これから必要なこと

紙に描いたキャラ原案と絵コンテだけ持参して、「映像化したい」「誰か協力して欲しい」と訴えるよりも、たとえ5カットでも自分でゼロからフィニッシュまで映像化して、形にして見せたほうが良いと思います。自分の作品企画が、どのような映像作品になるのか、自身ですら具体的にイメージできていないものに、周囲がホイホイお金を出すわけないのです。

 

キャラ表と絵コンテだけでは一般の人々は判断に困るでしょうから、たとえ15秒でも、キービジュアルを映像化したほうが手応えは得られるでしょう。また、実際に数カットでも映像化することで「自分の中での答え合わせ」もできます。そして今は、iMacもiPadもApple Pencilもあるので、自分ひとり〜数人で作画の最初からコンポジット・編集の最後まで(数カット規模なら)可能な時代でもあります。

 

たった15秒でも4KHDR版と2KSDR版を作り、もし、HDRが無理ならSDRの民生500nitsテレビ合わせでも良いと思います。「映像作品」を作りたいのに、映像技術に無頓着で「難しい部分」は他人任せで、ストーリーと絵を動かすことにしか興味のない作品企画‥‥では、訴求力が低過ぎると感じます。

 

映像制作においては、個人でも、少数人数でも、大規模な制作集団でも、コンピュータをどこまで「新世代の映像技術」に対応して使いこなせるか否かが、2020年代以降の命運を分けると思っています。

 

 

 

最近強く感じるのは、アニメ制作現場の技術はどんどん旧式化して、製作側のニーズに対応できなくなってきていることです。

 

4KHDRのコンテンツが欲しいと感じているクライアントに、どんなに出来が良くて素晴らしいアニメ映像を売り込もうとしても、2KSDRでは「対象外」なのです。相手が自動車を欲しているのに、バイクを一生懸命売り込もうとしても、買ってはくれません。

 

アニメ制作現場のスタッフ、特に作画や演出の人たちは、あまりにも映像技術の進化に対して無関心過ぎるように感じています。

 

4Kも、HDRも、作画や演出に直結する重要な技術要素です。4K時代の作画は、様々な点で2K時代とは大きく変わります。当然、演出の手練手管も2Kとは変わってきます。

 

4Kが普通になる2020年代以降、もはや紙による運用は不可能です。紙で対応できるのは2Kまでで、「正真正銘4K」として売るためには、タブレット作画が必須です。単純に、A4〜B4用紙が4K以上の解像度に対して小さいからです。

 

4Kでの映像制作においては、以下のような1万ピクセルのビデオ解像度も普通に存在します。5〜6000ピクセルなんて日常茶飯事の解像度です。

 

 

1万ピクセルは重いです。After Effectsも反応が鈍くなります。動作がアホになって、キャッシュが更新されなくなることもあります。‥‥でも、斜めに付けPANしただけで、このくらいのキャンバスサイズにはなります。

 

アニメは実写と違って、フィールド(芝居場)の大きさでピクセル寸法が決まりますから、例えばクイックTUを連発するような演出は現場に大きな負担をかけるでしょうネ。

 

つまり、作画方法も、コンテの切り方も変わるのです。

 

Q.T.Uのハッタリのためだけに、15000ピクセルの絵を作るのは、演出技法に難ありです。4K時代においては、従来の習慣のままの2K作品のつもりで絵コンテは切れませんヨ。

 

 

 

そんな時代〜作画や演出の常識が変わる時代を前にして、紙で書き留めたキャラ原案と絵コンテだけで、どうやって未来の作品企画をプレゼンして、どうすれば諸々の関心を惹きつけられるのか、「制作現場スタッフずれ」した感覚をリセットして考えてみれば、難しいと思うでしょう。「私は作画」「俺は演出」なんて言ってられるのは、制作現場の内側にいる時だけで、作品そのものを売り込む際には、現場特有のセクショナリズムの結果物よりも、「完成形が想像できる」提示物が必要です。

 

今後、アニメ制作現場には、「新しい技術力を有した、新しい現場スタッフの育成」までのしかかるのですから、企画をする人間の感覚まで旧時代のままなら、身動きできずに進退窮まるでしょう。どんなに現場の労働基準をブラックからグレーに明るくしても、「旧式過ぎて作り出すものに価値がない」と判断されたら、なんのためのホワイト化だったのか、悲劇を通り越して喜劇になります。

 

 

 

2Kにアップコンして納品する1.3〜1.6Kのキャンバスサイズは、4Kのドットバイドットで作っている制作運用からすれば、プチサイズとしか言いようがないです。2Kまでしか制作できない制作集団においては、スマートアップスケーリングだけが頼みの綱になりましょうが、残念ながら「ドットバイドット」を納品条件にしている作品では「レギュレーション違反」になり、納品は拒否されましょう。

 

まず、企画の段階で、次世代の映像技術をたっぷりと意識できていなければ、新時代の映像技術を「水を得た魚のように」活用することができません。企画する時点から、4K時代の脳の思考が求められましょう。

 

世界規模で進行する新しい映像技術を、作品を自由に描くキャンバスとして意識することが、何よりも必要です。

 

4Kなんてわからないし‥‥とか言いがちですが、自分の使うコンピュータや日頃見るテレビを4Kにすれば、実感も湧いてきます。作画や演出の仕事をする際に「わからない」では済まないのと同じく、今後4Kや8Kが標準の映像技術になるのなら、「わからないまま」に終始するのではなく、色々と情報を集めて自分からアクションして、最初は手探りでも4KやHDRの研究を始めることが必要です。

 

作画も演出も、様々な趣向の作品制作において、「わからないを、わかるに変えてきた」仕事じゃないですか。4Kでも同じバイタリティを発揮すれば良いのです。

 

 

 

でもまあ、何よりも、紙から離れることが最初の一歩です。

 

A4用紙じゃ未来には対応できんス。

 

せっかく磨きをかけた日本の作画技術も、A4用紙の中に閉じ込めているばかりでは、発展の兆しすらありません。

 

 

中国、台湾、韓国以下。デジタル競争力世界30位という日本の惨状

 

 

「デジタル競争力」という言葉のアヤはおいといて、要は日本はコンピュータをうまく活用できていないということですネ。アニメ業界で考えれば、一層のこと、「日本の遅れ」を深く実感するところです。

 

誰が悪いって、自分たち自身が悪いんです。いつまでも紙に依存して、未来を見ようとしないココロが。

 

紙ではもう4K時代以後の映像制作には太刀打ちできないと、うすうす解っているはずなのに、そもそも「4Kなんて本当に広まるのか」みたいなことを考える人まで、アニメ業界には多いんじゃないでしょうか。

 

たかだか10年前に「2Kなんてオーバースペック」と言ってた人たちが、自分の言動も忘れて、すっかり2Kに馴染んだ生活を送っているのが、論より証拠。‥‥4Kはごく普通に日常生活の基本スペックになりますヨ。

 

2Kに限らず、VHSからDVD、DVDからブルーレイ、もっと遡れば、白黒からカラーへと、映像技術・映像産業の進化は、歩みを止めずに進み続けました。これからだって同じです。2Kでぱったり進化がとまるわけないじゃん。

 

 

 

紙に対する執着を断ち切って、タブレットでも絵を描けるようにすべし。

 

ただそれだけでも、次世代の扉を開いて進むことになるのです。

 

タブレットで絵を描けなければ、お話が全く先に進まないのです。A4用紙に描いてスキャンする時点でもう無理なのです。

 

CintiqでもiPadでも、まずはペンタブで絵を描くことに慣れるのが、4K時代以降、2020年代以降、令和以降の、絵を動かす映像産業の第一歩です。

 

 

 


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