口ほどにモノを言う

「目は口ほどに物を言う」などと言いますが、それに加えて、「絵は口ほどに物を言う」も、ぜひ加えておきたいところです。

絵は上達すればするほど、意識の下におかれます。絵の素人だった頃は無意識だった様々な部分が、上達とともに、観察力と分析力によって認識されていくのです。つまり、絵の要素は、技術の高い人になればなるほど、意図的に扱われ、効果的に描かれます。それは指の爪の1つに至るまで。

しかし、「観察と分析」を経て、別角度からの切り口によって表現された作風は、いつしか様式化され、やがて習慣化して描かれるようになることも、珍しくありません。服のシワの描き方、手の描き方、爪の描き方、耳の描き方などに、端的にその様式が表れ、どれだけ習慣化しているかも察することができます。特に耳の描き方に、顕著に表れますよネ。

こうした「新たな切り口」の「様式化」、そして「習慣化」の一連のまとまりが、「時代の作風」となって、10年前後の周期で移り変わっていきます。

私は、4Kのような高詳細アニメーション作品が具現化してきた際に、従来のアニメキャラの延長線上の作風と、大きく異なった作風の、大まかに分けて2種類に分岐すれば良いと考えています。

アニメの絵は一般的に見て、かなり作風がロックされてしまっていて、見る側も描く側も、「アニメ絵をやんわり強制されている」ようにも感じるのです。私はそこから、徐々に別の路線を模索していきたいんですよネ。

冒頭で「絵は口ほどに物を言う」と書きましたが、最近再掲した4Kテストの少女の絵も、まさにその通りです。絵を見れば、どんな意識・思惑で描かれているかは、お分かりの方も多いでしょう。(下図は4Kを1600pxに縮小したものです)


*こういうスタイルで描く時、以前の作品取材の際に、人形作家の女性の方が「ただ、美しいものを、人形に表したい」と言っていたのを思い出します。

これとはまったく違う大人の男女を扱う作風も準備していますが、少なくとも上図の絵柄の場合は、シナリオや監督・演出は女性が好ましいと考えています。

その理由は、男が女を絵に描いて、男が演出まですると、多くの場合、「男性性寄りに打算的」になり過ぎるように感じているからです。その「打算」が作品表現においてある種の予定調和を形成している(そういうアニメや実写は昔から沢山ありましたよネ)のなら構わないのですが、それとは違う表現を盛り込んでみたいのです。

せっかく、今までとは違う表現を盛り込めるんですから。

胸などの性差を全く強調せず、媚びた表情も拒絶するような上図の作風とて、私は男ですから、そこかしこに男の「搔き消しようもない」打算が紛れ込んでいるでしょう。やっぱり、男が描く少女像と、女が描く少女像は、大きな差異が表れます。ゆえに、キャラクターの作劇上の「ハンドリング」は、少なくとも上図のような従来アニメキャラとは違うスタイルにおいては、「男の生理欲求」が顔を出さない、別のパターンの作劇法を4Kの繊細なフィールドで展開したいと思うのです。これは、私が敬愛する日本画家の制作スタンスにも通ずるところがあるのです。

「オトコ視線、直球勝負」の「女子描写」は20〜30代の「真盛り」の男がやれば良いし、その欲求がちゃんと絵に表れて一定のファン層に人気を博すと思います。ただ、私はもはや、そうした流れから遠く外れてしまった‥‥とつくづく実感します。

大人の女は、ちゃんと大人の女として描きたい(もちろん男もネ)‥‥という欲求もあります。アニメは昔からデフォルメされたティーンのキャラばかりが登場しますが、各年齢層の美しさ・かっこよさを描くのも、繊細さが活きる4Kなら可能だと考えています。若い女キャラじゃないと価値がない‥‥だなんて、ヒドい話ですもん。

絵は口ほどに物を言う。‥‥私は20代でも30代でもなく、40代後半ですから、そういう人間の「言い回し」を絵に表していけたら‥‥と思います。

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