レンズのミリ数と画角について

アニメの制作現場でよく「50ミリのレンズくらいで」とかの「レンズのミリ数」の表現が出てくるのですが、ぶっちゃけ、正直なところ、レンズのミリ数が実際の画角と結びついている人って、アニメ現場にどれだけいるでしょうか?

 

そんなに皆、カメラを手にして撮影した経験があるのかな? ‥‥結構、少ないと思うんですが。

 

まず、そもそも。

 

今は35ミリのライカ判の面積をフルに記録できるカメラが少ないじゃないですか。みな、ミニサイズです。

 

35ミリのフルの撮像素子を有したカメラはボディだけでも高価で、簡単に誰もがホイホイと使えるシロモノではないです。2〜3万円じゃ買えません。

 

APS-Cが大半と思われますが、そうすると、レンズのミリ数と画角は、35ミリフィルム時代の一眼レフとは全く異なります。都合、テレ〜望遠気味になります。

 

Wikiより、図説を引用。

 

 

 

レンズのミリ数だけではなく、撮像する面積によっても、画角は変わってきます。

 

アニメの現場のレンズのミリ数って、相当「あてにならない」言い回しです。一眼レフのカメラ経験のほとんどない人間が、曖昧にミリ数を口にしたところで、的外れな表現になりがちです。

 

ミリ数を口にするより、実際の画角を絵に描いて示したほうが、誤解が少なくて良いです。

 

 

 

実際、打ち合わせの場所で、「これは何ミリのレンズで」とか言われると、私なら「それはライカ判換算ですか?それともAPS-C?」と即座に聞いちゃいますし、「カメラをお使いになってたんですか? フィルム? 35ミリ? もしかしたら中判?」とも(いじわるじゃなくて、同好のよしみとして)聞くかもしれません。

 

アニメ業界はカメラの知識を知らない人が多いので、テキトーにミリ数で曖昧に話すようなことも多いですが、一方で、カメラを嗜んだ人も存在します。

 

なので、あまり、イーカゲンな「ミリ数」の表現はしない方が良いのです。ミリなんて、カメラを結構使ってないと、数値として身につかないものです。スマホのカメラばかり使っているような人間がミリを口にしたところで、実際の経験を伴わないことが、識者の前に出ればモロバレです。

 

例えば、85ミリで絞りを開いて人物にフォーカスして‥‥とか言えば、35ミリ一眼レフカメラ経験者なら「定番」の絵が思い浮かびます。アニメ現場の打ち合わせでは、85ミリと言ったところで、絵の収まりすら共通認識にはならないでしょ?

 

 

 

正直、よくわからない‥‥んですよネ。

 

「アニメ現場の言うところのミリ数」って。

 

繰り返しになりますが、レンズのミリ数で画角を言い表す時、それは35ミリ一眼レフ感覚‥‥なのでしょうか。‥‥でなければ、何?

 

「3DCGのソフトウェアの数値だ!」‥‥と言うのなら、その3DCGソフトウェアは何換算でミリを表記しているんでしょう?

 

もし、35ミリ一眼レフ=ライカ判が基準だとして。

 

35ミリフィルムが事実上コンシューマ市場から消えた今、35ミリの感覚をどうやって養うのか。前述したように35ミリフル版のデジタル一眼レフは、高価なので気安く買える製品ではないです。

 

EOS RPが登場して、随分と身近になりましたが、それでもレンズとセットで20万円はします。以前なら、30〜60万円の世界でした。

 

一方、私が35ミリ一眼レフの基礎を形成したのは、フィルム時代だったので、安価なコンパクトカメラでも35ミリフルサイズでしたし、使い捨ての「写ルンです」すらフルサイズで、35ミリフィルムが生活の中に溶け込んでいました。

 

でもさ。‥‥今は、ほとんどがAPS-Cでしょ。または、iPhoneの漠然とした広角の画角。

 

35ミリフィルム一眼の時代なら、17ミリと言えばかなり広い画角の広角レンズでしたが、APS-Cだと24ミリ換算くらいですよネ。24ミリレンズはごく標準的な広角で、超広角ではないです。ですので「17ミリ」と聞いても、35ミリフルサイズかAPS-Cかで、大きくイメージが異なります。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/35mm判換算焦点距離

 

 

 

タイムコードの1スタートもそうなんですけど、アニメ業界って、素人っぽいところがあって、中途半端にタイムコード書式を使ったり、ミリ数を口にしたりして、本式のプロ目線だと混乱しやすいことがあります。

 

テレワーク、ネットワークオンライン、ペーパーレス運用への移行に合わせて、アニメ技術の基礎知識も一旦、棚上げしていたものを全て棚から下ろして、そのまま棚に並べ直すものと、破棄して新しく定義し直すものと、総点検したほうが良いと思うんですよネ。

 

アニメ現場でレンズのミリ数なんか口にしても、35ミリフルなのか、APS-Cなのか、または他の何かなのか、基準が曖昧ですもん。

 

35ミリ一眼レフのミリ数を口にするのなら、せめて当人は、35ミリ一眼レフの経験と知識を獲得して、身の丈でミリ数を扱うべし。‥‥じゃないと、聞きかじったレベルの曖昧な数値が暴走して混乱します。

 

 

 

幸い、2020年の今なら、キャノンのRPなら、20万円くらいで、24〜105ミリのレンズセットの本体が買えるんですネ。レンズ感覚をカラダに叩き込むなら、実際に撮影しまくれば身につきますヨ。

 

それにしても、フルサイズは安くなったなあ‥‥。

 

*最近のクセで、24ミリと読むと習慣で1.5倍の36ミリくらいにイメージしちゃいますが、フルサイズだからライカ判の昔のまま!‥‥なのは、何だかとても嬉しいです。画角を狭くしていた仮面が剥がれたようで。

 

 

 

商売道具としてお金がかけられるプロのカメラマンだけでなく、アニメ制作者やアマチュアでも20万円以下でフルサイズ一式が手に入るようになったのは、2020年代の嬉しい状況です。

 

私はEFレンズの資産を活かしたいので、EOSのフルサイズ廉価版が欲しいです。今だと、13万円くらいで買えるんですね。安くなったなあ‥‥‥‥。

 

フィルム時代に愛用した17mmなどのEFレンズが、35ミリ時代の画角のまま使えるのは、喜ばしいことです。頭の中でおおまか1.5倍に換算しなくて済むのも、ストレスがなくて良いです。

 

しかし、そうなると、APS-C移行後に買ったAPS-C用レンズはケラれて使えなくなるんでしょうネ。でもまあ、本数は少ないので、まあいいか。

 

 

 

アニメ制作現場、特に紙の作画の現場は、紙の世界に隔絶された竜宮城のようで、今でも90年代を思わせるような雰囲気があります。

 

しかし、地上の外界を見渡すと、2020年代の現代技術に溢れています。映像・画像の技術進化は、ソフトウェア・ハードウェアと共に、どんどん進化しています。

 

A4用紙を150dpiでスキャンする「お城」の外界では、4Kではなく6K、しかもEFマウントのレンズで記録できるムービーカメラすらBlackmagic社から発売されています。

 

*このポケットシネマカメラを買うと、ダヴィンチのスタジオ版(本来は有償ソフトウェア)がついてくるので、外部モニタを使った編集とカラーグレーディングが作業できます。それもいいね。

 

 

こうした「外界」の状況を、「うちらとは関係ない世界」として片付けてきた延長線上で、2020年代以降も生き続けるのでしょうか。

 

アニメは西陣織とは違います。映像メディアの誕生と発展と共に生まれ育ってきました。

 

なのに、いつのまにか「伝統工芸」を気取って、映像技術進化に背を向けて、2020年代はおろか2030年代もA4-150dpiで生きていくのなら、全くもって、自分の出自〜ルーツを忘れています。アニメは現代技術の寵児なのですよ。

 

 

カメラの画角をもっと知りたい!

 

なので、カメラを買って、撮りまくってみた。

 

画角の感覚が身についてきた。

 

カメラで静止画だけでなく、ムービーも撮ってみた。

 

絞りを開放して、深度を浅くして、カメラ独特の表現にも挑戦してみた。

 

絞りとシャッタースピードの織りなす、シンプルだけど奥深い世界を知った。

 

カメラの表現って、アニメにもっと活かせる要素があることに気づいた。

 

 

紙と向き合うだけでは永遠に気づけない、映像全般の広範囲な表現手法を、カメラを通して獲得できるでしょう。

 

そして、やがて、自分の思う通りに、映像を作り上げてみたいと思うようになるでしょう。‥‥線画だけを担当するのではなく、映像全体を‥‥です。

 

テレビアニメの基礎を築いた1970年代と、2020年代の今と、何が違うでしょう。

 

今は、紙だけでなく、iPadもあります。そして、事実上無限に撮影できるデジタル一眼レフがあり、その一眼レフで動画すら撮影できます。1970年代には絶対に不可能なことでした。

 

だったら、その有利な時代性を活用しましょう。

 

どんなに武士道を貫いても、五右衛門のように刀で弾丸や飛行機やビルは斬れないですからネ。

 

せっかく今を生きてるんだもん。「今の利点」を使いこなしましょう。

 

 

 


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