血の騒動に思ふ

豊乳キャラ献血の話題が、思いのほかひきずって炎上していますネ。日頃絵を描かない人は忘れがちですが、現実の人物の写真と絵が違うのは、そこに描いた人間の意志が反映されているか否かです。胸の大きさは絵ではいくらでも意識的に操作して描けるので、現実に生きる人間の身体的特徴ではないです。つまり、描いた本人が「何を描こうと意図したか」を如実に表すのが絵です。

 

「巨乳」の絵は、巨乳を描きたい人が描いたんですヨ。自然と、いつのまにか、巨乳の絵が出来上がっていた‥‥なんてないです。現実と絵の世界を錯誤しないようにネ。大きい胸を意図的に描いている絵を「大きく描こうとしたわけじゃない」「たまたまだ」「胸に意図はない」とか言い出す人間が出てくると、ウソがさらに火に油を注ぐ結果になって、炎上するんじゃないでしょうか。

 

でもぶっちゃけ、今回の騒動は「赤十字の炎上勝ち」のような気もします。実際、私も「献血に行こうかな」と近隣の献血ルームや献血について調べましたもん。邪推とは思いますが、「こうなることをわかって仕組んだ」としても不思議ではないです。血が足りない! 献血する人が減っている!‥‥ということを、広くアピールできましたもんネ。

 

 

 

巨乳といい、乳袋といい、女性が嫌悪する類いの描写は、コミックやアニメの絵を描く側は日頃から承知しておくべきです。承知した上で、どのようなフィールドで絵を売るか‥‥ということでしょう。コミックの1コマと赤十字のポスターは明らかにフィールドが異なりますが、そのフィールドの性質の差ゆえに、叩かれて騒動になったのは事実でしょう。

 

文化って難しい要素だらけですよネ。どう変化するか読みにくいです。

 

ピンクレディの当時の衣装を見ると、明らかに「若い女性のミニスカート(=太ももとパンツ)にそそられるオッサン趣味」が丸出しで、まるでキャバレーのコスチュームみたいです。しかし、当時は女児のファンも多く、近年に復活コンサートをした映像では、当時の少女たち=アラウンド40〜50の女性たちが、客席でみんなで振り付け通りに嬉しそうに楽しそうに踊ってたりして、「おっさん趣味」とは違う展開へと変化しているのが解ります。

 

性的‥‥と言い出すと、成人女性の体のラインに添わせた裁断のリクルートファッションだって、性的なように思います。MA-1と軍パンなら体のラインなんてわかりませんが、スカートやハイヒールは明らかに女性限定のファッションであり、そもそも「男らしい」「女らしい」という文化的な位置付けが、やがて性的な搾取にも繋がるのでしょう。(最近、ハイヒール是非の話題もありましたよネ)

 

人間という生物的な存在自体が、今回の話題で言えば「胸」でもわかるように、わざわざ「繁殖可能な成熟度」を視覚的にアピールするために、他の動物には見られない乳房の膨らみを身体的特徴としています。人間という生きものの不思議にぶち当たります。猫の雌は、胸は大きくないですもんネ。

 

かと言って、「性の解放」の顛末をまたやるのか?‥‥という話です。老若男女みな同じ服を着て落着する話とは思えません。人間という生物自体が、女性ならではの体型、男性ならでは体型を宿命的に有するので、同じ服を着てもダメでしょう。絶対に性差は表れます。

 

 

 

私は今回の「豊乳」キャラのコミックは知りませんでしたし、正直、最初に騒動中のポスターをネットで見たときは「相変わらず胸の存在感をアピールしてるなー。これをやったら怒る女性も多いだろうな。意図がバレないわけないな。女性の魅力を表現するのは乳袋だけじゃないのになー」とやや嫌悪感を覚えました。

 

‥‥が。

 

なんか、今回のキャラ(宇崎ちゃん)の顔って、目にする機会が多くなると、妙に可愛く見えてくる感じがありますネ。胸はともかく、顔のデザインが徐々に目に馴染んでくる‥‥と言いますか。

 

なんでだろう?‥‥と思ったのですが、アレだ‥‥、ハロウィンのコウモリに似た「妖怪」的な可愛さなんだな。

 

 

可愛い妖怪的なキャラと大きい胸とのギャップも、キャラの魅力の1つなんだと思うようになりました。

 

八重歯を口の輪郭線で切る描き方も、可愛いですよネ。

 

しかし、その可愛さ、ギャップの面白さで、社会の女性たちが容認してくれると思うのなら、あまりにも浅はかです。ソレとコレとは別なんですよネ。コミックやアニメの世界感が社会に通用すると錯覚するのは、冷静な視点を欠いています。

 

 

 

「大きい胸を強調したキャラのポスターが嫌悪された」ことは、おとなしく真摯に受け止めるべきでしょう。赤十字の限られた予算(=おそらく)で、「炎上商法」としては成功したのかも知れませんが、公的組織が仕切る場所に「巨乳キャラ」を出すのはまだ難しいということは今回の一件でわかりましたよネ。

 

私はそれこそフィールドジャケットトラウザーズを着た女性キャラでも十分魅力的だと思います。肌を過度に露出しなくても、女性の美は表現できるでしょう。「乳袋」に頼ることなんてしなくても、佇まいや顔の表情の機微で魅力的な女性の人物像を描けると思います。もちろん、男性のキャラも佇まいで表現したいのは同じです。

 

幼い顔つきのキャラのラッキースケベみたいなイラストばかりを描くのが、日本のアニメやコミックの絵描きの仕事‥‥みたいなのは、正直、息苦しいです。子供っぽい顔つきばかりで、大人を描こうとしない風潮も感じます。アニメやコミックの絵描きは、精神的に、ピーターパンとウェンディ(の年頃のまま)ばかりみたいに思われるのもイヤなのです。

