令和、2020年代の、影のかたち

旧来、そして現在のアニメ制作現場の状況ゆえに、例えば親戚から「子供がアニメーターを目指している」と相談されたら、「それは良い。安心して飛び込んで来てください」とは絶対に言えない業界の現実があります。自分の在籍する業界や職種に対して「来ない方がいい」としか言えないなんて、考えてみれば「とても悲しい」ことです。

 

しかし、カットアウトが導入されて飛躍的な効率化と、従来作画の大幅な報酬増強を実現できれば、周囲に対して「ちゃんとお金をもらえる業界です」と言えるようになると思っています。そのくらい、カットアウトの導入効果は劇的です。

 

‥‥が、簡単に習得できるものではありません。従来の作画を学び、さらにコンピュータの各種ソフトウェアを学び、さらにはスクリプトなどの簡単なプログラムを作れるように、10年規模の習得プログラムを体制側が構築する必要があります。

 

しかし、そうした専門技術の数々を習得し、作品作りにおける代え難い存在となるからこそ、正当で正常な報酬を得られる存在になるのです。

 

これはキビしいことでも何でもなくて、「技術を習得し、経験を積み、自分の技量がアップすれば、報酬もアップするんだ」と「頑張れる希望」があるということです。

 

今の作画の現場で、色々と経験を積んだ上で、さらに頑張れる希望を持っている人って、ほんの僅かなひと握りだけでしょう。いわゆる「売れてる作品のキャラデザか総作監」です。しかし、あんなに売れた作品の作画監督が今はわびしく過去の人で、老いぼれたら出来高で稼げなくなって、安いアパートで単身で孤独死で特殊清掃のお世話になって‥‥なんていう未来を予想する人だって、決して少なくないはずです。

 

ほんとに、今のままでいいのか? ‥‥って思います。

 

‥‥え? 思わない? ‥‥‥そうなんだ‥‥。なぜ?

 

私は今のままではダメだとはっきり思いますヨ。

 

おそらく、作画の現場から一旦離れて、コンポジットや実写などの作業もして、業界の作画の現場を客観視していた時期があるので、余計に対比で解るのです。

 

 

 

手で絵を描くことを辞めるわけではないのです。カットアウトはむしろ、自分の描いた絵を直接動かせる技術でもあります。背景とペイントを自分で作業するのならば、個人規模で数分のアニメを最後まで作りきることも可能になります。

 

それはどういうことか?‥‥というと、色んなアイデアをどんどんカタチにできるということです。

 

たとえ自主制作とは言え、個人が千枚規模の動仕を完結できますかね? 相当な困難と相応の金(=自腹)と時間が必要になります。1カットではなく1分、3カットではなく3分ならば、従来の原動仕システムを一人で賄うことは実質無理ですよネ。もちろん、止め絵のPANではなく、ちゃんと動いて‥‥ですよ。

 

カットアウトならば、まずは自分で1分くらいの映像を自宅制作で作り、そこからプレゼンなどをして広げていくことも可能です。20分、1時間となれば、やはり「軍団」は必要となりますが、アイデアの出発点ならば1人や数人で可能になります。

 

 

 

切り口が一辺倒なのを打開したいとは思いませんか。

 

今までだってそうだったんだから、未来も同じで「仕方ない」のでしょうか。

 

口では改善したいと言っても、実践が伴わないのでは、窮状を容認しているのと同じです。

 

変えていく意志を本当にもっているのなら、ネガティブなキモチに支配され続けるだけでなく、変えていけることの1つ1つを実践して行動しましょう。

 

 

 

欧米のカットアウトは凄いことになってきています。くるりんと360度回転して、あっちこっちを走り回って、‥‥マジか、と思います。

 

「日本のアニメは最高!」と賞賛される一方で、日本のアニメ業界全般で新しい技術開発と若い世代の育成を怠ってきたツケが溜まっています。

 

ツケが溜まっている? ‥‥だったら、払って返して、2020年代はプラスにしていけば良いです。借金は返さないとゼロには戻りません。新たなスタート地点にまず立ち直ることを考えるのです。借金やツケを残したままで、自画自賛に酔いしれてばかりを2020年代に繰り返すのではなく、築き上げた高い技術をもとでに、新しい戦い方を意識的に畳みかけて実践しましょう。

 

なまじ「最高。もう改善する余地がない。」なんていう伸びしろが見当たらない状況よりも、色々と改善すれば良くなることが解っている成長段階のほうが、未来に夢を託せます。

 

 

 

アニメが好きなんですよね? アニメを作り続けたいんでしょ?

 

私はアニメが大好きなので、色んなアニメを作って寿命を全うしたいです。一部の趣向や日本の地域的な流行にとどまらず、色々な表現の可能性を、世界的な視野で商業的な現実へと変えていきたいです。

 

だったら、旧来の方式に縛られることばかりでなく、新しい「実現方法」を実践しましょう。

 

やり方・作り方を「増やせば」良いのです。

 

可能性を感じられなくなって状況に甘んじるだけが令和の時代なのだとしたら絶望の時代です。

 

老若男女問わず、可能性をリアルなカタチにしていきましょう。

 

 

 

アニメ業界はいわば、制作現場で働いて作品を作る人々の「影」のようなものだと思います。決して、アニメ業界が絶対的に支配して君臨しているのではなく、単なる「人々の影」です。自分たちの影を見てモンスターだと恐れる必要はないのです。

 

ですから、人々の動き方が変われば、影の形も変わります。

 

現在の「影の形」には嘆きも絶望感もありますが、決して人そのものに絶望しているわけでないです。人々の動きが変われば、影の形も必ず変わると確信します。

 

最初に新しいことを始めれば叩かれるのは毎度のこと。20年前の「デジタルアニメーション」だって全く同じで、「フィルムと違ってキモチ悪い!違和感が凄い!」なんて言われたのを昨日のように思い出します。そりゃあもう内外から色々言われたもんですが、逆にそれが新しさのバロメーターにもなります。

 

今でも16ミリフィルムでアニメを作りたければ作れば良いのに、技術が浸透して定着した後は、昔吐いた罵詈雑言は無かったことにしてますよネ。

 

私は可能性を信じて一緒に仕事をしてくれた人々を忘れませんし、ニュートラルな位置を貫いた人々も信頼しますし、都合に合わせて日和見して主張をコロコロ変えた人々も記憶しています。

 

そうした人々全員の影が、まさにアニメ業界。

 

令和、そして2020年代において、日本のアニメ業界は、どんな影の形を社会に映していくのか、自分の目でしっかり見つめていこうと思います。

 

 

 

 


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