後出しジャンケン、水掛け論。

制作会社が、作画の単価を2〜5倍にするのが、先か。

 

今の作画単価で、スケジュールを正常化するのが、先か。

 

「両方」が譲らなそう。いかにも、拮抗。

 

 

 

私は作画からコンポジットにも業務の幅を広げましたが、偽りなしに正直に申しまして、コンポジットはスケジュール内で見通しがたつことが多いです。‥‥まあ、コンポジットでもド派手な戦闘アクションシーンばかりをやれば時間は危ういですが、作画に比べればかなり見通しは立ちやすいです。

 

作画とコンポジットを、現実に両方作業している人間からすれば、作画は本当に辛い。

 

まずは、発注側が異常に安い作画単価を仕切り直して、作画の単価を数倍にして、内容の重さで変動単価にして、そこからようやく、未来の現場のスケジュールを議論することもできましょう。

 

テレビの原画で1カット2万円、動画は1枚1000円。それでもスケジュールを遅らせるアニメーターが大半になるのか、実証実験をしてみれば、アニメ業界の本当の体質も見えてきましょう。もちろん、作画内容は今まで通りで単価だけアップすることが必須です。アクションシーンの大変なカットは、原画1カット5万円、動画1枚2500円くらいの変動単価は必須です。新人でもスペシャリティでもなく、標準的な技量を有する動画作業者が、1枚の動画を描くのに2時間かかる大変な内容なら、世間の時給から鑑みて、必要な単価はわかりますよね。

 

私は原画のルーキーだった頃、最低で1ヶ月70カット、多い時は100〜120カット原画を描いていました。なぜかというと、それが標準的な速度で、その速度で作業可能な絵の内容だったからです。

 

そうしたこと=今と昔の内容の差を度外視して、2020年の今を語るのは机上の空論も甚だしいです。

 

 

 

思うに、制作会社側は後出しじゃんけんをしてはならないと思います。

 

単価を大幅に上げる。そして上がりの様子を見る。数ヶ月して、スケジュールの改善が見られる人と、そうでない人の差がでましょう。

 

単価を上げる行動を見せることもなく、「スケジュールが改善されれば単価を上げることが可能」だなんてツイッターで説いたって、実際に旧来単価で仕事をし続けている誰もが同意しません。まず、お金を出す側が実際に単価を上げて示さないと。

 

改善効果があるか「お試し」だからといって、5000円を5500円、6000円を7000円にしたって効果はないので、ちゃんとそれなりの額にしましょうね。また、安い単価のなかでやりくりしていた体質を改善するには、個人にも半年くらいの移行期間は必要です。

 

 

 

でもまあ、これは水掛け論、泥仕合だろうな。‥‥私の知るところで、35年、解決してない問題だもん。

 

大変な作画をゼロから描き起こして、その単価が安かったら、どうやったって、何かで補わなければなりませんもんね。精神論で解決できる問題ではないです。精神の話になったら、はい、泥仕合。

 

解決してないどころか、どんどん拍車がかかって激化してます。‥‥その理由をキャリア数年の若い人も、ベテランも、2020年代は改めて考えるべきとは思います。

 

私は、今までの制作技術と制作システムを踏襲するだけでは、永遠に水掛け論は続くと思います。大変な絵を膨大に描いて塗って作って、時間と金と能力が膨大にかからないわけがない。ですもん。

 

不満は巨大に膨らみ続け、ガスを抜くためのメスは入らない。皆、それぞれの立ち位置があるから。

 

2020年代は、もしかしたら、何十年にも渡って膨らみ続けたアニメ業界の「負のバブル」がどこかで弾ける‥‥のかも知れませんネ。

 

 

 

私は「単価が上がれば解決する」論者ではないです。単価が上がっても、2K以下でしか作れない今の現場の限界は明らかです。未来に生き残れません。なので、単価の話は今まで積極的に取り扱っていません。

 

加えて、単一単価のままでは、どんどん状況的強者が、状況的弱者を踏みにじることにもなります。

 

「スケジュールが改善されれば単価を上げられる」みたいな後出しジャンケン論法も不毛だと思います。金を出す側が、口約束で「この次に単価を上げますよ」なんて言ったところで、さて‥‥‥信じられる? 次っていつ? 上げるって何円? 

 

 

 

でもまあ、それも呉越同舟の屋形船。

 

どこに向かって水の上を走るのか‥‥って、実は屋形船よろしく、「宴」の周回コースだったり。

 

船長を変えても、屋形船を新造しても、航行するのが同じ水面を走る周回コースなら、結局は同じことの繰り返しになるのでしょう。

 

同じローカル周回コースを走るがゆえに、収益の増収も見込めないからこそ、ペンタブ作画も、グループウェアも、必要とされないままなんだと、最近はわかってきました。屋形船に、外洋航行のノウハウを導入しようとしても、「? それ必要?」と思われて終了です。

 

やっぱり金の問題は大きいです。理想を説いても、現場改善論も、現在の収益モデルでは、虚しいばかりです。

 

他の業界が「グローバルモデル」に舵を切ったのは、決して「たまたま」ではないのでしょうネ。

 

 

 


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