じゃあ、プロは。

はっきり申しまして、個人や学校の機材のほうが、アニメ制作会社よりもゴージャスで最新です。資金がなく、今でも旧型のPCとCS6を使っている会社はごまんと存在します。

 

まず、2020年代は、2020年代の映像技術にふさわしい機材へと、アニメ制作会社の装備がリプレースされることが必要です。それができない会社は、徐々に足場が削りとられていきます。いくら何でも、CS5.5やCS6を2020〜2030年代まで使うなんて、その時点で会社として「かなりヤバい」と自覚すべきです。

 

 

 

プロは何をすべきでしょう。

 

前回のブログでも書いたように、4Kの解像度の「4K作品」は、技術さえ更新されれば、個人レベルでも制作可能です。

 

しかし、「4K作品」ではなく「4KHDR作品」は、個人では無理です。機材が買えませんし、それゆえにノウハウを蓄積することもできません。もし個人で無理して業務用のHDR機材を購入しても、メンテできないですよネ。

 

現在10万円前後で買えるコンシューマ向けHDR機材=「Display P3」では、DCI-P3でPQで1000nitsの映像制作は実質不可能です。なので、私は自宅にはHDRのモニタは導入していません。中途半端なのを10万円出して買っても意味ないかな‥‥と思います。「なんちゃってP3」なら、iMacやiPad Proで十分。

 

DCI-P3でPQで1000nitsターゲットの映像なんて、個人の機材レベルではまだまだ数年は「自分で作った絵を、あるべき状態で見ることすら不可能」なままでしょう。

 

単純に金の問題です。金がなければ機材は買えず、ゆえに技術も知識も更新できません。iPadやiMacを買っても、それだけでは全然無理です。1000nitsでDCI-P3でPQの正確な色が映し出せるモニタって、まだ300万円(CG3145とか)はします。ラボでHDRのグレーディングなんて、個人規模でできるわけもなし。

 

ですから、まず映像品質面で言えば、プロの面目躍如は「4KHDR24p」と言うことになります。Dolby VisionのPQに対応して、映像コンテンツを公開する‥‥なんて、アマチュアや個人では現時点では不可能と言っても言い過ぎではないです。DaVinciを使うにも、別途でDolbyのライセンスが必要ですしネ。HDRの絵作りをネイティブにおこなう過程で、カラーサイエンティストの助言も必要になりましょう。

 

プロは、4KHDR24pでDolby Visionにも対応。

 

アマは、4KSDR24pで旧来のRec.709のまま。

 

‥‥わかりやすい棲み分けです。

 

 

 

アニメ特有の技術で言えば、各工程の基礎技術の高さは、プロならではです。実は基礎技術こそ、プロがプロである大きなアドバンテージなのです。

 

前回の女の子のムービーは、線画をiPad Proで描きました。そして塗りも自分で作業しましたが、ぶっちゃけ、塗りのミスがあります。私は彩色のプロではないので、彩色作業に関する技術レベルが低いのです。ペイント作業が遅く、ミスも多いのです。

 

ですから、「自宅で作ろう」というテーマではなく、商業ベースのアニメ制作なら、ペイント方式が新時代に合わせて進化しても、作業は彩色のプロに100%依頼するでしょう。

 

背景美術だって、実写を加工して作るには限界がアリアリです。商業ベースならば、専門の美術スタッフの力量が不可欠です。頼りになる美術監督は得難い財産でしょう。

 

「撮影」、いわゆるコンポジットも同じです。私は今まで劇場作品のVFXや撮影監督をしてきたので、コンポジットに関してはクオリティコントロールに目を光らせる習慣が染みついています。ゆえに、前回の女の子のムービーも、「もっと顔が見えるように照明をコントロールしたほうが良いかな」とか色々改善案が実際の作業段取りで想定できます。

 

4KHDRか、4KSDRか‥‥の他に、アニメ制作を生業として生きてきた現場の人間は、基礎技術、さらには応用技術のアドバンテージがあり、そこはアマチュアには手が届きにくい「プロならではの特別なエリア」でもあります。

 

 

 

カットアウトを取り入れる‥‥と言っても、動きの技術がなければ、それはもう、動きの醜い素人芸になります。

 

現場の作品作業の数々を経験したからこそ、作画で喰ってきたプロのアニメーターであればこそ、カットアウトにチャレンジしたスタート時点で、「動きの知識と経験」の「量と質」が違うのです。

 

‥‥そのアドバンテージを活かさずして、プロが何を活かすのか。

 

 

 

プロの作業者のアドバンテージは、「どこどこの何社は、どんな制作体制で、どんなソフトを使っている」ことを薄く中途半端に知っていることではないです。そんな上辺の情報ばかりに気を取られていては、時にはノイズになって、判断を迷走させる原因にもなりましょう。「アニメ業界のインサイダー気取り」なんて、正直不要ですわ。

 

技術に対して、それこそ愚直なくらい、実直であること。‥‥それさえあれば、2020年代の技術を導入して応用して、新しいパワーにもなります。

 

厳しい現場で研鑽を積んできたプロのスタッフ(アニメーターに限らず全工程)に、新時代の技術革新が加わった時、良い意味でとんでもない化学反応が起こって、信じがたいほどのパワーが発生することだって、あり得ます。

 

個人やアマチュアに有利なことは、実はプロに対しても有利なことでもあるのです。

 

プロが保身や既得権益に走って、昔の殻の中に閉じこもるのなら、どんどん状況は劣勢になります。

 

アマチュアが好機と感じる要素を、プロはもっとエゲつなく骨の髄まで活用すべきと思いますよ。

 

 

 


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