トレーサビリティ。

テレワークが特殊な事例ではなく、各所であたりまえな事例になると、次の達成目標はトレーサビリティの「再構築」でしょう。

 

トレーサビリティ。

 

トレース=Traceといえば、アニメ制作現場でもおなじみですが、トレースの意味は「なぞる」「追随する」「追跡する」からわかるように、工業や産業分野になると、「追跡可能性」とも日本語では呼ばれます。

 

Wikipediaによると、

 

物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態

 

‥‥とのことで、つまり、物品が生まれて廃棄されるまでを追跡して把握・管理することです。

 

アニメ業界は、テレビシリーズの発展と共に、強固なワークフローが形成されましたが、それは言い換えれば、トレーサビリティの充実とも言えました。

 

しかし、2010年代になって夥しい量のアニメが生産されるようになると、ワークフローの形崩れとともにトレーサビリティも低下し、各スタッフが手弁当でケアしている状態が続いています。70〜80年代アニメ業界が確立した「運用システム」という名の「無形遺産」を、2010年代で大きく損傷した‥‥と言っても言い過ぎではないでしょう。

 

 

 

私は2010年代に入る前の頃に、ワークフローがどんどん例外処理によって形崩れし始めた際、せめて1カットごとの状況を把握できるシステムはできないか、バーコードも活用したカット管理システムを限定的に実践したことがありました。

 

カット袋のバーコードをバーコードリーダで読み取ると、そのカットの諸元や現在位置に至る経路がわかる‥‥という仕組みです。

 

私がカット名を、「作品略号_話数(パート)_カット番号」という書式にしているのは、データベースとのやりとりを容易にしつつ、人間が目視した際の可読性も考慮したがゆえです。導入が容易なCODE39バーコード書式で、文字列を組み立てることも重視しました。

 

 

 

‥‥しかし、同調する人はほとんどいませんでした。正直、がっかりしたものです。

 

2010年時点で「後付けに次ぐ後付け」「分岐に次ぐ分岐」で旧来ワークフローの崩壊が進んでおり、カットを完成させるためには、何と何と何を追跡すべきかが混乱していました。今から10年前に既に、です。

 

なのに、ワークフローにおけるトレーサビリティの劣化に対して、実効策に興味を抱く人は少なく、不平不満を漏らすばかり。不満のツイートをいくらしても、現場は改善しないのにネ。

 

当時から、コンビニでは商品の仕入れから販売レジ打ちまで、すべてバーコードが活用されていましたが、アニメ制作現場はまるで昭和の商店のごときでした。‥‥いや、今でもそうかな?

 

そして今、ペーパーレスのテレワークの機運が社会的にも広まる頃、バーコード自体が不要になって‥‥と、何世代も昔のままのアニメ制作現場が竜宮城であることを、リアルに感じます。

 

まあ、もう、バーコードの件はいいです。私の倉庫のダンボールの中身を管理するのに、決して無駄にはなってないですし。

 

バーコードは単なる手段。

 

重要なのは、トレーサビリティです。

 

 

 

ネットワークのオンラインで作画も演出も作業するようになった未来、トレーサビリティの確保は重大な要素です。

 

ネットワークをベースとした進捗管理システムとリソース管理システムが必要になりますが、そのシステムが旧態依然としたアニメ制作をトレースしているのは、いかにも限界があります。

 

新しいトレーサビリティを獲得するために、70年代のシステムをトレースする必要ないです。

 

古いワークフローを固持しようとする態度は、新時代の映像産業に対応する技術発展を妨げます。テレワークでネットワークオンラインで、なぜ70年代のシステムを再現しようとするのか。深海から地上に戻ってきても、頭の中はいつまでも竜宮城なのか。

 

70年代ではなく、2020年代のトレーサビリティが必要です。

 

作業ユニットの連結手順を自在に組み換えて、カットごとのワークフロー自由度を実現できるシステム、そしてトレーサビリティが必要です。

 

 

 

以前の私なら、新時代のアニメ制作現場のトレーサビリティを実現しようと闘志を燃やしたと思いますが、今はちょっとそんな気にはなれないのです。皆がその気にならなければ、状況なんて動かんことを、痛いほどバーコードの時に思い知ったので。

 

それに、トレーサビリティを獲得した先の話まで考えると、様々な別の路線も考えておかないとマズいですもんネ。

 

トレーサビリティはアニメ作業スタッフを根本から救済するわけではないですし。別腹の方策をいくつも用意しておかないとダメです。

 

 

 

テレワークでネットワーク母体になっても、アニメを作り続けたい人が、自分ごととして考えて、トレーサビリティの再構築に挑みましょう。どんなソフトでデジタル作画をするか‥‥という話題に終始するのではなく、運用システムを考えるのです。

 

いつまでも「誰かが仕組みを作ってくれるのを待つ」だけじゃなくて。

 

 


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