彩る仕事
何やら、「動画単価は安いから、彩色も一緒に作業して単価を上げる」みたいな話を、随分前から聞きます。
え? 計算できない人なの?
動画の作業費と彩色の作業費を合わせれば、当然ながら合計額は増えます。
そういうのは、「単価が上がったとはいわない」でしょ。合計額が上がっただけでしょ。‥‥マジで、計算ができない人の言い分だよな‥‥‥‥。
動画の単価・作業費を上げるのなら、動画だけの作業で上げることを考えましょう。他の作業も追加して仕事を増やして「単価を上げた」と言い張るなんて失笑にもほどがあります。
私は、以前からこのブログでも書いているように、彩色の仕事は、彩色のプロがやるべきだと思っています。
数々の作品経験に裏付けられた、作業の「品質」「精度」が段違いに優れていますから。‥‥私は自費の自主制作でもない限り、彩色を自分でやることはありません。自費の開発研究自主制作だって、本当は知り合いの色彩設計さんに頼みたいところです。
色彩設計さん、彩色スタッフさんは、それこそ毎日、彩る仕事をしているのです。
線画描きがにわかに、ソフトをちょっとイジってみたからって、太刀打ちできるわけないでしょ。普通に考えてわかるはず。
またこれも、以前から書いていることですが、色彩設計さんには衣裳デザインも担当して欲しいと考えています。もちろん、衣裳デザインの報酬は別途、ですよ。
色彩と組み合わせて、最適な衣装を考えられるのは、色彩設計さん以外に思い浮かびません。もしくは美術監督さん。
なので、将来的には、色彩設計さん兼衣裳デザインさんには、iPad Proを供給して、日頃からデザインと配色をイメージしていただけるよう、制作現場を整備したいと構想しています。
彩る仕事、なのです。
私はこのブログでは彩色の仕事のことをほとんど書きません。なぜなら、私は彩色をプロとして作業した経験がないので、知った口を叩くわけにはいかない‥‥と思うからです。
しかし、色彩設計さんや彩色さんは、ものすごく頼りにしています。彩る事を毎日のように考えて作業している人に、まさに仕事をお願いしたいのです。
色だけではありません。線の成り立ち、線の最終ルックに関しても、彩色スタッフさんは重要な役どころを担っています。
色と線を扱う、数々の経験と知識があるがゆえに、様々なケースに対応し、しかも作業の手がとても速いです。
もし彩色作業を、動画スタッフさんが兼任する場合、当然のことながら、彩色の本職の人と相応の技術を有している場合のみ、です。
‥‥嫌な話を聞いたことがあります。
簡単なマスク塗りだけ「デジタル動画」で塗って仕上げ料金を請求、塗るのに手間がかかるキャラのセルだけ彩色スタッフさんに押し付けた‥‥みたいな、とんでもなく酷い悪質な事例。
あ〜あ、こんなことをしだしたら、「デジタル作画」もおしまいだな‥‥と思った次第です。極めて稀な悪質な例‥‥だと良いですが。
まあ、とにかく、私は今後もアニメ制作に関わり続ける以上、色彩設計さん・彩色スタッフさんに色彩関連をお願いし続ける所存です。そして衣裳も。
「映える色」を「絵のチカラ」にするためには、やっぱり、「色のプロ」に頼みたいですもん。