線路は続くよ

「ビット。」の話で書いた1670万色の色数は、20数年前には驚きそのものでした。アニメの場合、アニメカラー(という名前だったかは記憶が曖昧)の色数は200〜300色だったので、1670万色という数字は衝撃でした。

 

‥‥まあ、24bitの色数と、絵具の色数を比較すること自体、ちょっとズレた話ではありましたが、混色が実質上できなかったアニメカラーと、中間色をいくらでも使える「デジタルアニメーション」の24bitカラーは、とても解りやすい「新旧の差」であったことは確実です。

 

現在は各色10bit、RGBだと30bitが標準で、12bit:RGBで36bitを使うことも増えてきています。After Effectsは、「イノセンス」をやっていた頃(2002年頃)に「16bitモード(RGBだと48bit)」が導入され、それまでの様々な24bitの限界を払拭しました。1670万色の24bitカラーに比べて、280兆色(!)の48bitは、圧倒的な余裕がありました。

*今でも、48bit=2の48乗は、大き過ぎて、パッと数値が言えません。200兆色と言いがちですが、80兆を切り捨てるのも凄い話ですネ。

 

20数年前は「色数が膨大だ」と思われていた24bitカラーも、単色では256階調止まりゆえに、例えばトーンジャンプ(グラデーションの中に縞模様が見える)の直接的な原因となって、一転して「色数不足」と認識されるようになりました。「イノセンス」で薄暗い赤い海中のシーンがあるのですが、もうどうにも色数が少なくて、オレンジ系を混ぜたり、色を拡散させたりと、苦労したのが昨日のように思い出されます。ちょうど、After Effectsに16ビット(RGBだと48ビット)が導入される寸前の頃でした。

 

現在は、After Effectsでは普通に16ビットモードを使い、出力は10bitのProRes4444やDNxHDですので、8bit(24bit)の低すぎる限界とは無縁です。2010年代以降にアニメ業界に入ってコンポジター(撮影)のスタッフになった人は、ビットの話なんて知らなくても、普通に障害なく仕事ができるので、逆にビットやRGBの仕組みを知ろうとする機会は少なかったかも知れませんネ。

 

 

 

でも。そして。

 

また黎明期がやってきます。

 

4K、そして未来的には8Kにおける、アニメ制作現場の「新基準の高品質に対応」するための、黎明期が。

 

それは、タブレット作画の黎明期=紙からの脱却の移行期とシンクロします。

 

作画やコンポジットだけでなく、美術や彩色、そして制作進行まで、全員が体験する黎明期です。制作さんが中間素材を取り扱う際に今までの常識は通用しなくなりますし、お金の話も大きく切り替わるでしょうから、クリエイティブだけでなくプロデュースも大激変するでしょう。

 

4Kは画面サイズが大きくなっただけのように考える人も多いですが、サイズが大きくなるだけで「ものすごい現場改革」が必要になります。

 

境界線

 

‥‥なんですよネ。要は。

 

今までのアニメ制作スタイルで通用していたのは、まだ境界の内側に居たからです。ハイビジョンだ2Kだと言っても、今までの流儀が通用するフィールドの内側止まりだったのです。

 

ビットのことなんて特に意識しなくてアニメが作れていたフィールドを、意識・無意識に関わらず、「次の場所」へと踏み出してしまう境界線こそが、まさに「ようこそ4Kへ」の看板が迎える「新しい映像制作の時代」への入り口です。

 

踏み出す‥‥というよりは、連れていかれる‥‥と表現したほうがよいかも知れません。

 

アニメ産業が、「時代」という列車に乗り続けて社会とともに進もうと思うのなら、好むと好まざると、「次の駅」に進んでいくことになりましょう。

 

 

 

 

「4K」とは大雑把に言いますが、中身は、4Kサイズはもちろん、HDR(Dolby Visionなど)だったり、多チャンネル音響(アトモスとか)だったり、先には60pだったりと、色々な要素が新しいフィールドには存在します。

 

アニメ業界のアニメ制作は、あまりにもそうした新時代のテクノロジーに不勉強過ぎました。「ました」とか書くと過去形みたいですが、現在進行形で「不勉強過ぎる」状況が続いています。

 

境界線を跨いで進んだ最初の頃は、スマートアップスケーリングでも後付けHDRでも許されますが、それは決して「4KHDR作品」としては売れないので(2Kアップコン作品を4K作品として売るのは言わば詐欺ですもんネ。その方法がまかり通るのなら、世の中の色々なものが水増しOKになります。)、やがてドットバイドットの4KとリアルなHDRが標準となるでしょう。

 

となると、各色1024階調の10bitは必須も必須、できれば4096色の12bitを標準に据えたいところです。

 

 

 

黎明期を体験できるのって、長い目で見れば、絶対に「お得」ですヨ。

 

苦労も多いですが、「暗記もの」「段取りだけの仕事」ではなく、「原理を体得して応用発展」できる能力を獲得できます。

 

おそらく、アニメ制作現場で4Kを実際に扱い始めたら、そこらじゅうから阿鼻叫喚がこだますることでしょう。しかしそれは、次世代を生き抜くための体力作りであり、淘汰のプロセスでもあるのです。

 

れいわのれいめいき。

 

アニメ業界は、これから先、30年50年100年とアニメを作っていきたいんでしょ?

 

‥‥まあ、100年はともかく、30年はリアルな年数だと思いますので(特に20〜30代の人にとっては)、「時代という列車」に乗っている以上、「次の駅」にはやがて着くのですから、

 

タブレットに持ち替えて描いて

4Kのモニタで絵を見て

 

‥‥というくらいの取り組みは開始したほうが、「次の駅」に着いた時に迷わずに済みます。

 

心して、前に進みましょう。

 


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