浮動小数点の感覚

私は、描き送りの作画によるアニメ〜いわゆる「作画アニメ」に関しては、4K48fpsが構造上の限界と考えています。作画はB4用紙、1秒のコマ数は48コマ(を2コマ3コマのタイミングで)。‥‥これだけでもうんざりする人は多いでしょうが、逆に言えば、このあたりが「作画で許容できるフォーマットの限界」と考えます。映像処理プログラマーもアニメ制作側に引き込んで、近未来の8K/96fpsへのアップコン技術と組み合わせて、作画と映像処理技術の両要素で、次世代のフォーマットを活用するプランです。

しかしながら、私の本命はやはり、デジタル生粋のアニメーション制作技法です。私の考える方法では、画像寸法(ビデオ解像度)に関しては、時代の流れに合わせて4K〜8K(もっと先の未来には、もっと上もあるのかな?)へと推移し、フレームレートに関しては「いつでもフルフレームモーション」を基本とします。つまり、48fpsならば48枚の絵、120fpsならば120枚の絵で、アニメーションするという事です。意図的にタイミングを2フレや3フレで止めて「パンチ」を出す事はありますが、基本はフルフレームモーションのアニメーションです。

「そんなの動画枚数で死ぬじゃん」とか言われそうですが、動画はコンピュータがおこなうので、「フレームレートフリー」なのです。仮にフレームレートが240fpsになろうが、(マシンの処理性能はともかくとして)基礎構造として対応可能です。新しい方式においては、タイムシートの1秒毎のコマ数は不要なのです。

アニメーターはフィルム時代の24コマのタイミングセンスを重要視しますが、私の考える方法では「浮動小数点」センスとでも言いましょうか、要は、「1秒=24コマ」ではなく、「1秒=1.0」で捉えるセンスが必要になってきます。実際の作業様式としては、キャラクターなどの演技のタイミングは、タイムシートに書き込むのではなく、「演技プランシート」に書き込んでスタッフ間の対話をはかり、実際の「ガチのタイミング」はソフトウェア上で「浮動小数点レベル」で決め込んでいく‥‥という感じです。もちろん、演技プランシートは電子書類で、印刷物にはなりません。定型の用紙サイズに収まらないですからネ。

‥‥なので、役に立つのは、1/100のごく普通のストップウォッチです。人間が、1.333333333333と1.333333333334の差なんて解りようもないですから、浮動小数点といっても実際は下2ケタの固定小数点で基礎は充分だと考えます。ただし、コンピュータ上では浮動小数点で処理されるので、浮動小数点そのものに「慣れておく」事は必要だと思っています。

24コマのタイミングが染み付いた人でも、演技シートに24コマガイドを表示して記述していけば良いので、特に困る事はありません。ただ、制作上ではもはや24コマで語る事はない‥‥というだけです。

移りゆくフレームレートに翻弄されるのではなく、あくまで「1秒=1.0」の絶対的感覚でタイミングを意識して制御するわけです。「96fpsは24コマでいうところの4倍で‥‥」なんていう換算を毎回おこなうのはバカらしいという事ですネ。

私はもうかれこれ7〜8年以上は、デジタルオンリーのアニメーション制作法を研究していますから、どのような技術基盤が必要で、どんなフローやインフラを組んで、かつ、どのような人材を育てていくべきか‥‥といった事も、相応に強いイメージがあります。ただ、「下請け根性」のまま、新しいアニメーション制作をスタートすべきではないと考えているので、極めて慎重に事を進めようと考えてもいるのです。

加えて、未来の映像産業のかたちも、たっぷりとイメージすべきでしょう。もう「昔のハコ」では稼げないのでは? ‥‥現在は1960年代でも、1980年代でも、2000年代でもなく、2010年代なのですから。

テレビやビデオが無かった時代、粗末な解像度のソリューションしか手に入らなかった時代と、現在そして未来を同じイメージで捉える事のほうが愚かです。高密度画素の家庭向け映像機器の他、より個人的なソリューションを可能とするヘッドマウント機器の今後の発展も想定しておきたいです。


calendar

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< October 2017 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM