基礎という馬力

パソコンのソフトは多彩で高機能だから基礎技術なんていらない‥‥とか、応用と発展をすぐにやりたいから基礎はスキップしたい‥‥とか、いかにも初心者にありがちな思考ですが、その思考ゆえの当人の未来も暗示します。

 

初心者とは、基礎を習得することの大切さも含めて、何もかもわからないがゆえに、初心者といえますから、その辺を指導するのは経験豊富な年長者の役割でしょう。

 

ただ、どんなに日々の作業の中で基礎の大切さを吸収してもらおうと思っても、やはり、そこは人ですから、当人にその気がなければ、身につきません。それどころか、どうやれば、上の人間の「基礎を学べ」を回避できるか、どんどんおかしな状況に進んでしまうことすらあります。

 

やっぱり、大事なものごとは、自分自身で気づかないと、ダメだよね。他人がどんなに大事だと言っても、当人がそう思わなければ、状況は変わりません。

 

何か良いソフト、何か良いマニュアル本、何か良い講座やセミナーや教室。

 

延々と、自分の足元や手のひらを見ずに、何かミラクルなものが自分を変えてくれると幻を追い続けて、40代になっても見つからないままソレが幻であることにもまだ気づかず、自分の不遇を世代論に覆いかぶせて、やがてもうどうにも取り返しも取り戻しもできない事態に陥る‥‥なんて、避けるべきと思うのです。

 

であれば、やはり10代20代、遅くとも30代前半までには、基礎の大切さに気づくべきと思います。本人しか気づけないものだから、なおさら‥‥ネ。

 

 

 

After Effectsでの日々の映像制作は、アニメ撮影に関していえば、相当「型」が初めから決まっているので、After Effectsの一部の機能しか使わないまま、アニメ撮影に特化した技術しか得られない状況に陥りがちです。私もアニメ撮影のアニメ撮影監督をやっていた時期がありますので、アニメ撮影の一連の流れの「定型」の特性は経験済みです。

 

現在は、多色のブレンド(任意の複数色にブラーをかける)やグラデーション処理に、さらなる手数を要するようになったとは言え、やはりアニメ撮影の特殊な偏りはそのままです。つまり、アニメ撮影だけに従事していると、After Effectsの基礎機能も習得できないまま年齢を重ねていくことになります。

 

私はアニメーターで線画ばかりを毎日描いていた20代の頃、

 

自分が描いているのは、絵の「線の部分」だけで、絵そのもの、絵全体を描いているわけではない。

 

‥‥ということに今更ながらに気づいて、「これはヤバい。未来にツブしがきかなくなる。」と恐怖を感じました。

 

姪にせがまれて絵を描いた時に「色は塗らないの?」と言われて、‥‥‥‥そうだ、オレは色のことを自分の絵からサッパリと切り離してしまっている‥‥と、自覚したのです。鉛筆で線画を描くことも基礎の1つでしょうが、色を塗ること、背景を描くことも、大事な絵の基礎要素です。

 

アニメの撮影も似ていて、アニメの撮影に必要なものしか、業務には登場しません。なので、キーイングやトラッキング・スラビライズ、写ってしまったマズイ何か(例えば、異世界ファンタジー作品なのに、海にタンカーが写っているとか、発火コードとか、吊るす糸とか)を消す‥‥などの、After Effectsの実写系の基礎技術は全く覚えられないまま、歳だけを重ねていきます。

 

さらには、After Effectsの外部に出て、ネットワークの知識、サーバの知識、ハードウェアのメンテナンスの知識など、本来なら徐々に固めていくべき基礎の足場が、アニメ業務だけに身を任せていると、初心者のまま自分を置き去りにします。

 

アニメ業界が、単に自分の業務に関する技術だけを覚えておけば、生涯安泰だ‥‥というなら、他は全部任せっきりでも良いとは思いますが、‥‥どうですかね、アニメ業界は安泰ですかネ? 私は全くそうは思えません。尻馬に乗るようにして、フィルム撮影台をどんどん廃棄したアニメ業界=アニメ制作に関わる集団心理が、「自分の業務や工程だけは特別待遇で、未来の安堵を完全保証してくれる」とは思えないんですよ。

 

であるならば、基礎を固めて、強い軸足を自分自身で確保すべし。

 

どんな変革があっても、基礎が固められていれば、応用が利きます。色んな仕事の、色んな作業で、自分の能力を発揮できます。

 

 

 

私は、自分ながら、知識欲が過剰でソレはソレで難儀しているので、自分のやり方をお勧めしようとは全く思いませんが、基礎技術なんて知らなくても業界の仕事の流れだけ覚えれば生きていけるなどとは口が裂けても言えません。

 

私が少年時代に好きだった劇場アニメの撮影監督さんは、コンピュータにアニメ撮影が移行した後に制作に転向したものの、1〜2年でやめて、同じ会社の全く別の業務(総務的な仕事‥‥と聞いた覚えがあります)にさらに転向した後、数年で引退したと聞きます。

 

After Effectsでアニメ撮影‥‥って、いつまで続くのかな。

 

私はぶっちゃけ、AppleもAdobeも「企業であるがゆえ」に永遠ではなく、いつどんな「進路変更」があってもおかしくないと考えています。macOSもAfter Effectsも永遠だと考えるほうがどうかしてますよネ。

 

であるならば、macOSやAfter Effectsを通じて得られる基礎技術の馬力で、たとえ一時的にピンチに陥ったとしても、別の経路を這い上がれるようにしておきたいです。自分の中にエンジン=基礎となる動力源さえあれば、今までの道が崩れて険しい道しか残されていなくても、自力で新たな道を走り出すことができます。

 

というのは、やっぱり、20代の頃にキツい経験をしたからだろうな‥‥とは思います。這い上がる‥‥という意識において。

 

 

 

私も若年の頃は、基礎を軽視していた傾向がありますが、ちょっとした「今までとは違う事態」に遭遇した途端に、ヘナチョコで大きく動揺し翻弄される自分に、限界を感じていました。

 

器用さだけ、飲み込みの早さだけで、切り抜けられるのは、直面した状況がその程度の難易度だからです。やがて、器用さだけでは切り抜けられない場面に、何度となく遭遇します。

 

ゆえに基礎の大切さに目覚めたのです。20代ではなく、8〜12歳くらいの幼い頃に気づけばなあ‥‥と、過去を振り返っても仕方ないので、アラウンド50になった今でも、「知らなかった基礎」を覚えていく毎日です。

 

 


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