日常。標準。

一年以上、4KHDRばかりに取り組む日々で、最近は何をやるにも4KHDRなので、すっかり「日々の日常」が4KHDRです。たまに2KSDRの作品でA4用紙150dpi前後のスキャンで二値トレスの素材を扱うと、大きなギャップを感じます。

 

また、PM(プロジェクトマネージメント)のソリューションで日々の進行状況や作業インアウトを確認し自動処理するのもすっかり日常ですし、レイアウトの標準フレームは規格化・標準化していてあたりまえですし、もっと言えば、アレクサにスケジュールを確認するのもありきたりな日常の光景です。

 

日常とは「日々の常々」なので、日々の仕事の内容がまさに「日常」となるのは当然至極。

 

 

 

しかし、アニメ業界一般で言えば、2Kですらアップコンで対応する制作集団は多いですし、HDRやPMなんて考えたこともない会社も多いでしょう。レイアウト用紙画像データの標準化でつまずいてトラブルが発生することもあるようです。

 

私らの制作集団ではレイアウト用紙の規格化(2K, 3K, 4K, 5Kまであります)はすでに完了して、ごく自然にフローしているので、レイアウト用紙でトラブルが発生すること自体、すっかり忘れていました。加えて、1.5Kがなんと不鮮明な画像であることか、SDRが全て濁って鈍い色彩にみえることか、兎にも角にも恐ろしく大きなギャップを感じます。

 

ものすごい既視感。

 

1990年代後半〜2000年代初頭に、まったく同じ構造の出来事を体験しました。

 

After Effectsでコンポジットをするようになった1997年以降、「フィルム撮影台の制限がアニメの全て」という古い現場の仕事をすると、あまりのギャップゆえに、驚くのを通り越して絶望したものです。「この艦では勝てない」と沖田艦長みたいなキモチになって、フィルム撮影台もセル絵具ももはや旧時代の遺物に思えたものです。

 

セル重ねのくすみとかクロス引きとかニュートン(虹色のモアレみたいな現象)とかで議論したり、16ミリラッシュフィルムでラッシュチェックしている当時の古い現場をみて、もはや「今までの技術では未来は見えない」と強く意識したことを覚えています。

 

 

 

同じことが、今のアニメ現場でも再演しています。

 

紙作画、二値化、1.5K、SDR、送り描きオンリー、PMなき人力の制作進捗、どんどん山積みになる作画(紙)のアーカイブのダンボール、紙の整理整頓に費やされる人員と倉庫スペースの永続的なコスト、etc‥‥。

 

「どうせ、未来も生きていく」のなら、とっとと移行して備えれば良いのに。

 

‥‥とはいえ、同じ轍を何度も踏むのが、人間‥‥ということなのかな‥‥。

 

紙の結果物を管理して保存するコストに比べたら、データを複数箇所に分散し、定期的にメディアを乗り換える手間のほうが遥かにコストを抑えられ、活用術も柔軟で優れています。アニメ制作会社は全社揃ってアニメ博物館でも開館するつもり? 紙を良い状態で永続的に維持するのって、どれだけコストがかかって、この先に何十何百年続けるつもりか。

 

今まで発生してしまった紙は「仕方ない」でしょう。しかし、これから先、まだ紙でアニメが作れると、本気で思っているのでしょうか?

 

 

 

目を向けるべき点は、何処にありや。

 

最近見た「解像度」のツイッターの話題は、沈みゆく船で清掃をするかのごとく‥‥に感じました。

 

例えば、レイアウトや作画用紙の解像度の話題で、「100Fを基準にすれば」みたいな話もツイッターで見かけましたが、100F自体が紙も画像データもバラバラなので、100Fは基準にはなりません。

 

紙の場合:

 

A社:100Fの横幅=26cm

A社の劇場作品:100Fの横幅=30cm

B社:100Fの横幅=27cm

 

画像データの場合:

 

C社:100Fの横幅=1600px

D社:100Fの横幅=1440px

E社:100Fの横幅=1920px

 

はい。「ダメだ こりゃ。」ですネ。

 

dpi、ppiと言ってるのですから、「実物のスキャン」が絡む以上、「ディー・ピー・アイ」の「アイ=インチの頭文字」通り、基準は「インチ」=2.54cmに求めるしかないでしょう。

 

まあ、そもそも「事の発端」は、アニメ業界がその貧困ゆえの「ドットバイドット」でHD(2K)を作れない台所事情が、フレームの話を百鬼夜行の如きに変質させているとも思えます。

 

古い現場が未来に生きていけないことを、解像度の話題だけでも、象徴的に物語っています。

 

 

 

 

標準フレームの制定は、お金とは関係のないところでの問題ですヨ。

 

人の意識の問題です。‥‥もっと言えば、キーマンたちの意識。

 

作画監督があまりにも無頓着過ぎることはあるでしょう。作監が撮影や仕上げや演出など各工程と話し合って、標準フレームを作っても良いんですよ。‥‥作画のキーとなる中心人物が「デジタル」を他人任せにしてばかりいるから、乱れるんです。

 

私は撮影監督をしていた経験、実写作品に関わった経験、そして作画の経験を総合して、「2K」「3K」「4K」の各「標準フレーム」を制定して運用しています。以下は、4Kの標準フレームです。

 

 

 

この標準フレームを、デジタル原画動画・彩色・コンポジットだけでなく、カットアウトやモーショングラフィックスでも全て統一して運用し、フレームの混乱は皆無です。

 

紙を1枚も使わない制作環境に移行していることも、トラブルが皆無である理由の1つとは思います。

 

作画陣営は、はやくタブレットに移行したほうが良いですよ。

 

 

 

そんなに標準フレームを作るのは難しいかな?

 

それこそ、作品の企画段階から、フレームの規格は必要なんですよ。作品をイメージした時に、それが「何K」であるかも重要でしょ?

 

 

 

問題点を指摘する場合、解決案を一緒に提示しなければならない‥‥というのは、ナンセンスだ。問題点だけを指摘することも重要で有益な行為だ。

 

‥‥というのは、わかります。

 

でもね‥‥‥。

 

アニメ業界はいったい何年、十何年、何十年、問題点だけを指摘し続けたのか

 

‥‥というのはありましょう。100人が100人、全員が問題点しか指摘しなければ状況なんて一切変化しないことをアニメ業界は証明しているといえます。

 

「問題点だけを指摘することも重要で有益な行為」とはいえ、限度があるんじゃないの?

 

結局、アニメ業界は、

 

問題点の指摘にようにみせて、単なる愚痴の憂さ晴らしに終始した

 

‥‥という「実績」があるわけです。

 

今のアニメ業界や制作現場に必要なのは、問題点の指摘とともに解決案も一緒に考えていくことです。問題点の指摘だけを続けて、何ら改善策を実践してこなかった現実が、まさに今のアニメ業界に蔓延しています。

 

問題点の指摘をするのなら、その問題点を改善する具体案も出しましょう。

 

何十年も指摘ばかりしていないで。

 

 

 

私は、4KHDRの制作に携わったことで、問題を大きく改善できる具体案がハッキリと見えました。

 

自分の現場観の甘さも、現場の業態の根本的な悪所も、1年に及ぶ4KHDRプロジェクトで認識できました。何を廃止し、何を継承し、何を新しく導入するのか、計画的に進めていく所存です。

 

だってさ。‥‥今のままじゃ破綻するもん。今のまま続けていたら、未来にアニメを作れなくなるもんな。

 

旧来の「送り描きだけ」で作画する方法では、確実に破綻することが4KHDRの制作経験からわかりました。未来の現場での「送り描き作画」は物凄くお金がかかる‥‥ということを極めて明確に理解しました。

 

ゆえに、未来の動画作業・1枚単価の料金も明快に認識できました。「今の倍」‥‥とかお話にならんですよ。全然もっと、です。‥‥というか、単価の考え方が大きく変わります。口パク1枚とバストショット1枚と爆発1枚の単価が同じこと自体、ありえないことですからネ。

 

 

 

アニメの仕事を「貧乏の代名詞」から脱却させるのは、アニメブーム世代のベテランの必須目標だと私は考えます。

 

そのためには、ブログやツイッターで問題点ばかり指摘していても状況は変わりません。業界団体でシンポジウムをしたところで、忖度会議に終始します。アンケートは単にアンケートでしかなく、状況を変えるチカラはありません。

 

未来につながる行動を、日々、日常的に実践していきましょう。

 

 


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