PSD、Clip、連番ファイル

私は、4年以上、Procreateで原画を描いていますが、Procreateでやりとりできるなどとは思っておりません。ごく内部の同じフロアのチームならOKですが、一般的なファイル形式であるわけがないです。

 

なので、ProcreateからPSD形式で書き出して、互換性をまず確保することになります。

 

ただ、PSDはそれはもう、みなが好き勝手にレイヤー構成している状況。無法地帯です。

 

だからと言って、細かい仕様を決め込みすぎると、それはそれでガッチガチになって運用が難しくなります。そもそも、原画って、時にはAセルのみ、時にはABセルを1枚に書き込み、時には注釈もつけたりで、紙の時代から綺麗にセルごとに分割されているわけではないです。

 

レイヤーフォルダ(正式名はLayerSetオブジェクト)にAセルを入れようと思っても、たまにABCセル書き込みになった場合、果たしてそれはAセルと言う名のレイヤーフォルダに入れるべきなんでしょうかね? Bセルのレイヤーフォルダの中がスカスカに番号抜けしてたら、逆に混乱すると思いますし。

 

紙の原画の作法を踏襲している「デジタル原画」なら、紙に倣えば良いと前々から感じてます。タイムシートに原画を挟む時に、AセルBセルごとにクリップやホチキスで留めたりしませんよネ。

 

ですから、レイヤーフォルダでセルごとにまとめるよりも、PhotoshopでPSDファイルを開いた時のレイヤー並び順が、まるで紙に挟んでいるが如くに整然と並んでいれば良いと思います。レイヤーフォルダの使い道は、1枚の絵が複数レイヤーに分割された時に、1つの絵としてまとめる時で良いんじゃないかな‥‥と最近は思うようになりました。

 

で、そのようにPhotoshopのスクリプトも作ってあります。レイヤーフォルダの第何階層まで掘るか‥‥という深度を決めています。

 

 

 

と言うのは、限定的な話題です。

 

もっと大きな話題。

 

結局、「デジタル作画のやりとり」には、何の形式が共用(公用)に向いているか。

 

‥‥が一番大きくて深刻で厄介な問題です。

 

私は、

 

「デジタル作画」ならclip形式でいいんじゃない?

 

‥‥と思いますけどネ。Clip Studioだったら、導入のハードルは地べたを這うが如く低いでしょ。

 

「デジタル作画」=紙作画のスタイルを移植した作業内容なら、Clip Studioが最適だと思いますけどネ。導入&維持コスト、性能ともに。

 

でも、皆がClip Studioを所有しているわけではないので、clip形式は環境によっては全く開けないファイルなのです。

 

Clip Studioは2020年代、アニメーター必須のソフトウェアとなるか、こればかりは誰も決められません。予測もできないです。

 

 

 

一方、新時代の作画技術を導入して、4KHDRや60pにも対応して、未来のデファクトスタンダードを獲得する目的なら、今のところ、Toon Boom Harmonyが最適とは思います。

 

Harmonyは、階調トレス、カラーアートやオーバーレイなどの複合レイヤー、デフォーマー、マスターコントローラ、ノードスタイルのUI、XYZの立体的なカメラがデフォルト‥‥と、日本のアニメが手を出せずにきた要素をふんだんに装備していますから、新しい技術スタイルでこそ真価を猛烈に発揮します。新しい脳みそ=作画に対する新しい思考形態が使う側に必要です。

 

 

 

とはいうものの、アニメ業界の暗黙の総意としては、しばらくはまだ、紙スタイル・フィルム撮影台スタイルの映像制作を続けようとしているわけですよネ。

 

だったら、例えば原画作業なら、

 

  • PSDで一つにまとまった原画ファイル
  • 全ての原画枚数がフラットに見渡せる連番ファイル(最高画質のJPEGかTIFF。TGAは解像度情報がないのでNG)
  • タイムシートをファイル内部にもち、すぐにパラパラと動きが見渡せるclip形式
  • プレビューのムービーファイル(m4v、mp4が良いと思います。容量は軽いし互換性が高い)

