HDRの浸透

某映像配信において、HDRで視聴しているユーザ端末数は、何と1億2千万だとか。もちろん、総ユーザ数は、HDRではない端末も加算されるのでもっと多いとのことですが、全ユーザ数の7〜8割くらいが既に何らかのHDR対応端末で視聴しているとのことです。

 

HDRの機材的クオリティはまちまちですし、最近のiPhoneなども含めて100nitsのSDRではない「広色域ディスプレイ」ですから、特に意識せずにやんわりとHDRで視聴している人も多いのでしょうネ。

 

時代は確実に変わっていくのです。

 

アニメ業界がどんなに2K未満、SDRのままで作り続けたくても、です。

 

未来を拒絶してどんどん追い詰められるより、未来を受け入れてむしろどんどん活用したほうが良いのに、アニメ業界は様々な事情から、未来に対して否定的なスタンスになりがちです。

 

未来をハンデにしてどうする。

 

未来は活用してこそ、です。

 

 

 


TBHだよ

Toon Boom Harmony 17(以後TBH)を、構造的、かつ順序立てて段階的にトレーニングするうちに、どうやら、私が過去20年に渡ってAfter Effectsで実践してきたカットアウト的アプローチは、ほぼ全てTBHで実践可能だということが判ってきました。

 

さらには、After Effectsのカットアウトでは不可能だったことも可能になるので、未来の伸びしろ、表現の拡大は相当大きなものになります。

 

さらに優れた点は、欧米のソフトウェアならではの思想〜制作運用ありきの設計が当初からソフトウェアに盛り込まれている点です。「ライブラリ」の運用、空の制御コンポーネントを作って再利用する方法など、After Effectsのプロジェクト&コンポジションベースでは難しい、TBHならではの「運用の工夫」が可能です。

 

つまり、アニメーション制作ソフトウェアでありながら、「オブジェクト指向」のプログラム脳が活きる設計にもなっています。私はまだ触っていませんが、スクリプト制御も用意されています。

 

単に「使いやすい」で競うアニメーション制作ソフトウェアではない‥‥と、日々実感を新たにしています。

 

 

 

TBHは導入のコストが高い。‥‥誰もが感じる重要なポイントです。

 

であるならば、私は退くのではなく、どのようにして導入コストを相殺するかを考えます。

 

安い人件費、安いソフト、基準を下回る機材、効率の低い作業フロー、安い映像品質

 

VS

 

高い人件費、高いソフト、基準に見合った機材、効率の高いワークフロー、高い映像品質

 

つまりは、こういうことです。

 

もっと言えば、

 

今までと同じ制作フロー、今までと同じ役職、今までと同じ生活習慣、技術にふさわしくない低い報酬

 

VS

 

新しい制作フロー、新しい役職、新しい生活習慣、技術にふさわしい適切な報酬

 

とも言えますネ。

 

 

 

 

クリスタとTBHのハイブリッド構成は、人と技術を育てる基盤となります。クリスタだけでは頭打ちや行き詰まりが見えていますし、TBHの様々な機能を使いこなすにはアニメーターが事前にクリスタで「コンピュータに慣れる」ことが必要です。コンピュータに疎いアニメーターがいきなりTBHを触っても「TBHの基本構造」自体を持て余すでしょう。

 

とにかく、クリスタとiPad Pro 12.9インチで、絵を描きまくる。描いた絵をPCで加工してみる。自分をコンピュータに慣らす。

 

コンピュータ関連機器を扱って作業することを「自分の仕事の日常」にすることがまずは第1関門でしょう。

 

できれば、クリスタだけでなく、Adobe CCでPhotoshopやAfter EffectsやPremierも使って、自分で映像制作のひと通りを経験するのが良いです。

 

そうした前段階を踏まえれば、TBHの各種ノード一覧を見たときに、「うわ〜 美味しそう」と思えるでしょう。

 

プログラムを齧っておくのも良いです。macOSを使うときにターミナルのシェルコマンドや、After EffectsやPhotoshopのスクリプトを学ぶのも有用です。After Effectsのエクスプレッションを自作するだけでも、入門としては良いです。エクセルのセルの関数からでも良いです。

 

 

 

TBHはクリスタの代わりにもできますが、それじゃあ、もったい無さ過ぎます。

 

TBHを、クリスタやProcreateのように使っては、「宝の持ち腐れ」です。

 

まずは1年、TBHを使って、今までのカットアウトの取り組みを移行して、経験と知識を積み上げようと思います。

 

 

 

TBHでカットアウトの可能性が飛躍的に広がる。

 

今までの作画技術、日本の美意識による映像表現もある。

 

TBHだけでなく、クリスタやAfter Effectsなどのソフトウェアも併用して、今までの経験値は無駄になるどころか、相乗的に掛け合わされます。

 

ルッサーの法則的に言えば、作業の過酷さに苛まれて、

 

「0.7x0.7x0.7=0.343〜34%」=完成品:34点

 

‥‥の、酷いケースではなく、新しい技術と旧来技術の良いところを掛け合わせた、

 

「1.3x1.3x1.3=2.197〜220%」=完成品:220点

 

‥‥というワクワクする未来のケースも想像できます。

 

 

 

自分たちの未来を、なぜ「ネガティブの集合体」にする必要があるのか。

 

今までの良い部分、新時代の良い部分、改めて見極めて、組み合わせれば良いじゃん。

 

ごく普通に、考えれば良いのです。

 

 

 

未来を見極める立場のいい歳をしたベテランたちが、忖度や日和見に一生懸命で、「誰かの後を追いかける」リーダーシップ欠如の態度をとれば、制作現場も相応に迷走して目的を見失うでしょう。

 

今、アラウンド50のベテランがすべきことは、自分の経験と技術を踏まえて、新たな時代の技術もちゃんと直視した上で、どのようにリーダーシップを発揮すべきかです。

 

TBHが「日本の現場には合わない」なんて言い続けているような忖度と日和見だけのベテランは、リーダーシップも未来のビジョンもなく、ただ自分の立場の保身に邁進するだけの人‥‥というのは言い過ぎでしょうか。

 

アラウンド50のベテランこそ、2020年代に発起すべきだと、私は思っています。

 

なので、TBHの体得も頑張ります。必ず、カタチにします。

 

 

 


さらに雑感

業界関係者の制作現場関連のツイートがほぼネガティブな内容で埋め尽くされているのを見るに、やっぱり何を言っても、従来の現場の行き詰まりは決定的なのだと感じます。

 

ツイッターでは、嬉しかったこと、ワクワクしたこと、夢や希望を感じたことをツイートしても良いはずなのにね。

 

私は、Toon Boom Harmonyのトレーニングを進める中で、覚えることがいっぱいでこぼれ落ちそうになる「いっぱい感」もありますが、それにも増して、未来はあれもできる、これもできる、それも解決できると、希望が膨らむことのほうが「いっぱい」です。今までの日本の制作スタイルとは大きく異なる部分も多いですが、それこそが過去の因縁と悪習と悪貨を断ち切る最大のポイントと実感できます。

 

 

 

現時点では「あくまで私個人の考え」ではありますが、例えば、未来の動画単価は、その作業内容と社会背景(つまり労基)から鑑みるに、1枚平均1000〜2000円は必要だと思います。

*もちろん、口パクなどの極めて作業時間の少ない絵は、1000円以下になります。あくまで「変動単価」であり、内容(特に線の多さ)によって算出されます。

 

冷静に考えてみれば、線の多い今どきのキャラの動画単価(1枚)が200〜300円台なんて、お話にならないでしょ? 現在の単価はつまり、動画作業者は、1日10数枚=日給2000〜4000円で働け!ということを、暗に強要しているのです。

 

完全歩合で1日4000円の手取り換算で、1ヶ月休みなしに働けば、12万円稼げる?????‥‥そういう未来をアニメ業界はこれから先も突き進むでしょうかね?

 

ほら。‥‥従来の制作現場の話をすると、私もネガティブトーンになります。つまり、制作現場そのものがネガティブな様相に覆われているのです。

 

 

 

動きを1枚1枚描いて動かすスタイル〜昔から現在に至る日本のアニメのスタイルは、どうやってもお金がかかります。そこで無理をしてお金がかからないようにするために動画200〜300円の単価が設定されます。相変わらずの「地獄」があります。

 

私は動画単価を1枚平均1000〜2000円の間の「変動単価」(線の多さによっては数百円から数千円の大きな変動もあります)にすることをまず「未来の従来作画スタイル」の目標に定めます。「そんなことしたら、お金がかかってしょうがないだろ」と思う人は、新しい技術を知らぬ旧世代の人。‥‥新しい技術とハイブリッドにすることで、旧来技術の地道で時間もお金もかかる動画作業には、作業に見合う単価を設定できるのです。

 

新しい技術とは何か?‥‥というと、カットアウトです。リギングとアニメーションを分割した新しい手描き&コンピューティングの技術です。当然、1枚単価ではありませんし、作業効率は大きく向上するので、報酬の基準も旧来現場とは全く変わることとなるでしょう。

 

カットアウトがたとえ今は極めて少数派でも‥‥です。

 

私は園芸もやるので、あまりにも小さな種でも、やがて芽を出し、大きく育ってたくさんの実をつけることを知っています。

 

‥‥ほら。既に胎動が始まっているカットアウトをはじめとする新技術を主とすれば、ポジティブな話のほうが多くなります。

 

 

 

現在のアニメ業界は、最初から数多くのアニメ制作会社がドカンと同時多発的に生まれて形成されたのでしょうか。

 

違いますよね。

 

最初はまさに「草分け」でしたよネ。

 

最初はアニメ業界なんて存在しなかったのです。

 

 

 

現在、アニメ業界が当然のように導入している「デジタルアニメーション」だってそうです。

 

最初、アニメ業界の大多数は「デジタルアニメーション」〜彩色以降をコンピュータで作業する方法を、遠巻きにして怪訝な視線で傍観していたのを思い出します。

 

1990年代のアニメ業界人の多くは、「セルとフィルムの代わりになるものなんてない」と考えていました。

 

で、現在は? ‥‥ご覧の通りです。

 

 

 

業界団体が定期的にアンケートをとって集計していますが、そこにみえるのは現在の状況であって、未来のビジョンなど何も見えません。業界人の「現在の思い」を集計するのですから、未来に関することと言えば、ただ漠然とした「もっと待遇を良くして欲しい」という要望に終始するのは当たり前です。

 

アンケートで未来が予測できると勘違いしている人はそこそこ目にしますが、アンケートだけでなく過去の転換期の「歴史」から学ぶことが必要です。

 

 

 

例えば、飲みの席で、未来を志向するテーブルはポジティブな話題で溢れ、過去と今に執着するテーブルはネガティブのぶつけ合いみたいになるのは、まさに「過去と未来の映し鏡」と思います。

 

現状に不満だらけで未来の具体的なビジョンを持たなければ、呑んでいても愚痴や不平ばかりが噴出して、一時的な憂さ晴らしで盛り上がるものの、シラフに戻れば過去と変わらぬ現実が待ち受けています。

 

そんなのさ‥‥。すぐは無理でも、徐々にでも抜け出して、やめにしないか?

 

若い人たちは、オジサンのネガティブな吐露に付き合うのではなく、同じオジサンでもポジティブ志向の人たちと付き合った方が良いよ。マジで。‥‥自分の未来に関わることだから。

 

 

 

ネガティブからスタートしても良いのです。

 

ポジティブ要素を精査するためにネガティブ要素をぶつけて検証するのはアリです。

 

ネガティブがやがてポジティブな未来へと繋がっていくのならば。

 

今は辛いし不安も多いけど、そこから、どうやってポジティブなプラス方向へと自分たちが向かっていくのか‥‥を話せば良いのです。

 

愚痴のぶつけ合いではなく、話の中心に絶えずポジティブ志向、プラス指向がしっかりと存在すれば、多かれ困難が降りかかろうと、目的地を見失わず歩いていけます。

 

 

 

 


雑感

Toon Boom Harmony(TBH)のトレーニングを、カットアウト重視で、本格開始しました。

 

制作作業との「1日・二毛作」ですが、苦になりません。日本では「夜明け前」のカットアウトですが、様々な機能をリアルに学習できて、期待と希望のほうが優っています。

 

TBH 17には、未来を左右する恐るべき機能がテンコ盛りです。

 

 

 

4KHDRをはじめとした未来の映像フォーマットの世界で、日本のアニメ制作現場が生き残れるかは、新しい技術の導入にかかっていると思います。

 

新しい技術を導入しなければ、未来社会において、まず作画工程において「お金」で破綻します。破綻する側は、会社側であったり、作業者側であったり、様々ですが、どっちにしろ破綻「しないわけがない」です。‥‥というか、遠の昔に破綻してるんですけどね。2019年現在、動画の中堅経験者の人が、1日1万円稼ぐのに、250円の動画を40枚描けるでしょうか? 今のキャラデザインじゃあ、無理ですよネ。だからって、ハッスルパンチの時代まで戻す?

 

アニメ産業での「三部会」(作る側、作らせる側、買う側)を開くと、一番困るのは、旧来〜現在のアニメ業界そのもの‥‥でしょうし。「第三身分」が反乱を起こすと一番困るのは、当のアニメ制作現場ですしね。

 

無理なんよ。今までのやり方じゃ。‥‥もう未来は。

 

だから、新しい技術、新しいソフトウェア、そして「新しい制作意識〜お金の新基準」なのです。

 

 

 

秋、冬。そして新しい春が来る。

 

沈む太陽、昇る太陽。

 

沈む夕日を追いかけて、海岸線に殺到して海に飛び込みますか?

 

それとも、昇る朝日を待ち受けて、海岸線を新たなスタート地点として太陽と共に歩みますか?

 

 

 

理屈で考えれば、今何をすべきか、全ての世代ごとの「行動の選択肢」が見えてくるはず‥‥です。

 

 

 


魂を込める

おじいさん世代にありがちな認識として、木や紙や鉛筆を使うと「魂を込める」行為になって、合成樹脂やコンピュータやCGだと「魂が込もっていない」という論調があります。

 

おじいさん世代に限らず、そういう言い方をする人はそこそこいるようです。

 

あのさあ。

 

コンピュータを電源を切ると揮発する一時的なメモリ領域の中にだって、作り手の魂は宿りますよ。

 

 

 

手で描くことが魂を込めること‥‥というのも、非常に馬鹿げています。

 

昔ながらの紙と鉛筆こそに魂が宿る‥‥というの考え方も、極めて無知です。

 

 

 

紙と鉛筆を一切使わないペンタブ作画は魂が込められていない絵なんですかね?

 

After Effectsで微細なニュアンスを表現するために、手数を惜しまず、繊細なグラデーションや質感描写をする作業は、魂の無い作業なんですかね?

 

一方、ぶっ飛ばしで描き殴って、できるだけ楽に金稼できる、雑な紙の原画にも、無条件に魂が込められていることになるんでしょうかね?

 

 

 

魂を込める云々は、作り出す過程における当人のスタンスの性質です。

 

消化試合、やっつけ仕事、片手間。‥‥紙だってフィルムだってコンピュータだって画像データだって、魂の宿らない状況はいくらでもあります。

 

紙でもコンピュータでも、鉛筆画でもCGでも、関わった人々の熱量が高ければ、魂が宿ると私は考えます。

 

 

 

作り手の心情など大して考えたこともない人が、「魂を込めた」云々なんて軽はずみに言って欲しくないです。

 

魂を知らずして、なぜ、魂を語るのか。

 

「魂」という安易に単語を持ち出して、自分のセリフに酔いたいだけのように思います。

 

 

 

アニメの1カットは、作画=アニメーターだけでなく、演出も彩色も背景美術も特効も撮影もVFXも3DCGも編集などのポスプロも、そして制作進行も、全ての要素による「ルッサーの法則(注*」によって、その「魂のボルテージ」が決まります。

(注*各部品段階での信頼性の向上はシステム全体の信頼性の向上に寄与するということに着目した信頼性に関する法則〜Wikipedia

 

素晴らしく仕上がった映像を見て、「アニメーターの魂が」と言うのは、あまりにも無知。

 

全ての工程の人間が、魂を込めるからこそ、素晴らしい映像に仕上がることを認識しましょう。

 

私は1カットのプロダクションが始まる「レイアウトの作画」=アニメーターと、全ての素材を組み合わせて様々な効果を施して完成させる「撮影・ビジュアルエフェクト」=コンポジターの、プロダクション(プリプロの後、ポスプロの前)における「最初と最後」を担当してきたので、「生みの苦しみ」と「育ての苦しみ」の両方を日々実感しています。

 

例えば「水の表現」をアニメーターが描くとき、関与できるのは線画で表現できるマッスとフォルムの「輪郭」のみです。どのように色を彩って、どのようにコンポジットするかが、水の自然描写は極めて重要です。‥‥そんなことも知らずして、「アニメーターが、アニメーターが」とアニメーターのことばかり言及し、さらには「紙にこそ魂が」‥‥などと言うのは、厚顔無恥なのです。

 

制作進行さんが経験と機転を利かして動けば、クオリティは絶対に確実に良いものとなります。紙に鉛筆で一本も線を引かなくても、魂を込めることは可能なのです。

 

 

 

私は「魂」という言葉はあえて使おうとは思いませんが、「魂」をもし語るとすれば‥‥

 

魂は、どのセクションにも、どの道具にも、どの手段にも宿ります。

 

作り手の心情、情熱、何か作るために生きた証が、結果物にIncludeされるからこそ、その完成物を見た人間が「魂」を感じ取って圧倒されるのです。

 

 


CSP, TVP, TBH

Clip Studio Paint EX=CSP、TVPaint=TVP、Toon Boom Harmony=TBH‥‥と、商用アニメーション制作用の商用ソフトはおおまかに3つあるわけですが、それぞれ性能の特徴とおかれた状況が異なります。

 

この3つのどれを選ぶかは、単にアニメーター視点で「描きやすいから」という理由だけではジャッジするのは難しいです。アニメーターはシステムでものごとを考える習慣があまりない=カットをあげることに集中し、システム運用や開発の視点を必要とされてこなかったがゆえに、目先の使いやすさや利便性でソフトウェアを選びがちなのは、様々なツイートを見てても判ります。

 

未来のアニメーション制作運用の「ビジョン」、そして直近の作業をどんどんこなす「現実」を踏まえた、遠くと近くの両方の視点が必要だと、私は考えます。‥‥いや、考えてるだけではなくて、日々の取り組みと経験からひしひしと痛感します。

 

私は現在、CSPとTBHを主軸にすべく、取り組みを進めています。なぜ、その2つなのかは、明確なビジョンに基づく、具体的な理由があります。

 

理由は特に難しいことではなく、「戦略と戦術から鑑みる、適切な装備の配置」によるものです。要は、適材適所です。

 

 

 

まず、CSPですが、選択する理由は明らかです。導入時の極めて低い価格設定は誰もが認識していることでしょう。日本国内のユーザ数は、アニメーターだけでなく絵描き全般で考えれば、相当多いと思います。同僚が電車に乗っている際に、車内でネームをiPadで作業していた乗客もいたとか。

 

TVPも「送り描き」〜つまり今までのアニメの技術を踏襲するのに適したソフトウェアであるのに、なぜ私がTVPを選択していないのかは理由があります。

 

  • 導入価格の問題〜サブスクリプションなどの導入しやすい価格設定がない
  • サポートの問題〜バージョンアップが途絶えており、日本に拠点がない上に、日本専任の担当者が当座いなくなり(中国市場と掛け持ちと聞き及びます)‥‥云々

 

値段は当面の問題。しかし、私が一番恐れている要素は、国内にTVPaint開発販売会社の支社がなく、そこにきて日本担当の人もいなくなると聞き及び‥‥と、「将来の運用」の面です。

 

TVPaintって、日本国内に拠点をおけないくらいに、ユーザ数が少ないんでしょうかね‥‥? アニメ会社やフリーランスのアニメーターが使っているだけでは、到底ペイできないのかな。日本のTVPaintのユーザ層って、アニメ制作関連だけなのでしょうかね? ‥‥でも、バージョンアップが止まっていると聞き及ぶに、開発やサポートの鈍さは日本だけの問題ではなかろう‥‥。

 

私は当初、過去に身近に、Aura使いの人がいたので、後継のTVPaintにはプラスイメージをたくさんもっていたのですが、色々と調査するうちに「たしかにアニメ業界でTVPを使っている人々はそこそこいるけど、例えば16万円のライセンスを10個導入して、160万円分の投資は将来有効に作用するだろうか」と不安を感じ始めました。

 

また、これは「人との出会いの運命」だとは思いますが、TVPaintの動画作業依頼の前段階で、発注を打診した会社(の窓口)から4K機材の提供を要求されたり(2〜3カットの発注で4K機材までこちら側で調達して貸し出すなんて無理ですもん)、そもそもスケジュールの関係でお引き受けして頂けなかったり、TVPの日本の担当者が休暇でしばらく連絡が取れなかったり(代理が立っていない)と、色々なマイナス要素が重なったのも悲観的な観測に傾いた原因でした。

 

Auraの後継がTVPaintであることを考えると、ソフトウェア自体は優れていると思うのに、様々な要因がTVPを遠のけた‥‥と言えます。

 

一方、CSPに関しては、まず国内の開発会社(セルシス)であることはかなりのプラス要素で、価格設定も「学生の頃から使ってください」とばかりに「エデュケーション」まで視野に入れた金額です。iPad版も用意されており、サブスクリプションの金額も安価です。

 

そこにプラスして、「人との出会いの運命」もプラスとなりました。すでにCSPの運用を実践している会社さんに色々と話を伺うこともでき、clip形式によるシンプルなフローで引き受けて頂いた会社さんも数社ありました。

 

「人との出会いの運命」は、ぶっちゃけ、CSPにとって運が良かったとも言えるのですが、この運の良さは「たまたま」だけとは言い切れない側面を感じます。

 

また、CSPは発展途上とは言われますが、Auraの頃(前世紀!)から開発しているTVPと比べれば、スタイロスというよりはコミックスタジオから発展したCSPが随所で劣っているのは当然とも言えます。CSPは開発会社だけでなく、ユーザ側もどんどん要望して「育っていく」ソフト〜将来的な伸びしろを期待できるソフトです。

 

もし、TVPの現在の問題点の改善〜バージョンアップ=開発ペース、サブスクリプション=安価な導入の選択肢、日本支社=サポートの充実‥‥が実現されれば、当然のことながら、CSPから乗り換えるユーザも増えるとは思います。それが可能かは、まさにTVPaintの開発会社次第です。

 

 

 

TBHはどうでしょうか。

 

TBHはCSPに比べて猛烈にお金がかかりますよネ。TVPはプロ版16万円ですが、それよりももっと高いです。

 

Toon Boom Harmonyは、CSPやTVPと同列に語るソフトではありません。アニメーション制作ソフトウェアのハイエンドとして認識し、CSPやTVPでは不可能な領域をTBHで実現することに大きな意義があります。

 

ですから、CSP視点、TVP視点でTBHを捉えると、値段の高さだけが目につくでしょう。‥‥でもそれは、目の付けどころにそもそも錯誤があるのです。

 

トップガンで言うのなら、CSPやTVPがA-4スカイホークやF-5タイガーのアグレッサーだとしたら、TBHはF-14トムキャットです。つまり、TBHを操縦しきれないと、価格が極めて安価なCSPに「簡単にカモられる」わけです。

 

TBHは各種装備を縦横無尽に使いこなしてこそ、CSPやTVPの何倍もの能力を発揮し、さらにはCSPやTVPでは不可能な領域まで踏み込むことが可能になるでしょう。

 

 

 

私は、何か1つのソフトに絞るのではなく、制空戦闘機と戦闘爆撃機が1つの戦闘機集団を成すように、アニメ作画のソフトも用途に応じた運用が効率的だと考えます。

 

ゆえに、私が考えているのは、CSPとTBHの混成集団です。例えるなら、F-16CとF-15Eです。

 

 

*あくまで「たとえ」です。CSPとTBHの価格差ほど、F-16とF-15のユニットコストの差はないですヨ。

 

 

CSPとTBHの混成集団は、今まで何十年も解決できなかった「ギャラ〜作業報酬」の問題を解決する基盤ともなります。説明が長くなるのでここでの言及は避けますが、「なんでもかんでもゼロ戦の思想」から脱却することで、「作業に見合った装備と報酬」、そして総合的な収益の新しいモデルへと転換することが可能と考えます。

 

何か1つの個体が万能なんてあり得ないのです。ゼロ戦もF-14もF-15もF-16も、F-22やF-35ですらも、万能戦闘機ではありません。必ず、どこかに致命的な弱点を抱えます。

 

ソフトは何のための装備か。

 

自分らが勝ち取るべきフィールドとは結局何か。そのフィールドはどこにあるのか。

 

まず、自分たちが獲得したいフィールドを明快に定義し、そのフィールドを攻略する技術集団と装備を形成する。‥‥シンプルな思想ですよネ。

 

 

 

「使いやすい」だけでソフトウェアをジャッジするのはやめましょう。

 

現在の運用事情に加えて、将来の発展の伸びしろ、未来の制作現場のカタチを考えて、今、何を導入して未来の一歩となすか。

 

アニメーターだけでなく、クリエイティブ全体、プロデュース全体の視野で見据え、ロードマップを描いた上で1歩ずつ道を進むのが、プロのアニメ制作業の人々が成すべきこと‥‥と私は思います。

 

 


スマートスムージング、雑感。

クリスタ1.9.1で実装された「スマートスムージング」の機能は、1.2Kを4Kにするのにも使えそうだけど、4Kを8Kにする際にも良さそうですネ。

 

4Kはあくまで進化の過程のフォーマットで、今後8Kへと映像進化のコマが進むことは、映像機器の博覧会に行けばすぐに判ります。気が早いかも知れませんが、頭の片隅で4Kの次はどうしたものか‥‥と考え始めており、4Kを現在の最大目標としてともかく、今のマシンの進化速度では8Kをドットバイドットで作るのは、正直厳しいと感じています。100万円のマシンでも8Kを容易く処理できるほど高性能じゃないので。

 

クリスタに限らず、スマートスムージングが他でも実装されるようになって、4Kから8Kのアップコンに使えそうなら、ひとまずは安心します。8Kは今は絶対にキビしいですもん。4Kを作っていてしみじみ実感します。

 

そうか。せっかくクリスタを使っているんだから、3840から7680pxにアップコンしてみて、具合を見ればよいですネ。ちょっと様子を見るくらいなら、8bitでもまあいいか。

 

クリスタって、16bitにはまだ対応してないよネ。なので、例え連番でも、映像をフィニッシュするには、まだ性能がイマイチ足りない側面は残っています。

 

 

 

スマートスムージング。

 

あくまでジャギったエッジをスムージングするので、そもそも繊細な線の描写は無理そうです。線を細くするのではなく、拡大のジャギを綺麗にする目的のようなので、拡大してボケた絵の印象を改善するのが役割と思います。

 

ただ、このスマートスムージングを「これ幸い」とばかりに用いて、1.2〜1.5Kの「まま」で作っていると、報酬も今までの「まま」‥‥というオチにはなりそうです。

 

制作現場がコレを悪用して、未来も2K未満で作ってスマートスムージングで良い‥‥なんて話になると、アニメ業界の2020年代の業務改革は元の木阿弥にもなりそう。‥‥1枚200〜300円の動画単価のまま、苦しい生活から抜け出せないアニメーターが2020年にも続出しそうではあります。

 

今まで通りが良い‥‥というのは、今まで通りに買い叩かれることに繋がりかねず、むしろ、改善を抑え込む理由にすらなり得る危険を孕んでいる‥‥ことをお忘れなきよう。

 

 

 

ちなみに、映像配信大手は、

 

「中間素材から4Kであること」

 

‥‥という条件を標準にしています。

 

この条件は一見「ゲゲ!」と思いますが、

 

絵を丁寧に作って、それに見合う高い報酬を受け取る

 

‥‥という、アニメーターをはじめとしたクリエイティブ部門のスタッフに対する、またとない大きな転機・改善の機運になると私は考えています。

 

でもまあ、それもこれも、制作集団の生きる道、未来の生まれ変わりに関することですから、それぞれが未来を見据えて道を選択していくしかないです。

 

自分たちの未来の運命は、まさに自分たちの現在の行動が握っています。

 

 

 

私は、初めてもらった動画の報酬が、封筒に50円玉1枚でした。高校在学中のことです。月末に研修料金で1枚だけ本番を作業したので。

 

思えば、それは良かったのです。

 

最初からそこそこの待遇、多少安くても給料で働いていたら、その「異常さ」に気付けなかったでしょうし。

 

今こうして、「自分の代で、この「悲劇を通り越した喜劇」を幕引きにする」と決心するに至ったのですから。

 

全くの笑い話ですよ。50円玉1枚の初めてのプロの仕事。泣きながら笑うわ。

 

 

 

私と同世代のみなさんはどうでしょう。

 

昭和平成の曖昧な調子のまま、引退まで逃げ切りを選択しますか。

 

それとも、後続の世代とともに、新生の道を選択しますか。‥‥私はこっちです。

 

2020年代。

 

それぞれの制作集団の中で、70〜80年代アニメブーム世代の人間の行動が問われていくでしょうネ。

 

 


色彩のテスト

おそらく、アニメ制作現場の、美術、彩色、撮影の人は、得意だと思われるWebの色彩診断テスト。

 

私も色々やってみました。

 

まず、イエローの彩度、色相、明度を見分けるテストです。

 

 

8%って、人口の割合で言えば、そんなに希少ではないよネ‥‥。

 

次に、8つの色から見分けるテスト。これはそれなりに迷いました。多分、何問か間違ったはず。

 

 

ピンク色もありました。

 

 

 

結構、難しかったのは、グラデーションの流れを汲むテスト。

 

色相、彩度、明度の3つの要素の推移を読み取って、歯抜けを当てはめるテストです。

 

 

 

他愛のないゲームみたいな診断ですが、実際、イメージボードとかを描いたり、透過光のフレアとかをAfter Effectsでトーンカーブで作る際に、このあたりの知識が必要になります。

 

RGBを思い通りに扱うのは、言ってしまえば「ある程度は慣れ」なのですが、理屈を踏まえると慣れやすいです。

 

色相はRGB値の偏りの傾向です。Rの数値が大きく、他の数値が少なければ、赤っぽい色相になります。Rが220、Gが70、Bが40ですと、赤っぽいオレンジになります。

 

彩度はRGB値の落差の傾向です。Rが255でGBが0だと最強に彩度が強い赤になりますが、Rが150でGBが120だと、赤っぽいグレーになります。RGB全ての値が近似するとどんどんグレーに近くなってきます。一方、RGBそれぞれの値の落差が激しいと鮮やかになります。

 

明度はRGB値の平均的な大きさの傾向です。Rが255でGBが20だと明るく鮮やかな赤になりますが、Rが80でGBが0だと暗く濃い赤になります。RGB全てが200だと明るいグレー、RGB全てが70だと暗いグレーになります。

 

RGBがどのように色彩を形成しているかを知っていれば、こうしたWebの色彩診断テストは知識だけでもかなりクリアできると思います。

 

感覚だけでやっていると難しい‥‥とは思う一方で、生来の感でクリアしちゃう人もいるでしょうネ。アニメ制作現場には、案外「野生」で色を識別する人も多いですもんネ。

 

ちなみに、同じ黄色でも、赤が少し混ざると「ホンダのカーニバルイエロー」っぽくなり、緑が少し混ざると「スズキのサイエンスイエロー」っぽくなります。クルマやバイクの新車の色(経年変化で退色するので新車が基準)をRGBでイメージしてみるのも楽しいですヨ。

 

プラモデルのカラーを、RGBで再現するのも楽しいです。軍用色は、グレーとひとくちに言っても、様々なグレーが山ほどありますからネ。海のグレーやら、空のグレーやら。

 

現実世界の塗料の場合、RGBと違って、色を掛け合わせるとどんどん暗く濁ってくるので、頭の切り替えが必要ですが、これもやっぱり慣れですネ。私は絵具を使うときは、無意識にサッパリとRGBの習慣は忘れて、CMY的な脳に切り替わります。

 

絵具は、原料の特性や色ごとに「染めるチカラ」が違うので、RGBよりは遥かに混色の加減がデリケートです。塗り重ねの「隠蔽力」も違うので、一般論の他に、それこそ塗料のメーカーごとに特性を覚える必要があります。

 

塗り重ね時の「泣き」(下塗りの塗料が溶け出して混色する)まで考慮すると、コンピュータのRGBより格段にノウハウが必要なのが、現実世界の塗料です。

 

 

 


実寸などいらない

びた1枚も紙が存在せず、プリントアウトもしない、完全ペーパーレスのアニメ作品には「実寸」はありません。

 

実寸を気にして、何でも実寸を当てはめようとする思考の人間は、ペーパーレスの映像制作には向いていません。脳の思考を刷新しましょう。

 

 

 

「この作品の解像度は何DPIですか」と聞かれることがあります。

 

紙が一枚もないペーパーレスの作品運用において、いわゆる「インチあたりのドット(ピクセル)数」という概念はもはや無いんですよ。

 

‥‥なので「ゼロ」と答えるか、「A4ならば400〜600dpiですかね。ただし、あくまで感覚的な目安です。」と答えています。(4Kドットバイドットなので仮定のDPI/PPIの数値もデカいです)

 

実寸を気にする人は、「何に対する実寸」かをまず考えましょう。

 

そもそも「実寸」とはどういう意味か。「実際に測定した寸法」だそうです。

 

ペーパーレスの制作運用で、実際に何を測定するんでしょうか。HDやUHDのサイズ〜1920pxや3840pxは、何か実在する物品を測定したのではなく、フォーマット策定時に規定したビットマップデータ上の寸法です。

 

ペーパーレスなので、紙の用紙は存在しません。

 

iPad Proの画面寸法? 13インチや16インチや24インチのCintiq? もしかしたら家庭の42インチや55インチのテレビ? スマホ? 劇場のスクリーン???

 

もし仮にA4用紙に描いたとしたら?‥‥という仮定がどうしても必要でしょうか。

 

一切、紙が存在しないのに、紙を仮定することの愚を、あえて犯しますか。

 

 

*こんなふうに、iPadに定規を当てて測る? ‥‥な、アホな。

 

 

 

台引き、BG引きのことを気にして、「コマ何ミリ」の指定を踏襲したくて、「実寸」思考を手放したく無い人もいるでしょう。

 

それがまずダメなのです。NGです。

 

ペーパーレスになったのなら、ミリとかセンチとかインチは、かえって混乱のもとです。紙の実寸でしか寸法のイメージができない人間は、ペーパーレスの制作現場には不要です。

 

「じゃあ、BG引きとか、どう指定するんだよ」

 

‥‥と思いますよネ。

 

でもね‥‥。ミリとかセンチとかの尺度がなくなっただけで、いきなりお手上げになってしまう思考が、そもそも大きなNGなのです。

 

いくらでも指定方法は思い浮かぶでしょう。「1秒あたりここからここまでで、尺いっぱい」とか。「1秒あたり1/4フレーム」とか。「カットいっぱい、A点からB点まで」とか。

 

フィルム時代の慣習を引きづり続けて、「0.5ミリ/k」とかシートに殴り書きするのは、もう通用せんのですヨ。

 

 

 

どうしても単位が必要なら、CSSのemとかremとかviewpointの発想で、ペーパーレス時代の単位を決めるのは有効だと思います。

 

ただし、絶対的な単位ではなく、相対的な単位が求められます。

 

未来はもはや2Kだけでなく4Kや8K、しかもZ軸無しのXYオンリーのベタ置きコンポジットではなく、Z軸も普通に使うコンポジットになりますから、px=ピクセルは使えません。

 

3840x2160のカメラフレームで、フォーカス面より奥(Z位置)へ3000px離れた位置にあるBGやBOOKを果たして何ピクセルでスライドすれば、自分の思い通りの速度感になるか‥‥なんて、レンズの画角も絡んで、もはや想像不可能なのです。

 

「見た目がどのように動くか」を指定する方法は、ミリでもセンチでもピクセルでもないんですヨ。

 

 

*さて。これをどのように、ミリやインチやピクセルで「スライド指示」「引き指示」をしましょうか?

