決戦思想ではなく

アニメ(を含めた映像一般)での「自動中割り」機能が、ある程度機能するようになるのは、どこかの研究発表でもあったように、8〜12fpsくらいの分解能くらいまで細かく描写された後のことです。原画のように基点しか描かないラフな分解能では、自動中割り機能は期待する動作をしないのは、モーフィングやピクセルモーションや画像補完など様々な技術を見てきた経緯から頷けます。

 

もし、原画から動画を自動生成できるのなら、絵コンテとキャラ表だけで原画も自動化されるんじゃないの?‥‥自分の担当する原画工程だけは聖域だと考えている人々のなんとのんきなことよ。

 

だいたい、自分が研究にも関わっていない、単なる伝聞だけで、よくもまあ「未来の重大な要素を預ける」気になれると思います。自分が描いた原画を、自動中割り機能を持つソフトウェアが目の前でどんどん中割りしていくのを目撃したわけでもないのに、なぜ「未来は自動中割りに」とか言えるんでしょうかね。

 

全てがタップ割りでできるような平行移動の組み合わせによる動画なら、線一本をオブジェクトとして扱って、「線のカットアウト」として動かせるとは思います。「できる」「動かせる」には理由があるわけです。TBHのカットアウトでマスターコントローラーを使った縦横無尽なXYZ回転は、高度なソフトウェア技術ではあるものの、理屈や構造はわかります。

 

しかし、「自動中割り」の言葉に踊らされて、こともあろうに「動かすプロ」「アニメーションの専門家」が、理由もわからず「コンピュータだから上手くいくんだろう」と構造理解や技術知識を放り投げて、「自動中割り頼み」にダイインしてしまうのは、いかがなものでしょうかね? 「動きのプロ」としてのプライドを放棄したのか。

 

 

 

でもまあ、そういう「形勢挽回の決戦兵器」的思想は、負ける国こそ求めたがるものです。勝つ国は、畳み掛けるように、新兵器をどんどん繰り出して勝ちますが、負ける国は、ジリ貧に追い詰められて、「これさえ完成すれば一気に形勢逆転できる」と決戦兵器・救世主思想に凝り固まっていきます。

 

自動中割り機能で動画マンの代わりになるというのなら、それはいつ完成しますか?

 

いつ完成するかは判らない? ‥‥はい。敗戦確定。

 

完成しない決戦兵器に運命を託す時点で、敗けることが確定しています。歴史から学びましょう。

 

 

 

自動中割り機能とは全く違う、カットアウトは、すでに欧米での実績が豊富です。紙芝居と言われていた時期からどんどん成長して、こんなことまでカットアウトでできるようになったの?‥‥というくらい、技術が発展しています。

 

今のアニメ業界は江戸幕府のようなもので、カットアウトという黒船が来る前の鎖国時代の日本社会のような感じです。

 

私は日本の武士的・職人的気質と、欧米の生産合理性が合体した時に、2020年代以降のアニメ制作は新たなフェイズを迎えられると考えています。

 

日本的作品志向は失わず、欧米の合理的制作技法に学ぶのです。日本の強みとは、進め1億火の玉でも、竹槍でも、特別攻撃でもないはずです。道具をとことん活かしてこだわり抜く性質と、変化を乗り越えた後の柔軟性と順応力こそが、日本のお家芸だと思います。

 

変化を一度受け入れてしまえば、その変化の中から様々な発展の要素を見つけ出し、元よりも高度に発達させてしまう。‥‥日本の強みの最たる特徴です。

 

しかし、日本のアニメ業界は、そうした強みを最大の弱み=忍耐による頑固さに変えてしまっていますよネ。竹槍自爆攻撃が日本の強みと思っているのなら、何と愚かなことか。今一度、「ただ願わくば愛する日本を偉大ならしめられん事を」と記して74年前に散った命を思い出しましょう。

 

逃げも隠れもできない狭い島国日本だからこそ、大陸とは違った発想が可能なんですよ。‥‥それを最大限活かさなくちゃ。

 

 

 

自動中割りなんて一切あてにしなくても、未来は切り拓けます。

 

今手元にある道具を、今までとは違う発想で使いこなせばネ。

 

日本の先人たちが成したことを、令和の日本のアニメ業界でも実践すれば良いのです。

 

突破口は案外すぐ近くにある‥‥のだと思います。

 

 


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