After Effectsに文字情報を埋め込む

‥‥というタイトルを見て、あまり深く考えずに「‥‥それって、テキストレイヤーの事でしょ」と言う人は、ご名答です。

After Effectsには、テキストレイヤーがあるので、文字情報ならいくらでも書き込めるのです。

現アニメ業界の制作技法に限らず、様々な「作業の取り決め」は大体が文字情報で表現できます。という事は、作業の取り決めを文字情報として策定すれば、After Effectsでも積極的な活用ができる‥‥というわけです。‥‥実はそれが、私が10年近く前から取り組んでいる「atDB」〜アニメーション技術情報データベース〜なんですけどネ。

事前の規約をしっかりフィックスしておき、After Effectsの「item」の番地を読み出すfunctionも併せて用意しておけば、情報に確実にアクセスできる仕組みがAfter Effectsのプロジェクト内部に構築できます。

itemの「parentFolder」をフォルダ階層の上方に向かって繰り返し文で読み出し、「root」に達したらストップするようなサブルーチン〜functionを作ります。さらにcompItem(コンポジション)かどうかもチェックします。そうすると、
 
/db/cutinfo@anime_01_001

‥‥のように、まるでフォルダの階層を指定するかのごとく、itemの特定が可能になります。さらに、そのitem〜コンポジション「cutinfo@anime_01_001」の中の特定のレイヤー「layer('transition_info')」のソーステキストを読み書きすれば、トランジションの情報をAfter Effectsに埋め込む事も可能となります。

もちろん、トランジション情報だけでなく、自分らのワークグループで埋め込みたい情報を「文字ベース」で規定すれば、いくらでも必要な情報をAfter Effectsのプロジェクトファイルごとに持たせる事が可能です。

After Effectsのプロジェクトファイルに必要な文字情報を埋め込んでしまえば、後はエクスプレッションで如何様にでも捌けます。
 
comp('cutinfo@anime_01_001').layer('transition_info').text.sourceText;

用語の正引き・逆引き辞書も、
 
OLi=カット頭OL
OLo=カット尻OL
FI=フェードイン
FO=フェードアウト

‥‥などの書式でやはりテキストレイヤーに書き込んでしまい、エクスプレッションで「連想配列」に変換、カット固有の情報と組み合わせて、
 
「カット頭OL(1+0)」

‥‥なんていう文字列をカットボールドに自動表記させる事も可能です。

普通のアニメ撮影の「スタンドアロン」状態のエクスプレッションでは、コンポジションのデュレーションを読み出して尺の自動表記は可能でも、カット毎に異なるトランジション情報は、テキスト手打ち込みで表記するしかありません。しかし、データベースから情報が供給されれば、様々な自動表記が可能になり、加えて、表記をミスる事も防げますし、事前に尺間違いに気づいて修正する事もできます。

「データベースサーバを使う」事を覚悟し、実際に運用すれば、After Effectsは別次元の「グループウェア」的な側面を見せ始めます。

データベースの運用になれて、使い方が洗練されはじめると、「そもそも、After Effectsに情報を書き込むんじゃなくて、サーバと随時アクセスすれば良いんじゃないか」という考えも浮かびます。しかし、私は未来の状況(全国各地に点在するスタッフとのやりとり)も考えて、「サーバへのアクセスが少なくても、情報を一回読み込めば、スタンドアロンで作業が進む」方法も残しておきたいと考えています。ゆえに、After Effectsに情報を書き込んでしまう方法も模索しています。

未来への課題は沢山あります。些末に見える、こうしたテキストレイヤーごときの運用術も、「ちりつも」で、やがて大きな成果へと結びついていくのです、

Gbpsだよ

人とは怖いもんで、4Kの解像度や48fpsの動きを見慣れると、それが「デフォルト」状態になってしまいます。HD映像に見慣れると、SD映像(今だとDVDで生き残っていますネ)が低画質に感じられるのと、構造的には同じです。

とはいえ、機材や世のインフラは、まだまだ4K48fps〜60fpsを余裕で扱える状態にはありません。ふと映像クリップのスペックを確認すると、旧来の「線撮」にあたる線画状態のオフラインムービーでも、4K48fpsでProRes422だと1.5ギガbpsまでデータ量が膨れ上がっており、ひと昔前のマシンでは到底扱える内容ではありません。
*まあ、オフライン用途だったら、ProResでもProxyとかを使えば良いんですけどネ。

ちなみに、DVDは0.009ギガbps、地デジは0.015ギガbps、Blu-rayで0.045ギガbpsくらい、現場でよく使われるProResやAvidなどの圧縮したHDコーデックでも0.1〜0.3ギガbpsですから、1.5Gbpsがどんだけ高スペックかは数字だけでもお分かりと思います。

1.5ギガ。圧縮しても、1.5Gbps。今のHDDの「実質転送速度」だと簡単にフレーム落ちしそうな秒間データ量スね。

環境をベンチソフトで計測してみましたが、Thunderbolt2で2台のSATAのHDDをソフトウェアRAIDでストライプした環境で、300〜320メガバイト/sec(MB/s)、つまり2.4〜2.6ギガビット/sec(Gbps)でした。この辺に詳しい人なら、「Thunderbolt2(=20Gbps)でその程度?」と驚かれるかも知れませんが、作業の性質上、速度はそこそこに抑えるかわりに、保守性と耐障害性を確保した設計なので、まあこの数字でも「良し良し」です。機材のチョイスとセッティング次第では、2ギガ越えの転送速度を個人レベルでも普通に確保できる事はわかりました。もうちょっとお金を足して、構成を「速度重視」にふれば、もっと速度は出せると思います。

