これから先、TAやTDを名乗れば良いかというと、私の今の年齢と立ち位置から考えて、私のこれからすべきことはちょっと違うように思っていますので、肩書きは‥‥まあ、また何か考えます。

 

私は今後、作品の中核部分に関与し、「作品が生まれ出る構造そのもの」に関わっていくことになるでしょう。従来の技術基盤では収まらず、ワークフローのテンプレートもない、混沌とした状態から何を作りだしていくか‥‥という取り組みにおいて、決まった肩書きをあらかじめ用意することが無理だとも思っています。

 

 

 

混沌とした状態からこねて固めて何かが生まれた時、さらにそれを具体的な形へと洗練させる際に、アニメ制作現場のTAたちの出番となるでしょう。俺がTA、私がTAという先取の話ではなく、アニメ制作現場には専門に応じた何人ものTAが必要になっていくと思います。

 

まあ、そのためにも、紙で停滞している現状から抜け出し、ごく普通にペンタブで誰もが作画する状況へと移行しなければなりません。カットアウトの知識も必須となるでしょう。

 

日本におけるアニメの仕事を「まともな仕事」にするためには、コンピュータをとことん使いこなす必要があります。産業としての技術革新がどうしても必要です。アニメ現場のTAもその革新要素の1つです。「各種技術に長けたアーティスト」をちゃんと名乗れる技量のスタッフは、「今まで存在しなくても、未来には必要」です。

 

 

 

今、国営放送でアニメ現場の朝ドラがやっていますが、何だか「昔のアニメに別れを告げる」ような象徴的で運命的なものを私は感じます。

 

思い起こして懐かしんで、手を振って見送って、さよならを告げる。

 

‥‥ちょうど良い、ピリオドです。

 

2019年にアニメ制作を扱った国民的連続ドラマが放映されていることは、私は「時代の必然」だとも思ってます(‥‥まあ、番組の意図とはズレた認識とは思いますが)。

 

懐かしい時代にサヨナラをするのです。懐かしい時代は、安くこき使われた時代でもあるのですから。

 

懐かしい時代の制作システムを継承する以上、懐かしくも酷く辛い境遇からは抜け出せないでしょう。

 

「昔は良かったなあ‥‥」をしみじみ実感した後は、心を新たにして、未来のフィールドへ進む覚悟もできますよネ。(今以上に昔に閉じこもる人もいるかも知れませんけど)

 

 

 

未来、作業の価値が大きく変わるのは、動画作業だと思います。恐ろしく高騰するでしょう。ケタが変わります。変動単価制度も必須でしょう。

 

今までの「何千枚・何万枚」どんぶり勘定では動画作業を取り仕切ることは無理です。

 

動画に限らず全ての役職において、昭和の「使い捨て人材」感覚と決別し、新たなエコシステムとして制作現場を再建する時、様々な新技術の盛り込みが必要となります。その際に、作画出身のTAも活躍することになりましょう。

 

古きを懐かしみ別れを告げ、新しきへと進む。

 

2019年は、その第1歩になるのかも知れませんネ。

 

懐かしいものは懐かしいままで良いです。そのまま、そっと過去においておけばよいです。

 

今を生きる我々は、今を生き、未来を生きるために、新しい何かを探し出さねばなりません‥‥よネ。

 

 

 

 


紙の経験

私は紙と鉛筆で育った世代なので、アニメーターになるスタート地点に「紙の感覚を体得する」ことは必須であると、つい最近まで何となしに思い続けてきました。

 

しかし、ふと私のギター歴を振り返った時に、ガットギターから入門したかと言えば「否」です。生ピアノから入門したかと言えば、やはり「否」です。

 

極めて純粋なクラシック畑のギタリストになる目的でもない限り、エレキギターでギターを弾き始めて、その後にガットギターやエレアコに手を出すのでも、充分習得できます。

 

‥‥‥‥。

 

あれ??

 

なぜ、私は、生「紙」と生「鉛筆」にこだわっているんだろうか?

 

動きを習得する初期段階において、どうしても紙を通過しなければならない理由を、合理的に説明できません。

 

 

 

Procreateで原画を描くには、相当の原動画の実経験が必要です。なぜかというと、「パラパラマンガ」機能がないからです。前後のレイヤーのオンオフの簡易な動きの確認だけで原画が描けるくらいの「経験と慣れ」が必要で、実際に描く前に頭の中でプランが出来上がっている必要があるからです。「描いて動かしてみないとわからない」みたいなレベルではProcreateで原画を描くのは無理です。

 

ですから、Procreateで原画を描くには、原動画キャリアが最低でも5年くらいは必要です。

 

私は在学中(バイトです。一応)の16歳の頃から、それこそ今年まで(今年は凄く少ないですが)、作画の仕事として、紙に絵を描き続けてきたので、Procreateでの原画作業は紙からのフィードバックが大きいです。

 

しかし、クリスタ。

 

月々1000円のiPad版クリスタ。そして、Bluetoothのキーボード。

 

ショートカットキーを設定すれば、前後の原画に進む戻るの操作はキーだけで、簡易的な「パラパラ」動き確認が可能です。オニオンスキンもショートカットキー1発です。ムービーとして再生=絵をパラパラめくることも、ショートカットキーで可能です。

 

初学者が紙を使う最大の理由は、とにかく何度も何度もパラパラと絵をめくって動かして、動きの様々な性質を体の感覚へと同化させることです。

 

また、ブレない線、線の入り抜きなどの、描線のコントロールを可能にすることです。

 

‥‥‥。

 

iPad Proとクリスタで良くないか? それ。

 

 

 

ガットギターは、エレキギターよりもネックも弦も太く、さらには弦高も高いので、エレキギターより格段に音が出しにくいです。ガットギターでの経験は、エレキギターを弾く際の、プラス要素にはなるとは思いますが、ニュアンスが違いすぎるのもまた事実です。

 

ガットギターは決してエレキギターの上位互換ではなく、基礎構造は似ていますがほぼ別物と呼んで良いものです。

 

同じく、紙作画とペンタブ作画は、絵を描くという行為においては似ていますが、取り扱いは別物です。

 

思うに、どちらかを極めれば、紙toペンタブでも、ペンタブto紙でも、相当応用が効くでしょう。

 

中途半端な技量しか持っていないと、どちらを使っても不満ばかりを口にしやすいです。

 

 

 

たしかに、以前のペンタブは失笑を買うような製品もありました。昔のWacomの液タブは、お世辞にも良いものではありませんでした。「まだまだ遠い」と十数年前は思ったものです。

 

しかし、iPad ProとApple Pencilが登場して、iOSの優れたドローソフトがいくつも選択可能な今、iPad Proで絵が描けないのなら、当人のポテンシャルが相当低いか、極めて紙を愛し過ぎて融通が全く効かないかの、どちらかです。

 

これから先の未来。

 

新人のアニメーターは紙を経験する必要はあるのか。

 

実質的には「必要ない」と考えるようになりました。経験として損になるものではないですが、「必須と言える理由」を、少なくとも私は「合理的」に説明できません。

 

紙の感覚は、基本だから。

 

紙時代を経験した人間〜私も含めて、そう言いがちです。しかし、

 

紙の感覚って、具体的に何でしょうか?

 

基本とはどのような要素の集合体ですか?

 

これらを突き詰めて考えた時、どうやら「自分がそれで育ったから」という当人の経験則からの「強いバイアス」が作用し、他の方法が単に思いつかないから‥‥という理由であることに、いまさらながら、気づきました。

 

つべこべ言う前に、枚数をいっぱい描かなければ、上達しない。

 

‥‥うん。それは紙でもiPad Proでも共通です。iPad Proで、それこそ何万枚も絵を描けますよ。紙じゃないといっぱい絵を描けない‥‥なんて、子供の頃に紙しかなかった人間の単なる思い込みなのです。

 

「紙じゃないとガシガシ描けないじゃん」‥‥というのも思い込みです。iPad Proでもガシガシ絵は描けます。Apple Pencilのペン先は1ヶ月ももちません。

 

まあ、架空の話でしかないですが、もし私が現代に生まれて、最初からiPad ProとApple Pencilがあれば、紙と鉛筆を必要とせずに、上達できると思います。

 

紙じゃないと夢中になれなかった‥‥なんて単なる勘違い、思い込みです。ツールはその時代が与えてくれるものです。

 

私が2010年代に生まれたのなら、子供時代からApple Pencilに夢中になって、山ほど絵を描くことでしょう。

 

 

 

なぜ、今こんなことを考えているかと言うと、絵を描くアニメの制作技術において、「根本的な思想」の「世代交代」が必要だと痛感しているからです。

 

紙と鉛筆を神棚に祀って、神頼みしている場合ではないのです。

 

過去の軍神の思い出話よりも、現代をリアルにどう生き抜くか。

 

未来なんてどうでも良いと思うのなら、過去に生きる人たちで寄り合えば良いです。

 

未来を志すのなら、全世代が未来を共生する現場を作りましょう。

 

共生とは、共に死ぬことではありません。

 

共生とは、共に生きることです。

 

 


17

現在、私の作画作業の主力は、デジタル作画をクリスタ、カットアウトをHarmony Premium(以後、ハーモニー)に定め、日々の作業で習熟を進める毎日です。

 

