トラブルがトラブルを呼び

iMacでのAfter Effectsレンダリング中のフリーズの原因を究明していく過程で、どんどんあちこちから、障害の片鱗らしきものが表れてきました。

4000x4000のQT素材の扱いにおいて、コーデックがAnimationですと、イレギュラーなフレーム欠落が発生します。絵がとびとびで真っ黒になる妙なエラーです。

過去に経験したQTでの画素数24bit(=1670万画素)の上限をふと思い出しましたが、4000x4000なので、24bitは辛うじて超過していまん。それにQuickTime Playerだと正常に再生されるので、After Effects固有の問題かも知れません。
*画素数24bit超過は、QuickTime Playerでも「これはQuickTime書類ではない」とはじかれるのです。

同じ4000x4000のQTをQuickTime Player 7(Pro)で、ProRes422で書き出したものを、After Effectsに読み込むと、フレーム欠落は発生しません。

コーデックの差異で、After Effectsで障害が出たり出なかったり。

う〜ん。。。

トラブルの原因を掘り起こしていくうちに、色々絡み付いてきたようです。下手すると、解決に時間がかかるのかな‥‥。

iMacの速さ・2

前回書いた通り、最新のiMacが予想以上に高速に処理する事が、トラブル転じて実感できたわけですが、Mac Pro 2008の5倍の処理速度かと思いきや、そんなもんじゃ無かったです。

実は今もMac Proでレンダリングしていますが、レンダリング時間は11時間目に突入、予測残り時間5時間で、合計16時間。一方、iMacは1時間ちょい。‥‥なんだ、この差は。

実装するメモリ容量が大きく違ったりと個々の環境が違うので、この差を短絡的にマシンの性能差として認識するのはNGですが、今までHD解像度作品において全く遜色を感じなかったMac Proが、このような雲泥の差をつけられるとは、予想していませんでした。

iMac
 i7 3.4GHz
 4コア(仮想8コア)
 32GBメモリ

Mac Pro 2008
 XEON 2.8GHz
 4コアx2=8コア
 10GBメモリ

今回のレンダリング内容は、4Kの素材1つを、何重にも重ねて配置する内容で、メモリの容量がモロに反映される状況なのでしょうかネ。数年前は大容量だった10GBメモリのMac Proも、4K素材をキャッシュに溜め込む構造のレンダリングでは役不足なのかも知れません。

iMacは32GBのメモリが効いているのか、Mac Pro 2008の10倍以上なのは、あきれて笑けてしまいます。時は金なりと言いますが、まさに大きくコストに響く、処理速度の差です。

現在検証中のトラブルは、iMacで同じレンダリングをすると、20分くらいのところでシステムもろともフリーズする事です。何度やっても、20分くらいでフリーズするので、「コップがいっぱいになった時点」でフリーズする感じです。これをどう解釈するか。「メモリのハードウェア不良」なのか、「After Effectsのメモリの使い方が悪くて、システムもろとも巻き込んでクラッシュする」のか、まだまだ検証の余地はあります。しかし、少なくとも、正常に動いている間は、非常に高速な事は解りました。

「メモリのハードウェア不良」だったら対処が楽で良いなあ。不良交換すれば良いので、対応措置が明快です。

‥‥もし、「After Effectsのメモリの使い方が悪くて、システムもろとも巻き込んでクラッシュする」のだったら、‥‥面倒だな。環境設定のメモリ消費の設定くらいしか、いじるところがないですからネ。ディスクキャッシュの設定変更等で好転すれば良いですが、どうかな‥‥期待薄ではあります。‥‥32GBもメモリを実装しているのに、「シークレット環境設定」でレイヤーキャッシュを1フレームごとにクリアする設定へと変更するのは、イヤですしネ‥‥。

‥‥とまあ、トラブルにはひっかかっていますが、「iMacでも」充分な処理環境になる事だけはわかりました。モニタが換えられない面で、運用の是非は問われるとは思いますので、iMacと同等かそれ以上の性能の、別体型マシンの登場が待たれるところではあります。また、2008 Mac Proではなく、16コアのMac Pro Early 2009だとどうなるのか、興味深いところですが、iMacより格段に優勢になることは考えにくしですし、むしろちょっと劣るくらいかも知れません。(=想像)

そんなこんなを考えると、今、自主制作をやってみよう‥‥なんていうアマチュアの人が、機材を揃えるなら、

・i7のiMac(アマの場合、一番高いモデルじゃなくても充分かと)
・増設メモリ(16〜32GBへ)
・Adobe Creative Cloud
・1万円くらいのフラットベッドスキャナ
・5千円くらいのプリンタ
・WACOMタブレット
・外付けのHDD(2発以上のもの・作業スペースとバックアップの2つのHDD)

‥‥でプロ並みの環境が作れちゃうんですネ。初期導入費用を試算すると、20〜25万円くらい。別途、Creative Cloudは月ごとにはなりますが、ちょっと前はコミコミで70万とか必要だったのに比べれば、格段に敷居が低くなりました。

さらに高性能にしたい場合は、外付HDDをThunderBoltにするとか(う〜ん‥‥)、外付HDDを安いモデル(例えばWDのグリーン)から、ランダムアクセスの速い高いモデル(WDのブラックなど)に交換するとか(コレはアリですネ)、動画編集用のチューニングはまだ余地があります。

iMacの強いところは、GarageBandと言う音楽制作環境がついてきますし、ミキサー、マイクとマイクスタンド、ポップガードを追加購入(まずは合計1万円くらいので充分)すれば、アフレコもできるところです。MacOSXは、知らない人も多いかも知れませんが、DSP(音声処理)のライブラリが素で実装されているので、ノイズゲートやイコライザ、コンプレッサー、エンハンサなどで音をまとめられるんですよ。もちろんディレイやリバーブもありますよ。腕さえ上げれば、かなり高品質な音声トラックを作る事が可能です。

iMacの高性能ぶりから、ふと、違う視点で思考を巡らすと、機材のリプレースが難しかったり旧い運用思想のままだと、例え会社の体を成していても、簡単に時代遅れになる‥‥という事も見えてきます。昔ながらのタワー型ワークステーションにPhotoshopとAfter Effectsを単体購入してインストールする‥‥なんていうやり方、今の私から見れば、「コストがかかる割に、限られた事しかできないじゃん」と思うわけですが、アニメ会社って「コスト削減を標榜する」一方で「コスト削減のアイデアに乏しい」ですよネ。間引く事でしかコスト削減できず、運用スタイルを変えてコストを下げる発想にはいたらない‥‥という凡人的発想が多いスね。

コンシューマ向けのiMacが、環境のチョイス次第で、ここまで速くなるとは‥‥。単純に、純粋に、驚いております。



iMacの速さ

仕事で使っている最新のiMac。何気に、凄い高速だと言う事がわかりました。

iMac。After Effectsのレンダリングでフリーズが連発し、「MacOS9か」と思うようなありさまでしたが、どうも、私の仕掛けたレンダリング内容がすこぶる重い事が、色々探っているうちにわかりました。‥‥最近3〜4Kでやるので、ちょっと、バランス感覚がマヒしていました。

別の環境で同じレンダリングをしてみたら、オドロキ。

・最新のiMac/i7 3.2GHz/32GB(オリジナル環境)
 1時間くらいのレンダリング時間

・テキトーに色々なアプリを立ち上げっぱなしのMac mini/i7 2.6GHz/16GB
 予測時間67時間。ギャフン。‥‥テキトー過ぎる環境でレンダリングしたのが災いしたか。

・Mac Pro 2008
 5時間。

‥‥‥凄い差です。

Mac miniの低速加減は、バックグラウンドで仮想2コアをWindows7で消費してた事もあり、フェアなジャッジはできませんが、67時間は痛い。

Mac Proは2008年モデルと古く、メモリも6GBなんで、今や可愛いレベルではありますが、5時間なんて、iMacの5倍です。つまり、単純計算ではありますが、10日でレンダリングできるものが、旧型Mac Proだと50日かかるという事です。

しかし、どんなに高速でも、フリーズするのは困るな。まずはRemberでメモリハードウェアをチェックです。

今は大体どんなマシンでも、HD程度のムービーは、そこそこの速度でレンダリングできます。ゆえに、マシンの差なんて、目に見えるほどにはわからないのですが、解像度が上がると、いきなり「昔の感覚」に引き戻されます。つまり、マシンの性能がレンダリング時間に「如実に表れてた」あの時代です。

PowerPC604は320pxのプレステムービー、G3,G4は720pxのDV/DVD、G5は1300〜1600pxの初期のフィルムレコーディング、IntelMacはHDテレビ。フォーマットの高画質化とマシンの高性能化は、イタチごっこそのものですネ。

色々あるけど

ぶう垂れてても、状況が好転するわけもなし。未開の地を開墾するには、鍬を振り下ろして、耕さないとネ。

現状がどうにもならないから、未来もどうにも出来ないのか。‥‥まあ、そんな事を言ってたら、何も成し得んわな。

デフラグ

私は資料目的でプラモデルを制作するのですが、前に書いた「コスモタイガー2」などは資料ではなく、いわば趣味の部類です。‥‥ただ、趣味といっても、作ったプラモデルを飾る事を予め想像しているわけではありません。ただ、なんとなく、作ってみたくなり、漠然と作るのです。製作時には改造したりと頭の中で考える要素も多いですが、目的は希薄です。

資料目的のプラモデルは、目的がはっきりとして、かつ製作手順も必要最小限です。塗装も独特で、「立体資料になる塗装」を施します。完成後は飾らずに、定型のコンテナ(実を言うと、ヨドバシのミニダンボール箱)に収納して保管します。

しかし、ヤマトとか、資料とは言えないプラモデルなどは、「何で作るんだろう」と自分に問うてみると、おそらく、無心になって製作する事が、脳内のデフラグ効果を生み出しているんだと思います。デフラグとは、記憶媒体において四方に散らばったデータを整頓する処理の事ですが、人間の脳も、あまりに複数の事を同時に処理していると、デフラグ的な事が必要になります。

わたし的にもっと近いニュアンスで言えば、水中で舞い上がった様々な物質が、しばらく静かにしておくと、沈殿して水中がクリアになる‥‥というか。「散らかった。掃除しなきゃ。」と言って、バタバタと動き回ると、余計ホコリが舞い上がって収拾がつかなくなる‥‥ので、あえて動かず、現状が鎮静するのを待つ‥‥ような感じですかネ。

黙々と作業する類いのものなら何でも良いか‥‥というと、どうもそうではないみたいです。プログラムのコードを書いている時は、脳のCPUメータは結構真っ赤ですし、読書も文を読むのに脳を使います。楽器演奏は「弾き馴れた曲」ならば脳を動かさずに済みますが、それでも稼働率はやや高めです。私にとっての楽器演奏は、鎮静というよりは、ブロワで吹き飛ばすような印象でしょうか。結局、「起きているのに、脳の働きが穏やか」なのは、私の場合は、プラモの時くらいしか、思い浮かばないですネ。

脳内でアプリを立ち上げたら、Quitせずにサスペンドしたまま、何本も同時進行している‥‥ような事が、私に限らず、現代の人々は多々あるんじゃないでしょうか。何らかの方法で、「メモリをクリア」する自分なりの方法は、仕事を効率的にこなすのに、実はとても重要な気がします。

ヤマトの航空機

最近、バンダイから往年の「宇宙戦艦ヤマト」のプラモデルシリーズが再販され(いわゆる、現在展開中の作品とのアレか?)、私もまんまと術中にハマって購入したわけですが、さすがに年代が旧いキットゆえ、そのまま作るのはためらう内容です。

しかし、プロポーションは決して悪くないので、各所をちょっと手を入れれば、それなりの出来にはなりそうです。新しいEXシリーズのものより、旧いキットのほうが本編(初代や「さらば」)に近いので、買うなら(私なら)旧版ですネ。

コスモタイガー2は、アマゾンではなぜか品薄で、妙なプレミア価格なのもありますが、ヨドバシなら(今なら)定価+割引で買えます。まず第1の加工箇所は、操縦席周りですネ。何だか、こたつの座椅子みたいな処理なので、臆せずブッた切って、通常のイスへと作り変えましょう。あと、主脚は収納部がどうにもディテール不足ですが、翼が薄いので彫り込んでディテールアップもままなりません。飛行状態で組むか(もちろん、加工が必要です)、主脚を胴体から出すか‥‥の判断が迫られます。このタイプの航空機は、主翼から脚は出さないように思うんですが、‥‥まあ、いいか、そんな現実っぽい事は。

コスモタイガーって、今見ると、幅広の胴体が浮力を生み出す、いわゆるリフティングボディのようなデザインなのネ。F-15の「片翼を完全に失っても飛行して帰還した」話は有名ですが、似たように空力を生み出しそうなボディです。まあ、宇宙空間の飛行時は、関係ないのかも知れないですが。

コスモタイガーのキットは、増槽が5つも付いているので、何だか違和感を感じます。「リアルに考える必要無し」と思う反面、「増槽」というリアルなパーツの扱いに困惑するのです。2つくらいはミサイルか何かに換えようか‥‥と思ったすぐ後、「そう言えば、コスモタイガーって、ミサイルを発射するカットの記憶が無い‥‥」と思い出しました。なんと機銃(劇中いわくパルスレーザー)が唯一の兵装なのネ。たしかに、ミサイルなんか乱発したら、空中戦の描写に支障が出るよネ。ドメルの艦上航空機群も、ミサイルというよりは爆弾・魚雷でしたネ。

ブラックタイガーとコスモゼロは、プロポーションは良好ながら、細部はコスモタイガー以上に手を入れる必要があります。操縦席はまさかのバスロマン状態。1日の疲れを癒すかのような、たっぷりとした湯に浸かったパイロット。ブラックタイガーに至っては、何の予告も無しに複座! ‥‥いつから、ブラックタイガーは複座になったのか。‥‥まあ、昔のプラモは、こういう表現はあったよね。なので、面白がりこそすれ、怒る場面ではありません。

という事で、ブラックタイガーとコスモゼロは、コックピットはフルスクラッチ決定です。まあ、本編中でも軽装で搭乗していますから、ゴツいインジェクションシートにする必要は無いですネ。パイロットもあえて「あの服」でエポキシパテで自作したいです。

モールドは凸と凹の混合です。凸はヤスリがけで消えますから、適宜スジ彫りし直しです。実機があるわけではないので、気が楽だし、どんなディテールにしようかと楽しめます。ちょっと高価ですが、クレオスのラインチゼルを使うと、手先がそんなに器用でなくても、奇麗にスジ彫りができますヨ。罫書き針やカッターを使うより、断面も線質も奇麗に仕上がります。

ちなみに、近年出たディテールアップ版のコスモタイガーは、私はどうも‥‥。ちまたの作例を見て、「尾翼にYAMATOなんてマーキングするの、逆にどうなの?」と思ってましたが、メーカーのデカールだったのネ‥‥。峠のバイクじゃ無いんだからさ‥‥。本体を細かくディテールアップしているんだったら、マーキングも相応に考えれば良いのにネ。最大の難点は、1/100という点でしょうか。タミヤのミニジェットしか近くに置けないスよ。1/72にしてくれればさ‥‥。

旧版の600円のコスモタイガーでも、それなりに手をいれれば、もとのプロポーションが良いので、かっこよく仕上がりますよ。

バックヤード

私が何度も「新しいアニメーション制作」「新しい作り方」などの語句をブログで書くわりに、その結果物である映像やTIPSを公開しないのは、明確な理由・方針があるがゆえ、です。

過去のメイキングコンテンツを振り返ると、「作品が出るたびにタネ明かし」した事は果たして、良い結果を招いたのか?‥‥と思います。技術の取り扱いを確立する前にネタばらしして、結果、安売り合戦の要因の1つになっていたのではないか‥‥と、最近は考えます。一般的なTIPSならともかく、「この作品はこうして作りました」なんて、あまりやるべきじゃないと思うのですよ、最近は。「パブリック」の思想なんて、結局はコストダウンの都合の良いようにしか、使われていないのです。

同様に、技術が生まれたそばから、公開・公表する事も、非常に危ういです。技術を作った人間は、ポリシーや理想も込みで、技術を確立して用いようとします。しかし、「出来上がったもの」を使うだけの人間は、出来るだけ安く速く、流用しようとします。

私の準備している「新しいやり方」は、作画の根本を変えてしまう性質を持ちます。その技術は、新しいコスト構造と切り離せないものです。しかし、「新しいやり方の都合の良い部分」だけを、今のアニメ制作に「悪用」すると、とんでもなく「悲惨な未来」となるでしょう。現在のアニメ制作のコスト構造そのままに、新しい技術を徐々に浸透させるなんて、あり得ないのです。今のアニメ制作は、そのコストゆえに、今の技術止まりで充分です。

また、「戦い」において、一番マズい戦術は、場当たり的に反応して、小競り合いを続ける事です。すなわち、まるで「モグラ叩き」かのごとく、「的が現れたら対処する」という、ビジョンの無い行動です。将棋でも戦略ゲームでも、このやり方では勝てないんですよ。単に「目の前の敵と戦えば良い」のなら、軍師も戦術もいらんわな。すべては、史実が物語っています。

戦い方がマズいと、30日で勝てる戦が、90日かかっても講和にしかならない事が、多々あるわけです。まあ、策に溺れても勝てないんですが、無策では絶対に勝てません。消耗して終わるだけです。

つまり、「攻勢のメカニズム」が整うまで、戦っちゃいけないのです。もっと言えば、攻勢の後の、長期的なプランも。

しかし、同時に「攻勢のタイミング」も重要です。メカニズムに完璧さを求めるがあまり、時間をかけ過ぎて、好機を逸する事もあります。このへんは、よくよく自分に言い聞かす部分でもあるのですが‥‥。

私は、よく歴史上の戦史を参考にします。日本って、あまりこういう事(=戦争から学ぶ)を奨励しない雰囲気ですが、‥‥‥まあ、いいや、この辺の話は。わたし的には、あまりこの部分には、(競合を増やしたくないので)触れたくないですしネ。

まあとにかく、「ビジョンなく」「準備が整う前に」動くのはやめようと思っているのです。逆に言えば、映像を公開する‥‥という事は、そのバックヤードでは「後続の戦術」「兵站の基礎」が出来上がっている‥‥とも言えますネ。

1000年女王の撮影技術

私が中学生だった頃、松本零士ブームの流れで「1000年女王」が劇場公開されたのですが、ストーリーはともかく、撮影技術に魅了され、「撮影」を意識するきっかけとなった作品でした。

私の第一の目当ては、まずは金田伊功さんの作画でした。しかし、至る場面での撮影技術にも、心を大きく動かされました。純粋に、「きれいだなあ」と思ったのです。最近、DVDを見たのですが、‥‥う〜ん、自分がかなり影響を受けている事を認識しました。距離感の作り方とか、濃度の出し方とか‥‥、特に関東平野が浮上するくだりは、「自分も同じような素材で雰囲気を作るだろう」と共感する表現でした。‥‥というかさ、共感するも何も、この作品で「インプリンティング」されたようなものだから、可笑しい言い草ですネ。子供が親を見て、「あなた、私に似ている!」と言うようなもんで‥‥。

作品本題のほうは、‥‥まあ、いいじゃない。当時から、「ハコブネは関東だけ?」とか疑問が多過ぎる作品でしたしネ。「隅つつき」ではなく、「ど真ん中」の要素だったんで、さすがに、気になったんだよねえ‥‥。「関東だけ生き残れば、それで良いんか!」と誰もがツっこむと言う‥‥。さらには、作劇上のディテールの端々に「優等生」「良い子」な感じが見えるのも、何か、当時の私としてはイヤでした。松本零士作品から毒を抜いて安全にしちゃった感じが、私には合わなかったのです。でも、デカいテレビ作品ではなく、ちゃんと映画の貫禄はありましたね。女優陣もゴールデンメンバーで、メーテルもプロメシュームも森雪も総出演。今見返すと、話の筋やアイデアには、良い部分も沢山あると感じるんですけどネ。現在の「現実の積み重ね」で見せるやりかたではなく、「夢をドカンと実現して見せる」やり方のほうが、逆にインパクトがあるかも知れないですネ。

ただ、この頃の松本零士作品は、作品同士に何か関係を持たせようとしたのか、同じ名前の設定が出てきます。‥‥思うに、そのやり方って、あまり受け手は興味が無い‥‥というか、作り手側の思い込みが強いような気がして、当時から「別建ての話にしてくれた方が良かった」と子供ながらに感じました。

撮影技術に話を戻しますと、当時のアニメージュ別冊「1000年女王・ロマンアルバム」に、撮影ギミックの解説が載ってました。「重箱」なんてとても理解できませんでしたが、何やら、難しい工夫を凝らして、画面を作っていた事だけは読み取りました。

作画ならともかく、撮影は中学生の自分では模倣などできません。家にあるのは、ブライトフレームの普及型カメラのみで、三脚すらなく、アニメ撮影台の模倣なんて、全くもって不可能でした。私が「疑似撮影台」を手中にできたのは、アニメーターになって、そこそこお金が自由にできるようになって、一眼レフとレンズ一式、光学フィルター、コピースタンドを購入してからでした。

1000年女王の撮影技術を見ると、やっぱり映像は「構成力」だなと痛感します。いくら高価なプラグインでトッピングしても、構成は誤摩化せないよネ。物理的に不利な、昔の撮影台でも、構成がしっかりしていると、今見ても、危うさを感じません。BOOK引き1つとっても、構成力は映像に「説得力」として反映される(されちゃう)んだなと思います。