 

*Z軸の配置を1000や2000pxで仮配置していますが、カメラを移動した時の視界の変化によって、奥行きのZ軸の値も大きく変更して調整しなければなりません。Z軸の奥行きを旧来の演出指示で指定できますか? まさか、また「TU, TB」を持ち出しますか?

 

*奥のボートは、例えば、何ピクセルと引き指示を書けば良いでしょうか。フォーカス面より離れた位置にあり、しかもカメラ自体がXYZの全ての軸線で動いていますから、4K(3840px)カメラフレームの収まりと、実際の引き幅のピクセル数は、相対的に考慮した上で指定する必要があります。「全素材ベタ置き」感覚では対応できません。

 

*フィルム時代、紙時代の経験値は、映像の「感覚的」なジャッジにのみ有効で、「数値的」なものは全く無力になります。新しい尺度の感覚で対応すべく、潔く覚悟しましょう。

 

*ミリやセンチなんて持ち出すのではなく、標準フレーム(カメラフレーム)を基準として分割した値を決めるなど新しい単位が必要ですが、軽はずみに定義できることではないのは、上図のZ軸の様子をみれば、お判りと思います。

*こういう解説図もちゃちゃっと描ける、コンセプト.appは楽し。

 

 

そうした新しい世界の新しい寸法感覚に馴染めないのなら、引退もやむなしでしょう。古い流儀は要りません。

 

実際、古い世界の流儀を何かと持ち出してくる人間は、新しい技術による現場においては、大混乱を引き起こし大迷惑になります。「モニタじゃわからん。プリントアウトすれば、そこに書き込んで指示する。」なんて御仁は、ペーパーレス時代には進まずに身を引いて去るべし。紙から離れられない人間が、せっかくのペーパーレス環境に、どんどん紙を氾濫させることになるのです。

 

ペーパーレスで4K8Kの世界に身を投じるのなら、今までの実寸感覚をキッパリ捨てるのが大前提です。大事に持ち続けても、災いのもとにしかなりません。

 

 

 

iPadで絵を描いている人同士がやり取りする時、例えば「キャラの位置を1センチずらして」なんて、言わないですもんネ。

 

もしセンチを使いたいなら、「仮のこのキャラクターが実在して、身長175cmだったら、その世界観の中で、1センチ分」というのなら、わからないでもないです。「用紙の中の1センチ」ではなくてネ。

 

紙の用紙のあれこれは、ペーパーレス時代においてはもう過去の記憶なのです。昔話として、アルバムにしまっておきましょう。

 

 

 

頭を切り替えましょう。ただそれだけで良いのです。

 

0.125ミリなんて忘れましょう。

 

フレームの収まりで尺度を考え、過去のフィルム撮影台の値は忘れましょう。

 

ベテランは、過去の数値にしがみついて離れないのではなく、豊富な映像制作経験からくる「映像の感覚」で勝負しましょう。

 

頭が固い=ベテラン‥‥なんてレッテルを貼られるのはイヤでしょう? ‥‥私はイヤですよ。

 

妙なプライド、過去の慣習で武装するのではなく、映像の経験と感覚で武装しましょう。

 

 

 

去る者は追わず。

 

しかし、まだ未来に生きようとするなら、一緒に未来の映像フォーマットを迎え撃って、世代を超えて未来を拓きましょう。

 

 


時代とともに、あるいは背を向け

VHS時代には16ミリフィルム、DVD時代にはSDのデジタル映像データ、BD時代には1.2〜1.5KアップコンのHDのデジタル映像データ‥‥と、アニメ業界は旧態依然としながらも、実は、時代に呼応する形でフォーマットを乗り換えながら歩んできました。

 

これはアニメ業界の多くのスタッフが無意識‥‥というか無関心かも知れませんが、時代に合わせて、納品物のフォーマットを変えてきたのです。

 

つまり、4Kテレビが普及し、テレビ放送や円盤商売だけでなく、ネットの映像娯楽産業も普及した未来においては、当然のことながら、アニメ業界で納品するフォーマットも「未来のソレ」になります。

 

フォーマットの進化がいきなり止まるわけ、ないじゃん。

 

いつもと同じように、アニメ業界も社会に合わせていくことになります。

 

もしアニメ業界が社会と離反するようなら、それはアニメ産業の終焉を意味します。博物館で陳列されるだけの「懐かしの産業」となるでしょう。

 

 

 

アニメはいつも、社会の技術変化に合わせて歩んでいます。

 

誰かが最初に道を切り開いて、その道に続く形で日和見層は追随します。

 

しかし、今度の新しい道〜転換期は、作画全般に及ぶので、切り開いた道に全員参加で追随できるかどうかは、ナゾです。

 

もしかしたら、アニメブーム時代(=人口的にも多い世代)のアニメーターの老化・体力の衰えとともに、一旦、制作者の層は激減するかも知れない‥‥と、ふと私は考えることがあります。

 

今までのようには、今度はいかないのではないか‥‥と。

 

アニメブーム時代のアニメーターの大半は紙とともに去るのではないか‥‥と。

 

 

 

10年後、アニメの産業は、果たしてどうなっているのか。

 

今は持ちこたえている会社も、10年後にどんなことになっているのか、まさに10年後の事実が証明するのでしょう。

 

 

 

 

 



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