TBH

Toon Boom Harmony(以後TBH)を再び使い始めました。After Effectsでのカットアウトは生産効率の面で限界があり、より一層、カットアウトに適したアニメーション制作統合環境の必要性を感じていますが、TBHはその切り札となる存在だと感じています。

 

TBHの特徴は色々ありますが、使い勝手が良い特徴の一つとして、1つのレイヤーに4つのレイヤーを内包する機能があります。ラインレイヤーとカラーレイヤーの他にオーバーレイとアンダーレイが持てるので、様々な場面で様々に活用できます。私は現在、服の模様を一部貼り込むためにアンダーレイを使っています。

 

テクスチャを貼り込む部分だけアンダーレイにペイント(カラー)を複製しておき、テクスチャを貼り込むマスクとして活用するのです。一見、1つの描画レイヤーに見えても、その中には、線とペイントと任意マスク(任意画像)を独立して内包できるわけです。この機能はシンプルに便利ですよ。

 

After Effectsでも同じ構造は作れますが、あくまでユーザがプリコンポーズなどの機能を駆使して作るだけで、ソフトウェアが機能として実装しているわけではないです。After Effectsをカットアウトで使う際は、準備に手間がかかる由縁です。

 

 

 

とはいえ、TBHの多機能なレイヤー構造を、毎回ほじくってテクスチャを合成するのは、同様に手間がかかりますよネ。

 

そこでさらに便利な機能がありまして、グループ化とマルチポートIN/OUTです。

 

テクスチャの処理構造だけをグループ化して使い回すことができます。‥‥この機能は、After Effectsでは真似できない、TBHならではの利点です。

 

 

プログラムで例えるなら、ユーザ独自のファンクションを作って、ユーザ任意の入出力(引数と戻り値)を実現するような感じです。

 

もしギターを弾いている人なら、自分独自の「エフェクターボードが作れる」と言えば解りやすいでしょう。

 

 

*エフェクターボードには、ギターもスピーカーもないですが、自分の思う通りに音色を変える仕組みの数々=エフェクターが詰まっています。

 

 

上図のBOSSのペダルボード(日本ではエフェクター、欧米ではペダル、ストンプと呼ぶようです)で例えると、中に収納されたエフェクターがTBHのノード、収納ボックスがグループ、ボックス装備のIN/OUTがマルチポートIN/OUT‥‥という感じです。

 

*SplitterとCombinerは私が改称しただけで、元はコンポジットノードです。コンポジットノードが台形の形をしているのは、パススルーであることを示しています。ベクターを非破壊で通過させたいので。

*コンポジットノードを分配器として使うのは、かっこ悪いでしょうか?‥‥まだまだ機能を把握できてなくて、もっと優雅な方法があるかも知れません。

 

 

テクスチャは単に貼れば良いわけではなく、線画の下、ペイントの上になる必要があります。貼り込むパーツのマスクで切って一番上に貼り込んじゃうと、線まで消えてしまいます。

*二値化ペイントの場合は、線を除いたペイント部分のマスクは抽出が容易です。ゆえに巷の現場は貼り込みを多用していますが、動きを追って貼り込む撮影さんの苦労は相当なものです。作画の人が貼り込みを経験すると、皆驚きますよネ。その大変さに。

 

そこで、「貼り込まれる側の画像」を線画とペイントと貼り込むマスクの3つにひとまず分解し、「貼り込む側の画像」を線画の下、ペイントの上に挟み込んで合成して出力します。貼り込む画像はいつも100%の不透明度とは限りませんので、ペイント実体は一番下に配置しておきます。

 

下図のように、「貼り込まれる側の画像」と「貼り込む側の画像」を受け入れるポートを2つ、合成結果を出力するポートが1つ‥‥と、自分の思う通りの設計で「処理構造」を1つにまとめることができます。

 

 

 

 

これは、After Effectsでは無理。クリスタでも無理。TVPやCACANiは使ってないので解りませんがどうでしょう。

 

上乗せ楽チンの処理セットはAfter Effectsでも作れますが、入出力ポートを実装したセットは作れないですもんネ。

 

TBHって、内容を知れば知るほど、オブジェクト指向のIDEみたいな性質が見えてきます。つまり、使う側の創意でいくらでも「化ける」っていうことです。使う人間次第で「映像表現と生産性が拡張される」わけです。

 

 

 

日本のアニメの作り方は、手続き型、段取り型ですが、TBHは明らかにオブジェクト的な思考を足場にしています。なので、日本アニメ業界標準である「何度も同じ素材を新作して、何度も同じ段取りを繰り返す」非ライブラリ型・段取り型の制作方法を、TBHで模倣しようとすると無駄が多くなって「一見、機能が過剰」なように勘違いすることもあるでしょう。

 

とはいえ、かつての私がそうでしたが、簡単に「オブジェクト指向の頭」には切り替わらないないものです。段取りを考えて、それに必要な要素を順次こなしていく‥‥という思考から、中々抜け出せません。似たような作業段取りを毎度毎度繰り返して、縦割りばかりの構造を考えがちです。

 

クラス型限定でも構わないから、まずはオブジェクティブにアニメ制作を捉え直してみることが必要です。実は紙運用の「カット袋」がまさに「カットというクラス」のインスタンスなのでしょうが、明確に意識している人はあまり多くはないかも知れません。カット袋の表面に並んでいる記入欄を、「カット」オブジェクトのプロパティやメソッドだと考える人は少ないでしょう。

 

 

 

TBH〜Toon Boom Harmonyは、「手続き型」に慣れ切った日本のアニメ制作現場の思考を、ちょいちょいとくすぐってくる、ある意味「挑発的」なソフトです。日本的段取り思考の弱点を突いてくるようなところがあります。

 

でも。

 

日本のアニメ制作現場にだって、オブジェクト指向な人間はいらぁ!‥‥ですよネ。全員が全員、手続き型の思考に染まっているわけではないです。

 

オブジェクティブな考え方を現場で説いても、今は「わけのわからんことを言ってるな。夢想家なのか?」と扱われがちでしょうが、めげないで頑張りましょうネ。今までのアニメ業界の作り方で未来もみんなで生きていけると思う方が、幻想であり夢想家なのですから、冷静に対処しましょう。

 

ぶっちゃけ、手続き型で4Kの緻密な絵を作るのは、肉弾攻撃に及ぶがごとくです。迫り来る4Kに対して、特殊攻撃隊を組織するわけにはいかないでしょう? 肉体ではなく、頭脳で、未来を迎え撃ちましょう。

 

 

 

TBHは確かに他のソフトと比べて高価ですが、ヤバいポテンシャルを秘めています。

 

わたし的に言えば、とにかく今は、使い込んで、慣れることです。ライブライリの機能をまだまだ使いこなせていません。マスターコントローラとかもまだ全然板についていませんし。

 

どんどん色んな絵柄をTBHで試して、可能性を具体的に見出すことが今は必要でしょう。

 

 

 

 

 


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