表計算

表計算ソフトは作表のソフトではありません。表を用いて計算するソフトです。ですから、ワードプロセッサソフトの表機能とは根本的に異なります。

セル(枠)の数値を合計するなど、表内の数値計算をするのは、まずは誰でも思いつくことでしょう。表を自動で集計する「表と電卓が合体したものだ」とイメージするのは、作表より一歩進んだスタンスですよネ。

加えて、コンピュータのプログラムの要素を、表計算に用いるイメージを持てば、表計算はさらに頼もしい存在となります。

表計算ソフトを使うのなら、「作表+数値演算+プログラム」をイメージして活用することが、まずは何よりの足場となります。そしてさらなる発展を考えるのなら、表計算を外部とリンクする仕組みを取り入れても良いでしょう。つまり、最終的には「作表+数値演算+プログラム+ネットワーク+制作集団オンライン」という展望も見えてくるわけです。

そのためには、まずは表計算を、「作表+電卓」以上の存在になるように、色々と使ってみることが肝心です。

表計算ソフトウェアはその気になれば、外部のアプリケーションから指令を出して、自動制御をも可能になりますが、とっかかりはセルに記述する「式」からスタートするのがプレッシャーも少ないので良いと思います。After Effectsで言うところのエクスプレッションのようなものですネ。

例えば、表の1列目にカット番号を記載する例を考えてみます。

まさか、手で1文字ずつタイプするわけにもいきません。カット番号を人間がいちいち手で入力していたら、何のためのコンピュータだよ!‥‥ですよネ。

誰もが「だったら、行番号をうまく利用できないかな」と考えることと思います。アニメ現場ですと、ABカット(Cut 100a, 100bなど)への対処はありますが、大半は行番号で対応できそうです。

=ROW()

これでOK。行番号をセルに表示してくれます。

「いや‥‥。表計算の1行目が必ずしも、カット1になるとは限らないんだけど‥‥」と思う人もいるでしょう。だったら、仮に表計算の4行目からカット番号が始まるのなら‥‥

=ROW()-3

‥‥でOKです。行番号をオフセット(数値をスライドする)することなど、造作もないことです。

もしABカットが出た場合は、そこだけは手入力でかわして(ABカットの数なんて限られていますし)、ABカット以降の行は、オフセットの値を変更して追随すれば良いです。

こうすることで、1列目のカット番号は一瞬で入力されます。しかも、自分の思った通りの状態で。

「でも、あの‥‥。できれば、カット番号は3桁にしたいんだけど‥‥。」という場面もあるでしょう。‥‥だったら、これで。

=MID(1000+ROW(),2,3)

「MID()」は文字列を抽出するファンクションです。超便利ですネ。例えばカット3の番号は一旦「1000+3=1003」になり、その後、2文字目から3文字分を抽出して「003」になります。ROW()だけでは「3」としか表示されないのを、工夫するわけです。

この「欲しい桁数に1桁足した数を加算して、その後で2桁以降を取り出す」方法はいろんな場面、例えばAfter Effectsのフレーム数表示でも活用できます。ifで"0"や"00"を追加する方法を見たことがありますが、わざわざ if なんて使う必要もなし。命令文が1行で済みますからネ。

After Effectsのテキストレイヤーで4桁のコマ番号を表示するエクスプレッション;
String(timeToFrames(t = time + thisComp.displayStartTime, fps = 1.0 / thisComp.frameDuration, isDuration = true)+10001).slice(1);

ちなみに、表計算の式での、型("1"と1は違う)の扱いとかルーズに見えるでしょうけど、その辺は暗黙の型変換をしてくれるようです。おもむろにやりたいことを手短にできるのが、表計算の式の良いところですネ。

「シーンの名称をカット番号につけたいんだけど」というニーズもあるでしょう。私の現在の仕事の1つはまさにソレが必要な状態です。そういう場合は文字列を連結します。

="A_"&MID(1000+ROW(),2,3)

こうすると、1列目のセルには「A_001」「A_002」「A_003」「A_004」‥‥と自動入力されていきます。シーンの切り替わりで、連結する文字列とオフセットを変えてやれば、簡単に現実のカット番号に追随できます。アンダースコアではなくハイフンが良い場合は、"A_"を"A-"にするだけですネ。

ちなみに上記の式は、Googleのスプレッドシートで活用できるので、他の表計算との互換性もあるように思います。NumbersやExcelでも使えるはず‥‥です。(未確認ですが)


今まで、数字の先頭に00や0、シーン名を追加するのに、手で入力していた‥‥のだとしたら、その人生の時間はドブに捨てたのも同じです。これからは限りある命の時間を、ドブに捨てないようにするのが肝要です。

数多くの何かを把握して管理する時、今では誰でも表計算で表にまとめることと思います。しかし、誰もが表計算のマクロやプログラム制御を習得しているわけではないでしょう。結果、表計算の使い方に大きなバラつきが生じ、能力のヒエラルキーを形成する原因の1つともなります。

アニメ業界は、表計算に限らず、コンピュータのソフトウェア全般において、コンピュータの長所をあまり活用していない状況です。作画にしても、ペンタブばかり上達したって、コンピュータプログラムを活用する足場を持たなければ、その後が続かないのですよ。

「それは、コンピュータができる奴の言い分だ」

ソレは全く違います。逆に、そのような言いかたこそ、「覚えるのをめんどくさがっている人間が、自己弁護をする際の詭弁」です。

母親から産まれ出た時から、式やマクロが書けたのでしょうか。誰しも「覚えたから、使えるようになった」だけなんですヨ。そこを誤魔化して、さも「天性の有無であるかのように」逃げるのは、よくないことです。難しいプログラムを扱えるようになるのではなく、日常会話レベルのプログラムを覚えれば良いだけですから、そこに天性も才能も必要ありません。

私なんて、コンピュータの電源すら入れられないところから、スタートしたのです。拡張子「.psd」を全角で「.PSD」とか入力してファイル名にしていた男ですヨ。しかもその「PSD」ファイルは実はPICTだった‥‥とかネ。(昔のMacは拡張子ではなく、ファイルタイプ、クリエータタイプというリソース(メタ情報)で、ファイル管理していたので、そんな珍事もおきたのですが)

今だと笑い話ですが、私は「を=wo」を入力できなくて、メールを書く際にしばらくの間は、「を」を使わない文章で書いていた‥‥なんてアホのようなことをしていたのです。とてつもないコンピュータ無知だったのです。26〜27歳くらいの頃です。

でも、覚えようと取り組んだら、覚えられた。‥‥ただ、それだけのことです。

ソフトウェアを売り物にする本職ならともかく、現場で使うスクリプトやプチアプリを作る目的ならば、「日本語や英語を覚えて、さらに小説を書くレベル」まで到達する必要はありません。コンピュータを使う際の、基礎的な足場たりえれば良いのです。

これから先の未来、コンピュータを用いて仕事をするのなら、「コンピュータを使用する人間」と「コンピュータを活用する人間」の差は、あからさまにヒエラルキーとして表れると思います。「使用と活用」の差が表立って出てくるでしょう。だって、コンピュータを使う仕事なのですから。

現場のすべての人間がコンピュータのプログラムまで出来る必要はないと思います。しかし、コンピュータで大量の画像映像・ファイルやフォルダを扱い、四六時中コンピュータに接するのであれば、「アニメのソフトしかわからない」のでは明らかに限界は近いです。

ソフトウェアが高度化しても、そのソフトウェアが全て面倒を見てくれるわけではないので、ソフトウェアがどんなにトラブろうが、様々なアプローチで事態を切り抜けられる「強い」人間が存在感を表していくことでしょう。ソフトウェアが不調になった途端、全くのお手上げになるような「弱い」状態で、これから何十年も生きていけるはずもなし。

まるでF1レーサーのように、多くの人間が誰か一人をサポートするような状況なんて、コスト的にありえないですよネ。自分の状況は自分で改善するのが基本です。若い人は、20代の頃にプログラム習得の門戸を叩いて、コンピュータで未来を切り開く足場作りを早々に開始することをお勧めします。

そういった意味で、表計算の式・マクロは、うってつけの初級教材です。式の入力を間違えたからって、コンピュータが爆発するわけもなく、「!」のエラーが表示されるだけですからネ。

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