美術展とクリムト

クリムト展が来ますネ。東京都美術館で4月23日からとのこと。

 

でも‥‥、多分、私は行きません。最近、この手の美術展で「絵を見た〜〜!」と満足することが皆無だからです。人混みを見にいくようなものです。

 

企画展はいいや。もう期待してない。

 

「あの美術館の、あの絵に会いたい」と、空いている常設展を見に行ったほうが、100倍マシです。人がまばらで静寂な、絵だけが飾ってある空間で、ずっと、好きな絵の前に立って見ていられるから。

 

 

クリムト展は、30年前に見ました。今はなき、池袋の西武美術館(という名前だった気がします。セゾン美術館だっけ?)で「ウィーン世紀末展」と銘打って開催していました。

 

良かったですヨ。今のような人混みはなくて、じっくり見ることができました。

 

私は当時アニメーターの駆け出しの頃で、大泉学園のアパートと埼玉の実家を週一で行き来していましたから、池袋には毎週出ていて、西武の美術館には簡単にいくことができました。おそらく、クリムトとウィーン世紀末展は、4〜5回見たと思います。

 

凄いボリュームで、とても1日で鑑賞できる内容ではなかったです。美術展の図録が電話帳のように分厚かったですしネ。

 

クリムトだけでなく同時代の、例えばエゴン・シーレとかヨーゼフ・ホフマン、オットー・ワーグナー、ココシュカなど、ドイツ系、オーストリア系の作品が山のように展示してありました。オットー・ワーグナーのあの精密なコンセプトデザイン画などは、チラ見だけで見切れるものではないですよネ。ちゃんと鑑賞しようとすれば、自ずと時間もかかろうというものです。

 

下図もナマで観ました。

 

 

 

あまりにもその美術展に馴染みすぎて、何度も来館したにも関わらず、最終日に「最後にもう一度」と閉館間際に行ったを覚えています。今日でもう見れなくなると思うと、なんだか切ないキモチになったのを今でも思い出せます。

 

 

 

人生の中には、生涯忘れることのない美術展や美術館との出会いがある‥‥と実感します。

 

私は80年代中頃の高校時代に鎌倉の美術館にモロー展(「モローと象徴主義の画家たち」)にいきましたが、50歳を超えた今でも、その影響下にあると自覚します。もちろん、ウィーン世紀末展もネ。

 

ダヴィンチの「荒野の聖ヒエロニムス」も強い印象を受けました。絵を目の前にした時の存在感がとにかく異質で、絵の状態もあいまって、ディテールよりも存在感だけが強くココロに刻まれています。

 

 

 

一方、現在の上野の企画展では、忘れることがないのは「すげえ人混みだった」という記憶だけです。画家が絵を見つめていたのと同じ距離で、時間を超えて自分の目で同じ絵を見ている‥‥という不思議な体験など、今の美術館の企画展では期待するだけ虚しいです。

 

上野なんか行かなくても、まだ静かに絵を見れる美術館はありますので、自分の本当に好きな絵を探して見にいきましょう。絵だけではなく、「美術館参り」した道すがらの情景まで、代え難い記憶となって、貴重な財産となります。絵を描く人間ならなおさら、自分の宝物となりましょう。

 

企画展でなければ、上野でも、常設展は見所がいっぱいです。何よりもまず、空いているので、正常に絵を鑑賞できます。

 

松園の「焔」もありますし、モローの「牢獄のサロメ」もありますし、その他、「この絵って、上野にあったのか」と驚くような有名な絵も並んでいます。

 

 

 

 

今度のクリムト展も、もし人混みが空いている時間帯があるのなら、まだナマでクリムト(の絵)を見ていない人は見にいく価値はあると思います。絵が見れずに人混みを見てもしょうがないけど、空いている時間帯があれば‥‥の話ですが‥‥。

 

私はもう、30年前にしっかり刻みつけたので、いいかな‥‥と思います。混んでない時間帯なんてわからないし。

 

 

 

ちなみに、私がクリムトの絵と初めて出会ったのは、中学2年か3年の頃、市の中央図書館の画集でした。何か、イケないものを見てしまった‥‥という背徳の感情がかすかに生じたのを覚えています。まあ、ぶっちゃけ、ど直球でエロいもんね、クリムトは。

 

中学生のウブな小僧が見れば、ドキっとするわな。

 

さらにちなみに、私の母も池袋の美術館に「クリムトとウィーン世紀末展」を見に行ったらしく、当時に感想を聞いたら、「なんかね。気持ち悪かった。」と申しておりました。

 

‥‥‥‥そうね。モネの睡蓮や、ラファエロの聖母に比べれば、たしかに。

*でも私はモネの睡蓮って、「綺麗」だけでは終わらない、魔力というか妖しさを全面に感じるんですけどネ‥‥。なぜ、あんなに、睡蓮の絵を沢山描いたんでしょうかネ。

 

変に通を気取るよりは、とても参考になる、母の率直な感想でした。たしかにコレを見ればな‥‥。

 

*私が見た「ウィーン世紀末展」にもこの複製が来ていましたが、今回も恐らく同じ複製が来ると思われます。(詳細は未確認です)


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