Toon Boomは、新バージョンの17が発売され、キャンペーン価格で年額サブスクリプションを導入できます。詳しくはToon Boomのサイトで。

 

私がハーモニーを使う際のターゲットは、もちろん4K。さらには、クリスタもハーモニーもベクタートレス線を基本にしています。

 

ビットマップは下書きに留め、清書はベクタートレス線で、4Kの解像度に最適なニュアンスで描きます。

 

ハーモニーは他のアニメ用ドローソフトと比べて格段に高価ですが、それだけの価値を秘めています。逆に言えば、カットアウトやベクタートレスなど、ハーモニーの抜きん出た機能をたっぷり旺盛に使いこなさなければ、値段の高さだけが気になるでしょう。

 

ハーモニーは次世代のアニメ技術を猛烈に意識して、実際に次世代技術を主力として使いこなすことで、その価格の真価が発揮されるソフトです。

 

その高価さゆえに、学生時代からハーモニーを常用することは日本では中々難しいでしょう。ゆえに、学生時代は、クリスタで山ほど線画を描いて色も塗って、新人としてアニメーターになった後もクリスタで山ほど原動画を描き、体の中に動きの経験と知識を叩き込んだ後で、ハーモニーへと進むのが肝要と思います。

 

日本のアニメ会社も、やみくもにハーモニーを導入して宝のもちぐされにするよりも、「枚数無制限」の新概念の強力なツールとして明確に認識し、適切なスタッフ育成をおこなうべきです。金は有意義に使わなくちゃネ。

 

クリスタとハーモニーの「ローコスト&ハイコストミックス」。

 

明確に使用用途を定めた運用スタイルは、ずるずると色んなソフトに手を出してどっちつかずのコスト垂れ流し運用より、結果的に大きな差が出てくると思います。

 

ハーモニーは彩色作業にも関わってくるので、色彩設計さんも重要な存在となります。おそらく、未来の彩色スタッフは、旧来作画と新式作画の両方に対応する「両刀使い」の能力が求められていくでしょう。もちろん、報酬における旧来の慣習は「仕切り直し」で、新しい時代に相応しい金額設定が必須となります。作画も彩色も、旧来の低価格設定から抜け出す機運となりましょう。

 

 

 

私はAfter Effectsを20年以上使ってきました。ほぼ毎日使って、After Effects漬けの日々だったがゆえに、自分の手足のように使えるようになりました。「映像の言語」がAfter Effectsの機能やスクリプトであると言っても良いくらい、体の一部です。

 

同じく、これからはクリスタとハーモニーを毎日使って、自分の体の一部に取り込んでいく所存です。iPadを使う時は、ProcreateとFresco(まだリリースされてませんが)も依然として強力なツールとして使い続けるでしょう。

*現在、Procreateのレイヤー数上限にちょっと困っていて(4K以上だと少なくなるのです)、バージョンアップでの改善、及びFrescoに期待してます。

 

ちょうど本格的に始めた時期に、ハーモニーのバージョン17がリリースされてタイミングがよかったです。

 

新しい時代は、色んなテクノロジーが集中して開花するので、道に迷うことも多いですが、突破口も見つけやすいです。

 

頑張りましょう。

 

 


機材環境は誰が買い揃えるのか

未来のアニメ映像制作を語る際、よく耳にするのは、「パソコンやタブレットは誰が買うのか」という話題です。

 

まあ、たしかに、パソコン一式、タブレット一式、そしてソフトウェアの維持費は、相当お金がかかります。

 

ぶっちゃけ、フリーランス作業者の今の金銭感覚=報酬の状況では、「制作会社がもつべき」と言いたくなる気持ちは判ります。

 

しかし、仮にA社が環境一式をフリーランス作業者の自宅に供給したとして、その作業環境は純粋にA社の作品作業だけに使用されるわけでは‥‥‥‥‥ないですよネ。正直な話。

 

A社、B社、C社の仕事を掛け持つ場合、まさかABC各社が折半でフリラーンス作業者の作業環境機材費を出費する‥‥なんてあり得る訳もないです。会社は3社以上に沢山存在するわけですから、現実としてあり得ません。

 

●ABCD各社が機材を折半

 

●各社がそれぞれ自社調達の機材をフリーランスの自宅に持ち込む

 

*両方とも、想像できない状況ですネ。

*各社が折半すると、A社の仕事が終了すると同時に、モニタだけが回収されて困りますわな。

*さらに、1社の中でも「制作班」ごとで「どの班が出費するか」揉めたりしてネ。

*つまり、上図のような、あり得ない状況を予測するだけ時間の無駄です。

*自宅作業のフリーランスが容易に成立したのは、紙と鉛筆だったから‥‥ということを、今一度、認識しましょう。

 