一方、買ったまんまの普通のiMac(HDDを内蔵)とかでは(〜おそらく似たスペックのWin互換機も)、1.2ギガbpsくらいしか速度が出なかったので、メモリをキャッシュ用途(ファイルのデータを高速なメモリに一時保存する)で使い果たした後は、転送落ち〜コマ落ちが頻発する事でしょう。

SSDにすれば、すんごい速度が上がりますが、3〜6TBクラスでバックアップ付きの環境をSSDで実現するのは‥‥まだ絶望的なくらいコスト的にキツいっすよネ。運用方針をキッチリ規定して、「ラッシュ再生」用途に限定すれば、0.25〜0.5TBのプチ容量でも運用の機運は高まると思います。


*こんな速度が、コンシューマモデルでも出せるのは、いつになるのか。でも、SSD&Thunderbolt2なら、小容量(128GBとか)であれば、今すぐに、数万円で実現可能です。PVくらいなら収録できますネ。

とにかく、今の「高速」な環境は、4K48fps〜60fpsの「未来の映像フォーマット」視野では、「凡速」どころか「低速」にすらなります。‥‥‥‥はあ‥‥。

やっぱ、キツい。かなりキツい。

でも、「キツい」事は、「できない」事とイコールではありません。色々とやってみて、むしろ、「できるじゃん」という感触のほうが、実感としては強いです。「簡単とは一切言わない」ですけど。

18年前だって、Quadra650やPowerMac8500、Gatewayの166MHz(‥‥だったと思う)は決してスペック的に十分とは言えないものの、工夫と知恵で乗り越えてきたんですから、今だって乗り越えられるはず‥‥と自分を奮い立たせる今日この頃です。
 

怖がられて頂く

ねこまたやさんの「尺の計算について」アンケートは、本来なら全ての制作関係者が「正解して一致」すべきものです。タイムシートやカット袋の表記も、「業界内で標準化されたワークフロー」ならば統一されていてしかるべきです。しかし、もうずいぶん前から、型が崩れてグダグダになっております。これもねこまたやさんのツイートにある通りですし、私もこの10年以上、幾度となく目にしてきましたし、降り掛かった火の粉は容赦なく叩き落としてきました。

ちなみに私は、トランジションを含む為に尺表記とクリップデュレーション(継続時間)が異なる場合は、併記しています。これは私がアニメーター駆け出しの頃に作業場の人々から教わった当時のままで、今でも継承しています。例えば、3秒0コマのカットで、前のカットとのOLが1秒の場合は「3+0(3+12)」と明記します。今はこの併記が解らない人も増えている雰囲気を感じるので、「秒:3+0/クリップ:3+12」などのように「尺と実際のクリップのデュレーションが異なる」事を解りやすく書きます。

私が撮影監督の際、「のりしろを含むため、尺とデュレーションが違うのに、併記されていない」表記を見かけた場合は、全て修正して書き直しますし(カット袋の場合は油性の太いペンで)、表記だけでなく内容そのものへの修正が必要な場合は担当作業者に戻します。制作スタッフの中には「波風を立てたくない」という理由で戻すのをいやがる人(=「撮影さんで何とかして」)もいるのですが、実際問題として撮影できない素材では作業が前に進まないので、アニメーターか演出に戻すのです。

例えば、以下は「担当者に戻す」事例です。(タイムシート表記の再現図)


知っている人なら「ハァ?」とあきれてしまう表記‥‥ですネ。

Bセルは空(カラ)だから、まあいい。Cセルもリピートだから、足りない部分は埋められる。問題はAセルです。

オーバーラップの「のりしろ」に絵が用意されていないので、根本的に撮影自体ができません。まさか最初の絵を止める?‥‥そうすると、映像中のオーバーラップ部分で「絵が止まっているのがバレる」のですヨ。

オーバーラップののりしろ分を含めて尺を合計して、「尺が収まりません!」なんてアホ過ぎるし、編集時に「のりしろがないので、クロスディゾルブできないよ」なんていうのも、マヌケすぎる。

つまり、「前後のカットと絵が混ざるタイプのトランジション」における、尺とデュレーションの考え方は、こういう事です。




* *

日頃から感じるんですが、現アニメ業界の撮影監督の人って、「やさしくて、腰の低い人」が多いですよネ。そして、制作陣も「めんどくさくなくて、何でも言う事を聞いてくれて、波風も立てないで、融通を利かしてくれる撮影監督が良い」と思っているんじゃないすか?

で、その結果が、今の現場の状況です。シートの書き方はおろか、尺の記述も計算もできないスタッフが相当数紛れ込んでしまった現場へと徐々に変貌していったのです。

旧来のアニメ制作形式や技法を踏襲しているわりには、規定された事柄を何となくルーズに変えていった、2000年以降の「デジタルアニメ」。そして、撮影セクションが「素材のうまくいってない部分」を吸収して整える‥‥という状況。

この「うまくいってない部分を吸収」する状況は、撮影スタッフが責任感の固まりだから‥‥というよりは、撮影という作業工程が「素材を組み合わせて1つの映像にまとめる」作業内容ゆえ、なし崩し的に「尻拭いを背負わされた」から‥‥のほうが、的を得ているでしょう。「後の行程が上手くやってくれるだろ」みたいな態度をとれない作業工程ゆえに、「吸収せざる得ない状況に追い込まれた」のです。

吸収せざる得ない‥‥という状況に、私は反発してきました。‥‥大人しく言う事を聞かなくて、ごめんなさい。

‥‥でも、ですよ。

撮影監督はもっと周囲から「怖がられる」存在でも良いんじゃないですか? 「変な素材を渡したら、ドヤされる」と周りから思われておいたほうが、結局は作業現場全体の「ためになる」んじゃないですか?

嫌われたくないのは、解るんですがネ。でも、多少は怖がられてみましょうよ。じゃないと、どんどん、作業の型が「やさしさに溶かされて」崩れていきますヨ。

フィルム時代は、怖い撮影監督さんが多く居たようです。私はその当時、作画スタッフだったので、撮影監督さんと直に話す事は稀でしたが、演出さんとの雑談で「怖かった話」を多く聞きました。‥‥なので、「規定通りの書き方」を実践せねば‥‥と、気を引き締めたものです。

* *

ちなみに、私はデータベース上では、「カットの時間」を「TIME」、「クリップの継続時間」を「DURATION」というプロパティで記録しています。また、トランジション情報は代表的な表現については「FI」「FO」「WI」「WO」「OLi」「OLo」「BLi」「BLo」「WHi」「WHo」(大文字小文字は実際には無視されます)などの略語で扱い、それぞれのトランジションの尺を記録しています。出力担当者がサーバへアップする映像素材は、これらデータベース上の情報と照合され、尺間違いなどが事前にチェックされる仕組みです。

After Effectsのヘルパーツールでは、トランジション情報が「オートビルド」(自動によるコンポジション生成)時にプロジェクトに埋め込まれるので、仮に「OLi=1+0」だったら、カットボールドの表記はコンポジションが3+20でも、「3+0/3+12」と並列表記され、コメント欄に「カット頭OL(1+0)」と自動表記されます。(8コマはボールド分なので、どんな場合でも差し引かれます)

まあ、あくまで私が運用するワークグループでの策定内容なので、「古今東西、尺はTIME、クリップの長さはDURATIONと呼ぶんだ」‥‥なんていう万物の法ではありませんヨ。あくまで、便宜上、そうやって「私は」管理している‥‥という事です。

尺の表記って、ものすごく基本的な作法ですが、そのあたりが揺らいでいる今のアニメの現場は、まさに「現場の状況を口に出さずとも言い表している」のかも知れませんネ。

しかし‥‥、絵コンテのTIMEの欄に「トランジションののりしろを含めた、クリップのデュレーションを書き込む」なんて、形崩れにもほどがある。おそらく、経験の浅い「理由の知らない人」がやり始めたんだろうし、周囲の誰も注意しなかったんだろうな。‥‥幸い、私はそのような絵コンテには、まだ遭遇していないのですが、遭遇したら「表記を修正してください」と要請し、それが受け入れられないようなら作業を降りると思います。「融通の利かない人だなあ」と敬遠される由縁かも知れませんがネ。‥‥でもまあ、自らゲロしなければ、絵コンテに表記された尺が「のりしろ含み」か否かなんて他者にはわからないので、もしかしたら、既に「蔓延」してるのかな‥‥。
 

シンプソンズ・シーズン8

住環境の変化で最近は見ていないのですが、10数年前は「シンプソンズ」を好きでよく見ていました。最近、私のお気に入り話数が集中しているのは「シーズン8」のあたりだと解り、DVDを買ってみてみました。

パッケージはとても凝っていて、未公開映像なども収録されており、コレクターズアイテムらしい製品に仕上がってます。

ホーマーは二度越す」「悪魔のチリ料理」「最強の男ホーマー」「清く、正しい、スプリングフィールド」「シェリー・ボビンズがやって来た!?」など、1990年代の終わり頃に見た作品がいっぱい詰まっています。私の「シンプソンズ」のイメージはこのあたりで、シーズン1とかはバート(悪ガキの長男)の性格が大人しくて違和感があるのですが、シーズン8あたりになると悪魔ぶりが遺憾なく発揮されています。

しかし、2014年の今、映像を見返してみると、何よりもその画質の状態に驚きます。DVDの解像度もMPEG2の圧縮技術も、もはや前時代の品質なんだな‥‥としみじみ感じました。加えて、シンプソンズは絵の作りがもともと「モスキートノイズ」が目につきやすい作風なので、旧フォーマット上だと、絵をきれいにシャキっと見せるのは、中々難しいのかも知れません。

シンプソンズの制作体制は全く知らないのですが、キャラの影が至る所に出ているし(セル重ねによる影〜絵具の厚み分、セルが浮いて影が出てしまう状態を、「セル影が出ている」と呼んでいました)、トレスの気泡がブヨつくので、標準的なトレスマシン&セル画で素材を作っていると思います。記録フォーマットは、作品独特の色使いの割には発色が良いのと、粒状が目立たないところを見ると、35mmフィルム&テレシネのようには見えるんですが、フォーカスは甘めなんですよネ(フィルム時代の昔、日本のテレビシリーズはランニングコストが廉価な16mmを使い、OVAや劇場作品に35mmを使っていました)。デジタルマスターの際にデノイズして、粒状ノイズを軽減してるのかな? ‥‥とにもかくにも、向こう(米国)のやり方は、全然知らんのです。

でも、BDで高画質のHDマスター的なのが出るんなら、買い直しますヨ。

まあ、もっさりした発色も何だか懐かしい「シーズン8」なので、しばらくBGVとして重宝しそうです。


HDDケースを買い替え

USB3.0のHDDはよく「落ちる」。

恐らく、Macで特に不安定なのだと思いますが、突如HDDがデスクトップからアンマウントされる症状を、私はもう2年近く誤摩化しながら運用しております。しかし、自宅レベルとはいえ、大切なアーカイブを保存してあるサーバのHDDの「アンマウント癖」はもう誤摩化しきれないと観念し、新たに「安定動作で(わたし的な範疇で)実績の高い製品」へと買い替えました。

こやつ、です。


Logitec HDDケース 3.5インチ RAID (HDD4台用) USB3.0 + eSATA接続 ガチャベイ LHR-4BRHEFU3

4発ケースとしては、お高めの価格設定の18,000円台ですが、USB2.0/3.0, FireWire400/800, eSATAと、Thunderbolt以外の接続形式全部入りです。以前から、公私ともにこれをUSB3.0接続で3台使っていますが、少なくとも私の使用経験ではアンマウント癖は一切なく、1年365日24時間、動きっぱなしで健常動作しております。

USB3.0でアカン場合は、FireWireで‥‥と思って機種選定したのに、FireWireの出番は一切なく、USB3.0で安定動作しているので、ちょっとだけ悔しいス。でも、FireWireは経験上、素晴らしく安定しているわけでもないので、USBで安定しているのなら、それで良しです。

今回は、同型のバリエーション、USB&eSATAオンリーのちょっと廉価な「LHR-4BNHEU3」を買って試してみます。私はケース側のRAIDを使わず、システム側のソフトウェア上でRAID0を複数組みTimeMachineと組み合わせる「RAID0 + TimeMachine」運用(RAID10にちょっと似た感じになります)なので、RAID機能を持たない安価なEU3で十分なのです。これで数ヶ月運用して安定動作が確認できれば、ようやく「ひと安心」できます。
*RAID0を使うという事は、「いつかHDDがブッ飛ぶ」のを予期しているわけです。その日が来るのは、できるだけ作業のピーク時でない事を願ってはいますが(復旧に1日くらいかかるので)‥‥。私は企業が使うHourlyバックアップの機能が自宅にも欲しいので、RAID0を丸ごと、TimeMachineでバックアップしています。RAID1+0とかだと、耐障害性は確保できても、「間違って消しちゃった」みたいな人災には対応できないスもんネ。

「最初からコレを買っておけば良かったんだ」なんていうのは、結果から見ればそうですが、結果は行動してみて得られるものなので、仕方ねいです。365日安定動作するか否かなんて、商品の説明やユーザレビューだけでは、見通せませんしネ。

でもまあ、私が購入した他のUSB3.0ケースは、Mac Server用途ではNGだった‥‥のは確かです。USB3.0のHDDケースには随分と散財し、クローゼットの中には使えなかったケースがいくつも眠っております‥‥。そんなこんな、ロジテックの4発ケースは、今のところ、安心できる機材と言えます。

じゃあ、ロジテックは他も良い思い出があるのか‥‥というと、実は以前に4台買ったUSB2.0のケースの内、3台が「ファンの故障」で使えなくなった事があります。1台はファンが完全停止、2台は猛烈な騒音を発するようになって、電源をオンにできなくなりました。後にファンを買い替えて修理したんですが、故障するのが早かったので、製造メーカー(販売メーカーと言ったほうが適切か)には、良い印象はありませんでした。つまりは、製品毎に品質が大きく上下する昨今、「このメーカーを買っておけば安心という甘い考えは持たないほうが良い」という事‥‥なんですネ。

昔っから、「機材の相性」(細かく言えばコントローラチップやドライバソフトウェアなど色々でしょうが)などという釈然としない理由で、散財してきたわけですが、この状況は未来も延々と続くんだろうな‥‥と思います。コンピュータの世界とは、すなわち、煩わしいもの‥‥なんでしょうネ。
 

シャーマン

私はたまに模型雑誌を買って読むのですが、アーマーモデリングの6月号は「アメリカ戦車特集」だったので、アマゾンで即買いしました。模型ではドイツ戦車が昔から人気ですが、各国の戦車も負けず劣らずの持ち味があります。

兵器は何よりもまず、「戦って、負けちゃダメ」なわけですが、そうした闘争本能に関する各国の「お国柄」や「死生観」がデザイン上に「良くも悪くも」反映されます。子供の頃は、強くてかっこいい「キングタイガー」や「P-51ムスタング」「ゼロ戦」「F-15イーグル」ばかりに目がいきがちですが、マイナーな機種から醸し出される「様々な機微」が、大人になってからはある種の「味わい」として感じられるようになるのです。

アマゾンから届いた本を眺め、「アメリカ戦車は垢抜けなくて泥臭いのが魅力だなぁ」と満足しつつ、読み終えて本を閉じたら、タミヤのニューリリースの「ファイアフライ」と「イージーエイト」が表四(裏表紙って言うのかな?)にドンと掲載されていました。「2014年の今、誰向け?」「萌えアニメに出てくるのか?」と思いましたが、まずは素直に製品リリースを喜ぶ事にします。

