ナゾの挙動

少し前から、AppleScriptの原因不明のトラブルに見舞われておりましたが、今日、ようやく「シッポ」を掴む事ができました。あくまで、シッポだけ、ですが。

トラブルとは、ドラッグ&ドロップのアプリケーションが正常に動作しない‥‥というもので、何が正常に動作しないかというと、ドロップした項目のうち数項目が無視される‥‥という内容のものです。

「またまた。単なるコード上のミスでしょ」とか思われるでしょうし、私も何度もコードを読み返しましたが、原因が掴めません。しょうがないので、「ドロップした項目数を確認する」ルーチンを組み込んでみたら、かろうじてナゾの挙動の「シッポ」を掴む事ができました。

シッポをもっとギュギュッと掴むために、ネズミ捕りのスクリプトを作ってみました。以下のコードでドロップレットを作って動作させてみたら、唖然とする結果が得られました。

on open theItems
    display dialog (length of theItems) as text
end open

変数theItemsには、ドロップした項目が代入されています。theItemsはリスト(一般的には配列と呼ばれるもの)なので、lengthで項目数を数える事ができます。

10個の項目(ファイルやフォルダ)をドロップすれば、当然、表示されるダイアログには「10」と出るはずです。しかし、トラブルが発生している環境で動作させると「7」とか「8」「9」などと数が減って表示されます。‥‥つまり、Finder操作でドロップした項目数が、on openで受け取っている項目数と食い違っているわけです。

ショック! 基盤を揺るがす大問題!

プログラムをやっている人なら、その重大さがお解りかと思います。ドロップした項目のうち、ランダムで受け渡されない項目が発生する‥‥なんて、ドロップレット作りの根幹に関わるトラブルです。

悩ましいのは、同じ動作を繰り返すと、やがて正常な数が表示される事です。10個ドロップして「8」と出た数秒後に、同じ動作でドロップすると今度は「10」と出る。ふえええ‥‥。

他でもMountain Lionは使ってるけど、こんな事、初めてだなあ‥‥と思い、自宅のMoutain Lion環境で試したら、何度やっても全く問題の無い正常な動作です。

自宅環境とトラブルが出る環境との違いは、思い当たるところ、マシンがiMac Late2012である事と、ドロップした項目がUSB3.0外付HDDの中にあるファイルだ‥‥という事くらいです。‥‥そんな事で、こげなトラブルが発生するか?

ファイルシステム上の何かがトラブっている? しかし、同じ場所に並んで同じ環境(iMac&USB3.0HDD)が2つありますが、2つとも同じトラブル見舞われているので、個体差ではないように思います。同じ構成のiMac環境で同じトラブルが出る。他のMac環境では発生しない。うーむ。具体的なような、そうでないような。

でもまあ、シッポを捕まえたので、逃がさないように手繰っていけば、トラブルの姿が見えてくるはずです。なんで、もうちょっとネバってみようと思います。

いんふら

ようやく、新しいデータベース「atDBx」を基幹とした運用システムを動かしはじめました。余裕のある設計にしておいたので、どんな類いの作品でも情報記録が可能となりました。今は部分的な運用ではありますが、既に新設計の恩恵を感じております。

作品ごとの「完全に独立した用語辞書」を設定できる仕組みにしたので、キーワードや略語で困る事が皆無となりました。作業工程の全要素を記録する事が可能です。また、作業用のアプリケーションソフトウェア(ヘルパー的なもの)がデータベースにリンクしているので、情報を手で入力する必要はなく、作業者の作業進捗にシンクロして情報も自動記録されます。

データベースは、ファイルサーバとも連携しており、各作業のマネージメントの他、作業進捗上のアーカイブも情報管理できます。当然ですが、Webサーバも連携し、情報(画像も含む)をブラウザで確認できる仕組みになっています。

iPadなどの普及した今でも印刷物は重要なアイテムですが、データベース管轄の印刷用ファイルには、すべてバーコードが刻印してあり、キーボード入力に頼らずとも各種情報の検索が可能です。まあ、バーコードの本格運用はまだまだ先でしょうが、ISBNのごとく仕様としてバーコード表記が定められているので、使う使わないに限らず印刷物には刻印されるのです。バーコードの読み出しは数千円のバーコードリーダで簡単に読み出せます。

また、現在はまだアクティヴにはなっていませんが、各種コスト情報(時間・難易度・金額など)の記録も可能です。標準仕様として既に設定されております。

こうしたインフラ構築の取り組みは、作業を快適にするため‥‥と言ってしまえば簡単ですが、では「快適な作業環境」とは何かと考えれば、ストレスなく作業に没頭できる環境の事です。これは、作業者本人の快適性だけでなく、作品全体のコスト面でも重要な事なのです。例えば、作業の前段階でインフラが整ってないがために作業に入れず、本来の作業をストップして、トラブル収拾のために何時間も充てた‥‥となると、コスト損失は明らかです。

インフラの構築。‥‥まあ、気の遠くなるような事なんですけどネ。でも、チクチクと作り続けていれば、案外、積み上がっていくもの‥‥でもあるんですよ。

多分‥‥ですが、アニメ業界仕様のアウトソース(外製)の作業進捗マネージメントツールって、永久に現れないような気がします。何故かって、ソリューションを売る側が商売にならんでしょうからネ。対費用の問題で、売る側と買う側の折り合いがつく事は無いと思うのですヨ。制作運用マネージメントツール〜アニメ制作専用のITアウトソーシングなんていう「24時間対応の責任重大なもの」を、アニメ業界の「期待する安値」で売って展開できるわけがありません。仮に買う側が大決断して、初期導入時に大枚を叩いても、その後のメンテ・維持の費用捻出がツラくなると思います。

結局はインソースしか無いと思ってます。「制作運用システムも、自分たちの強力な武器である」と意識する事が肝要かと思います。バトルオブブリテンでイギリスを守ったのはスピットファイア単体だけじゃないのは、ちょっと戦史をかじっていれば周知の事実でしょう。

Original Album Classics

長い事、似たようなジャンルの音楽を好んで聴き続けていても、ポッカリと「なぜか聴いていなかった」楽曲があります。

私は、中学生の頃に「Blow By Blow」を聴いて以来、Jeff Beckを好んで聴いていますし、私の世代ではありがちではありますがドラムスのCozy Powellは何だかんだ言って好きです。と言う事は、どう考えても、第2期のJeff Beck Groupをどこかで聴いていてもおかしくないのに、CDを買ってない事にまったく無自覚でした。不思議なもんで。

YouTubeで第2期のJeff Beck Groupを見てたら(映像と音が1拍ズレてて、異様にキモチわるですが)聴いてみたくなり、Amazonで探して購入。その際、様々な60〜80年代の音源が「Original Album Classics」と称して、5枚組2,300円くらいで売り出している事を知りました。

要は、アーティストが過去に順次リリースしたアルバムを、えいやと5枚セットで「まとめ売り」する企画モノです。アルバム1枚あたり500円未満なので、iTunesで買うよりお安いですネ。

ぶっちゃけ、手を出しあぐねていたアーティストも、この値段なら買って聴いてみようか‥‥という気になります。私はMahavishnu OrchestraとかSoftMachineなど、普段なら手をださないようなのを買ってみました。

現役のヒトから懐かしいヒトまで、かなり豊富なラインアップ。今はほとんど耳にしないコトバとなった「フュージョン」や「クロスオーヴァー」なども沢山あります。


私はまさにロックやフュージョン、ハードロック、ニューウェイブオブヘビーメタルの世代ですが、実は「家にロックを持ち込んだ」のは兄なのです。小学生の子供が、素でレッドツェッペリンやディープパープル、ヴァンヘイレンなんて聴くかいな。私はそれまで、子供らしく、アニメ主題歌やおよげたいやきくんとか、ビューティフルサンデーを聴いてたわけで。‥‥真綿のような子供時代は、簡単に何色にでも染まる‥‥ようですネ。

ちなみに‥‥。「凄い」をカタカナで言い表す時、「ハードだな」というのは70年代の風味、完璧にオッサンですな。「ヘヴィ」というのはバックトゥザフューチャーでお馴染みの80年代風。90年代以降の「クール」とか言うのは、正直、私は世代がズレてて恥ずかしくて言えません。私は「ハード」か「ヘヴィ」だけで一生充分です。

でもまあ、何でもハードを付ければ良いってもんじゃありません。ヴァンヘイレンの「Somebody Get Me A Doctor」の邦題が、「必殺のハード・ラブ」だったのは、当時中学生だった私も、さすがに恥ずかしいと思いました。

DoverのスコアがKindleに!

前のブログで、AmazonのDoverスコアを検索してたら、なんとKindle化されてるじゃないですか。

エクセレント。

あの電話帳のように大きくて重い印刷物でなくても、スコアを読める。

数十冊も携行できる。‥‥これは未曾有。

しかも、割安。

中身だけが必要な人にはオススメですね。

ただ、印刷物は印刷物ゆえの、元来の利点がありますから、その点に魅力を感じる場合は、やっぱりペーパーバックのスコアかなあ。

Wagner

今年はリヒャルト・ワーグナー生誕200年で、さぞや全世界各地で演奏され、BSなどでもいっぱい聴けるか‥‥と思ってたら、イマイチ盛り上がってないように思います。いちおう、検索語句で自動録画するようになっているのですが、あまり網にひっかからない。

やっぱり、あの問題か。

少なからず自粛ムード的なものは感じますね。今までを振り返って考えてみても、ワーグナーって、「ホームクラシック」とは言いがたい位置に置かれてますもんね。

地獄の黙示録のおかげでワルキューレ、CMや白い巨塔でタンホイザー、あとはマイスタージンガーくらいか。でも、ローエングリンの「婚礼の合唱」とか、誰でも知ってるのもあるんですけどネ。

ワーグナーの音楽が聴ける良いチャンスの年かも知れなかったのに、そうでもなくて、残念。自分だけでなく、若い人たちにも聴いてもらいたかったですネ。ロックやポップスは私も大好きで聴きますが、音から何かを発想したりする際に、流行の音楽だけ聴いてきた経験では、どうしてもリソース(資源)の乏しさが出てしまいます。もちろん、絶対に色々な音楽を聴かなければならない‥‥というわけではないですが、自分の表現の「龍脈」として持っておいて損はないでしょう。

バッハ生誕300年の時、私は高校生でしたが、山ほどバッハの音楽がFMでタダで聴けて、幸運でした。私の価値観の基礎が形成されてしまった‥‥というか、音楽に留まらず、モノの受け捉え方の基本が、バッハの音楽から(言葉では中々言い表しづらいですが)色濃く影響を受けたのです。別にクラシック音楽の正式な教育を受けていたわけではなく、単なる遊びや好みで「ホームクラシック」に接していたのですが、バッハ生誕300年の数々の公開録音をFMで聴くうちに、すっかりハマったのです。

私がワーグナーの音楽をよく聴くようになったのは、18〜20くらいのアニメーター駆け出しの頃です。池袋のWAVE(今でもあるんだろうか)で輸入CDを買っているうちに、ふとワーグナーのCDを買ってみたのが、聴くようになったきっかけでした。

「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲に衝撃を受け、ご多分に漏れず「トリスタン」に猛烈にハマって、スコアを買って実際にMIDIで打ち込んだりと、せっせと入れ込んだのです。この頃に得た知識は、後に映像に形を変えて今でも重要なアイデアの源となっています。

ライトモティーフを主軸に据えた構造論が全てではないと思うし、ドビュッシーの言いたい事もよくわかります。ただし、ワーグナーのやり方が、ワーグナーの作品において成功している事も事実です。あまりこのへんの事を書くと、今後のネタばらしにもなるので書きませんが、親ライトモティーフ形式、非ライトモティーフ形式、両方で、ご飯数十杯はカタい‥‥という事でしょうか。妙な書き方でスミマセン。

これは作品表現・創造を志す若い人への伝言ですが、ワーグナーの音楽がピピッときたら、CDだけでなく、スコアも一緒に買って眺めましょう。楽譜が読めなくても、とりあえず構わないです。読譜のほんの基礎(テンポの進み方、音程の高さ‥‥程度の知識)があれば、目でついていけます。西洋の楽譜というのは、とても直感的でグラフィカルなUIを持っていますから、ただ眺めているだけでも、音楽(作品)の構造がバンバン目に飛び込んできます。「今、音楽を聴いて感受している衝動というのは、このような構造に依るのか」と「魔法の秘密」を垣間みる事ができます。セッションミュージックとは違った、スコアによって事前に計算されたヨーロッパ管弦楽曲の真骨頂です。

ちなみに、写真のキリッとした女性は、ワーグナー家の血筋をひくカタリーナさんの若い頃‥‥です。何とも麗しい。「ワーグナー」で検索すると、この写真、よく見かけますネ。

Objective

思えば、フィルム時代に先人が築いたアニメ制作システムは、まさにオブジェクト指向そのものでした。私がアニメ業界に出入りした頃には、既にシステムが確立されていましたが、どのような人々がどのような段階を踏んで、そのシステムを作ったのか、とても興味深いですし、感服する事しきりです。

オブジェクト指向をまさに現物として解りやすく表現したのが、カット袋です。カット数に合わせて新品のカット袋を用意して、カット1、カット2、カット3‥‥と生成していく様は、まさにクラスベースのインスタンス生成と同じです。

生成されたインスタンス‥‥すなわちカットごとのカット袋は、生成した素材を収納できる上に、尺は何秒何コマ、動画枚数は何枚、仕上げは何枚‥‥というカット固有のデータを記録できる他、演出チェック、作監チェックなどのメソッドの結果を記録する欄もあります。

もしかしたら、アニメ業界の人々にオブジェクト指向のプログラムを解説するには、カット袋を引き合いに出すのが、一番理解してもらいやすいかも知れませんネ。

旧アニメ制作は、カット袋を実体としたオブジェクト指向運用システムによって支えられていた‥‥と言っても言い過ぎではありません。カットを1カットごと逐次実行の別方式で追いかけてたら、大量のカットなんて捌けなかったでしょう。クラスベースに徹する事で、生産性を大幅に向上させていたのです。

時代は変わって、コンピュータが導入され、アニメ制作も様変わりしました。コンピュータのオブジェクト指向プログラムとさぞや相性が良いか‥‥と思えば、実際はどうもうまくいってないように思います。


私の考える未来の制作方式が、クラスベースになるのか、プロトタイプベースになるのか、実はまだ決めきれていません。「ワークフローを前提としたカット」という静的クラス的な考えに馴染みすぎており、習慣がついつい思考に表れてしまうのです。

ただ、以前から「カットという実体は存在しても、構造は動的で、決め型のフローの制約を受けない」方式は計画しています。カットそれぞれは「必要な作業要素だけを集積したもの」であり、カットのニーズによって最適なワークフローが形成される‥‥という構造です。

つまり、従来の「ワークフローがあって、その中でカットが動く」のではなく、「カット内容に準じて、最短・最適なワークフローが形成される」という、カットを上段においた考え方です。常識外れな事と言われるかも知れませんが、コンピュータを駆使した管理法ならば、決して不可能だとは思っていません。似たような方式で「BTO」「CTO」がありますネ。

フィルム時代に、オブジェクト指向の制作システムを築き上げた尊敬すべき先人たち。いつの頃からか、そのシステムを所与のものとして、甘えるばかりになっていたのではないでしょうか。ちまたで色々とアニメ制作の問題点を耳にしますが、デジタルの恩恵はたんまり頂いておいて、一方では先人のシステムに倣うばかりで自分たちでは新しく開発しないのでは、各所、綻びも出ようと思います。

旧来制作方式を踏襲するにしても、コンピュータ導入後の新しい「クラス定義」が必要でしょうし、新たな表現を求めるのなら、なおさら新しい制作システムが必要となるでしょう。

新たな時代の、新たなシステムは、誰かが用意してくれるまで待つのではなく、自分たちで作るべき‥‥だと思うのです。先人から受け継ぐべきは、所与のシステムではなく、システムを作り上げるに至った開拓精神だと、私は思います。

ファイル名の開放

アニメ制作にコンピュータを導入するようになって、当該の作業セクションはファイルを扱うために、ファイル名を自分たちの都合の良いように規定して、運用するようになりました。

セクションごとの都合を反映するため、命名規則はバラバラです。かく言う私も、atDBという独自規格ではコンポジット周りを考慮した内容になっており、近年では守備範囲を広げる事が困難になっていました。コンポジットを主眼とした設計が仇となった‥‥のです。例えば、

anime_01_100_tmg_t1.mov

‥‥というのは、作品「アニメ」のシーン「01」カット「100」のタイミング撮影のテイク1のQTファイル‥‥という意味ですが、アンダースコアでスプリットした第4フィールド(Array[3]ですね)は、半ば撮影用語専用のフィールドになってしまい、さらに「テイク」という言葉も撮影寄りの言葉になっています。

「タイミング」とか「本撮」とか、撮影限定の視点なら困らないですが、他のセクションで使おうとすると、このやり方では「狭過ぎて」使い辛くなってきます。

本撮の「本」は本番を意味する言葉でしょうが、「本番」なんて、他のセクションでも同様に存在する状態・状況です。「タイミング」という言葉だって、同じく。

例えば、

anime_02_050_ok.psd

‥‥なんて名前ですと、ファイル名だけでは、もはや「何のOK」なのか解りません。ツリー構造の上流を手繰っていけばセクション名が解り状況を把握できるのだとは思いますが、これはすなわち、ツリー構造を常に保っていないと成り立たないファイル名です。

限定されたセクションだけがファイル名を運用していた頃は、上記の方法でも上手くいくのですが、多くのセクションがファイル名を使い出すと、ファイル名が「判読困難」「意味不明」「同音異義」「迷子」になってしまうわけです。

現在、私が策定している新しい方式は、ファイル名を全セクションに開放できる内容を目指しています。

anime_01_100_comp-anm_v1.mov

‥‥大して変わったようには見えないのですが、意識上は大きく変わっているのです。第4フィールドの「comp-anm」は、「どのセクションが何を」を明記できる仕組みになっています。この場合は「コンポジット作業者がアニマティクスを」という意味です。

また最終の第5フィールド(-1フィールド)は、もはや「テイク」という言葉に縛られません。テイクでも、バージョンでも、リリース番号でも、公開番号でも、「何らかのバージョン」を記録できる仕組みです。添字を含めて名前でソートされて評価されます。添字の定義は、第4フィールドで記述したセクション(例の場合は「comp」)が自由におこない、データベースに「辞書クラス」として登録します。

もちろん、「comp」とは何のセクションか? 「anm」とは何を意味するのか? ‥‥も、辞書に登録しておきます。

つまり、「anime_01_100_comp-anm_v1.mov」は、「作品"アニメ"のシーン1、カット100を、コンポジット作業者がアニマティクスを作業して出力した、QuickTimeムービーのバージョン1」という事です。要は、ファイル名の中に「タグ」「メタ情報」が埋め込まれているわけですネ。

ファイル名はプログラム上で処理しやすい構造を持っている事も必要です。

作業セクションID「comp」を取得する場合(JavaScript)

"anime_01_100_comp-anm_v1.mov".split(".").slice(0,-1).join(".").split("_")[3].split("-")[0];

*ユーザ任意文字列でのドットの使用も認めているので、ちょっと回りくどく、お行儀良く分解(拡張子除去>基本要素分解>副要素分解)してます。「デリミタで文字列を分解する」シンプルな処理で、各要素が取得できる構造となっています。



「そんな事したら、名前がどんどん長くなって、キーボードを打つのが面倒」とか思うかも知れません。しかし、この新しい運用方法では、その都度、手でいちいちファイル名やカット名をタイプする事は無いのです。もしタイプする事があったとしても、データベース登録の最初の1度だけで、後は作業者全員がデータベースから「該当するカットID」を参照・指定するだけです。

冗長なファイル名を策定するのは、データベース&自動処理の基盤があってこそ‥‥かも知れません。管理上の名称を「人の手で打つ」事を重点にして考えてたら、ハッキリ申しまして、先には全く進めません。ISBNやJANコードを思い出してみてください。

色々な作業場面でコンピュータを活用すると言う事は、それだけ、把握すべき情報も増えるという事です。各セクションがコンピュータを導入し、各々好き勝手にファイル名を付けはじめたら‥‥、考えるだに、恐ろしい。例えファイル名が短くても、命名規則がバラバラでは、追っかけるほうは「無駄に疲弊」してしまいます。


そうして考えてみると、ファイル名を全セクションに開放する‥‥というのは、まず準備段階、基盤形成の時点で、ハードルが高い事がわかります。データベースでの管理基盤にのっとりファイル名規則を策定した上で、ファイル名を全セクションに開放する。‥‥かなり難しい事です‥‥が、やらずばならない事なのでしょう。



Logic Pro Xが出てた



いつのまにか、Logicの新バージョン「Logic Pro X」がAppStoreで販売開始されていました。

Logicは音楽を統合的に制作する環境で、音を1つ鳴らすところから、CDやサウンドトラックのマスターを作るところまで、すべてLogicひとつで完結できるソフトウェアです。‥‥が、その環境が17,000円で入手できてしまうというのも、現在のLogicの凄いところです。

価格破壊の「覇王」と呼んで、まったく差し支えないでしょう。

例えて言うならば、AfterEffectsとPhotoshopにTapcodeSuiteプラグインなど全部買いした状態で17,000円‥‥みたいなものですから、その破壊ぶりは相当なものです。

普通、音楽制作ソフトを買うと、オマケでGM互換音源(ひと通りの楽器音色)がついてくるくらいですが、Logic ProはGM互換音源は無論の事、エレピ専用音源、シンセ音源各種(ビンテージセンセのサンプル音源ではなく、波形発生&合成を素でやる)、ドラムマシン、サンプラーなど、夥しい量の音色が付属しています。

ループ音源(フレーズサンプリング)とサンプル音源(ソフトウェア音源)のコンテンツ合計で35GB!‥‥というところからも、価格破壊ぶりが解ろうというものです。

弦楽器の音源を例にとると、通常のサスティン持続の音から、ピッツィカートスフォルツァンド(sf)、トレモロトリル(半音と1音)が、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスそれぞれに用意されています。この各音色はもちろん、ADSR的なエンベロープ制御が可能ですし、ディレイエフェクト(数ミリセコンドでね)をかまして「マイク録り」のような空気感を表現する事も可能です。‥‥打ち込みの経験がある人なら解ると思いますが、音源としてトレモロやトリルが装備されているのは、何だかんだいってやっぱりありがたいです。
*残念ながらコルレーニョの音はありません。なのでホルストの「Mars」は1小節目から挫折する事になりますネ。観念して自分で作るか、NIかどこかの音源を買いましょう。

ナマの音の処理も、かなりの機能を有します。様々なエフェクトを装備しているのはもちろんの事、ギターアンプシミュレータも装備し、波形編集エフェクトも充実しています。「オーディオエナジャイザー」という昔からある波形編集エフェクトは、私の定番中の定番です。

ここにさらにIKやNIの音源を買い足せば、もはやもう何も要らないでしょう。

GarageBandもMac付属のオマケにしてはかなりの内容なんですが、いかんせん、音色数が少ないので、本格的にやろうとすると限界がきます。GrageBandが50ccの原付バイクだとすると、Logic Proは1100ccのリッターバイクみたい感じで、余裕が違います。


私は、この新バージョンX、秋か冬くらいに買うつもりです。その頃に必要になりそうな気もしますし。

初めて音楽を制作する際に、まず何から始めたらよいかわからない‥‥というのは当然の事です。管弦楽曲を欲するなら、オーケストラ団員分の楽器音はまず必要で、さらに奏法によって音色も変わりますから、考えただけでも途方にくれてしまいますよネ。

Windowsはなんだかんだ言ってビジネス系顧客向けのOSですから、趣味に関する装備はゼロから自分で買い集める必要があり、音楽をやろうと思ったらあれもこれもと買って、結構な出費が必要になります。

Macの場合は、ビジネス系顧客の獲得に敗北したゆえに、趣味やデザイン・アート系に矛先を向けた戦略にシフトした経緯がありますから、Macを買った途端に音楽ができるような装備になっています。生録をする際にMac本体の音声インアウトを使うのが嫌なら、ベリンガーの激安IF激安USB付きミキサーを買えば良いです。もちろん、生音の入力が必要無いなら、何も買い足す必要はなく、GarageBandで音楽は始められます。

そこにLogic Pro Xを買い足したら‥‥。

MIDIの創世記以前から音楽に親しんできた私からすれば、今の「Mac mini & Logic Pro」は「夢の制作環境」です。まあ、過去を振り返ったらきりがないのは承知しておりますが、少なくとも私がアニメーターのギャラでせっせと買い集めた300万円以上の設備を遥かに凌駕する内容が、「Mac mini & Logic Pro」の10万円以下に収まっているのは事実です。

もし、自分のアニメーション作品を作りたいのなら、ある程度は音楽もたしなまないとダメっす。商業ベース作品の監督に登り詰めて、商業的メカニズムで予算が充当できる(される)身分なら、自分で作る必要などないですが、企画段階やオリジナル企画、個人作家、若年の場合は、音も自分(または自分たち)で作らんと「世(=オモテ)に出せない」ですからネ。

そんな事で考えれば、Logic Pro Xの17,000円って、激安ですよ。アニメーション作品を本気で作るのならば、持っておくべき重大なツールの1つ、ですネ。

TPS

今日、ネットのニュースを流し見してたら、「TPS」〜トヨタ生産方式なんていう言葉があるのを知りました。

私は常々、自分がアニメーション制作運用の未来像として書き綴っている事は、特に奇抜な事でなく、「普通に考えて、そうなるだろう」という内容だと思っています。アニメ業界では奇異に映るかも知れませんが、他業種ではもはや当たり前になっている事も多いのです。

TPSの全てがアニメ制作の指針となるものではないでしょうし、TPSも弱点はあるでしょう。しかし、学ぶべき点も多いと思いますヨ。

>Wikipediaからの引用

〜前略

柱となるのが“7つのムダ”削減、ジャストインタイム、自働化である。おもに製造現場およびそれに付随するスタッフ部門で用いられている手法であるが、その考え方を基に間接部門や非製造業へ適用させていった業務改善手法をトヨタ式とも呼ぶ。

〜中略

トヨタ生産方式では、ムダを「付加価値を高めない各種現象や結果」と定義している。このムダを無くすことが重要な取り組みとされる。ムダとは、代表的なものとして以下の7つがあり、それを「7つのムダ」と表現している。
  1. 作り過ぎのムダ
  2. 手待ちのムダ
  3. 運搬のムダ
  4. 加工そのもののムダ
  5. 在庫のムダ
  6. 動作のムダ
  7. 不良をつくるムダ
〜中略

1人の作業者が複数の工程の作業をこなせるようにトレーニングすることである。これにより
  • 生産負荷が低い工程から高い工程へ人員を柔軟に移動させ、負荷の平準化を常に行えるようにする。
  • 1人で複数の加工機械を受け持ち、工程の少人化を実施する。
〜中略

「無駄の徹底的な排除」を実現するための方法の一例として、「自動化」・「機械化」の意味合いを持つ言葉である、自働化がある。

無駄は排除しなければならないが、合理化を進めるあまりに従業員の人間性やインセンティブ(労働意欲)を無視してはならない。このことから、トヨタ自動車では自動化の事を自働化と呼んでいる。

〜中略

トヨタ生産方式では、買ってきた機械類を何の工夫もせずにそのまま使うことは好ましいとはされていない。機械を買ってきて、そのまま組み合わせて使用して いるだけの人は「カタログエンジニア」などと呼ばれる。買ってきた機械に人間の知恵を織り込み、カタログ通りに機械を使う他社に対して差をつけることが求 められる。

〜後略


TPSって言葉、知りませんでしたが、今まで書いてきた事と多くの共通項がありますね。ちょっとビックリ。私が書くと聞く耳を持たれなくても、「世界のトヨタ」の事例だったら多少は耳を傾けてくれるんかな。

コンピュータがやっても人間もやっても同じ結果になるような雑事はコンピュータに自動化で任せて、人間は人間でしかできない事に従事すべき‥‥とかは、何度も我ながらアホほど繰り返し書いてきた事でした。アニメ業界には、まず自動化を取り入れようとする機運が感じられないし、仮に導入しても「人が関与すべき事も自動化して安易な低コスト化に走る」かも知れません。商業ベースと言えども、アニメは「商品と作品の二面性を持つ」事を絶えず意識しなければならないのです。

プラグインの機能やプリセットにそのまんま頼るのはやめようよ‥‥と書いた事もありましたが、そういうのを「カタログエンジニア」って呼ぶんですね。ふ〜ん。。。


私が書き綴っている未来の制作運用方式は、ロスを出来うる限り減らし、少人数制で運用する内容です。利点はいっぱいありますが、もちろん弱点も抱えます。ただその弱点は、今後の「戦い」において急所とならないという読みもあります。というか、急所を転じて攻めの要素として活用しようとすら考えています。

TPSの概略を読むと、360度の角度から見れば、弱点も色々見えてきます。しかし、一定の方位においては、非常に強い攻撃力と防御力を持っているとも思います。

戦車戦なんかもそうですが、360度全方位に強い戦車など存在しませんし、仮に作ったとしても重量過多で動きが鈍くなり役に立ちません。「パンター戦車は強い」「でも後ろから撃たれたら弱いじゃん」「だから後ろを見せない戦術、陣形で戦う」‥‥という事ですネ。

私の書いてる事って、知ってる人からみれば、「普通の事しか書いてないじゃん」という事ばかりですよネ。ただ、アニメ業界の現状からすると、突飛な事とか理想論とか言われちゃうんですよねぇ‥‥。もうそろそろ、皆、気付きはじめてるとは思うんですが‥‥。


統合制作環境

昔(いや今でも?)「IDE」〜統合開発環境という略語がありました。文字通り、統合されたソフトウェア開発環境の事ですが、現在私が取り組んでいるのは、言わばアニメーションの「統合制作環境」と呼ぶべきものかも知れません。

フィルム撮影時代の制作環境は、まさに統合アニメ制作環境と呼べるものでした。ワークフローはもちろんの事、カット袋やタイムシート、作画方式の標準化、各セクションを結ぶ情報ネットワーク(インターネットだけがネットワークじゃないよ)、コスト&スケジュール管理など、まさに統合的に制作を管理制御できる内容でした。

「今もそうじゃん」とか思うかも知れませんが、ハッキリ申しまして、コンピュータを導入したわりにコンピュータを有効に使っているとは、到底思えないのです。ファイルサーバは単なるデータ倉庫だし、メールは伝言手段程度の役割に終止しているし、ファイル名はあくまで「ファイルの名前」だし、Web情報サイトを開いていたとしても単なる掲示板だし。

要はリソースがバラバラなんですよネ。ネットワークで繋がっているわりに、制作上の資源は相互リンク・相互参照していない。

例えば、作業を完了してサーバにアップした事が、なぜWebで確認できない? 連絡が自動で行き渡らない? 作業状況の更新に繋がらない?

完成ファイルをサーバにアップロードする事と、メールで「上がりました」と連絡する事と、データベースを情報更新する事が、すべて「別枠」の「別行動」です。これらの行為を一括処理して情報をリンクする事って、別に難しくないぞ? ‥‥皆がやる気になれば、ですが。

おそらく、そこそこの人海戦術でこなせちゃう事が、こうした「あまりにも基本的なコンピュータの使い方」を阻んでいる‥‥というか、関心を持てない原因なのかも知れません。

「でもさ、今のままで、うまくいってるんだから、今のままでいいじゃん」‥‥と思う人もいるかも知れません。へ?‥‥本当に「うまくいってる」の? 散々、ギャラが安いとかいってるじゃんか。

人海戦術を行使すると言う事は、お金を多人数で分配すると言う事です。1000万のお金を、10人で分けるのと、100人でわけるのでは、手にするお金が大きく違うのは、算術のできる人間なら誰でも解る事です。30万の作業費を、1人で貰うのと、2人で分けて貰うのでは、額が大きく変わりますよネ。人海戦術体質にメスを入れず、ギャラを高くしたい‥‥となると、予算を上げるしかないですが、予算が増えると、さらなる人海戦術にのめり込む‥‥のでしょう。

今のようなコンピュータの使い方では、計画性もクソもありません。コンピュータに振り回されてんだからサ。コンピュータを厄介者扱いしているうちは、その厄介者を計画的に活用するなんて、あり得ない事です。

私がメインで関与する(=それなりの実行権限を持つ)作品では、たとえ不完全、未完成であっても、段階的に「統合制作環境」を構築して、制作作業に望もうと思っています。でも「統合制作環境」は、環境を敷設してお膳立てすれば、それでおしまい‥‥ではありません。その「統合制作環境」で作業する人間が、順応する必要があります。‥‥なので「皆がやる気になれば」と書いたのです。幸か不幸か、今取り組んでいる作品は、スタッフ数が微小なので、「皆」で取り組める可能性が高いのです。「人界」などとは無縁の、極めて少数スタッフによる作業体制ゆえに、スタッフを「その人でしかできない事に専念」させるための制作環境が必須となっているわけです。

些末なツールをどんどん作ったところで、さらに混沌の度合いを深めるだけだ‥‥と、さすがにこの16年で悟りきっております。2013年に達した現在、当座のソフトウェアを買い足したり単発で開発するのではなく、統合的な運用の仕組みが必要だと思っています。ほんの少人数の制作グループでも、最適な制作環境を自分たちで構築して作業する事で、今までの日本のアニメ制作とは大きく違った事を成し遂げられる‥‥と、確信しております。

フィルム時代の統合制作環境を作り出した先人たち。その統合環境で作り出した作品群が、世界で評価されているのは、誰でもご存知の事でしょう。

その先人の作り出した環境や作業テンプレートを、放蕩息子のように使い続けて消耗するだけで、ホントに良いんでしょうかネ? これからまた数十年生き抜くために、ポリシーの相違はあれど、自分たちで新たな基盤を作ってみようと、少しは考えてみても、よろしいのではないですか。


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