AirDropとPMの使い分け

現在、私らのワークグループでは、PM(プロジェクトマネージャ)とAirDrop、そして従来のファイルサーバを使い分けて運用しています。

 

ファイルサーバは「ご存知の通り」無法地帯になりやすいです。どんなに規則を決めても、その規則はまず全員に告知されずに浸透しませんし、強制力も実質存在しません。漠然と敷地を公開して、白線だけ引いて、「ここからは駐輪場、ここは待合スペース、ここはバイク置き場」と決めるようなものです。「ベビーカーは? 荷下ろしの場所は?」など定義していない場合は、駐輪場などに溢れ出してすぐに破綻します。

 

そうした場合、「もっと徹底するために看板を立てよう」とか「ペナルティをもうけよう」「管理人を常駐させよう」などとするのは、全くダメダメな運用論。

 

漠然と更地に白線を引いただけで区切っている、運用側・管理側の「策の無さ」が大原因なわけです。漠然とした管理方法は、漠とした状態へと帰すのです。整然と管理したいんなら、管理方法のアイデアに手を抜くなよ、ということです。

 

 

 

私は前々から、ファイルサーバを皆で共有する管理方法には限界を感じていました。人災のるつぼだからです。

 

例えば、大きな金庫を1つ用意して、そこに銀行員の自己管理能力で「お金を保管」するような管理方法だったら、銀行の業務はどうなるでしょうか。言うまでもなく、早々に大混乱、破綻、崩壊しますよネ。

 

作品制作も同じです。ファイルサーバを作業者に公開しただけでは、いくらフォルダ構成を練っても、ほころびが生じます。

 

 

 

●作品制作のクリエイティブに関するファイルの受け渡しはPMでおこない、直にファイルサーバでの受け渡しはおこなわない。

 

●カットごとの作業上がりは、PMがファイルサーバへのアップ&ダウンロードをおこない、必ず規定された場所に存在している。どこに何があるのか、日付のフォルダで中身が見えない‥‥などの悪しき運用から逃れ、整然とした中間素材管理をコンピュータの処理能力によって達成する。

 

●前の工程が完了しない限り、次の工程には進めず、必ず「作業完了」のフラグが立ってから、次の工程へと進める仕組みを持つ。

 

●例えば、背景が未アップ、検査前の仮色でタイミング撮をコンポジットするのなら、ちゃんとそのように工程を組んで、ワークフローとして確定する。例外のワークフローは例外としてちゃんと定義する。

 

 

こうしたことを徹底できるのは、人間同士の曖昧な示し合わせだけでは、不可能です。だから、PMが必要になります。

 

一方、作業同士のオフラインのやり取りは、AirDropを使って、サーバを経由しない方法を採っています。オフラインのやり取りを野放図に拡大するとワークフローはまた管理不能な状態に陥りますが、PMを介さないやり取りは作業者にとっても不利益=作業をアップしたことにならない=無報酬なので、自ずと「オンラインとオフラインの使い分け」ができるようになります。

 

ただ、AirDropが可能なのはmacOSとiOSに限定されます。また、PMを社内外の全作業者に普及できるほどアニメ制作会社は発展していませんから、旧体制への互換性を保つために、ファイルサーバでのやり取りも一部残す‥‥というのは現在の私らの状況です。

 

 

 

PM、AirDrop、ファイルサーバ。‥‥どれもファイルの受け渡しをする手段なので、最初はどのように使い分けたら良いか、私も実感に乏しかったです。

 

しかし、運用を始めると、受け渡し手段の切り分けが肌身で理解できるようになりました。

 

会議室で話す内容と、日々の雑談は、切り分けますもんネ。

 

 

 

ちなみに、PMはシステムスタッフの開発者の方にお願いして、自社開発したものです。ワークフローをカットごとに最適化して如何様にでも自由に再編成できる仕様で、形骸化した工程を取り除き、今までの常識では計れなくても必要な工程は柔軟に組み込める仕組みです。

 

もちろん、コンピュータの冷徹無比なPMが存在する以上、工程の「誤魔化し」は一切できず、整然とワークフローを流していくことが求められます。‥‥そういった意味では、戦後アニメ史上、最悪なまでに劣化した現在のテレビシリーズ(テレビ枠フォーマット)制作事情には、あまり合わないかも知れません。

 

でも、それで良いと思っています。劣化した状況に合わせ続けたのが、今のアニメ業界の制作事情なわけで、そこからどうやって脱出するかを、ベテランから新人まで当事者意識で取り組むべき未来の達成目標だとも思います。

 

 

 

目下の悩みは、WindowsにAirDrop的なソリューションが存在しないことです。

 

カットアウトをToon Boomで作業する場合、Windowsの環境はやや安く揃えられるので(60万が50万くらいには)、Windowsマシンも編成プランとして考えているのですが、AirDropやiOSとの連携などで足枷が生じます。

 

ちょっと確認してほしい程度の、1GBくらいのサンプルムービーを、いちいちサーバにアップして遠回りするのは、はっきり言って、もうウザいです。パッパ、パッパと、AirDropで小回りに動いて、正式な工程を踏む場合は、PMに任せたいです。

 

味見してもらうくらいの段取りに、いちいち申請書を出したり、稟議を通すのは、過剰な管理ですもんネ。ちょっとした会話をするにも、会議室を予約する必要があるのか。

 

雑談だけで重要な決定事項を決めるのはNGですが、雑談そのものをすべて会議で取り上げるのも馬鹿げてます。‥‥TPOが肝要です。

 

日頃の意思疎通や認識の共有に、AirDropは適しています。WindowsにもAirDrop的なものが出来て、クロスプラットフォームでやり取りできれば良いのにネ。

 

Macだけで現場が染まるのは、Macを長年使っている私もちょっと怖いです。色々な理由で。‥‥しかし、Windowsしか知らない現場もそれはそれで怖いです。凄く無駄な遠回りをさせられる現場になりそうで。

 

映像の未来に多様性を求めるのなら、現場の機材も多様性が必要です。WinもMacも適度に混ざっている現場が好ましいと私は考えます。

 

パソコンの管理の風下に、映像制作の作業を置く会社は、もはや映像制作会社ではなく、パソコン運用会社だよネ。

 

アニメ会社はさ。パソコンを管理する会社ではなくて、映像を作り出す会社なんだから。

 

色々な道具を駆使して、色々な面白い映像を作れる会社〜制作集団を目指したいですネ。

 

 


関連する記事

calendar

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< July 2019 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM