色んな絵を描こう
この数週間で、ブログに載せた絵は、全てiPad Pro&Apple Pnecilで描いたもので、故意にバリエーションを増やそうと思ったので、色々な絵が出来上がりました。
色々なスタイルを、ProcreateとConceptsだけで描いてみました。どれも共通しているのは、短時間で描いたことです。‥‥本業の合間の、ちょっとした息抜きとして描いたので、時間はかけておりません。
もし水彩だったら、少なくとも乾かす時間、画具の洗浄の時間は要したでしょうから、淡彩で気軽に‥‥とはいえ、iPadよりは手間がかかります。
そのちょっとした手間ゆえに、仕事の忙しさに追われて、落書きレベルですら色付きで描けなくなることも、往々にしてあるでしょう。
アニメーターはねえ‥‥。
状況的にも「線画しか描けないカラダ」に追い込まれていくんですよね。
本業が忙し過ぎて、自分の家に水彩やアクリルの画具を揃えても、自分のプライベートな時間には、イラストを制作する気力も残っていないことが多いです。
何度もこのブログで書いてますけど、アニメ制作特有の特殊な線画しか描けないのは、自分の仕事を「画業」として捉えると、極めて危険で不利です。
自分を「絵描きの人間」と思うのなら、色んな絵を描かにゃあマズいです。
でも、アニメの作画用紙では中々難しいし、パソコンの前に座って日頃仕事で使っているクリスタで描くのも萎える‥‥ということもあるでしょう。
どんな場所でも、ほんの1時間で、2〜3枚の軽い着色イラストが描けて、それをデータとして自分のクラウドに保存していつでも画像を呼び出せるのならどうでしょう? ‥‥アニメの線画以外の絵も、描いてみようかな‥‥と、思い始める人も多いんじゃないでしょうか。
それがiPad ProとApple Pencilです。
まず何より、私が「iPad Pro&Apple Pencil導入」の以前と以後の差を痛感しています。
変な話‥‥ですが、近年まで私は、「絵を描かない人」として振舞ってきた経緯があります。なぜって、アニメの原画の仕事は、あまりにも、色んな他の仕事の可能性を駆逐して荒らすので、「コンポジター」として振舞っていた方が都合が良かったのです。私の過去を知る人だけが、私に作画の仕事を入れてくれるくらいでちょうど良いと思っていました。
紙をベースにして机で作業すると、机の荒れ方もハンパないです。鉛筆のちょっとしたカス、消しゴムの屑、嵩張る紙の束、印刷した設定書類を広げる場所‥‥と、空間破壊の権化のようでした。紙で作業する環境は、あまりにも旧時代のままで、技術進化から取り残された陸の孤島さながらでした。
ぶっちゃけ、紙の運用を考えると、4Kが到来する未来の展望は行き詰まりを感じていました。下図は、2014年に「紙で4Kでカットアウト」を考えていた頃に描いた絵(=なので、紙に鉛筆で描いてスキャンしました〜A4で分割して作画してA2相当で)ですが、相当厳しい運用を覚悟していました。
しかし、2015年に、iPad ProとApple Pencilが登場したことで、状況は180度ひっくり返りました。
2019年になって、iPad Proが登場して4年が経とうとする今、状況は180度どころか、360度、540度‥‥と、何回転もして、4Kやカットアウトにとどまらず、様々な展開の可能性を肌身で実感できるようになりました。
多くの日本のアニメ制作者は、アニメに焦点を定めると、1次元的にしか思考しません。「クリスタかTVPか」なんて話題を延々と続けているのが、論より証拠。
日本のアニメ制作は、あくまで戦後のテレビアニメの潮流であって、アニメの作り方の絶対的指針ではないはずなのに、日本のアニメ制作者はまるで強い洗脳にかけられたように、アニメの作り方を1次元でしか考えません。
そうした強い洗脳状態から目覚めるためにも、iPadとApple Pencilは有効なのです。
iPad ProとApple Pencilで色んな絵を描きましょう。描かないうちから邪推に邪推を重ねて「どうせダメだ認定」するのは、果たして良き創作者のすることでしょうか。
絵描きは、自分の描いた絵で、未来を切り開くのです。
であるならば、絵を描く手段に対して、もっと柔軟に、もっと合理的に思考しても良いはずです。
iPad ProとApple Pencilは、未来を新しい概念で切り拓く人々の、良き友です。
- 2019.08.12 Monday
- iPad Pro & Apple Pencil
- 09:17
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- by 江面 久