勘違い

ドイツの戦車で、パンター(俗にいうパンサー中戦車)はエンジンで発電機を回してモーターで車軸を動かす‥‥と何となく思っていましたが、ふと何かの拍子にパンターの諸元を見ると「モーター」のモの字もなく、‥‥‥‥‥‥‥あれ、ソレって、エレファントか。‥‥と今さら再認識することもあります。どこで覚え間違いをしたのか、ナゾです。

 

 

というような勘違いは、半世紀生きても、私の中にまだ相当残っていると思われます。

 

パンターの初陣の「ツィタデレ(クルスク)」戦では、故障車が続出した‥‥というエピソードが、いつのまにか「エレファント重駆逐戦車」のモーター駆動での故障車の話にすり替わったのかな‥‥と推測するばかりですが、理由はなんにせよ、単なる思い違いです。しかも、エレファントは自重の過大に使えてモーターの故障で役立たず‥‥という従来のイメージも、近年の研究では、特殊な動力部のイメージが一人歩きしただけで、当時の前線からの報告書を分析すると、従来のイメージとは随分と相違があって、実はドイツとソビエトの双方に評価されていた‥‥との報告もあります。

 

 

 

 

 

思い違い。勘違い。

 

アニメ制作現場で、3コマなどのタイミングを言う時に、

 

3コマうち〜コマ打ち

3コマ落ち〜コマ落とし

 

‥‥という呼び方が混在しており、私は両方耳にしたことがありますが、どちらが正しい‥‥というか好ましい使い方なんでしょうネ。明らかに、同じ意味の内容を、上記2つの言い回しで聞いたことがあり、現場それぞれの慣習に基づく思い違いや勘違いが含まれていると感じます。

 

そもそも、

 

シートを書く

シートを打つ

シートをつける(「つける」の漢字は不明)

 

‥‥という3種類の言い回しがあります。‥‥なので、私の勘違いかもと思いつつも、このブログでは、

 

シートを打つ 〜 3コマ打ち

 

‥‥という書き方をしています。

 

 

 

勘違いだと思うのなら、確認すれば良いじゃないか。

 

‥‥と思う現場部外者の人はいましょう。普通はそう思いますよネ。でも、業界で複数の現場で経験を積んだ人なら、

 

どこに? ‥‥どこの誰に確認しても、「正しい用語」の出どころなんて曖昧なままだろ。

 

‥‥と感じることでしょう。ぶっちゃけ、その現場のリーダー、チーフ的存在の言い回しが、その現場だけの標準に「なんとなく」なっているだけで、明示的な「アニメ制作用語規定 勧告2000.1」みたいなドキュメントは存在しません。

 

そんな曖昧な状態でも、何十年も作業力を融通しあってアニメを制作してきた日本のアニメ業界に代表される日本人の性質には、驚くばかりです。それゆえに、そうした「無規定」「標準無し」の状態が、報酬などのお金の面にも色濃く影響しているんでしょうネ。

 

 

 

「付けPAN」の「付け」とは何を意味するのか、色んな説を聞いたことがありますし、作画の内容に関する「普通の価値観」も実は現場ごとでバラバラです。

 

付けPANの「付け」とは、これこれこういう意味で正しい。

 

出典はどこですか?

 

昔、先輩から聞いた。

 

その先輩は、何かしらの規定書・規約に基づいて、発言したのですか?

 

当時先輩が撮影監督から聞いたと言っていた。なので、撮影用語として定着しているのは確かだ。

 

では、その撮影監督さんは、何を基準・規約として、撮影用語を扱っているのですか?

 

それは知らん。

 

ぎゃふん。

 

 

何か、古代の神話を紐解く思いですネ。

 

なので、誰がどう考えても計算しても合致する内容、‥‥たとえば、「(100+50)x2=300」とか「RGB画像をアルファチャンネル画像で透明部分を切り取る(マスクする)」とかいうことでもない限り、アニメ業界の用語や技術は、勘違いや思い込みや出どころの怪しい伝聞で成り立っていることを大前提として許容し、その許容を意識しつつ話すことが肝要でしょう。

 

実際、今の若い(20代〜30代前半)のアニメーターは「第1&第2原画があって当たり前」と思い込んでいる人もそこそこ存在するようで、「レイアウトの時は動きの大まかなアタリをピンポイントで1〜2枚描いてくれれば良いです。レイアウト作業時にシートを書く必要もありません。」と言っても、どうしても「背景の原図、ラフ原画(第1原画)、シート」を描いてきてしまう人もいるようで、そうなってくると、もはや「作業様式」すら「世代ごとの方言」が存在すると言っても過言ではないでしょう。

 

私は新しい技術をどんどん実用化する取り組みを、「用語辞書」を書きながら進めています。自分で決めたことでも、記述してデータベースにしておかないと、簡単に記憶違いをするからです。自分で決めたことなら完璧に記憶している‥‥なんてことは、どんなに記憶力に自信がある人でも、10年の歳月が経過すれば細部は怪しくなるものです。

 

旧来の現場はどうでしょうか。基本的な用語を策定しようなどという動きは全く聞こえてこないですネ。道交法が施行されてなければ、交通事故が多発するのは当然のことですが、なぜか道交法を決めずに「皆の自助努力と機転で事故を回避しよう!」と言い続けるだけです。

 

「この用語はこういう意味だ」とツイッターで書いて呟けば、どんどん規定が進めば良いですが、そんなことはないですしネ。単に自分の雑感を述べているに過ぎません。しかも、ツイッターの言葉の寿命は極めて短く、個人がバラバラで呟くがゆえに、読み返そうにも散逸して読めません。

 

どんなにケーブルのコネクタがHDMIやUSBの形状をしていても、信号線の規定を守らなければ、それはHDMIでもUSBでもなく、単に「接続コネクタ」でしかありません。

 

工業では誤差まで規定しますが、アニメ業界は誤差どころか基礎的な規定すら怪しいです。「そんなの、毎回テスターで測ればいいじゃん」といいつつ、テスターで測る習慣は根付いておらず、各所で事故や行き違いが頻発します。

 

でもまあ、旧来の現場の規定はもう無理かな‥‥とも思うのです。皆それぞれ主張がありますし、今から規定しても規定を終了する頃には次の技術や勢力に転換している可能性も高いです。令和に元号が変わり2020年代を迎える今さらになって、フィルム撮影台の用語を標準化してどうすんの?‥‥という話です。

 

次世代の技術では、こうした業界の経緯を踏まえ、用語などの規定は同時進行で構築して、ある程度のタイミングで勧告をおこなえばよいと思います。

 

「勘違い」かどうかを確認する「よりどころ」さえあれば、混乱せずに済みます。

 

何でも取り決めれば全て良いとは思いませんが、基本的なことだけでも取り決めておけば、右側通行と左側通行が錯綜して正面衝突する大事故は事前かつ明示的に防げますよネ。

 

 

 


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