 

でも、そうした大人の女性に魅力を感じる私の好みは、あくまで私個人の好みであって、共感を得たいとは思いますが、他者の好みをこき下ろしたりナショナリズムに訴えるようなことはしません。

 

 

 

実際の話、ビールのジョッキを、ビキニ水着の女性が持ってニッコリ笑っているポスターなんて、男性社会の女性性搾取の象徴でしょう。日本社会はそうした経緯を経て現代に至っています。女性がその経緯において、男性よりピリピリと神経を尖らせるのは当然と思います。男性が空気のように感じている男性社会のなんとない風習や光景でも、女性は「また毎度の男性優位のパターンか」と感じ取るのです。

 

一方で、男性性は、男らしくあれ、男なんだから涙を見せるな、男はいかなる時も強くあれ、と、男性性なりの社会的な「型」にハメられてきた経緯もあります。ただその「強者であることを強要される型」は、弱者的な女性性搾取とは異なり、型にハマってしまえば強者の横暴も行使できるので、多くの男性はその「型」を受け入れてきた経緯がありましょう。男性社会依存型の女性に「男なんだからしっかりしてよ!」「男のくせに弱音を吐かないで!」と言われても、甘んじて「強い男を自己演出」してきた人は相当多いはずです。

 

男と女の差は、同質化できない大きな物理的性質があるがゆえに、絶対になくなりません。猫だって、男の子と女の子で大きく違いますもんネ。見た目はわかりにくくても性格や行動に特徴がハッキリ表れて差がでます。

 

そこにきて、「男のくせに」「女のくせに」なんて言い出したら、物別れに終わるだけです。いつまでも平行線です。

 

今回の献血ポスターの話題は、実は掘り始めると文化的・社会的な「男女の歴史」の経緯を掘り起こすことにもなるでしょうし、男性女性の生物的な特性の話にも波及すると思います。

 

ツイッターのひとことで結論が出せる簡単な話ではないです。

 

まずは、男性社会の偏りを、男女をエクアル(equal, =)に扱う環境へと、意識的に変えることを前提に話を進めないと。

 

例えば仕事なら、「これは男の仕事だ」「女の仕事だ」なんて決め付けることは一切せず、個人の能力に照らし合わせて役職を決めていくのが良いです。実際、欧米と仕事をすると、女性のリーダーやトップが多いことを実感しますが、日本はまだ少ない‥‥ですよねぇ‥‥。

 

アニメ業界では女性の作画監督が増えて(昔はかなり少なかったですよ)エクアルな状態になりつつありますが、女性の監督やプロデューサーはまだまだ少ないですよネ。どんどん能力に相応して増えると良いと思っています。

 

例えば、「俺は男だから」と妙にプライドだけ強くてヘナチョコな男性より、キビキビと思考を回転させて仕切っていく女性のほうが、良い結果を招くことも多いんじゃないでしょうか。強さを求められる場面では、まさに個人のタフさとバイタイリティがものをいうのであって、男女の性差は関係ないです。

 

 

 

話が散らかりましたが。

 

今回の豊乳献血ポスターは、男性社会のなんとない感覚がカジュアルに持ち込まれていて、自己の能力でキャリアを積んだ女性=「男性社会非依存」で自分の運命を切り開いてきた女性ほど、その「安易な男性社会マインド」を許せなく感じるのかも知れません。公的組織である赤十字が、旧時代の男社会マインドに(そこまで深刻に事前分析していたかはともかく)加担したことで、声を上げる人が多かったとも思えるのです。

 

「じゃあ、どうすればよかったんだ?」

 

‥‥と思う人も多いでしょう。

 

‥‥実のところ、私もよくわからないのです。具体的な落とし所が見えません。

 

普通に毒のないコミック・アニメキャラだったら、ここまで興味を惹くことも炎上もしなかったでしょうが、ポスターとしての効果も低かったでしょう。つまり、炎上しないかわりに、献血が危機的状況にあることを社会にアピールできない状況が継続していたでしょう。

 

炎上することで話題性を盛り上げ‥‥ということを主催者が最初から計算していたとするのなら‥‥‥、う〜ん、ワルい人たちだなあ‥‥、人がワルい。勝手にツイッターやワイドショーが拡散してくれるので、叩かれはするけど、「血が足りない!」ということも広くアピールできましたもんネ。

 

このやりかたが二度三度通用するかは疑わしいですが、今回に限っては結果的に、献血に興味を持つ人を増やせたんじゃないでしょうか。少なくとも私は献血してみようと思いましたもん。

 

炎上商法の是非も問われる今回の一件。

 

簡単に答えは出せないと感じてます。

 

 

 

身の丈の感覚で思うと、「管理職か否か」で自分の値打ちを測ったり、「世代のせい」にして自分の能力不足から目を背ける男よりも、確実に仕事をこなして知識と経験のキャリアを積んでいる女のほうが、絶対に頼りになるし、次世代のリーダーとして推挙できます。

 

私は男だから思いますが、「男だから」というよりも、個人の能力として「自分だから」をアピールすべきと思います。男女の今や珍妙とも思える文化的価値観や位置付けよりも、個人としてどのような能力を有しているかを問いたいです。

 

2020年代の令和。

 

「宇崎ちゃん」も、女性の要職も、両方とも抹殺していては、モノツクリ日本はFuture is Black。‥‥ということだけは言えます。

 

良い方向に日本のモノツクリが進んでいくと良いですネ。

 

 


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