モニタ

4K環境に移行するとき、特にiMac Proのような機材だと、環境全体のモニタ構成には気を配る必要があります。

 

iMac Proのモニタは決してキャリブレーターもなければ、各色域(sRGBや709やDCI P3や2020/2100など)をプリセットで切り替える機能もなさそうなので、都合、4K HDRのプロ仕様(なんか曖昧な表現ですが)のモニタが必要になってきます。

 

ということは、5K&4K。結構、ビデオ性能をいっぱいに使います。2Kのモニタに換算すれば、モニタ8台分以上のビデオ出力です。

 

4Kや5Kのモニタは、外見は2〜2.5Kのモニタと変わらなくても、消費するビデオ性能は格段に大きいです。

 

ゆえに、いくらThinderboltコネクタに空きがあり、以前使っていた2〜2.5Kモニタがあっても、安易に繋ぐと各モニタへの出力が支障が出るケースもあります。実際、私らの使っているMac Pro 2013は、4096pxの4Kモニタを2台繋ぎ、さらに1440pxのプチモニタを繋いだら、全体のリフレッシュレートが30Hzに落ちてしまった‥‥なんてことがありました。ギリギリだったんですネ。

 

iMac Proは、

 

  • 4台の外部ディスプレイで3,840 x 2,160ピクセル解像度(4K UHD)、60Hz、十億色対応
  • 4台の外部ディスプレイで4,096 x 2,304ピクセル解像度(4K)、60Hz、数百万色以上対応

 

‥‥とのことなので、性能に余裕がありますが、私らが使いたい解像度は3840と4096の両方なので、何をきっかけに十億色が数百万色にダウンするのかは知っておきたいところです。

 

 

ちなみに、今でも8bit出力&入力の環境は主流で、sRGB&Rec.709を運用している分にはあまり問題にもなりませんでしたが、次世代の色域になると、8bitは過去の遺物となります。テレビの4K自体が、HDR10(10bit)、Dolby Vision(12bit)、HLG(10bit)と10bit以上の時代に移行する成り行きですから、現在の機材〜特にモニタとマシンはどんどん古くなっていきます。

 

お茶の間のテレビより、アニメ制作現場のモニタの色数が低くてどうする。‥‥という未来は、やがてやってくるでしょう。

 

ただ、ツールウィンドウをおいておくモニタに4K HDRなど必要ないですから、既存の2Kや2.5Kのモニタを廃棄する必要もないのです。

 

4Kモニタの性能の足をひっぱらないように、旧時代のモニタを接続・設置すれば、作業スペースを広々と使えるリッチな環境となりましょう。

 

 

 

移行期においては習慣では乗り切れないことも多く、新たに覚えるべき知識も増え、考え方を一新する必要性も生じますが、それはもう「世の常」ですので、さっくりと意識を移行するのが肝要でしょう。どうせ、世の中は変わるもんなんだし。

 

 

 


3Vボマー、A380

プラモは映像制作のアイデアの源。

 

‥‥と言うことで、また新たに3VボマーとA380を作ることと相成りました。

 

3Vボマーとは、イギリス空軍のVを頭文字にした爆撃機、三羽ガラス「ヴァリアント」「ヴィクター」「ヴァルカン」です。

 

本家イギリス・エアフィックス社から新金型のキットも発売され、最近下火となっている旧ジェット機の新製品に飢えていた私は、給油機バージョンも含めてキットを所有しております。

 

 

 

箱がでかい! 中身もでかい!

 

でも、B-36の1/72を所有しているので、「巨大」とは思いませんけどネ。とはいえ、実際に日本の家屋に置くと、それなりに存在感があります。

 

また、必要に応じて、1/144のA380も買い足しました。実際に使うかはわかりませんが、現代旅客機で4発のバージョンが欲しかったので、とりあえず作っておきます。B787-9のロングボディとどちらを選ぶかはテストしてみてですが、B787はスマート過ぎて小型機に見えやすいので(それが魅力でもありますが)、イメージにハマるかどうか。

 

 

A380は相当な巨人機で、その1/144ですから、まあ、そこそこの大きさはありますが、やはり1/72のB-52やB-36やベアよりは可愛い大きさですから、さくっと組んでしまいます。

 

いずれも、サーフェイサー仕上げなので、時間はかからず組み上がることでしょう。

 

 

 


技術の作り方

たまに聞く「アニメには30コマは定着しなかった」という論調ですが、残念ながら、アニメ作画が30pに延々と対応できていないだけで、今でも30p納品のアニメは特にゲーム用途などで存在します。24p納品もありますが、30p納品も依然として存在するのを、アニメ制作現場の人たちがあまり知らないだけです。

 

で、その30pへの対応は、かなりヤバいことになっていて、一番原始的な方法で納品しているのを今でも垣間見ます。

 

昔は3:2プルダウンが定番でした。WSSWWなどの方法で、おおまかに言いますと、2フレームを2.5フレーム=4フレームを5フレームに変換して24から30に変換していました。24コマから30コマに変換する際に、0.08秒につき0.5フレーム相当を合成して作り出すので、不自然さが目立たなかったのです。

*「WWWW」の4コマを、「WSSWW」の5コマに変換する「フィールド合成」方法は、人間の視覚と旧世代のテレビの特性を鑑みた、非常に優れた変換方法でしたネ。

*その昔、3:2プルダウンの画像合成をおこなうソフトを、REALbasicで、画像合成プログラムの習得がてら作ったことがあります。フィールド合成の内容はさほど難しくない画像合成でした。WSSWWなら「11,12,23,33,44」でフレームを偶数か奇数のフィールドで分割して合成するだけの話です。WWSSWの場合は「11,22,23,34,44」になるので、「3:2」ではなく「2:3」プルダウンと呼んだようがしっくりきますネ。

 

しかし、最近見かけるのは、12344方式です。つまり、0.17秒につき1フレームまるごと複製してフレームを増やすので、特にカメラワークに大きな影響がでます。例えば、12345678‥‥と滑らかだったPANが、1234456788とPANの動きにひっかかりができてシャクるわけです。「変だな?」と思ったらコマ送りして確認すれば、同じフレームの絵が5回に1回出現するのですぐにわかりますヨ。

 

なぜ、以前のプルダウンがNGなのかというと、単に上映する媒体の問題です。櫛状のSフレーム(セパレート=2枚の絵が櫛状に合成されている)がプログレッシブ再生のモニタだと目につくからです。WSSWWの「SS」の部分、1フレームを1.5フレームに伸ばしている部分が目についてしまうわけです。

 

とはいえ、12344の変換は、あまりにもむごい。

 

今まで何のために、苦労して作品制作してきたのか、12344の変換方式ではあまりにも報われません。一生懸命作った料理を、最後の最後で盛り付けに失敗して大量にこぼしちゃうがごとくです。

 

PANのカメラワークが映像にあらわれるたびに、カクンカクンカクンカクンとPANがしゃくるのは、ぶっちゃけ、見ていてかなり不快ですし、技術的にみっともないです。絵作りとか作風以前に、「映像障害」「事故」にみえるからです。

*とはいえ、クライアントからフィールド合成もフレーム合成もダメ!‥‥と言われてフレーム複製で対応する事例は多いようです。

 

スッキリ回避する方法はあるんですよ。ただ、現在の撮影工程は、あまりにも技術の固着化が進み過ぎてますし、カメラ撮影台の亡霊に取り憑かれたままのAfter Effectsプロジェクト構成だったりするので、「人災」的な原因で30pの「ちゃんとした出力」ができないのです。CS6は言うに及ばず、かなり昔のAfter Effectsでも問題なく出力できますから、バージョンの問題でもありません。

 

 

「12344問題」に見るのは、旧来アニメ現場の技術の発展性の乏しさです。土台が古いままに、どんどんトッピングだけを盛り続ける方法は、そろそろ限界に近づいていると感じます。

 

作画でどんなに回り込んだり、動画TUやTBをしようが、ハイテンション表現の予定調和から脱し得ません。撮影特効でどんなにディテールを飾り立てようと、目新しさはありません。

 

かえって、盛り立てれば立てるほど、土台の古さが目立ってしまうことすらあるでしょう。

 

一生懸命作画で動かして、一生懸命テクスチャを貼り込んでも、線がぶっとくて繊細さに欠け、発色が鈍く、お定まりのパラとフレア、場合によっては12344とカメラワークがしゃくってしまえば、目に映るのは「相変わらずのデジタルアニメ」です。

 

背脂系ラーメンに、他店よりも背脂をもっとコッテリと‥‥と盛っても、ウエ‥‥となるばかりですよネ。

 

 

既存の技術に盛り続ける発想法の限界です。

 

もうどんぶりは背脂とトッピングでいっぱいです。なのに、まだ、盛るつもり?

 

既存の技術に頼って、その技術に後付けでどんどん足していくんじゃなくてさ‥‥。

 

技術の作り方について、ゼロから考え直す時期‥‥だと思います。

 

アニメ制作現場は、とかくブラック、ブラックと、言われるし言うけれど、そのブラックを支えちゃってるのも、既存の技術なんですよネ。

 

 

私の方針はもうハッキリしていて、工程そのものの是非を問い、ワークフロー自体を技術レベルから作り直す‥‥という方針です。

 

そんなのできるんかいな?‥‥と言う人も大勢いらっしゃるでしょうけど、じゃあ、そういう人の現在のっかっているワークフローは誰が最初にゼロから作ったの?‥‥という話です。多くの人は、既存のシステムやワークフローをまるで地球の大地のように考え過ぎちゃってますよネ。システムやワークフローって、人が作ったものなのにネ。

 

そのような「既にありき」の思考に囚われているから、12344なんていうみっともない変換方法しか思い浮かばないのです。


24から30のフレームレート変換を、フィールド合成かフレーム合成かフレーム複製でしか対処できない時点で、思考の柔軟性は失われていると言っても、過言ではないでしょう。

 

達成目標をクリアに認識し、そこから逆算で色々と思考を巡らせれば、新たに技術を生み出して、目標を達成できます。‥‥少なくとも、12344問題に関しては、もう随分前〜10年以上前には技術解決できていましたヨ。30fps納品は絶えず存在し続けてますからネ。

 

 

もしかしたら、日本のアニメ制作現場の各所に今後明確に必要となるのは、「技術の作り方」という、ものすごく基本的な意識‥‥なのかもしれないですネ。

 


さあ、新しい環境だ。

今の時期、必要に応じてホイホイ新しい機材を買うのは、特にApple製品に関してはリスキーです。WWDCが6月に控えており、必ずそこで新製品が発表されますもんネ。

 

Apple製品に慣れた人なら、4月、5月は、要注意期間と心得ていることでしょう。

 

私らも、新しい技術を具現化する新しい機材の調達の際は、WWDCを意識した動きになります。

 

 

 

新しい時代の、新しい機材の必要性。

 