よく調べてみると、純タミヤ製ではなくASUKAモデル製らしいですが、組み立ての楽なベルト式の履帯(=「キャタピラ」)みたいなので、発売されたら「買い」確定です。現在の私はプラモデルを作るのは趣味ではなく、資料目的なので、完成までに要する時間は短ければ短いほど良いのです。
まめ知識:「キャタピラ」は企業名・商標で、同社の履帯式トラクタが有名なので、世間でいつの間にか「履帯=キャタピラ」となったみたいです。同じような例で「ステープラー=>ホッチキス」「接着剤=>セメダイン」(これはちょっと世代を感じる?)「卓上の旨み調味料=>味の素」などがありますネ。

実は、ファイアフライもイージーエイトも、資料用に手元に置きたくて、ごく最近、サイバーホビー社製のキット(私にとっては憂鬱な、組み立て式履帯)を買ったり、ベテラン過ぎるタミヤのキット(70年代だと思われ)を倉庫からひっぱり出してきたのです。そんな中、タミヤから2つとも新製品としてリリースされるとはまさに奇遇も奇遇。いや‥‥ホントに、渡りに船。

「ファイアフライ」と「イージーエイト」はM4中戦車「シャーマン」から発達した戦車で、まるっこく背の高いボディに強力な主砲を搭載しているのが特徴です。WW2でのアメリカ陸軍首脳部の認識は、あくまで「戦車は歩兵の支援兵器」だったらしく、ドイツやソビエトに戦車開発で何歩も遅れをとっていたようです。そんな状況がまさにM4シャーマン戦車にデザインとして表れているわけですが、首脳部の認識がどうであれ「戦場の時計が止まる事はない」ので、M4シャーマンはヨーロッパ戦線においては「やられ役」のような窮状に瀕してしたわけです。まあ、戦車は必ず戦車同士で正面切って戦う事ばかりではないので、M4シャーマンがエブリタイム弱かったわけではないみたいですけど。

そんなこんな、ボディはともかく、主砲だけでも何とか強いものに変えたい‥‥と、普通過ぎる成り行きの思考のもと、作り出されたのが「ファイアフライ」であり、「イージーエイト」(型番のE8の愛称)です。下図のかわりようはどうだ。

この子が、



こんなになった。




イギリスがアメリカ製のM4シャーマンをイジくって、自国の強力な17ポンド砲を載せたのが、ファイアフライです。有無を言わさぬ長砲身が、森のくまさんのようなシャーマンのボディに、何ともいい感じで不似合い。



ちなみに、砲身の「白い波の模様」は、「遠くから砲身を短く見せる」ためのカモフラージュ〜迷彩です。こうしておけば、ドイツ軍に「普通のM4戦車だ」と勘違いさせる事もあった‥‥のでしょうネ。「シャーマンの砲じゃ、大した事ない」と油断してノコノコとファイアフライに近づこうものなら、17ポンド砲の手厳しい一撃が待っていた事でしょう。また、ドイツ側からみれば、刺されたら死ぬかもしれない毒バチのようなものですから、見つけ次第「始末」したいのは当然の事、‥‥「クマバチ」と「スズメバチ」を見誤ったら大変な事になりますもンネ。逆に、イギリス側はその「見つけ次第を回避」するために、迷彩を施していたのでしょう。

* * *

兵器が登場する「戦記物」ストーリーは、かなりの難易度があります。「時代考証が大変だから?」とか聞かれそうですが、それ以上に、「兵器を取り巻く状況や要素がドラマトゥルギーにもろに影響する」からです。逆の言い方をすれば、「戦記物でドラマを描くには、兵器をよく知っていなければならない」のです。

ストーリー上の都合良いタイミングで「新兵器」「高性能兵器」が登場すれば、人々の葛藤なんて生まれないですもん。辛いフリや勝ったフリを繰り返す、あまりにもウソっぽい演技を重ねるだけです。困った時にドラエモンのポケットからアイテムが出れば、兵器開発や戦場のドラマなんて生まれるわけもないし、銃後のストーリーも存在しません。

ファイアフライを見て、「イギリスは自国で、タイガーに対抗できる戦車を作っちゃえば良かったじゃん」なんて安易に簡単に考えるのは、「背後のドラマを感じられない人」です。なぜイギリスは、シャーマンに17ポンド砲を積むハメになっちゃったんだろう?‥‥と考え始めるのが、まさにドラマの始まり‥‥なのです。人それぞれが自分を思い通りにできず、様々な困難に立ち向かうのと等しく、鉛筆から戦車に至る様々な物品もまた、苦悩や葛藤の固まりなのです。

子供の頃は、単に造形や戦歴だけで熱中していただけの兵器プラモですが、さすがに大人になってイイ歳になると、否が応でも「デザインの奥に秘めた様々なドラマ」が目に飛び込んできて、それが創作意欲を掻き立てるのです。

ちなみに私はファイアフライが昔からお気に入りで、20年前にドラゴン製のキットを稲垣さん(私の事実上のエフェクト作画の師匠‥‥ですネ)と一緒に作った事がありますし、その他、1/72スケールの完成モデルが1つ、1/48が3つあります。今は作りかけの1/35もありますが、タミヤから発売されるなら、そっちに乗り換えようかな‥‥。

難しいままで良い

マシンが悲鳴を上げ、シークレット環境設定などに頼らないとレンダリングが完結できないほど、「劇重」の負担を要求する、(私の考える)新しいアニメーション制作技法。マシンだけでなく、作業に従事する人間にも、それ相応の技量と練度が必要になります。

コンピュータは、どこかうがった見方をされていて、「コンピュータの機能を使うから、作業内容は、どうせ簡単なんだろう」と思われているフシがあり、事実として「誰でも簡単にできる」なんていう宣伝文句で売るソフトが、過去は(今でも?)かなり多かったのは事実です。

しかし、私の準備する技法は、「コンピュータが簡単だなんて、口が裂けても言えない」内容です。そして、簡単な内容にしようとも考えておりません。コンピュータだけでなく、様々な要素が「とても難易度が高い」です。

でも、難しいままで良い‥‥と強く思います。簡単である必要はなし。

根本的な事ですが、元来「アニメーション技法は難しい」のです。そこは誤摩化しようがありません。

不特定多数の人々に働きかけようとして、「簡単だ」「楽だ」なんて喧伝したって、「良いものを作ろうとすれば、自ずと難易度があがる」のは明白です。

私は、未来の技法においても、「作画度胸」は必須だと思っています。コンピュータが「才能や経験を補ってくれる」なんていう甘い幻想は捨てた方が良いです。動きの実現手段としてコンピュータを用いるのは、私が何年も研究開発している事ですが、「コンピュータの機能だけで動きを作れるとは思っていない」のです。「動きは頭の中で作る」必要があり、「具現化の為にコンピュータ」を用いるだけです。才能は当人の修練次第。コンピュータは才能を拡張する働きをするものであって、補ってはくれないのです。

アニメーション技術は難しく、コンピュータを使いこなす技術も難しく、制作システムは多くの才能を要求します。でもそれが「売りもの」としての、根本を成すのですから、無理に内容を簡単に雑にして、「価値」を下げる必要はないのです。

そして、自らの価値を下げないためにも、今のままではやがて「自滅」するような旧システムを、惰性で延々と、継承し続けてはならないのです。強い痛みを伴い、大きな代償を支払ってでも、建て直す必要がある‥‥と思います。建て直した後には、支払った代償は、やがて再び、より多くなって、手元に戻ってくるのですから。

重くしたらブチ切れた

After Effectsの「シークレット環境設定」は、知る人ぞ知る、After Effectsの「ウラ技」ですが、こんだけマシンもソフトも余裕たっぷりの2014年現在に、もはやウラ技など不要!‥‥かと思えば、実は私は今でも使っているのです。

重い内容のレンダリングをさせると、「バキ!」「ブチバチ!」と強烈なノイズとともに、After Effectsがエラーを出して、マシンもろともフリーズさせる事があります。

「そんな、ウソこけ」と思われるかも知れませんが、何度でも再現できる、再現性のあるエラーなのです。アドビの人はこのエラーを認知してるかな‥‥。

「マシンの限界以上の事をさせると、ブチバチ、パキン!という音とともにフリーズする」なんて、何か、昔のアニメの描写そのものだよネ。正直、初めてこの症状を体験した時は、マシンのハードそのものがブッ壊れたのかと思いました。液晶にヒビでも入りそうな、強烈なノイズでしたから。

回避方法は、簡単ス。

シークレット環境設定の「レイヤーキャッシュ」の設定を「1フレーム」に設定すれば、エラーを回避できます。「んな、アホな」と思いましたが、本当です。この設定にすると、レイヤーのキャッシュ(=レイヤーの画像データの一時保存)を1フレームレンダリングする毎に破棄するので、メモリがオーバーフローしにくいのです。‥‥でもしかし、32GBもメモリを積んでいるのに、シークレット環境設定のお世話になるとわ。
*同じ絵が続く場合(いわゆる「止めセル」ですね)も、1フレーム毎に読み込み直しなので、当然、レンダリング速度は遅くなりますが、エラーは出ない(出づらい)‥‥という事です。

メモリを目一杯喰うレンダリング内容で、まさかマシンから強烈な異音が鳴り響く‥‥なんて、この件以外で記憶にないなあ‥‥。

マシンに「こんな重い内容、素でレンダリングできるか! レンダーキューを実行したら、何でもホイホイ大人しく、レンダリングすると思うな、ボケー!」と、ブチ切れられたかのようです。


アドビに報告しようかな‥‥どうしようかな‥‥。

ブラザーのスキャナ

月曜にアマゾンで買って翌日に届いたブラザーのスキャナ「ADS-2000」と「MDS-700D」。

お値段は、ADF付きのADS-2000が2万円ちょい、手差しの簡易スキャナが5,000円未満‥‥と、相場から考えれば随分な安値です。PFUのScanSnapが4万円前後である事を考えれば、同等製品のADS-2000の2万円は半額に近いです。

まず、ハンディな手差しスキャナのMDS-700Dですが、‥‥‥これはアカんかった‥‥です。

持ち運び用にソフトケースが付属しており、USBからの電源だけで動作しますが、そんな事より、スキャンがしにくいのが私にとって致命的でした。

MacOSX Mervericks環境ですと、色々な機能や操作の幅が制限されるので、使う気がどんどん失せてくるのです。

実は私、ブラザーの製品が好きで、結構色々とブラザー製品を買っているのですが(今回PFUではなくブラザーにしたのも、日頃の信頼感から)、今回のMDS-700Dは残念でした。いつも使う「ブラザーコントロールセンター」でMDS-700Dも操作できたら、何の不満も無かったのですけどネ‥‥。Mac環境では本体のスキャンボタンも死んだ状態なので、何だか悲し。

今回買ったもう一方、本命のADS-2000は、優れた競合製品も多い中、どれだけの性能を見せるかがキモでしたが、300dpiでグングン読み込む、期待通りの高速性能ADFスキャナでした。私がブラザー製品に期待していたのは、まさにこの感じ、です。

ストップウォッチで計測してみましたが、300dpiの設定で、41枚82ページを動き出しの挙動まで含めて105秒でスキャンしたので、十分速いですネ。とりあえず206枚ほどスキャンしてみましたが(何枚スキャンしたか、通算で確認できます)、特に紙を捌いて風通しを良くしていませんが、重送は一切発生せずで、これも好印象です。

ただ、1つ注意点が。

ローラーが鉛筆の黒鉛を引き摺るので、「黒鉛書きの厳密な原稿」のスキャンには「NG」です。何ぶん新品なので、ローラーの表面がこなれれば改善されるかも‥‥ですが、現アニメ業界の線撮などでの新品使用は控えたほうが良いと思われます。
*ADFは多かれ少なかれ、こういう問題が発生しますネ。ScanSnapでも多少ありましたし。

私は、ADFはラフスケッチ用、フラットベッドは清書原稿用‥‥のような使い分けをしているので、特に気になりません。要は「使い分け」でしょうかネ。

猛烈な勢いで動きを描きまくる際に、スキャナも負けずに高速にじゃんじゃんスキャンして欲しいので、高速動作かつ操作が手軽な事こそが、私の考えるADFスキャナの最重要項目です。「スキャンが面倒」だというキモチが頭の片隅にでもあると、描く絵の枚数を端折りがちになるので、「スキャン枚数が増えたところで、何の負担にもならない」と思い切れる「大量&高速」スキャナが手元に欲しいわけです。

* * *

私は「高速だけど画像品質の危ういADFスキャナ」と「手間はかかるけど画像はそこそこ良いフラットベッドスキャナ」の2種の組み合わせで、ワークフローを設計しています。2種の共通した欠点は「大小の差こそあれ、結局は絵は歪む」事ですから、「スキャン時点では精度は保証されない」事が「納得尽く」のフローを実施しています。

ネタばらしを事前にあまりすべきではないですが、私の実施しているフローでは「タップ穴」自体が存在しません。アニメーション作品作りにおいて、絵を描く行為や描いた絵をデータ化する行為が、「何を最終目標としているのか」を見極めれば、「タップ穴を使い続ける是非」を問う事もできるのです。

タップ穴は何のためにあったのか。複数の絵を位置合わせするための「アンカーポイント」ですよネ。‥‥であるならば、「タップ穴そのものにこだわる」のではなく、「タップ穴が成し得ていた内容の本質」を、現在の機材の利点や長所を用いて実現すれば良いのです。

私の考えるフローには「タイムシート」や「タップ穴」は存在しませんが、「時間軸上での映像表現の経緯をUI化する」事や「各素材の位置合わせ」は依然として存在します。‥‥まあ、あたりまえの事ですよ‥‥ネ。

「タイムシート」や「タップ穴」の「作業型」は踏襲していません。しかし、「タイムシート」や「タップ穴」が「成し得ていた本質」は、現在の技術を活用した別の作業型で実現しているのです。

私が先人から受け継ぎたいと強く欲するのは、「結果物」ではなく、「知恵」なのです。

* * *

フィルム時代から現在に続く旧来のアニメは、まさに1900年代の「申し子」だったのかも知れません。フィルム、カメラ、製紙技術、セルロイドやアセテートなどの化学繊維技術など、アニメは周囲の様々な技術を自らの制作技術へと吸収し活用していきました。

アニメの作り方は、何百年も前から伝統的に決まっていたものではなく、1900年代に「その時々の旬の技術を用いて」確立したものです。アニメ技術が生まれた頃は、身の回りで発展する技術を取り入れる事に、とても柔軟で意欲的だったのかも知れませんネ。

では、2014年の今のアニメの作り方は、「その時々の旬の技術」を取り入れているでしょうか。いつの頃かに確立した技法の、継承や代用に追われている感が強いですよネ。身の回りの現代社会で発展し続ける技術を、過去からの延長線上に縛りつけて、発展性や新しい可能性を自ら拒絶しているようにすら思うのです。

アニメは、いつから、「型」を決めきってしまったのでしょうかね?

今までの「型」から離れて、今一度、身の回りの様々な道具を眺めてみると、今までは見えなかった側面が魅力となって視界に飛び込んできます。「型」に馴れきってしまい、いつしか道具に無感動になっていた自分自身も、「型」から離れる事によって自覚できます。

「型」の色眼鏡を外せば、今そこにある鉛筆だって、別の見え方がしてくるもの‥‥ですヨ。

ADFスキャナを買う

昨日、ADF(オートドキュメントフィーダ)のスキャナと、手差しのスキャナを新規購入しました。今まで使っていたスキャナが、かなり前の製品ゆえに性能的に劣る(重送検知がない)うえに、経年劣化でどうにもヘタってしまったので、買い換えたのです。
*定番のPFU製のScanSnapではなく、ブラザー製を初めて買ってみました。ADFスキャナはPFUの半額、手差しのスキャナに至っては5千円を切る激安価格。使い心地は、私にとって未知の領域なので、現段階では言及を控えます。

SCSIの時代からスキャナを買い換えながら使い続けていますが、現在はスキャナやプリンタに「過度な期待はしない」心構えで使っています。要は、スキャナやプリンタの性能に依存しない運用方法です。

私は紙と筆記具の描き味が好きなので、現在のペンタブレットの性能を鑑みるに、まだまだペーパーレスには完全移行できない状況です。紙のように使えるペンタブなんて、まだ近未来SFの世界かなと思いますので‥‥。ゆえに、スキャナの登場回数もそこそこ多いのですが、根本的に精度を問わないワークフローにしているので(=精度は別工程で実現する)、多少歪もうが斜めになろうが、構わないのです。ADFスキャナの高速性能のほうが貢献度が大きいのです。

作業環境に用いる道具は、色々な長所と短所を持っています。私が思うに、短所がアキレス腱となる構造自体を改めて、長所が活きるように運用そのものを改変すべき‥‥と考えています。例えるならば、「サッチウィーヴ」のような戦術を開発し、長所を引き出す運用をおこなうよう取り組んでいます。
*「サッチウィーヴ」: 常識的な見識や正攻法で挑んで勝てないからといって、その道具が使いものにならないわけではない‥‥という点が、「零戦 vs F4F」の事例にあてはまるのです。子供の頃は「零戦神話」を信じて疑わない私でしたが、「やられ役のF4F」でも戦法次第では零戦に勝る事も多かったのを、大人になって知ったのでした。

スキャナには比較的スキャン品質の良好な「フラットベッド」スキャナと、読み取りが高速で作業の手間の軽い「ADF」スキャナがあります。これらスキャナを用いる際、短所を突かれて弱みが出るワークフローではなく、長所を活かしたワークフローにしてしまおう‥‥というわけです。また、A3サイズが読み取り可能なスキャナは高価ですが、であるならば、もともとA3サイズを避ける戦術に持ち込めば良いわけです。不利な戦いに巻き込まれるのを回避して、状況を有利なベクトルへと誘導する‥‥という、とてもシンプルな戦い方‥‥ですよネ。

もちろん、こうした話は、旧来ワークフローや作業習慣が「不動の絶対君主」となる現アニメ業界では通用せず、あくまで新しいアニメーション制作において可能な事です。

私が目指す「基本中の基本」は「有効活用術」です。スキャナの「使いどころ探し」もその一環であって、「得意な目標を設定」し、「目標を仕留める」使い方を引き出せば良いのです。「苦手な目標を設定」すれば、そりゃあ、ポテンシャルはぐんと落ち込みますよネ。コンピュータは「お金をかけたんだから、さぞかし、色んな面で素晴らしいはずだ」と思いがちなんですが、金をかけようがかけまいが、苦手と得意の両分野・両要素は内在するのです。

意外な面で「こんなにショボいの?」と肩すかしを喰う事もあり、時代とともに技術が進化しても、短所が未解決のままな事も多いのです。反面、使いどころを上手く見つけられれば、「価格以上の働き」をする事も珍しくありません。

ステッドラーの「925.35-20」とコヒノールの「5347」は、ごく平凡な筆記具のように見えますが、「描いたら止まらない」キケンな道具です。いつまでたっても芯がなくならないので、狂ったように描き続けられるのです。頭の中にある動きをラフでどんどん描き取る‥‥という目的において、今のところ、これに勝る道具は見つかっていません。現在のペンタブ&PCだと、動作がトロいし、何よりもダイレクト感に乏しいので、道具の使いにくさに負けちゃって、描き取る内容を妥協しがちなんですよネ‥‥。ペンタブにはペンタブ特有の長所を活かせば良いのでしょう。
*ちなみに、普通の鉛筆だと、「鉛筆削り」のタイミングでひと息入るので、そこでテンポが緩むのです。この芯ホルダーは、テンポが緩むタイミングがないので、ある種、極悪です。

「925.35-20」や「5347」と紙、ADFスキャナ、そしてAfter Effectsとの組み合わせは、「思うように動きをスケッチできる」強力な作業環境になりますが、「925.35-20」や「5347」で細い線を描こうとしたり、ADFスキャナで正確なスキャンをしようとしたら、いきなり「使いものにならない」ダメな道具へと変わり果ててしまいます。

道具の弱点をイジめるんじゃなく、長所を愛でて素質を引き出せば良いのですよネ。

そして、その引き出した要素を、個人の「便利技」の枠に留めるのではなく、制作システム全体の中に「臆することなく果敢に」取り入れていくべき‥‥なのでしょう。現業界のシステムはともかく、未来に関しては、です。

前述の「サッチウィーヴ」は私がよく引き合いに出す例です。「零戦」の格闘性能の優位に傲り、武器の更新タイミングを逸し、終戦まで「戦前の零戦」を作り続けた日本人。私は、何か、終戦間際にすっかり旧式になった零戦に乗り込む少年兵の姿が、今からアニメ制作を目指そうとする若い人たちにかぶるのです。システムの旧さを放置して、根性論や技術論だけで突き進む姿は、時が何十年経とうと変わらない「日本の姿」なのか‥‥と思う事もあります。‥‥が、少なくとも私は同志を募って、「そんな姿」からは脱したいと思うのです。


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