カセットライフ

コロナウィルスの自粛期間中に、VHSテープの売り上げ伸び率が首位に躍り出たとか。‥‥売り上げ総数ではなく、伸び率なので、全く売れてなかったものが売れるようになっただけ‥‥ではあるみたいですが、コロナウィルスの緊急事態宣言中に、VHSに何が起こったんでしょうね。

 

‥‥などと人のことを言っている私の生活は、数年前から「カセットテープ」が復活しており、自宅でも作業場でもカセットを息抜きに聴いています。作業場ではひとりで作業する際‥‥ですけどネ。

 

 

 

現在、カセットテープの種類の選択肢は、ほぼ無いに等しいです。かつての雄、マクセルが頑張って生産を継続していますが、今や「UR」のみ。数年前に入手できたULも消え、SONYのHFも消えました。(私はまだストックが20巻くらいはあります)

 

録音する機器も、ノーマルポジションのみで、ドルビーBすらついていないので、音質はかなり妥協せざる得ません‥‥が、高音質に拘りたいなら、いまどきカセットなんて使う必要はないので、それでよし、です。

 

私が使っているラジカセはコレです。白と黒の2台を2カ所で使っていますが、安定して動作していますヨ。

 

 

このソニーのラジカセは、ステレオミニプラグの外部入力があるので、外部の様々な音源から録音できます。デジタルデータの音源でも、カセットに録音するだけで、様々なアナログニュアンスが追加され、柔らかい「オールドPAF」のような音になります。‥‥オールドPAFは言い過ぎか。

 

メガベース機能のおかげで、ラジカセにありがちな小口径スピーカーのペラい音ではなく、厚みを感じる音も出せます。(オフにも設定できます)

 

AppleのMusic.appのプレイリストで46分くらいで作って、ラジカセに録音すれば(私的使用に限定=著作権法30条「私的使用のための複製」を踏まえておきましょう)、テープの収録時間ギリギリまで使い切れる「マイベスト」が作れます。90分テープは片面45分ではなく、余分に1分くらいの長さがあるので、46分で作っておくと、片面へ裏返す際に便利です。(テープはリニアだからさ‥‥)

 

64bitのmacOSカタリナのMusic.appは、今まで通りiTunesのスクリプトが使えるので、秒数まで把握してコントロールしたプレイリストを作れます。プレイリストには分数までしか表示されないので、スクリプトで秒数まで把握して、テープの尻尾まで音楽が詰まったカセットが作れますヨ。

 

 

iMacとラジカセの共演‥‥なんて、80〜90年代には思いも寄らなかったですネ。

 

 

 

私は仕事では4KやHDRなどの高品質フォーマット(やがて「標準」フォーマットになりましょうが)に関わっていますが、「高品質」を盲信しているわけじゃないです。むしろ、人間の感覚をできるだけロスなく媒介するためのデジタル高品質が必要だと考えています。

 

一方、「品質にこだわる」とは、必ずしも最新の高品質が基準になるわけではないです。「ノスタルジー品質」というカテゴリもあります。私がカセットを今でも愛用する理由は、まさに「ノスタルジー品質」基準です。

 

カセットの音は、ビット数やサンプリング周波数の低いデジタル波形データとは全く違います。

 

機械装置や電気回路の曖昧なニュアンスがまとわりついた、いわゆるローファイな音です。

 

私はギターを弾くので、ローファイはサウンドメイキングの極めて重要な要です。「音が歪む」「原音からかけ離れた音になる」という性質は、もはやヴィンテージの風格すら漂います。

 

カセットに音を記録すると、まずハイ落ちします。しかし、ビットレートの粗末なMP3とは違い、メロー(って言葉は今はほとんど使いませんが)なニュアンスになります。もしカセットの記録音を再現したければ、デジタルなら96KHz-24bitのプロセシングは必要かと思います。

 

加えてコンプレッション。「テープコンプレッション」の強烈なコンプ感は、テープの大きな魅力です。音が割れる近くまで音量を追い込むと、咄嗟の過大入力の際にダイナミックレンジの圧縮効果がかかります。私はギターでも深めのコンプが好きなので、テープコンプレッションのニュアンスも好きなのです。

*ラジカセの中には自動レベル機能(リミッター)が付いているのもあり、テープコンプレッションと似たニュアンスになりますが、アタックやディケイの癖で容易に聴き分けられます。ラジカセの自動レベルは元に戻るまでの反応が大袈裟なんですよネ。

 

決して原音に忠実ではないカセットの音は、

 

角がとれた優しい音

可聴域におさまった聞きやすい音

ワウフラッターによる微妙な音ゆれのアナログ感

テープヒスノイズが環境ノイズと馴染む効果

 

という、まさにデジタルサンプリング技術が突破した旧時代の技術課題が、皮肉にも「大きな魅力」になっています。

 

高価なスタジオモニターヘッドフォンでガチ聴きするのではなく、ラジカセのスピーカーからテキトーに音を流す‥‥のが、ちょうど良いです。

 

 

 

「高音質」には拘りませんが、「音質」には拘っているからこそ、ラジカセを今でも使うのです。

 

私は192KHzで24bitのサウンドインターフェイスを使う一方で、古き品質のニュアンスも愛好しています。

 

ハイを知るからこそ、ハイ以外の味わいも恋しくなるし、ローの良さも改めて認識するのです。

 

そして、ローもハイも、両方の感覚や経験が必要だと解ってくるのです。

 

*40年前の小学生の頃に弾いてたグレコ・レスポールから抜き出したギターの回路。音量調節って、音量の信号を直に調整するのではなく、アース(グランド)に逃す(ショートさせる)量で調整するって、知ってました? ‥‥今更ながら電気回路の面白さを、レストアで再認識しています。

*デジタルばかりだと、ハンダ付けとか等身大の感覚を忘れがち‥‥ですよネ。

*ちなみに、この回路(3PUのちょっと特殊なレスポール)はProcreateで実体配線図っぽく描きとってメモしてあり、CTSの新品カスタムポットやオレンジドロップのコンデンサ(巨大!)に総入れ替え、セレクタ(=これが3PUゆえに特殊でな)やジャック、PU、配線材など、全ての電気回路をリプレースする予定です。

 

 

 

 

こんな話を書くと、「アニメだってローファイが‥‥」とか言い出す人間が出てきそうですが‥‥、おいおい、都合よく便乗するなよ、です。

 

今のアニメ制作は、ローファイを狙って解像度や色域を昔のレベルに抑えているのではなく、10年前の品質レベルのままでしか運用できないからです。

 

アニメ制作事情は決してローファイの良さゆえに、1.5KSDRを選んでいるのではなく、制作環境やシステムの都合に大きく影響されているがゆえです。自由にローもハイも選択できるわけではないのは、4Kにいまだに踏み出せない状況が無言で物語っています。

 

ローファイを目指すなら、16ミリフィルムのシミュレーションをしなくちゃね。

 

今回のコロナの影響で、アニメ制作も次世代に転換して、ローもハイも自由に扱えるよう進化したいものです。

 

4KHDRが扱えるようになれば、そこで改めて、16ミリの素朴な風合いが愛しく感じられるでしょう。そして、あえて、限定された色域やモーションでアニメを作ることもあるでしょう。

 

 

 

最近はテレワークのご時世ゆえに、ビットレートの低い音声をそこら中で耳にします。カセットテープより格段に劣る音質です。

 

カセットの音は、インフラの都合による粗いデジタル音声ではなく、長年の技術が育んだレトロな質感です。

 

まあ、ノスタルジーは多分に含まれてはいますが、今でもテープディレイやアナログコンプ、真空管アンプのシミュレーションが、デジタルプロセスに存在することを考えれば、アナログの揺らぎが大きな魅力を放ち続けているのは確かなこと‥‥ですネ。

 

 

 

ちなみに‥‥、クラシック音楽は、基本的にカセットテープとの相性は悪いです。テープヒスやワウフラッターがもろに打撃となって、不快な音になってしまいます。

 

クラシック音楽全般は、Amazon MusicのHDで96KHzのデジタル音源を、それなりに良いヘッドフォン(K240とか)でじっくり聴くのが心地よいです。

 

カセットに合うのは、ポップス、歌謡曲、アニソン、ジャズ、フュージョン、ロック‥‥と言ったバンド編成〜ドラムとベースの「リズム隊」が存在する楽曲ですネ。

 

ジャズも、オール生楽器(ピアノもベースもドラムもアコースティック)のビル・エヴァンスではなく、ジョージ・ベンソンとかウェス・モンゴメリーなどの「電気楽器」が含まれているタイプだと、カセットに合います。

 

ハイとローを両方持っていれば、自分の好みに合わせて使い分けられます。

 

2020年代の今だからできる特権‥‥ですネ。

 

 


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