広さと深さと

作業の中、いつもモニタで見ている映像は、実はソフトによって見え方が異なることが多いです。

 

4KHDRでは、PQ〜「パーセプチュアル・クオンタイゼーション」で作業することもあるので、ソフトウェアのガンマやレンジの違いは、場合によっては大事故に繋がることもある、非常に重要な環境設定項目です。

 

macOSで言えば、まずApple御本家のQuickTime Playerは色が明るくなるので昔から有名(?)です。カラーシンクとか色々な絡みがあるのでしょうが、190(8bit-256諧調換算)の明るいグレーを190で素直には出力しません。

 

色彩計で専門スタッフに測定してもらったところ、macOSで素直に数値通り出力しているのは、After Effects、Photoshop、そしてDaVinci Resolveでした。DaVinciはリミットレンジではなくフルレンジにして4KHDR PQに対応しています。

*もちろん、プロファイルの変換はおこないません。RGBそのままの値が出る状態にAfter EffectsもPhotoshopも設定します。

 

 

 

こうした知識。‥‥とても個人では賄いきれるものではありません。

 

制作会社で機材のメンテやセッティングに長けたシステムスタッフ、経験豊富な機材関連代理店の方々、そして専門のラボの方々など、何人もの知恵と知識を結集して、どのように運用すべきかをようやく決めることができます。

 

日頃、リニアの映像しか見ていない人間が、PQににわかに対応できるわけがないのです。変な言い方ですが、自信を持って、初心者を自覚して習得すれば良いです。

 

20〜30年のキャリアがあるからって、何でも映像のことを熟知しているようにイキらなくても良いのです。

 

知らないことを、知っているかのように振る舞うことこそ、哀れで不様です。

 

自分の知っていることで自分の役割を発揮して、知らないことはどんどん覚えていけば良いです。そして、その習得や気付きの過程が新たな人間関係の輪を生み出すことにも繋がります。

 

 

 

iMac 5KとiPad Proで自宅でもアニメを作れます。作っている人間が現役のプロなら、プロ同等の映像が作れることでしょう。

 

とは言え、自宅では限界があります。機材面だけでなく、もっと広範な映像技術全般の知識において、不足しがちです。

 

しかし、一旦、プロ現場の知識を得れば、自宅環境の弱点を知識で補い、適切な操作が可能になります。

 

つまりどういうことか‥‥というと、

 

グローバルとローカルの両方の知識が必要

 

‥‥ということです。

 

プロの仕事でしか得られない広い知識

 

プロの仕事では踏み込めない深い知識

 

この両方が相互に作用しあって、より広く深い知識を得て、活用できるようになります。

 

通常の作画の仕事って、広いけど浅いよね。

 

自分の趣味で没頭する絵って、深いけど狭いよね。

 

広さと深さを自分のそばに携えておけば、色々な応用や活用の場面に恵まれます。

 

 

 

何百万円もするマスモニも、何十万円もする色彩計も、自宅には常備できません。ゆえに、プロの現場で作業して知識と経験を得るのです。

 

一方、自宅でなかば趣味で没頭している絵や造形は、プロの現場の仕事ではほとんどニーズがありません。しかし、ちょっとした場面で、深く没頭して得た知識が、現場で役に立つことがあります。そしてそれが、自分の役割を増やして仕事の幅を広げる契機にもなります。

 

 

 

まあ、自分は単に、映像関係の会社で働くサラリーマンで会社の方針に従うまでの事よ‥‥と思っているのなら、年功序列で生きていく人生もありでしょう。

 

しかし、残念ながらアニメ業界はサラリーマンとして生きて、老後も悠々自適なんて人間は、限られていましょう。特にアニメーターはまだまだサラリーマンには縁遠いです。

 

撮影スタッフだって、自分が50歳、60歳になった時のことを、リアルに想像できるでしょうか。同期はみんな撮影監督で、フロア中が撮影監督で満たされている‥‥とか、監督職のデフレです。

 

やっぱり、自分の未来は、ある程度は自分で計画して準備しておかないと、とんでもない転落が待っているように思います。

 

制作会社の仕切るアニメ作品制作では「広さ」を獲得し、日々の自分の取り組みでは「深さ」を獲得する。そして、一定の年齢に達したあたりから、その広さと深さを自分の「事業」(必ずしも会社を興すという意味ではなく、自分の生涯を支える取り組み全般です)へと展開するのが、老後貧困に陥らないクリエイターの道だと、私は考えています。

 

自分には、得意な広さがあるはずです。そして、自分に得意な深さもあるはずです。それを40代以降はちゃんと見極めて、自分の特性を活かせるように展開していくことが必要でしょう。向いてない物事にいくら金を注ぎ込んでも成就しません。あくまで、今まで生きてきてモノになった成功事例のバリエーションを増やして、新たな自分のプロジェクトとして再構成するのです。

 

 

 

仕事では広さを。

 

プライベートでは深さを。

 

明確に意識して獲得していきましょう。

 

 

 


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