「撮影」と呼ばれるアニメ制作工程で、テレビ規模の表現内容の範疇で済んでいた頃は、頼もしく思えたマシンやモニタも、新時代の新たなクオリティを標準に据えると、そりゃあもう、「お疲れ様」的性能になり下がります。

 

「老体に鞭打つ」ような使われ方となって‥‥、いや‥‥使われるだけでもまだマシで、そもそも使うことすらできない機材が続出します。sRGBやRec.709のモニタは、どんなに高価だろうとHDR制作のメインモニタにはなり得ません。

 

「撮影」の1カットのレンダリングって、大体5〜20分くらいで済みますよネ。アニメは1カットの尺が短い‥‥というのもありますが、1MBを超えないような軽量の画像ファイルを中心として、制限された映像効果で処理するので、レンダリング時間は総じて短いのが、アニメ撮影の特徴です。私も以前にアニメの撮影をしていて、ハリコミとかキツい作業はあるものの、レンダリング時間だけは他のジャンルに比べて極楽でした。

 

しかし、新しい技術はそうはいきません。まず「撮影」という工程は細分化され消滅しますし、レンダリング時間も大きく伸びます。レンダリング時間はおよそ10倍には伸びますし、最悪の場合(=下手な組み方をすると、ですが)1カット2〜3日のレンダリング時間まで伸びることもあります。そういう時はもう、レンダーファームのマルチレンダリングに切り替えるしかないですし、ストラクチャ(レイヤー構成とモーションの作業)と呼ばれる作業においてはプリレンダリングは必須です。レイヤーをアホみたいに抱えたままでビジュアルエフェクトなどできるわけもなし。

*まあ、それでも、3DCGの1時間1フレームの世界に比べれば、まだ2DCGなだけマシなんですけどネ。

 

 

ゆえに、新しい作業環境へとリプレースする必要があります。未来の映像フォーマットにおける未来の品質を標準とするなら、環境を構成する機材も未来指向になります。

 

絶賛不人気とも言われるiMac Proも、処理能力の点で有望に思えてきます。

 

 

Appleもね‥‥メモリだけでもユーザがメンテできる仕様にしていれば、ここまで不人気にならずに済んだのにネ。「プロへのラブレター」みたいに言われるiMac Proは、そのメンテナンス性のあまりの低さに「ごめんなさい」とラブレターを突き返されてるんでしょうかね。告白したわりに「あなたじゃダメなの」と。

 

WWDCでは色々なAppleの機種が新発表されたりバージョンアップしますが、今年のWWDCはどんなことになるか。

 

まあ、ひっそりと、iMac ProやiMac 5Kは性能のバージョンアップをするでしょうし、Line=線画工程に使おうと思っているiPad Pro 12.9インチも何らかのバージョンアップがあると思われます。

 

わたし的には、既存機種の性能アップだけでも嬉しいです。まんま、業務の効率に結びつきますからネ。

 

新しいiPad Pro(Xとの噂)や、新型Mac Proが発表されれば、それに越したことはないですが、まあ、出たら出たで良いです。噂をあてにしてガチの計画は立てられないですもんネ。既にMac Proのリプレースはゆるく計画に組み込んでいますから、いつ発表されて、いつ販売開始か‥‥は、寝て待ちます。

 

あとは4K HDRモニタ製品群ですネ。300nitsでも作業は可能ですが、やっぱり1000nitsのモデルは欲しいところです。EIZOさんに期待‥‥です。

 

各マシンを繋ぐ10GbpsのLANもそろそろ定番になっても良さそうですし、2018年はまさに、新時代に向けた刷新の元年‥‥です。少なくとも、私らにとっては。

 

 

旧来の2K24pSDRなら、未来環境は単なる持ち腐れでオーバースペック過ぎますが、4K60pHDRではまだまだ足りない感は強いです。それでも、刷新した効果は4K主眼なら絶大です。

 

1996〜2004年くらいの8年間におきた環境の変化や品質意識の移行は、2018〜2026年に再演されるでしょう。

 

環境が移行する‥‥ということは、その環境で働く人間の働き方にも変化が生じますが、まさにその変化のタイミングは、「ブラック」から抜け出すチャンスとも言えます。

 

しかし一方で、果てしなくブラックへと転落するところも出てくるでしょう。今までの悪習・因習を未来に適用したら、ブラックもブラック、まっくろけっけ‥‥です。作業が辛過ぎて、もはや、アニメを作ろうとする人間すらいなくなる予感‥‥です。今までの考えで未来も続けていたら‥‥です。

 

機材の環境変化は、そういった意味で「運命が変わっていく表面上の変化」です。その人間、そのグループの運命が、どこに向かっているのかが、機材の設置、部屋のレイアウトで、予測がほぼ可能です。

 

まあ、だからといって、使いこなしもできない機材を導入しても、それはそれで、未来を暗示します。リキテックス全色を揃えても、絵が下手ならしょうがないですもんネ。機材だけ最新で高価で、スタッフの技量と現場の技術意識は旧態依然‥‥では、ただの「金の無駄」です。

 

 

作業環境は自分たちの未来を描きます。

 

逆に見方で言えば、未来の作業環境を旺盛に使いこなす、相応の技量を、作業する人間は得ていくべき‥‥とも言えますネ。

 

前回、「死」について書きましたが、「死」を意識できるようになったからこそ、「生」を一層際立たせてることができるのと同じです。

 

漠然と機材調達して、漠然と使う日々‥‥では、今まで通りの漠然とした未来がくるだけです。

 

積極的、野心的なビジョンをもとに、しかるべき機材を調達し、機材のポテンシャルを引き出す制作を実践してこそ、今までと違う「望んでいた未来」がくるのでしょう。

 

 

 

 

 


Apple Pencilの使える無印iPad

ProでもMiniでもAirでもない、無印のiPad。値段を3万円を切る設定で安くする、Apple Pencilが使える‥‥など、2018年の春にでるiPadについて、色々な噂が飛び交っていましたが、価格は据え置きでApple Pencilを使える方向でリリースされましたネ。

 

 

Apple Pencilが使えるようになる効果は絶大です。しかも、PagesなどのApple定番のアプリがApple Pencilに対応‥‥となれば、絵描きだけでなく、様々な打ち合わせにも活用できます。

 

私はiPad Proを持ち込んで打ち合わせしますが、その場で紙媒体で書類が渡された場合は、まず書類=まあ、大概は絵コンテですが、自分の担当箇所だけiPadのカメラで撮ってしまって、その画像にメモをApple Pencilで書き込みます。PDFの場合は、PDFファイルに直にメモ(ベクターの画像としてレイヤー的に書き込めます)します。

 

私の作業スタイルの場合、紙にメモを書き込んでも「オフライン」になってしまって、後々面倒なのです。デジタルデータとして保持しておけば、容易にネットワークに「オンライン」状態、すなわち、Air Dropで他のマシンに転送したりクラウドに保管して、いつでもどこでも情報にアクセスできます。

 

手書きで簡単にメモできて、iPadやiPhoneやMac、さらにはWindowsやLinuxやFireでも閲覧できる‥‥というのは、かなり便利なのです。

 

 

競合となるFire HD 10は、出色の製品です。実質13,980円(税込=この点がAppleの表示価格と違う)で高品質な本体性能が手に入る恐るべき製品ですが、一方でユーザレビューを見ると「アプリが少ない」などの不満も多いのは事実です。

 

しかし、Fire HDは、Kindle本やPDFやビデオや写真を閲覧するのが主目的で、様々な使い道で活用する端末ではありません。「自分参加型」の作業や趣味にはまるで適していません。あくまで受け身です。ゆえの13,980円です。FireOSの提供する機能の範疇で、高品質の体験ができるのがFireであって、iOSで動作するiPadと比べるべきではないのです。

 

私の例えで恐縮ですが、iPadが戦闘爆撃機だとしたら、Fireは攻撃機のような存在として捉えて、適材適所で扱うのが肝要です。

*う〜ん。あんまりうまくハマった例えじゃなくてスマンす。

 

 

 

 

もし、私が新型無印iPadを買うとすれば、ほぼ100%、打ち合わせ用途です。

 

作画作業では絶対的・物理的な描画面積が小さいので、プロ用途としては本格的に使えません。やはり、最低でも13インチ(12.9ね)は必要でしょう。

 

なので、少なくとも私は、今のところは必要ないかな‥‥‥という感じです。

 

ただ、絵を描く上での、デジタルインプットメソッド‥‥というか、ペンタブで絵を描く‥‥という行為に慣れる「最初のiPad」としては、値段の安さゆえに意義のある製品といえましょう。

 

iPadの良いところは、とにかく使い勝手が広い‥‥という点です。絵を描くペンダブ用途から外れたとしても、様々な使い道があります。この点はFire&FireOSを大きく引き離している優位点です。‥‥その代わり、値段はFireの3倍くらいはしますけどネ。

 

 

すぐに注文すると、数日で届くようなので、Appleにありがちな製品到着までの待ち時間も少ないようです。

 

 

 

‥‥iPadで思い出したけど、最近の作業計画の必要機材でiPad Proを入れ忘れた‥‥。わたし的に、あまりにも「普通」の存在になり過ぎてて‥‥。

 

自分で所有したい私はともかく、これから先の色々な作業展開では、現場にiPad Proも必須‥‥でしたわ。

 

 

 

 

 


環境維持の希薄感

今後の作業環境について色々と思索を巡らせるに、紙と鉛筆で仕事をしてきたアニメーターは、初期導入費用、環境維持・メンテナンス、そして環境性能の更新‥‥といったことに、非常に希薄なのかも知れません。思い起こせば、コンピュータを本格的に使う前の、紙時代の私は「環境の維持費」には無頓着でした。

 

でもそれは、致し方なき事。

 

自分の身に降りかからなければ、希薄にも無頓着にもなろうというものです。

 

 

私がフリーアニメーターを1986年か87年だか(記憶が曖昧)にスタートした当時、環境設備の要は、「紙を透過する設備」でした。

 

私は当時独り立ちして借りていた大泉のアパートに作画机を導入することができず、ライトボックスで凌いでいました。今、そのライトボックスを見ると、それはもう小さな天板のショボい面積で、内部に蛍光灯のユニットを設置しているため厚みも相当ありました。最初の2年間をその粗末なライトボックスで作業していたため、制作会社に詰めるようになって正規の作画机を使うようになってから、どうにも違和感があって馴染めない月日が続いたほどです。

 

当時の価格はわかりませんが、今ですと、十数万円で作画机が買えます。「結構いい値段がするね」と思う人もいましょうが、作画机はぶっちゃけ「一生物」で、おそらく100年はもつんじゃないでしょうか。100年使った作画机を知らないので、あくまで予測ですが。

 

作画机を自費購入すると、最初に10万円前後の出費は余儀なくされますが、逆に考えれば、大きな出費はそれでおしまい。

 

作画机を数年ごとに買い換えるなんてありえませんよネ。

 

