脱シンナー制作その後

脱シンナー‥‥と言っても、シンナー中毒からの脱出ではなくて、シンナー系塗料〜つまり溶剤系アクリル塗料を一切使わずに、しかも筆塗りメインで模型を仕上げる方法のことです。

 

実は延々と技法のアプローチを続けているのですが、作業途中で写真を撮るのが面倒でなあ‥‥。

 

それに、脱シンナーと筆塗りはカテゴリーが違うので(材料の選択の話と、塗り方の話は、別)、どのように「技法一式」として扱うかを塗りながら作りながら考えていました。

 

おそらく、

 

絵画的アクリル筆塗り技法

 

‥‥という呼び名になると思います。

 

プラモを立体的なキャンバスとして扱う‥‥という意識が、いわゆる、従来のプラモ塗装の方法とは違います。

 

プラモ塗装の近年の一般論は、

 

  1. 組み立てる
  2. サーフェイサーを吹く
  3. 不具合部分を修正する
  4. サーフェイサーを吹く
  5. エアブラシでベタ塗りする
  6. 細かい部分をエアブラシと筆で塗る
  7. デカールを貼る
  8. クリアを吹く
  9. 汚しを入れる

 

‥‥みたいな手順です。クリアが先か、汚しが先か‥‥は、その時々で。

 

一番最初にペタッとした無機質なベタ塗りで塗装して、後からウェザリングやエイジング、明暗の誇張などの「表情付け」を処理して風合いを出す「一般的」な方法です。なんだか、アニメのセル塗りに特効を入れるような感じ‥‥ですネ。

 

新品が、経年変化で汚れていく様子

 

‥‥を模しています。つまり、現実のミニチュア的アプローチです。絵ではなく、箱庭的現実世界です。

 

絵画技法においては、最初にベタ塗りして経年変化を足す‥‥なんてことは相当珍しい描きかたです。風景画や人物画を描く際に、一旦ベタ塗りして後でニュアンスを加える‥‥なんてしません。

 

私が長年、プラモ制作でひっかかっていたわだかまりは、まさにソレ=最初にベタ塗りしちゃうこと‥‥でした。ベタ塗りって、水彩なり油彩なりで考えると、相当「奇妙」な塗り方ですもん。建築物の壁を塗装しているわけじゃないんだし。

 

私は、プラモを通して「シーン」を作りたかったことに、ようやく数年前に気付きました。

 

‥‥考えてみれば、映像制作を仕事にしてるんですから、当然の趣向ですよネ。リアルよりもかっこよさを追求する仕事をしてるのに、その感覚を長年の間、プラモには応用できなかった自分が不甲斐ないです。

 

プラモの箱絵は、まさにかっこよさの象徴的存在です。

 

プラモの箱の絵がもったいなくて捨てられず、小学生の頃から今までコレクションしていることからも、「自分がプラモで何がしたかったのか」をもっと冷静に分析してれば、長年悶々とせずに済みましたネ‥‥。

 

ちなみに、箱絵。ボックスアート。

 

以下は、私の小学時代からのコレクションの一部です。まず、F-105Dサンダーチーフ。キンカ堂の値札も今となっては貴重です。

 

 

 

 

定価が500円で2割引で400円です。私がキンカ堂でプラモを頻繁に買っていたのは、2割引きの安さゆえ‥‥というのを、何十年ぶりかに思い出しました。

 

おそらく、このサンダーチーフのプラモを買うのは2回目だったと思います。小学3年生の頃に買った時は、350円が定価だったので、この箱の価格表示は一斉大幅値上げ後ですネ。

 

私は六車さんの箱絵が好きで、今でも強い印象のまま心に残っているのは、F-4Eのシャークティースの箱絵です。もちろん、ちゃんとコレクションしていますヨ。

 

 

 

さらに、言うまでもなく、小池さんの箱絵も大好きです。知っている人はご存知でしょうが、小池さんの箱絵は、初期はポップな色使いだったのが、徐々にリアル路線へと変わっていきました。F-16の初期型(試験飛行時代)の箱絵は、まだポップ寄りの頃です。

 

 

このF-16のプラモはイトーヨーカドーで買ったらしい。

 

 

 

次は、YF-16との戦闘機選定に敗れたYF-17がF-18として蘇った頃のプラモデルで、今は相当レアな箱絵ですが、小池さんのスタイルがリアル方向に転向した頃でもありますネ。

 

 

 

ハセガワばかりなので、レベルのF-15も。

 

 

 

箱絵に描かれた1シーンの数々。

 

私がプラモに求めていたのは、立体的に描かれたシーン(情景)だったわけです。

 

ああ。ジオラマがやりたいのね。

 

‥‥というわけじゃないんですよ。ジオラマも箱庭的アプローチで、現実のシミュレーションのような側面が強いですよネ。

 

現実を箱庭に納めたいわけではないのです。結果は似てても、動機やアプローチが異なるんですよね‥‥。

 

音で言い換えるならば、例えば小鳥のさえずりを声で形態模写したいんじゃなくて、1オクターブ12音の旋律として再構成したいんですヨ。写真ではなく、野外録音ではなく、絵を描く、音楽を演奏する、その決定的な違い。‥‥それを何とかプラモの色塗りで表現できないか、最近はずっと模索してました。(まあ、仕事の合間なので、スローペースですが)

 

私はプラモに空想を求めていたことが判ってから、史実に基づくアプローチは「空想に現実味を加えるスパイス」と思えるようになりました。

 

 

 

エアブラシでムラなく塗って、後から汚す‥‥のではなく、最初から絵のように描いていく。

 

その方法が最近はようやく見えてきました。プラモの技法書を買い集めて読むのではなく、私が高校時代に読んだ絵画技法の本の数々が、今、全く違うジャンルで役立っています。

 

*さすがに、40年前の本なので絶版…ですネ。現在入手可能なのは古本のみです。

 

 

下地に「感じさせたい色」を塗っておき、表現したい雰囲気を意識しながら、徐々に全体像を浮かび上がらせていく‥‥という絵画スタンスの塗り方を、プラモで実践するわけです。

 

カラヴァッジョやレンブラントの技法が、まさかプラモで役立つとは、思いませんでした。これもある種のセレンディピティですかね?

 

右は特製の銀色で筆塗りした下地塗りの状態、左はダークイエロー(XF-60ね)で筆塗りした、ヤークトティーガー(タミヤ 1/48)です。ペタッとしたイエローではなく、適度にムラが残って、まだ完成途中なのに、まるでウェザリングを施したかのようです。

 

 

 

1/48のティーガーII。何工程も控えているうちの第2段階ですが、まるで油彩のようにルックが徐々に浮かび上がっていきます。エアブラシでムラなく塗る方法とは、全く異なる絵画的アプローチです。この後、筆の大きさをどんどん小さくして、複雑なマティエールへと導いていきます。

 

ペタッとした無機質な表面ではなく、絵画が完成していく過程のような表面であることが、最大の特徴です。「塗装」という言葉から離れて、「絵を描く」意識で進行していくわけです。立体のキャンバスを絵を描いて、組み立ても同時におこなうような、「描く」と「作る」が並行するイメージです。

 

 

 

お次は1/48のファイアフライ。砲身と防盾はまだ下地塗りのままです。この後、雑具に色をつけて(木製の取手とか、ハンマーの金属とか)、ウェザリングや墨入れなどもおこないます。

 

今までの一般的な手法と大きく違うのは、最初からプラモの色彩に表情があることです。

 

絵では当たり前なアプローチですが、なぜかプラモでは「塗装」に徹する習慣があって、絵を描く意識は希薄でした。‥‥我ながら、マインドセットだったんでしょうね。

 

 

 

このアプローチに切り替えてから、少なくとも私は「自分の土俵で相撲がとれる」安心感でプラモを作れるようになってきました。難しい部分はまだまだありますが、かなり気が楽になった‥‥というか、バイトで慣れない塗装工をしている気分からは解放されました。

 

プラモの塗装に対して、生産工場での単色塗装がしたかったわけではなく、自分は情景画を求めていたことがわかって、今では色んなアイデアをカタチにできるようになってます。ずっと「塗装」に対して、心の奥で齟齬を感じてたのが、すっきりと晴れた‥‥とでも言いましょうか。

 

ここらへんの制作奮闘記は、いつか電子書籍にまとめられたらな‥‥と思ってます。私はモデラーなんて名乗れる技量にはないので、あくまで下から目線でプラモ好きの観点で。

 

また、2020年の元旦に届いた1/48のティーガー後期型を、戦車コーティングシートも併用して(吸着地雷除けのアレ)、制作記を記録していこうとも思っています。モデラーの方々がブログでやっているみたいに。

 

 

 

でもまあ、これはあくまでも趣味の領域で、本業とは直接的には関係ないです。

 

本業は本業で、また、新しい切り口で進んでいく所存です。

 

 

 

 

 


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