カットアウト

カットアウトを自分でもやってみよう!‥‥と思う時、当然の事ながら、カットアウトの初心者状態なわけで、初心者なればこそ、謙虚に物事にあたることが肝要です。

 

どんなに業界歴が長くても、カットアウトに関しては初心者丸出しであることを、しっかりと自覚して、作画歴が長かろうが傲慢にならずに、1つ1つをゼロから習得する意識が必要です。そしてそれがカットアウトを自分の技術にできる最初の一歩でもあります。

 

何かと従来作画技術と比較して、自分の初心者ぶりを誤魔化すのは、みっともなく哀れなことです。「めんどくさい」とか早々に言い出す人は、結局モノにはできないでしょう。それはカットアウトに限らず、何に対しても同じ。

 

逆に、今までの経験や知識を一旦ゼロにして、何から何まで初心状態から覚え始めようとする人は、それだけで凄みがありますよネ。

 

 

 

実際、カットアウトの初歩の初歩は、パーツの分割から始まりますが、慣れてくると、絵を書く段階から「カットアウト脳」が働いて、これはどのように分割してどんなリグを仕込むかを、絵を描きながら想像して計画できるようになります。

 

もっと言えば、コンテを見た段階でカットアウト脳が動き出して、それこそドローソフトのレイヤー分割やAfter Effectsでのキーフレームまで思い浮かぶようにもなります。

 

でも、それはごく普通な技術体得の流れです。

 

従来の原画作業でも、コンテを見て作打ちしている段階から、タイムシートのタイミングまで思い浮かぶでしょう?

 

カットアウトも同じで、演出のオーダーをどのように具現化するかは、絵を描く前、ソフトウェアを使う前から頭に浮かんで、あとは実際に描いたり操作したりするだけです。

 

 

 

作画歴がどんなに長かろうと、カットアウトでは初心者。

 

初めて原画を描いた時のことを思い出してみてください。すらすらと何の迷いもなく描けたでしょうか?

 

カットアウトも同じこと。初めてのカットアウトで、すらすらと操作が進むわけがないです。

 

作画歴が長いと、プライドが邪魔して、初心に戻れないこともありましょう。でもそれは確実なる災い。初めてのことを学ぶ時に、過去のプライドなど害悪にしかなりません。一時的に外してしまいましょう。

 

 

 

カットアウトの初心の頃は不要なプライドに姿を変えてしまい障害になりがちだった従来作画の作業歴も、カットアウトの基本をマスターする頃には、従来作画の「動きの知識」が至るところで有効に応用できるようになります。

 

思うに作画歴の真骨頂とは、作画作業の慣習や様式ではなく、「動きに対する広範な知識」です。

 

「中3枚」という指定フレーズではなく、「中3枚だとどのように動いてみえるか」という動きそのものの知識こそが、経験者のアドバンテージなのです。

 

原画作業を消化する定型のスタイルではなく、自分の思った通りの動きにするにはどんな絵を描けば良いのかを知っていることです。

 

原画作業の流儀ではなく、絵を動かす知識こそが、作画歴を他の映像技術に応用する最大の武器です。

 

 

 

作画歴をカットアウトに活かせて、自分の技術の1つに加えることができる人は、技術の根本を知る人でしょう。作業のうわべではなく、作業を支える中核をしっかり認識して制御できている人。

 

一方、原画はだいたいこんな感じの絵を2枚描いて、中3枚か中5枚にしておけば、テキトーに動いて見えるよ‥‥なんて、絵を描きながら絵と動きを見ずに定型の段取りだけで原画を描いている人は、カットアウトでもチープなものしか作れません。

 

カットアウトは、当人の動きの能力がそのまま開けっ広げに出てしまいますので、作画の動きに対する意識の差も、カットアウトでそのまま表面に表れるのです。

 

実はアニメの撮影〜コンポジットも同じで、コンポジターの映像表現力がそのまま映像に表れる性質があります。同じく、カットアウトも動かす能力がそのまま映像に表れます。

 

 

 

カットアウトは一部には真逆の認識、大いなる誤解があって、「自分は作画ができないけど、カットアウトなら絵を動かせるかも」と考える向きもあるようですが、それは甚だしい誤認です。

 

絵を動かすには、絵を動かす能力や知識が必要なのは、誰でもわかることです。

 

髪の毛を別パーツにして左右に動かしても、髪の毛が動いているようには見えません。あたかも髪の毛が風に吹かれたり体の動きに振られているように動かすから、動いて見えるのです。キーフレームを漠然と操作しただけでは、絵は動いて見えません。

 

ソフト一発!‥‥で、高い技術力が手に入るわけ、ないじゃん。

 

カットアウトは、動きの能力を数々の試練を経て体得した人間が、さらに自分の能力を大幅に拡張するために用いるものです。

 

0x10は0ですが、10x10は100になります。‥‥カットアウトとはそういう技術です。

 

 

 

自分は5や8や10の技術を持っている!‥‥と確信できる人は、カットアウトにチャンレジしても良いと思いますヨ。

 

うまくカットアウトに技術形態に馴染んで活用するコツをつかめば、従来技術とかけあわせて、能力を確実に拡張できます。

 

それに‥‥です。

 

日本の、しかも、高度な動きの技術をマスターしたアニメーターが、欧米とは違うスタイルでカットアウトを駆使できるようになったら、どこまでアニメの表現が拡大するか、想像するだに恐ろしい(良い意味で)です。

 

欧米のカットアウトは格段に日本より発達していますが、絵作りや動きの感覚は欧米の予定調和の中に収まっています。

 

日本人は、欧米の予定調和は体感で知り得ないですから、当然、予定調和の枠をどんどんブチ破るでしょう。それこそ、日本の最大のアドバンテージ。

 

つまり、日本のアニメーターがカットアウトをマスターしても、欧米とは違うアニメを作りたがるし、実際に作っていくでしょう。

 

日本人が欧米人の真似ができないように、彼らも私らの真似はできないのです。ゆえに多様な作品価値が生まれて、ディズニーも愛されれば、ジブリも愛されるフィールドが形成されます。日本のアニメはジブリ作品だけではないから、なおさら多様化しましょう。

 

従来のスキームにこじんまり収まっていては、一歩も進めません。

 

アニメの知識をマスターして従来のフィールドを発展させたのち、さらにカットアウトで新たなフィールドを獲得しましょう。

 

 

 

さて‥‥こうして書いていることが、10年20年後には、どのように当たって、どのように外れていることか。

 

ペンタブ作画、ペーパーレス制作方式など、もろもろ含めて、転換に失敗し日本のアニメの衰退を見るのか、それとも、生まれ変わった現場の生き証人として著しい発展を体験するのか、アニメ制作者全員のまさに行動の結果が、10年後には見えていることでしょう。

 

 


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