ペンに妥協せず

ペンタブに持ち替えて作画をするのなら、ペン(ブラシ)の設定は徹底的にやりましょう。めんどくさがって安易に妥協してはなりません。

 

おそらく、「ペンタブなんて使い物にならない」という人の多くは、まともにペンのプリセットを完了していないのではないでしょうか。もし現実世界で、妙に感触の不安定なペンや鉛筆〜例えば、いきなり濃く描けたかと思えば、線が途切れたり、薄墨のようにグレーになったり‥‥では、いくら生の鉛筆やペンでも「使い物にならない」でしょう。

 

コンピュータのドロー(絵描き)ソフトウェアには様々な設定項目があり、製品出荷時のプリセットがそのまま全部、自分にピッタリなんてあり得ません。何らかの調整が必要です。

 

ぶっちゃけ、自分に合うペンの設定に1日費やしても良いくらいです。それほど、ペンの設定は重要です。

 

描けないペンで絵を描く‥‥なんて、笑い話みたいなものです。描けるペンで絵を描くのが、当然の成り行きです。

 

私のToon Boom Harmonyの事始めは、ペンの設定を、使い慣れたProcreateの自分のプリセットに似せるところから始まりました。線一本、自由にコントロールできないようでは、どんなに高機能でも「持ち腐れ」です。

 

自分の筆圧にピッタリとフィットしたペンのプリセットを作れたところで、ようやく、スタートです。テクスチャ付きのベクタートレスは実に素晴らしく、描線の線質から作品のアイデアさえ生まれそうです。

 

クリスタも全く同じで、ペンの設定を自分の体や作品の作風に合わせてこそ、自由な描線を思う存分描くことができます。

 

 

 

エレキギターみたいなもの‥‥ですネ。

 

通販で買って届いたギターが、そのまま自分に最適な状態であるわけもなく、「要調整」でしょう。

 

私はエクストラライトゲージを愛用しており、出荷時に張られた010や009は硬く感じるので、すぐに008に張り替えます。全てのフレットで十分なサスティンが得られ、かつ弦高は低めで指板に触れるだけで音が出るのが良いので、ブリッジは下げたいです。センターピックアップは、フロントとセンターのハーフトーンは欲しいものの、ピッキングの邪魔になるので、やや下げ気味にします。用途(音楽のジャンル)に応じて、フロントとセンターのピックアップの高さは変えます。

 

もちろん、オクターブピッチは新品の弦で調整します。Fender系トレモロアーム(シンクロナイズド)やロックアームの場合、弦の太さでブリッジが引っ張られる力も変わりますから、スプリングのテンションに応じて、バネの本数や差し込む穴の位置やフックの位置(スクリューのねじ込み加減)を変えます。さらには、故意にスプリングを弱くして5本全部付けて、共鳴の条件を増やす‥‥なんていうチューンもありますネ。(私はだいたい3本のままです)

 

弦もエクストラライトゲージのセット(008〜038)ではなく、008からスタートし042で終わる(弦ごとにバラ弦で大人買いし、1〜6弦の太さを自由に組み合わせる)のが私の好みです。まあ、今は本業が忙しく面倒なので、セットを買いがちですが。

 

 

*ギター調整の話は、書きだすと止まらないスね。‥‥それだけ、調整箇所が多いということです。調整次第で、演奏性も音色も大きく上下するので、とても重要なのです。

 

 

「演奏する道具の主役」のギターを、一切無調整で使う‥‥‥‥なんて、ある程度の経験と知識があれば、ほぼないですよネ。

 

同じく、「絵を描く道具の主役」のペンタブとドローソフトを、一切無調整のままで使って、思い通りの「プレイアビリティ」なんて得られるわけないです。

 

「でも、ペンの設定って、わけがわからない項目が多いじゃん」

 

たしかに、ペンのプリセット項目は高機能なソフトになればなるほど増えるんですが、それは「マニュアルを調べれば解る」ことなので、面倒くさがらずに1つずつ「設定項目のナゾ」を潰していきましょう。

 

 

 

ギターの音色がそうであるように、ペンにも様々な表情があります。20年近く、アニメ業界は二値化トレスの均一な描線に支配された感がありますが、もともと描線は様々な表情をもちます。

 

ゆえに、自分好みの設定‥‥と言っても、実際、「自分の描線とはいかなるものか」を自覚できていなければ、自分好みの設定がそもそも不可能でしょう。

 

自分の描線を拡大して分析したことはありますか?

 

400〜600dpiでスキャンした自分の鉛筆線を、iMac 5Kなどの4K以上のモニタでまじまじと眺めれば、自分では自覚していなかった「自分の線」を改めて認識できます。自分が描いた線の「本当の姿」を高密度ディスプレイで見ると、おそらく、多くの人が「我ながら感動」するでしょう。

 

こんなに「繊細」だったのか‥‥と。

 

ですから、ペンの設定を、自分の線、さらには「作品の作風を体現する」線にチューンするのは、実は様々な経験と知識が必要です。

 

しかし、経験と知識なんて、得ようと思って一度に手に入るわけがないです。

 

むしろ、試行錯誤して、進化の段階ごとに表れる「描線の変化」を楽しむくらいの余裕で良いと思っています。それが「時代の味」ともなるのです。

 

 

 

コンピュータのプリセットに自分が合わせるのではなく、コンピュータのプリセットを自分に合わせましょう。道具を自分流にカスタムして愛でるのは、どんなシチュエーションでも同じ。‥‥ですネ。

 

 


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