実寸などいらない

びた1枚も紙が存在せず、プリントアウトもしない、完全ペーパーレスのアニメ作品には「実寸」はありません。

 

実寸を気にして、何でも実寸を当てはめようとする思考の人間は、ペーパーレスの映像制作には向いていません。脳の思考を刷新しましょう。

 

 

 

「この作品の解像度は何DPIですか」と聞かれることがあります。

 

紙が一枚もないペーパーレスの作品運用において、いわゆる「インチあたりのドット(ピクセル)数」という概念はもはや無いんですよ。

 

‥‥なので「ゼロ」と答えるか、「A4ならば400〜600dpiですかね。ただし、あくまで感覚的な目安です。」と答えています。(4Kドットバイドットなので仮定のDPI/PPIの数値もデカいです)

 

実寸を気にする人は、「何に対する実寸」かをまず考えましょう。

 

そもそも「実寸」とはどういう意味か。「実際に測定した寸法」だそうです。

 

ペーパーレスの制作運用で、実際に何を測定するんでしょうか。HDやUHDのサイズ〜1920pxや3840pxは、何か実在する物品を測定したのではなく、フォーマット策定時に規定したビットマップデータ上の寸法です。

 

ペーパーレスなので、紙の用紙は存在しません。

 

iPad Proの画面寸法? 13インチや16インチや24インチのCintiq? もしかしたら家庭の42インチや55インチのテレビ? スマホ? 劇場のスクリーン???

 

もし仮にA4用紙に描いたとしたら?‥‥という仮定がどうしても必要でしょうか。

 

一切、紙が存在しないのに、紙を仮定することの愚を、あえて犯しますか。

 

 

*こんなふうに、iPadに定規を当てて測る? ‥‥な、アホな。

 

 

 

台引き、BG引きのことを気にして、「コマ何ミリ」の指定を踏襲したくて、「実寸」思考を手放したく無い人もいるでしょう。

 

それがまずダメなのです。NGです。

 

ペーパーレスになったのなら、ミリとかセンチとかインチは、かえって混乱のもとです。紙の実寸でしか寸法のイメージができない人間は、ペーパーレスの制作現場には不要です。

 

「じゃあ、BG引きとか、どう指定するんだよ」

 

‥‥と思いますよネ。

 

でもね‥‥。ミリとかセンチとかの尺度がなくなっただけで、いきなりお手上げになってしまう思考が、そもそも大きなNGなのです。

 

いくらでも指定方法は思い浮かぶでしょう。「1秒あたりここからここまでで、尺いっぱい」とか。「1秒あたり1/4フレーム」とか。「カットいっぱい、A点からB点まで」とか。

 

フィルム時代の慣習を引きづり続けて、「0.5ミリ/k」とかシートに殴り書きするのは、もう通用せんのですヨ。

 

 

 

どうしても単位が必要なら、CSSのemとかremとかviewpointの発想で、ペーパーレス時代の単位を決めるのは有効だと思います。

 

ただし、絶対的な単位ではなく、相対的な単位が求められます。

 

未来はもはや2Kだけでなく4Kや8K、しかもZ軸無しのXYオンリーのベタ置きコンポジットではなく、Z軸も普通に使うコンポジットになりますから、px=ピクセルは使えません。

 

3840x2160のカメラフレームで、フォーカス面より奥(Z位置)へ3000px離れた位置にあるBGやBOOKを果たして何ピクセルでスライドすれば、自分の思い通りの速度感になるか‥‥なんて、レンズの画角も絡んで、もはや想像不可能なのです。

 

「見た目がどのように動くか」を指定する方法は、ミリでもセンチでもピクセルでもないんですヨ。

 

 

*さて。これをどのように、ミリやインチやピクセルで「スライド指示」「引き指示」をしましょうか?

 

*Z軸の配置を1000や2000pxで仮配置していますが、カメラを移動した時の視界の変化によって、奥行きのZ軸の値も大きく変更して調整しなければなりません。Z軸の奥行きを旧来の演出指示で指定できますか? まさか、また「TU, TB」を持ち出しますか?

 

*奥のボートは、例えば、何ピクセルと引き指示を書けば良いでしょうか。フォーカス面より離れた位置にあり、しかもカメラ自体がXYZの全ての軸線で動いていますから、4K(3840px)カメラフレームの収まりと、実際の引き幅のピクセル数は、相対的に考慮した上で指定する必要があります。「全素材ベタ置き」感覚では対応できません。

 

*フィルム時代、紙時代の経験値は、映像の「感覚的」なジャッジにのみ有効で、「数値的」なものは全く無力になります。新しい尺度の感覚で対応すべく、潔く覚悟しましょう。

 

*ミリやセンチなんて持ち出すのではなく、標準フレーム(カメラフレーム)を基準として分割した値を決めるなど新しい単位が必要ですが、軽はずみに定義できることではないのは、上図のZ軸の様子をみれば、お判りと思います。

*こういう解説図もちゃちゃっと描ける、コンセプト.appは楽し。

 

 

そうした新しい世界の新しい寸法感覚に馴染めないのなら、引退もやむなしでしょう。古い流儀は要りません。

 

実際、古い世界の流儀を何かと持ち出してくる人間は、新しい技術による現場においては、大混乱を引き起こし大迷惑になります。「モニタじゃわからん。プリントアウトすれば、そこに書き込んで指示する。」なんて御仁は、ペーパーレス時代には進まずに身を引いて去るべし。紙から離れられない人間が、せっかくのペーパーレス環境に、どんどん紙を氾濫させることになるのです。

 

ペーパーレスで4K8Kの世界に身を投じるのなら、今までの実寸感覚をキッパリ捨てるのが大前提です。大事に持ち続けても、災いのもとにしかなりません。

 

 

 

iPadで絵を描いている人同士がやり取りする時、例えば「キャラの位置を1センチずらして」なんて、言わないですもんネ。

 

もしセンチを使いたいなら、「仮のこのキャラクターが実在して、身長175cmだったら、その世界観の中で、1センチ分」というのなら、わからないでもないです。「用紙の中の1センチ」ではなくてネ。

 

紙の用紙のあれこれは、ペーパーレス時代においてはもう過去の記憶なのです。昔話として、アルバムにしまっておきましょう。

 

 

 

頭を切り替えましょう。ただそれだけで良いのです。

 

0.125ミリなんて忘れましょう。

 

フレームの収まりで尺度を考え、過去のフィルム撮影台の値は忘れましょう。

 

ベテランは、過去の数値にしがみついて離れないのではなく、豊富な映像制作経験からくる「映像の感覚」で勝負しましょう。

 

頭が固い=ベテラン‥‥なんてレッテルを貼られるのはイヤでしょう? ‥‥私はイヤですよ。

 

妙なプライド、過去の慣習で武装するのではなく、映像の経験と感覚で武装しましょう。

 

 

 

去る者は追わず。

 

しかし、まだ未来に生きようとするなら、一緒に未来の映像フォーマットを迎え撃って、世代を超えて未来を拓きましょう。

 

 



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