激動の日々

レコーダーのおまかせ録画で「旧東ドイツ 激動の日々」というドキュメンタリーが録画されていたので、作業しながら見ていたのですが(自宅で)、傍で番組を観る(聴く)につけ、アニメ業界の未来を暗示しているようで、途中から見入ってしまいました。

 

東ドイツと西ドイツ。分断の歴史、統一、そして統一のその後。

 

東ドイツは西ドイツ側から見れば、恐ろしく古い設備で産業を支えていたそうな。

 

 

 

ふと、アニメ業界の状況が頭をよぎります。

 

東ドイツは紙をメインとした旧技術のアニメ制作現場とそのスタッフたち。西ドイツはペーパーレスかつ新技術を意欲的に導入している現場とそのスタッフたち。

 

雇用や単価、技術、運用、労働に対する、あまりにも大きな感覚の差。

 

壁の中に覆われて、旧態依然とした状況を繰り返していた旧来(従来)アニメ業界は、まるで壁崩壊前の東ドイツのごとくです。

 

もし「壁」が崩壊したら。

 

壁が崩壊したことは、アニメ業界の呪縛とも言える過去の作業慣習(特に金の問題)から解放される歓喜ともなりましょうが、一方で「それまで積み上げてきたものが、突然無くなってしまう」ことでもありましょう。東ドイツの女性従業員のインタビューは、紙でキャリアを積み続けたアニメーターの境遇と重なります。

 

OSSI(東出身者〜オッシー)とWESSI(西出身者〜ヴェッシー)という言葉は、特に印象的でした。やがてOSSIがWESSIに対して劣等感を抱く‥‥という経緯についても。

 

東の友人(Ossi)はすっかりあきらめの境地にいた。何をするのも馬鹿らしい、何もしたくない、どうでも良い‥‥といった感じ。(インタビューより)

 

西の人(Wessi)は、雰囲気や身のこなしが、とても自信がある感じ。(インタビューより)

 

両者の間には、新しい見えない壁が存在していました。(ナレーションより)

 

 

辛辣ですね‥‥。

 

アニメ現場に例えるなら、アッシーとディッシーでしょうかね。「AとD」、アナログ出身者とデジタル出身者。俗っぽい言葉ですけど。

 

今までのアニメ業界のカタチでは未来に対応できなくて崩壊して、4KHDRなどの新基準の中で、旧時代のスタッフが新時代の流儀に抗いようもなく呑み込まれていく、時代の移り変わり。

 

4KHDRで何をどうしたら良いかもわからず、ただ戸惑うだけ。特に紙だけを使っていた世代は深刻で、4Kのフレーム寸法のなんたるかを理解できない。

 

紙時代の流儀にいつまでもこだわって非効率で無駄な段取りや作業ばかりを繰り返す人々をアッシーと呼び、一方、技術もお金も生き方も新時代の感覚をもち柔軟に対応できる人々をディッシーと呼ぶ。

 

ことあるごとに「これだからアッシは面倒い」と見下されるような空気が恒常化する。

 

アッシーは、「どうせ自分は時代遅れの役立たずだ」みたいな無力感に苛まれる。そして、アッシーは相変わらず「昔の単価のまま」の業態で使われ続ける。もはやチャレンジする気力など喪失し、自信も誇りも失う。

 

そんな時、「昔のアニメは面白かった。楽しかった。作っていて充実していた。あの時代を取り戻そう!」という気持ちが、「懐かしのアニメ復刻」のイベントで盛り上がる。アッシーたちは自分たちの「失った居場所」を模索し始める。

 

‥‥ドキュメンタリーの内容をアニメ業界の未来風にアレンジしてみましたが、笑ってられないですネ。

 

実は、2020年代終わり〜2030年代に、「昔ながらの技術でアニメを作ろう!」というムーブメントが起きるのではないか‥‥と、私は予測しています。突拍子もない夢想ではなく、過去の色々な実例から鑑みて、です。

 

 

 

歴史から学べることはたくさんあります。

 

2010年代の深夜テレビ枠の乱造の時代、あんなに殺人的なスケジュールでも乗り切れたんだ!‥‥という経験が、今のアニメ業界にことごとく裏目に出ているは、デミャンスク包囲戦突破で自信を得たドイツが、ベルリン包囲戦まで追い詰められた結果と、酷似してませんかね?

 

実際、2010年代の濫作と乱造に自信を持ってしまって、今後もそれでいけると思っている人は多いでしょ。

 

ただ、お金の問題はどうだろうネ。皆が2020年代にも同じ金額で大人しく作業するかね? そして、アニメブーム世代の人間は、確実に時間あたりの作業量は落ちますよ。2010年代と2020年代の状況は、全く同じじゃないです。

 

AssiとDissi。AとDだなんて、俗っぽい分け方ですが、OstとWest、OssiとWessi、東西ドイツのドキュメンタリーを見ていると、アニメ業界の明日を予感せずにはいられません。

 

 

 

 


関連する記事

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   
<< September 2020 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM