アニメのTA

欧米の事例を見聞きしたり、実際に欧米とやり取りするうちに、テクニカルアーティスト〜TAという言葉の意味がだんだんわかってきました。

 

TAの人はもともと「アーティスト」と呼ぶにふさわしい技量をもった人で、その人が技術的なレクチャーや橋渡しをするんですね。日本の「TAの定義」はよくわからなかったけど、「欧米のTA」はたしかに「アーティスト」と呼んで然るべき存在だと最近感じました。

 

そう考えると、未来のアニメ業界にはTAはとても必要な存在です。絵も描けて、動きも描けて、作監やデザインもできて、ソフトウェアやハードウェアの知識も豊富で、「描きたいこと・実現したいことをコンピュータの使い方や運用計画へと橋渡しできる」人は、これからの現場には必要です。

 

作画の経験と技量を持つTAだからこそ、現場の作画スタッフも信頼するのです。作画現場のTAの絵がヘタだったら、作画の人間が言うことを聞くわけもなく、軽くスルーされるだけです。

 

アニメの作画現場の場合、とにかく作画できることが、「作画のTA」の必要最低条件となるでしょうから、まずは旧来の原動画の作業でみっちり作画技術を習得する必要がありましょう。

 

その際、最初からペンタブ作画でキャリアを積めば、自然とソフトウェアの使い方を覚えて、より踏み込んだ理解へと進めます。ソフトウェアを単に使うだけでなく、ソフトウェアの内部構造、OSの仕組み、ネットワークの仕組み、スクリプトの習得など、アニメ制作現場のTAに必要な要素を獲得する際に、ペンタブ作画での経験は基礎となりましょう。

 

 

 

私はTAを名乗ったことはないですが(そもそもTAという言葉の中身を知ったのは最近なので)、振り返ればTA的なことを随分してきました。

 

では、これから先、TAやTDを名乗れば良いかというと、私の今の年齢と立ち位置から考えて、私のこれからすべきことはちょっと違うように思っていますので、肩書きは‥‥まあ、また何か考えます。

 

私は今後、作品の中核部分に関与し、「作品が生まれ出る構造そのもの」に関わっていくことになるでしょう。従来の技術基盤では収まらず、ワークフローのテンプレートもない、混沌とした状態から何を作りだしていくか‥‥という取り組みにおいて、決まった肩書きをあらかじめ用意することが無理だとも思っています。

 

 

 

混沌とした状態からこねて固めて何かが生まれた時、さらにそれを具体的な形へと洗練させる際に、アニメ制作現場のTAたちの出番となるでしょう。俺がTA、私がTAという先取の話ではなく、アニメ制作現場には専門に応じた何人ものTAが必要になっていくと思います。

 

まあ、そのためにも、紙で停滞している現状から抜け出し、ごく普通にペンタブで誰もが作画する状況へと移行しなければなりません。カットアウトの知識も必須となるでしょう。

 

日本におけるアニメの仕事を「まともな仕事」にするためには、コンピュータをとことん使いこなす必要があります。産業としての技術革新がどうしても必要です。アニメ現場のTAもその革新要素の1つです。「各種技術に長けたアーティスト」をちゃんと名乗れる技量のスタッフは、「今まで存在しなくても、未来には必要」です。

 

 

 

今、国営放送でアニメ現場の朝ドラがやっていますが、何だか「昔のアニメに別れを告げる」ような象徴的で運命的なものを私は感じます。

 

思い起こして懐かしんで、手を振って見送って、さよならを告げる。

 

‥‥ちょうど良い、ピリオドです。

 

2019年にアニメ制作を扱った国民的連続ドラマが放映されていることは、私は「時代の必然」だとも思ってます(‥‥まあ、番組の意図とはズレた認識とは思いますが)。

 

懐かしい時代にサヨナラをするのです。懐かしい時代は、安くこき使われた時代でもあるのですから。

 

懐かしい時代の制作システムを継承する以上、懐かしくも酷く辛い境遇からは抜け出せないでしょう。

 

「昔は良かったなあ‥‥」をしみじみ実感した後は、心を新たにして、未来のフィールドへ進む覚悟もできますよネ。(今以上に昔に閉じこもる人もいるかも知れませんけど)

 

 

 

未来、作業の価値が大きく変わるのは、動画作業だと思います。恐ろしく高騰するでしょう。ケタが変わります。変動単価制度も必須でしょう。

 

今までの「何千枚・何万枚」どんぶり勘定では動画作業を取り仕切ることは無理です。

 

動画に限らず全ての役職において、昭和の「使い捨て人材」感覚と決別し、新たなエコシステムとして制作現場を再建する時、様々な新技術の盛り込みが必要となります。その際に、作画出身のTAも活躍することになりましょう。

 

古きを懐かしみ別れを告げ、新しきへと進む。

 

2019年は、その第1歩になるのかも知れませんネ。

 

懐かしいものは懐かしいままで良いです。そのまま、そっと過去においておけばよいです。

 

今を生きる我々は、今を生き、未来を生きるために、新しい何かを探し出さねばなりません‥‥よネ。

 

 

 

 



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