また、この当時の劇場作品は、建築物の崩壊とか、大変なカットを逃げずに何カットも重ねて描写していますネ。今のアニメだと、「大変」なのでできるだけカット数を減らして逃げちゃうんですが、逆にそれが、「大きなスクリーンで上映するテレビ作品」になる所以なんでしょうネ。1000年女王は、作画も仕上げも背景も撮影も全て大変なのが、いくつもあります。同じ素材を使って、自分でもコンポジットしてみたくなるカット(もちろん空想ですが)がいくつもあります。作業が大変でも、その大変さが報われるのは、やっぱり嬉しいのです。

1000年女王・劇場版。作品的には、特に他人に勧める類いのものではないですが、私個人としては、撮影技術のエポックとなった、思い出深い作品なのです。

封印の森

現アニメ制作現場にコンピュータが導入されて、「撮影」と呼ばれるセクションの技術バリエーションも幅広くなりました。しかし、どこまで技術を現制作フローに「導入してよいか」は話が別です。

私が新しい道を模索するに至ったのは、野方図な技術の安売り合戦に、限界を感じたからです。「デジタルはタダ」と思っている人々が制作現場にはそこそこ存在する現状に、怒りを通り越して、「あきらめの境地」に達したからです。

でもまた同時に、アニメ業界の体質として、「安く引き受ける」事で活路を見出す習慣が根底にあって、難易度の高い技術や大変な作業をとんでもない安値で引き受けてしまう現状にも、等しく限界を感じたのです。予算が安いだの、「手塚治虫が悪い」だの、他人のせいにするまえに、高価なCMや劇場クラスの技術をみようみまねで安価なテレビ単価で引き受けるのを、「まずは」やめるべき‥‥なんですが、そうは出来てないですよネ。テレビ単価でも問題ない「安く実現できる」技術ならともかく、あきらかにどんどんオーバーワーク・コストオーバーのベクトルに邁進してますからネ。テレビで「貼りこみ」なんかホイホイやっちゃダメですよ。

そんなこんなで、現TVアニメ制作のコンポジット周りにおいて、私が「出来るけどやらない」技術〜つまり意識的に封印している技術があります。以下。

・スクラッチ
スクラッチって、色々な使い方があると思いますが、ここでの意味は「ゼロから作る」です。After Effectsの機能を持ってすれば、煙や火などのエフェクト作画をAfter Effectsで「作画的に」(=プラグインではなく)作る事は可能です。原画で描いている事を、After Effectsのツールでやればいいだけです。しかし、これはつまりは「作画料金よこせ!」ですから、安価な撮影秒単価でやるべきではありません。実は、キャラだって作画できますよ、After Effectsで。‥‥でも、今のキャパじゃ無理だし、安い秒単価で作画までやらされたんじゃ、たまらないです。「After Effectsだったら出来るでしょ?」とふっかけられたら、「今の作業単価では無理です」ときっぱり断るべき‥‥ですネ。

・マスクワークやトラッキング
これは、レタスペイントからのカラーキーではなく、実写ライクなマスクワーク〜キーイングの事です。After Effectsはアニメ専用ではないですから、実写で必要なマスク抽出機能も有しています。特定の要素で絞り込んで、さらには手で追って、マスクを作り出す事は可能です。しかし、これもテレビでは絶対にオーバーワークになりますから、引き受けてはならない作業です。
救いは、ほとんどニーズが無い事ですが、たまに「書き込みのセルから一部を抽出」するようなオーダーがあります。しかし、カラーキーで抜けない手切りのマスク(の連番)は、引き受けない事にしています。それを引き受けたら、その後どんな事になるか(どんな事が常識になっちゃうか)、‥‥お分かりですよネ? 「撮影でも抜き出せるんなら、どんどん書き込みにして、動画枚数を減らそう」(=撮影の手間を価格据え置きで増やそう)という事になっちゃいますヨ。

・難易度の高い「貼りこみ」
画像をセルに貼付ける(合成する)テクニックですが、動く場合は安易に引き受けるべきでは無いです。作画の知識を持たない人間、濃度の調整ができない人間が作業すると、反ってチープになりますし、一番問題なのは、作業が大変過ぎる事です。オーバーワークの代表例ですネ。「貼りこみ」の安売りの原因は、ほとんどが、演出の知識不足によるものです。どんな方法で貼り込むのか、作画の動きに合わせるのがどんだけ大変かを、全然知らないゆえに、乱発するんだと思います。しかも、効果の薄いカットで「カット合わせ」とかの理由だけで作業を強要するんだよネ。オプチカルよろしく、貼りこみも、処理単価を極端に上げないと、今後さらにエスカレートすると思いますよ‥‥。動画への貼り込みは、現状の予算では、予算の高い劇場やCMにしか使えないと思うんですが、どうか。

・難易度の高いプラグインの処理
TrapcodeのFormやMir、Perticularなどは、ツッコみはじめるとカッコいい映像が作れますが、誰かのプリセットでも流用しない限りは簡単にホイと出来るものではなく、非常にオペレーションが難しいです。しかも、プラグインの導入費用はそこそこ高価です。誰か「Form使い」「Mir使い」のようなスタッフがいて、特別単価で作業するのなら話は別ですが、通常業務の一環で「高度なプラグイン」を安易・安価に使うのは、私は反対です。通常の単価では引き受けたくないですネ。
でもまあ、Formなどを使っている作品を見た「内情を知らない」演出家が、「うちでもコレやって」とか簡単に言っちゃうのも大問題なんだよネ。デジタルはタダで、言えば何でもできると思っているのが、‥‥多いんだよねえ‥‥‥かなり‥‥。他で出来る事が自分のところでも出来るとは限らない‥‥というのをキモに命じてほしいです。少なくとも「あれと同じ事がしたいんだけど、まず可能かどうか。可能だとしたら、どのくらいコストがかかるか。」を監督・演出・現場プロデューサーの人が「まず最初に気を使う」べきで、相応のコストを予算から割かないとダメですネ。

私が長年一緒にやっている監督さんや演出さんは、ここら辺をよくわきまえてくれます。「無茶ブリ」もしますが、その場(作品の規模)とか、代償というか、コストも同時に考えてくれます。

‥‥でも、テレビって、結構野方図だよネ。コストのかかる技術だろうが、専門知識が必要な技術だろうが、何でも取り入れて、どんどん安くしてしまう。‥‥だからさ、現場が「現場の窮状を訴える」とか言っても、あまり説得力が無いんだよな。自分たちでかなり、「窮状を呼び寄せている」んだから。

技術の値段‥‥も、考えないとダメだと思うのです。「昔、高コストだったのが、低コストになって、使いやすくなるのが、技術の発展だ」と言うのならば、それを支えるスタッフを衰弱させるなよ‥‥です。「技術の発展」なんて「耳障り」の良い言葉で誤摩化すのは、実際に作業してない人ですわな。

しかし、制作フローの流れの中にいると、「加担せざる得ない」状況も事実です。動き出してしまったものに意義を申し立てても、どうにも覆せないものです。また、特別単価で作業している事は、表にはアナウンスなどしないですから、「通常の作業費で作業している」と誤解される事も多々あるでしょう。

‥‥なので、After Effectsで、様々な新しい表現が可能な事はわかっていても、今のアニメ制作体質では、予算やフローの問題で封印せざる得ません。

新しいアニメーション制作方式は、表現方法も格段に幅広い上に、未来社会の技術にも対応でき、さらには予算コストダウンと各人のギャラアップを同時に実現できるという、大きな希望がひしめいているのですが、その技術を今のアニメ業界で流用する事は出来ません。色々な意味で、業界の「シャーシ」が、新しい「エンジン」に、致命的なまでに適合しないからです。「シャーシ」を作り直す事は、すなわち、業界をバラす(死んで生まれ変わる)‥‥という事なので、まあ、できないですよネ。一時的であれ、死にたい人なんて、誰もいないもんね。

まあ、こんな辺境のブログで書き綴ったところで、何が変わる訳もないでしょう。でも、何も言わなければ、何も伝わらなず、否定も共感もないです。なので、懲りもせず書き続けてはいます。

変えられないのなら、新しく作ろうと思っているのです。


追記:
「予算コストダウンと各人のギャラアップ」は矛盾しているように見えますが、それは今の視点で考えるからです。この辺については、いずれ、時期がきたら。
‥‥今のアニメのマズい点って、現場は金がないと言ってるのに、コンテンツとしては金がかかるシロモノ‥‥な点ですよネ。実際、何をするにも大仰なフローで回して、延べ人数が増えて、金がかかります。従来売れ線・安全パイ・萌絵から抜け出せず、新しい路線を開拓できないのは、制作の体質にも一因はあると思います。
先人が築いた「アニメ制作高速道路」は、今や、金がかかる割に渋滞続きです。そんな高速道路、使うのやめて、「情報」を駆使して「空いてる下道」でスイスイ走れば良いじゃん?

