自動中割りとカットアウト

自動中割りとか聞くと、結構多くの人が、無造作に描いた自分の線画が、よくわからない魔法のコンピュータ技術によって中割りしてくれる‥‥と思いがちです。

 

そんなわけないじゃん。

 

CACANiにしろToon Boomにしろ、描いた線がオブジェクト(呼び名は様々)としてソフトウェア内部で独立管理制御されていて、その線がどのように変化するかを、巧妙に組み合わせて、あたかも動いているように見せるのです。つまり、カットアウトです。ツイッターの映像でも、全ての線がそうなっていることを、よく見てくださいネ。

 

その辺はちゃんと説明しておかないと、みな勘違いして、コンピュータのミラクルで不思議なテクノロジーで無人動画機能が自動中割りしてくれると思い込んでしまいます。

 

そして、実際に使って描いた時に呆然とすると思います。

 

「うわ。誤魔化しが効かねえ‥‥」と。

 

要は、「描いた線1本1本の面倒をちゃんと見る」ということです。

 

旧来の現場風に言えば、「すべての線の割り先が存在する」ように描くわけです。今までの原画作業スタイルとは少々異なります。動画さんがなんとか辻褄を合わせて描いていたようなことは、カットアウトベースの自動中割り(Toon BoomやCACANi)には期待できません。

 

すべての線を把握して制御するのが、技術のキモです。

 

 

 

原画時点で線画のなりゆきを完全把握し、線のBirth & Deathや、特定領域での消し込みも含めて、すべて原画時点で「責任を持つ」作業スタイルを受け入れないと、「自動中割り」は実現しません。

 

自動中割りという言葉は、客寄せパンダみたいなもので、実際に技術のフタを開いてみると、紙で原画を描いていたようにはいかないことを痛感するでしょう。しかし、そのカットアウトスタイルに慣れれば、今までとは格段に向上した生産効率が実現できます。

 

私は近くToon Boomに移行してカットアウトを開始しますが、Toon Boomは値段も値段だけあって、機能が盛りだくさんです。ベクタートレス線に自分の思うようなペンテクスチャ(鉛筆や筆の)をもてるし、トレス線のウェイト(太さ細さ)は時間軸で変えられるし、そもそもベクターベースなのでラスターのように解像度に依存しない(どんなに拡大してもジャギがでない)し、「ベクター=単純な絵」という常識を覆せます。‥‥実際、そういう使い方で私らはToon Boomを使う運びです。

 

私は今まで線画はビットマップで、After Effectsでカットアウトを実施してきましたが、Toon Boomによってカットアウト周りの工程がシームレスに繋がることにより、より一層のカットアウト技術の発展を「日本流」にて推進できると、ワクワクしております。欧米流の価値観とは違うToon Boomのカットアウトをどんどん実践していく所存です。

 

思うに、4Kとベクターとカットアウトは、未来の線画要素のトリオだと思います。つまり、今までのアニメ現場の紙作画にはなかった要素です。それに慣れるか慣れないか‥‥は、まさに現場の人間次第です。

 

従来の送り描きの動画と、(日本では)新しいカットアウトの動画の、ハイブリッド運用こそ、4K時代を生き抜いて未来でもアニメを作り続ける道です。

 

電卓を弾けば、4Kドットバイドットが要求される未来のアニメ制作において、送り描き技術体制のコストが破綻するであろうことは誰でもわかるはず。

 

1.5Kの絵柄を4Kに拡大したって4Kのアニメにはなりません。ゆえに、根本から意識を変えていく必要がありますが、どこの誰だって突然には変えられませんので、徐々に自分のカラダを慣らす必要があります。

 

 

 

AppleのWWDCも未来を予感する要素でいっぱいでした。

 

時代性や最新テクノロジーを敵にするより、味方にしたほうが良いですよネ。

 

アニメは生まれた時から、テクノロジーの申し子です。

 

 


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