 

あたりを整備しておけば良いと思います。

 

うわ〜‥‥テンコ盛りだな‥‥と思うでしょうが、私もそう思います。過渡期ゆえの、内容が重複した無駄リソースです。

 

しかし、現状の「デジタル作画」は1つの形式に決めきれないんだから、様々なケースに対応すべく、書き出しの自動化なども活用して対応するしかないです。

 

スクリプトを作って自動処理すれば、例えばクイックアクションなら、Automator => AppleScript => Finder => Photoshopの流れで、手作業だと異様に面倒な原画上がり画像セット書き出しも、PSDから自動生成できます。

 

 

過渡期は、自動処理や運用法など色々工夫して対処しないと、煩雑な作業に心身を喰われます。

 

 

 

ちなみに、去年は原画>演出>作監>動画>動画チェックと作画絡みをClip Studioでフローしたスタイルも実践しました。とてもスムーズでやりやすかったですよ。

 

それでも、動画作業で使う色鉛筆の16進数の値は何がOK?とか、ペイントマンとの互換性を検証したり(何色まで認識できるのか)とか、一筋縄ではいきませんでした。

 

ソフトウェアや環境がバラバラなら、もっと一筋縄ではいきません。なので、少なくとも今は、いろんな受け渡し方法に対応する必要があります。

 

 

 

TVPaintは、去年アプローチした際にちょうど代理店が日本からなくなった時期で、レスポンスが非常に悪かったのが災いして、全く使っていません。一時は試しに導入してみて、4Kでどうなるか、テストしてみようと機運が高まっていたんですけどね‥‥。

 

加えて、やはり去年の同じ頃、TVPaintを導入している会社に外注のアプローチをした時に「4Kのタブレットをそちらで用意して供給してくれないと、作業は難しい」と言われて、さらに遠ざかることになりました。私はiPadで全ての4Kの原画・作監の作業をしたので、2.8Kでも4Kの作業はできるんだけどね‥‥。Clipで動画を引き受けてくれた外注さんは、おそらく2〜2.5Kで作業したはずですし。1〜2カットのために、4Kタブレットを用意して貸し出せ‥‥というのは、さすがに呑めませんでした。

 

たまたま、その会社の担当者の対応の「めぐりあわせ」かも知れませんが、そうこうしているうちにClip Studioで4Kが作業できることが検証できて、TVPaintを4Kで使う話は消滅しました。‥‥ちなみに、スタイロスで4Kは困難の連続で実質NGでした。

 

わたし的には、Aura時代から馴染んで、旧知の知り合いもAura時代からの凄腕の使い手だったりして、決してTVPaintそのものは難ありとは思ってないんですが、悪い要素が重なっちゃったよなあ‥‥。2020年の今となっては、どうせお金を出すのなら、もう少し出して、カットアウトに完全対応しているHarmonyのほうが魅力がありますし。

 

TVPaint社は2020年の現在も日本の拠点はないのだろうか。中国に拠点があっても、なあ‥‥。セルシスもToonBoomも、拠点は日本国内にしっかり存在してますよネ。アマチュアがフリーウェアを使うわけではないので、その辺は重要なポイントです。

 

 

 

2020年代、「デジタル原画動画」を取り巻く状況はどんどん変化していくでしょう。

 

その変化に追随していくには、かなりの柔軟性が必要です。

 

しかし、柔軟に対応するがあまり疲弊してしまうことは、容易に想像できます。ユラユラ揺れる船の上で船酔いするかのごとく。

 

ならば、多少揺れても、水平を保つスタビライザー的な仕組みを考えないと、体がもちませんよネ。

 

幸い、使う道具はコンピュータなので、スクリプトなどの自動処理で揺れを吸収することはできましょう。

 

コンピュータゆえに揺れるのなら、コンピュータで揺れを吸収するのも、手の1つですネ。

 

 


関連する記事

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< April 2020 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM