2Dと3Dと4Kと

4Kのアニメーション制作に移行すると、今まで数分から十数分で終わっていた1カットのコンポジット出力〜いわゆる「撮影」のレンダリング時間が、数十分〜数時間に伸びるようになります。近年の「数日で本撮完了」という状況は、4Kになると難しくなるでしょう。

 

ここにカットアウトなどのレンダリング時間まで加わると、数時間〜十数時間という長さになって、いよいよ、「急ぎ働き」は不可能になってきます。

 

2000年代の後半に、劇場作品だけでなくテレビ作品でも「彩色」「撮影」にコンピュータが導入され、アニメ業界に急速に浸透した一方で、「3日で本撮アップ」なんていう状況を耳にするようになりました。あっという間に「レッドオーシャン」に染めたのは、実はアニメ業界の中の人々たちだったのを、忘れてはなりません。

 

4Kも、アニメ業界の中の人々が参入するようになると、「レッドオーシャン化」するのでしょうか。‥‥いやいや、4Kはさすがに簡単にはそうはならないだろうと思っています。4Kを赤く染める前に、安く速く作ろうとする人や会社は、自分自身が赤く染まって死ぬ(=廃業)するだろうと思います。

 

2Kの時にうまく出来たことは、4Kではうまく出来ません。今までの「勝ちパターン」「鉄板」がことごとく通用しなくなるからです。

 

 

 

しかし、それでも2Dのアニメは、4Kに対してとても有利な位置にいます。

 

3Dのレンダリング時間に比べれば、まだまだ運用の見込みがある時間で収まっているからです。

 

4Kのカットアウトになると、「たったの1フレーム」に数分要することはざらにあります。‥‥でも、逆に言えば、1フレームが数分で済むんだもん。見込みは立ちますよ。

 

3D界隈では、1フレームで数時間とか1日とか、珍しくないですもんネ。ゆえにレンダーファームは必須となり、機材のコストは2Dを遥かに凌駕します。

 

4Kのドットバイドット(アップコンなし)で3Dを作る場合、どんなことになってしまうのか、日本国内の状況で考えると、「まだ無理ではないか」と思えてしまいます。欧米はともかく、日本国内では。

 

アニメでも少なからず3DCGのパワーが作品作りに貢献していますが、2Kでも3DCGパートは相当苦戦する状況を見聞きします。

 

1フレーム数時間とか1日とか、まだ2Kサイズでの話であって、4Kサイズになったら、2倍のレンダリング時間では済まなくなります。私は3Dスタッフではないので、リアルな状況はわかりませんが、側から見ていても4Kはまだ無理っぽい感じがします。

 

3Dスタッフさんが作品表現的には可能でオペレーションまで出来たとしても、4Kの解像度ゆえに、レンダリングがまるで追いつかなくなるように思います。

 

4Kになる‥‥ということは、2Dでも3Dでも、作り出す情報量が増えるということですから、2Kと同じ機材のままだと、完成までの時間が大幅に伸びるのは当然です。2K と同じ内容を拡大して済む話ではありません。

 

機材のパワー不足を、3Dは2Dよりも痛烈に被ることになりましょう。

 

 

 

なので、アニメ業界、2Dのアニメ制作現場は、なんとももったいないことをしているわけです。

 

4Kに対して、状況的にまだ優位にいるのに、まるでチャンスを活かせてないよネ。

 

4Kはおろか、2Kにだって、ドットバイドットで対応しないままですもん。‥‥まあ、だから、アニメの現場は安く買い叩かれるのかも知れませんが、ホントにこの先、どうやって時代の流れに対応していくのか、そこすらも危ういです。

 

あまり考えたくないことですが、アニメ業界は一旦「自滅」するように思えてしかたないのです。今の作り方のままで4Kなんて制作不可能だし、2Kにだって対応できないままズルズル来ちゃったし、作業者の仕事の効率と報酬は昭和のまま引き摺っているしで、2020年代の令和に、自己崩壊するように淘汰が始まるように思うのです。

 

3Dに比べれば、まだ機材面でも見込みがある2Dのアニメ。

 

その見込みを全く活かせないまま、アニメ制作現場は濫作乱造を続けて疲弊し、業界全体では団塊ジュニアのベテランアニメーターは60代になって次々と現場から去り、新しい技術を開発する機運もなく、業界の分業システム自体が失速して、4Kに対応するどころか、2Kをアップコンで作り続けるのもままならなくなる‥‥という状況が想像できてしかたないです。

 

もはやA4用紙を144dpiでスキャンしている場合じゃないのに。‥‥その低い解像度で作り続けることが、どんどん未来の自分らの首を絞めることになるのに。

 

4Kは、手で描くアニメだったら、3Dよりも断然有利なのに。

 

 

 

何度も思うことですが、業界規模で考えたって、未来は見えてこないんですよネ。

 

世界を救うことを夢想するよりも、自分の身の回りを改善して変えていくことのほうが現実的です。

 

自分の周辺から「方舟」の要素を作っていくしかないのでしょう。

 

であるのなら、4K。

 

2D〜絵を手で描く人間にとって、4Kはもう手の届くレベルです。ただ単に、描こうとする人間が少ないだけのことです。iPad Pro 13インチとiMac 5K、After Effectsがあれば、描いて動かすことはもう可能です。集団的な運用のノウハウはまだまだですが、描ける事自体は現実のレベルです。

 

 

 

1.5K程度のミニサイズを自分のキャリアの最後にしたいですか?

 

たった1500px前後のミニサイズの結果物を作るために、制作現場は2020年代も苦しみ続けるのでしょうか?

 

近い未来の社会において、1500pxを1920pxに水増し拡大した映像にどれだけの価値がつくでしょうか?

 

どうせ苦労するのなら、高い品質価値の伴うフォーマットに更新したほうが良くないですか?

 

あきらめずに、扉の鍵を見つけましょう。

 

 


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