 

 

「事業主」の観点でいえば、事業に必要な環境設備は、事業主が調達するのが基本でしょう。

 

つまり、

 

会社に席を用意してもらって作業する場合は、その会社もち。

 

自分の自宅が作業部屋の場合は、自分もち。

 

‥‥と言えるでしょう。

 

「ふざけんな。パソコンやタブレット一式を自前で維持して定期的に更新できるほど、作画のギャラは高くねえだろ!」

 

‥‥というのは、確かにその通り。

 

フリーランス=個人事業主が環境設備を揃えて維持した上で、単価4000〜4500円のテレビシリーズ単価のまま「デジタル原画作業」などやってられないですよネ。

 

じゃあ、どうするのか。

 

単価を上げるしかないでしょ。

 

フリーランス自宅作業者に対するデジタル作画の単価は、作業環境機材を調達しないで済むぶん、上げて然るべしです。

 

‥‥だって、作業環境の維持費は紙と鉛筆より格段に高価なのですから。

 

ただし、紙作画の作品に対し、個人の都合でデジタル作画で作業する場合は、単価は上がらないでしょう。紙にむりやりタブレットをねじ込むと、運用に手間がかかりますから、無条件にデジタル作画が好遇されるとは限りません。

 

 

 

で、問題の核心は、未来の運用。

 

現在の、紙運用の作品が大多数の中で、デジタル作画の環境設備費を単価へと計上することは難しいです。

 

しかし、世界の映像技術進化に合わせてアニメ業界もレベルアップが必要になった際は、状況が180度反転して変わります。

 

デジタル作画のフリーランスや他社など「アウトソーシング」に対しては、ちゃんと環境設備費を考慮して、報酬の上乗せが必要です。アウトソーシングの場合、当該アニメ会社は何ら作業環境への出費をしていないのですから、上乗せは当然ですし、作業を請け負う側も要求して当然です。

 

 

 

今までのアニメ業界の標準設備は、買ったら一生物の机、紙、鉛筆、その他いくつかの筆記具で済んでいたがゆえに、アニメーターを安い単価で買い叩くこともできたのでしょう。環境設備に対して、アニメーター側も報酬に含ませて計上することが、実質できませんでした。

 

しかし、3DCGのレンダーファームほどではないにしろ、例えば、iMac、4K液タブ、iPad Pro、Adobe CCやClip Studioなどのサブスクリプションを、フリーランスアニメーターが負担するようになれば、今までの作画単価で作業を引き受けることは、絶対にありえませんよネ。そんなことをするアニメーターがいたら、よほどのお人好しか、無知かの、どちらかです。

 

そうなると、フリーランス作業者だけにとどまらず、アニメ制作会社の根本的な運用方針・生産体制が問われることになりましょう。

 

安い報酬設定で誤魔化し誤魔化し作ってきた会社は、立ち往かなくなります。

 

 

 

でも、それで良いんじゃないですか。

 

ほうぼうで、ブラックブラック言われ続けるアニメ業界の、自浄作用になるのなら、またとない転機です。

 

深夜テレビアニメは、QCがユルいのをいいことに、作画崩壊も御構い無し‥‥みたいな状況が恒常化するのなら、どこかで終わりにして、新しく再出発しないとさ。

 

アニメ業界人は、ブラックから抜け出したいのか、ブラックだから身を潜めてられるのか、どちらかハッキリしたほうが良いです。

 

 

 

デジタル作画を発端とした、ペンタブ作画・ペーパーレスのこれから先の未来展開は、アニメ業界を大きく揺さぶって個々を選別する、「ふるいがけ」の展開とも思える今日この頃。

 

「機材環境は誰が買い揃えるのか。」

 

事業を展開しようとする「主」が買い揃えることに、意見の相違はないでしょう。個人だろうと団体だろうと、事業主が環境を揃えるのが基本です。

 

その代わり、今までとは違う収益モデルを目指して実践し、ちゃんと維持費を作業報酬に計上するのです。もちろん、分配計算、割合を算出して‥‥です。

 

アニメ会社も、作業環境費をちゃんと考慮した、新たな報酬設定を問われる未来が、徐々に、そして確実に近づいている認識が必要です。

 

「抜け駆けする奴もいるのでは?」と思うでしょうが、コンピュータの「金食い悪魔のチカラをナメるな」です。紙時代のように抜け駆けできるほど、コンピュータ関連の維持費は甘くないですヨ。

 

制作費が全体にアップするということは、納品先でのQCもかなり厳しくなっていくことでしょう。高い金を払って、作画崩壊作品なんて、クライントが許容するわけないです。

 

「いい加減」に作品を「転がしてた」今までの感覚は、ペーパーレス時代においては、個人も会社も淘汰されていくことと思います。

 

 

 

「機材環境は誰が買い揃えるのか。」

 

ちょっと考えれば判るようなことを、延々と決められずに議論が進まないような状況が、まさに協会団体の弱さの本質です。お歴々が集まって、お互いの腹を探り合って、煮え切らない態度とリーダーシップの欠如に甘んじているのが、ひいてはアニメ業界の弱さそのものです。

 

まあ、CS6にとどまる理由も結局、「金」ですよね。

 

お金が沢山かかることを腹の中に隠して、もっともらしく口先の上辺で議論しようとするから、ちょっとした決断もままならないのです。

 

忖度会議を招集しても、何も決議できんすヨ。

 

戦後70年以上が経過して、アニメ産業そのものが「おじいちゃん」になって、そろそろ「引退」の感の強い、2019年現在。

 

本当に、戦後のアニメ業界から生まれ変わる「正念場」ですネ。

 

 


紙の立場

もし、未来のペーパーレスの現場を作る時、たとえどんな理由でも、「紙を1枚でも」使ったら、その現場はなし崩し的に紙データ化の運用に引きずり込まれて、頓挫し破綻するでしょう。

 

ペーパーレスの現場において、紙を使うスタッフは1人も招き入れてはダメなのです。

 

どんなに才能があろうと、紙を使う人間がペーパーレスの現場に混ざると、それが発端となり、ペーパーレスのワークフローは複雑なフローへと変質し、紙運用よりも劣る結果となります。

 

ですから、ペーパーレスのワークフローは、実はとても厳重な管理が必要なのです。ペンタブを導入してクラウドを設定するだけで終わる手軽なものではないです。

 

ペンタブで器用に絵を描けたからといって、ペーパーレスが実現するほど、制作運用は簡単ではありません。

 

それこそ、スキャナとプリンタを廃棄するくらいの度胸と覚悟と勢いが必要です。

 

もし、どうしても伝票等で紙が紛れ込むのなら、その部分を明確にフローとして定義します。予想していない部分で、ほんの一部だけ、なんとなく紙に戻った‥‥なんて、管理者・統括者の敗北そのものです。許容するのなら限定的かつ明確に許容する、事前のワークフロー設計が求められます。

 

 

 

現在、私らが主導で進めるワークフローは、デジタル作画周りでどうしても伝票で紙が発生しています。しかし、あらかじめ紙の伝票取り扱い部分は想定して設計しているので、大事には至りません。

 

作画そのものに至っては、紙は1枚も存在していません。もし作画で紙を用いるようなことがあれば、仕切り直して、違う方法論をも模索するでしょう。

 

もしスタッフの中に紙じゃないと作業不可能な人がいるのならば、人選からやり直す必要があります。

 

まあ、多くの場合、ペーパーレス体制が崩れる原因のほとんどが、人選ミスだとは思います。

 

 

 

ペーパーレスの優位点はまた別の機会で書くとして、紙を媒体とせずにデータを媒体とする運用の効能は、未来の制作現場の必須要素です。紙を使わないからこそフローする現場の強みを、ツール視点ではなく産業視点で活かすのです。

 

将来、数少ない「手作りの紙アニメ」としてニッチな商売は可能かも知れませんが、紙運用は確実に主流から外れていきます。

 

もしかしたら将来的には、回収運送料、スキャン料、紙保管料など、様々な紙取り扱いの手数料が、作業単価に影響することすら考えられます。紙の手間賃が単価から引かれるのか、デジタル作画に環境費として上乗せされるのかはわかりませんが、3DCGが様々な作業環境維持費を制作費に計上するのと同じく、紙はマイナス、ペンタブはプラス‥‥というような状況が発生しても不思議ではないです。

 

個人事業主は自費で環境を揃えて複数の会社から作業を請け負うでしょうから、2020年代の未来には環境維持費を単価上乗せ要求しても良いんじゃないですかネ。個人事業主が毎年10〜20万円近い機材維持費相当を払って、しかもペーパーレスでストレスフリーのコストパフォーマンスに貢献しているのなら、それなりの優遇措置が得られても当然でしょう。

 

今のところ、紙とペンタブで単価に差をつけている事例は聞いたことがありませんが、2020年代のさらに厳しくなる社会においては、どうなることでしょうね。

 

ちなみに、私はペーパーレス作画以外考えていないので、私ら主導の作品作りにおいては、差も何もありません。最初からペーパーレスの作業報酬設定です。紙時代の単価はあまりにも安すぎますからネ。

 

 

 

紙と鉛筆で生きてきた過去ばかりを見つめ続けても、未来など見えません。

 

現役を貫くのなら、時代の進化に柔軟に対応してこそ、です。

 

 


アニメーターと引退

アニメーターに引退はあるのでしょうか。

 

もっと有り体に、状況の話で言えば、

 

アニメーターにどれだけ貯金があって、貯金と年金で老後を生きていけるのか

 

‥‥ということです。

 

働かなければ、収入はゼロ。貯蓄がなければ、手持ちのお金もゼロ。

 

‥‥ですよネ。

 

失業保険は期間が区切られていますし、アニメ業界でアニメーター100%で60代まで生きた人間が、そこからゼロスタートで新しい職業に就くのもかなり無理っぽいです。‥‥となると、生活保護?

 

20歳から50歳までの30年間と、50歳から80歳までの30年間を、まさか同一だと考えてはいませんよネ。

 

全然違う30年間ですよ。

 

 

 

ベテランほど未来に目を向けなければならんのですよ。

 

老後20〜30年、悠々自適で暮らしていけるほど、稼いで貯金もたっぷりなアニメーターって何人いる?

 

年老いたアニメーターの面倒を誰が見てくれるのでしょうか。‥‥確実に自分の面倒を見るのは、「自分自身」です。

 

40代以上のベテランこそ、未来を深刻に考えねばならないのに、なぜ過去の技術から新しい何かへと踏み出そうとせず、ペンタブも4Kも無視し続けるのでしょうか?

 

iMacと、iPad Proと、Procreate(1000円前後で買い切り)‥‥の3つがあれば、4Kの絵なんて、機材を設置した当日から描けます。クリスタiOS版が加われば、月額1000円の出費で、コミックもカラーイラストもキャラ&メカ設定も原画も描けます。

 

なのに、なぜ、やらないのか。

 

 

 

現在の自分の行動は、未来の自分に深く強く影響します。

 

もし自分自身が、未来に目を背け、「今までは良かった」だの「今までのままが良い」だの言い続けるなら、そのツケを未来の自分が払うのです。

 

未来に、ツケが払えない状況になった時、「貧困によるセルフネグレクトと孤独死」がアニメーターを待ち受けています。

 

 

 

もう30年前の頃から(私がプロになった頃)、「年金だけでは生活できない」って言われてました。

 

年金をドブ川に捨てた連中の悪行とは別に、既に昔から年金だけでなく他の手段を組み合わせて老後を生き抜く必要性は語られていました。

 

それに、もし現在の年金問題が改善したからと言って、やっぱりそれだけでは生きていけないでしょう。改善では解決できないのは、誰でもわかるはず。200円の動画単価が300円へと「改善」されたからといって、動画スタッフの窮状は解決しませんもんネ。

 

 

 

つまり、年金問題とは別に、生涯を生き抜く方法論が、アニメーターをはじめとしたアニメ制作現場スタッフに必要です。

 

セルが懐かしいとか、フィルムが懐かしいとか、現実逃避をしている場合ではないと思います。

 

未来は、4K8K、60〜120p、HDRです。今すぐにそれらの条件に対応できなくても、今できる「土壌作りと種まき」は可能です。

 

 

 

紙と鉛筆、一枚ずつ描いて数千数万の動画枚数、2K以下のコンポジット、二値化トレス、sRGB/Rec.709のモニタ、8bitの色深度、紙伝票、etc....。

 

これらを使い続けても未来はありません。「デジタル」関連であっても、旧世代技術の「デジタル」は、2000年から20年間の「お役目」が終了します。

 

ペンタブと新しいソフトウェアの数々、動画枚数の概念がない「枚数無制限」のカットアウト、ベクタートレスなど新しい清書の技術、4Kドットバイドット、階調もしくはテクスチャによるトレス、DCI-P3やBT.2100やPQカーブ、12bitの色深度、クラウド、etc...。

 

ベテランこそ率先して、こうした新しい技術の体現者になりましょう。何よりも自分の未来がお先真っ暗=ブラックになることを避けるのです。

 

 

 

貯蓄&退職&悠々自適であったり、絵は生業〜生涯現役であったり、人生の未来のビジョンはひとそれぞれです。

 

しかし、過去から現在に至って、アニメ制作事情の崩壊から脱しなければ、未来は暗雲だらけです。

 

未来に引退したくても、日々の生活の中から貯蓄できなければ、引退すること自体が実質不可能でしょう。

 

生涯現役でも、今の出来高オンリーの単一単価制度で70歳のおじいちゃんおばあちゃんが原画を描くわけ? しかもラッキースケベコスチュームで乳袋必須の萌えキャラを70〜80歳のご老人アニメーターが?

 

現在、アニメの撮影を作業しているスタッフは、60歳の未来の自分を少しでも想像できてますか?

 

 

 

皆でそれぞれ、未来を直視して、現在と未来を少しずつ変えていくよう、今を頑張りましょう。

 

私も頑張ってますので。。。

 


簡単に考えてみよう

「デジタル作画」を導入している会社に比べて、導入していない会社は5年遅れています。また、アニメ業界の映像技術レベルは、世界の映像技術に比べて同じく、5年遅れています。そして、4KやHDRやカットアウトや進捗管理システムなどを導入していない会社は5年どころか10年近く遅れています。

 

つまり、「デジタル作画」で5年遅れ、映像技術で5年遅れ、先進技術では10年遅れて、合計すると‥‥

 

20年分の遅れ

 

‥‥を抱えている会社は、アニメ業界に結構多いのではないでしょうか。

 

もちろん、20年遅れているのではなくて、「20年分」なので、単純に時間軸で20年ではないですが、「20年分」は相当深刻です。

 

その遅れをどうやって取り戻すのか。

 

 

 

おそらく、取り戻せなくて倒れる会社もあるでしょう。20年分の遅れの中には、雇用や労働の改善も含まれますしネ。

 

人件費は年々増加して、生産効率は古い技術のままでむしろ低下して、にっちもさっちも立ち往かなくなって「逝く」会社も今後5年くらいの間にちらほら出始めて、10年後には決定的な差が生じていることでしょう。

 

これは予言でも予測でもなくて、単純な足し算と引き算の話です。小学生低学年でもできる、1〜2桁の足し引き算です。

 

 

 

簡単に。‥‥極めて、簡単に、考えてみましょう。

 

これから先、紙と鉛筆で絵を描いて、スキャンし続ける未来が続きますか?

 

それとも、ペンタブに移行して、シームレスにデータをやり取りする未来になりますか?

 

これから先、テレビや端末の解像度は、2Kのままの未来ですか?

 

それとも、4Kに変わる未来ですか?

 

これから先、会社や個人事業主、さらには将来のプロ予備軍の学生やアマチュアは、16万円のTVPを購入して環境を揃えますか?

 

それとも、3万円前後、もしくは月額500〜1000円で導入可能なClip Studioで環境を揃えますか?

 

 

 

もうさ‥‥明らかですよネ。未来の標準は。

 

さるドラマの影響で、昔話に花を咲かせて「昔はよかった、昔が懐かしい、昔はこうだった」などと、また「今までが良い。昔が最高」と懐かしんで2〜3年を潰すつもりのベテランも多そうですけど、そうしたベテラン世代の煮え切らなさとリーダーシップの欠如が、アニメ業界の現在と未来の致命的な弱点と思います。

 

マジで、「未来を潰し」ますよ。

 

いつまでも、20代のつもりでいて、50〜80歳を生き抜けますか?

 

ベテラン世代が今まで通りのノンポリ路線を惰性で続けて、「俺の分野じゃない」とばかりに事態への直面を避け、わかりきった未来の運命から目を背け続けていると、確実に未来は遠のき、さらなる「年数の遅れ」が積み重なるだけです。

 

 

 

しかし一方で、私はふと、時代の転換期ならではの「篩い分け」の現象なのかな‥‥とも思うのです。

 

温故知新〜「古きをたずね、新しきを得る」ではなく、「古きをたずね、古きに留まる」人と、新しき道へと進む人を、明確に分離する1つの「世代の代謝」の現れが、2020年代にまた到来するのだと、強く感じます。

 

昔も「世代の代謝」はありましたよネ。

 

もし、ベテランが昔の流儀から離れらないのだとしたら、今度はそのベテランが世代の代謝を受けて排出される側に回る‥‥ということです。ベテランが20代だった頃に「ニュージェネレーションの旗手」として旧世代を追いやったように‥‥です。

 

 

 

容易に予測できる未来。足し算で数値が簡単に読み取れる未来。

 

1+2=3‥‥のわかりきった未来に対して、「1+2は3ではないかもしれない」とまだ足踏みする必要はありましょうか。

 

「1:過去と現在」+「2:新しい要素」=「3:未来」であれば、「3」を取りこぼさずたっぷり収める「器」を今から準備するだけのことです。

 

「1」の器の経験を活かして。

 

 


Artの定義

Art。

 

アートの定義って、誰か明確に説明できますか?

 

表現する、作り出す、生み出す‥‥という意味なら、アート以外にも言葉は沢山ありますよネ。

 

仕事の役職上、わざわざアートという言葉を用いるには、何か明確な指針があると思うのですが、少なくとも私は、アートの定義が半世紀生きた今でも曖昧なままなので、役職に「アーティスト」という言葉を使うのは避けています。

 

TA〜テクニカルアーティストという言葉も、その実際の役割と存在意義は重々承知していますが、私には「アーティスト」という言葉を使う本意がわからないので、私としてはTD〜テクニカルディレクターのほうがしっくりと納得できます。TDであれば、現場における様々なテクニカル要素を構成してディレクションする=「技術活用の方向性を決める人」ですもんネ。「方向性の決定者」として、権限も明確です。

 

カラーサイエンティストという役職は、その名称から仕事の内容がイメージできます。色彩に関する科学者‥‥つまり、色彩学を基盤として、様々なハード&ソフトにおける色彩関連の事物を理詰めと観察(測定)で分析して、理論として確立し、実際の運用にフィードバックする役職ですよネ。感性で色を扱うのとは一線を画す様子がイメージできます。

 

しかし、TAに限らず「アーティスト」という言葉を使ってしまうと、何を指しているのか、名称からは想像しにくいです。ギタープレイヤーやロックバンドの面々をアーティストと呼ぶこともあるし、アニメーターも海外ではアーティストとして扱われることがあるしで、アーティストは何らかの「表現」「ものつくり」に関与していれば自称できることになります。マネーアーティストとかビジネスアーティスト、クッキングアーティストとかガーデニングアーティスト、テキストアーティストという言葉があっても不思議ではないです。‥‥というか、既に存在するかも?

 

アニメ制作現場の場合、「アーティスト」と名乗る役職は見たことがないです。「美術」を「Art」に訳すことはありますが、美術監督や美術スタッフを「アーティストさん」と呼ぶ現場は今まで遭遇したことがないし、皆がクリエイティブ作業に関与しているので、おそらく、アーティストと言い始めると意味が錯綜混乱して煩雑になるでしょう。

 

もしアニメ現場で「アーティスト」を名乗る役職が出現したら、相当な「アーティスト感」を当人が醸し出さないと、かえって嫌な思いをするかも知れません。他者・他所から「アイツはアーティストを名乗っているのに、結局何をアートしているんだ??」と。

 

‥‥まあ、「アーティストと呼ばれるに相応しい能力」を持つ人々がひしめいているアニメ現場で、あえてその人たちは「アーティスト」を名乗っていないので、「アーティスト」という言葉の持つ意味やニュアンスはアニメ現場では少々デリケートだと思います。

 

アーティストという言葉を拒否したいわけでは全然ないんですけどネ。

 

名刺の上での肩書きの英訳だけならまだしも、日本語カタカナで「アーティスト」と名乗るのは、海外と日本では認識の違いが大きいです。

 

アートやアーティストは、「そうであるもの」と「そうではないもの」、is Art、is not Art の境が曖昧過ぎて、役職として使うのは中々難しいと私は感じています。

 

 

 

一方で、以前に、「海外の映像制作では、エンジニアよりアーティストのほうがステータスが上だ」みたいなことを言われたこともあり、いわゆる「肩書きのステータス」として「アーティスト」という文言を組み込みたい意識はわからないでもないです。

 

いわゆる「アーティストに対するリスペクト」ってヤツです。

 

文化圏の人間は「アート」という言葉に弱いからな。

 

 

 

それにしても、アート。

 

その場の雰囲気で語る人も多いし、意味も捉えず「高尚で尊い何か」として安易に付加する人も多いのが、まさに「アート」。

 

全裸で表通りを走り抜けるのだって、当人にとっては「アートだ!」と主張することもあるでしょうし。

 

奇抜なことをすればアートだ!‥‥と思い込む人も存在する一方で、自己存在への葛藤や渇望をアートだと解釈する人もいます。

 

生きることそのものがアートだ!‥‥と大風呂敷をドバ〜ッと広げる人もいるでしょう。‥‥そしたら、世界はアートで溢れてますよネ。おけらだって、みみずだって、あめんぼだって‥‥。

 

‥‥「アートの定義」は難しいです。

 

「生命の定義」くらい難しいんじゃないかな。

 

 


Gemini改め、Fresco

去年の秋にお披露目されたAdobeのドローソフト「Project Gemini」が、「Adobe Fresco」として登場予定とのことです。

 

フレスコ。‥‥MIG-17を思い浮かべる私は、西側陣営。

 

 

Adobe Frescoは、iPadなどのタブレットPCで動作するソフトウェアのようですが、iOS専用かどうかはよくわかりません。WindowsやmacOSでデスクトップ版が出るのかも紹介記事からは読み取れませんでした。

 

https://www.adobe.com/jp/products/fresco.html

 

 

iPadでどれだけ軽快に動作するか、アニメの線画ではなく、絵を描く全般用途として、楽しみですネ。

 

 



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