現場の未来

アニメ制作現場が未来を生き抜くハードルは、1つだけではなく、いくつもあって、しかもそれぞれが高くて飛び越えるのが大変‥‥という、まさに「今までのツケ」がたまった状態です。

 

人材の枯渇、制作費の高騰、未来の映像フォーマットへの対応困難、他の映像娯楽ジャンルの台頭、ペーパーレス&ネットワーク作業型への移行困難‥‥など、挙げればどんどん出てきますが、実は直近でヤバそうなのは、次世代ソフトウェアが出現しない‥‥という「未来に歩き出そうにも靴がない」状況です。

 

多くの業界人は、まだ4Kドットバイドットでアニメを作っていないので実感が湧きにくいかも知れませんが、Retasは4KHDRには完全対応できません。ソフトウェアの設計がかなり古いので、扱えるメモリが少ないからです。

 

Stylosに関しては、もはや正常に動作しません。4Kのキャンバスだとクラッシュの嵐です(MacでもWinでも)。

 

PaintManは2K時代にも4K寸法の大判セルを扱ってきたがゆえに、ペイント作業を続行することは可能です。しかし64bitに対応していないので、状況の終わりはさほど遠くないかも知れません。

 

一方、未来の映像作品の「納品条件」は、素材の時点から4Kドットバイドットを要求しています。アップコンは許さん。‥‥と。

 

もしアップコンで作ったら、4Kの予算として大きな金額を設定している発注元は納品を拒否するでしょう。明らかな規定無視の契約違反ですから。

 

 

 

アニメ業界はプロの現場にも関わらず、「フリーウェア大好き」な性質があり、ソフトウェアの運用コストを「無駄金」のように思う人間もかなり存在します。

 

ゆえに、日本のアニメ業界の制作システムに適合した業務用ソフトウェアは、開発元からすれば「金にならない」という見方が、もはや定着して久しいです。健在と言えるのは世界市場を相手にしている企業の製品で、あとは、イラスト制作のオマケ機能として存在するか、オープンソースや小規模な開発規模のソフトウェアか‥‥です。

 

しかも、アニメ業界の現場は、あまりにも昔の制作方法に固執し過ぎます。

 

昔の方法と違うと、「使いにくい」とばかりに、悪評を連発する

新しい機能や技術は、「不要」とばかりに、前向きには評価しようとしない

 

こんな退歩的な現場のために、日本の小さな業界のシェアだけのために、大きなコストを投入して日本のアニメ業界専用ソフトを作る会社、存在しますかね?

 

さらには、「サブスクリプションは月1000円でも高い」といい、「1ライセンス3万円くらいで買い切りで永久サポートで」といい、できるだけ安く、無料なら尚嬉しい‥‥なんて意識の現場のために、どこの誰がソフトウェアを開発しようと思うでしょうか。

 

さすがに制作会社はソフトウェアや機材の費用を必要経費として認識しているでしょうが、フリーのアニメーターの視点では紙と鉛筆で長く続いたこともあり、サブスクリプションや機材リプレースの費用を「高過ぎる」と感じる傾向は根深いです。作業単価の影響はあるでしょうが、商売上の店舗の賃料のごとく必要経費として認識する意識には至っていません。

 

理由はどうあれ、「できるだけ金を払いたくない」と思う人々の中に敢えて入っていって、商売をしようとする奇特な人は少ないのでしょう。

 

もしかしたら、日本のアニメ業界は、次世代のソフトウェアを手に入れられないまま、自滅するのかも知れない‥‥と思うことがあります。

 

 

 

昔の制作方法に固執するのを止め、未来の映像技術変化と共に歩んでいく覚悟を決めれば、日本のアニメ業界も未来へと進んでいけるのでしょうが、その覚悟ができないのでしょう。

 

色々なしがらみで、覚悟に至らない。至れない。

 

絵を描いて、動かす。‥‥この原点に立ち戻れない‥‥のです。

 

いつまでも現動仕美撮の概念から抜け出ることができないので、新しいテクノロジーを活用できません。旧来作業工程の中身に、どれだけ上乗せトッピングするかの発想止まりです。

 

新しいテクノロジーを拒絶する現場に、どのような新しいソフトウェアが必要か?

 

‥‥なんていうトンチみたいな話です。

 

しかし、アニメ業界のリアルであり、笑い話ではなく現実です。

 

新しきを拒絶するものには、新しいもの自体が不要なので、既存の作業環境が社会に適応できなくなった時点で、現場自体が終了する‥‥のかも知れません。

 

 

 

私の最近の感慨では、「次のフェイズに移った」と感じてます。「コロナショック」後における世界の意識変化も、大きい要素です。

 

今までの方法論では突破できそうにないです。

 

重要なのは、今までの方法論は白紙に戻して、旧来要素で取り入れらるものだけを再編入することです。

 

前述したように、なによりも「しがらみ」「意識」「慣習」が、新しい技術を活用するムーブメントの負荷となり障害となるので、継承しないことが重要です。

 

まあ、難しい話ですよね。人や知識や経験は継承しても、作法や慣習は継承せず‥‥というのですから。

 

でも、できないことはないです。

 

機材や技術は既にスタンバイして待ち構えていて、新しい方法論で使ってくれるのを待っているのです。

 

 

 

 

 

 



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