iPad Pro、描き味の探求。その後

iPad Proは、Apple Pencilが必須。そしてApple Pencilで絵を描くのなら、procreateも必須。ジェスチャーで軽快に動作する作画環境をまさかの720円で提供してくれるprocreateは、iPadで絵を描くなら買わないでどうする?‥‥というほどの素晴らしいソフトウェアです。

 

もはや、Photoshopをドローソフトとして使うなど、全く考えもしなくなりました。Photoshopはあくまでレタッチ、修正作業のみです。クリスタやTVPは、いずれ本腰を入れて使う機会が訪れるとは感じますが、絵を終生の生業とするのなら、iPad Proのような「モバイルスタジオ」は必須だと思います。

 

昨日公開した絵柄のバリエーションもすべてiPad Proによる線画作業です。

 

自分で描いたにもかかわらず、拡大表示して驚きますが、数年前に作画した紙と鉛筆の線質と、何ら遜色のない、思った通りの描線がひけます。

 

まずは鉛筆の細い線で紙に描いてスキャンした「トラディショナルスタイル」の絵です。描線が見やすいようにアップにしています。

 

 

A4用紙に分割して作画したA2〜A3相当のサイズで、200か300dpiでスキャンして6Kで作成しました。分割作画の手間は相当なもので、かといって、まさかA2の用紙に描くわけにもいかず、描く枚数が少なければ運用可能‥‥と数年前当時は判断しておりました。A4用紙の小さいフレームに4Kネイティブ対応の作画なんて、描けるはずもないですしネ。

 

鉛筆は「999」、ペンテル製の今は無き「ものすごく黒い」鉛筆を使用し、用紙は白色度が極めて高く、紙の繊維も繊細な「こな雪」を使っていました。紙と鉛筆を使って、4K時代の高詳細に真っ向からチャレンジするのなら、鉛筆と紙の銘柄のチョイスは欠かせないと考えていました。

 

線のかすれが鉛筆の味とも言えますが、procreateはかなり緻密な筆記具シミュレーションができるので、もはや、描画性能上の鉛筆のアドバンテージは失われた‥‥と感じます。鉛筆のかすれをシミュレートすることももちろん可能。

 

次は、前回も取り上げた最近iPadで描いた、同じく「トラディショナルスタイル」の絵です。鉛筆のかすれのテクスチャはほとんどOFFにして、均一な濃度の線を設定しています。また、線の太さの強弱は筆圧と傾きでコントロール可能な設定ですが、強弱の幅を抑えて、「淡々とした」線の表情にしています。

 

 

procreateの多彩な描線の設定項目、そして程良い効き目の「ストリームライン」機能(描線のスタビライズ的な機能〜効き目の強弱をスライダでコントロールできる)により、スローな筆致では手描きのフルフル震えた線が描けて、速い筆致ではブレのない滑らかなロングストロークが描画可能‥‥と、「絵を描くことを知り尽くした開発スタッフのソフトウェア」であることが、使用感から伝わってきます。

 

クローズアップにも全く動じない、綺麗な描線は、私の能力というよりは、ソフトウェアの卓越した性能によるものです。

 

 

こうした描線が、実際には、以下のサイズに収まります。

 

4Kそして8Kの圧倒的な画素数を、まさに「水を得た魚」のように活かして自由に作品を作るのなら、描線の繊細さは欠くことのできない必然の要素です。

 

 

今のアニメの線画は、2Kですらアップコンで何とか凌いでいるところも多く、「デジタル作画」もまだ少数派、ましてや4Kなんて‥‥という状況ですが、「業界に歩調を合わせて、何か良いこと、ありましたか?」を思い起こせば、自主的に様々な要素を準備しておくのが「吉」だと思います。

 

 

iPadで思い通りの描線を手に入れたいのなら、以下の要素が必要です。

 

  • procreateのような、描線を自由に細かく設定できるソフトウェア
  • iPadの表面を加工する保護シート(保護フィルム)

 

ソフトウェアはprocreateで決まり!‥‥ですが、問題は保護フィルムのチョイスです。私は4種類くらい試して、現在は下図の保護フィルムに落ち着いています。実は、下図のハイグリップタイプのフィルムは色々と弊害があるフィルムですが、描画の性能を向上するためには、必需品です。

 

 

アマゾンのレビューにも書かれていますが、Apple Pencilの消耗は速くなりますし、ジェスチャーの反応がやや鈍くなります。しかし、筆記具が描画面を「グリップ」するには、必要最小限の摩擦抵抗が必要であり、摩擦が生じる以上、消耗が速くなるのは当然です。

 

ツルツルの丸坊主のタイヤで、ツルツルの路面を走ったら、レーサードライバーの思い通りの制動なんて不可能ですよネ。

 

趣味で絵を描いているのなら、Apple Pencilのペン先の消耗はできるだけ少ない方が良いでしょう。しかし、我々はプロです。

 

プロのレーサーがタイヤの消耗が激しいからといって、ハイグリップタイヤを履かずにエコタイヤでレースしますか?

 

Apple Pencilのペン先は、残念ながら1種類のみで、ハイグリップタイプは存在しません。ですから、路面〜キャンバスのグリップを「ハイグリップタイプの保護フィルム」によって高めて、急発進・急停止・ライン取りが思い通りにできる環境を作るわけです。

 

*なんか、文字が汚くて読み辛くてスミマセン。私は絵は左手、字は右手で書くのですが、絵を描いている最中は持ち替えるのが面倒で、横着して左手のままで文字を図形として描くと、こんな文字になってしまうのです。

 

もちろん‥‥ですが、実際はこんな目にみえるほど、ザラザラはしていませんヨ。あくまで、誇張した模式図です。

 

この保護フィルムを貼っているおかげで、描き始めの「にょろっ」としたブレと、描き終わりの「ちょろっ」としたブレが、確実になくなりました。

 

もしかしたら、このフィルムがなかったら、線画作業でもう少し苦戦している可能性はあります。

 

アポーのペン先なんて、減ったらすぐに交換できるように、いくつも買いためてストックしておけばいいじゃん。まあ、割高感は否めないですけど、それで金を稼いでいるんだったら、「必要経費」でしょ。

 

ちなみに、私は現在、3本のApple Pencilを各作業場所と持ち歩き用に所有しています。持ち歩き用は実は「緊急事態」=Apple Pencilが壊れた時にも役立ちます。

 

Apple Pencil本体が壊れたことはないですが、ペン先が消耗しているのに買い置きがなくて、締め切りも間近で、消耗していない持ち歩き用のApple Pencilが役立ったことが、先月ありました。

 

ちなみに、減るとこんな感じ。

 

IMG_0250.JPG

 

見にくいですけど、右が消耗して円錐状になったペン先です。

 

Apple Pencilのペン先もサードパーティ製が出て、バリエーションが増えてくれると良いんだけど‥‥、それはなさそうな予感。

 

 


Procreate、どんどんアップデート

今や、私の作画作業のメインツールであるiPad Pro&Apple Pencil。そして、Procreate。

 

ProcreateをはじめとしたiOSのソフトウェアは、更新の速いものが多く、Procreateもどんどん改良されております。

 

今日自動でアップデートしたProcreateの内容は、

 

・Photoshopファイルの読み込み

・複数レイヤーに対する一括処理

・キーボードをつないだ際のショートカットの活用

・レイヤーUIの再設計

・レイヤーフォルダなどのPhotoshopに似た機能の拡充

 

‥‥などなどで、どれも「改悪ではなく改良のベクトルに向いている」のが嬉しいです。

 

でもまあ、私のリアルな感触としては、「作画の時は、キーボードは机に邪魔だからいらない」ので、キーボードショートカットの新設はスルーです。今後も作画環境にキーボードを置くつもりはありません。

 

実際、作画する時、キーボードとマウスって、邪魔じゃん?

 

手はペンと消しゴム、紙(キャンバス)の操作だけに使いたいですよネ。

 

WindowsもmacOSも、その点、「絵を描くには旧いOS」と言わざる得ない‥‥と思っております。

 

「デジタル作画」など、コンピュータ機器で作画する際に、ただ単にOSとハードウェアの都合で、キーボードやマウスやら、画具として本来必要ないデバイスを扱うのは、すご〜〜いストレスだと実感しています。いちいち、ペンを指に挟んだままキーボードショートを操作するのって、ペンやキーボード双方にとって不遇ですよネ。

 

コンピュータを操作するのが目的ならば、キーボードやマウスは有効な操作デバイスです。ペン入力で誤差の全くない正確な座標を指定するのは至難の技ですし、数値を入力するのにわざわざペンで描いてOCRに解読させるなんてバカげています。しかし、絵を手で描く‥‥というのならば、何らかのキャンバスの上に何らかのペンで絵を描くのが目的となりますから、キーボードやマウスを操作する頻度は少なければ少ないほど能率が上がります。

 

キーボードやマウスがない環境ありきで設計されているiOSは、もともとキーボードもマウスも無かった作画環境に対して、実は一番、うまくハマるソリューションだったんだな‥‥と思います。

 

 

コンピュータだから、キーボードとマウスを使わなければいけない‥‥とか、考えていません?

 

そうした感覚自体、10年以上、旧いように思います。(感覚が旧い‥‥とは、技術も道具も手段も限定されていた旧時代の知識を更新せずに、昔のままの慣習を無自覚に持続している‥‥ことを指します)

 

現在、「デジタル作画」の仕事を色々な作業と掛け持ちで引き受けていますが、MacやWindowsやクリスタやTVPを一切使わなくても、作画作業は可能‥‥なのを、私自身で実践しております。

 

‥‥まあ、ペンシルテスト(=都合、線撮のようなものです)をおこなうときだけ、macOSのAfter Effectsを使いますが、逆にその時はペンを一切使いませんしネ。

 

巷の「デジタル作画」の風潮を傍観していると、何度も懲りずに自分たちから「不自由な環境」へと邁進しているように思えます。「ハードは何を使うべきか」「ソフトは何が一番良いか」‥‥なんていう語り草が不自由な考え方を象徴していて、やっぱり10年以上感覚が古いですよネ。

 

標準入出力が決まれば、あとはパイプしていくだけです。作業モジュール、作業ユニットの内部構造なんて、実際はどんな内容でも構わず、標準入出力さえカッチリ決めておけば流通OKなのは、コンピュータを長く扱っている人なら、お判りですよネ。

 

下流の川石は丸く角がないように、物事は「四方八方」必然的に丸く収まっていくので、今はまあ、石がコロコロと転がっていくのを静観していましょう。川の流れは、津波のような大異変でもなければ、逆流しませんもんネ。

 

 


Procreateの使いやすさ

MobileStudio Pro 4Kは、Wacomの「目覚め」とも言うべき、過去のWacom液タブの問題点をしらみつぶし的に潰し、新機軸を沢山盛り込んだ、気鋭の製品です。こういうペンタブを、Wacomはもっと早く、iPad Proに遅れることなく出して欲しかった‥‥というのは、ユーザの欲張りすぎでしょうか。

 

お値段もそろそろ発表があると思われますが、それなりのお値段でしょう。高密度液晶の4Kでi7、精度の高い座標、強力なビデオ性能となれば、値段は以前の予想通り、30万は下るまい‥‥です。MobileStudio Proを新規or追加購入するのは、MobileStudio Pro 4Kでどんどんお金を稼ぐ、まさに「Pro」の人だと思いますが、そのProに恥じない性能を、事前のスペック公開で誇示しております。

 

一方、iPad Pro12.9インチ。

 

iPad Proの、しかも12.9インチは「高価なiPad」の印象がありますが、むしろ、MobileStudio Proが登場した後は、「購入しやすさ」が際立つと思います。Apple Pencilまで含めて13万円以下(256GBモデル+Apple Pencil)で収まるのは、大きな魅力となりましょう。Adobe CCなどのソフトウェアは使えないものの、強力なドローソフトがひしめいております。

 

私は最近ようやく、Procreate以外にAutodeskのSketchBook Proにも慣れ始め、Procreateにはない機能を使いたい時に重宝しています。

 

ソフトウェアの使いやすさは重要です。

 

特にここで何度も取り上げているProcreateは、定規類や図形類がないものの、超強力な操作性ゆえに、原画もボードも設定・デザインも何もかもスイスイ描けます。線画も着彩も全て思うがままに。

 

一部、MacでCipStudioやPhotoshopなどの助けを借りることもありますが(コミック系のもの)、基本的には何でも描けて、特に現在の「原画」作業には「頭の中でクイックアクションレコーダーが動作する人」であれば、何の不都合も不足もなく、原画を描き進めることができます。

 

 

強力なのは、まず指先モードの「消しゴム」です。

 

Procreateの「指先消しゴム」に慣れると、他のソフトはいちいちまどろっこしいです。SketchBookでもホットコーナーで「前のブラシ」に戻れるようにしておけば、消しゴムへと瞬時に切り替えられます。しかし、そもそも「切り替え」が必要な時点でアウトです。(‥‥いや、アウトというのは言い過ぎか)

 

Procreateでは、指先とApple Pencilの動作を切り分けるので、Apple Pencilはペン、指先は消しゴム‥‥というような芸当が可能です。もちろん、ジェスチャーは「別腹」で用意されています。

 

Apple Pencilで線画を描き、指先で消す。ツールの切り替えも不要ならば、ペンをひっくり返す必要もないし、もちろん、消しゴムをいちいち手にする必要もないのは、使ってみれば「なるほど納得」の操作性です。

 

 

その次に、数多い、ジェスチャーによる操作です。作画で特に有用なのは、画面内における以下のジェスチャーです。

 

  • 2本指ドラッグ=画面のスクロール(画面内でのキャンバスの移動)
  • ピンチインアウト=画面の拡大縮小
  • ピンチの回転=画面の回転
  • 3本指の上か下へのドラッグ=コピーカットペーストの呼び出し
  • 2本指タップ=アンドゥ
  • 3本指タップ=リドゥ
  • 1本指=消しゴム(割り当てによって動作は変わります)

 

‥‥まだ何かあったっけか。パッと思い出したものを列記しましたが、絵を描くのには十分な基本動作をジェスチャーで操作できます。

 

利き手のApple Pencilで描きながら、逆の手のジェスチャーで操作することで、高い作業効率で作業を進めることができます。ミスったら即座に二本指タップでアンドゥで消しゴムは不要、腕の回転軸に合わせて用紙を回転させて描くより、格段に描きやすいです。

 

もちろん、老眼など何の不安もないです。線が見えないようならジェスチャーでスッと拡大して描けば良いですから。

 

レイヤーの統合や新規作成すらジェスチャーで操作できるのは、Mac/PCの操作にはない醍醐味です。

 

 

最後に、ツール類の絶妙な配置

 

切り取り(選択範囲)、パレット、レイヤーなどの配置が12.9インチの狭い画面でも効率よく配置されており、すぐに使えるように工夫されています。

 

Apple Pencilは絵を描くことだけ専念し、指先でツール類をタップすれば、様々な機能を絵を描く手を止めずに(煩わせずに)機能を実行できます。

 

多くのソフトウェアは高機能が裏目に出て、ツールへのアクセスが煩雑だったり、画面を占有しすぎたりしますが、Procreateはよく練られていて、絵を描くのに必要なツールを厳選し、画面やメニュー内に配置しています。

 

足りないのは円定規くらいなものです。

 

‥‥というわけで、現在の私はiPad Pro+Apple Pencil、Procreateの組み合わせに絶大な信頼をおいているわけです。

 

 

昔、絵を編集するのはPhotoshopの十八番で、絵を描くにもPhotoshopを使っていた時期がありましたが、今はもう、絵を描く用途でPhotoshopは使っていません。Photoshopはやっぱり、画像編集のソフトウェアであって、絵を描くには色々と機能的なハンデがあります。Photoshopは、Photoshopにしかできない様々な編集機能が魅力であり画像編集のスタンダードではありますが、絵を気持ち良く描くには、専用の優れたソフトウェアを使用するべきでしょう。

 

今はClipStudioやProcreate、SketchBook Proなど、挙げればきりがないほど、優れたドローソフトウェアで溢れています。自分の用いるペンタブのプラットフォームに合わせて、最適なソフトウェアを選択できる自由があるのは、とても恵まれたご時世だと思います。

 

そういえば、ClipStudioは月ごとの使用バージョンを使っていますが、満期(?)になって、シリアル番号も発行されているので、もう支払う必要はないのですが、ずっと500円を払いっぱなし‥‥でしたな。どんどんゴールドが溜まっているとは思いますが、それは別で使うとします。ClipStudioの開発は草葉の陰から応援しているのですよ‥‥。

 

老いも若きもみんな、ClipStudioやProcreateで、自分の才能をスパークさせたら良いのです。今はお試し、お遊びと思って描いたことが、後になって有力なアイデアとなって蘇ることは、多々あることですからネ。

 



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