コンピュータで絵を動かす‥‥という事

Photoshopがもはや「Photo」の「Shop」ではないように、After Effectsも「After」な「Effects」を施すソフトウェアでは、もはやありません。アニメ業界では「高機能撮影台」としての役割を今でも担い続けていますが、私にとっては「アニメーションの汎用ツール」であり、「撮影台」という従来の枠には収まらない使い方をしています。

前に紹介した簡単なモーションの「セル画風カット」は、After Effectsで「動画・仕上げ・撮影・ビジュアルエフェクト・グレーディング」を一括でおこなったものでした。背景は実は、自宅の駐車場です。

数年前に作ったものを見返してみると、ちょっとだけタイミングを変更してみたくなりました。After Effectsをモーションツールとして使っているわけですから、もちろん、キャラの動きのタイミング変更も可能です。以下のムービーがソレです。

安易にストレッチなんか使ってませんよ。あくまで動きの修正(中絵を抜いたり、シート変更したり、ポーズを変えたり)をおこなっています。



こうしたAfter Effectsを「After Effects以外」で用いる取り組みは、既に2005年くらいから始めており、今では未来のビジョンを持てるくらいに技術が熟れてきました。

そうした試行錯誤の中で得た、私の現在の見解としては、「セル画風のアニメは、紙の上に手描きで描くのが一番」という事です。違う言い方をすれば、「After Effectsをセル画時代のアニメの代用ツールにしたくない」‥‥とも言えます。

なぜセル画があのようなヌリ分けのスタイルになったのか、また、線画&ヌリ分けの絵を基軸として発展した動きと演出の技術とはどのようなものだったか。数々の「演出技法」「原画技法」の「発明」があり、まさに「必要は発明の母」だったわけです。「セル画と背景を撮影台で撮る」ために様々な技術発展を繰り返してきたのです。撮影台に写らない物は描いてもしょうがなかったのですからネ。

After Effectsで絵を動かすのならば、セル画にする必要はありません。演出技法も変わりますし、動きの技術もリファインしなければなりません。わざわざ「セル画時代の模倣」をする必要がないのです。

After Effectsでアニメーションを作る意味は、「旧来〜現在のアニメでは作れないもの」「セル画では作れない絵」を作る事だと思っています。なんでわざわざセル画を模倣して、世界の頂点と言っても過言ではない日本の作画技術の「ダウングレード版」を作らにゃならんのか。鳥類がチーターに陸上走で戦いを挑むような事などせず、むしろ空を飛ぶべきだと思います。After Effectsでセル画アニメの模倣をする事は、自ら「飛べない鳥」になるようなものだと思うに至ったのです。チーターやトラに憧れるのなら、鳥類は猛禽類〜ラプターを目指すべきだと思うわけです。

「空を飛ぶ」とはどういう事か。その比喩、暗喩がどうも解らない人は、まだ地上の呪縛の中にいるのかも知れません。一度、地上から目線をしばらく離してみるのも良いかも知れません。


ちなみに‥‥ですが、デジタルを安易に捉える人々は残念ながらまだ存在するようなので、注釈を追記しておきます。ここで紹介した「タイミングの調整」を早合点して、「撮影さんでもセルの動きが調整できるんだ」とか思いこまないでください。私は絵を描いた張本人で、動きのイメージもあるから調整できるんであって、アニメーション・モーションの訓練や作業経験を持たない人にムチャぶりしてはいけません。テキストエディタが使えるからって、誰でもシナリオが書ける訳じゃないでショ。「デジタルがあれば誰でも何でも出来る」と言う考えは、もうヤメにしておきましょうよ。特殊技術者として監督さん・演出さんと信頼関係(とそれに見合った報酬)が築かれているならまだしも、「デジタルだったら」というだけで、作画以外の人に作画ライクな事を発注するのは、トラブルのもとです。

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