しかし、コンピュータの世界では、数年ごとに機種を更新するのは常識です。10年20年維持できるパーソナルコンピュータなんて、少なくとも映像制作の世界では聞いたことがありません。数千万の導入費用を費やすポスプロのソリューションだって、10年後には「おじいちゃん」です。例えば、ドミノというVFX/グレーディング系のソリューションは、イノセンスを制作していた2003年の時点ですら「そろそろ時代についていけなくなってきたね」と言われていました。理由は単純で、処理速度が遅く、待ち時間が長いからです。

 

ポスプロはともかく、個人用途においても、「コンピュータを自分のメインの道具にする」と決めて、それで「商売」をし始めたら、多かれ少なかれ、時代の映像技術や品質の向上に合わせて機材更新を余儀なくされます。

 

どんどん機材は更新していかねばなりません。私は1997年に自腹でPowerMac8600を買って仕事をする、あるいは仕事場で用意してもらった機材で作業をするようになって以来、紙の作画時代の意識から「冷水を浴びせられた」ごとく、「環境への意識」について抜本的な考え直しを迫られ、準じるようになりました。

 

アニメーターは、環境更新に対しての逼迫した意識というか、心構えが、一生物の作画机で仕事するがゆえに、非常に希薄です。

 

 

 

コンピュータで絵を描いて仕事する状況を考えて見ると‥‥

 

例えば、作業グループで考えた場合、

 

2.5KのCintiqを何年前にスタッフ全員分をいくらで導入した?

 

27&32インチの4Kタブレットが発売されるが、もし機材をリプレースするとなれば、Cintiqだけでいくら必要になる?

 

結構、イイ金額になりますよネ。

 

4Kタブレットを使えるようにするためには、当然の事ながら、マシンも4Kの出力ができなければなりません。

 

もし「今を凌げればいいや」と、10万円以下で買える最低限スペックの「デジタル作画モデル」で揃えちゃった場合、どれだけ4Kタブレットに対応できる性能があるでしょうか。少なくともMac miniは30Hzまでしか出せなくなるのでチラつきが酷くてNGです。

 

安いマシンで買い揃えた場合、マシンの買い替えすら必要になってきます。

 

‥‥‥そんなのさ‥‥‥、個人規模だけでなく、会社規模だって、相当キツイはずです。

 

なので、機材更新できない会社はこれから先、結構出てくるんじゃないですかね。

 

すでに「アニメ業界はCS6止まり」の前例が、未来を雄弁に物語っています‥‥‥よネ。

 

 

 

アニメ作画の作業環境をコンピュータに移行するには、まず何よりも、「環境維持の希薄感」からの脱却が必要です。

 

導入しようとするフリーランスのアニメーターに対しては、然るべき「未来のなりゆき」を説明しておく必要があるんじゃないでしょうかね。

 

旧来の原画動画工程を、ペンタブ作画に置き換えただけの「デジタル作画」だけでは、ぶっちゃけ、稼ぎが少な過ぎるでしょう。金食い虫のコンピュータを導入したからには、原画・動画だけではなく、色々な「絵の仕事」「映像の仕事」をこなしていかないと、自滅・破綻・崩壊は目に見えています。

 

極論を言えば、原画だけで喰っていきたいのなら、コンピュータなんかに手を出してはダメです。原画だけでは稼ぎが足りません。

 

原画を描くのが自分の天分だ!原画の仕事以外したくない!‥‥というのなら、できるだけ環境維持費を低く抑える工夫をしなければ、少なくとも今の原画単価では電卓を叩くまでもなく破綻は必至です。

 

「だからこそ、原画や動画の単価向上を、だな」

 

‥‥と言う人もいるでしょうが、それはどうすれば実現するのか、何年何月に、何円に向上するのか、全く見えてきません。

 

 

 

まあ、ネットを検索したりメールの送受だけで使うのなら、映像制作オンタイムの機材など必要ないです。それこそ、10年前のMac miniだってなんとかなります。

 

しかし、プロの現場で、プロのツールとして使う、コンピュータとその周辺環境は、それ相応の性能と現代性を有する必要があり、その維持費は紙の作画のアニメーターの環境維持〜たまに蛍光灯を交換するとか鉛筆削りを買い直すとか〜より格段に出費がかさむものです。

 

 

 

もし私が、フリーランスのアニメーターの人に「仕事を引き受けたいから、自腹でマシンを買って環境を作るよ!」と言われたら、まずは、機材購入にはどんな性能の製品をチョイスすべきかとその初期導入費用、その次に、その機材環境を何年ごとに更新していくかの予測と費用、さらに、その機材環境で当座の仕事の他にどんな仕事を引き受けて個人全体の収益を成すか、そして、これからどのようにコンピュータで絵や映像を作る仕事を盛り上げていくかのロードマップまでを示さないと、とてもではないですが、「コンピュータを買うと良いよ」なんて無責任に後押しできません。

 

そうした前提を踏まえてもなお、コンピュータを導入して一緒に仕事をしようとする人には、コンピュータや映像技術の知識をどんどん蓄積してもらって、積極的に良い条件の仕事を依頼して、ロードマップを1歩ずつ共に踏みしめていこうと思います。

 

「そこまで考える必要があるかね? 自己責任でいいんじゃん」と言う人もおりましょうが、アニメは人間が作るものなので、その人間が自滅しちゃうような導き方や後押しは未来に繋がっていかないのですよ。

 

アニメはなんだかんだ言っても、共生で成り立っている‥‥のは、アニメ業界の人なら誰でもお判りのはず。

 