トラック

撮影台時代を象徴する用語、T.B, T.U〜トラックアップ・トラックバックは、実は今後も有用な用語かも知れないです。トラック、すなわち、台、土台という言葉は、レイヤーなどに当てはめても使えるからです。

「ズーム」「スケール(拡大縮小)」と差別化できる点が特に良いです。現在のアニメ業界では、ズームとトラックアップ&バックは実質的に同義語ですが、私の考える新しいやり方では明確に使い分けます。映像の結果が異なるので、当然の措置です。

新しい方法では、コンポジットのフィールドはXYZ軸から成り立っています。旧来アニメ技法ではカメラはあくまで固定で、素材を設置した台座を動かしてカメラワークを実現しますが、私の方法では、カメラも台座も自由に動き回ります。実写でのドリーやクレーンに似た手法も旺盛に取り入れています。

アニメ業界のフローでは決して伝達する事のできない(=シートに記述しきれない)内容もできます。例えば、各台座(トラック)が動きつつ、クレーンでカメラを動かし、カメラ本体はズームを操作する‥‥なんていう芸当も可能です。これ、今のシートや撮影用語では無理ですよネ。根本的に、Z軸を扱う機能(Z軸の座標だけでなく、レンズ画角も含め)を持っていないですからネ。

トラックアップ・バックという用語は、死語になるかと思ってましたが、使用しても問題ないんだなと言う事が解ってきました。コンポジットの用語を完全にデジタルへとシフトしても、案外、「トラック」という言葉は生き残るかも知れません。編集やグレーディングでも「トラック」という言葉は用いますし、もちろん音楽でも用います。「トラック」という言葉は便利で、「オブジェクト」や「レイヤー」「チャンネル」よりも使いやすく感じます。

私は、実写の技法をアニメーションに導入するのはやぶさかではないと同時に、実写に従属するのは断固拒否したい考えです。何のために、絵で描いてるのよ?‥‥と思うからです。ゆえに、絵をコンポジットする際に、ことさらに「カメラ装置」を意識するのはやめたいと考えてはいますが、一方で「視点としてのカメラ」は有効に用いたいと考えます。

カメラ、シャッター、トラック、etc‥‥。コンピュータの中には存在しない旧い呼び名と解っていても、便宜上使いやすい言葉はいっぱいありますよネ。

用語って難しくて、使用中のソフトウェアの用語をそのまま流用すると、狭義に陥って使い勝手の悪いもの(局所の人間しか喜ばない)になりますし、旧来の用語を流用すると「意味がよく解らない」用語になりやすい(意味を知らないまま使い続ける手もありますが)ですし、もどかしいです。意味だけを追い求めて用語を命名しても、解りやすくなるとは限りません。例えば「従属性」と言われて、「すげー解りやすい」と思う人はほとんどいないと思いますし。現在、私は現場で確信犯的に「セル」という言葉を使いますが、これはいわば「ログ」(丸太)と言う言葉と同じようなスタンスです。

新しいアニメーション制作を本格化する際は、用語のソサエティも必要でしょうね。ネットの本部サイトで検索すれば、正しい用語(というか、Standardizationされている用語)が解ると言う。‥‥旧来アニメ業界の用語のマズい点は、出自・出典が曖昧で、「誰も正確・正当にジャッジできない」点でしょうから。可哀想な「誰が親か解らない、みなし児」の用語にしちゃうんではなく、用語が「出生」した時点で、専門機関が「認知」すれば良いんじゃないですかネ。

実は、私が内輪で運用している「atDB」(アニメーション技術データベース)は、用語等のデータベース化・標準化を記すもので、用語だけでなく略語、俗語、スラングまでも網羅しようと取り組んでいます。新しい制作方法は、コンピュータを基盤としますから、「変な用語の使い方」はソフトウェア上で修正もしくは排除できます。ソフトウェア上のジャッジでのよりどころとして、データベースが必要な訳ですネ。

用語をキチンと制定するのは甚だしくキツい事ですから、当初から大風呂敷を広げちゃって、早々に頓挫する事も容易に想像できます。なので、私はまずは、用語を記録し、仮運用するところから始めています。作った用語が作業にハマるか‥‥なんて、いくら机上で話し合っても読み切れるものではないですからネ。


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