私らは少人数制の制作体制を敷こうと計画していますが、ゆえに、社内・フリーランスおしなべて1人各々のヒューマンパワーが重要になってきます。今後、フリーランスの作業者の人々が新規参入する際には、どのように生き残って未来に発展していくかも含めて、共に切り拓いていく覚悟が必要なのです。

 

「当座の仕事を引き受けてもらうために、やっすいマシンを勧めて買ってもらっちゃった。数年でガラクタになるようなマシンだけど、そんなのは自己責任でしょ。個人の家計なんて、自分には関係ないし。」

 

‥‥なんていう酷いことは、私にはできません。

 

もちろん、他人の家計までズケズケと踏み込むつもりはないですが、コンピュータを導入して仕事をすることが、家計に大きく影響し、その環境維持の金額はいかほどか‥‥は、誠実に告げるべきだと思います。

 

私はね‥‥、キャリアのスタートをフリーランスで開始して、苦難の10年間を過ごしたがゆえに、その辺への思い入れが強いのかも知れません。やっぱり、最初から社員だった人には、出来高オンリーで仕事をする人間の不安なんて、肌身で感じられないでしょう。まあその逆も然りで、フリーランスの人には、会社の組織に組み込まれる閉塞感と回りくどさは実感できないとも言えますが。

 

 

もし、「デジタル作画のエヴァンジェリスト」なる人がいるのなら、ソフトウェアの使い方を指南する‥‥なんて近視眼的な部分に止まらず、デジタル作画にはどのような明るい未来が開けているのか、どのような苦難が待ち構えて乗り越えていくべきか、未来のロードマップをも伝道すべきではないでしょうか。

 

少なくとも私は、新しい技術を伝道する際は、技術的なことはもちろん、苦悩も歓喜も伝えて、どのような未来を作りたいか‥‥まで分かち合いたいと思うのです。

 

エヴァンジェリストは「人間マニュアル本」「生ける質問箱」じゃないでしょう。

 

新しい取り組みや技術ムーブメントが未来に何を成し得るのか、技術解説や普及を通して「未来の自分たちの世界」を説く役割が、まさにエヴァンジェリストです。

 

その過程において、「環境維持の希薄感」を丁寧に取り除いていくことも、必要になりましょう。

 

 

 

 


金を忘れて

パソコンなりタブレットなり、コンピュータ機器を用いて絵を描く‥‥というのは、「金がかかる」行為であることを、なぜかネットではスポ〜ンと忘れ去られているかのように、思う今日この頃。

 

1990年代後半、まともに「コンピュータで絵を描く」には、60〜80万円前後かかったものです。

 

その後、高性能・低価格なPC/Macやモニタやペンタブの出現によって、20〜40万円くらいまでは下がりましたが、「紙と鉛筆と消しゴムと定規と絵の具と筆」=数千円前後より遥かにお金がかかるのは、今も変わりありません。

 

パソコンで絵を描くと、金がかかる

 

まあ、紙に絵を描くよりも、パソコン一式を買うほうがお金がかかるのは、誰でもわかりますよネ。プロに限らず、素人さんでも。

 

数年前、「デジタル作画」「ペーパーレス」を推進する文書を読んだ時に、このあまりにも基本的な部分に全く触れておらず、耳障りの良い部分だけが列記されていたことに、ものすごい不信感を抱いたことがあります。

 

そればかりか、自由意志で発言できるツイッターにおいても、「コンピュータで描くと金がかかるよね」的つぶやきは、ほとんど見かけません。

 

 

なぜ、なんだろう。


「紙とデジタル、どちらにするか迷う」「どちらかを問う」みたいな論調も目にしますけど、迷ったり是非を問う以前に、そもそも導入できる見込みはあるのでしょうか。

 

ランニングコストは実際に運用してからしみじみ痛感するものだとしても、イニシャルコスト=初期導入費用だけでも、結構な額になりますけど、それをどう工面するのでしょうか。

 

私は少なくとも、一大決心をして、清水の舞台から飛び降りる覚悟で、コンピュータ関連機器一式を1997年に買いましたし、今でも、自腹で相当な出費をしています。関連機材を購入して環境を整えて、年次や何年かおきに環境をバージョンアップしていくのって、相当キツいですよ。何か、大きな目的でもなければ(=つまりハイリターン)、そう易々と支え続けられるほど、コンピュータは甘くないです。

 

いろんなことを全て後回しにして、コンピュータにお金を使える人って、少なくとも全員ではないですよネ。よほど、「これがあればイケる」と確信している人でしょう。

 

どうにも奇妙なんですよね‥‥。

 

なぜ、肝心の金の話はふわっと希薄になって、原画や動画の作業内容の話に進んじゃってるんでしょうね。作画机を購入したら30年は余裕で使える‥‥のとはわけが違うのです。コンピュータは最前線用途では10年もちません。

 

金がないから、そもそも導入は難しい‥‥という言葉はほとんど聞こえてこないですよネ。特にツイッターでは。

 

そんなにお金の話って、ふわっと扱えるんでしょうかね?

 

 

私は、コンピュータにお金がかかることは大前提で、隠しもしませんけどネ(このブログの通りに)。むしろ、その「金食いの悪魔」と、どのように「契約」して、「未来に何を得て凌駕するか」を考えます。

 

 

コンピュータで絵を描くのは金がかかるぞー。

 

イニシャルコストとランニングコストは、紙なんて比較にならないほど金がかかるぞー。

 

だからこそ、今までの作画工程のままリプレースする程度じゃ、対費用効果が少なすぎるぞー。

 

全く新しい技術体系が問われるぞー。

 

 

‥‥と次元大介曰く「独り言の悪い癖」を、またここで世界に向かって叫ぶ。

 

 


ジンバル

ジンバルを導入しようと思ってたのです。

 

趣味だけでなく、むしろ仕事で少なからず使うようになる‥‥と考えて、DJIのOSMO Mobile 2を。

 

 

 

そしたら、どこのショップも欠品。

 

製造元から供給されずに、品薄状態なのでしょう。

 

 

まあ確かに、注目の製品ではあります。ジンバルを使った「ぬめー」っとした撮影を可能とする定番商品の2型が、1万6千円まで価格を下げての登場ですもんネ。

 

せっかく4K60pのiPhone8をもっているので、有効活用しようとは思いつつ、手ブレは如何ともしがたく、オズモは近いうちに装備に加えようと思っていました。

 

 

もうちょっと早めに手を打っておけば良かったのかな。在庫が切れるとは考えておりませんでした。やや不覚。

 

くわー。直近の撮影には間に合わんすな。まあ、もともとiPhoneはオマケのつもりだったし、2つのカメラを同時に使うことはできないので、なくても良いと言えば良いのですが‥‥。

 

でもまあ、次の作品のロケハンに間に合えば、まあいいか。ロケハンの用途で考えると、iPhone8&オズモって、今のところ最強な気がするし。

 

 

 


雑感

アニメ業界内部のクオリティの落差は激しいです。どこか1社の事例を引き合いに出しても、それがアニメ業界全体を言い表すとは全く言えません。1社どころか、1社の内部においても、供する用途やオーダーによって、求められるクオリティや実際の事例はまちまちです。

 

いつの頃だかに確立した旧式な作業規格を今でも使い続けている事例は、アニメ業界では決して珍しくありません。フロッピーを使い続けている西陣織の事例を笑っていられないのです。

 

例えば、1.3〜1.6Kのビデオ解像度で、QuickTimeのアニメーション圧縮=8bitの色深度‥‥のような運用を今でも続ける事例は存在します。2008年ではなく、2018年現在においても。

 

「なぜ、苦労して作ってきた映像を、最後の最後で、ショボくて古いフォーマットで出力しちゃうわけ????」と思う人は思うわけですが、「それしか知らない」「それが普通」な現場にとっては、「何をそんなに驚かれているか」も解らないのです。

 

2011年前後に、私らの作業グループは、ProResコーデックへと主軸を移しましたが、それは単にコーデックとしての品質が高く使いやすかったからです。ProRes422(HQ)とProRes4444が出た頃で、特に4444はDPXの連番と比較しても全く同じと言っても言い過ぎではないクオリティを誇るにも関わらず、そのデータ容量のコンパクトさは突出していました。もちろん、あくまでプロ用途での話で、コンシューマ向けのコーデックよりは遥かに大きいですヨ。

 

ここ数年で出てきたAvidのDNxHRもかなり綺麗な画質です。DNxHDは色々と問題がありましたが、DNxHRの444は相当綺麗‥‥というか、面白い仕掛けがコーデックにしてあるのでトーンジャンプの抑制力が優れており、Avidを使うのなら今後はDNxHR推しです。

 

ProResでは4444の「XQ」も加わり、12bitへの本格的な対応が可能になっています。Dolby Visionなどの12bit方式に対応するには、XQやHRなどの12bit対応コーデックによるコンポジット&編集周りの更新は必須でしょう。

 

‥‥という話を書いても、アニメ業界の内情はホントにまちまちです。ようやく、Adobe CCに切り替えた会社も増えてきた‥‥と思えば、「ウチはCC 2014だよー!」という話も聞こえて、「なんで、2014??? もうCC 2018はずいぶん前にリリースされてるよ? どうして最新版で統一してないの??? CCを使う意義は、どんなにバージョンが増えても、最新版で統一できることだろーー!! この〇〇ーーーー!!!」と、まゆこタンばりに叫びたくなるのは、私だけではないはず‥‥。

 

CCになってもこのありさま。

 

ホントにナゾです。今でもCC 2014を使っているとか。‥‥CCを導入する意味、ないじゃん。2013年製のiMacやMac ProでもCC 2018は動作しますヨ。TrapcodeもOKです。

 

ホントにアニメ業界ってのは‥‥‥‥とは、他の映像ジャンルのスタッフに冗談交じりで皮肉られることですが、実際、反論はできない実情を目の当たりにすることも多いです。

 

古くても、誇れることなら全然良いのです。単にズボラで無気力・無関心が理由で古いままなのは、誇れることでは全くないです。

 

 

今、業界での「新旧」のホットな話題は、コンポジット周り云々ではなく、やっぱり「作画」ですよネ。

 

紙作画だ、デジタル作画だ、‥‥の議論はとことんすべきだとは思います。

 

各社各グループの特質やアドバンテージを鑑み、作画を紙のままでいくか、タブレットに変えるかは、当事者たちが決めていけば良いことです。

 

しかし、古い意識のまま映像制作をフローしてフィニッシュしている限り、どんなに作画にこだわっても、出力される絵は古い品質から逃れられません。

 

実は、作画の今後を問うのと同じ重要度で、コンピュータで扱う作業部分〜ペイント、背景、撮影の「近代化」も問われると思います。もちろん、制作管理をいつまでも手作業で入力しているのも限界アリアリですしネ。

 

作画の近代化を問う‥‥ということは、イモズル式に、そのあとの工程も少なからず近代化を問うことになります。

 

つまり、「近代化に聖域なし」です。

 

 

私は、紙のままで作画をしたい人々は、紙のままでもいっても良いのではないか‥‥とは思っているのです。私も「紙」出身者なので。

 

ただ、それには「紙を使う決定的なビジネス視点での理由」は必要でしょう。アニメで作画をしている人間は、決してボランティアでも学生さんの自主制作でもないのですから、「紙を使い続ける、商業的な理由」は求められて然り‥‥です。

 

昔からそうだったから‥‥なんていう情けない理由ではなく、「精査した結果、デジタル作画より機材運用コストを格段に低く抑えることが判った」とか「鉛筆の描線を活かしたハイクオリティな制作方法を確立した」などの明確な理由が必要です。紙のフローを「再定義」することだって、近代化足り得るんじゃないでしょうか。

 

一方、「デジタル作画」はそれを推進する人々が未来の「商業的意義」を確立していくべきでしょう。ランニングコスト、環境維持費と更新費は紙作画の比ではなく、次の環境リプレース時期にそれ相応の額面を叩きつけられるでしょうが、それも含めて「ビジネスモデル」ですから、推進する人が活路を見出すほかないです。

 

‥‥まあ別に、「デジタル作画」に限ったことではなく、何かを主導する人は、活路を見出す立場を引き受けざるえませんよネ。

 

私らは紙作画でもデジタル作画でもない路線で、ぶっちゃけ、「紙の作画か、デジタル作画か」の議題は対岸の騒ぎ、蚊帳の外です。私らの進めている技術は、社会が4K8Kの時代に移行すればするほど、有利な要素が増えてきますが、ゆえに、浮き足立って足をすくわれないように、確実に1歩ずつ、橋頭堡を築きながら進むのみです。時代の風が吹いてきたと、早々に浮かれるのは実は一番危ういのです。時を読み、粛々と‥‥が、ここ1〜2年の重要なテーマでもあります。

 

 

でもまあ、いろいろ考えると、結局はバブルソートのごとく、いろいろな会社や部署が持ち得ているポテンシャルによって、昇順と降順がソートされるように思います。これから未来へ10年間くらいの間にネ。

 

だからこそ、せっかくのポテンシャルを1.5Kや8bitでわざわざ性能ダウンさせることはないでしょうよ‥‥ということです。

 

 


新しい色の世界

アニメ業界では、ほぼ縁のない「log」=ログの運用。実写作品ですと、linear=リニアでみすみす階調を殺してしまうのをlogで救う恩恵は大きく、その後のVFXやGradingでログの運用の威力が発揮されます。

 

実はアニメでも「階調を救う」用途で考えれば、ログの運用は有効なように思えるのですが、「今そこにある実物をどうカメラに収めるか」を問う実写と違って、アニメは「白紙から形や色を生み出していく」がゆえに、実際の見た目の色=リニアで作業したいと思うのはいたしかたなきこと‥‥とは思います。まあ、それでも、LUT越しに皆で作業すれば良いだけなんですけど、まず何よりもログの意義を皆で理解する必要がありますし、運用面ではモニタの質も問われるので、やっぱりアニメ業界の現状では無理だとは思っています。

 

一方、4Kでは、HDR10、Dolby Visionなどの規格があり、PQ=perceptual quantization、つまり人間が知覚できる範囲を重視したデータ化(量子化)が盛り込まれています。また、放送用途ではHLG=ハイブリッドログガンマと、これまた異なる方式で4K HDRの特性を活かしたデータ化をおこなっています。

 

未来、このあたりの運用のノウハウは必須になるでしょう。いつまでもsRGBやRec.709のままではいられません。

 

そして、制作管理システムも、4KやHDRを当然のように前提とします。4KやHDRが特殊扱いされるのなんて、あと数年の話ですからネ。

 

 

私は昔「atDB」という撮影業務主幹の管理システムを実践していましたが、その次世代となるソリューションも徐々に準備しています。「astd」という標準技術、さらに、「Astarte」という新しい作業意識を色濃く反映した次世代管理システムも構想しています。「自律連結型ジョブオブジェクト」や「多次元運用ダイヤ」「ダイナミックワークフロー」という、ちょっとキラキラっとした内容をもつシステムですが、要は、限られた人材をどのように有効に活用して、未来のハイレベルな映像制作を実現していくか‥‥ということに尽きます。

 

「Astarte」に関しては、詳しい内容はここでは書けませんが、アスタルテ=女神の名前の通りの内容です。様々な国々で豊饒多産の神として崇められ、一方では軍神でもあり、「古い世界を破壊しては新しい世界を創造する死と再生の女神」(Wikipediaより)ともあり、なんとも「ふさわしい」限りです。

 

すぐにAstarteの実現は無理でも、準備を粛々と進めて、その中で4KやHDRや60pの経験値を積んでいけば、必ず、新時代のアニメーション制作は可能になりましょう。

 

どこかの偉人さんが言ってたかもしれない言葉‥‥ですが、「想像できることは実現できる」‥‥と、今までの人生で強く実感しています。

 

逆に言えば、想像に甘い点があると、それは実現できない‥‥んですよネ。

 

レシピが具体的に思いつくのなら、それはもう、出来上がる準備段階にある‥‥ということです。

 

 

ログとリニア、HDR10とDolby VisionとHLG。

 

もう色彩のツールは揃ってるじゃないですか。‥‥あとは色世界を作るだけ、でしょう。

 

 



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